特開2019-218017(P2019-218017A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-218017タイヤのシミュレーション方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218017(P2019-218017A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】タイヤのシミュレーション方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20191129BHJP
   G06F 17/50 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   B60C19/00 Z
   G06F17/50 680Z
   G06F17/50 612H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-119072(P2018-119072)
(22)【出願日】2018年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【弁理士】
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】名塩 博史
【テーマコード(参考)】
3D131
5B046
【Fターム(参考)】
3D131BB11
3D131ED03
3D131LA34
5B046AA04
5B046FA04
5B046FA06
5B046GA01
5B046HA05
5B046JA04
5B046JA08
(57)【要約】
【課題】スタッド孔に嵌合されたスタッドピンの耐抜け性能を精度良く予測することができるタイヤのシミュレーション方法及び装置を提供する。
【解決手段】スタッドピンモデル4の引き抜き方向Pa〜Pmを設定し、スタッドピン3の先端部に相当する位置に設定した第1節点60と、第1節点60から引き抜き方向Pa〜Pmへ離れた位置に設定した第2節点70a〜70mを追加し、第2節点70a〜70mが第1節点60との距離を一定に保ちつつ、対応する引き抜き方向Pa〜Pmのみへ第2節点70a〜70mが移動するように第1節点60及び第2節点70a〜70mの拘束条件を設定し、スタッドピンモデル4をゴムモデル5のスタッド孔2に嵌合させて作成したタイヤモデル6において、スタッドピンモデル4を引き抜き方向Pa〜Pmへ移動させてゴムモデル5の変形を計算することによりゴムモデル5に発生する反力を取得する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部に設けられたスタッド孔に嵌合されたスタッドピンの引き抜き力をシミュレーションするタイヤのシミュレーション方法において、
前記スタッドピンを有限個の要素でモデル化したスタッドピンモデルを取得するステップと、
前記スタッド孔を含む前記トレッド部の少なくとも一部を有限個の要素でモデル化したゴムモデルを取得するステップと、
前記スタッドピンの先端部に相当する位置に第1節点を設定し、前記第1節点を前記スタッドピンモデルと剛体結合するステップと、
前記スタッドピンモデルを引き抜く方向を設定し、前記第1節点から前記スタッドピンモデルを引き抜く方向へ離れた位置に第2節点を追加し、前記第2節点が第1節点との距離を一定に保ちつつ、前記スタッドピンモデルを引き抜く方向のみへ前記第2節点が移動するように前記第1節点及び第2節点の拘束条件を設定するステップと、
前記スタッドピンモデルを、前記ゴムモデルの前記スタッド孔に嵌合させてタイヤモデルを作成するステップと、
前記タイヤモデルにおいて前記スタッドピンモデルを引き抜き方向へ移動させて前記ゴムモデルの変形を計算することにより、前記スタッドピンモデルを引き抜く際に前記ゴムモデルに発生する反力を取得するステップと
を備えるタイヤのシミュレーション方法。
【請求項2】
前記スタッドピンモデルを引き抜く方向が、タイヤ径方向に対して傾斜している請求項1に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項3】
前記スタッドピンモデルを引き抜く方向を複数設定し、
設定した複数の引き抜き方向毎に第2節点を設定し、
複数の引き抜き方向毎に前記スタッドピンモデルを引き抜く際に前記ゴムモデルに発生する反力を取得するステップを含む請求項1又は2に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項4】
