【解決手段】容器(2)を成形するための成形ユニットであって、この成形ユニットは、容器(2)の一部のかたどり部を有する空洞(7)を画定する側壁(6)を備えた金型(5)と、インサート(12)であって、容器(2)の局所部分のかたどり部を与える前面(13)を有し、引込み位置と配備位置との間で移動可能であり、このインサート(12)がダクト(52)によって貫通されている、インサート(12)と、インサート(12)が装着され、その引込み位置と配備位置との間のインサートの可動性を保証するピストン(17)と、インサート(12)をピストン(17)に取り付けるための少なくとも1本のネジ(31)と、を備える。
インサート(12)を取り付けるためのネジ(31)は、ネジを貫通して流体回路(51)の第1部分(51A)を形成する中央穴によって貫通されていることを特徴とする、請求項1に記載の成形ユニット(1)。
ピストン(17)には、少なくとも1つの突出した注入器(30)が設けられ、その注入器にインサート(12)がネジ(31)で取り付けられ、この注入器(30)は中空であり、流体回路(51)の第2部分(51B)を形成する中央ウェル(32)を備えていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の成形ユニット(1)。
成形ユニットが、ピストン(17)を案内するための少なくとも1つの固定ロッド(55)を含み、ピストン(17)はその上でスライドするように装着されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の成形ユニット(1)。
流体回路(51)が、ガイドロッド(55)内に作られ第2部分(51B)に連通する第3部分(51C)を備える、ことを特徴とする、請求項4に記載の成形ユニット(1)。
流体回路(51)の第3部分(51C)が、ガイドロッド(55)に作製された中央穴(56)と、一方では一次チャンバ(23A)に、他方では中央穴(56)に開口する放射状穴(57)とを含むことを特徴とする、請求項5に記載の成形ユニット(1)。
ガイドロッド(55)が注入器(30)にはめ込まれ、ガイドロッドの中央穴(56)が注入器の中央ウェル(32)に開口することを特徴とする、組合せられた請求項3及び6に記載の成形ユニット(1)。
ガイドロッド(55)が、凹部(15)にはめ込まれた接続スリーブ(14)に装着され、このスリーブには、ピストン(17)が並進するように装着されており、ピストン(17)が一次チャンバ(23A)を画定することを特徴とする、請求項4〜7のいずれか一項に記載の成形ユニット(1)。
ダクト(52)が、インサート(12)の後面(35)に開口し、ピストン(17)の側面で循環することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の成形ユニット(1)。
【背景技術】
【0002】
容器の製造は一般的に、金型内で行われるブロー成形作業を含み、金型の壁はブランクが挿入される空洞を画定し、ブランクはブロー成形中に、その可塑変形を可能にするように、材料のガラス転移温度(PETの場合は約80℃)を超える温度に予め加熱されたブランク内に広がる高ガス圧の作用下で壁に適合することを想起されたい。
【0003】
金型に挿入されるとき、PET製のブランクは典型的には約120℃〜140℃の温度である。ブロー成形は速く、金型の壁に達するとき、ブランクはまだ約100℃の温度にある。
【0004】
1.5秒程度の持続時間のブロー成形サイクルが何千回も繰り返されると、金型の壁に対するブランクの連続的な接触は、壁が内部冷却回路によって温度調節されない場合、金型の壁を約100℃の永久温度にするであろう。
【0005】
実際には、流体回路によって金型を温度調節することが知られており、流体回路はクーラントが循環する金型の壁に貫通するダクトを含む(例えば、欧州特許第2106898号明細書(Sidel)参照)。
【0006】
幾つかの容器には、容器の内部に向かって空洞として形成され、美的目的(例えば曲線を描く)又は機能的な目的(容器をつかむためのハンドルを作る)で作製することができる凹部を設けることができる。
【0007】
これを達成するために、最初に金型の壁に引き込まれ、材料が壁に到達したとき材料を押し戻すために、金型内に成形されている容器の存在下で配備される可動インサートが設けられた成形ユニットが一般に使用されており、これは、欧州特許出願公開第3272495号明細書又はその米国の同等物である米国特許出願公開第2018/022010号明細書(Sidel Participations)に示されている。
【0008】
この構造によって提起される問題は、ブランクの材料と繰り返し接触しているインサートが100℃程度の温度に達するまで加熱する傾向があることである。したがって、インサートと接触するブランクの部分は、冷却されず、ガラス転移温度を超える温度に留まる。したがって、インサートとの接触領域において、ブランクの材料は、展性を保ち、容器が脱ガスされる前に十分に冷却して準備する時間がなく、これは成形金型からブロー成形空気の除去を開始する前にブロー成形空気を排気することからなる。その結果、脱ガスの終わりに、まだ熱い容器のこれらの領域では、材料は、引込み現象(「収縮」とも呼ばれる)を受けることによって変形し、最終的に容器の最終形状が目的の形状に対応していない。
【0009】
したがって、インサートを冷却する必要があると思われる。
【0010】
従来、インサートを冷却するための解決策が提案され、例えば、インサート内に作られたダクトを含む冷却回路を説明する欧州特許第2344320号明細書(Sidel)では、インサートが装着されるロッドを介して引き込まれるクーラントが循環し、これらのロッド自体は、クーラントの吸入及び排出のための可撓性パイプが接続されているコネクタを担持するプレートに装着されている。
【0011】
この構造はかさばり、壁が互いに対して並進するように装着された2つの半型に細分される直線型の金型に適合しているが、スペースが考慮されるポートフォリオ型金型には適していない。特に、実際には、金型とその支持体との間にホースを挿入することは不可能であり、ホースを通してインサートに供給することを意図したクーラントがもたらされる。
【0012】
さらに、この構造は、クーラントをインサートに供給するための複雑な回路の作製を必要とし、この回路は、それ自身の電磁弁を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、特にポートフォリオ型金型に適しており、可動インサートへのクーラントの供給を単純化することを可能にする解決策を提案することが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、容器を成形するための成形ユニットが提案されており、
この成形ユニットは、
−容器の一部のかたどり部(impression)を有する空洞を画定する側壁を備えた金型と、
−インサートであって、容器の局所部分のかたどり部を与える前面を有し、引込み位置と配備位置との間で移動可能であり、このインサートがダクトによって貫通されている、インサートと、
−インサートが装着され、その引込み位置と配備位置との間のインサートの可動性を保証するピストンであって、このピストン自体は、側壁内に窪んだ凹部内に並進するように装着され、ピストンは、インサートの反対側でピストンのそばに位置する一次流体チャンバを画定し、側壁に形成された加圧流体を吸入するための少なくとも1つのパイプが開口している、ピストンと、
−インサートをピストンに取り付けるための少なくとも1本のネジと
を備える。
【0016】
この成形ユニットでは、インサートのダクトは、ネジ内に作られインサートのダクトに連通する少なくとも第1部分と、第1部分に連通するピストン内に作られた第2部分とを含む流体回路によって一次チャンバに流体連通している。
【0017】
以下のさまざまな追加の特性を、それ自体で、又は組み合わせて提供することができる。
すなわち、
−インサートを取り付けるためのネジは、ネジを貫通して流体回路の第1部分を形成する中央穴によって貫通されている、
−ピストンには少なくとも1つの突出した注入器が設けられ、その注入器にインサートがネジで取り付けられ、この注入器は中空であり、流体回路の第2部分を形成する中央ウェルを備えている、
−成形ユニットは、ピストンを案内するための少なくとも1つの固定ロッドを含み、ピストンは、その上でスライドするように装着される、
−流体回路は、ガイドロッドに作られた第2部分に連通する第3部分を備える、
−流体回路の第3部分は、ガイドロッドに形成された中央穴と、一方では一次チャンバ内に、他方では中央穴とに開口する放射状穴とを備える、
−ガイドロッドは注入器にはめ込まれ、ガイドロッドの中央穴は注入器の中央ウェルに開口する、
−ガイドロッドは、凹部にはめ込まれた接続スリーブに装着され、このスリーブには、ピストンが並進するように装着されており、ピストンが一次チャンバを画定する、
