特開2019-217603(P2019-217603A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217603(P2019-217603A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/08 20060101AFI20191129BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20191129BHJP
   B23K 26/70 20140101ALN20191129BHJP
   C03C 27/06 20060101ALN20191129BHJP
【FI】
   B23Q11/08 Z
   G02F1/13 505
   B23K26/70
   C03C27/06 101F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-117780(P2018-117780)
(22)【出願日】2018年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】蔭地 謙作
【テーマコード(参考)】
2H088
3C011
4E168
4G061
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088EA37
2H088HA02
2H088HA06
2H088HA18
3C011DD01
4E168KA16
4G061AA33
4G061BA00
4G061CB06
4G061CD02
4G061CD21
(57)【要約】
【課題】窓部を通した外部からの視認状態を、加工精度に悪影響を与えず、また、加工効率を低下させることなく制限、或いは調整することができ、更に、ある程度の視認性が確保された中間的な態様を実現可能な工作機械を提供する。
【解決手段】工作機械1は、少なくとも加工領域を外部と隔てるカバー体を備え、カバー体には加工領域と外部とを連通させる開口部が形成され、開口部を通して外部から加工領域内を視認することができるように構成される。そして、この工作機械1は、開口部を閉塞するように配設され、加工領域と外部との間の透光率を変更するフィルタリング機構11と、フィルタリング機構11の透光率を設定するための設定情報を外部から取得し、取得した設定情報に応じてフィルタリング機構11の透光率を設定する制御部20とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも加工領域を外部と隔てるカバー体を備え、該カバー体には前記加工領域と外部とを連通させる開口部が形成され、該開口部を通して外部から加工領域内を視認することができるように構成された工作機械であって、
前記開口部を閉塞するように配設され、前記加工領域と外部との間の透光率を変更するフィルタリング機構と、
前記フィルタリング機構の透光率を設定するための設定情報を取得し、取得した設定情報に応じて前記フィルタリング機構の透光率を設定する制御部とを備えたことを特徴とする工作機械。
【請求項2】
該工作機械の周辺の状況に関する情報を認識し、認識した周辺情報を前記設定情報として前記制御部に送信する周辺情報認識部を備えていることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項3】
前記周辺情報認識部は、該工作機械を含む所定領域内に存在する人間を認識する個人認識部を含み、
前記個人認識部は、認識した人情報を前記設定情報として前記制御部に送信するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の工作機械。
【請求項4】
前記制御部は、該工作機械の運動機構部を数値制御する数値制御装置に接続され、NCプログラムに記述された情報を前記設定情報として取得するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項5】
前記周辺情報認識部は、該工作機械の周辺に来訪する来訪者のスケジュールを管理する管理装置に接続され、該管理装置によって管理されるスケジュール情報を前記周辺情報として認識するスケジュール情報認識部を含み、
前記スケジュール情報認識部は、認識したスケジュール情報を前記設定情報として前記制御部に送信するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の工作機械。
【請求項6】
前記周辺情報認識部は、前記加工領域内に配設されて、該加工領域内の光量を検出する内部光量検出部を含み、
前記内部光量検出部は、検出した光量に係る情報を前記設定情報として前記制御部に送信するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の工作機械。
【請求項7】
前記周辺情報認識部は、該工作機械の外部に配設されて、外部の光量を検出する外部光量検出部を更に含み、
前記外部光量検出部は、検出した光量に係る情報を前記設定情報として前記制御部に送信するように構成され、
前記制御部は、前記内部光量検出部から受信した設定情報、及び前記外部光量検出部から受信した設定情報を基に、前記フィルタリング機構の透光率を設定するように構成されていることを特徴とする請求項6記載の工作機械。
【請求項8】
