特開2019-218526(P2019-218526A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218526(P2019-218526A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】ガス化設備及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/46 20060101AFI20191129BHJP
   C10J 3/48 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   C10J3/46 B
   C10J3/48
   C10J3/46 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-119184(P2018-119184)
(22)【出願日】2018年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 章悟
(72)【発明者】
【氏名】藤井 貴
(72)【発明者】
【氏名】坂本 康一
(57)【要約】
【課題】スラグ水を介したガス化設備外への熱損失を抑制し、ガス化設備の熱効率を向上することができるガス化設備を提供する。
【解決手段】石炭を加熱媒体17によって乾燥させるプレ乾燥装置13bと、プレ乾燥装置13bによって乾燥された石炭を微粉砕する微粉炭機13cと、微粉炭機13cによって粉砕された微粉炭を加圧下で加熱してガス化するガス化炉16と、ガス化炉16に接続されるとともに微粉炭から生じるスラグが導かれ、スラグ水が貯留されたスラグ水貯留部77と、スラグ水貯留部77に導かれたスラグをスラグ水とともに取り出す水力輸送配管79と、スラグ水をスラグ水貯留部77に返送するスラグ水返送配管94と、スラグ水返送配管94を流通するスラグ水から得た熱を回収するスラグ水冷却器96と、を備え、スラグ水冷却器96によって回収された熱を用いて加熱媒体17が加熱される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素含有固体燃料を加熱媒体によって乾燥させる燃料乾燥部と、
該燃料乾燥部によって乾燥された前記炭素含有固体燃料を微粉砕する微粉砕機と、
該微粉砕機によって粉砕された前記炭素含有固体燃料を加圧下で加熱してガス化するガス化部と、
該ガス化部に接続されるとともに前記炭素含有固体燃料から生じるスラグが導かれ、スラグ水が貯留されたスラグ水貯留部と、
該スラグ水貯留部に導かれた前記スラグを前記スラグ水とともに取り出すスラグ取出部と、
該スラグ取出部に接続されるとともに前記スラグを前記スラグ水と分離するスラグ分離部と、
該スラグ分離部にて分離された前記スラグ水を前記スラグ水貯留部に返送するスラグ水返送部と、
前記スラグ水返送部を流通する前記スラグ水から得た熱を回収するスラグ水熱回収部と、
を備え、
前記スラグ水熱回収部によって回収された熱を用いて前記加熱媒体が加熱されるガス化設備。
【請求項2】
前記燃料乾燥部に流入する前記加熱媒体の温度は、70℃以上150℃以下とされている請求項1に記載のガス化設備。
【請求項3】
前記燃料乾燥部に流入する前記加熱媒体の温度を調整する温度調整部を備えている請求項1又は2に記載のガス化設備。
【請求項4】
前記ガス化部にてガス化された生成ガスが供給される燃焼器と、
該燃焼器から導かれた燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
該タービンからの動力を得て発電する発電機と、
前記タービンからの排ガスから熱を回収して蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
を備え、
前記微粉砕機には、前記排熱回収ボイラから抽気された排ガスが導かれる請求項1から3のいずれかに記載のガス化設備。
【請求項5】
前記ガス化部にてガス化された生成ガスから硫化水素を吸収する硫化水素吸収装置と、
該硫化水素吸収装置にて硫化水素を吸収した吸収液から硫化水素を再生する硫化水素再生装置と、
前記スラグ水熱回収部によって回収された熱を用いて前記硫化水素再生装置が加熱される再生加熱器と、
を備えている請求項1から4のいずれかに記載のガス化設備。
【請求項6】
