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特開2019-217831タンクキャップ構造および鞍乗り型車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217831(P2019-217831A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】タンクキャップ構造および鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20191129BHJP
   B65D 51/00 20060101ALI20191129BHJP
   B60K 15/035 20060101ALI20191129BHJP
   B62J 35/00 20060101ALI20191129BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   B60K15/05 A
   B65D51/00 200
   B60K15/035 A
   B62J35/00 D
   F02M37/00 301Q
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-114939(P2018-114939)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】神山 剛
【テーマコード(参考)】
3D038
3E084
【Fターム(参考)】
3D038CA23
3D038CA25
3D038CA27
3D038CA36
3D038CB01
3D038CC02
3D038CC03
3D038CC04
3D038CC15
3E084AA05
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB04
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA05
3E084HB04
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB10
3E084LB02
3E084LD03
(57)【要約】
【課題】フロートとラチェット機構とを備えたタンクキャップ構造において、タンクキャップの大型化を抑制しつつ、十分な浮力のフロートを配置する。
【解決手段】実施形態のタンクキャップ構造41は、キャップボディ42と、把持部45と、弁装置47と、ラチェット機構55と、を備え、弁装置47は、螺合軸C1を中心とする筒状をなし、フロート49を収容する弁ケース48と、弁ケース48よりも細い先細りのテーパ状をなし、開口47aに向かって延出する弁体49aと、を備え、キャップボディ42は、螺合軸C1を中心とする筒状をなす筒状受け部44aを備え、筒状受け部44aの外周面には、キャップボディ42と給油口筒体との間に保持されるシール部材70を受けるシール受け部78が設けられ、筒状受け部44aの内周面には、筒状受け部44aの内周に挿入される弁装置47を受ける弁受け部77が設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(31)の給油口部(37)に螺合して給油口(38a)を閉塞するキャップボディ(42)と、
前記キャップボディ(42)に対して螺合軸(C1)の回りに相対回転可能に設けられた把持部(45)と、
燃料液面位置に応じてフロート(49)を作動させて、燃料の流出を制限する開口(47a)を開閉する弁装置(47)と、
前記把持部(45)と前記キャップボディ(42)との間に設けられ、前記キャップボディ(42)の締め込みトルクを管理するラチェット機構(55)と、を備え、
前記弁装置(47)は、
前記螺合軸(C1)を中心とする筒状をなし、前記フロート(49)を収容する弁ケース(48)と、
前記弁ケース(48)よりも細い先細りのテーパ状をなし、前記開口(47a)に向かって延出する弁体(49a)と、を備え、
前記キャップボディ(42)は、前記螺合軸(C1)を中心とする筒状をなす筒状受け部(44a)を備え、
前記筒状受け部(44a)の外周面には、前記キャップボディ(42)と前記給油口部(37)との間に保持されるシール部材(70)を受けるシール受け部(78)が設けられ、
前記筒状受け部(44a)の内周面には、前記筒状受け部(44a)の内周に挿入される前記弁装置(47)を受ける弁受け部(77)が設けられていることを特徴とするタンクキャップ構造。
【請求項2】
前記弁装置(47)は、前記フロート(49)の作動方向に向けて前記フロート(49)を付勢する付勢部材(52)を備えることを特徴とする請求項1に記載のタンクキャップ構造。
【請求項3】
前記キャップボディ(42)は、前記筒状受け部(44a)から前記螺合軸(C1)に沿って下方に延出する筒状をなすボディ延出部(44e)を備え、
前記弁ケース(48)は、前記ボディ延出部(44e)と径方向で重なるように、前記螺合軸(C1)に沿って上方に延出する筒状をなすケース延出部(48k)を備え、
前記ボディ延出部(44e)と前記ケース延出部(48k)との径方向における重なり部(89)を、径方向外方から緊縛する緊縛部材(90)を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載のタンクキャップ構造。
【請求項4】
前記キャップボディ(42)は、前記筒状受け部(44a)を有する第一部材(81)と、前記ボディ延出部(44e)を有する第二部材(82)と、の2つの部材により構成されていることを特徴とする請求項3に記載のタンクキャップ構造。
【請求項5】
前記キャップボディ(42)は、前記筒状受け部(44a)の径方向外方に位置し、前記給油口部(37)に螺合するネジ山を内周に形成するネジ筒(43)を備え、
前記筒状受け部(44a)は、前記給油口部(37)の上端を超えて、前記給油口(38a)の内部に位置していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタンクキャップ構造。
【請求項6】
前記給油口部(37)は、樹脂製であり、
