特開2019-218065(P2019-218065A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218065(P2019-218065A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】手動式泡立てビールサーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20191129BHJP
   B65D 25/48 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   B67D1/08 Z
   B65D25/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-114313(P2018-114313)
(22)【出願日】2018年6月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り I.会見(会見:資料1) 会見日 平成30年1月10日 会見場所 サントリーホール(所在地:東京都港区赤坂1−13−1) マイドームおおさか(所在地:大阪市中央区本町橋2番5号) II.ウェブサイト(ウェブサイト1:資料2) 公開日 平成30年2月28日 アドレス https://www.youtube.com/watch?v=z81_a8nZvXo(ウェブサイト2:資料3) 公開日 平成30年3月8日 アドレス https://www.youtube.com/watch?v=VZWZ7−rxFnY(ウェブサイト3:資料4) 公開日 平成30年3月18日 アドレス https://www.youtube.com/watch?v=P4IgtDicgWg(ウェブサイト4:資料5−1〜5−3) 公開日 平成30年6月5日 アドレス https://www.suntory.co.jp/news/article/13194.html III.販売(販売:資料6−1〜6−2) 販売日 平成30年3月19日 販売場所 全国約10000店 IV.展示(展示1:資料7−1〜7−3) 展示日 平成30年3月19日 展示場所 全国10000店 (展示2:資料8) 展示日 平成30年3月24日、3月25日 展示場所 全国約700店 V.実演販売(実演販売) 販売日 平成30年3月24日、3月25日 販売場所 全国約700店 VI.チラシ配布(チラシ配布:資料9−1〜9−4) 配布日 平成30年3月30日 配布場所 全国
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(72)【発明者】
【氏名】福本 匡志
【テーマコード(参考)】
3E062
3E082
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC03
3E062BA02
3E062BB02
3E062BB10
3E062KA01
3E062KB02
3E082AA01
3E082BB03
3E082CC01
3E082FF03
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】電源を要することなく、軽量簡易な構造で、きめ細かな泡を連続的に発生させることができるビールサーバーを提供する。
【解決手段】ビール缶1の頂部に着脱され、ノズル13の流路16を流れるビールを攪拌羽15の回転に伴い攪拌し、泡立たせて注ぎ出すビールサーバーにおいて、攪拌羽15を備えた回転羽体14を回転させるための動作機構は、軸支されて揺動するレバー17と、レバー17と一体に回動する初動ギヤ18と、初動ギヤ18の回動を調速された回転運動として回転羽体14に伝達する回転伝達ギヤ部19と、レバー17及び初動ギヤ18を初期位置へ戻すように付勢する戻しばね20とを備え、レバー17を押し込むと、その押圧力により回転羽体14が正方向へ回転し、レバー17を押込状態から離すと、戻しばね20の付勢力により回転羽体14が逆方向へ回転するものとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビール缶(1)の頂部に着脱され、ノズル(13)の流路(16)を流れるビールを攪拌羽(15)の回転に伴い攪拌し、泡立たせて注ぎ出すビールサーバーにおいて、
前記攪拌羽(15)を備えた回転羽体(14)を回転させる動作機構は、軸支されて揺動するレバー(17)と、前記レバー(17)と一体に回動する初動ギヤ(18)と、前記初動ギヤ(18)の回動を調速された回転運動として前記回転羽体(14)に伝達する回転伝達ギヤ部(19)と、前記レバー(17)及び初動ギヤ(18)を初期位置へ戻すように付勢する戻しばね(20)とを備え、