前記ガス化部にてガス化された生成ガスが導かれる湿式スクラバ装置と、
該湿式スクラバ装置から導かれた排液からアンモニアを除去するアンモニアストリッピング装置と、
前記スラグ水熱回収部によって回収された熱を用いて前記アンモニアストリッピング装置が加熱される加熱器と、
を備えている請求項1から5のいずれかに記載のガス化設備。
【請求項7】
炭素含有固体燃料を加熱媒体によって乾燥させる燃料乾燥部と、
該燃料乾燥部によって乾燥された前記炭素含有固体燃料を微粉砕する微粉砕機と、
該微粉砕機によって粉砕された前記炭素含有固体燃料を加圧下で加熱してガス化するガス化部と、
該ガス化部に接続されるとともに前記炭素含有固体燃料から生じるスラグが導かれ、スラグ水が貯留されたスラグ水貯留部と、
該スラグ水貯留部に導かれた前記スラグを前記スラグ水とともに取り出すスラグ取出部と、
該スラグ取出部に接続されるとともに前記スラグを前記スラグ水と分離するスラグ分離部と、
該スラグ分離部にて分離された前記スラグ水を前記スラグ水貯留部に返送するスラグ水返送部と、
前記スラグ水返送部を流通する前記スラグ水から得た熱を回収するスラグ水熱回収部と、
を備えたガス化設備の運転方法であって、
前記スラグ水熱回収部によって回収された熱を用いて前記加熱媒体を加熱するガス化設備の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭等の炭素含有固体燃料をガス化するガス化設備及びその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス化設備として、石炭等の炭素含有固体燃料をガス化炉内に供給し、炭素含有固体燃料を部分燃焼させてガス化することで、可燃性ガスを生成するガス化設備が知られている。
【0003】
石炭等の炭素含有固体燃料は、灰分を含んでおり、ガス化する際にスラグが発生する。スラグは、スラグ水が貯留された下方のスラグ水貯留部へと導かれ、スラグ水によって冷却される。スラグ水は、スラグが有する1800℃〜2000℃程度の顕熱によって加熱される。下記特許文献1では、スラグによって加熱されたスラグ水の熱を有効利用するために、スラグ水貯留部に熱交換器を設置し、燃焼用空気に噴霧するアンモニア水を加熱することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−33992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、スラグ水貯留部に滞留したスラグは、スラグ水とともにガス化炉の外部へと取り出される。例えば、スラグをスラグ水と共にガス化炉の外部へと取り出し、サイクロンセパレータ等でスラグとスラグ水とを分離する。分離されたスラグ水は、再びスラグ水貯留部へと戻される。スラグ水をスラグ水貯留部に戻す際に、海水を用いて熱交換を行い、スラグ水を所定温度まで冷却する。これは、スラグ水貯留部からスラグ水を取り出して戻す間の配管の接続部に設けるシール部や、スラグ水を循環させるスラグ水循環ポンプの耐熱性を考慮したものである。
【0006】
しかし、海水によってスラグ水を冷却すると、スラグが有する顕熱を、スラグ水を介してガス化設備外へ捨てることになり、ガス化設備の熱効率の低下を招いてしまう。特に、灰分が20重量%を超える高灰分炭の場合には、スラグ量が多くなるためガス化設備外への熱損失を無視することができない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、スラグ水を介したガス化設備外への熱損失を抑制し、ガス化設備の熱効率を向上することができるガス化設備及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るガス化設備は、炭素含有固体燃料を加熱媒体によって乾燥させる燃料乾燥部と、該燃料乾燥部によって乾燥された前記炭素含有固体燃料を微粉砕する微粉砕機と、該微粉砕機によって粉砕された前記炭素含有固体燃料を加圧下で加熱してガス化するガス化部と、該ガス化部に接続されるとともに前記炭素含有固体燃料から生じるスラグが導かれ、スラグ水が貯留されたスラグ水貯留部と、該スラグ水貯留部に導かれた前記スラグを前記スラグ水とともに取り出すスラグ取出部と、該スラグ取出部に接続されるとともに前記スラグを前記スラグ水と分離するスラグ分離部と、該スラグ分離部にて分離された前記スラグ水を前記スラグ水貯留部に返送するスラグ水返送部と、前記スラグ水返送部を流通する前記スラグ水から得た熱を回収するスラグ水熱回収部と、を備え、前記スラグ水熱回収部によって回収された熱を用いて前記加熱媒体が加熱される。
