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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217815(P2019-217815A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】下部車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   B62D25/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-114726(P2018-114726)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】戎本 圭佑
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB04
3D203BB08
3D203BB12
3D203BB13
3D203BB20
3D203BB22
3D203BB35
3D203CA24
3D203CA52
3D203CA54
3D203CA57
3D203CA62
3D203CA67
3D203CA73
3D203CB03
3D203DA11
3D203DA53
(57)【要約】
【課題】車体の重量増を招くことなく、車体においてフレームが接続される領域の剛性を向上させることができる下部車体構造を提供する。
【解決手段】下部車体構造は、車体フロア2の底面を構成する底面部3と、底面部3から立ち上がりまたは立ち下がり、平面視でY方向に沿って延びる第3傾斜部52dと、一端部が第3傾斜部52dに接続され、底面部3に接して平面視でY方向に交差する斜め方向に沿って延びる斜めフレーム18と、を備え、第3傾斜部52dのうち少なくとも斜めフレーム18の一端部が接続される接続領域にビード111が設けられている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フロアの底面を構成する底面部と、
前記底面部から立ち上がりまたは立ち下がり、平面視で第1方向に沿って延びる縦面部と、
一端部が前記縦面部に接続され、前記底面部に接して平面視で前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる第1フレームと、を備え、
前記縦面部のうち少なくとも前記第1フレームの前記一端部が接続される接続領域にビードが設けられていることを特徴とする下部車体構造。
【請求項2】
前記底面部に、段状に段上げされ、平面視で前記第1方向に沿って延びる稜線を有する段上げ部を備え、
前記縦面部は、前記段上げ部において前記底面部から前記稜線まで立ち上がる縦壁であり、
前記第1フレームの前記一端部が、前記稜線から下方に離間した位置で前記縦面部に接続され、
前記ビードは、前記縦面部上で前記第1フレームの前記一端部が接続される接続領域から上方に延びて前記稜線に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の下部車体構造。
【請求項3】
前記ビードが、前記稜線を越えて、前記段上げ部の上面部にまで延びていることを特徴とする請求項2に記載の下部車体構造。
【請求項4】
前記縦面部に重合され、平面視で前記第1方向に沿って延びる第2フレームをさらに備え、
前記第1フレームの前記一端部が、前記第2フレームを挟んで前記縦面部に接続され、
前記縦面部の前記ビードと前記第2フレームとで、前記ビードに沿って延びる閉断面が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の下部車体構造。
【請求項5】
前記底面部の車幅方向外方側の縁部に沿って車両前後方向に延びるサイドシルと、
前記サイドシルの前端側から上方に延びるヒンジピラーと、をさらに備え、
前記縦面部は、前記底面部の車幅方向内方側の縁部に沿って車両前後方向に延び、
前記第1フレームは、前記ヒンジピラーの下端側から前記底面部に接して斜め後方に延びて前記縦面部に接続されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の下部車体構造。
【請求項6】
前記第1フレームは、前記縦面部と前記サイドシルとの間において、前記底面部とで、前記第2方向に沿って延びる閉断面を形成するように設けられているとともに、前記縦面部、前記底面部、及び前記サイドシルに接続される全周フランジを有することを特徴とする請求項5に記載の下部車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の下部車体構造に関し、車体構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の前方衝突時には、車体前部において車両前後方向に延びるように設けられた左右一対のフロントサイドフレームを経由して車体各部へ衝撃荷重が分散されることで、車室の変形が抑制されたり、フロントサイドフレームが潰れることで衝撃荷重が吸収されたりする。
【0003】
一方、車幅方向において、車両におけるフロントサイドフレームよりも外側の領域と衝突物がオーバラップする所謂スモールオーバラップ衝突が起こった場合、当該オーバラップ領域に配置された前輪が車体に対して相対的に後退して、該前輪からヒンジピラーに衝撃荷重が入力されることがある。
【0004】
このようにしてヒンジピラーに入力された衝撃荷重は、ヒンジピラーの下端部から車体後方側へ延びるサイドシル、ヒンジピラーの上端部から後上方に延びるフロントピラー、及び、フロントドアのインパクトバー等を経由して、車体後方側へ分散される。このようにしてヒンジピラーから車体後方側の各部へ荷重分散されることにより、ヒンジピラー及びダッシュパネルを後退させるような車室の変形が抑制される。
【0005】
特許文献1には、サイドシルの前端部から車幅方向内側に向かって斜め後方に延びる斜めフレームを備えた下部車体構造が開示されている。この種の下部車体構造を備えた車両では、スモールオーバラップ衝突によってサイドシルの前端部に入力された衝撃荷重が、サイドシルを経由して車両後方側へ伝達されるだけでなく、斜めフレームを経由して斜め後方にも伝達され得る。このように斜めフレームを経由する荷重分散経路(ロードパス)が追加されることで、衝撃荷重がより効果的に分散され、これにより、車室の変形抑制効果を高めることが可能になる。
【0006】
より具体的に、特許文献1に開示された斜めフレームは、その前端部においてサイドシルに連結され、後端部においてフロアトンネルに連結されている。これにより、スモールオーバラップ衝突によってサイドシルの前端部に入力された衝撃荷重は、サイドシルに沿って車両後方側へ伝達されるとともに、斜めフレームを経由してフロアトンネルにも伝達され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016−132399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
