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特開2019-217941映像表示システム、映像表示方法、プログラム、及び移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-217941(P2019-217941A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】映像表示システム、映像表示方法、プログラム、及び移動体
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20191129BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20191129BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20191129BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   B60K35/00 A
   G02B27/01
   B60R11/02 C
   H04N5/74 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-117662(P2018-117662)
(22)【出願日】2018年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】船引 誠
(72)【発明者】
【氏名】谷口 康二
(72)【発明者】
【氏名】岡山 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】東山 匡史
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 陽介
【テーマコード(参考)】
2H199
3D020
3D344
5C058
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA14
2H199DA15
2H199DA36
2H199DA43
2H199DA46
3D020BA04
3D020BC03
3D020BD05
3D020BE03
3D344AA21
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD01
5C058AA18
5C058BA01
5C058BA35
5C058EA32
5C058EA54
(57)【要約】
【課題】虚像の投影距離の変化を目立ちにくくできる映像表示システム、映像表示方法、プログラム、及び移動体を提供する。
【解決手段】映像表示システム10は、表示部2と、投影部3と、表示制御部4と、を備える。表示部2は画像を表示する。投影部3は、表示部2の出力光により、画像に対応する虚像を対象空間に投影する。表示制御部4は、虚像を見るユーザの視点から対象空間に投影される虚像までの投影距離を変更可能である。表示制御部4は、変更態様で投影距離を変更する。変更態様は、状況情報に応じて変化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記表示部の出力光により、前記画像に対応する虚像を対象空間に投影する投影部と、
前記虚像を見るユーザの視点から前記対象空間に投影される前記虚像までの投影距離を変更可能である表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、変更態様で前記投影距離を変更し、
前記変更態様は、状況情報に応じて変化する、
映像表示システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記ユーザの視点から前記虚像を見る場合の俯角を変更可能である、
請求項1に記載の映像表示システム。
【請求項3】
前記表示制御部が、前記投影距離と、前記ユーザの視点から前記虚像を見る場合の俯角との少なくとも一方に基づいて、前記表示部が前記画像を表示する表示態様を変更する、
請求項1又は2に記載の映像表示システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、距離指令に基づいて前記投影距離を変更しており、
前記表示制御部は、前記投影距離を変化させる変化速度の大きさに上限値を設定する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項5】
前記投影距離が短くなる方向に前記投影距離を変化させる場合の前記変化速度の大きさと、前記投影距離が長くなる方向に前記投影距離を変化させる場合の前記変化速度の大きさとが異なる、
請求項4に記載の映像表示システム。
【請求項6】
前記投影距離が短くなるほど、前記投影距離を変化させる変化速度が遅い、
請求項4又は5に記載の映像表示システム。
【請求項7】
前記状況情報は、周囲の明るさに関する明るさ情報を含み、
前記表示制御部が、前記明るさ情報に応じて前記投影距離を変化させる変化速度を変更する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項8】
前記状況情報は、前記投影距離に関連する入力情報を含み、
前記表示制御部は、前記入力情報の値の変化に応じて、前記投影距離を段階的に変化させる、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項9】
前記表示部と前記投影部と前記表示制御部とが移動体に搭載されており、
前記状況情報は、前記移動体に関する移動体情報を含み、
前記表示制御部は、前記移動体情報に基づいて、前記投影距離を変更する、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項10】
前記表示部と前記投影部と前記表示制御部とが移動体に搭載されており、
前記状況情報は、前記移動体の速度以外の制御状態に関する制御情報を含み、
前記表示制御部は、前記制御情報に応じて前記投影距離を変化させる変化速度を変更する、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項11】
前記表示部と前記投影部と前記表示制御部とが移動体に搭載されており、
前記表示制御部は、前記ユーザの視点から前記虚像を見る場合の俯角が所定角度以下である場合は、前記俯角が前記所定角度よりも大きい場合に比べて、前記移動体の速度が基準速度よりも低い範囲での前記投影距離を長くする、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項12】
前記表示部と前記投影部と前記表示制御部とが移動体に搭載されており、
前記虚像は、第1虚像と、イベントの発生時にのみ表示される第2虚像とを含み、
前記表示制御部は、前記投影距離が所定距離よりも短い場合は、前記投影距離が前記所定距離以上である場合に比べて、前記第1虚像の明るさを低下させ、前記第2虚像の明るさは変更せずに前記第2虚像を投影する時間を短くする、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の映像表示システム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の映像表示システムと、前記映像表示システムを搭載する移動体本体と、を備える、
移動体。
【請求項14】
ユーザの視点から表示部の出力光によって対象空間に投影される虚像までの投影距離を、状況情報に応じた変更態様で変更する処理、を含む、
映像表示方法。
【請求項15】
請求項14に記載の映像表示方法をコンピュータシステムに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像表示システム、映像表示方法、プログラム、及び映像表示システムを備える移動体に関する。より詳細には、本開示は、対象空間に虚像を投影する映像表示システム、映像表示方法、プログラム、及び映像表示システムを備える移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象空間に虚像を投影する映像表示システムとして、特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置があった。ヘッドアップディスプレイ装置は、プロジェクタと、プロジェクタから映像が投射される第2スクリーン(表示部)とを備えている。映像表示システムは、第2スクリーンに投射した映像を車両のフロントウィンドウに反射させて車両の乗員に視認させることによって、車両の乗員が視認する映像の虚像を生成する。
