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特開2019-217639プリプレグ積層用成形型及びプリプレグ積層方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217639(P2019-217639A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】プリプレグ積層用成形型及びプリプレグ積層方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20191129BHJP
   B29C 43/36 20060101ALI20191129BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20191129BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20191129BHJP
   B29C 70/38 20060101ALI20191129BHJP
   B29C 70/46 20060101ALI20191129BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20191129BHJP
【FI】
   B29C33/38
   B29C43/36
   B29C43/34
   B29C70/16
   B29C70/38
   B29C70/46
   B29K105:08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-114466(P2018-114466)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】石田 和希
(72)【発明者】
【氏名】清水 正彦
(72)【発明者】
【氏名】武藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章仁
(72)【発明者】
【氏名】村上 賢二
(72)【発明者】
【氏名】大川原 剛
【テーマコード(参考)】
4F202
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
4F202AC03
4F202AD16
4F202AG03
4F202AR07
4F202CA27
4F202CB01
4F202CK12
4F202CK90
4F204AC03
4F204AD16
4F204AJ08
4F204AR07
4F204FA01
4F204FB01
4F204FF46
4F204FG09
4F204FQ15
4F205AC03
4F205AD16
4F205AJ08
4F205AR07
4F205HA08
4F205HA14
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HF23
4F205HK23
4F205HK31
(57)【要約】
【課題】屈曲部を有する成形型の表面にプリプレグテープを圧着する場合において、テープの貼付方向の方向ずれを減少させ、複数のテープの間に生じる隙間や複数のテープ同士の重なり合いを低減することを目的とする。
【解決手段】プリプレグ積層用成形型1は、一方向に沿って平らな面のみを有する第1面6と、一方向に沿って平らな面を有し、第1面6に対して所定のなす角度で配置された第2面7と、一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有し、一端側が第1面6と接続され、他端側が第2面7と接続された第3面8とを備え、第2面7及び第3面8において、凸状の第1屈曲部9,10が形成され、第1屈曲部9,10を境にして、一方の面7B,8Bは他方の面7A,8Aに対して傾斜しており、第3面8のうち他方の面8Bにおける円弧の径は、第1屈曲部10から一方向に沿って離れるにつれて次第に小さくなっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って平らな面のみを有する第1面と、
前記一方向に沿って平らな面を有し、前記第1面に対して所定のなす角度で配置された第2面と、
前記一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有し、一端側が前記第1面と接続され、他端側が前記第2面と接続された第3面と、
を備え、
前記第2面及び前記第3面において、凸状の第1屈曲部が形成され、前記第1屈曲部を境にして、一方の面は他方の面に対して傾斜しており、
前記第3面のうち前記他方の面における前記円弧の径は、前記第1屈曲部から前記一方向に沿って離れるにつれて次第に小さくなっているプリプレグ積層用成形型。
【請求項2】
一方向に沿って平らな面のみを有する第1面と、