工作機械のカバー体に設けられた開口部を閉塞するフィルタリング機構の透光率を設定するための設定情報を取得する処理と、取得した設定情報に応じて前記フィルタリング機構の透光率を設定する処理とをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも加工領域を外部と隔てるカバー体を備え、該カバー体には加工領域と外部とを連通させる開口部が形成され、該開口部を通して外部から加工領域内を視認することができるように構成された工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
上記工作機械の開口部は、通常、加工領域を外部から視認(確認)するための窓部として構成されており、ガラス板やポリカーボネートなどの透明な板材によって閉塞されている。
【0003】
そして、従来、下記特許文献1に開示されるように、この窓部を遮蔽板によって開閉するように構成された工作機械が提案されている。この工作機械は、窓部に沿って横方向又は縦方向に移動可能に加工領域側に設けられ、前記方向に移動することにより、窓部を通して外部から加工領域内を視認することができる状態と、視認することができない状態とにする遮蔽板と、この遮蔽板を窓部に沿って移動させるアクチュエータと、工作機械の運転モードを判別する運転モード判別手段と、運転モード判別手段の判別結果に応じて前記アクチュエータを駆動して、遮蔽板の開閉動作を制御する制御部とを備えている。
【0004】
前記制御部は、例えば、運転モード判別手段によって判別される工作機械の運転モードが試し加工モードのときには、アクチュエータを駆動して遮蔽板と窓部とが重なっていない、即ち、遮蔽板によって窓部が閉じられていない状態にし、試し加工モードでないとき(即ち、繰り返し連続した加工を行う連続加工モードのとき)には、アクチュエータを駆動して遮蔽板と窓部とが重なる、即ち、遮蔽板によって窓部が閉じられた状態にする。
【0005】
これにより、試し加工モードのときには、窓部を通して外部から加工領域内を視認することができ、加工の様子を外部から確認しながら当該試し加工を行うことができる。一方、連続加工モードのときには、窓部を通して外部から加工領域内を視認することができない状態となる。連続加工モードのときには、加工領域内の様子を外部から確認する必要性はあまりなく、逆に、遮蔽板によって窓部をカバーすることにより、加工時に使用されるクーラントや、加工の際に生じる切屑によって窓部が汚損されるのを防止することができ、窓部が徐々に汚損されることによって当該窓部を通した視認性が悪化するという問題を解消することができる。
【0006】
また、前記制御部は、その他の制御態様として、工作機械の運転状態が、クーラントを用いた加工である場合には、アクチュエータを駆動して窓部が遮蔽板によって閉じられた状態にし、クーラントを用いない加工の場合には、遮蔽板によって窓部が閉じられていない状態にする。上述したように、加工時にクーラントを使用すると、飛散するクーラントにより窓部が徐々に汚損されて当該窓部を通した視認性が悪化するという問題があるが、クーラントを用いた加工時に遮蔽板によって窓部を閉じることにより、このような問題が生じるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−150401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、窓部を通して外部から加工領域内を視認するその必要性は、オペレータが加工状態を確認することで、加工が正常に行われているかどうかを把握することができるという点にある。
【0009】
その一方、加工領域内で行われる加工によっては、例えば、レーザ加工など、加工の際に生じる光が人の目に悪影響を与える場合には、窓部を通した外部からの視認状態を目に悪影響が出ない程度に制限する必要がある。
【0010】
また、機密性の高いワーク(例えば、特殊な材質のワーク)を加工している場合、或いは、機密性の高い加工方法を実施している場合には、外部から加工領域内を視認できる状態に一定の制限を加えたい場合がある。
【0011】
このような場合に、上述した従来の遮蔽板機構を設ければ、窓部を通した外部からの加工領域内の視認に制限を加えることができ、機密性の高いワークや加工方法について、その機密性を守ることができる。
【0012】
ところが、上述した従来の遮蔽板機構によれば、アクチュエータによって遮蔽板を移動させるようにしているので、仮に、加工中に遮蔽板を移動させる場合には、その動作に起因して振動が生じ、当該振動が加工精度に悪影響を与えるという問題があった。このため、窓部を通した外部からの視認状態を、上記従来の遮蔽板機構を用いて制限するのは、必ずしも好ましい態様とは言えなかった。尚、このような不都合を回避するために、加工動作が行なわれていない時間帯に遮蔽板を移動させることが考えられるが、このような対応では、遮蔽板の移動中に加工を行うことができないため、加工効率が低下するという別の問題を生じる。更には、遮蔽板を移動するのに時間を要する為、速やかな遮断が出来ないという不都合も生じていた。
【0013】
また、従来の遮蔽板機構では、遮蔽板により窓部を遮断して外部から加工領域内を完全に見えなくするか、又は、遮蔽板が窓部を遮断しないように移動させ、窓部を通して外部から加工領域内を見えるようにするかの二者択一の態様しかとることができないという問題もあった。上述したように、工作機械を用いた加工では、加工領域内の視認性に一定の制限を加えたいという要請がある反面、不明瞭ではあるものの、加工領域内で何が行なわれているのかを把握できる程度の視認性が確保された中間的な態様が求められることが多い。従来の遮蔽板機構では、このような中間的、或いは段階的な態様を実現することができない。