【0003】
このヘッドアップディスプレイ装置では、第2スクリーンを光路に沿って前後方向に移動させることで、第2スクリーンに投射された映像の虚像である第2虚像が生成される位置を変更する。ヘッドアップディスプレイ装置は、第2スクリーンを移動させる場合に、第2スクリーンの位置の変更に伴って、第2スクリーンへ投射する映像の歪みやサイズを調整する処理を行っている。ヘッドアップディスプレイ装置は、第2スクリーンの移動を完了すると、移動後の第2スクリーンの位置に対応する補正が行われた映像の投射を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−11211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のヘッドアップディスプレイ装置では、第2虚像が生成される位置(虚像の投影距離)を変更する場合に、第2スクリーンを移動させて第2スクリーンの移動が完了した後に、第2スクリーンへ投射する映像の補正を行っている。そのため、第2スクリーンの移動中に第2虚像に歪みが発生する可能性があり、第2虚像の投影位置の変化が目立ってしまう可能性があった。
【0006】
本開示の目的は、虚像の投影距離の変化を目立ちにくくできる映像表示システム、映像表示方法、プログラム、及び移動体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の映像表示システムは、表示部と、投影部と、表示制御部と、を備える。前記表示部は画像を表示する。前記投影部は、前記表示部の出力光により、前記画像に対応する虚像を対象空間に投影する。前記表示制御部は、前記虚像を見るユーザの視点から前記対象空間に投影される前記虚像までの投影距離を変更可能である。前記表示制御部は、変更態様で前記投影距離を変更する。前記変更態様は、状況情報に応じて変化する。
【0008】
本開示の一態様の移動体は、前記映像表示システムと、前記映像表示システムを搭載する移動体本体と、を備える。
【0009】
本開示の一態様の映像表示方法は、ユーザの視点から表示部の出力光によって対象空間に投影される虚像までの投影距離を、状況情報に応じた変更態様で変更する処理を含む。
【0010】
本開示の一態様のプログラムは、前記映像表示方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、虚像の投影距離の変化を目立ちにくくできる映像表示システム、映像表示方法、プログラム、及び移動体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る映像表示システムの概略構成図である。
図2図2は、同上の映像表示システムを備える移動体の概略説明図である。
図3図3は、同上の映像表示システムを用いた場合のユーザの視野を示す概念図である。
図4図4は、同上の映像表示システムの動作を説明するフローチャートである。
図5図5A及び図5Bは、同上の映像表示システムが虚像の投影距離を変化させる変更態様の一例を説明する説明図である。
図6図6Aは、同上の映像表示システムが虚像の投影距離を長くする場合の変更態様の一例を説明する説明図である。図6Bは、同上の映像表示システムが虚像の投影距離を短くする場合の変更態様の一例を説明する説明図である。
図7図7は、同上の映像表示システムにおいて虚像の投影距離と移動体の速度との関係を示す説明図である。
図8図8は、本開示の一実施形態の変形例1に係る映像表示システムが虚像の投影距離を長くする場合の変更態様の一例を説明する説明図である。
図9図9は、本開示の一実施形態の変形例4に係る映像表示システムにおいて虚像の投影距離と移動体の速度との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
(1)概要
本実施形態の映像表示システム10は、図1及び図2に示すように、表示部2と、投影部3と、表示制御部4と、を備える。
【0014】
表示部2は画像を表示する。
【0015】
投影部3は、表示部2の出力光により、画像に対応する虚像301を対象空間400に投影する。
【0016】
表示制御部4は投影距離を変更可能である。投影距離は、虚像301を見るユーザ200の視点から対象空間400に投影される虚像301までの距離である。表示制御部4は、変更態様で投影距離を変更する。変更態様は、状況情報に応じて変化する。
【0017】
このような、映像表示システム10は、例えば自動車のような移動体100の移動体本体101に搭載される。移動体100に搭乗しているユーザ200(例えば移動体100の運転者等)は、映像表示システム10によって表示される虚像301が、移動体100の前方に設定された対象空間400に投影されているように視認する。ここで、「虚像」は、映像表示システム10から出射される光が、移動体100のウィンドシールド102等の反射物にて反射するとき、その反射光線によって、実際に物体があるように結ばれる像を意味する。ウィンドシールド102は光透過性を有しており、ユーザ200はウィンドシールド102を通して移動体100の前方の対象空間400を見ることができる。そのため、ユーザ200は、移動体100の前方に広がる実空間に重ねて、映像表示システム10にて投影される虚像301を見ることができる。したがって、映像表示システム10によれば、例えば、速度情報、車両コンディション情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、及び車線逸脱情報等の、種々の運転支援情報を、虚像301として表示し、ユーザ200に視認させることができる。これにより、ユーザ200は、ウィンドシールド102の前方に視線を向けた状態から僅かな視線移動だけで、運転支援情報を視覚的に取得することができる。ユーザ200の視点とは、空間上の1点に限定されず、ユーザ200の目があると想定される所定の範囲(いわゆる、アイボックス)のことである。この範囲(アイボックス)にユーザ200の目があれば、ユーザ200は虚像301を目視可能である。投影距離は、ユーザ200の視点(アイボックス)から虚像301の代表点(虚像301においてユーザ200が注目する点であり、例えば虚像301の重心等)までの距離である。アイボックスは、虚像301を視認可能な視点の範囲であり、予め設定されている。投影距離の「変更態様」とは、投影距離を変更するときの仕方(投影距離の変化のさせ方)であり、例えば投影距離を変化させる変化速度等を変化させることをいう。「状況情報」は、映像表示システム10を搭載する移動体100の状態に関する情報(例えば、速度、制御状態に関する情報等)と、映像表示システム10の周囲環境(例えば明るさ、振動等)に関する情報との少なくとも1つを含む。
【0018】
本実施形態では、表示制御部4が、状況情報に応じた変更態様で投影距離を変更しているので、虚像301の変化(虚像301自体の変化、又は虚像301の投影距離の変化等)に気付きにくい変更態様で投影距離を変更することができる。したがって、対象空間400に投影される虚像301の投影距離を変化させる場合に、虚像301の投影距離の変化を目立ちにくくできる。よって、ユーザ200が虚像301の投影距離の変化に気付きにくくなり、ユーザ200が違和感を覚える可能性を低減できる。
【0019】
(2)詳細
以下、実施形態に係る映像表示システム10、及び映像表示システム10を備える移動体100について図面を参照して詳しく説明する。
【0020】
(2.1)構成
本実施形態の映像表示システム10は、図1及び図2に示すように、例えば、自動車のような移動体100が備えるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)である。つまり、移動体100は、映像表示システム10と、映像表示システム10を搭載する移動体本体101とを備えている。
【0021】
映像表示システム10は、移動体100のウィンドシールド102(反射部材)に下方から画像を投影するように、移動体100の車室内に配置されている。図2の例では、ウィンドシールド102の下方のダッシュボード103内に、映像表示システム10が配置されている。映像表示システム10からウィンドシールド102に画像が投影されると、ユーザ200は、ウィンドシールド102に投影された画像を、移動体100の前方(車外)に設定された対象空間400内に表示された虚像301として視認する。
