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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217845(P2019-217845A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/188 20120101AFI20191129BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20191129BHJP
   B60K 17/348 20060101ALN20191129BHJP
   B60K 23/04 20060101ALN20191129BHJP
【FI】
   B60W30/188ZHV
   B60W40/08
   B60K17/348 B
   B60K23/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-115302(P2018-115302)
(22)【出願日】2018年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100142158
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 啓
(72)【発明者】
【氏名】窪田 恵里
(72)【発明者】
【氏名】中河原 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】二宮 玲
【テーマコード(参考)】
3D036
3D043
3D241
【Fターム(参考)】
3D036GG02
3D036GG03
3D036GG07
3D036GG17
3D036GG25
3D036GG33
3D036GG35
3D036GG42
3D036GG53
3D036GG54
3D036GG75
3D036GH17
3D036GH18
3D036GH20
3D036GH22
3D043AA02
3D043AA03
3D043AB17
3D043EA02
3D043EA05
3D043EA18
3D043EA45
3D043EB03
3D043EB13
3D043EE01
3D043EE02
3D043EE03
3D043EE06
3D043EE08
3D043EE09
3D043EE14
3D043EF12
3D043EF13
3D043EF19
3D043EF21
3D043EF22
3D043EF26
3D241BA51
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA23Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
3D241DD02Z
3D241DD10Z
3D241DD12Z
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運転者が単独で車両に乗車する場合における運転者の乗り心地と車両に同乗者が乗車する場合における同乗者の乗り心地とが快適になるように制御する。
【解決手段】車両1の走行制御を行う車両用制御装置100であって、動力源EG,MTから駆動輪WLf,WRfに伝達する動力を制御する走行制御部120と、乗員の乗車位置を検知する乗員情報取得部と、を有し、乗員には、運転者と一人又は複数の同乗者とを含み、走行制御部120は、乗員が運転者のみである場合と、乗員に同乗者が含まれる場合とで、動力源EG,MTから駆動輪WLf,WRfに伝達する動力を異ならせ、且つ、乗員の乗車位置に応じて、動力源EG,MTから駆動輪WLf,WRfに伝達する動力を異ならせる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動輪と、前記駆動輪を駆動するための動力を発生する動力源と、を有する車両の走行制御を行う車両用制御装置であって、
前記動力源から前記駆動輪に伝達する動力を制御する走行制御部と、
前記車両に乗車する乗員の乗車位置を検知する乗員情報取得部と、を有し、
前記乗員情報取得部が検知する前記乗員には、前記車両を運転する運転者と前記運転者の他に前記車両に乗車する一人又は複数の同乗者とを含み、
前記走行制御部は、
前記乗員が前記運転者のみである場合と、前記乗員に前記同乗者が含まれる場合とで、前記動力源から前記駆動輪に伝達する動力を異ならせ、且つ、前記運転者及び前記同乗者の前記乗車位置に応じて、前記動力源から前記駆動輪に伝達する動力を異ならせる
ことを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記走行制御部は、
前記車両が直進状態であるときと、前記車両が旋回状態であるときとで、前記動力源から前記駆動輪に伝達する動力を異ならせる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記乗車位置は、少なくとも、前記運転者の位置である第一乗車位置と、前記車両の左右方向において前記第一乗車位置に隣接する第二乗車位置と、前記車両の前後方向において前記第一乗車位置の後方に隣接する第三乗車位置と、前記前後方向において前記第二乗車位置の後方に隣接する第四乗車位置と、を含む
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記走行制御部は、
前記車両が直進状態であるとき、
前記同乗者が乗車していない場合、前記同乗者が前記第二乗車位置に乗車している場合、前記同乗者が前記第三乗車位置又は前記第四乗車位置に乗車している場合、の順で、前記動力源から前記駆動輪に伝達する動力を小さくする
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記走行制御部は、
前記車両が旋回状態であるとき、
前記第一乗車位置が旋回方向の内側となる場合には、前記同乗者が乗車していない場合、前記同乗者が前記第三乗車位置のみに乗車している場合、前記同乗者が前記第二乗車位置に乗車しており前記第四乗車位置に乗車していない場合、前記同乗者が前記第四乗車位置に乗車している場合、の順で、前記動力源から前記駆動輪に伝達する動力を小さくし、且つ、
前記第一乗車位置が旋回方向の外側となる場合には、前記同乗者が乗車していない場合、前記同乗者が前記第四乗車位置のみに乗車している場合、前記同乗者が前記第二乗車位置に乗車しており前記第三乗車位置に乗車していない場合、前記同乗者が前記第三乗車位置に乗車している場合、の順で、前記動力源から前記駆動輪に伝達する動力を小さくする
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記車両は、前記動力源に対して動力調整部を介して接続されることで前記動力源の動力により駆動される副駆動輪を有し、
前記走行制御部は、
前記車両が旋回状態であるとき、
前記運転者及び前記同乗者の前記乗車位置に応じて、前記動力源から前記副駆動輪に伝達する動力を異ならせる
ことを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項7】
前記走行制御部は、
前記同乗者が前記第二乗車位置に乗車している場合には、前記同乗者が前記第二乗車位置に乗車していない場合よりも、前記動力源から前記副駆動輪に伝達する動力を小さくする
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用制御装置。
【請求項8】
前記走行制御部は、
前記同乗者が前記第三乗車位置及び前記第四乗車位置のいずれにも乗車していない場合、前記同乗者が前記第三乗車位置に乗車しておらず前記第四乗車位置に乗車している場合、前記同乗者が前記第三乗車位置に乗車している場合、の順で、前記動力源から前記副駆動輪に伝達する動力を小さくする
ことを特徴とする請求項請求項6又は請求項7に記載の車両用制御装置。
【請求項9】
前記副駆動輪は、複数の前記副駆動輪が前記左右方向に並んで配置される構成であり、
前記車両は、複数の前記副駆動輪のそれぞれに前記動力源からの動力を所定配分比で配分する動力配分装置を有し、
前記走行制御部は、
