特開2019-218496(P2019-218496A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218496(P2019-218496A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20191129BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20191129BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20191129BHJP
   C08G 18/83 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   C08L63/00 A
   C08L75/04
   C08K3/00
   C08G18/83
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-117825(P2018-117825)
(22)【出願日】2018年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】598109187
【氏名又は名称】パーカーアサヒ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】安藤 祐一朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】伊井 慎一郎
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002CD05W
4J002CD18W
4J002CK02X
4J002DA036
4J002DE086
4J002DE146
4J002DE236
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002FD016
4J002GJ01
4J002GN00
4J034BA05
4J034CA02
4J034CA04
4J034CA05
4J034CB01
4J034CB03
4J034CB04
4J034CB05
4J034CC03
4J034CC12
4J034CC23
4J034CC61
4J034DA01
4J034DB04
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG06
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA02
4J034JA14
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC13
4J034KC17
4J034KC23
4J034KD02
4J034KE02
4J034LA06
4J034LA32
4J034QB17
4J034RA08
4J034RA12
(57)【要約】
【課題】高温においても優れた強度及び耐久性を有するエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1種のエポキシ樹脂と、ポリオールと、ポリイソシアネートと、ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノール化合物とを含むブロックウレタン樹脂と、を含む、エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のエポキシ樹脂と、
ポリオールと、ポリイソシアネートと、ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノール化合物とを含むブロックウレタン樹脂と、
を含む、エポキシ樹脂組成物。
ただし、前記ブロックウレタン樹脂の含有量は、前記エポキシ樹脂組成物に対して3〜50質量%である。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む、
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂は、カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム変性エポキシ樹脂を含む、
請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂組成物は更に、ジシアンジアミドを含む、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
前記エポキシ樹脂組成物は更に、前記ジシアンジアミドの硬化促進剤としてウレア系触媒を含む、
請求項4に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂組成物は更に、炭酸カルシウム、タルク、ワレストナイト、ヒュームドシリカ、水酸化アルミニウム、酸化カルシウム、ベントナイト、カオリン、カーボンブラックから選択される1つ又は2つ以上の化合物を含む、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車の構造部材用の接着剤として、エポキシ樹脂組成物が広く使用されている。例えば、特許文献1及び特許文献2には、エポキシ樹脂とブチラール樹脂とを含有する樹脂組成物を含む、自動車の構造部材用の接着剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−4887号公報
【特許文献2】特開平3−212474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載される接着剤は、接着性が十分ではなかった。特に、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物の硬化物は、高温において、熱及び酸素によって酸化分解するため、強度及び耐久性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、高温においても優れた強度及び耐久性を有するエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のエポキシ樹脂組成物は、
少なくとも1種のエポキシ樹脂と、
ポリオールと、ポリイソシアネートと、ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノール化合物とを含むブロックウレタン樹脂と、
を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
高温においても優れた強度及び耐久性を有するエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る一実施形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0009】
本発明は、少なくとも1種のエポキシ樹脂、ブロックウレタン樹脂を主成分として含むエポキシ樹脂組成物(以下、本実施形態に係る樹脂組成物と呼ぶ)である。
【0010】
以下、各々の成分について、詳細に説明する。
【0011】
≪エポキシ樹脂≫