−ダクトは、インサートの後面に開口し、ピストンの側面で循環する、
−インサートは、共通の頂点から分岐し、円錐に沿って分布している幾つかのダクトを含む。
【0018】
本発明の他の目的及び利点は、添付の図面を参照しながら以下に与えられる実施形態の説明において明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
断面斜視図で、
図1は、
図7に示すように、ボトル又は水差しのような容器2をブランク(典型的にはプリフォーム)から成形するための成形ユニット1を示し、容器2の内部に向かって空洞として形成された凹部3が設けられている。容器2は従来の方法で、本体4、底部及び底部の反対側で開口する首部を備える。
図3及び
図4に示す例では、中空凹部3は、握りやすくするために容器の本体4に形成されたハンドルである。
【0021】
成形ユニット1は、最初に、容器2の一部のかたどり部を有する空洞7を画定する側壁6を備えた金型5を含む。この場合、空洞7は、容器2の本体4のかたどり部を有し、金型5は、容器2の底部のかたどり部を与える底部8をさらに含む。金型5は金属、例えば鋼鉄又はアルミニウム(この用語はアルミニウム合金も包含する)で作製されている。空洞7(したがって容器2)は、垂直方向を規定する主軸Xに沿って延びる。主軸Xに垂直ないかなる平面も水平であると言われる。
【0022】
図面に示された実施形態によれば、側壁6は、2つの半型5A、5Bを含み、半型5A、5B各々は、容器2の本体4の半型7A、7Bを画定し、
−開位置であって、半型5A、5Bが互いに角度的に分離され、ブランクの挿入及び成形された容器2の取り外しを可能にするために、金型底部8が半型5A、5Bに対して下げられた、開位置と、
−閉位置であって、半型5A、5Bが互いに当て合わされ、それらの間に金型底部8を囲み(
図1に示される)、それによって空洞7を形成し、形成される容器2のかたどり部を画定する、閉位置と
の間で、半型5A、5B各々は、ヒンジによって形成された共通軸を中心として互いに対して回転するように装着されている。
【0023】
側壁6には、空洞7内に開口するハウジング9が設けられている。このハウジング9は、突起部10において空洞として形成されている。突起部は、空洞7の内部に向かって突出部を形成し、かつハンドルを画定する中空凹部3と反対のかたどり部の一部を形成する。
【0024】
特に
図1及び
図2に示す実施形態によれば、2つの中空凹部3を備えた容器2に対応して、好ましくは容器2の一般的な対称中心面に関して対称であり、一緒にハンドル(例えば、
図7の容器2などの)を形成する、ハウジング9が各半型5A、5B内に作製される。より具体的には、各ハウジングは、それぞれの半型5A、5Bの半分のかたどり部7A、7B内に開口し、それぞれの半型5A、5B内の空洞7の内側に向かって突起として設けられた突起部10内の空洞として形成される。
【0025】
第2に、各ハウジング9に対して、成形ユニット1はボクシング装置11を含む。「ボクシング」という用語は、可動部分によって押し戻すことによって材料を局所的に成形する技術を指し、ボクシングは、容器2の成形中に実施される(より具体的には容器2のプリブロー成形とブロー成形との間に開始される)。
【0026】
各ボクシング装置11は、ハウジング9の相補的な形状を有し、ハウジング内に収容されたインサート12を含む。各インサート12は、容器2の局所部分、より具体的には中空凹部3の底部(すなわち、比較的小さい表面積)のかたどり部を与える前面13を有する。以下に説明するように、前面13は、中空凹部3のかたどり部を完成させるために、容器2の材料を押し戻すように意図されている。インサート12は、有利にはアルミニウム製である。
【0027】
図1及び
図2が示すように、成形ユニット1は、インサート12が互いに対向して配置されている一対のボクシング装置11(好ましくは対称的な)を備えている。
【0028】
各インサート12は、インサート12がハウジング9内に少なくとも部分的に引き込まれる引込み位置(
図1、
図2、
図3に示す)と、インサート12がハウジング9の外側の空洞7内に少なくとも部分的に突出する配備位置(
図4に示す)との間で、横断軸T(この軸は
図3及び
図4に見ることができる)に沿って側壁6に対して(すなわち、示される例では、各半型5A、5Bに関して)並進するように装着される。
【0029】
より具体的には、
図3に明確に示すように、インサート12の引込み位置では、前面13はハウジング9内に含まれ、突起部10を越えず、一方、インサート12の配備位置では、