【0009】
スラグ水熱回収部によってスラグ水から回収された熱が加熱媒体に供給され、加熱媒体が加熱される。これにより、炭素含有固体燃料を乾燥させる加熱媒体を加熱するための熱として、スラグ水の顕熱を有効に利用することができ、ガス化設備の熱効率を向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明の一態様に係るガス化設備では、前記燃料乾燥部に流入する前記加熱媒体の温度は、70℃以上150℃以下とされている。
【0011】
燃料乾燥部に流入する加熱媒体の温度としては、炭素含有固体燃料の乾燥を効果的に行うために70℃以上(より好ましくは100℃以上)であることが好ましい。また、150℃を超えると、大気圧において炭素含有固体燃料から水蒸気以外の揮発分(例えばCOやH等)が発生するおそれがあるため、燃料乾燥部に流入する加熱媒体の温度は150℃以下とすることが好ましい。これにより、スラグ水から回収した熱を適正な温度にて利用することができる。
【0012】
さらに、本発明の一態様に係るガス化設備では、前記燃料乾燥部に流入する前記加熱媒体の温度を調整する温度調整部を備えている。
【0013】
温度調整部によって加熱媒体の温度を調整する。これにより、スラグ水熱回収部にて回収した熱量に影響されること無く加熱媒体を適正な温度に調整することができる。
【0014】
さらに、本発明の一態様に係るガス化設備では、前記ガス化部にてガス化された生成ガスが供給される燃焼器と、該燃焼器から導かれた燃焼ガスによって駆動されるタービンと、該タービンからの動力を得て発電する発電機と、前記タービンからの排ガスから熱を回収して蒸気を生成する排熱回収ボイラと、を備え、前記微粉砕機には、前記排熱回収ボイラから抽気された排ガスが導かれる。
【0015】
微粉砕機に排熱回収ボイラから抽気された排ガスが導かれることによって、炭素含有固体燃料が乾燥される。一方、燃料乾燥部に供給される加熱媒体は、上述のように、スラグ水熱回収部にて回収された熱によって加熱される。このような構成とすることで、スラグ水にて回収される熱が排熱回収ボイラから抽気される排ガスよりも低い温度であっても、燃料乾燥部にて有効に利用することができる。
【0016】
さらに、本発明の一態様に係るガス化設備では、前記ガス化部にてガス化された生成ガスから硫化水素を吸収する硫化水素吸収装置と、該硫化水素吸収塔にて硫化水素を吸収した吸収液から硫化水素を再生する硫化水素再生装置と、前記スラグ水熱回収部によって回収された熱を用いて前記硫化水素再生装置が加熱される再生加熱器と、を備えている。
【0017】
硫化水素吸収装置にて生成ガスから硫化水素(HS)を吸収することによって、精製ガスが製造される。硫化水素を吸収した吸収液は、硫化水素再生装置にて再生され、硫化水素は系外へと排出される。硫化水素再生装置では、吸収液から硫化水素を再生するための再生熱が供給される。この再生熱として、スラグ水回収部によって回収された熱を用いることとした。これにより、ガス化設備の熱効率を向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明の一態様に係るガス化設備では、前記ガス化部にてガス化された生成ガスが導かれる湿式スクラバ装置と、該湿式スクラバ装置から導かれた排液からアンモニアを除去するアンモニアストリッピング装置と、前記スラグ水熱回収部によって回収された熱を用いて前記アンモニアストリッピング装置が加熱される加熱器と、を備えている。
【0019】