前記第一乗車位置が旋回方向の内側となる場合において、前記同乗者が前記第四乗車位置に乗車している場合には、前記同乗者が前記第四乗車位置に乗車していない場合よりも、前記動力配分装置による複数の前記副駆動輪への動力配分比を前記所定配分比よりも小さくする
ことを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項10】
前記走行制御部は、
前記第一乗車位置が旋回方向の外側となる場合において、前記同乗者が前記第四乗車位置に乗車している場合と前記同乗者が前記第四乗車位置に乗車していない場合とのいずれの場合であっても、前記動力配分装置による複数の前記副駆動輪への動力配分比を前記所定配分比にする
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用制御装置。
【請求項11】
前記走行制御部は、前記運転者及び前記同乗者が前記車両に乗車している場合における前記同乗者に作用する物理量が、前記運転者のみが前記車両に乗車している場合における前記運転者に作用する物理量よりも小さくなるように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員を乗せて走行する自動車等の車両に対して走行制御を行う車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両の走行制御をし、走行状態が変化しても、運転者の乗り心地を快適に維持し得る車両用制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、車両に対して制動要求が生じた際に、運転者の車両の乗り心地を快適に維持するように制御をしている。
【0003】
しかしながら、このような車両用制御装置においては、走行時の乗り心地を、運転者を基準として設定される傾向にある。このため、車両に運転者以外の同乗者がいる場合に、車両の走行時における同乗者が好む乗り心地が運転者の好む乗り心地と異なると、同乗者にとっては走行時の乗り心地が好ましいものにならないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−022910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、運転者が単独で車両に乗車する場合における運転者の乗り心地と車両に同乗者が乗車する場合における同乗者の乗り心地とが快適になるように制御することができる車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明にかかる車両用制御装置は、駆動輪(WLf,WRf)と、駆動輪(WLf,WRf)を駆動するための動力を発生する動力源(EG,MT)と、を有する車両(1)の走行制御を行う車両用制御装置であって、動力源(EG,MT)から駆動輪(WLf,WRf)に伝達する動力を制御する走行制御部(120)と、車両(1)に乗車する乗員(P)の乗車位置(S)を検知する乗員情報取得部(77)と、を有し、乗員情報取得部(77)が検知する乗員(P)には、車両(1)を運転する運転者(Pd)と運転者(Pd)の他に車両(1)に乗車する一人又は複数の同乗者(Pe)とを含み、走行制御部(120)は、乗員(P)が運転者(Pd)のみである場合と、乗員(P)に同乗者(Pe)が含まれる場合とで、動力源(EG,MT)から駆動輪(WLf,WRf)に伝達する動力を異ならせ、且つ、運転者(Pd)及び同乗者(Pe)の乗車位置(S)に応じて、動力源(EG,MT)から駆動輪(WLf,WRf)に伝達する動力を異ならせることを特徴とする。
【0007】
このように、走行制御部は、車両の乗員が運転者のみである場合と、車両の乗員に同乗者が含まれる場合とで、動力源から駆動輪に伝達する動力を異ならせる。また、運転者及び同乗者の乗車位置に応じて動力源から駆動輪に伝達する動力を異ならせる。これにより、運転者のみが車両に乗車する場合の運転者の乗り心地を快適に維持するとともに、同乗者が車両に乗車する場合の同乗者の乗り心地を快適にすることができる。また、多様な制御を行い、乗員がより快適な乗り心地になるように設定することができる。
【0008】
また、上記車両用制御装置において、走行制御部(120)は、車両(1)が直進状態であるときと、車両(1)が旋回状態であるときとで、動力源(EG,MT)から駆動輪(WLf,WRf)に伝達する動力を異ならせることとしてもよい。
【0009】
このように、車両が直進状態であるときと車両が旋回状態であるときとで動力源から駆動輪への伝達動力を異ならせることで、多様な制御を行い、乗員がより快適な乗り心地になるように設定することができる。
【0010】
また、上記車両用制御装置において、乗車位置(S)は、少なくとも、運転者(Pd)の位置である第一乗車位置(Sf1)と、車両(1)の左右方向において第一乗車位置(Sf1)に隣接する第二乗車位置(Sf2)と、車両(1)の前後方向において第一乗車位置(Sf1)の後方に隣接する第三乗車位置(Sr3)と、前後方向において第二乗車位置(Sf2)の後方に隣接する第四乗車位置(Sr4)と、を含むこととしてもよい。
【0011】
また、上記車両用制御装置において、走行制御部(120)は、車両(1)が直進状態であるとき、同乗者(Pe)が乗車していない場合、同乗者(Pe)が第二乗車位置(Sf2)に乗車している場合、同乗者(Pe)が第三乗車位置(Sr3)又は第四乗車位置(Sr4)に乗車している場合、の順で、動力源(EG,MT)から駆動輪(WLf,WRf)に伝達する動力を小さくすることとしてもよい。
【0012】
このように、車両が直進状態であるとき、車両に同乗者が乗車している場合は車両に同乗者が乗車していない場合よりも駆動輪への伝達動力を抑制することで、同乗者に作用する物理量を抑制する。また、同乗者が後方の乗車位置にいる場合は、その他の場合よりも駆動輪への伝達動力を抑制することで、後方の乗車位置にいる同乗者に作用する物理量をさらに抑制する。同乗者は、運転者と比較して、より穏やかな乗り心地を好む傾向にある。ここで、同乗者に作用する物理量を、運転者に作用する物理量よりも小さくすることで、より穏やかな乗り心地になる。このため、上述のように走行制御部が制御することで、車両の直進状態において、同乗者がいない場合に運転者の乗り心地を快適に保つのみならず、同乗者がいる場合により穏やかな乗り心地にすることができ同乗者の乗り心地を快適に保つことができる。
【0013】
また、上記車両用制御装置において、走行制御部(120)は、車両(1)が旋回状態であるとき、第一乗車位置(Sf1)が旋回方向の内側となる場合には、同乗者(Pe)が乗車していない場合、同乗者(Pe)が第三乗車位置(Sr3)のみに乗車している場合、同乗者(Pe)が第二乗車位置(Sf2)に乗車しており第四乗車位置(Sr4)に乗車していない場合、同乗者(Pe)が第四乗車位置(Sr4)に乗車している場合、の順で、動力源(EG,MT)から駆動輪(WLf,WRf)に伝達する動力を小さくし、且つ、第一乗車位置(Sf1)が旋回方向の外側となる場合には、同乗者(Pe)が乗車していない場合、同乗者(Pe)が第四乗車位置(Sr4)のみに乗車している場合、同乗者(Pe)が第二乗車位置(Sf2)に乗車しており第三乗車位置(Sr3)に乗車していない場合、同乗者(Pe)が第三乗車位置(Sr3)に乗車している場合、の順で、動力源(EG,MT)から駆動輪(WLf,WRf)に伝達する動力を小さくすることとしてもよい。
【0014】
このように、車両が旋回状態であるとき、車両に同乗者が乗車している場合は車両に同乗者が乗車していない場合よりも駆動輪への伝達動力を抑制することで、同乗者に作用する物理量を抑制する。また、運転者の位置である第一乗車位置が旋回方向の内側に位置する場合と旋回方向の外側に位置する場合とで、より物理量が作用しやすい乗車位置にいる同乗者に作用する物理量を抑制するように、駆動輪への伝達動力を抑制することで、同乗者に作用する物理量を効果的に抑制することができる。
【0015】