図4に明確に示すように、前面13は空洞7内に突出し、突起部10の延長部内に延びて、容器2内に空洞として形成される凹部3のかたどり部を突起部10と共に完成させる。
【0030】
この構成は、排他的ではない。したがって、別の実施形態によれば、インサート12の引込み位置では、インサート12の前面13は、突起部10の内縁に対して後退している。さらに別の実施形態によれば、インサート12の引込み位置では、インサート12の前面13は突起部10の内縁の延長部に見られる。
【0031】
図5及び
図6が明確に示すように、インサート12は(そのハウジング9と同様に)、軸Tを中心とする非対称の回転プロファイルを有し、これは軸Tを中心とするインサート12の回転を制限する。より具体的には、インサート12は、好ましくは幅(水平面内)よりも(金型5の一般軸Xに沿って)より高さが高い。示される例では、インサート12は、長い、本質的に垂直な軸を有する楕円形の輪郭を有する。しかしながら、以下の説明を読むことから理解されるように、各インサート12は、好ましくは2つのネジを使用して取り付けられ、軸Tを中心とする回転の可能性をさらに制限する。
【0032】
図面に示されるように、各ボクシング装置11は、追加のスリーブ14をさらに含む。追加のスリーブは、側壁6内のくり抜かれた相補的凹部15内に(すなわち、示される例では、各半型5A、5B内に)装着されて、相補的凹部に装着されている。スリーブ14は有利には鋼製である。
【0033】
各ボクシング装置11は、さらに、インサート12と一体であるアクチュエータ16を備えている。アクチュエータは、インサートをその引込み位置からその配備位置に移動させるか、又はその逆に移動させる。アクチュエータは、この目的のために、スリーブ14内に並進するように装着されたピストン17を備える。アクチュエータ16は、好ましくはアルミニウムから作製される。
【0034】
図に示され、より具体的には、
図3及び
図4に見ることができる実施形態によれば、スリーブ14は、スリーブ14がその凹部15内に挿入されたときに、金型5の外面19と同一平面になる底壁18と、底壁18から横断方向に突出し、凹部15の底壁22に対向する縁21で終わるシリンダ20と、を備え、底壁は、中空凹部3からシリンダを分離する。
【0035】
スリーブ14及び底壁22は一緒に、ピストン17が移動するチャンバ23を画定する。
【0036】
ピストン17は、チャンバ23をいわゆる一次後部チャンバ23Aといわゆる二次前部チャンバ23Bとに細分化する。示される例では、一次チャンバ23Aは、ピストン17によって内側で制限され、スリーブ14の底壁18によって外側で制限されている。さらに、示される例では、二次チャンバ23Bはピストン17によって外側で制限され、凹部15の底壁22によって内側で制限されている。
【0037】
スリーブ14は、シリンダ20の外周面上に、シールジョイントを収容するように設計されている後部溝24を備えている。シリンダ20はまた、一次チャンバ23Aに開口する少なくとも1つの後部開口部25(ここでは穴の形態)によって貫通されている。
【0038】
スリーブ14はさらに、シリンダ20の外周面上に、縁21内に形成された少なくとも1つのノッチ27によって二次チャンバ23B内に開口する前部溝26を備えている。
【0039】
ジョイント28は、シリンダ20と凹部15との間で圧縮されることによってシリンダ20の外面に装着されている。
【0040】
連結された外周のセグメント29がピストンの外面に装着されている。セグメント29は、有利には低摩擦係数を有する材料、例えば青銅、又は好ましくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような複合材料で作られる。
【0041】
ジョイント28(固定)及びセグメント29(可動)は一緒に、チャンバ23A、23Bの互いに対する密封性を確実にする。
【0042】
スリーブ14を凹部15に挿入した後、スリーブ14は、金型5の側壁6に取り付けられる。
【0043】
図に示される実施形態によれば、アクチュエータ16は、ピストン17から半径方向に突出して延在する少なくとも1つの注入器30を備え、これにインサート12がネジ31によって取り付けられている。好ましい実施形態では、図に示されるように、2つの重ね合わされた注入器30が設けられ、それらの注入器は、ピストン17から半径方向に突出して延び、それらにインサート12が2つのそれぞれのネジ31によって取り付けられる。