前記レバー(17)を押し込むと、その押圧力により前記回転羽体(14)が正方向へ回転し、前記レバー(17)を押込状態から離すと、前記戻しばね(20)の付勢力により前記回転羽体(14)が逆方向へ回転することを特徴とする手動式泡立てビールサーバー。
【請求項2】
前記ノズル(13)は、前記流路(16)が円形断面であって、基部側から前記流路(16)の流れ方向の途中まで、前記攪拌羽(15)の外周との間に隙間が広く確保されるように、内径が大きく設定され、前記流路(16)の流れ方向の途中から先端へかけて、内径がテーパー状に漸次小さくなっていることを特徴する請求項1に記載の手動式泡立てビールサーバー。
【請求項3】
前記回転羽体(14)は、前記ノズル(13)の流路(16)の流れ方向に平行するように延びる回転軸(14a)と、前記回転軸の周囲の対向位置に前記流路(16)の流れ方向に並んで設けられた複数枚の前記攪拌羽(15)とから成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の手動式泡立てビールサーバー。
【請求項4】
前記攪拌羽(15)は、前記ノズル(13)の流路(16)の流れ方向の下流側へ向く端縁が、山部と谷部の繰り返しにより形成された鋸刃縁となっていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の手動式泡立てビールサーバー。
【請求項5】
前記回転羽体(14)を回転させる動作機構と前記ノズル(13)の基部とを収めたケース(11)が、ビール缶(1)の頂部を覆う台座(12)に固定され、前記ケース(11)の内部では、前記動作機構が収容される機構収容室(11a)と、ビールが流れる前記ノズル(13)の流路(16)とが横並びに隔壁(11b)を介して配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の手動式泡立てビールサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビール缶からビールを泡立てながら注ぎ出す手動式泡立てビールサーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にビールの泡は、蓋の役割をしており炭酸ガスを保持させると共に、きめ細かい泡によってビールのコクや香りが引き立つといわれている。ビアホール等においては、多量のビールが詰められたビア樽の内部を炭酸ガスで加圧して、ビールを注いだ後、きめ細かい泡を後載せすることが可能なビールサーバーが使用されている。このため、グラスに注がれたビールは、液面にきめの細かい泡が適度に載って、炭酸ガスが保持され美味しく感じる状態で飲むことができる。
【0003】
このようなきめ細かい泡を後載せしたビールを家庭で飲めるようにするためのビールサーバーとして、下記特許文献1においては、図6(6A)に示すようなものが提案されている。
【0004】
このビールサーバーは、樽状の大容量のビール缶51の口部52に接続される取付部61から注出体62が斜めに延び、注出体62の内部に流出路63が形成され、注出体62に付設されたモーター64により、流出路63に配設された回転羽65が回転駆動されるものである。モーター64へは、注出体62から延びる把持部66に内蔵された電池67から給電される。
【0005】
回転羽65の回転軸の軸線は、流出路63の流れ方向と直交しており、回転羽65の攪拌羽は、回転軸の周囲に放射状に1枚ずつ配置されている。
【0006】
これにより、ビールを注ぐ際に、モーター64を駆動して回転羽65を回転させ、流出路63を流れるビールを攪拌して、泡を作ることができる
【0007】
また、下記特許文献2においては、図6(6B)に示すようなビールサーバーが提案されている。このビールサーバーは、350ml等の通常容量のビール缶71を、プルトップ72を開けて開口73を形成した状態で収容する円筒状の収容容器81と、その上端に着脱されるメカボックス82と、別体のアダプター83とから構成されている。
【0008】
メカボックス82には、モーターポンプと超音波発生装置が内蔵され、上面にレバー式の操作子84が設けられると共に、側面に注ぎ口85が設けられている。モーターポンプと超音波発生装置は、メカボックス82に内蔵された電池により動作する。
【0009】
そして、卓上式として使用する場合には、収容容器81の上部にメカボックス82を装着した状態で、収容容器81の下部のグラス受け86にグラス74を載置して、操作子84を傾けると、モーターポンプの駆動によりグラス74にビールの液が注がれ、超音波発生装置によりきめ細かな泡が形成されてビールの液面に載せられる。