【0022】
ここでいう「虚像」は、映像表示システム10から出射される画像光がウィンドシールド102等の反射部材にて反射するとき、その反射光線によって、実際に物体があるように結ばれる像を意味する。そのため、移動体100に搭乗しているユーザ200は、図3に示すように、移動体100の前方に広がる実空間に重ねて、映像表示システム10にて投影される虚像301を見ることができる。したがって、映像表示システム10によれば、種々の運転支援情報を虚像301として実空間と重ねて表示して、ユーザ200に視認させることができる。
【0023】
映像表示システム10によって対象空間400に投影される虚像301は仮想面501上に表示される。仮想面501は、映像表示システム10の光軸500に対する傾斜角度αが所定値γよりも大きい(α>γ)仮想面である。光軸500は、投影部3を介してユーザ200の目(視点)に光が入射する方向を意味する。光軸500は、投影部3から出力される光のうちウィンドシールド102で反射された光がユーザ200の目(視点P1)に入射する方向であり、ユーザ200の目(視点P1)と虚像301の位置とを結ぶ光路に沿っている。光軸500は、移動体100の前方の対象空間400において、移動体100の前方の路面600に沿っている。ここにおいて、所定値γは一例として45度であって、傾斜角度αは一例として90度である。虚像301が形成される仮想面501は、路面600に対して略垂直である。路面600が水平面である場合には、虚像301は鉛直面に沿って表示される。したがって、仮想面501上に形成される虚像301は、路面600に対して略垂直な平面上にあるようにユーザ200に視認される。
【0024】
虚像301は、例えば移動体100の速度に応じて投影距離が変更される。表示制御部4は、仮想面501上に表示される虚像301の投影距離を変更態様に応じて変更する。虚像301の投影距離を変更する変更態様は状況情報に応じて変化する。
【0025】
虚像301は、第1虚像301aと、イベントの発生時にのみ表示される第2虚像301bと、を含む。ここにおいて、「イベント」とは、第2虚像301bを表示するトリガとなる事象であり、例えば、ナビゲーションシステムからユーザ200に通知する情報が入力されること、移動体100に関する異常又は警報等の情報が入力されることの少なくとも一方を含む。尚、図3の例では、ウィンドシールド102の下部左側又は下部右側に第1虚像301aが投影され、ウィンドシールド102の下部中央に第2虚像301bが投影されているが、第1虚像301a及び第2虚像301bの表示位置は適宜変更が可能である。例えば、ウィンドシールド102の下部に第1虚像301aが投影され、ウィンドシールド102の上部に第2虚像301bが投影されてもよい。
【0026】
第1虚像301aは、例えば、移動体100の状態を示す状態情報、及び移動体100の周囲の環境に関する環境情報のうち少なくとも1つを表示するための虚像である。第1虚像301aは、移動体100が走行する期間の全体を通じて表示されるが、第1虚像301aの表示が一時的に停止されてもよい。状態情報は、例えば、移動体100の速度(車速)を示す速度情報、距離情報、時間情報のうち少なくとも1つを含む。距離情報は、例えば、移動体100の総走行距離、所定の出発地からの走行距離、ナビゲーションシステムに登録された目的地までの残距離のうちの少なくとも1つである。時間情報は、現在時刻、目的地への到着予想時刻のうちの少なくとも1つである。環境情報は、例えば、周囲の気温、風速、風向、天気等の情報のうちの少なくとも1つである。図3に例示した第1虚像301aは、例えば移動体100の速度を示す文字列(例えば「20km/h」)で構成されるが、第1虚像301aは速度を示す虚像に限定されず、適宜変更が可能である。
【0027】
第2虚像301bは、例えば、ナビゲーションシステムから所定のタイミングで通知される第1通知情報、移動体100に関する異常又は警報を通知するための第2通知情報のうち少なくとも1つの情報を通知するための虚像である。第1通知情報は、例えば、右折又は左折する地点までの距離及び進行方向を通知する情報、移動体100が走行している道路に設置された道路標識の認識結果(例えば速度標識に表示された制限速度)に関する情報等を含む。第2通知情報は、例えば、移動体100において異常が発生した際に移動体100の異常を通知する通知情報、及び移動体100の走行に関連する警報を通知する通知情報のうち少なくとも1つを含む。移動体100における異常には、例えば、エンジン、バッテリ等の動作不良、ドアの閉め忘れ、シートベルトの装着忘れ等がある。また、移動体100の走行に関連する警報には、例えば、移動体100が車線を逸脱した場合の警報、障害物の接近を通知する警報、前方車両又は後方車両の異常な接近を通知する警報、移動体100の速度が制限速度を超過した場合の警報等がある。
【0028】
ここで、図3に例示した第2虚像301bは、例えば、移動体100が進路変更を行う位置に接近した場合に、ナビゲーションシステムから通知される通知情報である。第2虚像301bは、進路を変更する向きを示す記号(例えば、矢印)と、進路を変更する位置までの距離を示す文字列(例えば「50m」)とで構成される。尚、第2虚像301bは、ナビゲーションシステムから所定のタイミングで通知される通知情報に限定されず、適宜変更が可能である。
【0029】
第1虚像301a及び第2虚像301bは、例えば、文字、数字、記号、及びメータ(例えば、速度計、燃料計等のメータ)にてこれらの情報を提示すること等が可能である。
【0030】
上述のように、本実施形態の映像表示システム10は、仮想面501上に、第1虚像301a及び第2虚像301bの少なくともいずれか一方を含む虚像301を表示可能である。映像表示システム10は、移動体100の数mから数十m前方に虚像301が見えるように虚像301を投影している。そして、映像表示システム10は、移動体100の速度が速いほど遠くに虚像301が見えるように、虚像301の投影距離を変化させており、状況情報に応じた変更態様で虚像301の投影距離を変更する。以下、映像表示システム10の各部の構成について以下に説明する。
【0031】
映像表示システム10は、図1に示すように、本体部1と、表示部2と、投影部3と、表示制御部4と、駆動部5と、環境情報取得部6と、角度調整受付部7と、移動体情報取得部8とを備えている。
【0032】
本体部1は、例えば合成樹脂製の箱体である。本体部1は、表示部2、投影部3、表示制御部4、駆動部5、環境情報取得部6、角度調整受付部7、及び移動体情報取得部8を収容する。本体部1は、例えば、移動体100のダッシュボード103内に固定されている。本体部1は箱体に限定されず、表示部2、投影部3、表示制御部4、駆動部5、環境情報取得部6、角度調整受付部7、及び移動体情報取得部8を保持して移動体本体101に取付可能であれば、本体部1は例えばフレーム又は板材等で構成されてもよい。本体部1の形状等は適宜変更が可能である。
【0033】
表示部2は、例えば、液晶ディスプレイのような表示装置を有している。液晶ディスプレイは、液晶パネル及びバックライトを含む。表示部2は、表示制御部4から入力される画像データに従って画像を表示する。
【0034】
投影部3は、表示部2の表示面から出力される光により、表示部2に表示された画像に対応する虚像301を対象空間400に投影する。本実施形態の映像表示システム10は自動車のような移動体100に搭載されるヘッドアップディスプレイであり、投影部3は、移動体100のウィンドシールド102(図2参照)に画像を投影する。投影された画像は、ウィンドシールド102の投影領域105(図3参照)内に投影される。
【0035】
投影部3は、図1に示すように、第1ミラー31と、第2ミラー32と、を有している。第1ミラー31及び第2ミラー32は、表示部2からユーザ200の視点P1までの光路上に第1ミラー31、第2ミラー32の順番で配置されている。より詳細には、第1ミラー31は、表示部2の出力光が入射するように、表示部2の表示画面の上方に配置されている。第1ミラー31は、表示部2の出力光を、第2ミラー32に向けて反射する。第2ミラー32は、第1ミラー31で反射された表示部2の出力光が入射するような位置(例えば第1ミラー31の前方下側の位置)に配置されている。第2ミラー32は、第1ミラー31で反射された表示部2の出力光を、上方(すなわちウィンドシールド102)に向けて反射する。第1ミラー31は、例えば凸面鏡であり、第2ミラー32は、例えば凹面鏡である。尚、第1ミラー31は凸面鏡に限定されず、平面鏡でもよいし、凹面鏡でもよい。第2ミラー32は凹面鏡に限定されず、平面鏡でもよいし、凸面鏡でもよい。本実施形態では投影部3から投射された光をウィンドシールド102で反射しているが、投影部3から投射された光を、ダッシュボード103の上側に配置された反射部材で反射して、ユーザ200の目に入射させてもよい。