複数の引き抜き方向毎に取得した反力のうち最小の反力及びその反力となる引き抜き方向を取得するステップを含む請求項3に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項5】
前記ゴムモデルを取得するステップは、前記スタッド孔とその周囲を有限個の要素でモデル化した第1ゴムモデルを取得するステップと、前記第1ゴムモデルの外側においてトレッド部を有限個の要素でモデル化した第2ゴムモデルを取得するステップと、前記第1ゴムモデルと前記第2ゴムモデルとを結合して前記ゴムモデルを取得するステップとを備える請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤのシミュレーション方法。
【請求項6】
トレッド部に設けられたスタッド孔に嵌合されたスタッドピンの引き抜き力をシミュレーションするタイヤのシミュレーション装置において、
前記スタッドピンを有限個の要素でモデル化したスタッドピンモデルを取得するスタッドピンモデル取得部と、
前記スタッド孔を含む前記トレッド部の少なくとも一部を有限個の要素でモデル化したゴムモデルを取得するゴムモデル取得部と、
前記スタッドピンの先端部に相当する位置に第1節点を設定し、前記第1節点を前記スタッドピンモデルと剛体結合する第1節点設定部と、
前記スタッドピンモデルを引き抜く方向を設定し、前記第1節点から前記スタッドピンモデルを引き抜く方向へ離れた位置に第2節点を追加し、前記第2節点が第1節点との距離を一定に保ちつつ、前記スタッドピンモデルを引き抜く方向のみへ前記第2節点が移動するように前記第1節点及び第2節点の拘束条件を設定する第2節点設定部と、
前記スタッドピンモデルを、前記ゴムモデルの前記スタッド孔に嵌合させてタイヤモデルを作成するタイヤモデル作成部と、
前記タイヤモデルにおいて前記スタッドピンモデルを引き抜き方向へ移動させて前記ゴムモデルの変形を計算することにより、前記スタッドピンモデルを引き抜く際に前記ゴムモデルに発生する反力を取得する反力取得部と
を備えるタイヤのシミュレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレッド部に設けられたスタッド孔に嵌合されたスタッドピンの引き抜き力をシミュレーションするタイヤのシミュレーション方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トレッド表面にスタッドピンが打ち込まれた空気入りタイヤは、一般にスタッドタイヤ又はスパイクタイヤと称され、主に氷雪路での走行に供される。スタッドタイヤでは、氷雪路での走行性能を十分に発揮させるにスタッドピンの保持を高めることが重要となる。
【0003】
そこで、従来より、スタッドピン及びスタッド孔を含むトレッドゴムのそれぞれを、有限個の要素でモデル化したスタッドピンモデル及びゴムモデルを用いて、スタッドピンの耐抜け性能を予測することが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-238510
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、スタッドピンには車両走行時にタイヤ径方向以外にも様々な方向から引き抜き力が作用しているにも関わらず、特許文献1ではスタッドピンをタイヤ径方向外側へ引き抜く場合しか考慮されていない。しかも、タイヤには、通常、トレッド部に様々な形状の溝や陸部が形成されており、これらの形状によってスタッドピンが引き抜きやすい方向が異なっている。そのため、特許文献1では、スタッドピンの耐抜け性能を精度良く予測することが困難である。
【0006】
そこで、スタッド孔に嵌合されたスタッドピンの耐抜け性能を精度良く予測することができるタイヤのシミュレーション方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トレッド部に設けられたスタッド孔に嵌合されたスタッドピンの引き抜き力をシミュレーションするタイヤのシミュレーション方法において、前記スタッドピンを有限個の要素でモデル化したスタッドピンモデルを取得するステップと、前記スタッド孔を含む前記トレッド部の少なくとも一部を有限個の要素でモデル化したゴムモデルを取得するステップと、前記スタッドピンの先端部に相当する位置に第1節点を設定し、前記第1節点を前記スタッドピンモデルと剛体結合するステップと、前記スタッドピンモデルを引き抜く方向を設定し、前記第1節点から前記スタッドピンモデルを引き抜く方向へ離れた位置に第2節点を追加し、前記第2節点が第1節点との距離を一定に保ちつつ、前記スタッドピンモデルを引き抜く方向のみへ前記第2節点が移動するように前記第1節点及び第2節点の拘束条件を設定するステップと、前記スタッドピンモデルを、前記ゴムモデルの前記スタッド孔に嵌合させてタイヤモデルを作成するステップと、前記タイヤモデルにおいて前記スタッドピンモデルを引き抜く方向へ移動させて前記ゴムモデルの変形を計算することにより、前記スタッドピンモデルを引き抜く際に前記ゴムモデルに発生する反力を取得するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、任意の方向へスタッドピンの引き抜き方向を設定することができるため、スタッドピンの耐抜け性能を精度良く予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】スタッドピン及びトレッド部のスタッド孔の断面図。
図2】本発明の一実施形態に係るタイヤのシミュレーション装置を示す図。
図3】スタッドピンモデルを模式的に示す図。
図4】ゴムモデルを模式的に示す図。
図5】第1ゴムモデル及び第2ゴムモデルの一例を示す斜視図。
図6】タイヤモデルを模式的に示す図。
図7図1のタイヤのシミュレーション装置が実行するシミュレーション方法を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態のタイヤのシミュレーション装置(以下、「装置」ということもある)10は、図1に示すような、トレッド部1に設けられたスタッド孔2と、スタッド孔2に嵌合されたスタッドピン3とを備える空気入りタイヤにおいて、スタッド孔2に嵌合されたスタッドピン3の引き抜き力を算出する。
【0012】
空気入りタイヤに設けられたスタッドピン3は、トレッド部1のスタッド孔2に嵌合される基部3aと、基部3aの端面3bからタイヤ半径方向外側に突出するスパイク部3cとを含んでいる。スパイク部3cは、トレッド部1の踏面1aよりタイヤ径方向外方へ突出しており、空気入りタイヤの転動時に路面と接触して大きな摩擦力を発生させる。
【0013】
装置10は、図2に示すように、モデル取得部11と、節点設定部12、タイヤモデル作成部13、反力取得部14及び解析部20とを備える。これらのモデル取得部11と、節点設定部12、タイヤモデル作成部13及び反力取得部14は、CPU、メモリ、各種インターフェイス等を備えたパソコン等の情報処理装置においてCPUが予め記憶されている図示しない処理ルーチンを実行することによりソフトウェア及びハードウェアが協働して実現される。
【0014】
装置10は、キーボードやマウス等の既知の操作部を介してユーザからの操作を受け付け、空気入りタイヤに関するデータや、スタッドピンモデル4を引き抜く方向(以下、「引き抜き方向」ということもある)Pa〜Pmなどの条件に関するデータの設定を受け付け、これらのデータをメモリに記憶する。
【0015】
モデル取得部11は、スタッドピン3を有限個の要素でモデル化したスタッドピンモデル4を取得するスタッドピンモデル取得部15と、スタッド孔2を含むトレッド部1の一部を有限個の要素でモデル化したゴムモデル5を取得するゴムモデル取得部16とを備える。
【0016】
図3に示すように、スタッドピンモデル4は、有限要素法によって取り扱い可能な有限個の要素40でモデル化されている。なお、本実施形態では要素40が4つの節点41を有する四辺形要素が用いられているが、これ以外にも、例えば、3つの節点を有する三角形要素や、2つの節点を有するビーム要素や、4つ以上の節点を有する3次元の連続体要素などが用いられても良い。
【0017】
スパイク部3cはトレッド部1のスタッド孔2との嵌合に影響しない。そのため、本実施形態においてスタッドピンモデル取得部15に入力されるスタッドピンモデル4は、図1に示すスタッドピン3の基部3a及びスパイク部3cのうち、スタッド孔2に嵌合される基部3aのみがモデル化されている。また、本実施形態のスタッドピンモデル4は、スタッドピン3の基部3aの外表面近傍のみに限定してモデル化されている(図3及び図6参照)。
【0018】
また、各要素40には、要素番号、節点41の番号、節点41の座標値、及びスタッドピン3の材料特性(例えば密度、ヤング率、減衰係数等)などの数値データが定義される。これらの数値データは、コンピュータのメモリに記憶される。