荷重分散経路(ロードパス)をより一層適切に機能させるためには、衝撃荷重が適切に伝達されるように、フレームの端部と車体フロアや他のフレームの接続の剛性を向上させる必要がある。しかし、剛性の向上のためにレインフォースメント部材などを追加すると、車体の重量増を招く。
【0009】
本発明は、車体の重量増を招くことなく、車体においてフレームが接続される領域の剛性を向上させることができる下部車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る下部車体構造は次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明は、
車体フロアの底面を構成する底面部と、
前記底面部から立ち上がりまたは立ち下がり、平面視で第1方向に沿って延びる縦面部と、
一端部が前記縦面部に接続され、前記底面部に接して平面視で前記第1方向に交差する第2方向に沿って延びる第1フレームと、を備え、
前記縦面部のうち少なくとも前記第1フレームの前記一端部が接続される接続領域にビードが設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記底面部に、段状に段上げされ、平面視で前記第1方向に沿って延びる稜線を有する段上げ部を備え、
前記縦面部は、前記段上げ部において前記底面部から前記稜線まで立ち上がる縦壁であり、
前記第1フレームの前記一端部が、前記稜線から下方に離間した位置で前記縦面部に接続され、
前記ビードは、前記縦面部上で前記第1フレームの前記一端部が接続される接続領域から上方に延びて前記稜線に接続されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、
前記ビードは、前記稜線を越えて、前記段上げ部の上面部にまで延びていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、
前記縦面部に重合され、平面視で前記第1方向に沿って延びる第2フレームをさらに備え、
前記第1フレームの前記一端部が、前記第2フレームを挟んで前記縦面部に接続され、
前記縦面部の前記ビードと前記第2フレームとで、前記ビードに沿って延びる閉断面が形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、
前記底面部の車幅方向外方側の縁部に沿って車両前後方向に延びるサイドシルと、
前記サイドシルの前端側から上方に延びるヒンジピラーと、をさらに備え、
前記縦面部は、前記底面部の車幅方向内方側の縁部に沿って車両前後方向に延び、
前記第1フレームは、前記ヒンジピラーの下端側から前記底面部に接して斜め後方に延びて前記縦面部に接続されることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記第1フレームは、前記縦面部と前記サイドシルとの間において、前記底面部とで、前記第2方向に沿って延びる閉断面を形成するように設けられているとともに、前記縦面部、前記底面部、及び前記サイドシルに接続される全周フランジを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、車体フロアの底面を構成する底面部から立ち上がりまたは立ち下がる縦面部のうち、少なくとも第1フレームの一端部が接続される接続領域にビードが設けられていることにより、縦面部における少なくとも接続領域の剛性を向上させることができる。そのため、レインフォースメントを設けることなく、つまり車体の重量増を招くことなく、上記剛性を向上させることができる。そのため、衝突などの際に第1フレームの一端部から縦面部に入力される衝撃荷重を、縦面部により適切に受け止め、かつ受け止めた衝撃荷重を車体の他の部分に適切に伝達、分散させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、第1フレームの一端部が稜線から下方に離間した位置で縦面部に接続される下部車体構造において、ビードが、縦面部上で第1フレームの一端部が接続される接続領域から上方に延びて段上げ部の稜線に接続されていることにより、衝突などの際に第1フレームの一端部から縦面部に局所的に入力される衝撃荷重を、縦面部及び稜線により適切に受け止め、かつ受け止めた衝撃荷重を車体の他の部分により適切に伝達、分散させることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、ビードが、稜線を越えて段上げ部の上面部まで延びていることにより、上面部の剛性を向上させることができる。そのため、衝突などの際に第1フレームの一端部から縦面部に局所的に入力される衝撃荷重を、縦面部、稜線、及び上面部により一層適切に受け止め、かつ受け止めた衝撃荷重を車体の他の部分により一層適切に伝達、分散させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、第1フレームの一端部が、縦面部に重合されて平面視で第1方向に沿って延びる第2フレームを挟んで縦面部に接続され、縦面部と第2フレームとで、ビードに沿う閉断面が形成されていることにより、少なくとも縦面部において第1フレームの一端部が接続される接続領域の剛性を一層向上させることができる。そのため、衝突などの際に第1フレームの一端部から第2フレームを介して縦面部に入力される衝撃荷重を、縦面部により一層適切に受け止め、かつ受け止めた衝撃荷重を車体の他の部分に一層適切に伝達、分散させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、スモールオーバラップ衝突などによりヒンジピラーに入力される衝撃荷重を、第1フレームを経由して縦面部に適切に伝達することができる。特に、第1フレームが斜め後方に延びて縦面部に接続されるので、ヒンジピラーの車幅方向外側斜め前方から入力される衝撃荷重を効果的に縦面部に伝達させることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、第1フレームが、縦面部とサイドシルとの間において、底面部とで、第2方向に沿って延びる閉断面を形成するように設けられているとともに、縦面部、底面部、及びサイドシルに接続される全周フランジを有することにより、第1フレームの剛性が向上する。そのため、第1フレームに入力された衝撃荷重を縦面部までより適切に伝達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る下部車体構造を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る下部車体構造を示す平面図である。
図3】実施形態に係る下部車体構造を示す底面図である。
図4図2のA−A線に沿った断面図である。
図5図4の一部拡大断面図である。
図6図2のB−B線に沿った断面図である。