【0010】
また、収容容器81から取り外したメカボックス82は、アダプター83を介してビール缶71の頂部に取り付けると、手持ち式のビールサーバーとしても使用でき、外出先に携行して使用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−72075号公報
【特許文献2】登録実用新案第3202746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のようなビールサーバーは、連続的に泡を発生させるための電源を必要とするため、ランニングコストがかかるという問題がある。また、電池やモーター等の重量物を内蔵するため、特許文献2に記載のものを手持ち式として使用した場合、腕への負担が大きく、ビールを注ぎにくいという問題がある。
【0013】
そこで、この発明は、電源を要することなく、軽量簡易な構造で、きめ細かな泡を連続的に発生させることができるビールサーバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような課題を解決するため、この発明は、ビール缶の頂部に着脱され、ノズルの流路を流れるビールを攪拌羽の回転に伴い攪拌し、泡立たせて注ぎ出すビールサーバーにおいて、
前記攪拌羽を備えた回転羽体を回転させるための動作機構は、軸支されて揺動するレバーと、前記レバーと一体に回動する初動ギヤと、前記初動ギヤの回動を調速された回転運動として前記回転羽体に伝達する回転伝達ギヤ部と、前記レバー及び初動ギヤを初期位置へ戻すように付勢する戻しばねとを備え、
前記レバーを押し込むと、その押圧力により前記回転羽体が正方向へ回転し、前記レバーを押込状態から離すと、前記戻しばねの付勢力により前記回転羽体が逆方向へ回転する手動式のものを提供することとしたのである。
【0015】
また、前記ノズルは、前記流路が円形断面であって、基部側から前記流路の流れ方向の途中まで、前記攪拌羽の外周との間に隙間が広く確保されるように、内径が大きく設定され、前記流路の流れ方向の途中から先端へかけて、内径がテーパー状に漸次小さくなっているものとしたのである。
【0016】
さらに、前記回転羽体は、前記ノズルの流路の流れ方向に平行するように延びる回転軸と、前記回転軸の周囲の対向位置に前記流路の流れ方向に並んで設けられた複数枚の前記攪拌羽とから成るものとしたのである。
【0017】
また、前記攪拌羽は、前記ノズルの流路の流れ方向の下流側へ向く端縁が、山部と谷部の繰り返しにより形成された鋸刃縁となっているものとしたのである。
【0018】
そして、前記回転羽体を回転させる動作機構と前記ノズルの基部とを収めたケースが、ビール缶の頂部を覆う台座に固定され、前記ケースの内部では、前記動作機構が収容される機構収容室と、ビールが流れる前記ノズルの流路とが横並びに隔壁を介して配置されているものとしたのである。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係る手動式泡立てビールサーバーでは、レバーの押し込みにより回転羽体が正方向へ回転するだけでなく、レバーを押込状態から離したときにも、回転羽体が逆方向へ回転するので、回転羽体の攪拌羽により、ノズルの流路を流れるビールを連続的に攪拌し、きめ細かい泡を発生させて、ビールの液面に載せることができる。
【0020】
また、手動式の簡易な構造であるので、電源やモーター等の重量物が不要であり、ランニングコストがかかることもなく、軽量で扱いやすい手持ち式として、日常的に気軽に使用でき、外出時に携行することもできるほか、使用後の手入もビールの流路を軽く漱ぐだけでよく、分解等の手間を要することもない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の実施形態に係る手動式泡立てビールサーバーの外見斜視図
図2】同上のレバー押込前の状態を示す縦断側面図
図3】同上のレバー押込後の状態を示す縦断側面図
図4】同上の動作機構を説明する平面模式図
図5】同上の手動式泡立てビールサーバーをビール缶に装着して(5A)ビールの液を注ぐ状態を示す概略図、(5B)泡を注ぐ状態を示す概略図
図6】先行技術である(6A)特許文献1に記載されたビールサーバーの一部切欠側面図、(6B)特許文献2に記載されたビールサーバーの一使用態様を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図1に示すように、この手動式泡立てビールサーバーは、350mlや500mlの通常容量のビール缶1の頂部に着脱されるものである。
【0024】
