【解決手段】二酸化ケイ素とエタノールを混合し、混合物に過酸化水素と水とを加えて加熱する加熱工程と、加熱工程後の混合溶液中に存在する二酸化ケイ素を微細化する微細化工程と、微細化工程後の溶液を、乳化状の上層と、下層と、が形成されるように保持し、混合液から乳化状の上層を分離し得る分離工程と、を順に行う。加熱工程、微細化工程、分離工程という簡単な製法で難燃化合物に起因する潮解現象を抑制できる疎水乳化性潮解防止剤を製造することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1の難燃剤に含まれているような難燃性を有する難燃化合物は、建築用部材などの被対象物に対して難燃性を付与するという優れた性質を有しているものの、周囲の水分を吸収して潮解するという欠点がある。
例えば、難燃化合物を含浸させた被対象物の場合、時間の経過に伴い、難燃化合物が周囲の空気中に存在する水分と反応して潮解する。この潮解液は、被対象物の表面にしみだした後、乾燥し剥がれ落ちてしまう。このため、難燃化合物を被対象物に塗布等しても、当初は優れた難燃性を付与することができるものの、その効果は経時的に低下するといった問題が生じている。とくに、日本やアジアなどの地域では、湿気が多い梅雨や雨季といった季節があるため、その効果は乾燥した地域と比べて急激に低下するといった問題がある。
【0006】
現状では、難燃化合物の潮解が生じることを前提として、定期的に、難燃化合物を含有する難燃剤の塗布等することによって被対象物に対して難燃性を付与するということが行われているというのが実情である。しかも、建築用部材の場合には、後から塗布等することができにくい個所もあり、定期的な塗布等を行えない。さらに、定期的なコスト等も発生しており、経済的な負担にもなる。
したがって、潮解性を生じにくい難燃性化合物の開発が強く望まれている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、難燃性化合物の潮解性を抑制することができる疎水乳化性潮解防止剤およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法は、二酸化ケイ素とエタノールを混合し、該混合物に過酸化水素と水とを加えて加熱する加熱工程と、該加熱工程後の混合溶液中に存在する二酸化ケイ素を微細化する微細化工程と、該微細化工程後の溶液を、乳化状の上層と、下層と、が形成されるように保持し、前記混合液から前記乳化状の上層を分離し得る分離工程と、を順に行うことを特徴とする。
第2発明の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法は、第1発明において、前記二酸化ケイ素が、疎水性シリカであることを特徴とする。
第3発明の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法は、第1発明または第2発明において、前記エタノールが、前記二酸化ケイ素100重量部に対して、130重量部〜180重量部となるように混合し、前記過酸化水素が、前記二酸化ケイ素100重量部に対して、180重量部〜220重量部となるように混合することを特徴とする。
第4発明の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法は、第1発明、第2発明または第3発明のいずれかに記載の発明において、前記分離工程で分離された乳化状の上層100重量部に対して水を90重量部〜150重量部となるように混合することを特徴とする。
第5発明の疎水乳化性潮解防止剤は、水に分散させた状態で使用するものであり、疎水性シリカを含有しており、該疎水性シリカが、疎水性シリカにエタノールと過酸化水素を混合し加熱して得られたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1発明によれば、加熱工程、微細化工程、分離工程という簡単な製法で難燃化合物に起因する潮解現象を抑制できる乳化性の潮解防止剤を製造することができる。しかも、水を溶媒とする状態で使用することができるので、環境負荷を低減した乳化性の潮解防止剤を製造することができる。また、被対象物に塗工すれば、略透明な塗膜を形成できる乳化性の潮解防止剤を製造することができる。
第2発明によれば、疎水性シリカを用いることによって、潮解現象をより適切に抑制する乳化性の潮解防止剤を製造することができる。
第3発明によれば、二酸化ケイ素、エタノール、過酸化水素を所定の配合量となるように調製することによって、潮解防止機能をより適切に発揮する乳化性の潮解防止剤を製することができる。
第4発明によれば、所定量の水を混合することによって、取り扱い性がより向上した乳化性の潮解防止剤を製造することができる。
第5発明によれば、水に分散した状態で使用できるので、塗工性の自由度を向上させることができる。しかも溶媒が水であるので、環境への負荷を低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法は、乳化状の溶剤であり、難燃化合物とともに使用または塗工後の難燃化合物に対して適用すれば、難燃化合物に起因する潮解現象を抑制し得る潮解防止剤を製造できるようにしたことに特徴を有している。
