特開2019-217834(P2019-217834A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2019217834-アンダーカバー 図000003
  • 特開2019217834-アンダーカバー 図000004
  • 特開2019217834-アンダーカバー 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217834(P2019-217834A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】アンダーカバー
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/18 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   B60R19/18 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-115104(P2018-115104)
(22)【出願日】2018年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】成田 宗太郎
(57)【要約】
【課題】路面からの車両保護と車両前面衝突による歩行者保護を両立できるアンダーカバーの提供。
【解決手段】アンダーカバー10が車両100と反対側に凸状に湾曲または屈曲する凸形状部13を有しており、アンダーカバー10のカバー外側面10bにリブ20が車両前後方向に延びて設けられている。そのため、路面入力の際にはアンダーカバー10にはカバー外側面10bに圧縮力が働きリブ20は圧縮となる。一方、歩行者衝突時にはアンダーカバー10にはカバー外側面10bに引っ張り力が働きリブ20は引っ張りとなる。ここで、リブ20の延び方向の一部に脆弱部21が設けられている。そのため、歩行者衝突時には脆弱部21を起点にしてリブ20が裂けていき強度が低下するため、路面入力の際に比べて、歩行者衝突時のほうがアンダーカバー10の変形(破損)に要する荷重を低く設定できる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に設けられるフロントバンパの下側に設けられるアンダーカバーであって、
車両前後方向の少なくとも一部が、車両と反対側に車両前方かつ下方に向かって凸状に湾曲または屈曲する凸形状か、または、該凸形状の凸の高さをゼロにして直線状とした形状となっており、
車両への取付け面の裏面であるカバー外側面に、車両と反対側に突出するリブが車両前後方向に延びて設けられており、該リブの車両前後方向の延び方向の一部に脆弱部が設けられている、アンダーカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面からの車両保護と前面衝突時における歩行者保護を両立するアンダーカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013−244851号公報は、車両のフロントバンパにリブ(突出部)を設け、そのリブに切欠きを設けることで、歩行者衝突時の衝撃を吸収する技術を開示している。
【0003】
車両によっては、路面との接触や石はね(以下、路面入力ともいう。)から車両を保護するためにフロントバンパの下側に板状材からなるアンダーカバーが設けられることがある。車両保護の観点からは、アンダーカバーにリブを設けてアンダーカバーの剛性が高められていることが望ましい。しかし、アンダーカバーにリブを設けてアンダーカバーの剛性を高くすると、アンダーカバーが変形し難くなり、歩行者衝突時に歩行者の脚(下肢)にダメージを与える可能性が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−244851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、路面からの車両保護と車両前面衝突による歩行者保護を両立できるアンダーカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 車両の前部に設けられるフロントバンパの下側に設けられるアンダーカバーであって、
車両前後方向の少なくとも一部が、車両と反対側に車両前方かつ下方に向かって凸状に湾曲または屈曲する凸形状か、または、該凸形状の凸の高さをゼロにして直線状とした形状となっており、