ビールサーバーの動作機構を収めたケース11は、左右に二つ割で成形されて、ビスで結合されるものであり、ビール缶1の頂部を覆う台座12に固定されている。ケース11の前部には、円筒状のノズル13の基部が挿入固着され、ケース11からノズル13が前方へ突出している。ノズル13には、回転羽体14が挿入され、この回転羽体14に攪拌羽15が設けられている。
【0025】
図2乃至図4に示すように、ケース11の内部では、回転羽体14を回転させるための動作機構が収容された機構収容室11aと、攪拌羽15が内挿されたノズル13の流路16とが横並びに隔壁11bを介して配置されている。
【0026】
台座12には、ケース11の載置面に、ビール缶1からビールを流出させるための流出口12aと、大気圧を導入するための空気穴12bとが設けられている。また、外周部の裏側にビール缶1の頂部外周の巻締部1aが圧入される嵌入溝12cが設けられ、外周縁の後部に、ビール缶1から取り外すための摘み片12dが設けられている。
【0027】
ノズル13は、基部から流路16の流れ方向の途中までが攪拌羽15が内挿された大径部13aとされ、先端側が窄まったテーパー部13bとされている。大径部13aの基部外周には、台座12の流出口12aに連通する流入口13cが設けられている。
【0028】
回転羽体14は、ノズル13の流路16の流れ方向に平行するように延びる回転軸14aの周囲に複数枚の攪拌羽15を設けたものであり、回転軸14aは、ケース11の隔壁11bを貫通するスリーブ11cに挿通されて、回転自在に支持されている。
【0029】
攪拌羽15は、回転軸14aの周囲の対向位置に、流路16の流れ方向に若干の間隔をあけて複数の対をなすように並んで配置されている。攪拌羽15の回転軸14aからの延出長さは、それぞれ同一に揃っている。
【0030】
攪拌羽15とノズル13の寸法関係において、ノズル13の大径部13aでは、攪拌羽15の外周との間に比較的広い隙間が生じるようにノズル13の内径が大きく設定され、テーパー部13bでは、ノズル13の内径が先端へかけて漸次縮小している。
【0031】
また、攪拌羽15は、ノズル13の流路16の流れ方向の下流側へ向く端縁が、山部と谷部の繰り返しにより形成された鋸刃縁となっている。
【0032】
回転羽体14を回転させる動作機構は、揺動するレバー17と、レバー17と一体に回動する扇形の初動ギヤ18と、初動ギヤ18の回動を調速された回転運動として回転羽体14に伝達する回転伝達ギヤ部19と、レバー17及び初動ギヤ18を初期位置へ戻すように付勢する戻しばね20とを備えている。
【0033】
レバー17と初動ギヤ18は、シャフト21によりケース11に軸支されて、初動ギヤ18が所定の角度範囲で回動するようになっている。回転伝達ギヤ部19は、第1ギヤ19a、第2ギヤ19a、第3ギヤ19b、第4ギヤ19b、第5ギヤ19c、第6ギヤ19c及び第7ギヤ19dを備えている。
【0034】
第1ギヤ19aと第2ギヤ19aは一体成型され、第5ギヤ19cと第6ギヤ19cもまた一体成型され、これらの成形体はシャフト22により互いに相対回転可能にケース11に軸支されている。第3ギヤ19bと第4ギヤ19bとは、シャフト23により一体回転するようにケース11に軸支されている。
【0035】
シャフト21,22,23は、プラスチック製である他の構成部材とは異なり、耐久性を考慮して、金属製とされている。
【0036】
初動ギヤ18に噛合する第1ギヤ19aはピニオンであり、第1ギヤ19aよりも大径の第2ギヤ19aは、一体である第1ギヤ19aと等速回転して、第2ギヤ19aよりも少し小径の第3ギヤ19bに回転を増速して伝達する。
【0037】
第3ギヤ19bと一体回転する第4ギヤ19bは、第3ギヤ19bよりも大径であり、ピニオンである第5ギヤ19cに回転を増速して伝達する。
【0038】
第5ギヤ19cと一体であり等速回転する第6ギヤ19cは、平歯車である他のギヤとは異なりクラウンギヤとされ、回転羽体14の回転軸14aの軸端に一体成型されたピニオンの第7ギヤ19dと噛合して、回転の軸方向を90°変換し、第7ギヤ19dに回転を増速して伝達する。
【0039】
戻しばね20は引張コイルばねであり、一端がケース11の内側面の突起に係止され、他端が初動ギヤ18の一側面の突起に係止されている。
【0040】
このような動作機構においては、レバー17を押し込むと、その押圧力により回転羽体14が正方向へ回転し、レバー17を押込状態から離すと、戻しばね20の付勢力により回転羽体14が逆方向へ回転する。
【0041】
上記構成の手動式泡立てビールサーバーを使用してビールを注ぐ際には、ビール缶1の頂部のプルトップ2を開けて開口3を形成した状態で、手動式泡立てビールサーバーをビール缶1の頂部に取り付ける。このとき、ビール缶1の開口3の位置と、台座12の流出口12a及びノズル13の流入口13cの位置とを合わせる。