【0014】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであって、窓部を通した外部からの視認状態を、加工精度に悪影響を与えず、また、加工効率を低下させることなく制限、或いは調整することができ、更に、ある程度の視認性が確保された中間的な態様を実現可能な工作機械の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明は、少なくとも加工領域を外部と隔てるカバー体を備え、該カバー体には前記加工領域と外部とを連通させる開口部が形成され、該開口部を通して外部から加工領域内を視認することができるように構成された工作機械であって、
前記開口部を閉塞するように配設され、前記加工領域と外部との間の透光率を変更するフィルタリング機構と、
前記フィルタリング機構の透光率を設定するための設定情報を取得し、取得した設定情報に応じて前記フィルタリング機構の透光率を設定する制御部とを備えた工作機械に係る。
【0016】
この態様(第1の態様)の工作機械では、上記のように、開口部を通して外部から加工領域内を視認することができ、この開口部はフィルタリング機構によって閉塞されている。フィルタリング機構は、加工領域と外部との間の透光率が制御部によって設定(調整)され、制御部は取得(入力)される設定情報に従ってフィルタリング機構の透光率を設定(調整)する。尚、ここでいう透光率の調整は、透光率が高い状態と低い状態の2段階に調整する場合の他、透光率を多段階に調整する場合、透光率をアナログ的に連続して変化させるように調整する場合など、透光率を必要に応じて細かく調整する場合を含む。
【0017】
斯くして、この工作機械によれば、制御部によってフィルタリング機構の透光率を調整することで、開口部を通した外部からの加工領域内の視認状態を調整することができる。したがって、例えば、加工領域内でレーザ加工が行われ、加工の際に有害光が生じる場合でも、前記視認状態に制限を加えて、レーザ光が外部に透過し難くすることで、有害光による悪影響を押さえることができる。或いは、加工領域内で生じた可視光の輝度が高すぎるために、却って加工領域内が視認し難くなる場合に、透光率を下げて透過する光量を下げることにより、加工領域内をより明瞭に視認することができるようになる。
【0018】
また、機密性の高いワークを加工している場合や、機密性の高い加工方法を実施している場合に、開口部を通した外部からの視認状態を制限することで、機密性の高いワークや加工方法について、その機密性を守ることができる。
【0019】
そして、この工作機械によれば、フィルタリング機構の透光率を設定(調整)することによって、開口部を通した外部からの視認状態を調整することができるので、遮蔽板を移動させる従来の機構のように、遮蔽板の移動に起因した振動が生じることは無く、したがって、加工中に開口部を通した外部からの視認状態を調整することによって、加工精度に悪影響を与えるといったことは起こり得ないし、また、加工効率が低下することもない。
【0020】
尚、前記フィルタリング機構は透光率を変更可能なフィルタを意味し、例えば、印加する電圧を調節することによって透光率が変化する液晶パネルの他、調光ガラスなどを例示することができるが、これに限定されるものではない。尚、液晶パネルや調光ガラスの場合には、透光率の調整を瞬時に行うことができる。
【0021】
また、透光率の設定は、フィルタリング機構の全面に渡ってこれを設定するようにしても良く、或いは、フィルタリング機構の一部分について透光率を変更するようにしても良い。
【0022】
上記第1の態様の工作機械において、当該工作機械の周辺の状況に関する情報を認識し、認識した周辺情報を前記設定情報として前記制御部に送信する周辺情報認識部を備えていても良い。
【0023】
この態様(第2の態様)の工作機械によれば、周辺情報認識部により工作機械の周辺情報が認識され、認識された周辺情報が設定情報として制御部に送信される。そして、制御部は取得した周辺情報に応じてフィルタリング機構の透光率を設定(調整)する。尚、この周辺情報は工作機械を含む所定の領域内に存在する人間の情報や、その人間が有する権限(例えば、機密情報へのアクセス権限)といった情報の他、工作機械の周辺の環境などの情報を含む包括的な概念である。
【0024】
上記第2の態様の工作機械において、前記周辺情報認識部は、前記工作機械を含む所定領域内に存在する人間を認識する個人認識部を含み、当該個人認識部は、認識した人情報を前記設定情報として前記制御部に送信するように構成されていても良い。
【0025】
この態様(第3の態様)の工作機械によれば、前記所定領域内に存在する人間が個人認識部によって認識され、認識された人情報に応じて、前記制御部により前記フィルタリング機構の透光率が設定(調整)され、開口部を通した外部からの視認状態が人情報に応じて調整される。例えば、得られた人情報から、当該所定領域内に居る人間を、一般のオペレータ、当該加工ラインの責任者、当該加工場の責任者、部外者のいずれに分類されるかを認識し、認識された分類、言い換えれば、個人に認められた権限(機密情報にアクセスすることができる権限)に応じて前記視認状態を調整することができ、このようにすることで、機密情報を適切に守ることができる。尚、前記権限は、複数の段階的なものに区分することができる。また、個人認識には、IDカード,RFIDなどID情報が格納された機器を用いた認証の他、カメラを用いた顔認証や指紋認証などの公知の全ての認証手法を用いることができる。
【0026】
また、上記第1の態様の工作機械において、前記制御部は、当該工作機械の運動機構部を数値制御する数値制御装置に接続され、NCプログラムに記述された情報を前記設定情報として取得するように構成されていても良い。
【0027】