また、上記車両用制御装置において、車両(1)は、動力源(EG,MT)に対して動力調整部(CLt)を介して接続されることで動力源(EG,MT)の動力により駆動される副駆動輪(WLr,WRr)を有し、走行制御部(120)は、車両(1)が旋回状態であるとき、運転者(Pd)及び同乗者(Pe)の乗車位置(S)に応じて、動力源(EG,MT)から副駆動輪(WLr,WRr)に伝達する動力を異ならせることとしてもよい。
【0016】
このように、車両が旋回状態であるとき、運転者及び同乗者の乗車位置に応じて、動力源から副駆動輪に伝達する動力を異ならせることで、多様な制御を行い、乗員がより快適な乗り心地になるように設定することができる。
【0017】
また、上記車両用制御装置において、車両(1)が旋回状態のとき、走行制御部(120)は、同乗者(Pe)が第二乗車位置(Sf2)に乗車している場合には、同乗者(Pe)が第二乗車位置(Sf2)に乗車していない場合よりも、動力源(EG,MT)から副駆動輪(WLr,WRr)に伝達する動力を小さくすることとしてもよい。
【0018】
このように、車両の旋回状態において、同乗者が第二乗車位置に乗車している場合には、同乗者が第二乗車位置に乗車していない場合よりも、動力源から副駆動輪に伝達する動力を小さくすることで、同乗者が第二乗車位置に乗車している場合に、同乗者に作用する物理量を抑制することができる。
【0019】
また、上記車両用制御装置において、車両(1)が旋回状態のとき、走行制御部(120)は、同乗者(Pe)が第三乗車位置(Sr3)及び第四乗車位置(Sr4)のいずれにも乗車していない場合、同乗者(Pe)が第三乗車位置(Sr3)に乗車しておらず第四乗車位置(Sr4)に乗車している場合、同乗者(Pe)が第三乗車位置(Sr3)に乗車している場合、の順で、動力源(EG,MT)から副駆動輪(WLr,WRr)に伝達する動力を小さくすることとしてもよい。
【0020】
このように、車両の旋回状態において、運転者が乗車する第一乗車位置の後方に隣接する第三乗車位置と、運転者が乗車する第一乗車位置よりも後方に位置する第四乗車位置とを基準として、動力源から副駆動輪に伝達する動力を小さくすることで、車両の旋回状態において同乗者に作用する物理量を効果的に抑制することができる。
【0021】
また、上記車両用制御装置において、副駆動輪(WLr,WRr)は、複数の副駆動輪(WLr,WRr)が左右方向に並んで配置される構成であり、車両(1)は、複数の副駆動輪(WLr,WRr)のそれぞれに動力源(EG,MT)からの動力を所定配分比で配分する動力配分装置(5)を有し、走行制御部(120)は、車両(1)が旋回状態のとき、第一乗車位置(Sf1)が旋回方向の内側となる場合において、同乗者(Pe)が第四乗車位置(Sr4)に乗車している場合には、同乗者(Pe)が第四乗車位置(Sr4)に乗車していない場合よりも、動力配分装置(5)による複数の副駆動輪(WLr,WRr)への動力配分比を所定配分比よりも小さくすることとしてもよい。
【0022】
このように、第一乗車位置が旋回方向の内側となるように車両が旋回した場合、旋回方向の外側で且つ第一乗車位置から最も遠くに位置する第四乗車位置に乗車する同乗者には、大きな物理量が作用する。ここで、同乗者が第四乗車位置に乗車している場合に、副駆動輪への動力配分比を通常の所定配分比よりも小さくすることで、第四乗車位置に乗車する同乗者に作用する物理量を抑制することができる。
【0023】
また、上記車両用制御装置において、走行制御部(120)は、車両(1)が旋回状態のとき、第一乗車位置(Sf1)が旋回方向の外側となる場合において、同乗者(Pe)が第四乗車位置(Sr4)に乗車している場合と同乗者(Pe)が第四乗車位置(Sr4)に乗車していない場合とのいずれの場合であっても、動力配分装置(5)による複数の副駆動輪(WLr,WRr)への動力配分比を所定配分比にすることとしてもよい。
【0024】
このように、第一乗車位置が旋回方向の外側にあるように車両が旋回した場合、第四乗車位置は旋回方向の内側になるため、第四乗車位置に乗車する同乗者には、それほど大きな物理量が作用しない。この場合、副駆動輪への動力配分比を通常の所定配分比のままとすることで、制御が簡単になる。
【0025】
また、上記車両用制御装置において、走行制御部(120)は、運転者(Pd)及び同乗者(Pe)が車両(1)に乗車している場合における同乗者(Pe)に作用する物理量が、運転者(Pd)のみが車両(1)に乗車している場合における運転者(Pd)に作用する物理量よりも小さくなるように制御することとしてもよい。
【0026】
このように制御することで、運転者のみが車両に乗車している場合には、運転者の操作に伴って運転者が予測した物理量が運転者に作用するため、運転者の操作感を損なうことはなく、運転者の乗り心地を快適にすることができる。また、同乗者がいる場合には、同乗者に作用する物理量が小さくなるように制御することで、同乗者の乗り心地を快適にすることができる。
【0027】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる車両用制御装置によれば、運転者が単独で車両に乗車する場合における運転者の乗り心地と車両に同乗者が乗車する場合における同乗者の乗り心地とが快適になるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態の車両制御装置の機能構成図である。
図2】ハイブリッド車両の構成を示す概略図である。
図3】乗員識別部及び乗員情報取得部の構造を示す模式図である。
図4】走行制御部による制御手順全体の概略を示すフローチャートである。
図5】車両が直進状態の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が所定の乗車位置の乗員の有無を示す表であり、(b)が操作子開度に対する出力値を示すグラフである。
図6】所定の操作子開度の場合に、乗員にかかる慣性力を示す図である。
図7】車両の旋回方向の説明図であり、(a)は右旋回の説明図、(b)が左旋回の説明図である。
図8】車両が旋回状態(右旋回)の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が乗車位置の乗員の有無を示す表であり、(b)が操舵角に対する出力値を示すグラフである。
図9】車両が旋回状態(左旋回)の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が乗車位置の乗員の有無を示す表であり、(b)が操舵角に対する出力値を示すグラフである。
図10】車両が旋回状態の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が乗車位置の乗員の有無を示す表であり、(b)が操舵角に対する出力値を示すグラフである。
図11】車両が旋回状態の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が右旋回時の動力配分比を説明するグラフであり、(b)が左旋回時の動力配分比を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、車両1に搭載された車両制御装置100(車両用制御装置)の機能構成図である。同図を用いて車両制御装置100の構成を説明する。この車両制御装置100が搭載される車両1は、例えば、四輪の自動車であり、内燃機関を動力源とした自動車や、電動機を動力源とした電気自動車、内燃機関及び電動機を兼ね備えたハイブリッド自動車等を含む。
【0031】
車両制御装置100は、外部状況取得部12、経路情報取得部13、走行状態取得部14など車両1の外部からの各種情報を取り入れるための手段を備える。また、アクセルペダル70、ブレーキペダル72、及びステアリングホイール74(ハンドル)、切替スイッチ80等、操作が入力される操作デバイス(操作子)を備える。また、アクセル開度センサ71、ブレーキ踏量センサ73、及びステアリング操舵角センサ75等の操作検出センサと、乗員Pを検知する乗員識別部15と、乗員識別部15からの検知情報を取得する乗員情報取得部77と、を備える。また、車両制御装置100は、車両1の駆動又は操舵を行うための装置として、走行駆動力出力装置90と、ステアリング装置92と、ブレーキ装置94を備える。
【0032】
これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、例示した操作デバイスについてはあくまで一例であり、ボタン、ダイヤルスイッチ、GUI(Graphical User Interface)スイッチ等が車両1に搭載されても構わない。
【0033】
外部状況取得部12は、車両1の外部状況、例えば、走行路の車線や車両周辺の物体といった車両周辺の環境情報を取得するように構成される。外部状況取得部12は、例えば、カメラやレーダ等を備える。
【0034】
経路情報取得部13は、ナビゲーション装置を含む。ナビゲーション装置は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機や地図情報、ユーザインターフェースとして機能するタッチパネル式表示装置、スピーカ、マイク等を有する。ナビゲーション装置は、GNSS受信機によって車両1の位置を特定し、その位置からユーザによって指定された目的地までの経路を導出する。ナビゲーション装置により導出された経路は、経路情報144として記憶部140に格納される。
【0035】
走行状態取得部14は、車両1の現在の走行状態を取得するように構成される。走行状態取得部14は、走行位置取得部26と、車速取得部28と、角速度取得部30と、走行軌道取得部34とを含む。
【0036】
走行位置取得部26は、走行状態の1つである車両1の走行位置及び車両1の姿勢(進行方向)を取得するように構成される。走行位置取得部26は、各種測位装置、例えば、衛星や路上装置から送信される電磁波を受信して位置情報(緯度、経度、高度、座標等)を取得する装置(GPS受信機、GNSS受信機、ビーコン受信機等)やジャイロセンサや加速度センサ等を備える。車両1の走行位置は車両1の特定部位を基準に測定される。
【0037】
車速取得部28は、走行状態の1つである車両1の速度(車速)を取得するように構成される。車速取得部28は、例えば、1以上の車輪に設けられる速度センサ等を備える。角速度取得部30は、例えば、ヨーレートセンサ等を備え、走行状態の1つである車両1のヨーレート等を取得するように構成される。角速度取得部30は、その他の角速度であるピッチレートやロールレートを取得するセンサを付帯してもよい。
【0038】
走行軌道取得部34は、走行状態の1つである車両1の実走行軌道の情報(実走行軌道)を取得するように構成される。実走行軌道とは、実際に車両1が走行した軌道(軌跡)を含み、これから走行する予定の軌道、例えば走行した軌道(軌跡)の進行方向前側の延長線を含んでいてもよい。走行軌道取得部34はメモリを備える。メモリは実走行軌道に含まれる一連の点列の位置情報を記憶する。また、延長線はコンピュータ等により予測可能である。
【0039】
操作検出センサであるアクセル開度センサ71、ブレーキ踏量センサ73、ステアリング操舵角センサ75は、検出結果としてのアクセル開度(操作子開度)、ブレーキ踏量、ステアリング操舵角を車両制御装置100に出力する。
【0040】
切替スイッチ80は、車両1の乗員Pによって操作されるスイッチである。切替スイッチ80は、乗員Pの操作を受け付け、受け付けた操作内容から運転モード(例えば、自動運転モード及び手動運転モード)の切り替えを行う。例えば、切替スイッチ80は、乗員Pの操作内容から、車両1の運転モードを指定する運転モード指定信号を生成し、車両制御装置100に出力する。
【0041】
また、本実施形態の車両1は、運転者Pdによりシフトレバーを介して操作されるシフト装置60を備える。シフト装置60の近傍には、シフトポジションセンサ205が設けられる。シフトポジションセンサ205で検出されたシフトポジションの情報は、車両制御装置100に入力される。なお、手動運転モードでは、シフトポジションセンサ205で検出されたシフトポジションの情報は、直接的に走行駆動力出力装置90に出力される。
【0042】
本実施形態における乗員識別部15は、例えば、車両1の車室内を撮像可能なカメラや各種センサを備え、車両1における乗員Pの乗車位置等の情報を把握する。乗員識別部15により検知された検知情報は、車両1に乗車する乗員Pの情報の1つとして、乗員情報取得部77に出力される。乗員情報取得部77により取得された乗員Pの情報は、車両制御装置100に出力される。乗員識別部15及び乗員情報取得部77について、詳細は後述する。
【0043】
走行駆動力出力装置90は、ECU(Electronic Control Unit)である。走行駆動力出力装置90は、走行制御部120から出力される走行制御の指令値(出力値)を取得し、当該指令値に基づいて、車両1に搭載され動力を発生する動力源や自動変速機TM等を制御する。
【0044】
ステアリング装置92は、走行制御部120から入力される情報に従って、転舵輪の向きを変更する。ブレーキ装置94は、走行制御部120から入力される情報に従って、制動操作に応じた制動力を出力するブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。
【0045】
次に、車両制御装置100について説明する。車両制御装置100は、自動運転制御部110と、走行制御部120と、記憶部140とを備える。
【0046】
自動運転制御部110は、自車位置認識部112と、外界認識部114と、行動計画生成部116と、目標走行状態設定部118とを備える。自動運転制御部110の各部、走行制御部120の一部又は全部は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現される。
【0047】
自動運転制御部110は、切替スイッチ80からの信号の入力に従い、運転モードを切り替えて制御を行う。運転モードとしては、車両1の加減速及び操舵を自動的に制御する運転モード(自動運転モード)や、車両1の加減速をアクセルペダル70やブレーキペダル72等の操作デバイスに対する操作に基づいて制御し、操舵をステアリングホイール74等の操作デバイスに対する操作に基づいて制御する運転モード(手動運転モード)があるが、これに限定されるものではない。
【0048】
なお、手動運転モードの実施時においては、自動運転制御部110は動作を停止し、操作検出センサからの入力信号が走行制御部120に出力されるようにしてもよいし、直接的に走行駆動力出力装置90、ステアリング装置92、又はブレーキ装置94に供給されるようにしてもよい。
【0049】
自動運転制御部110の自車位置認識部112は、記憶部140に格納された地図情報142と、外部状況取得部12、経路情報取得部13、又は走行状態取得部14から入力される情報とに基づいて、車両1が走行している車線(走行車線)や走行車線に対する車両1の相対位置を認識する。
【0050】
外界認識部114は、外部状況取得部12等から入力される情報に基づいて、周辺車両の位置、及び速度、加速度等の状態を認識する。また、外界認識部114は、周辺車両に加えて、ガードレールや電柱、駐車車両、歩行者その他の物体の位置を認識してもよい。
【0051】
行動計画生成部116は、自動運転の開始地点、自動運転の終了予定地点、及び/又は自動運転の目的地を設定する。行動計画生成部116は、その開始地点と終了予定地点の間の区間や、開始地点と自動運転の目的地との間の区間において、行動計画を生成する。行動計画生成部116によって生成された行動計画を示す情報は、行動計画情報146として記憶部140に格納される。
【0052】
目標走行状態設定部118は、行動計画生成部116により決定された行動計画と、外部状況取得部12、経路情報取得部13、及び走行状態取得部14により取得される各種情報に基づいて、車両1の目標とする走行状態である目標走行状態を設定するように構成される。目標走行状態設定部118は、目標値設定部52と目標軌道設定部54とを含む。また、目標走行状態設定部118は、偏差取得部42、補正部44も含む。
【0053】