前記一方向に沿って平らな面を有し、前記第1面に対して所定のなす角度で配置された第2面と、
前記一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有し、一端側が前記第1面と接続され、他端側が前記第2面と接続された第3面と、
を備え、
前記第2面及び前記第3面において、凹状の第2屈曲部が形成され、前記第2屈曲部を境にして、一方の面は他方の面に対して傾斜しており、
前記第3面のうち前記他方の面における前記円弧の径は、前記第2屈曲部から前記一方向に沿って離れるにつれて次第に大きくなっているプリプレグ積層用成形型。
【請求項3】
前記第1屈曲部又は前記第2屈曲部は、湾曲状の曲面部を有し、前記曲面部を介して前記一方の面と前記他方の面に接続されている請求項1又は2に記載のプリプレグ積層用成形型。
【請求項4】
一方向に沿って平らな面のみを有する第1面と、
前記一方向に沿って平らな面を有し、前記第1面に対して所定のなす角度で配置された第2面と、
前記一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有し、一端側が前記第1面と接続され、他端側が前記第2面と接続された第3面と、
を備え、
前記第2面及び前記第3面において、凸状又は凹状の屈曲部が形成され、前記屈曲部を境にして、一方の面は他方の面に対して傾斜しており、
前記屈曲部は、湾曲状の曲面部を有し、前記曲面部を介して前記一方の面と前記他方の面に接続されているプリプレグ積層用成形型。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のプリプレグ積層用成形型の前記第1面又は前記第2面にテープ状のプリプレグテープを貼付した後、前記プリプレグテープを前記第3面に貼付するステップと、
前記第3面に前記プリプレグテープを貼付した後、前記プリプレグテープを前記第2面又は前記第1面に貼付するステップと、
を有するプリプレグ積層方法。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のプリプレグ積層用成形型の前記曲面部と前記一方の面又は前記他方の面にテープ状のプリプレグテープを貼付しコンパクションローラによって前記プリプレグテープを圧着するステップを有するプリプレグ積層方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリプレグ積層用成形型及びプリプレグ積層方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複合材を製造する方法として、自動繊維積層装置(AFP)又は自動テープ積層装置(ATL)を用いて、成形型の上に所定の幅を有するテープ状のプリプレグテープを複数回積層する技術がある。その際、積層装置のヘッドから送り出されたテープは、コンパクションローラによって成形型上に圧着される。
【0003】
なお、下記の特許文献1では、成形型モデルに基づいて成形型を製造する技術であって、プレス成形の結果、プリプレグ積層品にしわや亀裂が生じないように成形型モデルの形状を修正することが開示されている。下記の特許文献2では、ウェブ、アッパフランジ及びロアフランジからなる航空機翼のための複合スパーに関する技術であって、ウェブ面を捩じることで、最終製品において過少又は過剰な材料部分を減らして強度低下を抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5260593号公報
【特許文献2】特許第5686286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10に示すように、複合材の成形品60が、二つの板材を所定の角度(例えば90°)で組み合わせた形状を有するとき、成形品を形成するための成形型50は、上面51と側面52を有する。図11に示すように、AFP等の積層装置によって、成形型50の上面51から側面52へ向けて(又は側面52から上面51へ向けて)プリプレグテープ61を圧着する場合、側面52と上面51の両方において長さ方向で屈曲部がない部分については、ギャップ(隙間)やラップ(重なり)を生じさせることなく、複数のテープ61を圧着していくことが可能である。図11に示す例では、面52A,52Cにおいて複数のテープ61が鉛直方向に対して平行に貼付されている。
【0006】
一方、複合材の成形品において長さ方向に沿って板厚を変更する部分を設ける場合や、長さ方向に沿って段差部を設ける場合など(図10の板厚t1,t2)、成形型の表面(側面)に屈曲部が形成されることがある。図10及び図11に示す成形型50は、屈曲部53,54が形成されている。成形型50は、屈曲部53,54を境にして一側の面52A,52Cは、他側の面52Bに対して傾斜している。この場合、積層装置によって、成形型50の上面51から側面52へ向けて(又は側面52から上面51へ向けて)プリプレグテープ61を圧着する場合、図11に示すように、テープ61の貼付方向が傾斜することによって、方向ずれが生じる。その結果、複数のテープ61の間に隙間が生じたり、複数のテープ61同士が重なり合ったりする。