本実施形態に係る樹脂組成物における主成分の1つであるエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型のようなビスフェニル基を有するエポキシ化合物、ポリアルキレングリコール型、アルキレングリコール型のエポキシ化合物、ナフタレン環を有するエポキシ化合物、フルオレン基を有するエポキシ化合物等の二官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型のような多官能型のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ダイマー酸のような合成脂肪酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;N,N,N′,N′−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(TGDDM)、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N−ジグリシジルアニリンのようなグリシジルアミノ基を有する芳香族エポキシ樹脂;トリシクロデカン環を有するエポキシ化合物等が挙げられる。
【0012】
本実施形態に係る樹脂組成物におけるエポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム変性エポキシ樹脂を含むことが好ましい。以下に、これらのエポキシ樹脂について、詳細に説明する。
【0013】
<ビスフェノールA型エポキシ樹脂>
本実施形態に係る樹脂組成物における主成分の1つである、ビスフェノールA型エポキシ樹脂について説明する。
【0014】
本実施形態に係る樹脂組成物が含有するエポキシ樹脂は、ビスフェノール骨格を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂である。ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含有することで、接着剤としての強度も十分な樹脂組成物が得られる。
【0015】
本実施形態に係るビスフェノールA型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が150以上260以下であるのが好ましい。また、本実施形態に係る樹脂組成物における、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の量は、20〜80質量%であるのが好ましい。上記範囲とすることで、より耐衝撃性に優れる樹脂組成物が得られる。
【0016】
<カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム変性エポキシ樹脂>
本実施形態に係る樹脂組成物における主成分の1つである、カルボキシル基含有ニトリルブタジエンゴム変性エポキシ樹脂について説明する。
【0017】
本実施形態に係る樹脂組成物は、骨格がゴムであるエポキシ樹脂を含み、具体的には、カルボキシル基を含有するNBR(ニトリルブタジエンゴム)変性エポキシ樹脂を含む。NBR変性エポキシ樹脂を含有することで、耐熱性、耐衝撃性、柔軟性に優れる樹脂組成物が得られる。
【0018】
本実施形態に係るNBR変性エポキシ樹脂は、エポキシ当量が200以上500以下であるのが好ましい。また、本実施形態に係る樹脂組成物における、NBR変性エポキシ樹脂の量は、5〜70質量%であるのが好ましい。上記範囲とすることで、より耐衝撃性、柔軟性に優れる樹脂組成物が得られる。
【0019】
NBR変性エポキシ樹脂を製造する際に使用されるエポキシ樹脂は、特に制限されず、従来公知のエポキシ樹脂を使用することができる。また、エポキシ樹脂は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0020】
なお、本発明において、NBR変性エポキシ樹脂のエポキシ当量及び添加量は、製造時に用いる過剰のエポキシ樹脂を含むNBR変性エポキシ樹脂におけるエポキシ当量及び添加量とする。
【0021】
≪ブロックウレタン樹脂≫
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマーが、ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノール化合物でブロックされたブロックウレタン樹脂を含有する。ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノール化合物は酸化防止機能を有するため、これを有するブロックウレタン樹脂を含有することで、硬化物は、高温においても熱・酸素によって酸化分解されることが抑制される。また、ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノール化合物を含有することにより、配合されるその他の樹脂成分との相溶性が向上し、硬化物の強靭性が向上する。
【0022】
<ポリヒドロキシ化合物>
ポリヒドロキシ化合物は、ヒドロキシル基を2個以上有する化合物であれば、その分子量及び骨格等は特に限定されず、比較的低分子の多価アルコール類、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
【0023】
多価アルコール類としては、具体的には、例えば、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、(1,3−または1,4−)ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールなどの低分子ポリオール;ソルビトールなどの糖類;等が挙げられる。
【0024】
ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールとしては、上記多価アルコール類から導かれるものを使用しても良いし、以下に示す芳香族ジオール類、アミン類から導かれるものを使用しても良い。
【0025】
芳香族ジオール類としては、具体的には、例えば、レゾルシン(m−ジヒドロキシベンゼン)、キシリレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノール、スチレングリコール、4,4′−ジヒドロキシエチルフェノール;下記に示すようなビスフェノールA構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン)、ビスフェノールF構造(4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン)、臭素化ビスフェノールA構造、水添ビスフェノールA構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールAF構造のビスフェノール骨格を有するもの;等が挙げられる。
【0026】
また、アミン類としては、具体的には、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、アルカノールアミン類としては、具体的には、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