【0036】
表示制御部4は、表示部2の表示内容を制御する。表示制御部4は、虚像301を表示させるための画像データを生成し、生成した画像データを表示部2に出力することによって、虚像301に対応する画像を表示部2に表示させる。また、表示制御部4は、表示部2を変位させる駆動部5を制御することによって、表示部2から光が出力される方向に沿って表示部2を移動させる機能も備えている。表示制御部4は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、表示制御部4は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが所定のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが表示制御部4として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0037】
駆動部5は、ユーザ200の視点(アイボックス)から対象空間400に投影される虚像301までの投影距離が変化するように、表示部2の位置を移動させる。投影距離は、表示部2から投影部3を介してユーザ200の目(視点)に光が照射されるまでの光路長に応じて変化し、光路長が長いほど投影距離が長くなる。駆動部5は、表示部2から投影部3を介してユーザ200の目(視点)に光が照射されるまでの光路長が、表示制御部4から入力される制御指令に対応した距離となるように、表示部2を移動させる。駆動部5は、例えばボイスコイルモータを備えており、ボイスコイルに表示部2が固定されている。ボイスコイルへの通電電流及び通電方向を変えることでボイスコイルが往復動作を行うので、表示部2から光が出射する方向に沿って表示部2の位置を変化させることができる。このように駆動部5が表示部2の位置を変化させることで、表示部2から投影部3を介してユーザ200の目に光が照射されるまでの光路長が変化し、虚像301の投影距離が変化する。尚、駆動部5の構成は一例であり、適宜変更が可能である。
【0038】
環境情報取得部6は、移動体100の周囲環境に関する情報を定期又は不定期に取得する。本実施形態の環境情報取得部6は、周囲環境に関する情報として、例えば、映像表示システム10の周囲の明るさに関する情報を取得する。本体部1には、本体部1(映像表示システム10)の周囲の明るさを検出する明るさセンサが設けられており、環境情報取得部6は、明るさセンサの測定値をもとに、本体部1の周囲の明るさに関する情報を取得する。ここで、周囲の明るさに関する情報を取得するためのセンサは、例えば移動体100の周囲を撮影するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の画像センサでもよい。環境情報取得部6は、画像センサから取得した画像データに基づき、各画素の画素値から周囲の明るさに関する情報を取得することができる。
【0039】
尚、周囲環境に関する情報は、映像表示システム10の周囲の明るさに関する情報に限定されない。周囲環境に関する情報は、映像表示システム10の周囲の明るさ、映像表示システム10を搭載する移動体100に発生する振動、温度、及び湿度のうち少なくとも1つに関する情報でもよい。
【0040】
角度調整受付部7は、移動体100の運転席に座るユーザ200から虚像301を見た場合の俯角を調整するための調整情報を受け付ける。俯角は、ユーザ200が虚像301を見下ろす場合に、ユーザ200の視点(アイボックス)と虚像301の代表点とを結ぶ視線方向が水平面となす角度である。移動体100の運転席には俯角を調整するための操作部が設けられており、操作部を用いてユーザ200が入力した調整情報を角度調整受付部7は受け付ける。角度調整受付部7は、操作部から受け付けた調整情報をもとに、俯角を調整する俯角調整指令を表示制御部4に出力する。表示制御部4は、角度調整受付部7から入力された俯角調整指令に基づいて表示部2に表示する画像の位置を変更することで、投影部3によって投影される虚像301をユーザ200が見る場合の俯角を調整する。すなわち、表示制御部4は、ユーザ200の視点(つまりアイボックス)から虚像301を見る場合の俯角を変更可能であり、ユーザ200が見やすい俯角で虚像301を投影することができる。尚、駆動部5が、投影部3の第2ミラー32の向きを調整する機能を備えている場合、表示制御部4が俯角調整指令に基づいて駆動部5を制御し、駆動部5によって第2ミラー32の向きを変化させることで俯角を調整してもよい。駆動部5は、投影部3を構成する光学部品、表示部2、本体部1の少なくとも1つの向きを調整する機能を備えていてもよい。表示制御部4が俯角調整指令に基づいて駆動部5を制御し、駆動部5が投影部3を構成する光学部品、表示部2、本体部1の少なくとも1つの向きを調整することで俯角を調整してもよい。
【0041】
移動体情報取得部8は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)110から車載ネットワーク(CAN:Controller Area Network)111を介して移動体100の状態に関する移動体情報を定期又は不定期に取得する。移動体情報は、例えば、移動体100の速度に関する速度情報、ナビゲーションシステムから通知される通知情報、各種の警告(例えば、移動体100の異常、障害物の接近、車線からの逸脱、速度の超過等)に関する情報のうち少なくとも1つを含む。尚、ECU110は、例えば、ヒューマンインタフェースが受け付けたユーザ200の操作内容等に基づいて、移動体100の駆動系システム、操舵系システム等を制御する。ECU110は、先進運転システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)から入力される制御命令等に基づいて、移動体100の駆動系システム、操舵系システム等を制御してもよい。
【0042】
(2.2)動作
次に、本実施形態の映像表示システム10の動作について図4図6Bを参照して説明する。
【0043】
以下では、映像表示システム10が、虚像301として移動体100の速度を表す第1虚像301aを投影する場合の動作について図4のフローチャートに基づいて説明する。第2虚像301bを投影する場合の動作は、第1虚像301aを投影する場合の動作と同様であるので、その説明は省略する。尚、第1虚像301aと第2虚像301bとの両方に共通する投影動作について説明する場合、虚像301と記載して説明する場合もある。
【0044】
表示制御部4は、移動体情報取得部8から速度情報を取り込み、この速度情報に基づいて移動体100の速度を表示するための第1虚像301aの画像データを生成し(S1)、表示部2に出力する。表示部2は、表示制御部4から第1虚像301aの画像データが入力されると、画像データに基づく画像を表示する(S2)。
【0045】
また、表示制御部4は、移動体100の速度情報に基づいて第1虚像301aの投影距離を決定する(S3)。移動体100の運転者であるユーザ200が前方を見る場合、ユーザ200は、移動体100の速度が速くなるにつれて、より遠くを見るようになる。そのため、ユーザ200が、移動体100の前方の状況を見る場合と第1虚像301aを見る場合とで視線の移動量が少なくなるように、表示制御部4は、移動体100の速度が速くなるにつれて、第1虚像301aの投影距離を長くする。すなわち、表示制御部4は、移動体情報取得部8から取り込んだ速度情報に基づいて、第1虚像301aの投影距離を所定の範囲(例えば3m以上かつ20m以下の範囲)内で決定する。表示制御部4は、第1虚像301aの投影距離を決定すると、駆動部5に制御指令を出力し、決定した投影距離に対応する位置に表示部2を移動させる。
【0046】
表示部2の表示画面から出力される光(表示画面に表示される画像を形成する光)は、投影部3によってウィンドシールド102に投影され、ウィンドシールド102で反射されてユーザ200の目に照射される。したがって、ユーザ200は、ウィンドシールド102に投影された画像を、表示制御部4が決定した投影距離に投影されている第1虚像301aとして視認する。
【0047】