【0007】
その結果、均一にプリプレグが積層された場合に比べて、成形品の強度が低下したり、成形品の表面に凹凸が生じたりする。また、積層テープの送り出し方向をステアリングさせたり、発生した隙間に積層テープを継ぎ足すことでテープ間に発生する隙間や重なりを小さくする方法がある。しかし、この方法は、積層装置のヘッドから送り出されるテープの幅を狭くしたり、送り出すテープの本数を減らしたりする必要があり、同時に圧着できるテープ幅や本数が減少するため、圧着工程の繰り返しが増える。したがって、積層にかかる時間が長時間化するという問題がある。
【0008】
また、図12及び図13に示すように、成形型50の表面に屈曲部53,54が形成されている場合、屈曲部53,54において、コンパクションローラ70と成形型50の間に開きが生じ、コンパクションローラ70によるテープの圧着が不十分になりやすい。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、屈曲部を有する成形型の表面にプリプレグテープを圧着する場合において、テープの貼付方向の方向ずれを減少させ、複数のテープの間に生じる隙間や複数のテープ同士の重なり合いを低減することが可能なプリプレグ積層用成形型及びプリプレグ積層方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のプリプレグ積層用成形型及びプリプレグ積層方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の第1態様に係るプリプレグ積層用成形型は、一方向に沿って平らな面のみを有する第1面と、前記一方向に沿って平らな面を有し、前記第1面に対して所定のなす角度で配置された第2面と、前記一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有し、一端側が前記第1面と接続され、他端側が前記第2面と接続された第3面とを備え、前記第2面及び前記第3面において、凸状の第1屈曲部が形成され、前記第1屈曲部を境にして、一方の面は他方の面に対して傾斜しており、前記第3面のうち前記他方の面における前記円弧の径は、前記第1屈曲部から前記一方向に沿って離れるにつれて次第に小さくなっている。
【0011】
この構成によれば、第3面は、一端側が一方向に沿って平らな面のみを有する第1面と接続され、他端側が一方向に沿って平らな面を有する第2面と接続されている。また、第3面は、一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧であり、第2面及び第3面において、凸状の第1屈曲部が形成され、第1屈曲部を境にして、一方の面は他方の面に対して傾斜している。第3面のうち他方の面における円弧の径は、第1屈曲部から一方向に沿って離れるにつれて次第に小さくなっている。その結果、積層装置によって、成形型の第1面から第2面へ向けて(又は第2面から第1面へ向けて)プリプレグテープを圧着する場合、第2面においてテープの貼付方向が鉛直方向に対して斜めになりにくくなる。そのため、複数のテープ同士の重なり合い(ラップ)が低減する。
【0012】
本発明の第2態様に係るプリプレグ積層用成形型は、一方向に沿って平らな面のみを有する第1面と、前記一方向に沿って平らな面を有し、前記第1面に対して所定のなす角度で配置された第2面と、前記一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有し、一端側が前記第1面と接続され、他端側が前記第2面と接続された第3面とを備え、前記第2面及び前記第3面において、凹状の第2屈曲部が形成され、前記第2屈曲部を境にして、一方の面は他方の面に対して傾斜しており、前記第3面のうち前記他方の面における前記円弧の径は、前記第2屈曲部から前記一方向に沿って離れるにつれて次第に大きくなっている。
【0013】
この構成によれば、第3面は、一端側が一方向に沿って平らな面のみを有する第1面と接続され、他端側が一方向に沿って平らな面を有する第2面と接続されている。また、第3面は、一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有し、第2面及び第3面において、凹状の第2屈曲部が形成され、第2屈曲部を境にして、一方の面は他方の面に対して傾斜している。第3面のうち他方の面における円弧の径は、第2屈曲部から一方向に沿って離れるにつれて次第に大きくなっている。その結果、積層装置によって、成形型の第1面から第2面へ向けて(又は第2面から第1面へ向けて)プリプレグテープを圧着する場合、第2面においてテープの貼付方向が鉛直方向に対して斜めになりにくくなる。そのため、複数のテープの間に生じる隙間(ギャップ)が低減する。