【0042】
そして、図5(5A)に示すように、グラス31を斜めにして、ビール缶1を傾け、ノズル13の先端から流出したビールをグラス31の内側に沿わせるようにして、グラス31に6分目〜7分目までビールを注ぐ。
【0043】
このとき、上述のように、ノズル13の大径部13aでは、その内周面と攪拌羽15の外周との間に比較的広い隙間が確保されているので、ビールは泡立つことなく、ノズル13の流路16を通過して、透明な液のままグラス31に注がれる。
【0044】
次に、図5(5B)に示すように、グラス31を平らな場所に置き、ビール缶1を傾けて、レバー17を押し込むと、その押圧力により回転羽体14が正方向へ回転し、流路16を流れるビールが攪拌羽15で攪拌されて泡立てられ、ノズル13の先端から流れ出た泡がグラス31のビールの液面上へ注がれる。
【0045】
その後、レバー17を押込状態から離すと、戻しばね20の付勢力により回転羽体14が逆方向へ回転し、この回転によっても、流路16を流れるビールが攪拌羽15で攪拌されて泡立てられ、ノズル13の先端から流れ出た泡がグラス31のビールの液面上へ引き続き注がれる。
【0046】
このようにレバー17を押し込む動作と、離す動作とを繰り返して、グラス31のビールの液面上に適量の泡を載せると、ビールの注ぎ出しが完了する。
【0047】
上記のような手動式泡立てビールサーバーでは、レバー17の押し込みにより回転羽体14が正方向へ回転するだけでなく、レバー17を押込状態から離したときにも、回転羽体14が逆方向へ回転するので、回転羽体14の攪拌羽15により、ノズル13の流路16を流れるビールを連続的に攪拌し、きめ細かい泡を発生させて、ビールの液面に載せることができ、クリーミィーに泡立ったビールを味わうことができる。
【0048】
また、手動式の簡易な構造であるので、電源やモーター等の重量物が不要であり、ランニングコストがかかることもなく、軽量で扱いやすい手持ち式として、日常的に気軽に使用でき、外出時に携行することもできるほか、使用後の手入もビールが流れるノズル13の流路16等を軽く漱ぐだけでよく、分解等の手間を要することもない。
【0049】
なお、上記実施形態におけるノズル13の形状選定にあたっては、表1に記載したような6種類の形状について検証を行った。
【0050】
【表1】
【0051】
その結果、6番目のもののように、先窄まりの円筒状のものが、ビールを注ぐ際、液のまま泡立てずに注ぐ攪拌羽の無回転時と、液を泡立てて注ぐ攪拌羽の回転時の双方の場合において、最良の結果を得られたため、上記実施形態のノズル13として、6番目の形状に基づく形状のものを採用した。
【0052】
また、回転羽体14の攪拌羽15の形状選定にあたっては、表2に記載したような6種類の形状について検証を行った。なお、この検証は、回転羽体14を電動で回転させる治具を用い、ノズル13は表1の6番目のものに統一して行った。
【0053】
【表2】
【0054】
その結果、「F」のように、回転軸の周囲の対向位置に複数枚の攪拌羽を設け、流れ方向の下流側へ向く端縁を鋸刃縁にしたものが、ビールの通過抵抗が小さく、意図しない泡立ちが発生せず、回転時の軸振れも殆どなく、プラスチックの成型が比較的容易であることから、上記実施形態の攪拌羽15として、「F」の形状に基づくものを採用した。
【0055】
さらに、ノズル13と攪拌羽15のサイズの選定にあたっては、表3及び表4に記載したような3種類の場合について検証を行った。
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
その結果、「B」のように、ノズル13の大径部13aの内径を13mmとし、対向する攪拌羽15の先端間の距離(W)を11mmとしたものが、一定時間経過後の泡のビール化(液化)が少なく、泡質が良いと判断されたため、この組み合わせを採用した。
【符号の説明】
【0059】
1 ビール缶
1a 巻締部
2 プルトップ
3 開口
11 ケース
11a 機構収容室
11b 隔壁
11c スリーブ
12 台座
12a 流出口
12b 空気穴
12c 嵌入溝
12d 摘み片
13 ノズル
13a 大径部
13b テーパー部
13c 流入口
14 回転羽体
14a 回転軸
15 攪拌羽
16 流路
17 レバー
18 初動ギヤ
19 回転伝達ギヤ部
19a 第1ギヤ
19a 第2ギヤ
19b 第3ギヤ
19b 第4ギヤ
19c 第5ギヤ
19c 第6ギヤ
19d 第7ギヤ
20 戻しばね
21,22,23 シャフト
31 グラス
図1
図2
図3
図4
図5
図6