図7図6の一部拡大断面図である。
図8図1の斜めフレーム部分の一部拡大斜視図である。
図9】斜めフレームの接続部の斜視図である。
図10】斜めフレーム単品の斜視図である。
図11】ビード部分の拡大斜視図である。
図12】斜めフレーム部分の拡大平面図(図13のC−C線に沿った断面図)である。
図13図12のD−D線に沿った断面図である。
図14図12のE−E線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る下部車体構造を説明する。
【0025】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る下部車体構造を示す斜視図である。図2は、下部車体構造を示す平面図である。図3は、下部車体構造を示す底面図である。以下の説明において、本実施形態に係る下部車体構造を備える自動車1の車幅方向、車両前後方向、及び車両上下方向を、それぞれX方向、Y方向、Z方向という場合がある。
【0026】
図1を参照すると、本実施形態に係る下部車体構造を備えた自動車1は、車室内空間の床面を構成する車体フロア2と、車体フロア2のX方向の両側部に沿ってY方向に延びる一対のサイドシル4と、車体フロア2の前方に配設されたダッシュパネル10とを備える。
【0027】
各サイドシル4は、Y方向に直交する断面においてX方向の外側に開放したハット状の断面形状を有するサイドシルインナ5と、Y方向に直交する断面においてX方向の内側に開放したハット状の断面形状を有するサイドシルアウタ(図示せず)とを備えている。サイドシルインナ5と前記サイドシルアウタは、Y方向に連続する閉断面を形成するように相互に接合されている。
【0028】
自動車1は、左右のサイドシル4の各前端部から立ち上がってZ方向に延びる一対のヒンジピラー11を更に備え、一対のヒンジピラー11間にダッシュパネル10が架設されている。このダッシュパネル10によって、車室内空間とエンジンルームがY方向に仕切られている。
【0029】
車体フロア2は、底面部3と、底面部3からZ方向の上方に膨出してY方向に延びるフロアトンネル50とを備えている。フロアトンネル50は、車体フロア2のX方向中央部においてY方向に延びるように設けられている。Y方向から見たフロアトンネル50の断面形状は、Z方向の下方に開放したU字状である。
【0030】
フロアトンネル50の上面部には、シフトレバー(図示せず)を通すための開口部50aが設けられている。フロアトンネル50の上面部におけるX方向の両側部には、Y方向に延びる補強部材8がそれぞれ例えば溶接によって接合されており、これにより、フロアトンネル50の剛性が高められている。
【0031】
車体フロア2の底面部3には、Y方向に延びる左右一対のフロアフレーム12が接合されている。各フロアフレーム12は、X方向において、フロアトンネル50とサイドシル4との間に配置されている。言い換えれば、各フロアフレーム12は、サイドシル4よりもX方向の内側に配置されている。フロアフレーム12は、X方向に延びるトルクボックス22(図3に示す)を介して、サイドシル4の前端部に連結されている。
【0032】
フロアフレーム12は、例えば溶接によって車体フロア2の上面に接合されたアッパフレームメンバ61と、例えば溶接によって車体フロア2の下面に接合されたロアフレームメンバ62とを備えている。アッパフレームメンバ61とロアフレームメンバ62は、車体フロア2を挟んで互いに対向するように配置されている。アッパフレームメンバ61及びロアフレームメンバ62は、それぞれY方向に延びるように配置されている。ロアフレームメンバ62と車体フロア2の底面部3とは、Y方向に連続する閉断面を協働して形成している。図2を併せて参照すると、本実施形態のアッパフレームメンバ61は、Y方向において、後述する第2フロアクロスメンバ16とダッシュパネル10との間に設けられている。言い換えれば、第2フロアクロスメンバ16よりもY方向の後方側には、アッパフレームメンバ61は設けられていない。
【0033】
図1及び図2を参照すると、車体フロア2の底面部3の上面には、X方向に延びるフロアクロスメンバとして、左右一対の第1フロアクロスメンバ14と、一対の第1フロアクロスメンバ14のY方向における後方側に間隔を開けて配置された左右一対の第2フロアクロスメンバ16とが接合されている。また、第1フロアクロスメンバ14と第2フロアクロスメンバ16との間には、内側シートレール99と外側シートレール100とが架設されている。
【0034】
各第1フロアクロスメンバ14は、フロアトンネル50とサイドシル4との間に架設されている。言い換えれば、第1フロアクロスメンバ14は、フロアトンネル50のX方向の両側に配設されている。左右の第1フロアクロスメンバ14は、Y方向において、互いに略同じ位置に配置されている。
【0035】
第1フロアクロスメンバ14は、例えば鋼材からなるプレス加工部品であり、X方向に直交する断面において下方に開放したハット状の断面形状を有する部材である。第1フロアクロスメンバ14は、車体フロア2との間に、X方向に連続する閉断面を形成している。第1フロアクロスメンバ14は、車体フロア2の底面部3の上方に対向する上面部14aを有する。
【0036】
第1フロアクロスメンバ14の上面部14aは、X方向に延びるように配置されている。図2に示すように、上面部14aの前縁部には、X方向に延びる第1前側稜線L1が形成され、上面部14aの後縁部には、X方向に延びる第1後側稜線L2が形成されている。
【0037】
図1及び図2を参照すると、第1フロアクロスメンバ14のX方向内側の端部には、内側シートレール99を支持するための第1内側シートブラケット65が接合されている。第1フロアクロスメンバ14は、第1内側シートブラケット65を介して、フロアトンネル50と連結されている。また、第1フロアクロスメンバ14のX方向外側の端部には、第1外側シートブラケット66が接合されている。第1フロアクロスメンバ14は、第1外側シートブラケット66を介してサイドシルインナ5と連結されている。第1内側シートブラケット65及び第1外側シートブラケット66は、例えば鋼材からなるプレス加工品である。
【0038】
各第2フロアクロスメンバ16は、フロアトンネル50とサイドシル4との間に架設されている。言い換えれば、第2フロアクロスメンバ16は、フロアトンネル50のX方向の両側に配設されている。左右の第2フロアクロスメンバ16は、Y方向において、互いに略同じ位置に配置されている。
【0039】
第2フロアクロスメンバ16は、例えば鋼材からなるプレス加工部品であり、X方向に直交する断面において下方に開放したハット状の断面形状を有する部材である。第2フロアクロスメンバ16は、車体フロア2との間に、X方向に連続する閉断面を形成している。第2フロアクロスメンバ16は、車体フロア2の底面部3の上方に対向する上面部16aを有する。
【0040】
第2フロアクロスメンバ16の上面部16aは、X方向に延びるように配置されている。図2に示すように、上面部16aの前縁部には、X方向に延びる第2前側稜線L3が形成され、上面部16aの後縁部には、X方向に延びる第2後側稜線L4が形成されている。