車両への取付け面の裏面であるカバー外側面に、車両と反対側に突出するリブが車両前後方向に延びて設けられており、該リブの車両前後方向の延び方向の一部に脆弱部が設けられている、アンダーカバー。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)のアンダーカバーによれば、つぎの効果を得ることができる。
(a)リブが車両前後方向に延びて設けられているため、リブが設けられていない場合に比べて、アンダーカバーの剛性を高めることができ路面入力に対する車両保護の点で有利である。
【0008】
(b)また、アンダーカバーの車両前後方向の少なくとも一部が、車両と反対側に車両前方かつ下方に向かって凸状に湾曲または屈曲する凸形状か、または、該凸形状の凸の高さをゼロにして直線状とした形状となっており、カバー外側面に車両と反対側に突出するリブが車両前後方向に延びて設けられている。そのため、路面入力の際には下方からアンダーカバーに入力があるため、アンダーカバーには車両への取付け面の裏面であるカバー外側面に圧縮力が働きリブは圧縮となる。一方、歩行者衝突時には車両前方からアンダーカバーに入力があるため、アンダーカバーにはカバー外側面に引っ張り力が働きリブは引っ張りとなる。ここで、リブの延び方向の一部に脆弱部が設けられている。そのため、歩行者衝突時(引っ張りとなる際)には脆弱部を起点にしてリブが裂けていき強度が低下するため、路面入力の際(圧縮となる際)に比べて、歩行者衝突時のほうがアンダーカバーの変形(破損)に要する荷重を低く設定できる。
【0009】
以上(a)、(b)により、アンダーカバーにリブを設けて路面からの車両保護性能を向上させることができる一方、そのリブに歩行者衝突時におけるアンダーカバーの変形荷重を低く設定させる脆弱部が設けられているため、路面からの車両保護と車両前面衝突による歩行者保護を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明実施例のアンダーカバーが設けられる車両の部分斜視図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】本発明実施例のアンダーカバーの断面図であり、(a)は、外力が作用していない通常時における断面図である。(b)は、路面入力時における断面図である。(c)は、歩行者衝突時における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明実施例のアンダーカバーを説明する。なお、図中、UPは上方を示し、FRは車両前側を示す。
【0012】
本発明実施例のアンダーカバー(アンダーガードといってもよい。)10は、図1に示すように、車両100の前部に設けられるフロントバンパ110の下側に設けられるアンダーカバーである。
【0013】
フロントバンパ110は、たとえば樹脂製である。フロントバンパ110は、車両幅方向および車両上下方向に延びて設けられており、車両の前後方向の前側端部(前端部)を構成している。図2に示すように、フロントバンパ110の上部には、フロントバンパ110の車両後方に配設される図示略のエンジンやラジエータに空気を送り込むための、網状または格子状のグリル120が設けられている。また、フロントバンパ110の上下方向中間部にも、空気取り入れ用の開口部111が設けられていてもよい。
【0014】
フロントバンパ110の、開口部111および開口部111の下側に連なる部分112の車両後方には、金属製のバンパリインフォースメント130が配置されている。バンパリインフォースメント130は、車両幅方向に延びて設けられている。バンパリインフォースメント130の横断面形状は、たとえば、矩形または略矩形、「日」字状または略「日」字状、等とされている。フロントバンパ110の車両後方でバンパリインフォースメント130の車両前側には、車両幅方向に延びるアブソーバ140が配置されている。アブソーバ140は、特に限定されるものではないが発泡樹脂材で構成されており、発泡樹脂材はたとえばEPP(expanded polypropylene、発泡ポロプロピレン)である。アブソーバ140は、バンパリインフォースメント130に支持されている。
【0015】