前記ネジ山は、台形状をなす台形ネジ部(43j)で形成されていることを特徴とする請求項5に記載のタンクキャップ構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のタンクキャップ構造(41)を備えることを特徴とする鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクキャップ構造および鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料タンクの給油口を閉止するキャップに空気穴を形成するとともに燃料タンク内にフロートを配設し、上昇位置でキャップの空気穴を閉止する弁をフロートに連結した構造(フロート弁付きキャップ)が開示されている。
特許文献2には、樹脂製の燃料タンクのタンクキャップ(樹脂タンク用キャップ)として、アウタキャップとインナキャップの間に一方向に回動を許容するラチェット機構を設けた構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−40977号公報
【特許文献2】特開平6−40462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フロート弁付きキャップおよび樹脂タンク用キャップを一体化する場合、タンクキャップが大型化しやすいという課題がある。
【0005】
そこで本発明は、フロートとラチェット機構とを備えたタンクキャップ構造において、タンクキャップの大型化を抑制しつつ、十分な浮力のフロートを配置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、燃料タンク(31)の給油口部(37)に螺合して給油口(38a)を閉塞するキャップボディ(42)と、前記キャップボディ(42)に対して螺合軸(C1)の回りに相対回転可能に設けられた把持部(45)と、燃料液面位置に応じてフロート(49)を作動させて、燃料の流出を制限する開口(47a)を開閉する弁装置(47)と、前記把持部(45)と前記キャップボディ(42)との間に設けられ、前記キャップボディ(42)の締め込みトルクを管理するラチェット機構(55)と、を備え、前記弁装置(47)は、前記螺合軸(C1)を中心とする筒状をなし、前記フロート(49)を収容する弁ケース(48)と、前記弁ケース(48)よりも細い先細りのテーパ状をなし、前記開口(47a)に向かって延出する弁体(49a)と、を備え、前記キャップボディ(42)は、前記螺合軸(C1)を中心とする筒状をなす筒状受け部(44a)を備え、前記筒状受け部(44a)の外周面には、前記キャップボディ(42)と前記給油口部(37)との間に保持されるシール部材(70)を受けるシール受け部(78)が設けられ、前記筒状受け部(44a)の内周面には、前記筒状受け部(44a)の内周に挿入される前記弁装置(47)を受ける弁受け部(77)が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記弁装置(47)は、前記フロート(49)の作動方向に向けて前記フロート(49)を付勢する付勢部材(52)を備えることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記キャップボディ(42)は、前記筒状受け部(44a)から前記螺合軸(C1)に沿って下方に延出する筒状をなすボディ延出部(44e)を備え、前記弁ケース(48)は、前記ボディ延出部(44e)と径方向で重なるように、前記螺合軸(C1)に沿って上方に延出する筒状をなすケース延出部(48k)を備え、前記ボディ延出部(44e)と前記ケース延出部(48k)との径方向における重なり部(89)を、径方向外方から緊縛する緊縛部材(90)を更に備えることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記キャップボディ(42)は、前記筒状受け部(44a)を有する第一部材(81)と、前記ボディ延出部(44e)を有する第二部材(82)と、の2つの部材により構成されていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記キャップボディ(42)は、前記筒状受け部(44a)の径方向外方に位置し、前記給油口部(37)に螺合するネジ山を内周に形成するネジ筒(43)を備え、前記筒状受け部(44a)は、前記給油口部(37)の上端を超えて、前記給油口(38a)の内部に位置していることを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、前記給油口部(37)は、樹脂製であり、前記ネジ山は、台形状をなす台形ネジ部(43j)で形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、前記タンクキャップ構造(41)を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、筒状受け部の外周面に、キャップボディと給油口部との間に保持されるシール部材を受けるシール受け部が設けられていることで、シール受け部によってシール部材の気密性を確保しつつ、タンクキャップの高さ方向の大型化を抑えることができる。加えて、筒状受け部の内周面に、筒状受け部の内周に挿入される弁装置を受ける弁受け部が設けられていることで、弁受け部によって弁装置を位置決めすることができるメリットを得ながらも、タンクキャップの高さ方向の大型化を抑えることができる。すなわち、筒状受け部の内外周によって、シール部材の気密性確保と弁装置の位置決めとを可能としつつ、タンクキャップの高さ方向の大型化を抑えることができる。したがって、タンクキャップの大型化を抑制しつつ、十分な浮力のフロートを配置することができる。
請求項2に記載した発明によれば、弁装置は、フロートの作動方向に向けてフロートを付勢する付勢部材を備えることで、燃料タンクの傾斜時に前記開口から燃料が漏れだすことを防止することができる。
請求項3に記載した発明によれば、ボディ延出部とケース延出部との径方向における重なり部を、径方向外方から緊縛する緊縛部材を更に備えることで、タンクキャップの振動耐久性が向上する。
請求項4に記載した発明によれば、キャップボディは、筒状受け部を有する第一部材と、ボディ延出部を有する第二部材と、の2つの部材で構成されていることで、以下の効果を奏する。タンクキャップの作り易さと寸法精度の向上(樹脂厚肉部のひけ防止)との両立を図り、生産性が向上する。