【0044】
2つの取り付け要素(2つのネジ31)を有するこの配置は、上述の軸Tを中心とするそのハウジング9内でのインサート12の回転を防止することに寄与し、インサートの複数の移動の間、ハウジングの側壁に対する摩擦によるインサート12の早期摩耗を防止する。実際、そのような場合、接触を防ぐためにインサート12とハウジング9との間に遊びを設けることができる。
【0045】
図3及び
図4に示すように、各注入器30は中空であり、中央ウェル32を含む。インサート12は、ピストン17の反対側で、各注入器30の遠位端33に取り付けられている。
【0046】
より具体的には、示される例では、インサート12は、ネジ31によって、その注入器または各注入器30に取り付けられている。ネジ31は、注入器30の遠位端33を貫通し、前面13の反対側のインサート12の後面35に形成されたネジ穴34と螺旋状に係合している(かつピストン17に向かって回転させられている)。
【0047】
図3及び
図4に示すように、各注入器30は、凹部15の底壁22に形成された貫通孔36内をスライドするように装着されている。
【0048】
1つ又は複数のシールジョイント37(好ましくはリップ付き)が二次チャンバ23Bをハウジング9から隔離し、そして好適には1つ又は複数のガイドリング38(例えばポリテトラフルオロエチレン又はPTFE製)もまた、その貫通口36または各貫通孔36と各対応する注入器30との間に挿入される。
【0049】
各ボクシング装置11は、少なくともその引込み位置からその配備位置へのピストン17の移動を制御するための流体回路39を備える。有利な実施形態によれば、流体回路39は気体圧式であり、使用される流体は圧力下のガス(典型的には空気)である。
【0050】
この目的のために、流体回路39は、一次チャンバ23Aに供給するための少なくとも1つの一次流体導管40を備え、これは後部開口部25を介して一次チャンバに連通する。
【0051】
実際には、そして
図2に点線で示すように、一次流体導管40は、金型5内に貫入され、上流端部41を介して金型5の上面42に、かつ下流端部43を介して後部開口部25で凹部15内に開口している(
図2)。
【0052】
図面に示される実施形態によれば、ピストン17の移動の制御は、二重動作タイプのものであり、流体回路39はさらに、対応するピストン17のその配備位置からその引込み位置への移動を制御するように構成される。
【0053】
この目的のために、流体回路39は、二次チャンバ23Bに供給するための二次流体導管44を備え、二次チャンバ23Bは、ノッチ27によって二次流体導管44に連通する。
【0054】
実際には、そして
図2に点線で示すように、二次流体導管44は、金型5内に貫入され、上流端部45を介して金型5の上面42に、かつ下流端部46を介して、前部溝26に対して直角に凹部15内に開口している。
【0055】
図1に示すように、成形ユニット1は、少なくとも一次流体導管40からガスを供給するための気体圧式コネクタ47を備える。この目的のために、気体圧式コネクタ47は、一次流体導管40の上流端部41に連通する一次吸入口48を備える。
【0056】
一次吸入口48は、有利には20バールを超える(例えば約40バール)高圧のガス源に接続されている。高圧のガス源は、例えば、容器2のブロー成形を実施するために使用されるガス源である。
【0057】
示される例では、ピストン17の移動を制御することが二重動作であり、一次流体導管40とは別に、流体回路39が、二次チャンバ23Bに供給するための二次流体導管44を含む場合、気体圧式コネクタ47は、二次流体導管44の上流端部45に連通する二次吸入口49を含む。
【0058】
二次吸入口49は、比較的低い圧力、有利には12バール以下(例えば約7バール)の圧力を有するガス源に接続されている。比較的低い圧力を有するこのガス源は、例えば、容器2のプリブロー成形を実施するために使用されるガス源である。
【0059】
図1に示すように、導管40、44の上流端部41、45は、金型5の上面42に装着された単一の気体圧式コネクタ47を介してそれぞれの加圧ガス源に共通に連結できるように、有利にも、互いに隣り合って出ている。
【0060】