この態様(第4の態様)の工作機械によれば、NCプログラム中にNCコードとして記述された前記設定情報が含まれている場合に、数値制御装置による制御の下で、当該NCプログラムに従って運動機構部が駆動され、これによって加工が実行されているときに、前記設定情報に関するNCコードが数値制御装置によって読み取られると、当該数値制御装置は読み取ったNCコードに対応した設定情報を前記制御部に送信し、制御部は受信した設定情報に応じてフィルタリング機構の透光率を設定(調整)する。
【0028】
したがって、例えば、特殊な加工方法を実行する工程の前に前記フィルタリング機構の透光率を制限するようなNCコードを含ませることで、当該加工方法が外部から視認されるのを防止することができ、当該加工方法を機密情報として保持することができる。尚、当然のことながら、この特殊な加工工程が終了した後に、前記フィルタリング機構の透光率を基に戻すNCコードを含ませれば、当該特殊な加工工程以降については、通常通り、加工領域内の様子を外部から視認することができるようになる。
【0029】
上記第2の態様の工作機械において、前記周辺情報認識部は、当該工作機械の周辺に来訪する来訪者のスケジュールを管理する管理装置に接続され、該管理装置によって管理されるスケジュール情報を前記周辺情報として認識するスケジュール情報認識部を含み、当該スケジュール情報認識部は、認識したスケジュール情報を前記設定情報として前記制御部に送信するように構成されていても良い。
【0030】
この態様(第5の態様)の工作機械によれば、前記制御部は、前記スケジュール情報認識部により前記管理装置から取得されて送信されるスケジュール情報、即ち、例えば、当該工作機械の周辺に来訪者が何時頃訪れるかという情報に基づいて、来訪者が訪れると予定される時間帯について、前記フィルタリング機構の透光率を制限(調整)する。これにより、来訪者が加工領域内を視認できないようにすることができ、機密性の高いワークを加工している場合や、機密性の高い加工方法を実施している場合に、その機密性を守ることができる。尚、ここで言う来訪者は、何ら限定的に解釈される概念ではなく、社内の人間であるか、社外の人間であるかを問わず、広く工作機械の周辺に訪れる者を意味する。
【0031】
上記第2の態様の工作機械において、前記周辺情報認識部は、前記加工領域内に配設されて、該加工領域内の光量を検出する内部光量検出部を含み、当該内部光量検出部は、検出した光量に係る情報を前記設定情報として前記制御部に送信するように構成されていても良い。
【0032】
この態様(第6の態様)の工作機械によれば、前記制御部は、前記内部光量検出部によって検出された光量に従って、前記フィルタリング機構の透光率が設定(調整)する。例えば、加工領域内でレーザ加工を行うと、当該加工領域内の光量が増加して、これが前記内部光量検出部によって検出される、即ち、内部光量検出部によって検出される検出値が所定の閾値を超えるが、このように、加工領域内の光量が増加したときに、前記制御部は前記フィルタリング機構の透光率を制限する。これにより、レーザ加工の際に生じる有害光が外部に漏出するのを押さえることができ、当該有害光による悪影響を押さえることができる。
【0033】
或いは、高負荷切削加工等によって火花が生じる場合など、前記内部光量検出部によって検出される検出値が所定の閾値を超える場合には、加工領域内で生じた可視光の輝度が高すぎるために、却って加工領域内が視認し難くなることがある。この場合に、透光率を下げて透過する光量を下げることにより、加工領域内をより明瞭に視認することができるようになる。
【0034】
上記第6の態様の工作機械において、前記周辺情報認識部は、工作機械の外部に配設されて、外部の光量を検出する外部光量検出部を更に含み、外部光量検出部は、検出した光量に係る情報を前記設定情報として前記制御部に送信するように構成され、前記制御部は、前記内部光量検出部から受信した設定情報、及び前記外部光量検出部から受信した設定情報を基に、前記フィルタリング機構の透光率を設定するように構成されていても良い。
【0035】
この態様(第7の態様)の工作機械によれば、上記のように、前記内部光量検出部によって検出された光量に係る情報、及び前記外部光量検出部によって検出された光量に係る情報を基に、前記制御部によって前記フィルタリング機構の透光率が設定(調整)される。
【0036】
前記内部光量検出部によって検出される光量と、前記外部光量検出部によって検出される光量との差が所定の閾値を超え、外部に比べて加工領域内が明るすぎると判断される場合には、逆に、外部から加工領域内を視認し難くなるという現象を生じる。この場合に、前記フィルタリング機構の透光率を制限して加工領域内からの光の透過を制限することで、当該加工領域内を外部から視認し易くすることができる。
【0037】
また、本発明では、前記フィルタリング機構の透光率を設定するための設定情報を取得する処理と、取得した設定情報に応じて前記フィルタリング機構の透光率を設定する処理とを、コンピュータプログラムを用いて、コンピュータによって実行することができる。
【発明の効果】
【0038】
以上のように、本発明に係る工作機械によれば、制御部によってフィルタリング機構の透光率を調整することより、開口部を通した外部からの加工領域内の視認状態を調整することができる。例えば、加工領域内でレーザ加工が行われ、加工の際に有害光が生じる場合でも、前記視認状態に制限を加えて、レーザ光が外部に透過し難くすることで、有害光による悪影響を押さえることができる。或いは、加工領域内で生じた可視光の輝度が高すぎるために、却って加工領域内が視認し難くなる場合に、透光率を下げて透過する光量を下げることにより、加工領域内をより明瞭に視認することができるようになる。