請求項5に記載した発明によれば、キャップボディは、筒状受け部の径方向外方に位置し、給油口部に螺合するネジ山を内周に形成するネジ筒を備え、筒状受け部は、給油口部の上端を超えて、給油口の内部に位置していることで、以下の効果を奏する。キャップボディの筒状受け部が給油口の奥まで挿入される構造となるため、キャップボディと給油口部との螺合部の締結力を高めつつ、シール受け部の幅を確保することができる。したがって、キャップボディの取付け強度とシール性とを両立することができる。
請求項6に記載した発明によれば、給油口部は樹脂製であり、ネジ山は台形状をなす台形ネジ部で形成されていることで、以下の効果を奏する。温度変化による寸法変化が大きい樹脂製の給油口部に対して、十分な取付け強度とシール性とを得ることができる。
請求項7に記載した発明によれば、鞍乗り型車両が上記タンクキャップ構造を備えることで、タンクキャップの大型化を抑制しつつ、十分な浮力のフロートを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2】実施形態に係る燃料タンクの給油口周辺の断面図である。
図3】実施形態に係る燃料タンクの斜視図である。
図4】実施形態に係るラチェット機構の平面図である。
図5】実施形態に係る蒸発燃料処理装置の構成図である。
図6】実施形態に係るタンクキャップ構造の断面図である。
図7】実施形態に係るタンクキャップ構造の要部断面図である。
図8】実施形態に係るキャップボディの断面図である。
図9】実施形態に係るシール部材の平面図である。
図10図9のX−X断面図である。
図11】実施形態に係る緊縛部材の斜視図である。
図12】実施形態の変形例に係る燃料タンクの給油口周辺の断面図である。
図13】実施形態の変形例に係る燃料タンクの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、及び車両上方を示す矢印UPが示されている。
【0010】
<車両全体>
図1は、鞍乗型車両の一例として、オフロードタイプの自動二輪車1を示す。自動二輪車1の前輪2は左右フロントフォーク3の下端部に軸支されている。左右フロントフォーク3の上部は、ステアリングステム4を介して車体フレーム5のヘッドパイプ6に操舵可能に支持されている。ステアリングステム4の上部には、バータイプのハンドル7が取り付けられている。
【0011】
車体フレーム5は、ヘッドパイプ6、左右一対のメインチューブ8、左右一対のピボットフレーム9、単一のダウンフレーム11、左右一対のロアフレーム12、およびシートフレーム13を備える。
【0012】
側面視で、ヘッドパイプ6は、後側ほど上方に位置するように傾斜して延在している。
左右メインチューブ8は、ヘッドパイプ6の後上部から後下がりに後方へ延びている。左右メインチューブ8の後端部は、車体前後中間部において左右ピボットフレーム9の上端部に連なっている。
単一のダウンフレーム11は、ヘッドパイプ6の後下部から左右メインチューブ8よりも急傾斜をなして斜め後下方へ延びている。
左右ロアフレーム12は、ダウンフレーム11の下端部から左右に分岐して斜め後下方へ延びている。左右ロアフレーム12の下部は、後方へ湾曲している。左右ロアフレーム12の後部は、左右ピボットフレーム9の下端部に接続されている。
シートフレーム13は、左右メインチューブ8の後部に接続されている。
【0013】
車体フレーム5は、ツインスパー型のクレードルフレームを構成している。車体フレーム5の内側部には、自動二輪車1の原動機であるエンジン21が搭載されている。
本実施形態で用いる「中間」とは、対象の両端間の中央のみならず、対象の両端間の内側の範囲を含む意とする。
【0014】
左右ピボットフレーム9の下部には、スイングアーム15の前端部(基端部)が上下揺動可能に支持されている。スイングアーム15の後端部には、自動二輪車1の後輪17が軸支されている。スイングアーム15の前下部には、リンク機構18を介してリアクッション(不図示)の下端部が連結されている。リアクッションの上端部は、左右メインチューブ8の後端部近傍の間に渡るクロスメンバ(不図示)に連結されている。
【0015】
エンジン21は、車幅方向(左右方向)に平行なクランク軸を有する単気筒エンジンである。エンジン21の下部は、クランクケース22を構成している。クランクケース22の前上部には、シリンダ23が略垂直に立設している。
【0016】
シリンダ23の後部には、エンジン吸気系のスロットルボディ(不図示)が接続されている。シリンダ23の前部には、エンジン排気系の排気管(不図示)が接続されている。
クランクケース22の後部は、クラッチ及びトランスミッションを収容する変速機ケースを兼ねている。クランクケース22後部の左側部には、変速機の出力軸が突出している。出力軸と後輪17とは、チェーン式伝動機構19を介して連結されている。
【0017】
シリンダ23の上方であって左右メインチューブ8の間には、燃料タンク31が設けられている。左右メインチューブ8後方であってシートフレーム13上には、シート24が設けられている。シート24は、前後に延在している。シート24の前部は、燃料タンク31の後部上面に支持されている。
【0018】
図中符号25はステアリングステム4のボトムブリッジに支持されるフロントフェンダ、符号26はシート24の後方に延びるリアフェンダ、符号27はダウンフレーム11の両側方に配置される左右一対のラジエータ、符号28は燃料タンク31の側面から左右ラジエータ27の側面前方に至る範囲を覆う左右一対のシュラウド、をそれぞれ示す。
【0019】
<燃料タンク>
燃料タンク31は、左右メインチューブ8の車幅方向内側方に配置されている。燃料タンク31の上半部は、左右メインチューブ8の上面よりも上方に位置している。燃料タンク31の前部は、上方に膨出している。燃料タンク31の前部上端部には、給油口開閉用の給油キャップ41が設けられている。
【0020】
図3に示すように、燃料タンク31は、中空構造のタンク本体32を備える。例えば、タンク本体32は、樹脂製である。タンク本体32は、タンク本体32の上部を形成する上半体33と、タンク本体32の下部を形成する下半体34と、を備える。タンク本体32は、上下半体33,34を一体にブロー成形することで、一体の中空構造を形成している。
【0021】
タンク本体32における上下半体33,34の分割面は、メインチューブ8(図1参照)の上面に沿って後下がりに傾斜している。上下半体33,34には、前記分割面に沿って取付フランジ35が設けられている。