【0014】
上記第1及び第2態様において、前記第1屈曲部又は前記第2屈曲部は、湾曲状の曲面部を有し、前記曲面部を介して前記一方の面と前記他方の面に接続されてもよい。
【0015】
この構成によれば、コンパクションローラによってプリプレグテープを圧着していく場合、ローラの当たり面が弾性変形し、当たり面が屈曲部を間に挟んで両側の平坦部に接触するため、テープをより圧着させることができる。
【0016】
本発明の第3態様に係るプリプレグ積層用成形型は、一方向に沿って平らな面のみを有する第1面と、前記一方向に沿って平らな面を有し、前記第1面に対して所定のなす角度で配置された第2面と、前記一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有し、一端側が前記第1面と接続され、他端側が前記第2面と接続された第3面とを備え、前記第2面及び前記第3面において、凸状又は凹状の屈曲部が形成され、前記屈曲部を境にして、一方の面は他方の面に対して傾斜しており、前記屈曲部は、湾曲状の曲面部を有し、前記曲面部を介して前記一方の面と前記他方の面に接続されている。
【0017】
この構成によれば、第3面は、一端側が一方向に沿って平らな面のみを有する第1面と接続され、他端側が一方向に沿って平らな面を有する第2面と接続されている。また、第3面は、一方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有し、第2面及び第3面において、凸状又は凹状の屈曲部が形成され、屈曲部を境にして、一方の面は他方の面に対して傾斜している。
【0018】
本発明の第4態様に係るプリプレグ積層方法は、上述したプリプレグ積層用成形型の前記第1面又は前記第2面にテープ状のプリプレグテープを貼付した後、前記プリプレグテープを前記第3面に貼付するステップと、前記第3面に前記プリプレグテープを貼付した後、前記プリプレグテープを前記第2面又は前記第1面に貼付するステップとを有する。
【0019】
本発明の第5態様に係るプリプレグ積層方法は、上述したプリプレグ積層用成形型の前記曲面部と前記一方の面又は前記他方の面にテープ状のプリプレグテープを貼付しコンパクションローラによって前記プリプレグテープを圧着するステップを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、屈曲部を有する成形型の表面にプリプレグテープを圧着する場合において、テープの貼付方向の方向ずれを減少させ、複数のテープの間に生じる隙間や複数のテープ同士の重なり合いを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係るプリプレグ積層用成形型を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るプリプレグ積層用成形型を示す斜視図であり、表面にプリプレグテープが圧着されている状態を示す。
図3】本発明の第2実施形態に係るプリプレグ積層用成形型を示す斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態に係るプリプレグ積層用成形型を示す斜視図であり、表面にプリプレグテープが圧着されている状態を示す。
図5】本発明の第3実施形態に係るプリプレグ積層用成形型を示す斜視図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るプリプレグ積層用成形型を示す斜視図であり、表面にプリプレグテープが圧着されている状態を示す。
図7】本発明の第4実施形態に係るプリプレグ積層用成形型の第1実施例を示す斜視図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るプリプレグ積層用成形型の第2実施例を示す斜視図である。
図9】本発明の第4実施形態に係るプリプレグ積層用成形型の第2実施例を示す平面図である。
図10】従来のプリプレグ積層用成形型を示す斜視図である。
図11】従来のプリプレグ積層用成形型を示す斜視図であり、表面にプリプレグテープが圧着されている状態を示す。
図12】従来のプリプレグ積層用成形型を示す斜視図である。
図13】従来のプリプレグ積層用成形型を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るプリプレグ積層用成形型1について、図1及び図2を用いて説明する。