目標値設定部52は、車両1が目標とする走行位置(目標位置)の情報、車速の目標値(目標車速)の情報、ヨーレートの目標値の(目標ヨーレート)の情報を設定するように構成される。目標軌道設定部54は、外部状況取得部12により取得される外部状況、及び、経路情報取得部13により取得される走行経路情報に基づいて、車両1の目標軌道の情報を設定するように構成される。目標軌道は、単位時間毎の目標位置の情報を含む。各目標位置には、車両1の姿勢情報(進行方向)が対応づけられる。また、各目標位置に車速、加速度、ヨーレート、横G、操舵角、操舵角速度、操舵角加速度等の目標値情報が対応づけられてもよい。上述した目標位置、目標車速、目標ヨーレート、目標軌道は目標走行状態を示す情報である。
【0054】
偏差取得部42は、目標走行状態設定部118で設定される目標走行状態と、走行状態取得部14で取得される実走行状態とに基づいて、目標走行状態に対する実走行状態の偏差を取得するように構成される。
【0055】
補正部44は、偏差取得部42により取得される偏差に応じて、目標走行状態を補正するように構成される。
【0056】
走行制御部120は、車両1の走行を制御するように構成される。具体的には、車両1の走行状態を、目標走行状態設定部118により設定された目標走行状態、又は、補正部44により設定された新たな目標走行状態に一致あるいは近づけるように走行制御の指令値を出力する。
【0057】
走行制御部120は、加減速指令部56と、操舵指令部58とを含む。加減速指令部56は、車両1の走行制御のうち、加減速制御を行うように構成される。また、操舵指令部58は、車両1の走行制御のうち、操舵制御を行うように構成される。
【0058】
図2を用いて、車両制御装置100を適用可能な車両1として、全輪駆動のハイブリッド車両を例示して説明する。図2は、ハイブリッド車両の構成を示す概略図である。図2に示すように、ハイブリッド自動車の車両1は、動力源として、エンジンEG(内燃機関)及びモータMT(電動機)を備える。車両1は、さらに、モータMTを制御するためのインバータINVと、バッテリBAT(蓄電器)と、自動変速機TM(変速機)と、ディファレンシャル機構DFと、左右の駆動輪WLf,WRfとを備える。
【0059】
エンジンEGとモータMTの回転駆動力は、自動変速機TM、ディファレンシャル機構DFを介して左右の駆動輪WLf,WRfに伝達される。また、車両1には、クラッチCLeを有する。クラッチCLeを締結することで、エンジンEGから自動変速機TMへの動力の伝達が行われる。このため、クラッチCLeは、エンジンEGと自動変速機TMとの動力伝達の接続と遮断を行うことができる。エンジンEG、モータMT及び自動変速機TMは、走行駆動力出力装置90により制御される。
【0060】
この構成により、車両制御装置100から指令を受けた走行駆動力出力装置90は、各種の運転条件に応じて、モータMTのみを動力源とするモータ単独走行(EV走行)をするように制御したり、エンジンEGのみを動力源とするエンジン単独走行をするように制御したり、エンジンEGとモータMTの両方を動力源として併用する協働走行(HEV走行)をするように制御する。
【0061】
また、本実施形態の車両1は、プロペラシャフト4と、リアディファレンシャル機構DFrと、リアディファレンシャル機構DFrに接続される左右の出力軸OSL,OSRと、左右の出力軸OSL,OSRから動力が伝達される左右の副駆動輪WLr,WRrと、を有する。これにより、動力源からの動力が、プロペラシャフト4を介して副駆動輪WLr,WRrに伝達される。
【0062】
プロペラシャフト4には、プロペラシャフト4における伝達動力の伝達、遮断、調整を行う動力調整クラッチCLt(動力調整部)が付帯される。動力調整クラッチCLtの締結度合いを走行制御部120からの指令に基づいて調整することで、動力源からプロペラシャフト4を介してリアディファレンシャル機構DFrに伝達される動力を調整することができる。また、動力調整クラッチCLtがあることで、動力源から駆動輪WLf,WRfに伝達する動力の傾向と、動力源から副駆動輪WLr,WRrに伝達する動力の傾向とを異ならせることができる。
【0063】
リアディファレンシャル機構DFrには、左右の出力軸OSL,OSRが接続され、リアディファレンシャル機構DFrに伝達された動力は、それぞれ、左右の副駆動輪WLr,WRrへ配分される。
【0064】
左の出力軸OSLには第一クラッチCLLが付帯され、右の出力軸OSRには第二クラッチCLRが付帯される。第一クラッチCLL及び第二クラッチCLRは、接続状態と遮断状態の単なる切替えのみならず、滑り度合いを調整して接続状態又は遮断状態を複数段階に切り替えることが可能である。
【0065】
第一クラッチCLLと第二クラッチCLRの締結度合いを走行制御部120からの指令に基づいて調整することで、リアディファレンシャル機構DFrから左右の出力軸OSL,OSRを介して左右の副駆動輪WLr,WRrに伝達される動力を調整することができる。このように、車両1では、副駆動輪WLr,WRrの動力(トルク)を個別に調整することができる。また、走行制御部120は、第一クラッチCLL及び第二クラッチCLRを制御して、左右の副駆動輪WLr,WRrの動力配分比又はトルク差を調整する。
【0066】
本実施形態においては、リアディファレンシャル機構DFr、第一クラッチCLL及び第二クラッチCLRによって、プロペラシャフト4から左右の副駆動輪WLr,WRrへ動力を配分する動力配分装置5を構成する。動力配分装置5は、通常の走行状態において車両1が旋回した場合、動力源からプロペラシャフト4を介して伝達された動力を、所定配分比で左右の副駆動輪WLr,WRrに配分する。
【0067】
図3を用いて、車両1の車室内に配置された乗員識別部15の配置及び乗員情報取得部77の構造を詳細に説明する。図3は、乗員識別部15及び乗員情報取得部77の構造を示す模式図である。なお、同図における乗車位置Sには、乗員Pが乗車し得るが、乗員Pの図示については同図では省略する。また、乗員Pとは、車両1を運転する運転者Pdと運転者Pdの他に車両1に乗車する一人又は複数の同乗者Peとを含む(図7参照)。本実施形態では5人の乗員Pを収容し得る車両1を例示して説明する。
【0068】
乗員識別部15は、車両1に乗車する乗員Pの有無や乗車位置Sを検知する。本実施形態の車両1の乗車位置Sは、運転者Pdの位置である第一乗車位置Sf1と、車両1の左右方向において第一乗車位置Sf1に隣接する第二乗車位置Sf2と、車両1の前後方向において第一乗車位置Sf1の後方に隣接する第三乗車位置Sr3と、前後方向において第二乗車位置Sf2の後方に隣接する第四乗車位置Sr4と、第三乗車位置Sr3と第四乗車位置Sr4の間に位置する第五乗車位置Sr5とを有する。
【0069】
乗員識別部15は、乗員Pを撮影する撮像カメラ15cと乗員Pの重量を検知する荷重センサ15sとから構成される。撮像カメラ15c及び荷重センサ15sは、それぞれ乗員情報取得部77に接続される。このため、撮像カメラ15c及び荷重センサ15sの検知情報は、乗員情報取得部77に出力される。また、乗員情報取得部77と車両制御装置100とは接続されているため、乗員情報取得部77により取得された乗員Pの情報は、車両制御装置100に出力される。
【0070】
本実施形態における撮像カメラ15cは、車両1の前後方向に2つ設けられている。具体的には、前方の撮像カメラ15cは、第一乗車位置Sf1及び第二乗車位置Sf2に乗車する乗員Pの有無を検知し、後方の撮像カメラ15cは、第三乗車位置Sr3、第四乗車位置Sr4及び第五乗車位置Sr5の乗員Pの有無を検知し得る。
【0071】
また、荷重センサ15sは、座席の着座部の内部等に設けられ、所定の荷重がかかった場合に、乗車位置Sに乗員Pが位置していることを検知する。本実施形態における荷重センサ15sは、乗員Pが着座し得る乗車位置Sの全てに設けられる。具体的には、第一乗車位置Sf1、第二乗車位置Sf2、第三乗車位置Sr3、第四乗車位置Sr4及び第五乗車位置Sr5のそれぞれに設けられる。
【0072】
〔制御手順全体の概略説明〕
図4を用いて、車両制御装置100の中で特に走行制御を行う走行制御部120の制御手順全体の概略を説明する。図4は、走行制御部120による制御手順全体の概略を示すフローチャートである。図4に示すように、まず、走行制御部120は、車両1の走行時において、車両1の走行状態が直進状態か旋回状態かを判断する(ステップST1)。
【0073】