【0022】
取付フランジ35の前部には、燃料タンク31の前部を車体フレーム5にラバーマウントするための前マウント部35mが設けられている。
取付フランジ35の後部には、燃料タンク31の後部を車体フレーム5(図1参照)にラバーマウントするための後マウント部(不図示)が設けられている。
【0023】
燃料タンク31を車体フレーム5(図1参照)に搭載した状態(フレーム搭載状態)において、取付フランジ35よりも上方の上半体33は、メインチューブ8の上面よりも上方に配置している。
【0024】
図2に示すように、上半体33の上端部には、上方に開口する円型の挿通口36が形成されている。挿通口36は、上半体33の上端部の車幅方向中央に位置している。挿通口36には、円筒状をなす給油口筒体37(給油口部)が一体成形されている。給油口筒体37は、樹脂製である。以下、給油口筒体37の中心軸線C1を螺合軸C1ともいう。
【0025】
給油口筒体37は、タンク本体32の上方に突出する円筒状のキャップ装着部38と、キャップ装着部38よりも小径の円筒状をなしキャップ装着部38の内方から下方に延びてタンク本体32の内方に臨む下方延長部39と、を一体に有している。給油口筒体37の上端開口は、給油口38aを構成している。給油口筒体37の下端開口には、給油ノズルの挿入量を規定するノズル規制部材39aが設けられている。
【0026】
キャップ装着部38の外周には、給油キャップ41を螺合させるネジ山38bが形成されている。下方延長部39は、キャップ装着部38の内周面に沿う外周面を有する円筒状をなす第一筒部39bと、第一筒部39bよりも小径の円筒状をなしキャップ装着部38の内方から下方に延びてタンク本体32の内方に臨む第二筒部39cと、を備える。第一筒部39bの外周面には、キャップ装着部38の内周面の凹部に係合可能な凸部が一体に設けられている。下方延長部39は、給油ノズルを案内するノズルガイド部材として機能する。下方延長部39は、挿通口36よりタンク内側に挿入されている。
【0027】
例えば、燃料タンク31の前上部(給油口筒体37の周囲)は、樹脂製のトップシェルタ29によって覆われている。燃料タンク31の給油キャップ41は、トップシェルタ29から露出している。燃料タンク31の左右側部は、樹脂製のシュラウド28(図1参照)の後部によって覆われている。
【0028】
図3に示すように、燃料タンク31の上半体33の前上部(給油口筒体37の周囲)には、上方に向けた膨出形状をなす膨出形状部32aが設けられている。膨出形状部32aは、給油口筒体37に向けて上側ほど水平断面積が小さくなるように形成されている。膨出形状部32aの後部には、後下がりに傾斜してシート24の前部を乗り上げさせるシート整合部32bが形成されている。
【0029】
<蒸発燃料処理装置>
図5に示すように、蒸発燃料処理装置61は、燃料タンク31、チャージ配管62、キャニスタ63(蒸発燃料貯留器)、パージ配管64、およびパージコントロールバルブ65を備える。
【0030】
例えば、チャージ配管62は、ゴムホースである。チャージ配管62の第一端部は、燃料タンク31の給油キャップ41に接続されている。
キャニスタ63は、燃料タンク31の外部でチャージ配管62の第二端部に接続されている。
パージ配管64の第一端部は、キャニスタ63に接続されている。パージ配管64の第二端部は、スロットルボディ66に接続されている。パージ配管64は、キャニスタ63とスロットルボディ66とを連通させる。
パージコントロールバルブ65は、パージ配管64に設けられている。パージコントロールバルブ65は、エンジンコントロールユニットの制御によってパージ配管64の流路を開閉する。
図中符号67は燃料タンク31に設けられた燃料ポンプを示す。
【0031】
給油キャップ41は、燃料タンク31の内外を連通させる通気通路部46(図2参照)を備える。燃料タンク31の内部で発生した蒸発燃料は、通気通路部46を介して、燃料タンク31の外部に導かれる。
キャニスタ63の内部には、活性炭等の吸着剤(不図示)が収容されている。キャニスタ63は、チャージ配管62から送られた蒸発燃料を吸着させて貯留する。
【0032】
<給油キャップ>
図2に示すように、給油キャップ41(タンクキャップ)は、キャップボディ42、把持部45、通気通路部46、弁装置47、ラチェット機構55、および緊縛部材90(図11参照)を備える。
【0033】
<キャップボディ>
図6に示すように、キャップボディ42は、給油口筒体37に螺合して給油口38aを閉塞する。キャップボディ42は、ネジ筒43、ディスク部44、下カラー部44a(以下「筒状受け部44a」ともいう。)、上カラー部44c、およびボディ延出部44eを備える。図6においては、給油口筒体37を仮想線で示す。
【0034】
キャップボディ42は、ネジ筒43、ディスク部44、および下カラー部44aを有する第一部材81と、ボディ延出部44eを有する第二部材82と、の2つの部材により構成されている。ネジ筒43、ディスク部44、および下カラー部44aは、同一の部材で一体に形成されている。第二部材82は、第一部材81とは別個独立に形成されている。キャップボディ42は、第一部材81と第二部材82とを組み合わせることにより作製されている。
【0035】
図2に示すように、ネジ筒43は、給油口筒体37と同軸の円筒状をなしている。ネジ筒43の内周には、給油口筒体37のネジ山38bに対応するネジ山が形成されている。ネジ山は、台形状をなす台形ネジ部43j(以下単に「ネジ部43j」ともいう。)で形成されている(図8参照)。
ディスク部44は、ネジ筒43の上端開口を閉塞する円盤状をなしている。
【0036】
キャップボディ42のネジ筒43が給油口筒体37のネジ山38bの外周に螺合することで、ネジ筒43を大径化してラチェット機構55のレイアウト性を良好とする。ラチェット機構55を大径化することにより、トルク設定自由度を高めることが可能となる。
【0037】
図6に示すように、下カラー部44aは、ディスク部44の下面から下方に突出する二重壁構造(二重筒構造)を有している。下カラー部44aには、弁装置47の上端部が取り付けられる。下カラー部44aの内周面には、下カラー部44aの内周に挿入される弁装置47を受ける弁受け部77が設けられている。下カラー部44aの外周面には、キャップボディ42と給油口筒体37(図2参照)との間に保持されるシール部材70を受けるシール受け部78が設けられている。下カラー部44aの二重壁間には、隙間44hが設けられている。