【0041】
第2フロアクロスメンバ16のX方向内側の端部には、接続部材17が例えば溶接によって接合されている。接続部材17は、例えば鋼材からなるプレス加工品であり、X方向に直交する断面において下方に開放したハット状の断面形状を有する部材である。接続部材17は、車体フロア2との間に、X方向に連続する閉断面を形成している。また、接続部材17は、X方向に延びる上面部を有しており、前記上面部には、第2フロアクロスメンバ16の第2前側稜線L3及び第2後側稜線L4とそれぞれ連なる2本の稜線が形成されている。ここで、接続部材17は、第2フロアクロスメンバ16と一体に形成されてもよい。
【0042】
図2に示すように、車体フロア2には、X方向に延びる第1フロアクロスメンバ14及び第2フロアクロスメンバ16と、Y方向に延びるフロアフレーム12及びサイドシル4によって枠状の構造体が構成されている。
【0043】
第2フロアクロスメンバ16のX方向内側の端部に接合された接続部材17には、内側シートレール99を支持するための第2内側シートブラケット68が接合されている。第2フロアクロスメンバ16は、第2内側シートブラケット68と接続部材17とを介して、フロアトンネル50と連結されている。また、第2フロアクロスメンバ16のX方向外側の端部には、第2外側シートブラケット69が接合されている。第2フロアクロスメンバ16は、第2外側シートブラケット69を介してサイドシルインナ5と連結されている。第2内側シートブラケット68及び第2外側シートブラケット69は、例えば鋼材からなるプレス加工品である。
【0044】
内側シートレール99は、フロアトンネル50のX方向の両側(右側及び左側)に1本ずつ設けられている。同様に、外側シートレール100は、フロアトンネル50のX方向の両側(右側及び左側)に1本ずつ設けられている。フロアトンネル50の右側及び左側にそれぞれ設けられる前席シート(図示せず)は、内側シートレール99と外側シートレール100とによって下方側から摺動可能に支持される。内側シートレール99と外側シートレール100とは、互いにX方向に間隔を空けて配置され、それぞれ、Y方向に延びるように設けられている。内側シートレール99と外側シートレール100とは、例えば鋼材からなるプレス加工部品であり、Y方向に直交する断面において上方側に開放した略C字状の断面形状を有する。
【0045】
内側シートレール99は、その前端部において第1内側シートブラケット65に固定され、後端部において第2内側シートブラケット68に固定されている。外側シートレール100は、その前端部において第1外側シートブラケット66に固定され、後端部において第2外側シートブラケット69に固定されている。
【0046】
さらに、車体フロア2の底面部3の上面には、左右一対の斜めフレーム18が例えば溶接によって接合されている。斜めフレーム18は、第1フロアクロスメンバ14よりも前方において、X方向の内側に向かって後方に傾斜した方向に延びるように配置されている。斜めフレーム18は、フロアフレーム12とサイドシル4とを連結させるように設けられている。サイドシル4に対する斜めフレーム18の連結部は、Y方向において、ヒンジピラー11とオーバラップして配置されている。斜めフレーム18は、斜めフレーム18の長さ方向に直交する断面において下方に開放したハット状の断面形状を有する部材であり、車体フロア2との間において、斜めフレーム18の長さ方向に連続する閉断面を形成している。
【0047】
また、図3を参照すると、車体フロア2の下面には、連結部材としてのマウントメンバ70とトンネルメンバ80とが接合されている。マウントメンバ70は、X方向に延び、Y方向において第1フロアクロスメンバ14と対応する位置に配置されている。また、トンネルメンバ80は、X方向に延び、Y方向において第2フロアクロスメンバ16と対応する位置に配置されている。
【0048】
また、車体フロア2には、X方向に延びる第1フロアクロスメンバ14、第2フロアクロスメンバ16、マウントメンバ70、及びトンネルメンバ80と、Y方向に延びる一対の上段部51(後述する)、一対のフロアフレーム12、及び一対のサイドシル4とによってフロアトンネル50を跨いでX方向に延びる梯子形の構造体が構成されている。
【0049】
なお、図3に示すように、車体フロア2の下面には、Y方向に延びるトンネルサイドレイン(補強部材)81が設けられている。トンネルサイドレイン81は、車体フロア2との間で閉断面を形成している。トンネルサイドレイン81は、Y方向において、マウントメンバ70と重複する部分に設けられている。
【0050】
本実施形態における下部車体構造を備える自動車1は、例えば、縦置き式のパワートレインを備えたFR式の自動車である。下部車体構造のパワートレインは、ダッシュパネル10(図1参照)の前方のエンジンルームに搭載された駆動源としてのエンジン(図示せず)と、該エンジンの後方に連結された変速機24とを備えている。
【0051】
変速機24は、例えば、縦置き式の自動変速機であり、Y方向に延びる出力軸(図示せず)を有する。ただし、変速機24は、手動変速機であってもよい。変速機24の出力軸の後端部は、自在継手28を介して、Y方向に延びるプロペラシャフト30に連結されている。これにより、エンジンの動力は、動力伝達機構としての変速機24及びプロペラシャフト30等を介して後輪に伝達可能とされている。
【0052】
プロペラシャフト30は、フロアトンネル50内に配置されている。プロペラシャフト30は、軸受32及び支持部材34を介して、フロアトンネル50の下面に支持されている。
【0053】
フロアトンネル50内には、変速機24の少なくとも後端側の一部も配置されている。変速機24の後部には、フロアトンネル50の下方からマウントメンバ70によって支持される被支持部26が設けられている。被支持部26は、変速機24の後端部の近傍に設けられている。
【0054】
前述したように、マウントメンバ70は、第1フロアクロスメンバ14と重複するY方向位置において車体フロア2に固定されている。これにより、変速機24の後部は、マウントメンバ70を介して車体に支持されている。なお、変速機24の前部は、エンジン及びエンジンマウント(図示せず)を介して車体(例えば、フロントサスペンションメンバ)に支持されている。マウントメンバ70及びその固定に関する構成については後に説明する。
【0055】
[マウントメンバの周辺構造]
図4は、図2のA−A線に沿った断面図である。図5は、図4の一部拡大断面図である。図4及び図5を参照しながら、マウントメンバ70及び第1フロアクロスメンバ14が配置されたY方向位置における車体フロア2及びその周辺部の構成について説明する。
【0056】
図4に示すように、車体フロア2は、フロアトンネル50を構成するトンネルパネル40、及び、底面部3を構成する左右一対の底面パネル42で構成されている。トンネルパネル40は、左右のサイドシル4間のX方向領域の中央部に配置されている。各底面パネル42は、トンネルパネル40とサイドシル4との間を繋ぐように設けられている。