生成ガスを洗浄する湿式スクラバ装置から排出される排液にはアンモニアが含まれる。排液に含まれたアンモニアを除去するためにアンモニアストリッピング装置が用いられる。アンモニアストリッピング装置では、排液からアンモニアを除去するために加熱が必要とされる。そこで、スラグ水回収部によって回収された熱を用いることとした。これにより、ガス化設備の熱効率を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の一態様に係るガス化設備の運転方法は、炭素含有固体燃料を加熱媒体によって乾燥させる燃料乾燥部と、該燃料乾燥部によって乾燥された前記炭素含有固体燃料を微粉砕する微粉砕機と、該微粉砕機によって粉砕された前記炭素含有固体燃料を加圧下で加熱してガス化するガス化部と、該ガス化部に接続されるとともに前記炭素含有固体燃料から生じるスラグが導かれ、スラグ水が貯留されたスラグ水貯留部と、該スラグ水貯留部に導かれた前記スラグを前記スラグ水とともに取り出すスラグ取出部と、該スラグ取出部に接続されるとともに前記スラグを前記スラグ水と分離するスラグ分離部と、該スラグ分離部にて分離された前記スラグ水を前記スラグ水貯留部に返送するスラグ水返送部と、前記スラグ水返送部を流通する前記スラグ水から得た熱を回収するスラグ水熱回収部と、を備えたガス化設備の運転方法であって、前記スラグ水熱回収部によって回収された熱を用いて前記加熱媒体を加熱する。
【発明の効果】
【0021】
炭素含有固体燃料を乾燥させる加熱媒体を加熱するための熱として、スラグ水の顕熱を利用することとしたので、スラグ水を介したガス化設備外への熱損失を抑制し、ガス化設備の熱効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備を示した概略構成図である。
図2図1のガス化炉のスラグ水系統を示した概略構成図である。
図3A】変形例1を示し、図2のプレ乾燥装置の上流側の系統を示した概略構成図である。
図3B】変形例2を示し、図2のプレ乾燥装置の上流側の系統を示した概略構成図である。
図4図1のガス精製設備を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[石炭ガス化複合発電設備の全体構成]
図1には、本実施形態に係るガス化設備を適用した石炭ガス化複合発電設備の概略構成が示されている。
【0024】
石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)1は、ガス化炉設備3を備えている。ガス化炉設備3は、空気を酸化剤として用いており、石炭等の炭素含有固体燃料から可燃性ガス(生成ガス)を生成する空気燃焼方式を採用している。石炭ガス化複合発電設備1は、ガス化炉設備3で生成した生成ガスを、ガス精製設備5で精製して燃料ガスとした後、ガスタービン7に供給して発電を行っている。すなわち、石炭ガス化複合発電設備1は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備となっている。ガス化炉設備3に供給する炭素含有固体燃料としては、例えば石炭が用いられ、特に本実施形態は灰分が約20重量%とされた高灰分炭が用いられる。
【0025】
石炭ガス化複合発電設備1は、給炭設備9と、ガス化炉設備3と、チャー回収設備11と、ガス精製設備5と、ガスタービン7と、蒸気タービン18と、発電機19と、排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)20とを備えている。
【0026】
給炭設備9は、原炭として炭素含有固体燃料である石炭が給炭バンカ12から供給され、石炭を石炭粉砕部13で粉砕することで、細かい粒子状に粉砕した微粉炭を製造する。
【0027】
図2には、石炭粉砕部13の詳細が示されている。石炭粉砕部13は、給炭バンカ12から石炭を受け入れて石炭を粉砕する粉砕機13aと、粉砕機13aにて粉砕された石炭を乾燥させるプレ乾燥装置(燃料乾燥部)13bと、プレ乾燥装置13bにて乾燥された石炭を更に粉砕して微粉炭とする微粉炭機(微粉砕機)13cとを備えている。粉砕機13aでは、平均粒径が例えば100〜200μmまで石炭が粉砕され、微粉炭機13cでは、平均粒径が例えば50μmまで粉砕される。なお、石炭粉砕部13のさらなる具体的構成については後述する。
【0028】
図1に示すように、石炭粉砕部13で製造された微粉炭は、各微粉炭ホッパ14から給炭ライン15を経て、空気分離設備42から供給される搬送用イナートガスとしての窒素ガスによって加圧されて、ガス化炉設備3へ向けて供給される。イナートガスとは、酸素含有率が約5体積%以下の不活性ガスであり、窒素ガスや二酸化炭素ガスやアルゴンガスなどが代表例であるが、必ずしも約5%以下に制限されるものではない。
【0029】
ガス化炉設備3は、給炭設備9で製造された微粉炭が供給されると共に、チャー回収設備11で回収されたチャー(石炭の未反応分と灰分)が戻されて再利用可能に供給されている。