【0012】
本実施形態の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法で製造された疎水乳化性潮解防止剤(以下、単に本製法による疎水乳化性潮解防止剤という)の適用対象となる難燃化合物とは、難燃性を有するが、周囲の空気中に存在する水分を吸収することにより水滴状となる、いわゆる潮解現象を引き起こす、難燃剤や防炎剤、不燃材などに含まれる化合物のことをいう。
難燃化合物としては、例えば、炭酸カリウム、臭化アンモニウム、次亜リン酸ナトリウム、リン酸ソーダ、酸性メタリン酸ソーダ、ハロゲン化合物などの難燃性を有する化合物を含有したものを挙げることができるが、上記機能を有するものであれば、これら化合物に限定されない。
【0013】
本製法による疎水乳化性潮解防止剤を難燃化合物とともに使用にするとは、例えば、疎水乳化性潮解防止剤を難燃化合物と混合して使用するような状態をいう。また、塗工後の難燃化合物に適用するとは、例えば、難燃化合物を塗工した状態の被対象物や難燃化合物を浸漬させた被対象物に対して難燃化合物を塗工するような場合を意味する。
なお、被対象物としては、例えば、建築用部材や、内装部材、壁紙、襖などの内装用クロス、カーテン類、外壁などの外装部材等など様々なものを挙げることができるが、難燃性を付与する対象となるものであれば、これらに限定されない。
【0014】
本製法による疎水乳化性潮解防止剤は、難燃化合物が塗布等された建築用部材等に最終的に塗布することができるようになっていれば、かかる潮解防止剤の態様はとくに限定されない。例えば、本製法による疎水乳化性潮解防止剤は、使用時に乳化した液状であるが、保存等する際に粒状の個体や、顆粒状、ペースト状、粉末状などの状態であってもよい。使用時において、乳化させた塗布することができる状態にできればとくに限定されない。取り扱い性の観点では、液状の状態が好ましく、水で希釈した状態のものがより好ましい。一方、保存性の観点では、粉末状や粒状にするのが好ましい。
【0015】
また、塗工とは、上記の建築用部材等に対して刷毛やスプレー等を用いて本製法による疎水乳化性潮解防止剤を付着(塗布)させることのほか、上記の建築用部材等を液状の本製法による疎水乳化性潮解防止剤に浸漬させて潮解防止剤を付着させる場合なども含む概念である。
【0016】
<本実施形態の潮解防止剤の製造方法>
以下、図面に基づいて本実施形態の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法について説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法では、まず、二酸化ケイ素とエタノールを混ぜ合わせた混合物を調製する(混合工程)。具体的には、二酸化ケイ素に対してエタノールを少量ずつ加えながら両者を十分に混ぜ合わせる。
【0018】
二酸化ケイ素とエタノールの混合する割合は、とくに限定されない。例えば、二酸化ケイ素100重量部に対して、エタノールを130重量部〜180重量部となるように混合すれば、二酸化ケイ素の表面をエタノールである程度コーティングしたような状態にできる。このため、後述するように、二酸化ケイ素の水への分散性はもちろん、疎水性の二酸化ケイ素であっても水への分散性を向上させることができるようになる。
【0019】
なお、本実施形態の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法に使用される二酸化ケイ素は、二酸化ケイ素を基本構成とする二酸化ケイ素化合物を使用することができる。この二酸化ケイ素化合物は、上述した構成であれば、とくに限定されない。例えば、一般的なシリカと言われる化合物や、疎水性シリカなどを使用することができる。
とくに、疎水性シリカを使用すれば、本製法による疎水乳化性潮解防止剤の機能(潮解を抑制するという機能)を向上させることができるという利点が得られる。
【0020】
疎水性シリカは、市販のものを採用してもよい。例えば、シリカの表面のシラノール基をメチルトリクロロシラン等のメチル基等で置換した疎水性レオロシール((株)トクヤマ社製、型番:DM−10、DM−20、DM−30等)、疎水性アエロジル(日本アエロジル社製、型番:R972、R104、R202,R7200等)などを挙げることができる。なお、上述したシリカの製造方法は、乾式法や湿式法が挙げられるが、とくに限定されない。
【0021】
つぎに、
図1に示すように、上述した混合工程で得られた混合物に対して過酸化水素を混合する。そして、この混合溶液に対して熱を加える(加熱工程)。
【0022】
過酸化水素を混合する割合は、とくに限定されない。
例えば、過酸化水素が、二酸化ケイ素100重量部に対して、180重量部〜220重量部となるように混合する。
【0023】