【0057】
トンネルパネル40及び底面パネル42は、例えば鋼材からなるプレス加工部品である。トンネルパネル40は、底面パネル42よりも高い剛性及び強度を有することが好ましく、これにより、フロアトンネル50の剛性及び強度の向上が図られる。
【0058】
車体フロア2は、底面部3とフロアトンネル50との間において、底面部3からX方向内側に向かって段上げされてフロアトンネル50の下縁部に連なる一対の上段部51を更に備えている。図1から図3を併せて参照すると、各上段部51は、Y方向において、第1フロアクロスメンバ14よりも前方部から第2フロアクロスメンバ16よりも後方部にかけて、フロアトンネル50の下縁部に沿ってY方向に延びるように設けられている。また、図2及び図3に示すように、上段部51には稜線L5が形成されている。図3に示すように、上段部51には、マウントメンバ70が固定されている。
【0059】
このように、底面部3とフロアトンネル50の下縁部との境界部では、車体フロア2と一体の上段部51が設けられることによって、剛性が高められている。
【0060】
なお、図3を併せて参照すると、トンネルサイドレイン81は、底面部3とフロアトンネル50の下縁部との境界部に沿って設けられている。トンネルサイドレイン81は、Y方向において、上段部51のマウントメンバ70と重複する部分に設けられている。
【0061】
図5を参照すると、上段部51は、フロアトンネル50の下端部からX方向外側に延びる第1横板部51aと、第1横板部51aのX方向外側端部からX方向外側に向かってZ方向下側に延びる第1傾斜部51bとを備えている。なお、第1傾斜部51bは、Z方向下方に向かって延びていてもよい。上段部51の第1横板部51aには、マウントメンバ70が固定されている。
【0062】
本実施形態において、上段部51の第1横板部51a及び第1傾斜部51bは、トンネルパネル40の一部で構成されている。トンネルパネル40は、第1傾斜部51bの下端部からX方向外側に延びる延長部51cを更に備えている。延長部51cは、例えば溶接によって底面パネル42に接合されている。
【0063】
ただし、上段部51は、底面パネル42の一部で構成されてもよいし、トンネルパネル40及び底面パネル42とは別のフロア構成部材で構成されてもよい。
【0064】
図4を参照すると、車体フロア2の底面部3は、上段部51のX方向外側に連なる左右一対の中段部52と、中段部52のX方向外側に連なる左右一対の下段部53と、下段部53のX方向外側においてサイドシル4に接合される被接合部54とを備えている。
【0065】
図5を参照すると、中段部52は、X方向に延びる第2横板部52aと、第2横板部52aの外側端部からX方向外側に向かってZ方向下側に傾斜した方向に延びる第2傾斜部52bとを備えている。また、中段部52は、第2傾斜部52bのX方向外側端部からX方向外側に向かって延びる第3横板部52cと、第3横板部52cのX方向の外側端部からX方向外側に向かってZ方向下側に傾斜した方向に延びる第3傾斜部52dとを備える。中段部52の第2横板部52aは、トンネルパネル40の延長部51cの上面に接合されている。これにより、中段部52の第2横板部52aのX方向内側端部は、延長部51cを介して上段部51の第1傾斜部51bの下端部に連結されている。
【0066】
フロアフレーム12を構成するアッパフレームメンバ61及びロアフレームメンバ62は、中段部52の第3横板部52cと第3傾斜部52dを挟んで互いに対向配置されている。
【0067】
下段部53は、中段部52の第3傾斜部52dの下端部からX方向の外側に延びる第4横板部53aを備えている。下段部53の第4横板部53aは、車体フロア2の最下部を構成している。
【0068】
フロアフレーム12のアッパフレームメンバ61とロアフレームメンバ62とは、中段部52の第3横板部52cと、下段部53の第4横板部53aとに溶接によって接合されることで、底面パネル42に固定されている。
【0069】
図4を参照すると、被接合部54は、下段部53のX方向の外側端部から上方に延びるように設けられている。被接合部54は、サイドシル4におけるサイドシルインナ5の車室内側の側面に、例えば溶接によって接合されている。
【0070】
このように、下段部53は、Z方向において、サイドシル4に接合される被接合部54よりも低く配置されている。これにより、下段部53が設けられたX方向領域において、車体フロア2と第1フロアクロスメンバ14との間に形成される閉断面の断面積が拡大されることで、第1フロアクロスメンバ14の剛性向上が果たされている。
【0071】
ただし、図2のA−A線における車体フロア2の断面形状は、図4及び図5に示す上記の構成に限られるものでなく、適宜変更可能である。例えば、上段部51と下段部53との間に介在する中段部52は、1段又は3段以上で形成されてもよいし、省略されてもよい。また、本実施形態では、下段部53が被接合部54よりも低く配置されているが、下段部53の第4横板部53aは、被接合部54と重複する高さ位置または被接合部54よりも高い位置に配置されてもよい。
【0072】
図5に示すように、第1前側稜線L1及び第1後側稜線L2(図1及び図2参照)を有する第1フロアクロスメンバ14の上面部14aは、車体フロア2の中段部52及び下段部53よりも高く、且つ、上段部51の第1横板部51aと略同じ高さ位置に配置されている。
【0073】
また、図4に示すように、フロアフレーム12と、第1フロアクロスメンバ14と、サイドシル4とは、Z方向に重複するように配置されている。
【0074】
図4及び図5を参照すると、第1内側シートブラケット65は、X方向の内側端部において、フロアトンネル50の外側の側面に例えば溶接によって接合されている。図5に最も明瞭に示すように、第1内側シートブラケット65は、X方向の外側端部において、第1フロアクロスメンバ14と、上段部51の第1横板部51aと、マウントメンバ70とともに共締めされている。これにより、第1フロアクロスメンバ14は、第1内側シートブラケット65を介してフロアトンネル50に連結されている。
【0075】
図4を参照すると、第1外側シートブラケット66のX方向内側端部は、第1フロアクロスメンバ14の上面部14aに例えば溶接によって接合されている。第1外側シートブラケット66のX方向外側端部は、サイドシル4におけるサイドシルインナ5の車室内側の側面に例えば溶接によって接合されている。
【0076】
[トンネルメンバの周辺構造]
図6は、図2のB−B線に沿った断面図である。図7は、図6の一部拡大断面図である。図6及び図7を参照しながら、トンネルメンバ80及び第2フロアクロスメンバ16が配置されたY方向位置における車体フロア2及びその周辺部の構成について説明する。図6及び図7に示す断面において、車体フロア2は、図5及び図6に示す断面における車体フロア2の構成と同様の構成を有しており、その詳細な説明を省略する。