【0039】
また、機密性の高いワークを加工している場合や、機密性の高い加工方法を実施している場合に、当該開口部を通した外部からの視認状態を制限することで、機密性の高いワークや加工方法について、その機密性を守ることができる。
【0040】
また、フィルタリング機構の透光率を調整することにより、当該開口部を通した外部からの視認状態を調整することができるので、遮蔽板を移動させる従来の機構のように、その操作によって振動が生じるということは無く、したがって、加工中においても、当該開口部を通した外部からの視認状態を、加工精度に悪影響を与えることなく、また、加工効率を低下させることなく調整することができる。更には、瞬時に遮蔽を実行出来る為、従来の機構と比べて、開口部の遮蔽に要する時間が短いという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一実施形態に係る工作機械の外観を示した斜視図である。
図2】本実施形態に係る窓部を示した断面図であり、図1における矢視A−A方向の断面図である。
図3】本実施形態に係る工作機械の全体構成をブロックで示したブロック図である。
図4】本実施形態の制御部における処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本例の工作機械1は具体的にはNC旋盤であり、ベッド、主軸台や刃物台等の構造物から構成される運動機構部2(図3も参照)が、カバー体3によって覆われた構成を有する。
【0043】
また、図3に示すように、本例の工作機械1は、詳しくは後述するフィルタリング機構11、周辺情報認識部21、数値制御装置30及び制御部20を備えており、周辺情報認識部21は外部に設けられたスケジュール管理装置40にも接続されている。
【0044】
図1に示すように、前記カバー体3は、主に左側の領域を覆う左側固定カバー4、主に右側の領域を覆う右側固定カバー5、主に後部側面及び後部天面を覆う後部固定カバー6、並びに左側固定カバー4と右側固定カバー5との間の開口部を覆うドアカバー7から構成され、このカバー体3によって、加工領域と外部とが仕切られている。尚、これら左側固定カバー4、右側固定カバー5、後部固定カバー6及びドアカバー7はそれぞれ不透明な金属板から構成される。
【0045】
前記ドアカバー7は矢示方向、即ち、左右方向にスライド可能に設けられており、本例では、左側にスライドすることによって、左側固定カバー4と右側固定カバー5との間の開口が開かれて加工領域と外部が連通され、逆に、右側にスライドすることによって、左側固定カバー4と右側固定カバー5との間の開口が閉じられて加工領域が外部から遮断される。尚、符号8はドアカバー7をスライドさせるための取手である。
【0046】
また、このドアカバー7には、加工領域と外部とを連通させる開口9が形成されており、この開口9に窓部10が嵌め込められて、当該開口9が閉じられている。窓部10は、略矩形状をしたフィルタリング機構11と、このフィルタリング機構11を表裏両面からそれぞれ挟み込む同じく矩形をした透明なガラス板15及びポリカーボネート板16と、この他にシール部材17及び枠体18とから構成される(図2参照)。
【0047】
シール部材17は同じく矩形をした枠状の部材からなり、一体的に組みつけられたガラス板15、フィルタリング機構11及びポリカーボネート板16からなる組立体の外周面を封止するようにこれらに接合される。また、枠体18は、断面L字状をした矩形の枠体であり、前記シール部材17の外周面及びその側面、並びにガラス板15の周縁側面を覆うようにこれらに接合されている。
【0048】
このように構成された窓部10は、そのガラス板15が加工領域側に位置するように前記ドアカバー7の開口9に嵌め込まれ、通常の状態では、この窓部10を通して加工領域内を外部から観察(視認)できるようになっている。
【0049】
前記フィルタリング機構11は、液晶を有するシート状の液晶部14と、この液晶部14を表裏両面からそれぞれ挟み込むように設けられた電極付ガラス板13a,13bと、ガラス板13a,13bのそれぞれ外側に設けられた偏光板12a,12bとから成り、これら偏光板12a、電極付ガラス板13a、液晶部14、電極付ガラス板13b及び偏光板12bが積層された構造を有する、所謂液晶パネルから構成される。
【0050】
そして、前記電極付ガラス板13a,13bには、前記制御部20による制御の下で電圧が印加されるようになっており、印加される電圧に応じて前記液晶部14における液晶の配向が調整され、これによってフィルタリング機構11の全体における透光率が変動するようになっている。本例では、印加する電圧を増大させることで、瞬時にフィルタリング機構11の透光率が増大し、所定の高い電圧を印加した状態で透明、即ち、透光率が最大となり、逆に、電圧の印加を停止することで不透明、即ち、透光率が最小となる。
【0051】
前記数値制御装置30は、前記運動機構部2の動作を制御するためのNCプログラムを記憶するプログラム記憶部31、プログラム記憶部31に格納されたNCプログラムを読み出して解析するプログラム解析部32、及びプログラム解析部32によって解析された動作指令を基に、前記運動機構部2の動作を制御する動作制御部33を備えて構成され、プログラム解析部32は、NCプログラム中に設定情報に対応したNCコードが含まれている場合には、当該NCコードを解析して得られた設定情報を前記制御部20に送信する処理を行う。
【0052】