【0027】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、上記多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類として例示した化合物から選ばれる少なくとも1種に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド(テトラメチレンオキサイド)、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキサイドおよびスチレンオキサイド等から選ばれる少なくとも1種を付加させて得られるポリオール等が挙げられる。
【0028】
このようなポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレントリオール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド共重合体、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラエチレングリコール、ソルビトール系ポリオール等が挙げられる。
【0029】
同様に、ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記多価アルコール類、上記芳香族ジオール類、上記アミン類のいずれかと、多塩基性カルボン酸との縮合物;ラクトン系ポリオール;ポリカーボネートポリオール;等が挙げられる。上記ラクトン系ポリオールとしては、具体的には、例えば、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、ε−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンを適当な重合開始剤で開環重合させたもので両末端に水酸基を有するものが挙げられる。
【0030】
その他のポリオールとしては、具体的には、例えば、アクリルポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオールなどの炭素−炭素結合を主鎖骨格に有するポリマーポリオール;等が挙げられる。
【0031】
これらのポリヒドロキシ化合物は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0032】
<ポリイソシアネート化合物>
ポリイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0033】
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)のような脂肪族ポリイソシアネート;TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)のような脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0034】
<ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノール化合物>
ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネートとの反応により、末端に遊離のイソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーが得られる。このウレタンプレポリマーに、下記で説明するターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノール化合物を反応させることで、ヒンダードフェノールによってブロックされたブロックウレタン樹脂を得ることができる。
【0035】
従来、ウレタンプレポリマーのブロック剤として、アミン系モノマーをブロック剤とするブロックウレタン樹脂は存在していたが、アミン系モノマーは、エポキシ基の自己重合を促進させるため、保存安定性が悪いという問題点を有していた。本実施形態においては、ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノールをブロック剤として使用している。ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノールは酸化防止機能を有するため、これを有するブロックウレタン樹脂を含有することで、高温においても優れた強度及び耐久性を有するエポキシ樹脂組成物が得られる。
【0036】
ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノールとしては、例えば2―tert―ブチル−p―クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(ジブチルヒドロキシトルエン)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等があげられる。これらのヒンダードフェノール化合物は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0037】
ヒンダードフェノール化合物の添加量としては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物の合計に対して、5〜30質量%とすることが好ましい。
【0038】
<触媒>
ブロックウレタン樹脂を合成する反応に好適である触媒は市販されており、例えば、アルミニウム、錫、亜鉛、チタン、マンガン、ビスマス又はジルコニウムをベースとする金属−又は遷移金属化合物、例えばジブチルチンジラウレート、亜鉛オクトエート、チタンテトラブチレート又はジルコニウムオクトエート等が挙げられる。
【0039】
また、本実施形態に係る樹脂組成物における、ブロックウレタン樹脂の量は、3〜50質量%であるのが好ましい。上記範囲とすることで、高温においても優れた強度及び耐久性を有する樹脂組成物が得られる。
【0040】
≪その他の成分≫
本実施形態に係る樹脂組成物は、上記説明した主成分以外の成分として、下記に挙げる硬化剤、硬化促進剤等のその他の成分を含む。各々の成分について、下記に詳細に説明する。
【0041】
<硬化剤>
本実施形態に係る硬化剤としては、通常エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものをそのまま使用することができる。
【0042】
硬化剤の具体例としては、例えばジシアンジアミド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、2−n−ヘプタデシルイミダゾールのようなイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N−ジアルキル尿素誘導体、N,N−ジアルキルチオ尿素誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸のような酸無水物、イソホロンジアミン、m−フェニレンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、メラミン、グアナミン、三フッ化ホウ素錯化合物、トリスジメチルアミノメチルフェノールなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0043】
上記の硬化剤の中でも、ジシアンジアミドを好適に使用することができる。ジシアンジアミドは、室温で安定に貯蔵でき、かつ、加熱により溶融し活性化することで急速に硬化する機能を有する潜在性硬化剤である。そのため、ジシアンジアミドを使用することで、高温においても優れた強度及び耐久性を有する樹脂組成物が得られる。