【0077】
図6を参照すると、トンネルメンバ80は、上段部51に固定されている。より詳細には、図7に示すように、トンネルメンバ80は、上段部51の第1横板部51aの下面に固定されている。
【0078】
図6及び図7を参照すると、前述したように、第2フロアクロスメンバ16のX方向内側の端部には、接続部材17が接合されている。接続部材17のX方向内側の端部は、上段部51の第1横板部51aとトンネルメンバ80とに固定されており、これにより、第2フロアクロスメンバ16の上面部16aは、上段部51の第1横板部51aに接続されている。ここで、接続部材17は、第2フロアクロスメンバ16と一体に形成されてもよい。
【0079】
前述したように、アッパフレームメンバ61は、Y方向において第2フロアクロスメンバ16よりも前方に設けられているため(図2参照)、図6及び図7に示す断面において、フロアフレーム12を構成するアッパフレームメンバ61は、設けられていない。底面パネル42とロアフレームメンバ62とで閉断面を形成している。
【0080】
図7に示すように、第2前側稜線L3及び第2後側稜線L4(図1及び図2参照)を有する第2フロアクロスメンバ16の上面部16aは、車体フロア2の中段部52及び下段部53よりも高く、且つ、上段部51の第1横板部51aと略同じ高さ位置に配置されている。
【0081】
第2内側シートブラケット68は、X方向の内側端部において、フロアトンネル50の外側の側面に例えば溶接によって接合され、X方向の外側端部において、接続部材17に例えば溶接によって接続されている。これにより、第2フロアクロスメンバ16は、第2内側シートブラケット68と接続部材17とを介してフロアトンネル50に連結されている。
【0082】
図6に示すように、第2外側シートブラケット69のX方向内側端部は、第2フロアクロスメンバ16の上面部16aに例えば溶接によって接合されている。第2外側シートブラケット69のX方向外側端部は、サイドシル4におけるサイドシルインナ5の車室内側の側面に例えば溶接によって接合されている。
【0083】
図6を参照すると、フロアフレーム12と、第1フロアクロスメンバ14と、第2フロアクロスメンバ16と、サイドシル4とは、Z方向に重複するように配置されている。すなわち、Y方向に延びるフロアフレーム12及びサイドシル4と、X方向に延びる第1フロアクロスメンバ14及び第2フロアクロスメンバ16とによって車体フロア2に構成された枠状の構造体は、Z方向にオフセットすることなく形成されている。
【0084】
[斜めフレーム]
図8図14を参照しながら、斜めフレーム18のより具体的な構成を説明する。なお、図9は、フロアフレーム12のアッパフレームメンバ61を取り外した状態で示している。また、図11は、斜めフレーム18と、フロアフレーム12のアッパフレームメンバ61とを取り外した状態で示している。なお、図7図14では、車体右側の斜めフレーム18についてのみ図示しているが、車体左側の斜めフレーム18は図1図2などから明らかなように車体右側の斜めフレーム18と左右対称の構成を有しており、同様の効果が奏される。そのため、車体左側の斜めフレーム18の説明については省略する。
【0085】
図12に示すように、斜めフレーム18は、前述したように、フロアフレーム12とサイドシル4とを連結させるように設けられている。サイドシル4に対する斜めフレーム18の連結部は、Y方向において、ヒンジピラー11とオーバラップして配置されている。図13図14に示すように、ヒンジピラー11は、ヒンジピラーインナ91とヒンジピラーアウタ92とを有し、これらにより、上下方向に連続的に延びる閉断面を形成する。
【0086】
図10に示すように、斜めフレーム18は、車両下方側に開放した断面ハット状の部材である。斜めフレーム18は、例えば鋼材からなるプレス加工部品である。
【0087】
図8図9図10に示すように、斜めフレーム18は、車体フロア2の底面部3の上面側に配置されて斜めフレーム18の長さ方向に延びる上面部18aと、上面部18aの前縁部から下方に延びる前面部18bと、上面部18aの後縁部から下方に延びる後面部18cと、前面部18bの下縁部から前方に延びる前側フランジ部18dと、後面部18cの下縁部から後方に延びる後側フランジ部18eとを備えている。
【0088】
斜めフレーム18の上面部18aは、Z方向に対して略垂直に配置されている。
【0089】
斜めフレーム18の前側フランジ部18d及び後側フランジ部18eは、例えば溶接によって、車体フロア2の底面部3の上面に接合されている。これにより、図13に示すように、底面部3と、その上面に沿って延びる斜めフレーム18とで、斜めフレーム18の長さ方向に沿って連続する閉断面が形成されている。
【0090】
図8図10に示すように、斜めフレーム18のX方向の外側端部には、外側フランジ部18fが設けられている。外側フランジ部18fは、上面部18a、前面部18b、及び後面部18cの車幅方向X外側の縁部に沿うように設けられている。図8図12図13に示すように、外側フランジ部18fは、例えば溶接によって、サイドシル4のサイドシルインナ5の車室内側の側面に接合されている。なお、外側フランジ部18fの一部は、車体フロア2の被接合部56を介してサイドシル4に接合されている。
【0091】
図9図10に示すように、斜めフレーム18のX方向の内側端部には、内側フランジ部18gが設けられている。内側フランジ部18gは、上面部18a、前面部18b、及び後面部18cの車幅方向X内側の縁部に沿うように設けられている。図12図13に示すように、内側フランジ部18gは、例えば溶接によって、アッパフレームメンバ61と、中段部52の縦面部としての第3傾斜部52dとに3枚重ねで接合されている。
【0092】
斜めフレーム18における外側フランジ部18fと、内側フランジ部18gと、前側フランジ部18dと、後側フランジ部18eとは、上面部18a、前面部18b、及び後面部18cを取り囲むように、全周縁に沿って連続する全周フランジとして構成されている。
【0093】
図9図11に示すように、中段部52は、前述した、縦面部としての第3傾斜部52dと、上面部としての第3横板部52cとを備えている。第3傾斜部52dと第3横板部52cとの境界には、Y方向に沿って延びる稜線L11が形成されている。
【0094】
斜めフレーム18のX方向の内側端部(一端部)は、第3傾斜部52dに、稜線L11よりも下方で接続される。斜めフレーム18は、前述のようにプレス加工により形成される。より具体的には、斜めフレーム18は、上述の全周フランジを形成するために、プレスの絞り加工により形成される。絞り加工では、ハット状断面の高さを大きくするのが難しい。そのため、斜めフレーム18の高さが第3傾斜部52dの高さよりも小さくなっている。またその結果、斜めフレーム18のX方向の内側端部が、稜線L11よりも下方で第3傾斜部52dに接続されている。ここで、このように斜めフレーム18の高さが第3傾斜部52dの高さよりも小さいと、斜めフレーム18に、その長手方向に沿ってX方向の内側に向かうような荷重が入力された場合、当該荷重が第3傾斜部52dの下部側に集中しやすい。本実施の形態では、このような集中する荷重を第3傾斜部52dなどで適切に受け止め、かつ受け止めた衝撃荷重を車体の他の部分に適切に伝達、分散させることができるように、以下の構造を採用している。
