【実施例】
【0079】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0080】
実施例1から実施例9で用いられるインク層用塗布液の配合比率については、表1にまとめて示している。
【0081】
【表1】
【0082】
以下に、各実施例を説明する。
【0083】
〔実施例1]
基材として厚み4.5μmのポリエステルフィルムを用い、先ず、基材の他方の面に下記組成からなるバックコート層用塗布液を用いて、乾燥後の膜厚が1.3μmとなるようにバックコート層を形成した。
【0084】
<バックコート層用塗布液>
アクリルポリオール樹脂 15.0部
ステアリン酸亜鉛 1.5部
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル 1.5部
タルク 1.0部
2,6−トリレンジイソシアネート 5.0部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 6.0部
【0085】
次に、基材の一方の面に、グラビアコート法により、下記組成のインク層用塗布液1を用いて、乾燥後の膜厚が0.8μmとなるようにインク層を形成して昇華性熱転写記録媒体を得た。
【0086】
<インク層用塗布液1>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.38部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.79部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.11部
メチルエチルケトン 34.93部
トルエン 52.40部
シクロヘキサノン 4.60部
【0087】
〔実施例2〕
下記組成のインク層用塗布液2を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0088】
<インク層用塗布液2>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 3.06部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.53部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.31部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.06部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.09部
メチルエチルケトン 34.94部
トルエン 52.41部
シクロヘキサノン 0.09部
【0089】
〔実施例3〕
下記組成のインク層用塗布液3を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0090】
<インク層用塗布液3>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 0.97部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 4.86部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.19部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.95部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.06部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0091】
〔実施例4〕
下記組成のインク層用塗布液4を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0092】
<インク層用塗布液4>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.59部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.59部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 1.59部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.19部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.09部
メチルエチルケトン 34.94部
トルエン 52.41部
シクロヘキサノン 4.60部
【0093】
〔実施例5〕
下記組成のインク層用塗布液5を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0094】
<インク層用塗布液5>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.89部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.38部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.79部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.11部
メチルエチルケトン 34.93部
トルエン 52.40部
シクロヘキサノン 4.60部
【0095】
〔実施例6〕
下記組成のインク層用塗布液7を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0096】
<インク層用塗布液6>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.38部
エスレックKS−1(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.79部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.11部
メチルエチルケトン 34.93部
トルエン 52.40部
シクロヘキサノン 4.60部
【0097】
〔実施例7〕
下記組成のインク層用塗布液8を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0098】
<インク層用塗布液7>
FS Red 1367 (アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8380(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.89部
Plast Red 8385-N(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.38部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 3.79部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.11部
メチルエチルケトン 34.93部
トルエン 52.40部
シクロヘキサノン 4.60部
【0099】
〔実施例8〕
下記組成のインク層用塗布液9を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0100】
<インク層用塗布液8>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.60部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
比較例1から比較例10で用いられるインク層用塗布液の配合比率については、表2にまとめて示している。
【0101】
【表2】
【0102】
以下に、比較例1〜比較例10の説明をする。
【0103】
〔比較例1〕
下記組成のインク層用塗布液9を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0104】
<インク層用塗布液9>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.60部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックBL−7(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0105】
〔比較例2〕
下記組成のインク層用塗布液10を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0106】
<インク層用塗布液10>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.63部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.97部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.79部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0107】
〔比較例3〕
下記組成のインク層用塗布液11を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0108】
<インク層用塗布液11>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 0.84部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 4.47部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.89部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.77部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0109】
〔比較例4〕
下記組成のインク層用塗布液12を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0110】