本実施形態では、車両1の走行状態を判断するために、ステアリング操舵角センサ75(走行状態検知部)を用いる。具体的には、ステアリング操舵角センサ75の操舵角が所定値未満の場合に、車両1が直進状態だと判断し、ステアリング操舵角センサ75の操舵角が所定値以上の場合に、車両1が旋回状態だと判断する。また、ステアリング操舵角センサ75は、旋回状態である場合における車両1の旋回方向をも検知する。この検知信号を出力することにより、車両1の走行状態を車両制御装置100を介して走行制御部120に伝達することができる。なお、走行状態検知部は、ステアリング操舵角センサ75を用いることに限らない。車両1の旋回状態と旋回方向を判断しうる方法であれば、その他の方法であってもよい。
【0074】
走行制御部120は、車両1が直進状態と判断した場合は、第一制御手順(ステップST10)に移行する。一方、車両1が旋回状態と判断した場合は、第二制御手順(ステップST20)に移行する。このように、走行制御部120は、ステアリング操舵角センサ75から車両1が直進状態であることを取得したときと旋回状態であることを取得したときとで、異なる制御を行う。
【0075】
ステップST1において、車両1が直進状態と判断された場合、本実施形態の第一制御手順(ステップST10)に移行する。この場合、走行制御部120は、アクセルペダル70の開度(操作子開度)をアクセル開度センサ71から取得するとともに(ステップST11)、乗員情報取得部77から乗員Pの乗車位置Sを取得する(ステップST12)。そして、乗車位置Sに対応した直進状態の制御モードMd10を選択し(ステップST13)、この直進状態の制御モードMd10を用いて操作子開度に応じた出力値を設定する(ステップST14)。
【0076】
ステップST1において、車両1が旋回状態と判断された場合、本実施形態の第二制御手順(ステップST20)に移行する。この場合、走行制御部120は、ステアリング操舵角センサ75から操舵角を取得するとともに(ステップST21)、乗員情報取得部77から乗員Pの乗車位置Sを取得する(ステップST22)。そして、乗車位置Sに対応した旋回状態の制御モードMd20を選択し(ステップST23)、この旋回状態の制御モードMd20を用いて操舵角に応じた出力値を設定する(ステップST24)。
【0077】
このように、車両1が直進状態の場合の第一制御手順も、車両1が旋回状態の場合の第二制御手順も、乗員Pの乗車位置Sを取得して、乗車位置Sに応じた出力値を設定する点で共通する。また、第一制御手順と第二制御手順とのいずれであっても、走行制御部120は、乗車位置Sから、乗員Pが運転者Pdのみであるか又は同乗者Peがいるかどうかという情報を取得し、これに応じた制御を行う点でも共通する。
【0078】
次に、車両1が直進状態の場合における第一制御手順(ステップST10)にて行われる制御内容と車両1が旋回状態の場合における第二制御手順(ステップST20)にて行われる制御内容とを、それぞれ順に詳細に説明する。
【0079】
〔車両1が直進状態の場合における制御方法〕
図5及び図6を用いて、車両1が直進状態の場合における制御方法を説明する。図5は、車両1が直進状態の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が所定の乗車位置Sの乗員Pの有無を示す表であり、(b)が操作子開度に対する出力値を示すグラフである。図5(b)は、走行制御部120に入力されるアクセルペダル70の開度(操作子開度)と走行制御部120が走行駆動力出力装置90に指示する出力値との関係を例示する。走行駆動力出力装置90は、この出力値が大きくなるほど、動力源から駆動輪WLf,WRfに伝達する動力(左右の駆動輪WLf,WRfの動力の和)が大きくなるように制御する。
【0080】
図5(a)では、乗員情報取得部77が取得する乗車位置Sとして、第一乗車位置Sf1、第二乗車位置Sf2、第三乗車位置Sr3、第四乗車位置Sr4の4つを用いている。また、各乗車位置Sにおいて、乗員Pありの場合を○印で表し、乗員Pなしの場合を×印で表している。これについては以下の説明でも同様である。
【0081】
そして、図5(a)に示す制御においては、直進状態の制御モードMd10として、次の3種類のモードを有する。具体的には、第一乗車位置Sf1のみに乗員PがいるモードMd11と、第一乗車位置Sf1の他に第二乗車位置Sf2のみに乗員PがいるモードMd12と、後部乗車位置である第三乗車位置Sr3又は第四乗車位置Sr4の少なくとも一方に乗員PがいるモードMd13と、を有する。
【0082】
図5(b)に示すように、直進状態の制御モードMd10のうち、モードMd11では、所定の操作子開度に対する出力値が相対的に最も大きくなるように設定され、モードMd12、モードMd13となるにつれて、所定の操作子開度に対する出力値が相対的に小さくなるように設定される。
【0083】
図6を用いて、車両1が直進状態の場合における制御方法の効果を説明する。図6は、所定の操作子開度の場合に、乗員Pにかかる慣性力を示す図である。ここで、モードMd11、モードMd12及びモードMd13は、運転者Pdに作用する慣性力を示す。
【0084】
図6に示すように、乗員Pが第一乗車位置Sf1のみに乗車している場合、すなわち運転者Pdのみが乗車している場合、モードMd11を選択することにより、運転者Pdにかかる慣性力は相対的に強いものとなる。一方、乗員Pが、第一乗車位置Sf1と第二乗車位置Sf2とに乗車している場合、すなわち運転者Pd及び一人の同乗者Peがいずれも前方の乗車位置に乗車している場合、モードMd12を選択することにより、運転者Pdにかかる慣性力は、モードMd11の場合よりも小さくなり、これに伴い、同乗者Peにかかる慣性力も小さくなる。そして、乗員Pが、後部乗車位置である第三乗車位置Sr3又は第四乗車位置Sr4に乗車している場合は、モードMd11やモードMd12より運転者Pdに慣性力がかからないモードMd13を選択する。このように、運転者Pdにかかる慣性力を抑制することで、後部乗車位置の同乗者Peにかかる慣性力も、相対的に小さくなる。
【0085】
〔第二制御手順の具体例〕
図7乃至図11を用いて、車両1が旋回状態の場合における制御方法を説明する。図7は、車両1の旋回方向の説明図であり、(a)は右旋回の説明図、(b)が左旋回の説明図である。図7に示すように、本実施形態の車両1においてステアリングホイール74は右前方に配置されるため、運転者Pdが乗車する第一乗車位置Sf1は、右前方にある。すると、図7(a)に示すように、車両1が右旋回した場合には、運転者Pdが乗車する第一乗車位置Sf1は、旋回方向の内側になる。一方、図7(b)に示すように、車両1が左旋回した場合には、運転者Pdが乗車する第一乗車位置Sf1は、旋回方向の外側になる。以下に示す本実施形態の旋回状態の制御においては、旋回方向の外側に同乗者Peが乗車している場合、この同乗者Peに作用する慣性力を小さくするように制御を行っている。
【0086】
図8を用いて、第一乗車位置Sf1が旋回方向の内側である場合、すなわち本実施形態において車両1が右旋回した場合において、動力源から駆動輪WLf,WRfに伝達する動力の出力値を、走行制御部120がどのように設定するかの一例を説明する。図8は、車両1が旋回状態(右旋回)の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が乗車位置Sの乗員Pの有無を示す表であり、(b)が操舵角に対する出力値を示すグラフである。図8(b)は、走行制御部120に入力されるステアリングホイール74の操舵角と走行制御部120が走行駆動力出力装置90に指示する出力値との関係を例示する。走行駆動力出力装置90は、この出力値が大きくなるほど、動力源から駆動輪WLf,WRfへの伝達動力が大きくなるように制御する。
【0087】
図8(a)に示す右旋回時の制御においては、旋回状態の制御モードMd20として、次の4種類のモードを有する。具体的には、第一乗車位置Sf1のみに乗員Pとしての運転者Pdが乗車しており同乗者Peは車両1に乗車していない場合のモードMd21aと、同乗者Peが第三乗車位置Sr3のみに乗車している場合のモードMd22aと、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車しており第四乗車位置Sr4に乗車していない場合のモードMd23aと、同乗者Peが第四乗車位置Sr4に乗車している場合のモードMd24aと、を有する。