【0019】
本実施形態においてゴムモデル取得部16に入力されるゴムモデル5は、図4及び図5に示すように、スタッド孔2とその周囲を有限個の要素50aでモデル化したスタッド孔2に対応する孔7を有する第1ゴムモデル5aと、第1ゴムモデル5aの外側においてトレッド部1を有限個の要素50bでモデル化した第2ゴムモデル5bとを結合してなる。
【0020】
第1ゴムモデル5aは、スタッド孔2に対応する孔7の周囲に設けられる円柱状の領域をモデル化したものである。
【0021】
また、第2ゴムモデル5bは、第1ゴムモデル5aの外側に設けられていればその大きさ範囲に特段の制限はないが、例えば、図5に示すようにスタッド孔2が設けられた1つのブロックをモデル化したり、あるいはトレッド部1全体をモデル化することができる。
【0022】
第1ゴムモデル5a及び第2ゴムモデル5bを構成する各要素50a、50bは、スタッドピンモデル4と同様に、要素番号、節点51a,51bの番号、節点51a,51bの座標値や、トレッド部1を構成するゴム材料の材料特性(例えば密度、ヤング率又は減衰係数等)などの数値データが定義される。
【0023】
なお、図4に示すようにゴムモデル5において、第1ゴムモデル5aを構成する要素50aは、第2ゴムモデル5bを構成する要素50bより細かい要素であること、つまり、第1ゴムモデル5aに設けられた節点51aの間隔が第2ゴムモデル5bに設けられた節点51bの間隔より小さいことが好ましい。
【0024】
節点設定部12は、図2に示すように、第1節点設定部17と第2節点設定部18とを備える。第1節点設定部17は、スタッドピンモデル4においてスタッドピン3の先端部に相当する位置にスタッドピンモデル4と剛体結合させた第1節点60を設定する(図3参照)。
【0025】
ここで、第1節点60を設定するスタッドピン3の先端部に相当する位置は、スタッドピン3の中心軸上におけるスタッドピン3の基部3aの端面3bからスパイク部3cの先端までに相当する領域に設けることができ、例えば、スタッドピン3の基部3aの端面3bからスパイク部3cの突出方向へ5mm離れた位置までに相当する領域に設けることができる。
【0026】
第2節点設定部18は、図3に示すように、タイヤ径方向(言い換えれば、スタッドピン3の中心軸方向)Rと平行な引き抜き方向Paに加えて、タイヤ径方向Rに対する傾斜角度が異なる複数の引き抜き方向Pb〜Pmを設定する。また、第2節点設定部18は、設定した複数の引き抜き方向Pa〜Pm毎に、第1節点60より引き抜き方向Pa〜Pmへ所定距離だけ離れた位置に複数の第2節点70a〜70mをそれぞれ設定する。
【0027】
なお、本実施形態では、図3のように13個の引き抜き方向Pa〜Pm及び第2節点70a〜70mを設定する場合について説明するが、第2節点設定部18が設定する引き抜き方向及び第2節点の個数は、1個でも複数個でも任意に設定することができる。
【0028】
また、第2節点設定部18は、第2節点70a〜70mが第1節点60との距離を一定に保ちつつ、第2節点70a〜70mが対応する引き抜き方向Pa〜Pmのみへ移動するように第1節点60及び第2節点70a〜70mの移動を制限する拘束条件を設定する。つまり、第2節点70aは第1節点60との距離を一定に保ちつつ引き抜き方向Paのみへ移動し、他の第2節点70b〜70mについても、第2節点70a同様、第1節点60との距離を一定に保ちつつ対応する引き抜き方向Pb〜Pmのみへ移動するように、第2節点70a〜70m毎に拘束条件を設定する。
【0029】
タイヤモデル作成部13は、スタッドピンモデル4を、ゴムモデル5のスタッド孔2に嵌合させて図6に示すようなタイヤモデル6を作成する。
【0030】
反力取得部14は、複数設定された引き抜き方向Pa〜Pmから1の引き抜き方向を選択し、タイヤモデル6において選択した引き抜き方向Pa〜Pmへスタッドピンモデル4を移動させてゴムモデル5の変形を計算する。これにより、反力取得部14は、選択した引き抜き方向Pa〜Pmへスタッドピンモデル4を引き抜く際にゴムモデル5に発生する反力を取得する。取得した反力は、選択した引き抜き方向Pa〜Pmへスタッドピン3をスタッド孔2から引き抜くために必要な引き抜き力に相当する。
【0031】
反力取得部14は、第2節点設定部18において設定した複数の引き抜き方向Pa〜Pm毎にスタッドピンモデル4を引き抜く際にゴムモデル5に発生する反力を取得し、取得した反力を引き抜き方向Pa〜Pmと対応付けてメモリに記憶させる。