アンダーカバー10は、路面入力から車両100を保護するために設けられる。アンダーカバー10は、板状材であり、車両前部の下部に配置される。アンダーカバー10は、車両幅方向を長手方向として配置されている。アンダーカバー10は、たとえば樹脂製である。ただし、アンダーカバー10は、アルミニウム製等の金属製であってもよい。
【0016】
アンダーカバー10は、図示略のボルト等を用いて、フロントバンパ110の車外側面110aに取付けられている。アンダーカバー10のフロントバンパ110への取付け面(車両側の面)10aは、全体にわたってフロントバンパ110の車外側面110aに接触していてもよく、一部がフロントバンパ110の車外側面110aに非接触であってもよい。
【0017】
アンダーカバー10は、フロントバンパ110の開口部111の下側に連なる部分112の上下方向中間部から、フロントバンパ110の車外側面110aに沿って下方かつ車両後方に延びており、車両100の前部の下面を構成している。アンダーカバー10の上端部(車両前側端部)11は、バンパリインフォースメント130及びアブソーバ140と同じ上下方向位置でこれらの車両前方に位置する。アンダーカバー10の下端部(車両後側端部)12は、バンパリインフォースメント130およびアブソーバ140より下方でこれらより車両後方に位置する。
【0018】
アンダーカバー10は、車両幅方向から見たときに車両100と反対側に車両前方かつ下方(車両から離れる方向)に向かって凸状に湾曲または屈曲する凸形状(略凸形状を含む)となる凸形状部13を有する。なお、凸形状部13の形状は、車両前方に行くにつれて上方への傾斜角度が大となる形状であり、急激な角度変化を伴わない湾曲部のみで形成されていてもよく、複数の屈曲部(曲がり部)と該屈曲部間をつなぐ直線部(平板部)とで形成されていてもよく、湾曲部と屈曲部の両方を含んで形成されていてもよい。また、凸形状部13は、車両前後方向で、アンダーカバー10の全体または略全体にわたって形成されていてもよく、アンダーカバー10の一部のみに形成されていてもよい。すなわち、凸形状部13はアンダーカバー10の車両前後方向の少なくとも一部に形成されていればよい。
【0019】
アンダーカバー10の、車両100への取付け面10aの裏面であるカバー外側面10bに、車両100と反対側(車両から離れる方向)に突出するリブ20が設けられている。リブ20は、アンダーカバー10に一体に形成されている。リブ20のアンダーカバー10からの突出方向長さ(高さ)は、アンダーカバー10の板厚よりも大とされている。
【0020】
リブ20は、車両前後方向に延びて設けられている。リブ20は、車両前後方向に、アンダーカバー10の全体にわたって連続して設けられていてもよく、アンダーカバー10の一部のみに設けられていてもよい。リブ20がアンダーカバー10の車両前後方向の一部のみに設けられる場合、リブ20は、少なくともアンダーカバー10の凸形状部13を含んで設けられる。
【0021】
車両前後方向に延びるリブ20は、アンダーカバー10に車両幅方向で1本のみ設けられていてもよく複数本設けられていてもよい。なお、図1では、リブ20が車両幅方向に間隔をおいて複数本(2本)設けられており、それぞれがアンダーカバー10の車両幅方向中心に対して対称となる位置に設けられる場合を示している。
【0022】
リブ20には、車両前後方向の延び方向の一部に脆弱部21が設けられている。脆弱部21は、リブ20に車両前後方向(リブ20の延び方向)の引っ張り力が作用した際に破断、裂ける等してリブ20の破損の起点となる部分である。脆弱部21は、図示例では車両前後方向に1個のみ設けられているが、車両前後方向に間隔をおいて複数設けられていてもよい。また、リブ20が車両幅方向に間隔をおいて複数本設けられる場合には、脆弱部21は、それぞれのリブ20に車両前後方向および上下方向で同位置に同様に設けられる。
【0023】
脆弱部21は、リブ20の突出方向先端(車両100と反対側の先端)から突出方向の根元側(車両100側)に向かって切欠き(ノッチ)を設けること、リブ20の突出方向長さ(高さ)をその他のリブ20部分に比べて低くすること、等により設けられる。
【0024】
脆弱部21が切欠き(ノッチ)からなる場合、リブ20の突出方向先端からリブ20の突出方向の根元に向かって延びる切欠きは、リブ20の根元(アンダーカバー10)に達していてもよく、達していなくてもよい。また、脆弱部21が切欠きからなる場合、リブ20の突出方向先端からリブ20の突出方向の根元に向かって延びる切欠きは、リブ20に車両前後方向の引っ張り力が作用した際に容易にリブ20を破損させるために、リブ20の突出方向先端からリブ20の根元に向かって先細りする形状とされていることが望ましい。