【0030】
また、ガス化炉設備3には、ガスタービン7(圧縮機61)からの圧縮空気供給ライン41が接続されており、ガスタービン7で圧縮された圧縮空気の一部が昇圧機68で所定圧力に昇圧されてガス化炉(ガス化部)16に供給可能となっている。空気分離設備42は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン43によって空気分離設備42とガス化炉設備3とが接続されている。そして、この第1窒素供給ライン43には、給炭設備9からの給炭ライン15が接続されている。また、第1窒素供給ライン43から分岐する第2窒素供給ライン45もガス化炉設備3に接続されており、この第2窒素供給ライン45には、チャー回収設備11からのチャー戻しライン46が接続されている。更に、空気分離設備42は、酸素供給ライン47によって、圧縮空気供給ライン41と接続されている。そして、空気分離設備42によって分離された窒素は、第1窒素供給ライン43及び第2窒素供給ライン45を流通することで、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用される。また、空気分離設備42によって分離された酸素は、酸素供給ライン47及び圧縮空気供給ライン41を流通することで、ガス化炉設備3において酸化剤として利用される。
【0031】
ガス化炉設備3は、例えば、2段噴流床形式のガス化炉16を備えている。ガス化炉設備3は、内部に供給された石炭(微粉炭)およびチャーを酸化剤(空気、酸素)により部分燃焼させることでガス化させ生成ガスとする。ガス化炉16内は加圧状態とされ、例えば、3〜4MPa(ゲージ圧)とされている。
バーナ30,31は、上下二段に設けられている。下方のバーナ30に相当する位置には、コンバスタ部32が設けられており、微粉炭の一部を燃焼させることでガス化のための熱を供給する。上方のバーナ31に相当する位置には、リダクタ部33が設けられ、微粉炭をガス化する。
リダクタ部33の下流側には、シンガスクーラ35(ガス冷却器)が設けられており、生成ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収設備11に供給する。シンガスクーラ35では蒸気が生成され、生成後の蒸気は排熱回収ボイラ(HRSG)20へと導かれる。
【0032】
ガス化炉設備3は、微粉炭に混入した異物(スラグ)を除去する異物除去設備が設けられている。異物除去設備については、図2を用いてスラグ水系統を説明する際に併せて説明する。
【0033】
ガス化炉設備3には、チャー回収設備11に向けて生成ガスを供給するガス生成ライン49が接続されており、チャーを含む生成ガスが排出可能となっている。
【0034】
チャー回収設備11は、集塵設備51と供給ホッパ52とを備えている。この場合、集塵設備51は、1つまたは複数のサイクロンやポーラスフィルタにより構成され、ガス化炉設備3で生成された生成ガスに含有するチャーを分離することができる。そして、チャーが分離された生成ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製設備5に送られる。供給ホッパ52は、集塵設備51で生成ガスから分離されたチャーを貯留するものである。集塵設備51と供給ホッパ52との間には、チャービン54が配置されている。チャービン54に対して、複数の供給ホッパ52が接続されている。供給ホッパ52からのチャー戻しライン46が第2窒素供給ライン45に接続されている。
【0035】
ガス精製設備5は、チャー回収設備11によりチャーが分離された生成ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。
ガス精製設備5は、ガス精製部21で生成ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン7に供給する。チャーが分離された生成ガス中にはまだ硫黄分(HSなど)が含まれているため、ガス精製部21では、アミン吸収液などによって硫黄分を除去回収して、有効利用する。ガス精製部21にてガス精製を行う際に排出されるオフガスは、排煙脱硫装置へと導かれる。
【0036】