【0044】
本実施形態に係る樹脂組成物中における、硬化剤の含有量は、特に限定されず、各硬化剤毎の最適量を好ましく用いることができる。
【0045】
<硬化促進剤>
本実施形態に係る硬化促進剤は、硬化剤として好適に用いられるジシアンジアミドの硬化反応を促進する効果を有する。本実施形態の組成物に用いられる硬化促進剤は、ジシアンジアミドの硬化反応を促進する効果を有するものであれば特に限定されるものではなく、従来公知の硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤の具体例としては、脂肪族ジメチルウレア、芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用して使用しても良い。
【0046】
<更にその他の成分>
本実施形態に係る樹脂組成物は、その用途に応じて、更に無機充填剤、有機もしくは高分子充填剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、摺動性付与剤、界面活性剤、着色剤等を含有していてもよい。これらは、1種類を単独で含有していても良いし、2種類以上を併用して含有していても良い。その他の成分の具体例としては、炭酸カルシウム、タルク、ワレストナイト、ヒュームドシリカ、水酸化アルミニウム、酸化カルシウム、ベントナイト、カオリン、カーボンブラック等が挙げられる。
【0047】
≪エポキシ樹脂組成物の製造方法≫
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法で製造することができる。例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂及びブロックウレタン樹脂並びに必要に応じてその他の成分を、室温で均質に混練することで得ることができる。
【0048】
≪実施例≫
以下に、実施例を参照して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
【0049】
(実施例1のブロックウレタン樹脂の合成)
グリセリンベースのポリエーテルポリオール(水酸基当量1000)を1000重量部仕込み、窒素上部置換してイソホロンジイソシアネートを221重量部仕込んだ。80℃まで加熱し、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.01重量部仕込み、80〜90℃の温度で3時間反応させた。
【0050】
次に、ジブチルヒドロキシトルエンを220重量部仕込み、80〜90℃の温度で3時間反応させた。赤外分光光度計(IR)でNCOの吸収が消失したことを確認し、実施例1のブロックウレタン樹脂(BUR−1)を得た。
【0051】
(実施例2のブロックウレタン樹脂の合成)
ポリエーテルポリオールとしてポリテトラメチレングリコール(水酸基当量1000)を1000重量部仕込み、窒素上部置換しイソホロンジイソシアネートを221重量部仕込んだ。80℃まで加熱し、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.01重量部仕込み、80〜90℃の温度で3時間反応させた。
【0052】
次に、2―tert―ブチル−p―クレゾールを164重量部仕込み80〜90℃の温度で3時間反応させた。赤外分光光度計(IR)でNCOの吸収が消失したことを確認し、実施例2のブロックウレタン樹脂(BUR−2)を得た。
【0053】
(比較例1のブロックウレタン樹脂の合成)
グリセリンベースのポリエーテルポリオール(水酸基当量1000)を1000重量部仕込み、窒素上部置換しイソホロンジイソシアネートを221重量部仕込んだ。80℃まで加熱し、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.01重量部仕込み、80〜90℃の温度で3時間反応させた。
【0054】
次に、フェノールを94重量部仕込み、80〜90℃の温度で、3時間反応させた。赤外分光光度計(IR)でNCOの吸収が消失したことを確認し、比較例1のブロックウレタン樹脂(BURX−1)を得た。
【0055】
(比較例2のブロックウレタン樹脂の合成)
グリセリンベースのポリエーテルポリオール(水酸基当量1000)を1000重量部仕込み、窒素上部置換しイソホロンジイソシアネートを221重量部仕込んだ。80℃まで加熱し、触媒としてジブチルチンジラウレートを0.01重量部仕込み、80〜90℃の温度で3時間反応させた。
【0056】
次に、ジシクロヘキシルアミンを181重量部仕込み、80〜90℃の温度で、3時間反応させた。赤外分光光度計(IR)でNCOの吸収が消失したことを確認し、比較例2のブロックウレタン樹脂(BURX−2)を得た。
【0057】
(各実施例及び各比較例におけるエポキシ樹脂組成物の製造)
所定量のビスフェノールA型エポキシ樹脂、NBR変性エポキシ樹脂、ブロックウレタン樹脂、ジシアンジアミド、1−フェニル−3,3−ジメチル尿素及びヒュームドシリカを用いて、これらを均一に混錬して各実施例及び各比較例のエポキシ樹脂組成物を得た。尚、比較例3及び比較例4はブロックウレタン樹脂(BUR−1)の添加量を、エポキシ樹脂組成物に対して、それぞれ2質量%及び60質量%とした。各々の成分の添加量(重量部)は表1に示す通りである。
【0058】
【表1】
【0059】
(評価)
各実施例及び各比較例で得られた組成物を、軟鋼板の表面に塗布して所定の温度(180℃又は210℃)、所定の時間(30分)で硬化させ、引張り剪断強度試験およびT型剥離強度試験に供した。試験は、下記の条件で実施した。
【0060】
引張り剪断強度試験:JIS K−6850に準拠
テストスピード 5mm/min
塗布膜厚 0.2mm
塗膜面積 12.5×25mm
T型剥離強度試験:JIS K−6854に準拠
テストスピード 100mm/min
塗布膜厚 0.2mm
塗膜面積 25×100mm
とし、その他の条件については表1に示す。
【0061】
各評価についての結果について、表1に示す。
【0062】
各実施例において、引張り剪断強度およびT型剥離強度は、180℃及び210℃のいずれの硬化温度においても良好であった。一方、ターシャリーブチル基を有するヒンダードフェノール化合物を含むブロックウレタン樹脂を含有しない比較例1及び比較例2において、210℃の高温の硬化温度において、実施例に対して低い強度となった。したがって、実施例におけるエポキシ樹脂組成物は、高温においても優れた強度を有することがわかった。
また、当該ブロックウレタン樹脂の含有量が、エポキシ樹脂組成物に対して3〜50質量%の下限を下回る比較例3と上限を上回る比較例4は、実施された全ての強度試験において実施例に対して低い強度となった。
【0063】
更に、各実施例及び各比較例のエポキシ樹脂組成物の初期粘度の測定を行った。次にエポキシ樹脂組成物を、40℃の恒温槽にて2週間保管した。保管後のエポキシ樹脂組成物の粘度測定を行い、増粘率を算出した。
【0064】
各評価の結果について、表1に示す。
【0065】
実施例のエポキシ樹脂組成物は、いずれも保存安定性に優れている。比較例1、比較例3及び比較例4は、本発明と同等の保存安定性を有するが、比較例2は、保存安定性に劣る。