その後、移動体100の速度が変化すると、表示制御部4は、移動体100の速度情報をもとに第1虚像301aの投影距離を更新する。そして、表示制御部4は、速度が変化する前に決定した投影距離と、速度変化後に決定した投影距離とに基づいて、投影距離を変更する変更態様を決定する(S4)。
【0048】
ところで、図5Aは移動体100が加速した場合に第1虚像301a(虚像301)の投影距離を変化させる変更態様の一例である。図5Aに示す変更態様では、虚像301の投影距離を、変更前の距離L1から、移動体100の速度に基づいて決定された距離L2まで、移動体100が加速する期間に応じた変化時間T1をかけて線形に変化させている。ここで、移動体100が急加速した場合は変化時間T1が短くなり、投影距離が変化する変化速度が速くなるので、投影距離の変化によって第1虚像301aに歪みが発生する場合、第1虚像301aの歪みが目立ちやすくなる。また、第1虚像301aの投影距離が急激に変化する場合に、第1虚像301aの投影距離の変化が目立ちやすくなる。
【0049】
本実施形態の映像表示システム10では、表示制御部4は、移動体情報取得部8が取得した移動体100の速度情報を距離指令とし、この距離指令に応じて虚像301の投影距離を変化させている。つまり、表示制御部4は、距離指令(ここでは、移動体100の速度情報)に応じて虚像301の投影距離を変化させており、表示制御部4には、虚像301の投影距離を変化させる変化速度の大きさ(変化速度の絶対値)の上限値V1が設定されている。図5Aのように、投影距離を距離L1から距離L2まで変化時間T1をかけて変化させる場合の投影距離の変化速度が上限値V1を超える場合、表示制御部4は、投影距離の変化速度が上限値V1以下になるように、投影距離の変更態様を変化させる。すなわち、表示制御部4は、虚像301の投影距離を変化させる場合に、移動体100の状況情報の1つである速度情報に基づいて、投影距離の変更態様(つまり、投影距離を変更する仕方)を変化させる。換言すれば、状況情報は移動体100に関する移動体情報(例えば速度情報)を含み、表示制御部4は、移動体情報に基づいて投影距離を変更する。例えば、表示制御部4は、図5Bに示すように、虚像301の投影距離を、距離L1から距離L2まで変化時間T2(T2>T1)をかけて線形に変化させる。このように、虚像301の投影距離を距離L1から距離L2まで変化させる変化時間をT1からT2に延ばすことによって、投影距離の変化速度が上限値V1以下になるので、虚像301の投影距離が緩やかに変化する。これにより、虚像301の投影距離が変化する変化速度が上限値V1よりも大きい場合に比べて、虚像301の投影距離の変化が目立ちにくくなり、ユーザ200が虚像301の投影距離の変化に気付きにくくなる、という利点がある。
【0050】
表示制御部4は、虚像301の投影距離の変更態様を決定すると、投影距離の変更態様に基づいて表示部2の位置を変化させる制御指令を駆動部5に出力し、駆動部5に表示部2の位置を変化させることで投影距離を変更する処理を行う(S5)。駆動部5が表示部2の位置を変化させると、表示部2からユーザ200の視点までの光路長が変化し、光路長の変化に応じて虚像301の投影距離が距離L1から距離L2まで変化時間T2をかけて線形に変化する。表示制御部4は、上記したステップS1〜S5の処理を繰り返すことで、対象空間400に虚像301を投影する。
【0051】
投影距離の変更後は、虚像301が、移動体100の速度に応じた投影距離に表示されるので、ユーザ200が、移動体100の前方の状況を見る場合と虚像301を見る場合とで視線の移動や焦点調節にかかる時間が短くなる、という利点がある。また、表示制御部4は、移動体100の状況情報、すなわち移動体100の速度情報に応じて投影距離の変更態様を変化させている。例えば、移動体100の急加速によって投影距離の変化速度が上限値V1を超えそうな場合、表示制御部4は、投影距離の変化速度が上限値V1以下となるように投影距離の変更態様を変化させている。これにより、虚像301の投影距離を変化させる変化速度が上限値V1以下に制限されるので、虚像301の投影距離が上限値V1よりも速い変化速度で変化する場合に比べて、ユーザ200が虚像301の投影距離の変化に気付きにくくなる。
【0052】
尚、表示制御部4は、虚像301の投影距離を短くする場合にも投影距離の変化速度の大きさ(つまり、変化速度の絶対値)が上限値以下となるように、投影距離を変化させる変更態様を決定すればよい。移動体100の減速時には、虚像301の投影距離を減速前に比べて短くするが、表示制御部4は、虚像301の投影距離を短くする方向に変化させる変化速度の大きさが上限値以下となるような変更態様で、虚像301の投影距離を変化させる。
【0053】
ここにおいて、表示制御部4は、虚像301の投影距離が長くなる方向に投影距離を変化させる場合の変化速度の大きさと、虚像301の投影距離が短くなる方向に投影距離を変化させる場合の変化速度の大きさとを異なる速度に設定している。
【0054】
図6Aは、虚像301の投影距離を距離L1から距離L2に長くする場合の投影距離の変更態様の一例である。図6Bは、虚像301の投影距離を距離L2から距離L1に短くする場合の投影距離の変更態様の一例である。図6Aの変更態様では、表示制御部4は、虚像301の投影距離を距離L1から距離L2まで変化時間T21をかけて線形に変化させている。一方、図6Bの変更態様では、表示制御部4は、虚像301の投影距離を距離L2から距離L1まで変化時間T22(T22<T21)をかけて線形に変化させている。すなわち、表示制御部4は、虚像301の投影距離が長くなる方向に投影距離を変化させる場合の変化速度の大きさを、虚像301の投影距離が短くなる方向に投影距離を変化させる場合の変化速度の大きさよりも遅くしている。
【0055】
例えば、前方を走行する先行車両700(図3参照)が減速したために移動体100が減速する場合、先行車両700との車間距離が短くなる速度に比べて虚像301の投影距離を短くする変化速度が遅いと、虚像301が先行車両700にめり込んだように見える可能性がある。本実施形態の表示制御部4は、虚像301の投影距離を短くする場合の変化速度を、投影距離を長くする場合の変化速度に比べて速くしているので、移動体100の減速時に、減速後の車速に基づく投影距離により短い時間で変化させることができる。したがって、虚像301が先行車両700にめり込んだように見える事態が発生しにくくなる、という利点がある。また、表示制御部4は、虚像301の投影距離を短くする場合の変化速度に比べて、虚像301の投影距離を長くする場合の変化速度を遅くしているので、移動体100の加速時に虚像301の投影距離の変化に気付きにくくなるという利点がある。尚、虚像301の投影距離が長くなる方向に投影距離を変化させる場合の変化速度の大きさと、虚像301の投影距離が短くなる方向に投影距離を変化させる場合の変化速度の大きさとが異なることは必須ではなく、両者が同じであってもよい。
【0056】
また、表示制御部4は、虚像301の投影距離と、ユーザ200の視点から虚像301を見る場合の俯角との少なくとも一方に基づいて、表示部2が画像を表示する表示態様を変更してもよい。ここで、画像の表示態様を変更する処理とは、表示部2の輝度を変更する処理と、表示部2に表示する画像をぼかす処理との少なくとも一方を含む。表示制御部4は、虚像301の投影距離を変更する場合に、虚像301の投影距離及び俯角に基づいて、表示部2の輝度を暗くする処理と、表示部2に表示する画像をぼかす処理との少なくとも一方を行う。
【0057】
例えば、表示制御部4は、虚像301の投影距離を変更する場合は、虚像301の投影距離を変更しない場合に比べて表示部2の輝度を暗くし、かつ、投影距離が近くなるにつれて表示部2の輝度をより暗くする。これにより、虚像301の投影距離の変化を目立ちにくくすることができる。尚、表示制御部4は、虚像301の投影距離を変更する場合は、虚像301の投影距離を変更しない場合に比べて表示部2に表示する画像のぼかし処理を行い、かつ、投影距離が近くなるにつれてぼかし処理の効果を高めてもよい。
【0058】
また、表示制御部4は、虚像301の俯角が小さいほど、つまり虚像301の表示位置が高いほど、表示部2の輝度を暗くしてもよく、虚像301の投影距離の変化を目立ちにくくすることができる。また、表示制御部4は、虚像301の俯角が小さいほど(つまり虚像301の表示位置が高いほど)、表示部2に表示する画像をぼかす度合いが高まるようにぼかし処理を行ってもよく、虚像301の投影距離の変化を目立ちにくくすることができる。
【0059】