<インク層用塗布液12>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.58部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 4.02部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.79部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.80部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0111】
〔比較例5〕
下記組成のインク層用塗布液14を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0112】
<インク層用塗布液13>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 2.68部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 1.29部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 1.34部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 2.66部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.08部
メチルエチルケトン 34.94部
トルエン 52.41部
シクロヘキサノン 4.60部
【0113】
〔比較例6〕
下記組成のインク層用塗布液14を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0114】
<インク層用塗布液14>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.59部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.98部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.82部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0115】
〔比較例7〕
下記組成のインク層用塗布液15を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0116】
<インク層用塗布液15>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.74部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 4.35部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.15部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.74部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0117】
〔比較例8〕
下記組成のインク層用塗布液16を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0118】
<インク層用塗布液16>
Oil Red 5302(アゾ系:有本化学工業(株)製) 1.60部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0119】
〔比較例9〕
下記組成のインク層用塗布液17を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0120】
<インク層用塗布液17>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.60部
Plast Red 8340(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8350(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0121】
〔比較例10〕
下記組成のインク層用塗布液18を用いた以外は、実施例1と同様にして、昇華性熱転写記録媒体を作製した。
【0122】
<インク層用塗布液18>
HSR 2150(アゾ系:三菱化学(株)製) 1.60部
Plast Red 8320(アントラキノン系A:有本化学工業(株)製) 3.99部
Plast Red 8360(アントラキノン系B:有本化学工業(株)製) 0.80部
エスレックKS−5Z(バインダ樹脂:積水化学工業(株)製) 1.60部
EFKA3031(シリコーンオイル:BASF社製) 0.05部
メチルエチルケトン 34.95部
トルエン 52.42部
シクロヘキサノン 4.60部
【0123】
〔評価方法〕
実施例1〜実施例9および比較例1〜比較例10で得られた昇華性熱転写記録媒体について、下記の方法で作製した被転写体(熱転写受像シート)を用いて、評価用サーマルプリンタにて印画し、その時の各昇華性熱転写記録媒体による地汚れの有無、発色濃度、印画時の搬送性について評価を実施した。
【0124】
〔熱転写受像シートの作製〕
被転写体基材として、100μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の染料受容層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が、8.0g/m2となるように、コーティングして染料受容層を設けた。
【0125】
また、更に、染料受容層を設けた被転写体基材の他方の面に、下記組成の粘着層用塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が10,0g/m2となるようにコーティングして粘着層を設け、この粘着層側に、離型シートとして、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを、ドライラミネート法を用いて、貼り合わせることにより、熱転写受像シートを作製した。
【0126】
<染料受容層用塗布液>
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
【0127】
<粘着層用塗布液>
アクリル共重合体 49.0部
エポキシ樹脂 0.5部
酢酸エチル 51.5部
【0128】
〔地汚れ評価〕
得られた昇華性熱転写記録媒体につき、評価用サーマルプリンタを用い、23℃、80%RHの環境下で白ベタ画像(印画工程は実施するが、所謂画像を形成しない部分)を印画し、白色度の評価を実施した。
【0129】
◎: 白色度93%以上である。
○: 白色度90%以上である。
×: 白色度90%未満である。
なお、○以上であれば、実運用上問題ないレベルである。
【0130】
〔発色濃度評価〕
得られた昇華性熱転写記録媒体につき、評価用サーマルプリンタを用い、23℃、80%RHの環境下で、255階調画像を印画し、測色評価を実施した。
【0131】
◎: 反射濃度2.10以上である。
○: 反射濃度1.90以上である。
×: 反射濃度1.90未満である。
なお、○以上であれば、実運用上問題ないレベルである。
【0132】
〔印画時の搬送性評価〕
得られた昇華性熱転写記録媒体につき、評価用サーマルプリンタを用い、23℃、80%RHの環境下で実画像と、搬送性に対して強制的に不具合を発生させる可能性の高い強制発生画像を用いて印画を行い、目視評価を実施した。
【0133】
◎: いずれの画像においても、シワ、ジャミングは発生しない。
○: シワが、強制発生画像では発生し、実画像では発生せず、ジャミングはいずれ
の画像でも発生しない。
×: 実画像、強制発生画像共に、ジャミングが発生し、印画工程が止まる。
なお、○以上であれば、実運用上問題ないレベルである。
【0134】
実施例1〜実施例9ならびに比較例1〜比較例10で作製した各昇華性熱転写記録媒体について、上述の評価を実施した結果を、表3に示す。
【0135】
【表3】
【0136】
表3に示す結果より、印画時の搬送性に対しては、バインダ樹脂のアセタール化度が大きく関与していると思われる。
【0137】
すなわち、アセタール化度の高いバインダ樹脂(88%)を用いた実施例7、実施例8ならびに比較例2〜比較例10では印画時の搬送性は良好な結果を示しているが、アセタール化度が77%である実施例1〜実施例6では、実運用上問題となるレベルではないものの、強制発生画像ではシワの発生が認められており、アセタール化度が66%の比較例1では、ジャミングが発生し、印画工程が停止している。
【0138】
これは、アセタール化度の低い樹脂では、分子構造中に水酸基が多く残っていると考えられ、テスト実施環境である23℃、80%RHという高い湿度環境下では、湿度の影響を受け易くなることが原因と思われる。
【0139】
また、比較例1の結果から、アセタール化度が70%未満のバインダ樹脂を用いた場合には、地汚れが発生しており、実施例7、実施例8の結果より、アセタール化度が80%以上の場合には、地汚れが殆ど発生していないことが判る。
【0140】
これは、先に述べたように、アセタール化度の高いバインダ樹脂を用いる程、染料との相溶性が増し、染料のブリードや析出を抑制することができるためと思われる。
【0141】
実施例5、実施例8、比較例2、比較例3の結果より、アゾ系染料の添加量は、バインダ樹脂のアセタール成分に対するmol比率で、117以上234以下の範囲が好ましいことが判る。
【0142】
すなわち、比較例2より、234より多い場合には、地汚れが発生し、比較例3より、117未満の場合には、十分な発色濃度が得られないことが判る。
【0143】
また、実施例8、比較例4、比較例5の結果より、アントラキノン系A染料の添加量は、バインダ樹脂のアセタール成分に対するmol比率で、114以上570以下の範囲が好ましいことが判る。
【0144】
すなわち、比較例4より、570よりも多い場合には、地汚れが発生し、比較例5より、114未満の場合には、十分な発色濃度が得られないことが判る。
【0145】
また、実施例6、実施例8、比較例6、比較例7の結果から、アントラキノン系B染料の添加量は、バインダ樹脂のアセタール成分に対するmol比率で、29以上145以下の範囲であることが判る。
【0146】
すなわち、比較例6より、145よりも多い場合には、地汚れが発生し、比較例7より、29未満の場合には、十分な発色濃度が得られないことが判る。
【0147】
さらに、比較例8〜比較例10より、有機溶剤に対する溶解性が2.0%未満である染料を用いた場合には、十分な発色濃度も得られず、地汚れも発生してしまうことが判る。
【0148】
以上の結果より、本発明の昇華性熱転写記録媒体を用いることにより、印画時の搬送性も良好で、印画画像においても高い発色濃度(階調)を有し、地汚れを抑制することができるということが判った。