成形ユニット1は、壁6の熱調節のための流体回路を含み、その中をクーラント(好ましくは液体、例えば水又は油)が循環する。この回路は、壁6の温度を、形成されたばかりの容器2の冷却を確実にするために低くして(通常は10℃程度)、又は容器2の熱硬化を確実にし、したがって、熱的手段によってその結晶化度(したがってその機械的強度)を高めるために高く(通常は120℃程度)して、ほぼ一定の温度に保つために設けられる。この流体回路は、例えば、金型5の壁6内に貫入するダクトを含む。これらのダクト(選択された切断面のために図面には示されていない)は、クーラントを供給及び排出するための回路が接続されている1つ又は複数のコネクタ50に連通する(
図1)。
【0061】
この流体回路は金型の壁の熱調節を確実にするが、容器2の材料と接触するインサートの熱調節を確実にすることはできず、冷却されない場合、過熱して、材料の硬化を防ぐ傾向がある。
【0062】
これが、各インサート12が、壁6の熱調節から分離された熱調節の対象である理由である。図面、特に
図3から
図6に示すように、各インサート12はダクト52によって貫通されている。
【0063】
これらのダクト52は、調節流体回路とも呼ばれる流体回路51によって一次チャンバ23Aに連通している。この流体回路51は、少なくとも、
−そのネジまたは各ネジ31内に作製されインサート12のダクト52に連通する第1部分51Aと、
−ピストン17に作製され第1部分51Aに連通する第2部分51Bと、
を含む。
【0064】
従来、ネジ31は、ネジ込み工具(例えば、アレンキー)の相補的なくぼみを含むヘッド53と、ネジ本体54とを備えている。
【0065】
図面、より具体的には
図3及び
図4が示すように、そのネジまたは各ネジ31は、ネジを貫通して流体回路51の第1部分51Aを形成する中央穴によって貫通されている。
【0066】
したがって、示される例では、ネジ31の第1部分51Aを形成する中央穴は、一方側(ピストン17側)からヘッド53のくぼみ内に、そして反対側(インサート12側)で本体54の一端部内に開口している。
【0067】
さらに、特に
図3及び
図4に示すように、その注入器または各注入器30は、有利には中空であり、流体回路51の第2部分51Bを形成する中央ウェルを備える。
【0068】
図面、特に
図3及び
図4に示す好ましい実施形態によれば、成形ユニット1は、ピストン17を案内するための少なくとも1つのロッド55を含み、この上にピストン17が摺動するように装着される。好ましくは、それぞれのガイドロッド55が各注入器30と組み合わされ、この注入器もまた、インサート12の回転防止効果を促進する。
【0069】
より具体的には、そして図示のように、そのロッドまたは各ロッド55は(滑りながら)それぞれの注入器30の中央ウェル32にはめ込まれる。このロッド55は、例えば鋼から作製されるが、好ましくは、低摩擦係数及び高度の硬度を有する材料(例えば、PTFE製)の層によって被覆されている。
【0070】
好ましい実施形態によれば、インサート12の熱調節のための流体回路51は、ガイドロッド55内に作られ第2部分51Bに連通する第3部分51Cを含む。示される例では、第3部分51Cは、ガイドロッド55に作製された中央穴56と、一方では、一次チャンバ23Aに、他方では、中央穴56に開口する放射状穴57とを含み、それらを連通させる。
図3及び
図4が示すように、中央穴56は注入器30の中央ウェル32に開口している。
【0071】
図5及び
図6が明確に示すように、ダクト52は、インサート12の後面35上に有利に開口している。
【0072】
図3及び
図4に示すように、また
図6でよりよく分かるように、各インサート12は、共通の頂点58から分岐して円錐に沿って分布する複数のダクト52を含む。より具体的には、そして図面が示すように、共通の頂点58は、ネジ31が収容されているネジ穴34の内側端部と合流している。
【0073】
容器2を形成するための手順は、以下の通りである。
【0074】
第1ステップは、その開位置において、その材料のガラス転移温度を超える温度に予め加熱されたブランク(典型的には、PET製のブランク、そのガラス転移温度が80℃程度であり、約120℃の温度に加熱される)を金型5に導入することである。各インサート12は、その引込み位置にある。
【0075】
次いで、金型5を閉じ、加圧下(例えば、約7〜15バール)の流体(特に空気)をブランクに注入し、これをスライドロッドによって同時に引き伸ばすことが好ましい。加圧下で、ブランクの材料は、側壁6及び金型底部8の近傍に、しかしそれと接触させずにもたらされる。
【0076】