本実施形態に係るプリプレグ積層用成形型1(以下「成形型1」という。)は、自動繊維積層装置(AFP)又は自動テープ積層装置(ATL)等の積層装置によって、プリプレグを積層する場合に用いられる。AFP等の積層装置は、所定の幅を有するテープ状のプリプレグ(以下「プリプレグテープ」という。)61を積層用成形型の表面に送り出す。このとき、プリプレグテープ61は、成形型1の表面において、一方向に連続的に貼付される。複数層に積層されたプリプレグは、硬化されて成形品として形成される。
【0023】
複合材の成形品が、二つの板材を所定の角度(例えば90°)で組み合わせた形状を有するとき(例えば断面の一部がL字形状を有するとき)、成形品を形成するための成形型1は、第1面6と第2面7を有する。このような成形型1に対してプリプレグテープ61を貼付する場合、図2に示すように、成形型1の第1面6から第2面7へ向けて(又は第2面7から第1面6へ向けて)プリプレグテープ61が貼付される。また、積層装置から送り出されたプリプレグテープ61は、コンパクションローラによって圧着されながら貼付される。プリプレグテープ61は、成形型1の長さ方向に沿って複数枚が並んで配置される。
【0024】
成形型1は、長さ方向に沿って平らな面のみを有する第1面6と、長さ方向に沿って平らな面を有し、第1面6に対して所定のなす角度で配置された第2面7と、第1面6と第2面7の間に形成される第3面8を備える。ここで、成形型1によって形成される成形品は、一方向に長い長尺材である。また、第1面6が上方向に向けて配置され、かつ、第2面7が横方向に向けて配置される場合、第1面6は上面となり、第2面7は側面となる。
【0025】
第3面8は、フィレット面であり、長さ方向に対して垂直方向に切断した表面の断面形状が円弧を有する湾曲面である。第3面8は、一端側が第1面6と連続的に接続され、他端側が第2面7と連続的に接続されている。なお、第3面8の断面形状である円弧は、真円の一部でもよいし、楕円の一部でもよい。
【0026】
第1面6が長さ方向に沿って平らな面のみを有する長さ方向の範囲において、第2面7と第3面8には、凸状の第1屈曲部9,10がそれぞれ形成される。第2面7と第3面8は、凸状の第1屈曲部9,10を境にして、一方の面7B又は面8Bが他方の面7A又は面8Aに対して傾斜している。例えば、一方の面7B又は面8Bが他方の面7A又は面8Aに対してなす角は、180°よりも大きく270°よりも小さい。
【0027】
第1屈曲部9は、面7Aと面7Bが合わさった部分であり、直線状である。第1屈曲部10は、面8Aと面8Bが合わさった部分であり、曲線状である。
【0028】
第3面8のうち面8Bにおける断面形状の円弧の径は、凸状の第1屈曲部10から長さ方向に沿って離れるにつれて次第に小さくなっている。図2に示すように、積層装置によって、成形型1の第1面6から第2面7へ向けて(又は第2面7から第1面6へ向けて)プリプレグテープ61を圧着する場合、第3面8の面8Bにおいて貼付されるテープ61の側端部の長さは、第1屈曲部10に近い側よりも第1屈曲部10から離れた側が短い。そのため、図10に示すように、フィレット面55のうち面55Bにおける断面形状の円弧を長さ方向に沿って同一径としたときと比べて、図2に示すように、第2面7のうち面7A,7Bにおいてテープ61の貼付方向が鉛直方向に対して斜めになりにくくなる。そのため、方向ずれが減少し、複数のテープ61同士の重なり合い(ラップ)が低減する。
【0029】
以上、本実施形態によれば、複数のテープ61同士の重なり合い(ラップ)が低減するため、プリプレグが積層された後、積層厚さのムラが低減する。その結果、硬化された成形品の強度が低下しにくくなり、かつ、成形品の表面に生じる凹凸が減少する。また、図10に示すようなテープ61の方向ずれが大きくなる成形型50を用いる場合と異なり、積層装置のヘッドから送り出されるテープ61の幅を狭くしたり、送り出すテープ61の本数を減らしたりする必要がない。そのため、同時に圧着できるテープ61の幅や本数を減少させずに済むため、圧着工程の繰り返しが増えず、積層にかかる時間の長時間化を防止できる。
【0030】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係るプリプレグ積層用成形型2について、図3及び図4を用いて説明する。なお、第1実施形態と重複する構成については、詳細な説明を省略する。
【0031】
本実施形態に係るプリプレグ積層用成形型2(以下「成形型2」という。)は、第1実施形態の成形型1と同様に、複合材の成形品が、二つの板材を所定の角度(例えば90°)で組み合わせた形状を有するとき(例えば断面の一部がL字形状を有するとき)に用いられ、成形品を形成するための成形型2は、第1面6と第2面7と第3面8を有する。
【0032】
第1面6が長さ方向に沿って平らな面のみを有する長さ方向の範囲において、第2面7と第3面8には、凹状の第2屈曲部11,12が形成される。第2面7と第3面8は、凹状の第2屈曲部11,12を境にして、一方の面7B又は面8Bが他方の面7C又は面8Cに対して傾斜している。例えば、一方の面7B又は面8Bが他方の面7C又は面8Cに対してなす角は、90°よりも大きく180°よりも小さい。