【0025】
ここで、路面入力時と歩行者衝突時について説明する。
(i)路面入力時
図3(a)、(b)に示すように、路面入力時には、主に下方(車両前方かつ下方を含む)からアンダーカバー10に上方への入力F1がある。入力F1によりアンダーカバー10の凸形状部13がその凸の高さ(断面におけるアンダーカバー10の前後両端を結ぶ直線からの隔たりの高さ)を小にする方向に変形するとともに、車両前後方向に延びるリブ20にはその全長を小にする方向の圧縮力F1aが作用する。
【0026】
(ii)歩行者衝突時
歩行者(図2参照、歩行者脚部保護性能試験に用いられる、歩行者の脚部を模擬したダミーであり脚部インパクタ)Pとの前面衝突時には、図3(a)、(c)に示すように、主に車両前方からアンダーカバー10に車両後方への入力F2がある。入力F2によりアンダーカバー10の凸形状部13がその凸の高さを大にする方向に変形するとともに、車両前後方向に延びるリブ20にはその全長を大にする方向の引っ張り力F2aが作用する。
【0027】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
【0028】
(a)リブ20が車両前後方向に延びて設けられているため、リブ20が設けられていない場合に比べて、アンダーカバー10の剛性(車両幅方向と直交する方向の曲げ剛性)を高めることができ路面入力に対する車両保護の点で有利である。
【0029】
(b)また、アンダーカバー10の車両前後方向の少なくとも一部が車両100と反対側に車両前方かつ下方に向かって凸状に湾曲または屈曲する凸形状(凸形状部13)となっており、カバー外側面10bに車両100と反対側に突出するリブ20が車両前後方向に延びて設けられている。そのため、路面入力の際には下方からアンダーカバー10に入力があるため、アンダーカバー10には車両100への取付け面10aの裏面であるカバー外側面10bに圧縮力が働き(凸形状部13の凸の曲率を小にする方向に荷重がかかり)リブ20は圧縮となる。一方、歩行者衝突時には車両前方からアンダーカバー10に入力があるため、アンダーカバー10にはカバー外側面10bに引っ張り力が働き(凸形状部13の凸の曲率を大にする方向に荷重がかかり)リブ20は引っ張りとなる。ここで、リブ20の延び方向の一部に脆弱部21が設けられている。そのため、歩行者衝突時(引っ張りとなる際)には脆弱部21を起点にしてリブ20が裂けていき強度が低下するため、路面入力の際(圧縮となる際)に比べて、歩行者衝突時のほうがアンダーカバー10の変形(破損)に要する荷重を低く設定できる。
【0030】
以上(a)、(b)により、アンダーカバー10にリブ20を設けて路面からの車両保護性能を向上させることができる一方、そのリブ20に歩行者衝突時におけるアンダーカバー10の変形荷重を低く設定させる脆弱部21が設けられているため、路面からの車両保護と車両前面衝突による歩行者保護を両立することができる。
【0031】
脆弱部21が、リブ20の突出方向先端から突出方向の根元側(車両100側)に向かって切欠き(ノッチ)を設けること、リブ20の突出方向長さ(高さ)をその他のリブ部分に比べて低くすることにより設けられるため、比較的容易に脆弱部21をリブ20に設けることができる。また、歩行者衝突時にアンダーカバー10を変形させたい位置にあるリブ位置に、脆弱部21を比較的容易に設けることができる。
【0032】
本発明実施例では、アンダーカバー10の車両前後方向の少なくとも一部が、車両100と反対側に車両前方かつ下方に凸状に湾曲または屈曲する凸形状(凸形状部13)となる場合を例にとって説明したが、アンダーカバー10の凸形状部13となっている部分は、その凸の高さ(断面の前後両端を結ぶ直接からの隔たりの高さ)を低減させてゼロにして直線状とした形状となっていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10 アンダーカバー
10a アンダーカバーの取付け面
10b カバー外側面
11 アンダーカバーの上端部
12 アンダーカバーの下端部
13 凸形状部
20 リブ
21 脆弱部
100 車両
110 フロントバンパ
110a フロントバンパの車外側面
111 開口部
120 グリル
130 バンパリインフォースメント
140 アブソーバ
図1
図2
図3