また、表示制御部4は、虚像301の投影距離を変更する場合に、虚像301の表示を点滅させ、虚像301の表示が消えている間のみ、駆動部5を制御して表示部2を移動させることで投影距離を変化させてもよい。これにより、虚像301が表示されている間は、虚像301の投影距離が変化しないので、虚像301の投影距離の変化に気付きにくくなる、という利点がある。
【0060】
また、表示制御部4は、虚像301が消えている状態から虚像301の輝度を徐々に明るくするフェードイン制御を行うとともに、虚像301の投影距離を変化させてもよい。また、表示制御部4は、虚像301が表示されている状態から虚像301が消えるまで虚像301の輝度を徐々に暗くするフェードアウト制御を行うとともに、虚像301の投影距離を変化させてもよい。このように、表示制御部4が、フェードイン制御及びフェードアウト制御を行うのに合わせて虚像301の投影距離を変化させることで、虚像301の投影距離の変化に気付きにくくなるという利点もある。
【0061】
ところで、本実施形態では、状況情報が、投影距離に関連する入力情報(例えば速度情報)を含み、表示制御部4は、入力情報の値の変化に応じて虚像301の投影距離を変化させている。表示制御部4は、入力情報の値の変化に応じて、虚像301の投影距離を連続的(図7のA1)に変化させているが、虚像301の投影距離を段階的(図7のA2)に変化させてもよい。表示制御部4は、入力情報(例えば速度情報)の値の変化に応じて投影距離を段階的に変化させているので、駆動部5が投影距離を変化させる頻度が減り、虚像301の投影距離を変化させる機構(つまり駆動部5)の寿命を延ばすことができる。
【0062】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、映像表示システム10と同様の機能は、映像表示方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る映像表示方法は、ユーザ200の視点から表示部2の出力光によって対象空間400に投影される虚像301までの投影距離を、状況情報に応じた変更態様で変更する。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、上記の映像表示方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【0063】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0064】
本開示における映像表示システム10又は映像表示方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における映像表示システム10又は映像表示方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的な記録媒体は、メモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等である。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものでもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ使い方が可能である。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられてもよい。
【0065】
また、上記の実施形態では、映像表示システム10は、1つの筐体(本体部1)に収まる1つの装置にて実現されているが、映像表示システム10が備える表示部2、投影部3、及び表示制御部4の機能が、2つ以上のシステムに分散して設けられてもよい。また、表示部2、投影部3、及び表示制御部4のうちの少なくとも1つの機能が、2つ以上のシステムに分散して設けられていてもよい。また、表示制御部4は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
【0066】
(3.1)変形例1
変形例1の映像表示システム10では、表示制御部4が、投影距離が短いほど投影距離を変化させる変化速度が遅くなるような変更態様で投影距離を変化させており、この点で上記の実施形態と相違している。尚、変形例1の映像表示システム10の構成は、上記実施形態と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0067】
図8は、変形例1の映像表示システム10が虚像301の投影距離を変化させる変更態様の一例である。表示制御部4は、移動体100の加速時に虚像301の投影距離を距離L1から距離L2まで変化時間T23(T23>T21)をかけて変化させている。表示制御部4は、投影距離を変化させる変化速度を上限値以下に制限しており、虚像301の投影距離が短い場合は投影距離が長い場合に比べて投影距離の変化速度を遅くしている。つまり、状況情報は虚像301の投影距離であり、表示制御部4は、虚像301の投影距離が短いほど投影距離の変化速度が遅くなるような変更態様で投影距離を変更する。
【0068】
ここで、虚像301の投影距離が短い場合は、虚像301の投影距離が長い場合に比べて、虚像301の投影距離の変化に気付きやすくなる。つまり、虚像301がユーザ200の近くに表示されている場合は、虚像301がユーザ200から離れた位置に表示されている場合に比べて、虚像301の投影距離の変化に気付きやすくなる。図8に示す変更態様では、表示制御部4が、虚像301の投影距離が短い場合は投影距離が長い場合に比べて、投影距離の変化速度を遅くしており、投影距離が緩やかに変化するので、ユーザ200が虚像301の投影距離の変化に気付きにくくなる。尚、変形例1においても、表示制御部4は、虚像301の投影距離を変化させる変化速度を上限値V1以下に制限するのが好ましく、虚像301の投影距離の変化を目立ちにくくできる。
【0069】
(3.2)変形例2
変形例2の映像表示システム10では、状況情報が、移動体100の速度以外の制御状態に関する制御情報(例えば、アクセル及びブレーキの操作情報等)を含む。そして、変形例2の映像表示システム10は、表示制御部4が、制御情報に応じて虚像301の投影距離を変化させる変化速度を変更する点で上記の実施形態と相違する。尚、変形例2の映像表示システム10の構成は、上記実施形態と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0070】
移動体情報取得部8は、車載ネットワーク111を介してECU110から移動体100の速度情報に加えて、速度以外の制御状態に関する移動体情報を取得する。例えば、移動体情報取得部8は、ECU110からアクセル及びブレーキの操作量に関する情報を移動体情報として取得する。
【0071】
表示制御部4は、移動体100の速度に応じて虚像301の投影距離を変更する場合に、速度以外の制御状態に関する制御情報に応じて虚像301の投影距離を変化させる変化速度を変更する。例えば、アクセルの操作量が大きいほど、つまり加速の程度が大きいほど、表示制御部4は、虚像301の投影距離を長くする方向に変化させる変化速度の大きさ(絶対値)を大きくする。また、ブレーキの操作量が大きいほど、つまり減速の程度が大きいほど、表示制御部4は、虚像301の投影距離を短くする方向に変化させる変化速度の大きさ(絶対値)を大きくする。これにより、移動体100の制御状態の変化に対して虚像301の投影距離が追随する応答速度を速めることができ、移動体100の制御状態の変化に対して投影距離が変更する応答性を向上させることができる。尚、変形例2においても、表示制御部4は、虚像301の投影距離を変化させる変化速度を上限値V1以下に制限するのが好ましく、虚像301の投影距離の変化を目立ちにくくできる。
【0072】
(3.3)変形例3
変形例3の映像表示システム10は、表示制御部4が、周囲環境に応じた変更態様で虚像301の投影距離を変更する点で上記実施形態と相違する。尚、変形例3の映像表示システム10の構成は、上記実施形態と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0073】
環境情報取得部6は、周囲環境に関する環境情報として、周囲の明るさに関する明るさ情報を、映像表示システム10が備える明るさセンサから取得する。変形例3の映像表示システム10では、状況情報が、周囲の明るさに関する明るさ情報を含んでいる。そして、表示制御部4は、移動体100の速度に応じて虚像301の投影距離を変更する場合に、明るさ情報に応じて、虚像301の投影距離を変化させる変化速度を変更する。