前記周辺情報認識部21は、個人認識部22、内部光量検出センサ24、外部光量検出センサ25及びスケジュール情報認識部26を備えており、これら個人認識部22、内部光量検出センサ24、外部光量検出センサ25及びスケジュール情報認識部26から前記制御部20にそれぞれ設定情報が送信される。
【0053】
前記個人認識部22は、工作機械1を操作するオペレータを認識する処理部であり、本例では、各々のオペレータを識別するためのID(Identification)情報が格納されたディバイス23を操作盤35に差し込むことで、当該ディバイス23に格納されたID情報が前記個人認識部22により読み取られて、対応するオペレータが認識され、認識されたオペレータに係る情報、例えば、当該オペレータを特定する個人情報の他に、一般のオペレータ、当該加工ラインの責任者、当該加工場の責任者であるかの別、言い換えれば、機密情報にアクセスすることができる権限に関する情報が設定情報として前記制御部20に送信されるようになっている。
【0054】
前記内部光量検出センサ24及び外部光量検出センサ25は、それぞれ周囲の光量を検出するセンサである。内部光量検出センサ24はカバー体3によって囲まれた内部空間内に配設され、加工領域を含む前記内部空間内の光量を検出し、検出した光量に係るデータを設定情報として前記制御部20に送信する。一方、外部光量検出センサ25はカバー体3の外側に配設され、カバー体3の外側の光量を検出し、検出した光量に係るデータを設定情報として前記制御部20に送信する。
【0055】
前記スケジュール管理装置40は、来訪者に関する情報、即ち、来訪者が訪れる場所及び日時を管理する装置であり、前記スケジュール情報認識部26は、このスケジュール管理装置40から、当該工作機械1の周辺に来訪する来訪者、来訪の日付及びその時間帯に関するスケジュール情報を取得(認識)し、取得したスケジュール情報を設定情報として前記制御部20に送信する処理を行う。尚、ここで言う来訪者は、何ら限定的に解釈される概念ではなく、社内の人間であるか、社外の人間であるかを問わず、広く工作機械1の周辺に訪れる者を意味する。
【0056】
前記制御部20は、前記個人認識部22、プログラム解析部32、内部光量検出センサ24、外部光量検出センサ25及びスケジュール情報認識部26から送信される設定情報を受信し、受信した設定情報に基づいて、前記電極付ガラス板13a,13bに印加する電圧を調整して前記フィルタリング機構11の透光率を調整、即ち、制限する。
【0057】
尚、本例では、前記設定情報は、第1設定情報、第2設定情報、第3設定情報、第4設定情報及び第5設定情報に区分されており、制御部20は、各設定情報に応じた条件(電圧値)で前記フィルタリング機構11の透光率を制限する。
【0058】
具体的には、前記フィルタリング機構11の透光率は、第1設定情報に対応した第1条件、第2設定情報に対応した第2条件、第3設定情報に対応した第3条件、第4設定情報に対応した第4条件、及び第5設定情報に対応した第5条件の5段階で調整(制限)される。
【0059】
第1条件が最も透光率が悪い、即ち、透光率が最小となる条件であり、前記電極付ガラス板13a,13bに電圧を印加していない状態である。ついで第2条件、第3条件、第4条件、第5条件の順に電極付ガラス板13a,13bに印加される設定電圧が増大し、これに応じてフィルタリング機構11の透光率が増大する。そして、調整(制限)を解除して、電極付ガラス板13a,13bに所定の高い電圧を印加することでフィルタリング機構11の透光率が最大、即ち、透明となる。
【0060】
尚、本例では、前記第1設定情報は前記スケジュール情報認識部26から送信される情報が該当し、当該工作機械1の周辺に来訪者が来訪する日の予定された時間帯に、この第1設定情報がスケジュール情報認識部26から前記制御部20に送信される。また、前記第2設定情報はプログラム解析部32から送信される情報が該当し、NCプログラム中に含まれる第2設定情報に対応したNCコードが解析されたときから、設定を解除するNCコードが解析されるまで、当該プログラム解析部32から制御部20に第2設定情報が送信される。
【0061】
前記第3設定情報は内部光量検出センサ24から送信される情報が該当し、制御部20は内部光量検出センサ24から受信した検出値が所定の閾値を超えたとき、当該検出値に係るデータを第3設定情報として取得する。また、前記第4設定情報は、内部光量検出センサ24及び外部光量検出センサ25から送信され情報(検出値)が該当し、制御部20は内部光量検出センサ24から受信する検出値と、外部光量検出センサ25から受信する検出値との差分値が所定の閾値を超えたとき、当該差分値に係るデータを第4設定情報として取得する。
【0062】
また、前記第5設定情報は前記個人認識部22から送信される情報が該当し、個人認識部22から送信された人情報が観察権限の無いオペレータである場合には、制御部20は当該個人情報を第5設定情報として取得する。
【0063】
そして、制御部20は、図4に示した処理を実行する。即ち、適宜処理開始信号を受信して処理を開始し、まず、ステップS1において、第1設定情報が取得されたか否か、即ち、来訪者が予定されているか否かを判別し、第1設定情報が取得されている場合、即ち、来訪者が予定されている場合には、第1条件に従って前記フィルタリング機構11の透光率を調整する(ステップS2)。これにより、フィルタリング機構11の透光率が最小となり、来訪者は窓部10を通した加工領域内の視認が第1条件に従った透光率に応じて制限される。
【0064】