過酸化水素を加えた混合溶液に対して熱を加えていくと、液面が浮き上がる現象が発生する。いわゆる発泡現象が発生する。この場合、火力を調整して発泡現象が落ち着くのもまってもよいし、水を供給して強制的に発泡現象を停止させてもよいが、水を供給して発泡現象を強制的に停止するのが望ましい。
水を供給して強制的にかかる発泡現象を停止すれば、加熱により発生するアク状の物質を除去することができるので品質が向上した潮解防止剤を製造することができる。しかも、水を加えて急冷することによって、混合溶液中に過剰に存在しているエタノールや過酸化水素を除去することができる。
【0024】
なお、加熱工程の際に加える水の量は、とくに限定されないが、例えば、供給する過酸化水素100重量部に対して、3〜8倍重量部となるように調整する。
例えば、過酸化水素40gに対して水を300g添加した後、発泡現象が発生した際に追加で水を200g添加する。つまり、加熱工程では、混合溶液が二酸化ケイ素20g、エタノール30g、および過酸化水素40gの場合、水を合計で500g添加する。
【0025】
加熱工程において、添加する水の量は、上記範囲内であればとくに限定されず、その添加のタイミングもとくに限定されない。
具体的には、加熱工程において、混合溶液の発泡現象を複数回発生させてもよい。この場合、混合溶液中に過剰に存在するエタノールや過酸化水素をより適切に除去することができるものと推察する。
例えば、混合溶液が上記ごとき1回目の発砲現象の後に水を供給する。その後、継続して加熱して2回目の発泡現象が生じた際に水を供給するようにしてもよい。
【0026】
つぎに、
図1に示すように、加熱工程後の混合溶液中に分散している二酸化ケイ素を機械的処理によって微細化処理する(微細化工程)。
具体的には、微細化工程で二酸化ケイ素を微細化した際、かかる液を視認したときに、乳化したような状態に見えるようになるまで微細化処理する。
二酸化ケイ素を機械的処理によって微細化することによって、水中により均質な状態で二酸化ケイ素を分散させることができる。しかも、微細化によって粒子がより細かい状態となっているので、沈降速度を小さくして均質状態をより持続させることができるようになる。言い換えれば、本製法による疎水乳化性潮解防止剤の品質を長期間に渡って維持させることができようになる。
【0027】
加熱工程後の混合溶液中に分散している二酸化ケイ素を微細化する方法はとくに限定されないが、例えば、ミキサー型粉砕機、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ジェットミル、超音波攪拌機などを使用すれば、加熱工程後の混合溶液中に分散している二酸化ケイ素をより微細化することができる。
【0028】
ついで、
図1に示すように、微細化工程後の溶液を液相が形成されるまで保持する(分離工程)。
具体的には、微細化工程後の溶液を所定の期間静置すると、上から順に、乳化状の上層と、この上層の下方に位置する下層に分離されるまで保持する。なお、下層は、ほぼ透明な状態となる。そして、この下層には、過剰のエタノールや過剰の過酸化水素などが含まれた液である。
【0029】
乳化状の上層と下層との間にある程度の界面が形成されれば、分離工程が完了する。この乳化状の上層の液が本実施形態の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法で得られる疎水乳化性潮解防止剤(本製法による疎水乳化性潮解防止剤)となる。つまり、乳化状の上層を分離すれば、本製法による疎水乳化性潮解防止剤を液状の状態で得ることができる。そして、この液の溶媒は水であるので、疎水乳化性潮解防止剤を水溶性の状態で得ることができるのである。
【0030】
乳化状の上層と下層を分離する方法は、とくに限定されない。例えば、上方に位置する乳化状の上層を上方より分取してもよいし、下方に位置する下層を下方から排出して乳化状の上層を得てもよく、乳化状の上層が得ることができる方法であれば、どのような方法でも採用することができる。
【0031】
なお、この液状の疎水乳化性潮解防止剤は、そのままの濃度で使用してもよいし、水等で希釈した状態で使用してもよい。例えば、乳化状の上層を分離して得られた疎水乳化性潮解防止剤に対して水を、かかる疎水乳化性潮解防止剤100重量部に対して90重量部〜150重量部となるように添加すれば、塗工に適した粘性にできるので、疎水乳化性潮解防止剤の取り扱い性を向上させることができる。
【0032】
以上のごとく、本製法により得られる疎水乳化性潮解防止剤を、例えば、上述したように難燃化合物に混合したものを建築用部材等の被対象物に塗工すれば、本製法により得られる疎水乳化性潮解防止剤によって難燃化合物の潮解現象を防止することができる。
しかも、本製法により得られる疎水乳化性潮解防止剤を難燃化合物が塗布された被対象物に対して被対象物の表面を覆うように塗工した際、かかる疎水乳化性潮解防止剤の塗膜が略透明な状態にできる。このため、本製法により得られる疎水乳化性潮解防止剤を被対象物に対して塗工しても、被対象物の模様等を適切に視認できるようになる。すると、被対象物の表面の模様等にかかわらず本製法による疎水乳化性潮解防止剤を適用することができる。つまり、用途の自由度を向上させた疎水乳化性潮解防止剤を製造することができるのである。