【0033】
第2屈曲部11は、面7Bと面7Cが合わさった部分であり、直線状である。第2屈曲部12は、面8Bと面8Cが合わさった部分であり、曲線状である。
【0034】
第3面8のうち面8Bにおける断面形状の円弧の径は、凹状の第2屈曲部12から長さ方向に沿って離れるにつれて次第に大きくなっている。図4に示すように、積層装置によって、成形型2の第1面6から第2面7へ向けて(又は第2面7から第1面6へ向けて)プリプレグテープ61を圧着する場合、第3面8の面8Bにおいて貼付されるテープ61の側端部の長さは、第2屈曲部12に近い側よりも第2屈曲部12から離れた側が長い。そのため、図10に示すように、フィレット面55のうち面55Bにおける断面形状の円弧を長さ方向に沿って同一径としたときと比べて、図4に示すように、第2面7のうち面7Bにおいてテープ61の貼付方向が鉛直方向に対して斜めになりにくくなる。そのため、方向ずれが減少し、複数のテープ61の間に生じる隙間(ギャップ)が低減する。
【0035】
以上、本実施形態によれば、複数のテープ61の間に生じる隙間(ギャップ)が低減するため、プリプレグが積層された後、硬化された成形品の強度が低下しにくくなり、成形品の表面に生じる凹凸が減少する。また、テープ61の方向ずれが大きくなる成形型50を用いる場合と異なり、積層装置のヘッドから送り出されるテープ61の幅を狭くしたり、送り出すテープ61の本数を減らしたりする必要がない。そのため、同時に圧着できるテープ61の幅や本数を減少させずに済むため、圧着工程の繰り返しが増えず、積層にかかる時間の長時間化を防止できる。
【0036】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係るプリプレグ積層用成形型3について、図5及び図6を用いて説明する。なお、第1及び第2実施形態と重複する構成については、詳細な説明を省略する。
【0037】
本実施形態に係るプリプレグ積層用成形型3(以下「成形型3」という。)は、第1及び第2実施形態の成形型1,2と同様に、複合材の成形品が、二つの板材を所定の角度(例えば90°)で組み合わせた形状を有するとき(例えば断面の一部がL字形状を有するとき)に用いられ、成形品を形成するための成形型3は、第1面6と第2面7と第3面8を有する。
【0038】
上述した第1及び第2実施形態に係る成形型1,2では、第2面7と第3面8において、凸状の第1屈曲部9,10と凸状の第2屈曲部11,12のいずれか一方が形成される場合について説明したが、本実施形態では、一つの成形型3に凸状の第1屈曲部9,10と凸状の第2屈曲部11,12の両方が形成される。
【0039】
本実施形態に係る成形型3では、第1面6が長さ方向に沿って平らな面のみを有する長さ方向の範囲において、第2面7と第3面8には、凸状の第1屈曲部9,10がそれぞれ形成され、また、凹状の第2屈曲部11,12が形成される。このような第1屈曲部9,10及び第2屈曲部11,12を有する成形型3にプリプレグを積層して、かつ、積層されたプリプレグの外表面を長さ方向に沿って面一にした場合、成形品の外表面は平坦であり、第2面7に対応して形成される成形品の側面の板厚が長さ方向に沿って次第に変化する(厚く又は薄くなる)。また、第1屈曲部9,10及び第2屈曲部11,12を有する成形型3にプリプレグを積層して、かつ、積層されたプリプレグの外表面を長さ方向に沿って板厚を一定にした場合、成形品の外表面には段差部が形成される。
【0040】
第3面8のうち面8Bにおける断面形状の円弧の径は、凸状の第1屈曲部10から長さ方向に沿って離れるにつれて次第に小さくなり、凹状の第2屈曲部12から長さ方向に沿って離れるにつれて次第に大きくなっている。図6に示すように、積層装置によって、成形型3の第1面6から第2面7へ向けて(又は第2面7から第1面6へ向けて)プリプレグテープ61を圧着する場合、第3面8の面8Bにおいて貼付されるテープ61の側端部の長さは、第1屈曲部10に近い側よりも第1屈曲部10から離れた側が短く、第3面8の面8Bにおいて貼付されるテープ61の側端部の長さは、第2屈曲部12に近い側よりも第2屈曲部12から離れた側が長い。一方、図10に示すように、フィレット面55のうち面55Bにおける断面形状の円弧を長さ方向に沿って同一径としたとき、フィレット面55の面55Bにおいて貼付されるテープ61の側端部の長さは、第1屈曲部10に近い側と第1屈曲部10から離れた側とはほぼ等しい。そのため、側面52ではテープ61の貼付方向のずれが大きい。
【0041】