ガスタービン7は、圧縮機61、燃焼器62、タービン63を備えており、圧縮機61とタービン63とは、回転軸64により連結されている。燃焼器62には、圧縮機61からの圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製設備5からの燃料ガス供給ライン66が接続され、また、タービン63に向かって延びる燃焼ガス供給ライン67が接続されている。また、ガスタービン7は、圧縮機61からガス化炉設備3に延びる圧縮空気供給ライン41が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気の一部とガス精製設備5から供給された燃料ガスの少なくとも一部とを混合して燃焼させることで燃焼ガスを発生させ、発生させた燃焼ガスをタービン63へ向けて供給する。そして、タービン63は、供給された燃焼ガスにより回転軸64を回転駆動させることで発電機19を回転駆動させる。
【0037】
蒸気タービン18は、ガスタービン7の回転軸64に連結されるタービン69を備えており、発電機19は、この回転軸64の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ20は、ガスタービン7(タービン63)からの排ガスライン70が接続されており、給水とタービン63の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。そして、排熱回収ボイラ20は、蒸気タービン18との間に蒸気供給ライン71が設けられている。また、排熱回収ボイラ20で生成する蒸気には、ガス化炉16のシンガスクーラ35で生成ガスと熱交換して生成された蒸気を含んでいる。従って、蒸気タービン18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気によりタービン69が回転駆動され、回転軸64を回転させることで発電機19を回転駆動させる。
【0038】
排熱回収ボイラ20の出口には、煙突75が接続されており、燃焼ガスが大気へと放出される。なお、排熱回収ボイラ20の出口に、ガス浄化設備を設けても良い。
【0039】
[石炭ガス化複合発電設備の動作]
次に、本実施形態の石炭ガス化複合発電設備1の動作について説明する。
本実施形態の石炭ガス化複合発電設備1において、給炭設備9に原炭(石炭)が供給されると、石炭は、給炭設備9において細かい粒子状に粉砕されることで微粉炭となる。給炭設備9で製造された微粉炭は、空気分離設備42から供給される窒素により第1窒素供給ライン43を流通してガス化炉設備3に供給される。また、後述するチャー回収設備11で回収されたチャーが、空気分離設備42から供給される窒素により第2窒素供給ライン45を流通してガス化炉設備3に供給される。更に、後述するガスタービン7から抽気された圧縮空気が昇圧機68で昇圧された後、空気分離設備42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通してガス化炉設備3に供給される。
【0040】
ガス化炉設備3では、供給された微粉炭及びチャーが圧縮空気(酸素)により燃焼し、微粉炭及びチャーがガス化することで、生成ガスを生成する。そして、この生成ガスは、ガス化炉設備3からガス生成ライン49を通って排出され、チャー回収設備11に送られる。
【0041】
このチャー回収設備11にて、生成ガスは、まず、集塵設備51に供給されることで、生成ガスに含有する微粒のチャーが分離される。そして、チャーが分離された生成ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製設備5に送られる。一方、生成ガスから分離した微粒のチャーは、供給ホッパ52に堆積され、チャー戻しライン46を通ってガス化炉設備3に戻されてリサイクルされる。
【0042】
チャー回収設備11によりチャーが分離された生成ガスは、ガス精製設備5にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。圧縮機61が圧縮空気を生成して燃焼器62に供給する。この燃焼器62は、圧縮機61から供給される圧縮空気と、ガス精製設備5から供給される燃料ガスとを混合し、燃焼することで燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスによりタービン63を回転駆動することで、回転軸64を介して圧縮機61及び発電機19を回転駆動する。このようにして、ガスタービン7は発電を行うことができる。