【0074】
例えば、表示制御部4は、移動体100の速度に応じて虚像301の投影距離を変更する場合に、周囲の明るさが明るいほど、虚像301の投影距離を変化させる変化速度を遅くする。本体部1(映像表示システム10)の周囲の明るさ、つまり虚像301が投影される対象空間400の明るさが明るいほど、被写界深度が深くなるので、ユーザ200は、虚像301の投影距離の変化に気付きやすくなる。ここで、表示制御部4が、周囲の明るさが明るいほど、虚像301の投影距離を変化させる変化速度を遅くすれば、ユーザ200が、虚像301の投影距離の変化に気付きにくくなる。
【0075】
尚、表示制御部4は、移動体100の速度に応じて虚像301の投影距離を変更する場合に、周囲の明るさが暗いほど、虚像301の投影距離を変化させる変化速度を遅くしてもよい。周囲の明るさが暗い場合、映像表示システム10によって投影される虚像301が相対的に明るく見える。そこで、表示制御部4は、周囲の明るさが暗いほど、虚像301の投影距離を変化させる変化速度を遅くしてもよく、ユーザ200が、虚像301の投影距離の変化に気付きにくくなる。
【0076】
(3.4)変形例4
変形例4の映像表示システム10では、表示制御部4が、俯角が所定角度(例えば4度程度)以下である場合は、俯角が所定角度よりも大きい場合に比べて、移動体100の速度が基準速度V3(例えば60km以上かつ80km以下の速度)よりも低い範囲での投影距離を長くしており、この点で上記実施形態と相違する。ここで、虚像301の投影距離が同じであれば、俯角が所定角度以下である場合は、俯角が所定角度よりも大きい場合に比べて、虚像301が高い位置に表示される。尚、変形例4の映像表示システム10の構成は、上記実施形態と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0077】
図9に、変形例4の映像表示システム10よって投影される虚像301の投影距離と、移動体100の速度との関係を示す。
【0078】
図9の線A3は、俯角が所定角度以下である場合の虚像301の投影距離と速度との関係を示す。図9の線A4は、俯角が所定角度よりも大きい場合の虚像301の投影距離と速度との関係を示す。
【0079】
図示するように、変形例4では、俯角が所定角度以下である場合は、俯角が所定角度よりも大きい場合に比べて、移動体100の速度が基準速度V3よりも低い範囲(例えば、速度がV2(例えば40km/h)よりも低くV1(例えば30km/h)よりも大きい範囲)での投影距離を長くしている。
【0080】
虚像301の投影距離が短い場合、つまり虚像301がユーザ200の目に近い場合は虚像301に焦点が合いにくく、左目で見える像と右目とで見える像の位置がずれるために、虚像301が二重に見える可能性がある。このように、二重に見える虚像301が高い位置に表示されると、ユーザ200は虚像301の表示を煩わしく感じる可能性がある。
【0081】
変形例4では、表示制御部4が、俯角が所定角度以下である場合は、俯角が所定角度よりも大きい場合に比べて、移動体100の速度が基準速度V3よりも低い範囲での投影距離を長くしているので、虚像301が二重に見える可能性を低減できる。したがって、ユーザ200が虚像301に焦点を合わせるのに要する時間が短くなり、虚像301の表示が見やすくなる。また、虚像301が二重に見える可能性が低減されるので、投影距離の変化に気付きにくくなる。また、移動体100の速度に応じて虚像301の投影距離を変化させる場合には、投影距離を変化させる変化速度が遅くなるので、虚像301の投影距離の変化が目立ちにくくなる、という利点がある。
【0082】
(3.5)変形例5
変形例5の映像表示システム10は、表示制御部4が、第1虚像301aと第2虚像301bとで表示のさせ方を異ならせる点で、上記実施形態と相違する。すなわち、表示制御部4は、投影距離が所定距離よりも短い場合は、投影距離が所定距離以上である場合に比べて、第1虚像301aの明るさを低下させ、第2虚像301bの明るさは変更せずに第2虚像301bを投影する時間を短くする。所定距離は、例えば、投影距離の変更可能な範囲における下限付近の距離である。所定距離は、移動体100が停車している状態での投影距離に所定のマージン(例えば1〜2m)を加えた距離である。停車時の投影距離が5mであれば、所定距離は例えば7m程度の距離に設定されていればよい。尚、変形例5の映像表示システム10の構成は、上記実施形態と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0083】
表示制御部4は、投影距離が所定距離よりも短い場合に、投影距離が所定距離以上である場合に比べて、第1虚像301aの明るさを低下させているので、第1虚像301aの表示が目立ちにくくなる。したがって、第1虚像301aの投影距離の変化が目立ちにくくなる。
【0084】
また、表示制御部4は、投影距離が所定距離よりも短い場合に、投影距離が所定距離以上である場合に比べて、第2虚像301bの明るさは変更せずに第2虚像301bを投影する時間を短くする。第2虚像301bの明るさは変更されないので、第2虚像301bの表示が見やすくなり、また、第2虚像301bを投影する時間を短くすることで、第2虚像301bの投影距離の変化が目立ちにくくなる。
【0085】
(3.6)その他の変形例
上記実施形態では、表示部2が、液晶ディスプレイのような表示装置であったが、液晶ディスプレイ以外の有機EL(Organic Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置でもよい。また、表示部2は、液晶ディスプレイのような表示装置に限定されず、光をスクリーンに投影するプロジェクタを備えるものでもよい。プロジェクタは、スクリーンの裏側から光を投影してスクリーンの表側に画像を表示するリアプロジェクタでもよいし、スクリーンの表側から光を投影してスクリーンの表側に画像を表示するフロントプロジェクタでもよい。プロジェクタは、スクリーンの裏側又は表側から光(例えばレーザ光)を走査して画像を形成する走査型のプロジェクタでもよい。
【0086】
上記実施形態では、投影部3は、表示部2からの出力光をユーザ200の目に照射させるための光学部品として2つのミラー(第1ミラー31及び第2ミラー32)を備えているが、投影部3はミラーのみを備えるものに限定されない。投影部3は、光学部品としてミラーとレンズとの少なくとも一方を備えていてもよく、ミラーとレンズとの少なくとも一方である光学部品の数は1つでも複数でもよい。
【0087】
上記実施形態では、駆動部5が、表示制御部4からの制御指令に基づいて、表示部2の位置を変化させることで虚像301の投影距離を変化させているが、虚像301の投影距離を変化させる構成は、表示部2の位置を変化させるものに限定されない。例えば、駆動部5が、表示制御部4からの制御指令に基づいて、投影部3が備える第1ミラー31及び第2ミラー32のうち少なくとも一方の位置を変化させることで、虚像301の投影距離を変化させてもよい。また、投影部3が光学部品としてレンズを備えている場合、駆動部5が、表示制御部4からの制御指令に基づいて、レンズの位置を変化させることで虚像301の投影距離を変化させてもよい。また、投影部3が光学部品として液晶レンズのようなレンズを備えている場合、駆動部5が、液晶レンズに印加する電圧を変化させて液晶レンズの焦点距離を変化させることで、虚像301の投影距離を変化させてもよい。
【0088】
上記実施形態では、環境情報取得部6は、本体部1に設けられたセンサから周囲環境に関する環境情報(例えば、明るさ情報)を取得しているが、移動体100に設けられたセンサから車載ネットワーク111を介して環境情報を取得してもよい。ここにおいて、環境情報取得部6は、移動体100に設けられたセンサから環境情報を直接取得してもよいし、ECU110等を介してセンサから環境情報を取得してもよい。
【0089】
上記実施形態において、表示制御部4が、虚像301の投影距離を変化させる場合に、虚像301の表示内容(コンテンツ)に応じて、投影距離の変更態様を変化させてもよい。例えば、虚像301の表示内容が、警報等の緊急性がある情報の場合、表示制御部4は、虚像301の投影距離を、上記の上限値を超える変化速度で変化させてもよい。
【0090】
上記実施形態では、映像表示システム10がヘッドアップディスプレイであるが、映像表示システム10は、例えば、ユーザ200の頭部に装着されるヘッドマウントディスプレイ(Head Mounted Display)であってもよい。