【0038】
上カラー部44cは、ディスク部44の上面から上方に突出する円筒状をなしている。上カラー部44cは、下カラー部44aの外形よりも小さい。上カラー部44cは、下カラー部44aの突出高さよりも低い。上カラー部44cの外周には、ラチェット機構55が設けられている。
【0039】
図8に示すように、ボディ延出部44eは、環状部44f、上方起立部44g、および下方延出部44jを備える。
環状部44fは、下カラー部44aと同軸の円環状をなしている。環状部44fの外形は、下カラー部44aの外径よりも小さい。
【0040】
上方起立部44gは、環状部44fから上方に起立している。上方起立部44gは、下カラー部44aと同軸の円筒状をなしている。上方起立部44gは、下カラー部44aの隙間44hに嵌め込み可能な大きさを有する。
下方延出部44jは、環状部44fから下方に延出している。下方延出部44jは、環状部44fの周方向に間隔をあけて複数配置されている。下方延出部44jの下端は、ネジ筒43の下端よりも下方に位置している。図8においては、2つの下方延出部44jを示す。図中符号44hは、下方延出部44jを厚み方向に開口する係止孔を示す。
【0041】
<シール部材>
図9の平面視で、シール部材70は、円環状をなしている。図10の断面視で、シール部材70は、径方向内方に開放するV字状をなしている。シール部材70は、円環状のリング部71と、リング部71から斜め上方に延出する上シール部72と、リング部71から斜め下方に延出する下シール部73と、を備える。図10の断面視で、上シール部72には、上シール部72の内面(下シール部73と対向する面)に沿う切欠き74が形成されている。図9の平面視で、切欠き74は、上シール部72の周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0042】
図6に示すように、シール部材70は、下カラー部44aの外周の上下幅にわたって装着される。上シール部72は、下カラー部44aの基端(上端)外周に装着される。下シール部73は、下カラー部44aの先端(下端)外周に装着される。図2に示すように、シール部材70は、給油キャップ41を給油口筒体37へ装着するときに、ディスク部44の下面と給油口筒体37(キャップ装着部38)の上端面との間に挟み込まれる。図2に示すシール部材70の装着時において、シール部材70は螺合軸C1に沿う方向に押し潰される。シール部材70の下部(下シール部73、図10参照)は、給油キャップ41のシール面70aを形成する。
【0043】
図6に示すように、キャップボディ42には、ディスク部44の上面から下方に窪む溝44mが設けられている。溝44mは、上カラー部44cの外周に沿って設けられている。溝44mは、シール面70a(図2参照)の変形防止のための肉厚調整部として機能する。図6において、符号59aはカラー部材、符号59bはシール部材をそれぞれ示す。
【0044】
<把持部>
図2に示すように、把持部45は、キャップボディ42に取り付けられている。把持部45は、給油キャップ41を回動操作するためのハンドルとして機能する。把持部45は、キャップボディ42に対して螺合軸C1の回りに相対回転可能に設けられている。把持部45の外周の内側部には、キャップボディ42の外周部に対して相対回転可能に係合する係止爪45aが設けられている。把持部45とキャップボディ42との間には、規定以上の締め込みトルクを逃がすラチェット機構55が設けられている。図中符号58は、ラチェット機構55の配置スペースの内外に設けられるダストシールを示す。
【0045】
<通気通路部>
通気通路部46は、螺合軸C1と同軸の円筒状をなしている。通気通路部46は、キャップボディ42および把持部45を螺合軸C1に沿って貫通している。通気通路部46は、燃料タンク31の内外を連通可能とする。
通気通路部46は、キャップボディ42に支持される被支持部46aと、チャージ配管62を接続するノズル部46bと、を備える。
【0046】
被支持部46aは、ディスク部44の中央貫通部44dに上下二段のシール部材46cを介して相対回転可能に支持されている。シール部材46cは、断面X形状をなして螺合軸C1中心の周方向に延びている。図中符号46dは、把持部45の中央開口と通気通路部46との間への泥砂等の浸入を防ぐシールキャップを示す。
【0047】
ノズル部46bは、キャップボディ42および把持部45の上方に突出している。ノズル部46bの突出部には、チャージ配管62の第一端部が接続されている。チャージ配管62の第二端部は、車体に支持されたキャニスタ63(図5参照)に接続されている。
【0048】
<弁装置>
弁装置47は、燃料液面位置に応じてフロート49を作動させて、通気通路部46に連通する連通口47a(開口)を開閉する。
弁装置47は、弁ケース48、フロート49、ボトムキャップ51、およびスプリング52(付勢部材)を備える。
【0049】
図6に示すように、弁ケース48は、螺合軸C1を中心とする筒状をなしている。弁ケース48は、ケース本体48f、縮径部48a、およびカラー部48bを備える。
ケース本体48fは、螺合軸C1を中心とする円筒状をなしている。ケース本体48fは、ボディ延出部44eと径方向で重なるように、螺合軸C1に沿って上方に延出する筒状をなすケース延出部48kを備える。ケース延出部48kは、ボディ延出部44eが係止可能な外形を有する。図中符号48jは、ケース延出部48kに形成された係止爪を示す。
【0050】
縮径部48aおよびカラー部48bは、ケース本体48fの上端部から上方に突出している。縮径部48aは、ケース本体48fよりも小径の円筒状をなしている。カラー部48bは、縮径部48aの径方向外方に位置している。カラー部48bは、縮径部48aの突出高さよりも低い。
【0051】
弁ケース48は、以下の方法によりキャップボディ42に取り付けられている。図6に示すように、縮径部48aを下カラー部44aの内周に嵌入(挿入)させるとともに、カラー部48bを下カラー部44aの隙間にOリング48cとともに差し込む。そして、緊縛部材90を、ボディ延出部44eとケース延出部48kとの径方向における重なり部89に取り付ける(図7参照)。
【0052】