一方、ステップS1で第1設定情報が取得されていない場合には、ステップS3において、第2設定情報が取得されたか否か、即ち、プログラム解析部25から第2設定情報を受信したかどうかを判別し、第2設定情報を受信している場合には、第2条件に従って前記フィルタリング機構11の透光率を調整する(ステップS4)。これにより、制御部20が第2設定情報を取得している間、窓部10を通した外部からの加工領域内の視認が第2条件に従った透光率に応じて制限される。
【0065】
また、ステップS3で第2設定情報が取得されていない場合には、ステップS5において、第3設定情報が取得されたか否か、即ち、内部光量検出センサ24から受信する検出値が所定の閾値を超えたかどうかを判別し、第3設定情報が取得されている場合、即ち、内部光量検出センサ24の検出値が所定の閾値を超えている場合には、第3条件に従って前記フィルタリング機構11の透光率を調整する(ステップS6)。これにより、加工領域内の光量が所定の基準値を超えている間、窓部10を通した外部からの加工領域内の視認が第3条件に従った透光率に応じて制限される。
【0066】
また、ステップS5で第3設定情報が取得されていない場合には、ステップS7において、第4設定情報が取得されたか否か、即ち、内部光量検出センサ24の検出値と、外部光量検出センサ25の検出値との差分値が所定の閾値を超えたかどうかを判別し、第4設定情報が取得されている場合、即ち、前記差分値が所定の閾値を超えた場合には、第4条件に従って前記フィルタリング機構11の透光率を調整する(ステップS8)。これにより、加工領域内の光量と外部の光量との差分が所定の基準値を超えている間、窓部10を通した外部からの加工領域内の視認が第4条件に従った透光率に応じて制限される。
【0067】
また、ステップS7で第4設定情報が取得されていない場合には、ステップS9において、第5設定情報が取得されたか否か、即ち、個人認識部21から送信された個人情報が観察権限の無いオペレータであるか否かを判別し、第5設定情報が取得されている場合、即ち、観察権限の無いオペレータである場合には、第5条件に従って前記フィルタリング機構11の透光率を調整する(ステップS10)。これにより、観察権限の無いオペレータである場合には、窓部10を通した外部からの加工領域内の視認が第5条件に従った透光率に応じて制限される。
【0068】
一方、ステップS9で第5設定情報が取得されていない場合には、それまでの調整(制限)を解除する(ステップS11)。これにより、制御部20により所定の最も高い電圧がフィルタリング機構11に印加され、当該フィルタリング機構11の透光率が最大、即ち、透明となり、加工領域内の様子を、全く制限を受けていない状態で外部から視認することができる通常の状態に戻る。ついで、制御部20は、処理終了信号が入力されているか否かを確認し、処理終了信号が入力されている場合には、当該一連の処理を終了し、処理終了信号が入力されていない場合には、ステップS1〜S11の処理を繰り返して実行する(ステップS12)。
【0069】
尚、前記制御部20、周辺情報認識部21、数値制御装置30及びスケジュール管理装置40は、それぞれCPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータを備えて構成され、それぞれにおける上述した処理は、コンピュータプログラムによってその機能が実現される。或いは、前記制御部20及び周辺情報認識部21は、適宜電子回路を備えた電子ディバイスにより実現されていても良い。
【0070】
以上のように本例の工作機械1によれば、制御部20によりフィルタリング機構11の透光率が調整され、個人認識部22、プログラム解析部32、内部光量検出センサ24、外部光量検出センサ25及びスケジュール情報認識部26から、第1設定情報、第2設定情報、第3設定情報、第4設定情報及び第5設定情報が制御部20に送信されていない通常の状態では、フィルタリング機構11はその透光率が最大、即ち、透明となっており、加工領域内の様子を、全く制限を受けていない状態で外部から視認することができる状態となっている。
【0071】
そして、制御部20は、スケジュール情報認識部26から第1設定情報が取得され、外来者が当該工作機械1の近辺に来訪すると認識されたときには、第1条件に従ってフィルタリング機構11の透光率を調整して、外来者が当該工作機械1の加工領域内を視認することができないようにする。
【0072】
工場内でどのようなワークをどのように加工しているかという情報は、一般的に機密情報に属するものであり、外部者には秘密にすることが多い。また、機密性の高いワークを加工している場合や、機密性の高い加工方法を実施している場合もある。本例の工作機械1によれば、当該工作機械1の近辺に外部からの来訪者がある場合に、フィルタリング機構11の透光率を制限することで、加工中であっても瞬時に加工領域内を外部から視認することができなくすることができ、このような機密情報が外部に漏れるのを防止することができる。
【0073】
また、制御部20は、プログラム解析部32から第2設定情報が取得され、数値制御装置30が第2設定情報で特定される加工を実行していると判断される場合には、その間、第2条件に従ってフィルタリング機構11の透光率を調整し、窓部10を通した外部からの加工領域内の視認を制限する。
【0074】
工作機械1で実行される加工には、レーザ加工など、人に有害な光を発生させる加工が含まれ、また、機密性の高いワークを用いた加工や、機密性の高い加工方法が含まれる。本例の工作機械1では、このような加工工程において前記フィルタリング機構11の透光率を調整(制限)するためのNCコードをNCプログラム中に含ませる、即ち、当該NCコードを当該加工工程の前に位置するようにNCプログラム中に含ませることで、このような加工が行なわれる間、フィルタリング機構11の透光率を制限することができる。したがって、加工領域内でレーザ加工が行われる場合には、当該レーザ加工の際に生じる有害光が窓部10を通して、加工領域内から外部に漏出するのを抑制することでき、また、機密性の高いワークを加工している場合や、機密性の高い加工方法を実施している場合にも、窓部10を通した外部からの視認状態を制限することで、その機密性を守ることができる。