【0091】
上記実施形態において、投影距離の変化速度などの2値の比較において、「より大きい」としているところは「以上」であってもよい。つまり、2値の比較において、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「より大きい」か「以上」かに技術上の差異はない。同様に、「以下」としているところは「未満」であってもよい。
【0092】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の映像表示システム(10)は、表示部(2)と、投影部(3)と、表示制御部(4)と、を備える。表示部(2)は画像を表示する。投影部(3)は、表示部(2)の出力光により、画像に対応する虚像(301)を対象空間に投影する。表示制御部(4)は、虚像(301)を見るユーザ(200)の視点から対象空間(400)に投影される虚像(301)までの投影距離を変更可能である。表示制御部(4)は、変更態様で投影距離を変更する。変更態様は状況情報に応じて変化する。
【0093】
この態様によれば、虚像(301)の投影距離を変更する場合に虚像(301)に歪みが発生した場合でも、虚像(301)の歪みに気付きにくい変更態様で投影距離を変更することができる。したがって、虚像(301)の投影距離の変化を目立ちにくくできる映像表示システム(10)を提供することができる。
【0094】
第2の態様の映像表示システム(10)では、第1の態様において、表示制御部(4)は、ユーザ(200)の視点から虚像(301)を見る場合の俯角を変更可能である。
【0095】
この態様によれば、ユーザ(200)が見やすい俯角で虚像(301)を投影できる。
【0096】
第3の態様の映像表示システム(10)では、第1又は第2の態様において、表示制御部(4)が、投影距離と、ユーザ(200)の視点から虚像(301)を見る場合の俯角との少なくとも一方に基づいて、表示態様を変更する。表示態様は、表示部(2)が画像を表示する態様である。
【0097】
この態様によれば、投影距離と俯角との少なくとも一方に基づいて虚像(301)の表示態様を変更することができる。
【0098】
第4の態様の映像表示システム(10)では、第1〜第3のいずれか1つの態様において、表示制御部(4)は、距離指令に基づいて投影距離を変更しており、表示制御部(4)は、投影距離を変化させる変化速度の大きさに上限値を設定する。
【0099】
この態様によれば、虚像(301)の投影距離の変化を目立ちにくくできる。
【0100】
第5の態様の映像表示システム(10)では、第4の態様において、投影距離が短くなる方向に投影距離を変化させる場合の変化速度の大きさと、投影距離が長くなる方向に投影距離を変化させる場合の変化速度の大きさとが異なる。
【0101】
この態様によれば、虚像(301)の投影距離を短くする場合と、投影距離を長くする場合とでそれぞれ投影距離の変化速度を設定できる。
【0102】
第6の態様の映像表示システム(10)では、第4又は第5の態様において、投影距離が短くなるほど、投影距離を変化させる変化速度が遅い。
【0103】
この態様によれば、虚像(301)の投影距離が短いほど、投影距離が変化していることに気付きやすいため、投影距離が短くなるほど投影距離の変化速度を遅くすることで、ユーザが投影距離の変化に気付きにくくなる。
【0104】
第7の態様の映像表示システム(10)では、第1〜第6のいずれか1つの態様において、状況情報は、周囲の明るさに関する明るさ情報を含み、表示制御部(4)が、明るさ情報に応じて投影距離を変化させる変化速度を変更する。
【0105】
この態様によれば、周囲の明るさによって虚像(301)の見え方が変化するので、表示制御部(4)が、明るさ情報に応じた変化速度で投影距離を変更することで、虚像(301)の投影距離の変化を目立ちにくくできる。
【0106】
第8の態様の映像表示システム(10)では、第1〜第7のいずれか1つの態様において、状況情報が投影距離に関連する入力情報を含み、表示制御部(4)は、入力情報の値の変化に応じて投影距離を段階的に変化させる。
【0107】
この態様によれば、表示制御部(4)は、虚像(301)の投影距離を段階的に変化させるので、投影距離を変化させる頻度が減り、虚像(301)の投影距離を変化させる機構の寿命を延ばすことができる。
【0108】
第9の態様の映像表示システム(10)では、第1〜第8のいずれか1つの態様において、表示部(2)と投影部(3)と表示制御部(4)とが移動体(100)に搭載されている。状況情報は移動体(100)に関する移動体情報を含み、表示制御部(4)は、移動体情報に基づいて投影距離を変更する。
【0109】
この態様によれば、表示制御部(4)が移動体情報に基づいて投影距離を変更する場合でも、投影距離の変化を目立ちにくくできる。
【0110】
第10の態様の映像表示システム(10)では、第1〜第9のいずれか1つの態様において、表示部(2)と投影部(3)と表示制御部(4)とが移動体(100)に搭載されている。状況情報は、移動体(100)の速度以外の制御状態に関する制御情報を含み、表示制御部(4)は、制御情報に応じて投影距離を変化させる変化速度を変更する。
【0111】
この態様によれば、表示制御部(4)が制御情報に応じて投影距離の変化速度を変更する場合でも、投影距離の変化を目立ちにくくできる。
【0112】
第11の態様の映像表示システム(10)では、第1〜第10のいずれか1つの態様において、表示部(2)と投影部(3)と表示制御部(4)とが移動体(100)に搭載されている。表示制御部(4)は、ユーザ(200)の視点から虚像(301)を見る場合の俯角が所定角度以下である場合は、俯角が所定角度よりも大きい場合に比べて、移動体(100)の速度が基準速度よりも低い範囲での投影距離を長くする。
【0113】
この態様によれば、虚像(301)の投影距離の変化を目立ちにくくできる。
【0114】
第12の態様の映像表示システム(10)では、第1〜第11のいずれか1つの態様において、表示部(2)と投影部(3)と表示制御部(4)とが移動体(100)に搭載されている。虚像(301)は、第1虚像(301a)と、イベントの発生時のみに表示される第2虚像(301b)とを含む。表示制御部(4)は、投影距離が所定距離よりも短い場合は、投影距離が所定距離以上である場合に比べて、第1虚像(301a)の明るさを低下させ、第2虚像(301b)の明るさは変更せずに第2虚像(301b)を投影する時間を短くする。
【0115】
この態様によれば、第1虚像(301a)の投影距離の変化を目立ちにくくできる。また、第2虚像(301b)の表示を見やすくしつつ、第2虚像(301b)の投影距離の変化を目立ちにくくできる。
【0116】
第13の態様の移動体(100)は、第1〜第12のいずれか1つの態様の映像表示システム(10)と、映像表示システム(10)を搭載する移動体本体(101)と、を備える。
【0117】
この態様によれば、虚像(301)の投影距離の変化を目立ちにくくすることが可能な移動体(100)を提供できる。
【0118】
第14の態様の映像表示方法は、ユーザ(200)の視点から表示部(2)の出力光によって対象空間(400)に投影される虚像(301)までの投影距離を、状況情報に応じた変更態様で変更する処理を含む。
【0119】
この態様によれば、虚像(301)の投影距離の変化を目立ちにくくすることができる。
【0120】
第15の態様のプログラムは、第14の態様の映像表示方法をコンピュータシステムに実行させるためのプログラムである。
【0121】
この態様によれば、虚像(301)の投影距離の変化を目立ちにくくできる。
【0122】
上記態様に限らず、上記の実施形態に係る映像表示システム(10)の種々の構成(変形例を含む)は、映像表示方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
【0123】
第2〜第12の態様に係る構成については、映像表示システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0124】
2 表示部
3 投影部
4 表示制御部
10 映像表示システム
100 移動体
101 移動体本体
200 ユーザ
301 虚像
301a 第1虚像
301b 第2虚像
400 対象空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9