フロート49は、弁ケース48内に上下動可能に収容されている。フロート49は、上側ほど段階的に縮径している。フロート49の上端部には、先細りのテーパ状の弁体49aが形成されている。
【0053】
図2に示すように、弁ケース48の上端部には、弁ケース48の内外を連通する連通口47aが形成されている。連通口47aが弁体49aで塞がれることより、燃料の流出が制限される。弁体49aは、フロート49の上部において連通口47aに向かって延出している。
弁ケース48の上端部において連通口47aの直下には、フロート49の弁体49aが接近離反する弁座48dが形成されている。弁体49aおよび弁座48dにより、弁装置47の弁部49Bが構成されている。
【0054】
ボトムキャップ51は、弁ケース48の下端開口を閉塞する。ボトムキャップ51は、弁ケース48と同軸の円盤状の外形を有している。ボトムキャップ51には、弁ケース48内に蒸発燃料等を流入可能とする開口51aが形成されている。
【0055】
例えば、スプリング52は、コイルスプリングである。スプリング52は、ボトムキャップ51の中央上面とフロート49の下部内側部の段差面との間に縮設されている。スプリング52は、フロート49を上方(フロート49の作動方向)に向けて付勢する。
【0056】
スプリング52の付勢力は、燃料液面位置が低く、フロート49にほとんど浮力が作用しない状態において、フロート49が自重によって下降する程度に設定されている。
スプリング52の付勢力は、フロート49に規定以上の浮力が作用する状態において、この浮力とスプリング52の付勢力との和がフロート49の自重を上回ったときに、フロート49が上昇する程度に設定されている。
【0057】
上記の設定により、弁装置47の下端部が燃料に浸る程度に給油しても、フロート49に作用する浮力は小さく、フロート49が自重によって下降して連通口47aを開く。これにより、燃料タンク31内の蒸発燃料が連通口47aからチャージ配管62を通じてキャニスタ63に送られる(図5参照)。
【0058】
一方、車体の傾斜等によって弁装置47の多くが燃料に浸ると、弁ケース48内に浸入した燃料によってフロート49に大きな浮力が作用する。この浮力とスプリング52の付勢力との和がフロート49の自重を上回ると、フロート49が上昇して連通口47aを閉じる。すなわち、弁装置47は、自動二輪車1の車体傾斜が規定以上になった場合に閉鎖するロールオーバーバルブを構成している。これにより、自動二輪車1の転倒時等において、燃料タンク31内の燃料が連通口47aからキャニスタ63側に流出することが防止される(図5参照)。
【0059】
図4は、実施形態に係るラチェット機構55を螺合軸C1に沿う下方から見た平面図である。
図4に示すように、ラチェット機構55は、アウタリング56およびインナリング57を備える。
アウタリング56は、周方向に間隔をあけて配置された複数のラチェット爪56bを備える。
インナリング57は、アウタリング56の径方向内方に配置されている。インナリング57は、複数のラチェット爪56bを嵌合させる複数のラチェットギヤ歯57bを備える。
【0060】
図2に示すように、アウタリング56は、把持部45の内周部に一体回転可能に取り付けられている。インナリング57は、キャップボディ42の上部に一体回転可能に取り付けられている。
【0061】
図4に示すように、アウタリング56の内周部には、複数の弾性アーム56aが設けられている。複数の弾性アーム56aは、給油キャップ41(図2参照)の下方(螺合軸C1に沿う下方)から見て、内周側ほど左回り方向に位置するように傾斜して延びている。各弾性アーム56aの先端部には、内周側に向けて突出するラチェット爪56bが形成されている。各ラチェット爪56bは、インナリング57のラチェットギヤ歯57bの対応部位に係合する。
【0062】
給油キャップ41のネジは、ネジを頭から見て右に回すと締まる、いわゆる正ネジである。給油キャップ41のネジは、時計回り(図4では反時計回り)の回転で締まり、反時計回り(図4では時計回り)の回転で緩む。給油キャップ41を締め込むとき、複数の弾性アーム56aのラチェット爪56bがラチェットギヤ歯57bに係合することで、把持部45とキャップボディ42とを一体的に回動させる。これにより、把持部45を把持して時計回り(図4では反時計回り)に回転させることで、給油キャップ41を締め込むことができる。
【0063】
給油キャップ41の締め込みがなされると、シール部材70(図2参照)が圧縮されて給油口38aを密閉する。ここからさらに把持部45を時計回りに回転させると、キャップボディ42はシール部材70の弾性反力等によって回転が抑止され、キャップボディ42と把持部45との間に相対トルクが作用する。ラチェット機構55は、前記相対トルクが規定以上になると、各弾性アーム56aを弾性変形させ、各ラチェット爪56bのラチェットギヤ歯57bに対する係合位置を変化させる。これにより、キャップボディ42に対して把持部45が相対回転して締め込みトルクを逃がす。
ラチェット機構55は、締め込んだ給油キャップ41を緩めるときは、キャップボディ42と把持部45との間に相対トルクが作用しても、各弾性アーム56aを弾性変形させずにトルクを伝達可能である。
【0064】
<緊縛部材>
図7に示すように、緊縛部材90は、ボディ延出部44eとケース延出部48kとの径方向における重なり部89を、径方向外方から緊縛する。図11に示すように、緊縛部材90は、開いた環状をなしている。例えば、緊縛部材90は、金属製である。緊縛部材90は、重なり部89(図7参照)への取付け時において径方向内方に付勢力を発生させる。
【0065】
緊縛部材90は、押さえ部92と、内凸部91と、を備える。
押さえ部92は、緊縛部材90の最外殻部を構成する。押さえ部92は、緊縛部材90の周方向に間隔をあけて複数配置されている。押さえ部92は、重なり部89を径方向外方から押さえる。押さえ部92には、押圧方向(押さえ部92の厚み方向)に開口する貫通孔93が形成されている。
【0066】
内凸部91は、押さえ部92よりも径方向内方に向けて突出する。内凸部91は、緊縛部材90の周方向に間隔をあけて複数配置されている。内凸部91は、周方向において隣り合う2つの押さえ部92を連結している。押さえ部92および内凸部91は、緊縛部材90の周方向に交互に配置されている。内凸部91は、ケース延出部48kにおいて係止爪48jが設けられていない部位(下方延出部44jが設けられていない部位)に配置される(図7参照)。図中符号94は、緊縛部材90の周方向の一部に設けられた隙間を示す。