【0075】
また、制御部20は、内部光量検出センサ24の検出値が所定の閾値を超えている場合には、第3条件に従って、窓部10を通した外部からの加工領域内の視認を制限する。上述したように、加工領域内でレーザ加工を行うと、人に有害な光が発生するが、その際、加工領域内の光量が増加して、これが内部光量検出部24によって検出される。制御部20は、このような場合に、フィルタリング機構11の透光率を制限して、当該有害光が外部に漏出するのを抑制する。これにより、当該有害光によって悪影響が生じるのを防止することができる。
【0076】
或いは、高負荷切削加工等によって火花が生じる場合等においても、前記内部光量検出部24によって検出される検出値が所定の閾値を超えることがあり、このような場合には、加工領域内で生じた可視光の輝度が高すぎるために、却って加工領域内が視認し難くなっている。この場合に、フィルタリング機構11の透光率を下げて透過する光量を下げることにより、加工領域内をより明瞭に視認することができるようになる。
【0077】
また、制御部20は、内部光量検出センサ24の検出値と、外部光量検出センサ25の検出値との差分値が所定の閾値を超えた場合に、第4条件に従って、フィルタリング機構11を通した、外部からの加工領域内の視認を制限する。
【0078】
内部光量検出部24によって検出される光量と、外部光量検出部25によって検出される光量との差が所定の閾値を超え、外部に比べて加工領域内が明るすぎると判断される場合には、逆に、外部から加工領域内を視認し難くなるという現象を生じる。この場合に、フィルタリング機構11の透光率を制限して、加工領域内からの光の透過を制限することで、当該加工領域内を外部から視認し易くすることができる。
【0079】
また、制御部20は、個人認識部22から送信された人情報が観察権限の無いオペレータである場合には、第5条件に従ってフィルタリング機構11の透光率を制限し、窓部10を通した外部からの加工領域内の視認を制限する。当該工作機械1にアクセス可能なオペレータとして、一般的に、単純作業のみを任された一般のオペレータ、当該加工ラインの責任者、当該加工場の責任者などが想定されるが、各オペレータはその責務に応じて機密情報にアクセスすることができる権限が設定されている。本例の工作機械1によれば、機密性の高いワークを加工している場合や、機密性の高い加工方法を実施している場合に、観察権限の無いオペレータが当該工作機械1を操作している場合には、その加工内容を外部から見えないようにすることができるので、その機密性が損なわれるのを防止することができる。
【0080】
また、この工作機械1によれば、フィルタリング機構11の透光率を設定(調整)することによって、窓部10を通した外部からの視認状態を調整することができるので、遮蔽板を移動させる従来の機構のように、その操作によって振動が生じるということは無く、したがって、加工中に窓部10を通した外部からの視認状態を、加工精度に悪影響を与えることなく、また、加工効率を低下させることなく、瞬時に調整することができる。
【0081】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何ら上例のものに限定されるものではない。
【0082】
例えば、上例では、第1設定情報、第2設定情報、第3設定情報、第4設定情報、第5設定情報の順に優先順位を設定して、フィルタリング機構11の透光率を制限するようにしたが、優先順位は、これに限られるものではなく、どの設定情報について優先するかは、任意である。また、第1条件、第2条件、第3条件、第4条件、第5条件に従ったフィルタリング機構11の透光率についても、上例のものに限られるものではなく、各条件における透光率の設定は任意であり、第1条件−第5条件の各条件について、同じ透光率に設定しても良い。
【0083】
また、前記個人認識部22における個人認識に係る手法は、上例の他、IDカード,RFIDなどID情報が格納された機器を用いた認証や、この他、顔認証や指紋認証などの公知の全ての認証手法を用いることができる。
【0084】
また、上例ではフィルタリング機構11として液晶パネルを用いたが、これに限られるものではなく、その透光率を透明な状態から不透明な状態に変化させることができる物であればどのような構造のものでも良く、例えば、この他に調光ガラスなどを用いることができる。
【0085】
また、上例では、透光率の変更をフィルタリング機構11の全面に渡って行うようにしたが、これに限られるものではなく、フィルタリング機構の一部分について透光率を変更するようにしても良い。
【0086】
繰り返しになるが、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1 工作機械
2 運動機構部
3 カバー体
10 窓部
11 フィルタリング機構
12a,12b 偏光板
13a,13b 電極付ガラス板
14 液晶部
15 ガラス板
16 ポリカーボネート板
17 シール部材
18 枠体
20 制御部
21 周辺情報認識部
22 個人認識部
24 内部光量検出センサ
25 外部光量検出センサ
30 数値制御装置
31 プログラム記憶部
32 プログラム解析部
33 動作制御部
40 スケジュール管理装置
図1
図2
図3
図4