【0033】
従来の難燃化合物の場合、かかる難燃化合物を塗布した建築用部材の表面には難燃化合物による潮解現象が発生した後、かかる潮解物が析出した白色化が生じる。つまり、建築用部材に塗布した難燃化合物が、時間とともに表面にしみだすため、かかる建築用部材に付与した難燃性または不燃性の効果が経時的に失われてしまう。
しかしながら、本製法により得られる疎水乳化性潮解防止剤を混合した難燃化合物を用いれば、上記のごとき潮解現象が生じないので、従来のような白色化も発生しない。
したがって、建築用部材に付与した難燃性または不燃性の効果期間を従来の難燃化合物と比べて飛躍的に向上させることができるようになる。
【0034】
以上をまとめると、本実施形態の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法を使用すれば、従来にない難燃化合物の潮解現象を防止することができる潮解防止剤を製造することができる。しかも、加熱工程、微細化工程、分離工程という簡単な製法で難燃化合物に起因する潮解現象を抑制できる潮解防止剤を製造することができる。さらに、水を溶媒とする状態で使用することができるので、環境負荷を低減した潮解防止剤を製造することができる。また、被対象物に塗工すれば、略透明な塗膜を形成できる疎水乳化性潮解防止剤を製造することができるので、用途の自由度を向上させることができる。
【実施例】
【0035】
本発明の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法で製造された疎水乳化性潮解防止剤の有効性を確認した。
【0036】
実験に使用した二酸化ケイ素、エタノール、過酸化水素は以下のとおりである。
二酸化ケイ素:疎水性レオロシール((株)トクヤマ社製、型番:DM−10、DM−20、DM−30等)
エタノール:健栄製薬のIPケントを使用した。
過酸化水素:保土谷化学社製、ロットナンバーが7108のものを使用した。
【0037】
(乳化性の潮解防止剤の調製)
まず、ビニール袋に疎水性レオロシール20gを入れたのち、かかる袋内にエタノール30gを加え、ビニール袋内の空気を十分に取り除いた状態で密閉して上下方向によく振りながらエタノールが疎水性レオロシールに含浸するように両者を混合した。
【0038】
つぎに、上記混合物をビニール袋から別容器に移した後、かかる容器内に過酸化水素40gと、水370gを供給した。そして、この混合溶液が煮沸するまで撹拌しながら加熱した。このとき数分で煮沸状態(発泡状態)となったので、水200gを追加で加えた後、再度煮沸させた後、加熱を完了した。
【0039】
この加熱後の混合溶液をミキサー(パナソニック社製、型番;MX−301)で微細化処理を行った。そして、この微細化処理した溶液を別の容器に移して10〜12時間静置した。
【0040】
所定時間静置した後、上方に位置する乳化状の上層を分離して、水が主溶媒の疎水乳化性潮解防止剤を調製した。なお、下層は廃棄した。
実験では、調製した液状の疎水乳化性潮解防止剤(原液)を使用した。
【0041】
(難燃化合物)
実験では、難燃化合物として、臭化アンモニウ(マナック社製、型番;NH
4Br)、リン酸アンモニウム(大洋化社製、型番;H
2PO
4)、硫酸マグネシウム(赤穂化成株式会社製、PACE12型)、炭酸カルシウム(神島化学社製)を使用した。
【0042】
ついで、上述のごとき調製した疎水乳化性潮解防止剤(原液)200gに各難燃化合物である、臭化アンモニウム94g、リン酸アンモニウム14g、硫酸マグネシウム24gおよび炭酸カルシム9gと、水200gとを加えて、よくかき混ぜて疎水乳化性潮解防止剤と難燃化合物の混合溶液を調製した。
そして、この混合溶液を刷毛を用いて画用紙に塗布した後、乾燥した。
【0043】
比較例として、疎水乳化性潮解防止剤を混合しない難燃化合物液を以下のように調製した。
臭化アンモニウム94g、リン酸アンモニウム14g、硫酸マグネシウム24gおよび炭酸カルシム9gと、水200gとを加えて、よくかき混ぜて比較例の難燃化合物液を調製した。
そして、この比較例の難燃化合物液を刷毛を用いて画用紙に塗布した後、乾燥した。
【0044】
これらの画用紙を、雨天時に、屋外の軒下に終日設置して、難燃化合物を塗布した表面の状態を観察した。
【0045】
観察の結果、難燃化合物液に疎水乳化性潮解防止剤を混合した液を塗布した画用紙の表面は、水分で濡れたような状態は観察されず、画用紙のかかる液を塗布していない個所と同じ状態であった。
一方、疎水乳化性潮解防止剤を混合しなかった比較例においては、難燃化合物液を塗布した画用紙の表面が水分でベトベトの状態となっていた。
【0046】
したがって、本発明の疎水乳化性潮解防止剤の製造方法によって製造された疎水乳化性潮解防止剤を使用すれば、難燃化合物に起因する潮解現象を防止できることが確認できた。