【0095】
すなわち、図9図11に示すように、斜めフレーム18のX方向の内側端部(一端部)が接続される第3傾斜部52dに、ビード111が設けられている。本実施の形態では、ビード111は、第3傾斜部52dから第3横板部52cまで稜線L11を越えて延びている。ビード111は、プレス成形により形成される。図9では、一例として、2本のビード111をY方向に離間させて設けた場合を示しているが、1本のビード111が設けられ、または3本以上のビード111がY方向に離間させて設けられてもよい。
【0096】
ビード111は、第3傾斜部52dに設けられた縦ビード111aと、第3横板部52cに設けられた横ビード111bとを有している。縦ビード111aは、第3傾斜部52dの板面に対してX方向内方側に膨出し、第3傾斜部52dの下端と上端との間でZ方向に延びる。横ビード111bは、第3横板部52cの板面に対して下方に膨出し、縦ビード111aの上端に連続するように、第3横板部52cのX方向の外方端からX方向の内方側に延びる。
【0097】
第3傾斜部52d及び第3横板部52cには、ビード111のY方向両側において、ビード111に平行に隆起部112が設けられている。隆起部112は、第3傾斜部52dから第3横板部52cまで稜線L11を越えて延びている。図9では、3本の隆起部112を2本のビード111のY方向両側にそれぞれ設けた例を示している。
【0098】
隆起部112は、第3傾斜部52dに設けられた縦隆起部112aと、第3横板部52cに設けられた横隆起部112bとを有している。縦隆起部112aは、第3傾斜部52dの板面に対して、縦ビード111aの場合とは逆にX方向の外方側に膨出し、第3傾斜部52dの下端と上端との間でZ方向に延びる。横隆起部112bは、第3横板部52cの板面に対し、横ビード111bの場合とは逆に上方に膨出し、縦隆起部112aの上端に連続するように、第3横板部52cのX方向の外方端からX方向の内方側に延びる。
【0099】
図12図13に示すように、斜めフレーム18の内側フランジ部18gは、縦隆起部112aに、アッパフレームメンバ61の傾斜部61bを挟んで、例えば溶接により接合される。
【0100】
図12図14に示すように、中段部52の第3傾斜部52d及び第3横板部52cのビード111と、アッパフレームメンバ61の傾斜部61b及び横板部61aとは、ビード111に沿って連続的に延びる閉断面113を形成する。
【0101】
ここで、ビード111及び隆起部112は、Y方向において交互に設けられ、第3傾斜部52d及び第3横板部52cに対して互いに逆向きに膨出している。これにより、ビード111の実質的な深さが、隆起部112の膨出分を加えた深さとなり、隆起部112がない場合よりも閉断面113の断面積を大きくすることができる。
【0102】
[作用効果]
本実施形態では、図12、13に示すように、サイドシル4とフロアフレーム12との間に斜めフレーム18が設けられ、底面部3との間に閉断面を形成している。そのため、スモールオーバラップ衝突によって車両前方から例えばヒンジピラー11へ入力された衝撃荷重を、サイドシル4を経由させて車両後方側へ伝達させることができるだけでなく、斜めフレーム18を経由させて斜め後方へ効果的に伝達させることができる。また、斜めフレーム18において斜め後方へ伝達される衝撃荷重は、フロアフレーム12を経由して更に車両後方側へ伝達され得る。このようにして斜めフレーム18及びフロアフレーム12を経由させる車両後方側への荷重伝達経路が効果的に機能することで、スモールオーバラップ衝突による車室変形の抑制効果を高めることができる。
【0103】
特に、本実施の形態では、第3傾斜部52dに斜めフレーム18の一端部が接続される接続領域にビード111が設けられていることにより、第3傾斜部52dにおいて少なくとも斜めフレーム18の一端部が接続される接続領域の剛性が向上する。そのため、衝突などの際に斜めフレーム18の一端部から第3傾斜部52dに入力される衝撃荷重が、第3傾斜部52dにより適切に受け止められる。そして、受け止められた衝撃荷重がフロアフレーム12や中段部52の第3傾斜部52dを経由して車両後方側に適切に伝達、分散される。また、ビード111により剛性を向上させるので、レインフォースメントを設ける必要がなく、したがって、車体の重量増が生じない。
【0104】
さらに、ビード111は、第3傾斜部52d上で上方に延びて稜線L11に接続され、さらに稜線L11を越えて、中段部52の第3横板部52cにまで延びているので、剛性の高い部分であるビード111と稜線L11とが接続される。そのため、衝突などの際に斜めフレーム18の一端部から第3傾斜部52dに入力される衝撃荷重が、第3傾斜部52d、稜線L11、及び第3横板部52cなどにより一層適切に受け止められる。そして、受け止められた衝撃荷重がフロアフレーム12や中段部52の第3傾斜部52dを経由して車両後方側により適切に伝達、分散される。
【0105】
さらに、第3傾斜部52dとアッパフレームメンバ61とで、ビード111に沿う閉断面113が形成されているので、第3傾斜部52dにおいて斜めフレーム18の一端部が接続される接続領域の剛性がより一層向上する。そのため、上述した効果がより一層適切に発揮されることとなる。
【0106】
[本実施の形態のまとめ]
本実施の形態の下部車体構造は、
車体フロア2の底面を構成する底面部3と、
底面部3から立ち上がりまたは立ち下がり、平面視でY方向(第1方向の一例)に沿って延びる第3傾斜部52d(縦面部の一例)と、
一端部が第3傾斜部52dに接続され、底面部3に接して平面視でY方向に交差する、斜めフレーム18の長手方向(第2方向の一例)に沿って延びる斜めフレーム18(第1フレームの一例)と、を備え、
第3傾斜部52dのうち少なくとも斜めフレーム18の一端部が接続される接続領域にビード111が設けられている。
【0107】
これにより、第3傾斜部52dにおいて少なくとも斜めフレーム18の一端部が接続される接続領域の剛性を向上させることができる。そのため、レインフォースメントを設けることなく、つまり車体の重量増を招くことなく、上記剛性を向上させることができる。そのため、衝突などの際に斜めフレーム18の一端部から第3傾斜部52dに入力される衝撃荷重を、第3傾斜部52dにより適切に受け止め、かつ受け止めた衝撃荷重を車体の他の部分に適切に伝達、分散させることができる。
【0108】
また、本実施の形態の下部車体構造は、
底面部3に、段状に段上げされ、平面視でY方向に沿って延びる稜線L11を有する中段部52(段上げ部の一例)を備え、
第3傾斜部52dは、中段部52において底面部3から稜線L11まで立ち上がる縦壁であり、