これに対し、本実施形態では、図10に示すように、フィレット面55のうち面55Bにおける断面形状の円弧を長さ方向に沿って同一径としたときと比べて、図6に示すように、第2面7のうち面7A,7Bにおいてテープ61の貼付方向が鉛直方向に対して斜めになりにくくなる。そのため、方向ずれが減少し、複数のテープ61同士の重なり合い(ラップ)が低減し、かつ、複数のテープ61の間に生じる隙間(ギャップ)が低減する。
【0042】
以上、本実施形態によれば、複数のテープ61同士の重なり合い(ラップ)が低減し、かつ、複数のテープ61の間に生じる隙間(ギャップ)が低減するため、プリプレグが積層された後、積層厚さのムラが低減する。その結果、硬化された成形品の強度が低下しにくくなり、かつ、成形品の表面に生じる凹凸が減少する。また、テープ61の方向ずれが大きくなる成形型50を用いる場合と異なり、積層装置のヘッドから送り出されるテープ61の幅を狭くしたり、送り出すテープ61の本数を減らしたりする必要がない。そのため、同時に圧着できるテープ61を減少させずに済むため、圧着工程の繰り返しが増えず、積層にかかる時間の長時間化を防止できる。
【0043】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態に係るプリプレグ積層用成形型4,5について、図7図9を用いて説明する。
上述した第1〜第3実施形態では、第1屈曲部9又は第2屈曲部11は、両者が平坦な面7Aと面7B、又は、両者が平坦な面7Bと7Cが合わさった部分であり、凸部の頂部又は凹部の底部において稜線状又は谷状に直線が形成されている。また、第1〜第3実施形態では、第1屈曲部10又は第2屈曲部12は、両者が湾曲状の面8Aと面8B、又は、両者が湾曲状の面8Bと面8Cが合わさった部分であり、凸部の頂部又は凹部の底部において稜線状又は谷状に曲線が形成されている。
【0044】
これに対し、本実施形態では、図7図9に示すように、第1屈曲部9又は第2屈曲部11において、凸部の頂部又は凹部の底部において直線が形成されないように、凸状又は凹状の曲面部13,15が形成されている。また、第1屈曲部10又は第2屈曲部12において、凸部の頂部又は凹部の底部において曲線が形成されないように、凸状又は凹状の曲面部14,16が形成されている。
【0045】
第1屈曲部9,10は、凸状の曲面部13,14を介して、一方の面7A又は8Aと他方の面7B又は8Bに接続される。また、第2屈曲部11,12は、凹状の曲面部15,16を介して、一方の面7C又は8Cと他方の面7B又は面8Bに接続される。
【0046】
凸状の曲面部13,14又は凹状の曲面部15,16は、フィレット面であり、長さ方向に対して平行方向に切断した表面の断面形状が円弧を有する湾曲面である。凸状の曲面部13,14を介して、一方の面7A又は8Aと他方の面7B又は8Bが滑らかに接続される。また、凹状の曲面部15,16を介して、一方の面7C又は面8Cと他方の面7B又は面8Bが滑らかに接続される。凸状の曲面部13,14又は凹状の曲面部15,16の断面形状である円弧は、真円の一部でもよいし、楕円の一部でもよい。
【0047】
第1〜第3実施形態のように、成形型1の表面において、第1屈曲部9,10の頂部又は第2屈曲部11,12の底部が直線状又は曲線状に形成されている場合、第1屈曲部9,10の両側又は第2屈曲部11,12の両側においてコンパクションローラ70の当たり面と成形型1の表面とが接触しづらい。その結果、コンパクションローラ70によるテープ61の圧着が不十分になりやすい。
【0048】
一方、本実施形態によれば、第1屈曲部9,10の一方の面7A,8Aと曲面部13,14の接平面のなす角は、曲面部13,14が設けられない場合における第1屈曲部9,10の一方の面7A,8Aと他方の面7B,7Cのなす角よりも小さい。第1屈曲部9,10の他方の面7B,8Bと曲面部13,14の接平面のなす角の関係、第2屈曲部11,12の一方の面7C,8C又は他方の面7B,8Bと曲面部15,16の接平面のなす角についても同様である。また、凸状の曲面部13,14又は凹状の曲面部15,16の接線の方向が長さ方向に沿って次第に変化する。以上より、第1屈曲部9,10の両側又は第2屈曲部11,12の両側においてコンパクションローラ70の当たり面と成形型1の表面とが接触しやすい。したがって、第1屈曲部9,10の両側又は第2屈曲部11,12の両側においてコンパクションローラ70によるテープ61の圧着をより確実に行うことができる。
【符号の説明】
【0049】
1,2,3,4,5 :プリプレグ積層用成形型
6 :第1面
7 :第2面
8 :第3面
9,10 :第1屈曲部
11,12 :第2屈曲部
13,14,15,16 :曲面部
50 :成形型
51 :上面
52 :側面
53,54 :屈曲部
55 :フィレット面
60 :成形品
61 :プリプレグテープ
70 :コンパクションローラ
図1
図2
図3
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