【0088】
図8(b)に示すように、右旋回時における旋回状態の制御モードMd20のうち、モードMd21aでは、所定の操舵角に対する出力値が相対的に最も大きくなるように設定され、モードMd22a、モードMd23a、モードMd24a、となるにつれて、所定の操舵角に対する出力値が相対的に小さくなるように設定される。
【0089】
図9を用いて、第一乗車位置Sf1が旋回方向の外側である場合、すなわち本実施形態において車両1が左旋回した場合において、動力源から駆動輪WLf,WRfに伝達する動力の出力値を、走行制御部120がどのように設定するかの一例を説明する。図9は、車両1が旋回状態(左旋回)の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が乗車位置Sの乗員Pの有無を示す表であり、(b)が操舵角に対する出力値を示すグラフである。図9(b)は、走行制御部120に入力されるステアリングホイール74の操舵角と走行制御部120が走行駆動力出力装置90に指示する出力値との関係を例示する。走行駆動力出力装置90は、この出力値が大きくなるほど、動力源から駆動輪WLf,WRfへの伝達動力が大きくなるように制御する。
【0090】
図9(a)に示す左旋回時の制御においては、旋回状態の制御モードMd20として、次の4種類のモードを有する。具体的には、第一乗車位置Sf1のみに乗員Pとしての運転者Pdが乗車しており同乗者Peは車両1に乗車していない場合のモードMd21bと、同乗者Peが第四乗車位置Sr4のみに乗車している場合のモードMd22bと、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車しており第三乗車位置Sr3に乗車していない場合のモードMd23bと、同乗者Peが第三乗車位置Sr3に乗車している場合のモードMd24bと、を有する。
【0091】
図9(b)に示すように、右旋回時における旋回状態の制御モードMd20のうち、モードMd21bでは、所定の操舵角に対する出力値が相対的に最も大きくなるように設定され、モードMd22b、モードMd23b、モードMd24b、となるにつれて、所定の操舵角に対する出力値が相対的に小さくなるように設定される。
【0092】
図10を用いて、旋回状態の場合において、動力源から副駆動輪WLr,WRrに伝達する動力(左右の副駆動輪WLr,WRrの和)の出力値を、走行制御部120がどのように設定するかの一例を説明する。図10は、車両1が旋回状態の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が乗車位置Sの乗員Pの有無を示す表であり、(b)が操舵角に対する出力値を示すグラフである。図10(b)は、走行制御部120に入力されるステアリングホイール74の操舵角と走行制御部120が走行駆動力出力装置90に指示する出力値との関係を例示する。走行駆動力出力装置90は、この出力値が大きくなるほど、動力源から副駆動輪WLr,WRrへの伝達動力が大きくなるように制御する。
【0093】
図10(a)に示す旋回時の制御においては、旋回状態の制御モードMd20として、次の8種類のモードを有する。具体的には、まず、第一乗車位置Sf1のみに乗員Pとしての運転者Pdが乗車しており同乗者Peは車両1に乗車していない場合のモードMd21cを有する。また、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車していない場合の旋回状態の制御モードMd20として、同乗者Peが第四乗車位置Sr4のみに乗車している場合のモードMd22cと、同乗者Peが第三乗車位置Sr3のみに乗車している場合のモードMd23cと、同乗者Peが第三乗車位置Sr3及び第四乗車位置Sr4に乗車している場合のモードMd24cと、を有する。また、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車している場合の旋回状態の制御モードMd20として、同乗者Peが第三乗車位置Sr3及び第四乗車位置Sr4のいずれにも乗車していない場合のモードMd25cと、同乗者Peが第三乗車位置Sr3に乗車しておらず且つ第四乗車位置Sr4に乗車している場合のモードMd26cと、同乗者Peが第三乗車位置Sr3に乗車しており且つ第四乗車位置Sr4に乗車していない場合のモードMd27cと、同乗者Peが第三乗車位置Sr3及び第四乗車位置Sr4に乗車している場合のモードMd28cと、を有する。
【0094】
図10(b)に示すように、旋回時における旋回状態の制御モードMd20のうち、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車している場合のモード(モードMd25c〜モードMd28c)は、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車していない場合のモード(モードMd21c〜モードMd24c)よりも、所定の操舵角に対する出力値が相対的に小さくなるように設定される。
【0095】
また、旋回時における旋回状態の制御モードMd20のうち、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車していない場合、モードMd21cでは、所定の操舵角に対する出力値が相対的に最も大きくなるように設定され、モードMd22c、モードMd23c又はモードMd24c、となるにつれて、所定の操舵角に対する出力値が相対的に小さくなるように設定される。なお、モードMd23cとモードMd24cとは出力値は同様であるが、左右の副駆動輪WLr,WRrに対する動力配分比が異なる。動力配分比については後述する。
【0096】
また、旋回時における旋回状態の制御モードMd20のうち、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車している場合、モードMd25cでは、所定の操舵角に対する出力値が相対的に最も大きくなるように設定され、モードMd26c、モードMd27c又はモードMd28c、となるにつれて、所定の操舵角に対する出力値が相対的に小さくなるように設定される。なお、モードMd27cとモードMd28cとは出力値は同様であるが、左右の副駆動輪WLr,WRrに対する動力配分比が異なる。動力配分比については後述する。
【0097】
図11を用いて、旋回状態の場合において、動力源から左右の副駆動輪WLr,WRrに配分する動力配分比を、走行制御部120がどのように設定するかの一例を説明する。図11は、車両1が旋回状態の場合における制御方法の一例を示す図であり、(a)が右旋回時の動力配分比を説明するグラフであり、(b)が左旋回時の動力配分比を説明するグラフである。図11では、モードMd23cとモードMd24cとの動力配分比の例のみを説明し、これと動力配分の傾向が同様であるモードMd27cとモードMd28cとの動力配分比の例については、説明を省略する。
【0098】
図11(a)に示すように、モードMd23c又はモードMd24cを選択した場合において、本実施形態の車両1の右旋回時には、同乗者Peが第四乗車位置Sr4に乗車しているか否かを判断する。そして、同乗者Peが第四乗車位置Sr4に乗車している場合(モードMd24cの場合)には、同乗者Peが第四乗車位置Sr4に乗車していない場合(モードMd23cの場合)よりも、動力配分装置5による左右の副駆動輪WLr,WRrへの動力配分比が小さくなるように出力値を制御する。具体的には、モードMd23cの場合には、走行制御部120は、上記動力配分比が通常走行時に用いる所定配分比となるように出力値を設定しているところ、モードMd24cの場合には、左の副駆動輪WLrへの出力値を通常時よりも下げつつ右の副駆動輪WRrへの出力値を通常時よりも上げることで、上記動力配分比が所定配分比よりも小さくなるように設定する。
【0099】