斜めフレーム18の一端部が、稜線L11から下方に離間した位置で第3傾斜部52dに接続され、
ビード111は、第3傾斜部52d上で斜めフレーム18の一端部が接続される接続領域から上方に延びて稜線L11に接続されている。
【0109】
これにより、斜めフレーム18の一端部が稜線L1よりも下方で第3傾斜部52dに接続される下部車体構造において、ビード111が、高い剛性を有する稜線L11に接続される。そのため、衝突などの際に斜めフレーム18の一端部から第3傾斜部52dに入力される衝撃荷重を、第3傾斜部52d及び稜線L11により適切に受け止め、かつ受け止めた衝撃荷重を車体の他の部分に適切に伝達、分散させることができる。
【0110】
また、本実施の形態の下部車体構造は、
ビード111は、稜線L11を越えて、中段部52の第3横板部52c(上面部の一例)にまで延びている。
【0111】
これにより、第3横板部52cの剛性を向上させることができる。そのため、衝突などの際に斜めフレーム18の一端部から第3傾斜部52dに入力される衝撃荷重を、第3傾斜部52d、稜線L11、及び第3横板部52cにより一層適切に受け止め、かつ受け止めた衝撃荷重を車体の他の部分に一層適切に伝達、分散させることができる。
【0112】
また、本実施の形態の下部車体構造は、
第3傾斜部52dに重合され、平面視でY方向に沿って延びるフロアフレーム12のアッパフレームメンバ61(第2フレームの一例)をさらに備え、
斜めフレーム18の一端部が、フロアフレーム12のアッパフレームメンバ61を挟んで第3傾斜部52dに接続され、
第3傾斜部52dとアッパフレームメンバ61とで、ビード111に沿う閉断面113が形成される。
【0113】
これにより、第3傾斜部52dにおいて斜めフレーム18の一端部が接続される接続領域の剛性をより一層向上させることができる。そのため、上記剛性をより一層向上させることができる。そのため、衝突などの際に斜めフレーム18の一端部から第3傾斜部52dに入力される衝撃荷重を、第3傾斜部52dにより一層適切に受け止め、かつ受け止めた衝撃荷重を車体の他の部分により一層適切に伝達、分散させることができる。
【0114】
また、本実施の形態の下部車体構造は、
底面部3のX方向(車幅方向)外方側の縁部に沿ってY方向(車両前後方向)に延びるサイドシル4と、
サイドシル4の前端側から上方に延びるヒンジピラー11と、をさらに備え、
第3傾斜部52dは、底面部3のX方向内方側の縁部に沿ってY方向に延び、
斜めフレーム18は、ヒンジピラー11の下端側から底面部3に接して斜め後方に延びて第3傾斜部52dに接続される。
【0115】
これにより、スモールオーバラップ衝突などによりヒンジピラー11に入力される衝撃荷重を、斜めフレーム18を経由して第3傾斜部52dに適切に伝達することができる。特に、斜めフレーム18が斜め後方に延びて第3傾斜部52dに接続されるので、ヒンジピラー11のX方向外側斜め前方から入力される衝撃荷重を効果的に第3傾斜部52dに伝達させることができる。
【0116】
また、本実施の形態の下部車体構造は、
斜めフレーム18は、第3傾斜部52dとサイドシル4との間において、第3傾斜部52dとで、斜めフレーム18の長手方向に沿って延びる閉断面を形成するように設けられているとともに、第3傾斜部52d、底面部3、及びサイドシル4に接続される全周フランジを有する。
【0117】
これにより、斜めフレーム18の剛性が向上する。そのため、斜めフレーム18に入力された衝撃荷重を第3傾斜部52dまでより適切に伝達させることができる。
【0118】
(他の実施の形態)
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0119】
すなわち、上述の実施形態では、第1方向がY方向である例を説明したが、本発明において、第1方向はX方向、Z方向、あるいはそれらの中間の方向であってもよい。また、第2方向は、第1方向に交差する方向であればどのような方向でもよい。例えば、第2方向は第1方向に直交する方向であってもよい。
【0120】
また、上述の実施形態では、斜めフレーム18の一端部と第3傾斜部52dとの接続部に本発明を適用した例を説明したが、本発明は、例えばクロスメンバやフロアフレームなどのフレームの一端部と、他のフレームや車体フロアの縦面部との接続部にも適用可能である。
【0121】
また、上述の実施形態では、縦面部が第3傾斜部52dであり、第3傾斜部52dにアッパフレームメンバ61が重合され、斜めフレーム18の一端部がアッパフレームメンバ61を挟んで第3傾斜部52dに接続される例を説明したが、本発明では、アッパフレームメンバ61は必須ではなく、斜めフレーム18の一端部が第3傾斜部52dに直接接続されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上のように、本発明によれば、斜めフレームとフロアフレームを経由する荷重伝達経路を利用して、スモールオーバラップ衝突による衝撃荷重の分散効果の向上を図ることが可能となるから、この種の下部車体構造を備えた自動車の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0123】
1 自動車
2 車体フロア
3 底面部
4 サイドシル
5 サイドシルインナ
10 ダッシュパネル
11 ヒンジピラー
12 フロアフレーム
14 第1フロアクロスメンバ
14a 上面部
16 第2フロアクロスメンバ
16a 上面部
17 接続部材
18 斜めフレーム
18a 上面部
18b 前面部
18c 後面部
18d 前側フランジ部
18e 後側フランジ部
18f 外側フランジ部
18g 内側フランジ部
22 トルクボックス
24 変速機
26 被支持部
28 自在継手
30 プロペラシャフト
32 軸受
34 支持部材
40 トンネルパネル
42 底面パネル
50 フロアトンネル
50a 開口部
51 上段部
51a 第1横板部
51b 第1傾斜部
51c 延長部
52 中段部
52a 第2横板部
52b 第2傾斜部
52c 第3横板部
52d 第3傾斜部
53 下段部
53a 第4横板部
54 被接合部
61 アッパフレームメンバ
61a 横板部
61b 傾斜部
62 ロアフレームメンバ
65 第1内側シートブラケット
66 第1外側シートブラケット
68 第2内側シートブラケット
69 第2外側シートブラケット
70 マウントメンバ
80 トンネルメンバ
81 トンネルサイドレイン
99 内側シートレール
100 外側シートレール
111 ビード
111a 縦ビード
111b 横ビード
112 隆起部
112a 縦隆起部
112b 横隆起部
L1 第1前側稜線
L2 第1後側稜線
L3 第2前側稜線
L4 第2後側稜線
L5 稜線
L11 稜線
図1
図2
図3
図4
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図6
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