【0067】
緊縛部材90は、以下の方法により重なり部89に取り付けられている。まず、緊縛部材90を径方向外方に開く。次に、開いている緊縛部材90を重なり部89に配置する。このとき、ボディ延出部44eとケース延出部48kとの係止部(係止孔44hへの係止爪48jの係止部)に、押さえ部92の貫通孔93を対応させる(図7参照)。図示はしないが、弁ケース48に沿って移動可能な挿入治具、緊縛部材90を弁ケース48に沿って移動可能な押し治具などを用意してもよい。
【0068】
以上説明したように、上記実施形態のタンクキャップ構造は、燃料タンク31の給油口筒体37に螺合して給油口38aを閉塞するキャップボディ42と、キャップボディ42に対して螺合軸C1の回りに相対回転可能に設けられた把持部45と、燃料液面位置に応じてフロート49を作動させて、燃料の流出を制限する連通口47aを開閉する弁装置47と、把持部45とキャップボディ42との間に設けられ、キャップボディ42の締め込みトルクを管理するラチェット機構55と、を備え、弁装置47は、螺合軸C1を中心とする筒状をなし、フロート49を収容する弁ケース48と、弁ケース48よりも細い先細りのテーパ状をなし、開口47aに向かって延出する弁体49aと、を備え、キャップボディ42は、螺合軸C1を中心とする筒状をなす筒状受け部44aを備え、筒状受け部44aの外周面には、キャップボディ42と給油口筒体37との間に保持されるシール部材70を受けるシール受け部78が設けられ、筒状受け部44aの内周面には、筒状受け部44aの内周に挿入される弁装置47を受ける弁受け部77が設けられている。
この構成によれば、筒状受け部44aの外周面に、キャップボディ42と給油口筒体37との間に保持されるシール部材70を受けるシール受け部78が設けられていることで、シール受け部78によってシール部材70の気密性を確保しつつ、給油キャップ41の高さ方向の大型化を抑えることができる。加えて、筒状受け部44aの内周面に、筒状受け部44aの内周に挿入される弁装置47を受ける弁受け部77が設けられていることで、弁受け部77によって弁装置47を位置決めすることができるメリットを得ながらも、給油キャップ41の高さ方向の大型化を抑えることができる。すなわち、筒状受け部44aの内外周によって、シール部材70の気密性確保と弁装置47の位置決めとを可能としつつ、給油キャップ41の高さ方向の大型化を抑えることができる。したがって、給油キャップ41の大型化を抑制しつつ、十分な浮力のフロート49を配置することができる。
【0069】
上記実施形態では、弁装置47は、フロート49の作動方向に向けてフロート49を付勢するスプリング52を備えることで、燃料タンク31の傾斜時に連通口47aから燃料が漏れだすことを防止することができる。
【0070】
上記実施形態では、ボディ延出部44eとケース延出部48kとの径方向における重なり部89を、径方向外方から緊縛する緊縛部材90を更に備えることで、給油キャップ41の振動耐久性が向上する。
【0071】
上記実施形態では、キャップボディ42は、筒状受け部44aを有する第一部材81と、ボディ延出部44eを有する第二部材82と、の2つの部材で構成されていることで、以下の効果を奏する。給油キャップ41の作り易さと寸法精度の向上(樹脂厚肉部のひけ防止)との両立を図り、生産性が向上する。
【0072】
上記実施形態では、キャップボディ42は、筒状受け部44aの径方向外方に位置し、給油口筒体37に螺合するネジ山を内周に形成するネジ筒43を備え、筒状受け部44aは、給油口筒体37の上端を超えて、給油口38aの内部に位置していることで、以下の効果を奏する。キャップボディ42の筒状受け部44aが給油口38aの奥まで挿入される構造となるため、キャップボディ42と給油口筒体37との螺合部の締結力を高めつつ、シール受け部78の幅を確保することができる。したがって、キャップボディ42の取付け強度とシール性とを両立することができる。
【0073】
上記実施形態では、給油口筒体37は樹脂製であり、ネジ山は台形状をなす台形ネジ部43jで形成されていることで、以下の効果を奏する。温度変化による寸法変化が大きい樹脂製の給油口筒体37に対して、十分な取付け強度とシール性とを得ることができる。
【0074】
上記実施形態では、自動二輪車1が上記タンクキャップ構造を備えることで、給油キャップ41の大型化を抑制しつつ、十分な浮力のフロート49を配置することができる。
【0075】
上記実施形態では、キャップボディ42における給油口筒体37に螺合するネジ部43jの下端43d(ネジ筒43の下端でもある)と、ネジ部43jよりも上方に位置するシール部材70のシール面70aとの間の上下範囲H1(ネジ筒43の上下幅内)に、弁装置47の弁部49Bを配置している。これにより、弁装置47の下方への突出量を減少させ、給油キャップ41の高さ方向の大型化を抑えることができる。
加えて、把持部45とキャップボディ42との間に締め込みトルクを管理するラチェット機構55を設けるので、給油キャップ41のネジ部43jの締め代を一定に保つことが可能となる。これにより、給油キャップ41の着脱の容易化と、給油口38aの確実な閉塞とを両立することができる。
さらに、弁部49Bの上方に連なる通気通路部46の外周側にラチェット機構55を配置するので、ラチェット機構55を設けることによるメリットを得ながらも、給油キャップ41の高さ方向の大型化を抑えることができる。
【0076】
上記実施形態では、通気通路部46は、螺合軸C1に沿ってキャップボディ42を貫通するとともに、キャップボディ42の貫通部44dにシール部材46cを介して相対回転可能に支持されていることで、以下の効果を奏する。
通気通路部46に配管が接続される構成であっても、給油キャップ41の締め込み動作を行う際に通気通路部46が回転する。これにより、配管は回転しなくなるため、作業性を向上させることができる。
【0077】
上記実施形態では、通気通路部46は、車体側に支持されたキャニスタ63にチャージ配管62を介して接続されていることで、以下の効果を奏する。
通気通路部46が回転可能であることから、チャージ配管62のねじれ等を防止し、チャージ配管62の耐久性および配索状態を良好に維持することができる。加えて、給油キャップ41の締め込み動作を良好に行うことができる。