【0043】
そして、排熱回収ボイラ20は、ガスタービン7におけるタービン63から排出された排ガスと給水とで熱交換を行うことにより蒸気を生成し、この生成した蒸気を蒸気タービン18に供給する。蒸気タービン18では、排熱回収ボイラ20から供給された蒸気により回転駆動されることで、回転軸64を介して発電機19を回転駆動し、発電を行うことができる。
なお、ガスタービン7と蒸気タービン18は同一軸として1つの発電機19を回転駆動しなくてもよく、別の軸として複数の発電機を回転駆動しても良い。
【0044】
[スラグ水系統]
次に、ガス化炉設備3のスラグ水系統について説明する。
図2に示されているように、ガス化炉16内で微粉炭がガス化される際に、スラグが生成される。スラグは、約1800〜約2000℃の顕熱を有しており、矢印Xで示すように、重力により下方に落下する。
【0045】
ガス化炉16の下方には、スラグ水が貯留されたスラグ水貯留部77が設けられている。スラグ水貯留部77は、ガス化炉16に連通して接続されている。したがって、スラグ水貯留部77内の圧力は、ガス化炉16と同様に加圧状態とされており、例えば3〜4MPa(ゲージ圧)とされる。
【0046】
スラグ水貯留部77には、石炭がガス化される際に生じたスラグが導かれる。スラグ水貯留部77には、スラグを粉砕するスラグクラッシャ78が設けられている。スラグクラッシャ78によって粉砕されたスラグは、スラグ水貯留部77の下方へ沈降し、底部に集積される。
【0047】
スラグ水貯留部77の底部には、水力輸送配管(スラグ取出部)79の吸込口が配置されている。水力輸送配管79によって、スラグがスラグ水とともにスラグ水貯留部77の外部へと取り出される。水力輸送配管79の内周面には、例えばバサルト材等の耐摩耗材料がライニングされている。
【0048】
水力輸送配管79の下流端は、スラグサイクロン(スラグ分離部)80が接続されている。スラグサイクロン80は、遠心力によってスラグとスラグ水を分離する。スラグサイクロン80にて分離されたスラグは、下方へと導かれ、スラグロックホッパ81にて一時的に貯留された後に、スラグ分配器82を介してスラグ脱水貯留槽83へと導かれる。スラグサイクロン80とスラグロックホッパ81との間には第1スラグ排出弁84が設けられ、スラグロックホッパ81とスラグ分配器82との間には第2スラグ排出弁85が設けられている。スラグを排出する際は、第1スラグ排出弁84を開から閉とした後に、第2スラグ排出弁85を閉から開とする。これにより、スラグロックホッパ81内のスラグがスラグ分配器82へと導かれる。
【0049】
スラグ分配器82には、スプレー水が供給されるようになっている。これにより、スラグとともに導かれたスラグ水がフラッシュすることを防止し、スラグ水が系外へ放出されることを可及的に回避している。
【0050】
スラグ分配器82からスラグ脱水貯留槽83へとスラグが導かれ、脱水された後のスラグが車両86によって回収される。スラグ脱水貯留槽83にて分離されたスラグ水は、スラグ排水ピット88へと導かれる。スラグ排水ピット88へと導かれたスラグ水は、スラグ水給水ポンプ89によってスラグ水貯留部77側へと導かれる。
【0051】
スラグサイクロン80にて分離されたスラグ水は、スラグ水返送配管(スラグ水返送部)94を通り、スラグ水循環ポンプ95へと導かれる。スラグ水循環ポンプ95の上流側で、濾過器を通過してスラグ水給水ポンプ89から導かれた濾過水が合流する。
【0052】
スラグ水返送配管94から導かれたスラグ水は、スラグ水循環ポンプ95を通り、スラグ水冷却器(スラグ水熱回収部)96へと導かれる。スラグ水冷却器96は、熱交換器とされ、スラグ水が他の媒体によって冷却されることで他の媒体を加熱するようになっている。ここで用いられる他の媒体としては、後述するように、例えばプレ乾燥装置13bへ供給される加熱媒体とされる。
なお、スラグ水循環ポンプ95及びスラグ水冷却器96は、それぞれ並列に2つ設けられているが、もちろんそれぞれ1つとしても良い。
【0053】
スラグ水循環ポンプ95とスラグ水冷却器96との間には、圧力センサPが設けられている。圧力センサPによって、スラグ水循環ポンプ95の吐出圧が計測される。圧力センサPの出力信号は、図示しない制御部へと送られる。