次に各インサート12は、その配備位置に向かって移動される。この目的のために、加圧流体(ここでは、20バール以上、典型的には、40バール程度の高圧の空気)が、一次流体導管40及び後部開口部25を介して一次チャンバ23Aに注入され、一方で、二次チャンバ23B内に存在する流体は、それと同時にノッチ27及び前部溝26を介して二次流体導管44を通って排出される。一次チャンバ23Aと二次チャンバ23Bとの間の圧力差の下で、ピストン17は、それが一体となっているインサート12と共に、壁22に衝突するまで空洞7の方向に横断方向に移動され、したがって、壁は、配備位置にあるインサート12の移動の終わりを決定する。
【0077】
インサート12は、材料を(ただし、これに穴を開けずに)、プランジャのようにその配備位置に達するまで押し戻し、次いでハンドルは、容器2の本体4内に空洞として形成される(
図4)。
【0078】
上記の
図4に示すように、ピストン17(及びそれと共にインサート12)を移動させる働きをする加圧流体は、インサート12を熱的に調節するために使用される。
【0079】
実際には、一次チャンバ23A内に存在する加圧流体は、インサート12がその配備位置に向かって移動する間にハウジング9内に生じる部分真空によって、ハウジング9に向かって引き込まれることが分かる。次に、黒い矢印で示すように、流体が調節のために流体回路51内を循環する。より具体的には、流体は、放射状穴57を通過し、次に穴56を通過し、流体は、それからウェル32内を循環し、ネジ穴34に達する前に流体が通るネジの第1部分51A(穴)中へ流入し、次いで、インサート12の後面35の側面から出る前に流体が通過するダクト52中に流入し、次にハウジング9内に流出する。
【0080】
図4に示される好ましい実施形態によれば、インサート12の熱調節を可能にする循環を最適化するために、ハウジング9を外気に連通させるために、脱気ベント59が金型5の側壁6に作製される。ベント59の存在は、ブロー成形段階中(ピストンを押すために空気が注入されるとき)にハウジング9内に含まれる空気を排出することを可能にし、インサート12の周りに空気の循環を引き起こす。
【0081】
その結果、インサート12が効果的に熱調節され、インサート12と接触したときに容器2の材料を冷却するのに役立つ。このようにして、材料の硬化がもたらされ、かたどり部の取得が改善される。
【0082】
インサート12の周囲及び内部での空気の循環によるインサート12の強制冷却により、中空凹部3のようなインサート12と接触する領域の冷却レベルを得ることが可能になり、中空凹部3は、その時まで達成させられることはないことに留意されたい。これらの領域の温度は、容器の構成材料のガラス転移温度(TG又は、軟化温度とも呼ばれる)をはるかに下回るまで低下する状況になり、大きさの規模を提供するために、そのガラス転移温度が70℃程度であり、容器の形成のために材料がもたらされる温度が110℃程度であるPETの場合、インサート12の冷却は、これらの領域の温度を60℃以下に下げることを可能とし、又は50℃以上の温度低下を可能にする。
【0083】
(10分の数秒の)時間経過後、容器は、脱ガスされ、インサート12はその引込み位置に戻され、次いで金型5が開かれ、容器2が金型5から取り外される。
【0084】
インサート12をその引込み位置に戻すために、加圧流体は、二次導管44、前部溝26、及びノッチ27を介して二次チャンバ23Bに注入され、一方、一次チャンバ23Aに存在する流体は、後部開口部25を介して一次流体導管40を通して同時に排出される。二次チャンバ23Bと一次チャンバ23Aとの間の圧力差のために、ピストン17は、それが一体となっているインサート12と共に、底壁18に衝突するまで金型5の外部に向かって横断方向に移動され、底壁は、引込み位置で、インサート12の移動の終了を決定する。
【0085】
インサート12を熱的に調節するために一次チャンバ23Aの加圧流体を使用するという事実は、流体回路は、ピストン17(すなわちインサート12)の移動が制御される場合のみ供給されるため、調節のために流体回路51に関連する流量を制御するためのシステム(例えば、電磁弁)を排除することも可能にする。
【0086】
構造部品(ネジ31、注入器30、ロッド55)を使用するという事実はまた、スペースの実質的な増加を可能にし(流体を導くための接続導管は不要である)、成形ユニット1をコンパクトにするのを助ける。ネジを貫通する穴の直径を調節することによって、そして直径が一定でない穴を有することによって穴ごとに異なる直径を有することなどによってでさえも、空気の消費を最適化することも考えられる。