【0078】
上記実施形態では、給油キャップ41が燃料タンク31の上部かつ左右中央部に配置されていることで、以下の効果を奏する。
燃料タンク31の上部に弁装置47が位置するので、燃料液面の傾きが小さい通常時には、燃料液面の上方にフロート49を配置して通気通路部46を開通することができる。一方、車体傾斜時等には、燃料液面の傾きにフロート49を反応させて通気通路部46を感度よく閉塞することができる。
弁装置47が燃料タンク31の左右中央部に位置するので、左右何れの車体傾斜時にも均等にフロート49を反応させることができる。
【0079】
上記実施形態では、燃料タンク31は、給油口筒体37の周囲に、給油口筒体37に向けて水平断面積が小さくなる膨出形状部32aを有していることで、以下の効果を奏する。
給油口筒体37の直下のタンク内空間を狭くすることで、車体傾斜時等における燃料液面の変化が大きくなり、フロート49の反応感度を高めることができる。
【0080】
<変形例>
上記実施形態では、キャップボディ42は、筒状受け部44aを有する第一部材81と、ボディ延出部44eを有する第二部材82と、の2つの部材で構成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、キャップボディ42は、1つの部材のみで構成されていてもよい。
【0081】
上記実施形態では、給油口筒体37は樹脂製である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、給油口筒体37は金属製であってもよい。
【0082】
上記実施形態では、キャップボディ42のネジ山は、台形状をなす台形ネジ部43jで形成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、キャップボディ42のネジ山は、台形以外の形状をなしていてもよい。キャップボディ42のネジ山は、給油口筒体37のネジ山に対応する形状を有していてもよい。
【0083】
上記実施形態では、燃料タンク31(タンク本体32)が樹脂製である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、タンク本体は、純チタニウム製であってもよい。
図12および図13は、純チタニウム製のタンク本体132の一例を示す。
図12に示すように、タンク本体132は、タンク本体132の上部を形成する上半体133と、タンク本体132の下部を形成する下半体134と、を備える。タンク本体132は、上下半体133,134を結合することで、一体の中空構造を形成している。上下半体133,134には、上下半体133,134の分割面に沿って接合フランジ135が設けられている。
【0084】
図13に示すように、接合フランジ135の後部両側部には、燃料タンク131の後部を車体フレーム5(図1参照)にラバーマウントするためのマウント部135aが設けられている。マウント部135aには、接合フランジ135の厚み方向に開口する貫通孔が形成されている。
上半体133の前部には、燃料タンク131の前部を車体フレーム5にラバーマウントするためのマウントブラケット135bが設けられている。マウントブラケット135bは、上半体133の前部に左右一対のボルトで締結されている。
【0085】
図12に示すように、上半体133の上端部には、上方に開口する円型の挿通口136が形成されている。挿通口136は、上半体133の上端部の車幅方向中央に位置している。挿通口136には、円筒状をなす給油口筒体137(給油口部)が接合されている。給油口筒体137は、樹脂製である。
【0086】
給油口筒体137は、タンク本体132の上方に突出するキャップ装着部138と、タンク本体132の内方に臨む下方延長部139と、を一体に有している。給油口筒体137の上端開口は、給油口138aを構成している。
【0087】
キャップ装着部138の外周には、給油キャップ41を螺合させるネジ山138bが形成されている。
下方延長部139は、平坦な外周面を有する円筒状をなしている。下方延長部139は、挿通口136よりタンク内側に挿入されている。例えば、給油口筒体137は、挿通口136の周縁フランジ136aにシーム溶接等で接合されている。
【0088】
燃料タンク131の上半体133の前上部(給油口筒体137の周囲)には、上方に向けた膨出形状をなす膨出形状部132aが設けられている。膨出形状部132aは、給油口筒体137に向けて上側ほど水平断面積が小さくなるように形成されている。膨出形状部132aの後部には、後下がりに傾斜してシート24の前部を乗り上げさせるシート整合部132bが形成されている。
【0089】
シート整合部132bの上面には、ハット形の係止ステー132c(図13参照)が溶接等により結合されている。係止ステー132cは、後方に開放する差込口(不図示)を有する。係止ステー132cの差込口にシート24の前部下面の係止爪(不図示)が差し込まれることにより、シート24の前部が係止ステー132cに係止される。
【0090】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、オフロード走行用の自動二輪車への適用を例に説明したが、車両の用途については何ら限定するものではない。
例えば、前記鞍乗型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)の車両も含まれる。また、本発明は、自動二輪車のみならず、自動車等の四輪の車両にも適用可能である。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
31 燃料タンク
32a 膨出形状部
37 給油口筒体(給油口部)
38a 給油口
41 給油キャップ(タンクキャップ)
42 キャップボディ
43 ネジ筒
43j 台形ネジ部(ネジ部)
44e ボディ延出部
45 把持部
47 弁装置
47a 連通口(開口)
48 弁ケース
48k ケース延出部
49 フロート
52 スプリング(付勢部材)
55 ラチェット機構
70 シール部材
77 弁受け部
78 シール受け部
81 第一部材
82 第二部材
89 重なり部
90 緊縛部材
C1 螺合軸
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