【0032】
解析部20は、反力取得部14において複数の引き抜き方向Pa〜Pm毎に取得した反力のうち最小の反力と、最小の反力となる引き抜き方向Pa〜Pmを取得し、これらをディスプレイ等の出力部から出力する。
【0033】
次に、装置10の動作について、主に図7を参照しつつ説明する。
【0034】
まず、ステップS1において、スタッドピンモデル取得部15がスタッドピンモデル4を取得する。
【0035】
次いで、ゴムモデル取得部16が第1ゴムモデル5a及び第2ゴムモデル5bを取得し(ステップS2、ステップS3)、取得した第1ゴムモデル5a及び第2ゴムモデル5bを結合してゴムモデル5を作成する(ステップS4)。
【0036】
次いで、ステップS5において、第1節点設定部17が第1節点60を設定し、第2節点設定部18が、引き抜き方向Pa〜Pm、第2節点70a〜70m及び拘束条件を設定する。
【0037】
次いで、ステップS6において、タイヤモデル作成部13が、スタッドピンモデル4をゴムモデル5の孔7に嵌合させて図6に示すようなタイヤモデル6を作成する。
【0038】
次いで、反力取得部14が、複数の引き抜き方向Pa〜Pmから1の引き抜き方向Pa〜Pmを選択し(ステップS7)、その後、タイヤモデル6において選択した引き抜き方向Pa〜Pmへスタッドピンモデル4を移動させてゴムモデル5の変形を計算し、ゴムモデル5に発生する反力を取得する(ステップS8)。
【0039】
次いで、第2節点設定部18において設定した複数の引き抜き方向Pa〜Pmの全てについてスタッドピンモデル4を引き抜く際にゴムモデル5に発生する反力を取得したか否か判断し、反力を取得していない引き抜き方向Pa〜Pmが残存している場合(ステップS9のNo)、ステップS10へ進み、反力を取得していない引き抜き方向Pa〜Pmを選択した後、ステップS8に戻り、ステップS10において選択した引き抜き方向Pa〜Pmについてスタッドピンモデル4を引き抜く際にゴムモデル5に発生する反力を取得する。
【0040】
そして、全ての引き抜き方向Pa〜Pmについてスタッドピンモデル4を引き抜く際にゴムモデル5に発生する反力を取得すると(ステップS9のYes)、ステップS11へ進み、解析部20が、引き抜き方向Pa〜Pmについて取得した反力のうち、最小の反力と、最小の反力となる引き抜き方向Pa〜Pmを出力部から出力する。
【0041】
以上のような本実施形態の装置10では、スタッドピンモデル4の引き抜き方向Pa〜Pmを設定し、スタッドピン3の先端部に相当する位置に設定した第1節点60と、第1節点60から引き抜き方向Pa〜Pmへ離れた位置に設定した第2節点70a〜70mを追加し、第2節点70a〜70mが第1節点60との距離を一定に保ちつつ、それぞれ対応する引き抜き方向Pa〜Pmのみへ第2節点70a〜70mが移動するように第1節点60及び第2節点70a〜70mの拘束条件を設定し、スタッドピンモデル4をゴムモデル5の孔7に嵌合させて作成したタイヤモデル6において、スタッドピンモデル4を引き抜き方向Pa〜Pmへ移動させてゴムモデル5の変形を計算する。そのため、装置10では、スタッドピン3をスタッド孔2から任意の方向へ引き抜くために必要な引き抜き力を予測することができ、スタッドピン3の耐抜け性能を精度良く予測することができる。
【0042】
また、本実施形態では、スタッド孔2とその周囲を要素50aでモデル化した第1ゴムモデル5aと、第1ゴムモデル5aの外側においてトレッド部1を要素50bでモデル化した第2ゴムモデル5bとを結合してゴムモデル5を取得する。そのため、スタッド孔2の形状及びトレッド部1のパターン形状のいずれか一方を設計変更した場合に、他方のモデルを利用することができ、モデル最適化に要する作業工数を低減することができる。
【0043】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1…トレッド部、2…スタッド孔、3…スタッドピン、3a…基部、3b…端面、3c…スパイク部、4…スタッドピンモデル、5…ゴムモデル、5a…第1ゴムモデル、5b…第2ゴムモデル、6…タイヤモデル、10…装置、11…モデル取得部、12…節点設定部、13…タイヤモデル作成部、14…反力取得部、15…スタッドピンモデル取得部、16…ゴムモデル取得部、17…第1節点設定部、18…第2節点設定部、20…解析部、60…第1節点、70a〜70m…第2節点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7