一方、図11(b)に示すように、モードMd23c又はモードMd24cを選択した場合において、本実施形態の車両1の左旋回時には、同乗者Peが第四乗車位置Sr4に乗車している場合(モードMd24c)と同乗者Peが第四乗車位置Sr4に乗車していない場合(モードMd23c)とで、上記動力配分比に差異はもたせない。この場合、走行制御部120は、上記動力配分比が通常走行時に用いる所定配分比となるように出力値を設定する。
【0100】
このように、本実施形態においては、旋回状態の場合において、動力源から左右の副駆動輪WLr,WRrに動力配分する場合において、第四乗車位置Sr4に乗車する同乗者Peが旋回方向の外側になる場合に、第四乗車位置Sr4に乗車する同乗者Peに作用する慣性力が小さくなるように、動力配分比を小さくしている。
【0101】
以上のように、本実施形態の車両用制御装置によれば、車両1の乗員Pが運転者Pdのみである場合と、車両1の乗員Pに同乗者Peが含まれる場合とで、動力源から駆動輪WLf,WRfに伝達する動力を異ならせる。また、運転者Pd及び同乗者Peの乗車位置Sに応じて動力源から駆動輪WLf,WRfへ伝達する動力を異ならせる。これにより、運転者Pdのみが車両1に乗車する場合の運転者Pdの乗り心地を快適に維持するとともに、同乗者Peが車両1に乗車する場合の同乗者Peの乗り心地を快適にすることができる。また、多様な制御を行い、乗員Pがより快適な乗り心地になるように設定することができる。
【0102】
また、車両1が直進状態であるときと車両1が旋回状態であるときとで動力源から駆動輪WLf,WRfへの伝達動力を異ならせることで、多様な制御を行い、乗員Pがより快適な乗り心地になるように設定することができる。
【0103】
また、乗車位置Sは、少なくとも、第一乗車位置Sf1と、第二乗車位置Sf2と、第三乗車位置Sr3と、第四乗車位置Sr4と、を含む。これにより、少なくとも4つの乗車位置に応じて制御を異ならせることができ、多様な制御を行うことができる。
【0104】
また、車両1が直進状態であるとき、車両1に同乗者Peが乗車している場合は車両1に同乗者Peが乗車していない場合よりも駆動輪WLf,WRfへの伝達動力を抑制することで、同乗者Peに作用する物理量を抑制する。また、同乗者Peが後方の乗車位置である第三乗車位置Sr3や第四乗車位置Sr4にいる場合は、その他の場合よりも駆動輪WLf,WRfへの伝達動力を抑制することで、後方の乗車位置にいる同乗者Peに作用する物理量をさらに抑制する。
【0105】
同乗者Peは、運転者Pdと比較して、より穏やかな乗り心地を好む傾向にある。ここで、同乗者Peに作用する物理量を、運転者Pdに作用する物理量よりも小さくすることで、同乗者Peの乗り心地は、より穏やかになる。すると、車両1の直進状態において、同乗者Peがいない場合に運転者Pdの乗り心地を快適に保つのみならず、同乗者Peがいる場合により穏やかな乗り心地にすることができ同乗者Peの乗り心地を快適に保つことができる。
【0106】
また、車両1が旋回状態であるとき、車両1に同乗者Peが乗車している場合は車両1に同乗者Peが乗車していない場合よりも駆動輪WLf,WRfへの伝達動力を抑制することで、同乗者Peに作用する物理量を抑制する。また、運転者Pdの位置である第一乗車位置Sf1が旋回方向の内側に位置する場合と旋回方向の外側に位置する場合とで、より物理量が作用しやすい乗車位置にいる同乗者Peに作用する物理量を抑制するように、駆動輪WLf,WRfへの伝達動力を抑制する。これにより、同乗者Peに作用する物理量を効果的に抑制することができる。
【0107】
また、車両1が旋回状態であるとき、運転者Pd及び同乗者Peの乗車位置Sに応じて、動力源から副駆動輪WLr,WRrに伝達する動力を異ならせることで、多様な制御を行い、乗員Pがより快適な乗り心地になるように設定することができる。
【0108】
また、車両1の旋回状態において、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車している場合には、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車していない場合よりも、動力源から副駆動輪WLr,WRrに伝達する動力を小さくすることで、同乗者Peが第二乗車位置Sf2に乗車している場合に、同乗者Peに作用する物理量を抑制することができる。
【0109】
また、車両1の旋回状態において、後方にある第三乗車位置Sr3と第四乗車位置Sr4とを基準として、動力源から副駆動輪WLr,WRrに伝達する動力を小さくすることで、車両1の旋回状態において同乗者Peに作用する物理量を効果的に抑制することができる。
【0110】
また、第一乗車位置Sf1が旋回方向の内側となるように車両1が旋回した場合、旋回方向の外側で且つ第一乗車位置Sf1から最も遠くに位置する第四乗車位置Sr4に乗車する同乗者Peには、大きな物理量が作用する。ここで、同乗者Peが第四乗車位置Sr4に乗車している場合に、副駆動輪WLr,WRrへの動力配分比を通常の所定配分比よりも小さくすることで、第四乗車位置Sr4に乗車する同乗者Peに作用する物理量を抑制することができる。
【0111】
また、第一乗車位置Sf1が旋回方向の外側にあるように車両1が旋回した場合、第四乗車位置Sr4は旋回方向の内側になるため、第四乗車位置Sr4に乗車する同乗者Peには、それほど大きな物理量が作用しない。この場合、副駆動輪WLr,WRrへの動力配分比を通常の所定配分比のままとすることで、制御が簡単になる。
【0112】
また、本実施形態においては、運転者Pd及び同乗者Peが車両1に乗車している場合における同乗者Peに作用する物理量が、運転者Pdのみが車両1に乗車している場合における運転者Pdに作用する物理量よりも小さくなるように制御する。このように、運転者Pdのみが車両1に乗車している場合には、運転者Pdの操作に伴って運転者Pdが予測した物理量が運転者Pdに作用するため、運転者Pdの操作感を損なうことはなく、運転者Pdの乗り心地を快適にすることができる。また、同乗者Peがいる場合には、同乗者Peに作用する物理量が小さくなるように制御することで、同乗者Peの乗り心地を快適にすることができる。
【0113】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0114】
上述の実施形態においては、車両1として、自動運転モードと手動運転モードとを選択可能な車両を例示して説明したが、これに限るものではなく、自動運転モードのない車両であってもよい。また、上述の実施形態においては、車両1を、動力源としてエンジンEG及びモータMTを有するハイブリッド自動車の車両を例示して説明したが、これに限るものではなく、いずれか一方のみを動力源とするものとしてもよい。
【0115】
また、上述の実施形態においては、乗員Pに作用する物理量として加速度に基づく慣性力を例示して説明したが、これに限るものではない。例えば、乗員Pに作用する物理量を、加速度の微分値である加加速度(躍度又はジャーク)に基づく物理量としてもよいし、ヨーレート、ピッチレート及びロールレート等に基づく物理量としてもよい。また、これらを複合的に組み合わせて求められる物理量としてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…車両
5…動力配分装置
15…乗員識別部
15c…撮像カメラ
15s…荷重センサ
30…角速度取得部
70…アクセルペダル(操作子)
71…アクセル開度センサ
74…ステアリングホイール
75…ステアリング操舵角センサ(走行状態検知部)
77…乗員情報取得部
90…走行駆動力出力装置
100…車両制御装置
120…走行制御部
CLt…動力調整クラッチ(動力調整部)
EG…エンジン(動力源)
MT…モータ(動力源)
P…乗員
Pd…運転者
Pe…同乗者
S…乗車位置
Sf1…第一乗車位置
Sf2…第二乗車位置
Sr3…第三乗車位置
Sr4…第四乗車位置
Sr5…第五乗車位置
WLf,WRf…駆動輪
WLr,WRr…副駆動輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11