スラグ水冷却器96の下流側には、スラグ水の温度を計測する温度センサTが設けられている。温度センサTの出力信号は、図示しない制御部へと送られる。
【0054】
温度センサTにて計測される温度が70℃以上150℃以下となるように制御される。ただし、スラグ水の上限温度は、圧力センサPによって得られた圧力から算出される飽和蒸気温度以下とされる。スラグ水の温度は、制御部によってスラグ水循環ポンプ95の回転数を制御することによって調整しても良い。例えば、スラグ水循環ポンプ95の回転数を減少させるとスラグ水温度が上昇し、スラグ水循環ポンプ95の回転数を増大させるとスラグ水温度が低下する。
【0055】
制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0056】
[スラグ水回収熱供給先I]
次に、図2を用いて、スラグ水冷却器96によって回収された熱の供給先について説明する。
スラグ水冷却器96によって回収された熱は、プレ乾燥装置13bに用いられる。具体的には、プレ乾燥装置13bに供給される加熱媒体17をスラグ水冷却器96にて加熱する。すなわち、加熱媒体17がスラグ水冷却器96に供給され(符号※A参照)、スラグ水冷却器96にて加熱された加熱媒体17がスラグ水冷却器96からプレ乾燥装置13bへと導かれる(符号※B参照)。プレ乾燥装置13bは、粉砕後の石炭が流動する流動層乾燥装置とされており、流動化媒体として加熱媒体17が用いられる。プレ乾燥装置13b内の圧力は、大気圧とされている。
【0057】
加熱媒体17としては、空気分離設備42から導かれた窒素が用いられる。または、加熱媒体17として、石炭を乾燥させた際に発生する蒸気を循環させるように構成し、この循環させた蒸気を用いることとしても良い。
プレ乾燥装置13bでは、含水率が30〜40重量%まで石炭が乾燥される。
【0058】
微粉炭機13cには、排熱回収ボイラ20から抽気された排ガスが導かれるようになっている。これにより、微粉炭の含水率が10〜20重量%まで乾燥される。
【0059】
以上により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
スラグ水冷却器96によってスラグ水から回収された熱が加熱媒体17に供給され、加熱媒体17が加熱される。これにより、石炭を乾燥させる加熱媒体17を加熱するための熱として、スラグ水の顕熱を有効に利用することができ、石炭ガス化複合発電設備1の熱効率を向上させることができる。
【0060】
プレ乾燥装置13bに流入する加熱媒体17の温度としては、石炭の乾燥を効果的に行うために70℃以上とした。また、150℃を超えると、大気圧において石炭から水蒸気以外の揮発分(例えばCOやH等)が発生するおそれがあるため、プレ乾燥装置13bに流入する加熱媒体17の温度は150℃以下とされている。これにより、スラグ水から回収した熱を適正な温度にて利用することができる。
【0061】
微粉炭機13cに、排熱回収ボイラ20から抽気された排ガスが導かれることによって、微粉炭がさらに乾燥される。一方、プレ乾燥装置13bに供給される加熱媒体17は、上述のように、スラグ水冷却器96にて回収された熱によって加熱される。このような構成とすることで、スラグ水にて回収される熱が排熱回収ボイラ20から抽気される排ガスよりも低い温度であっても、プレ乾燥装置13bにて有効に利用することができる。
【0062】
なお、スラグ水循環ポンプ95の下流側にスラグ水冷却器96を配置する構成として説明したが、スラグ水冷却器96の下流側にスラグ水循環ポンプ95を配置する構成としても良い。これにより、スラグ水循環ポンプ95が過剰に加熱されることを回避でき、耐熱性が要求されない安価なスラグ水循環ポンプ95を採用することができる。
【0063】
[変形例1]
図3Aに示すように、スラグ水冷却器96にて熱を回収した後の加熱媒体17に対して、温度調整のために冷却媒体を合流配管(温度調整部)22から合流させるようにしても良い。この場合には、合流後の加熱媒体17の温度を計測する温度センサ22Tを設け、制御部によって温度調整後の加熱媒体17の温度が70℃以上150℃以下の温度となるように冷却媒体の流量を制御する。冷却媒体としては、加熱媒体17と同じ流体が用いられ、例えば、空気分離設備42にて分離された窒素を用いる場合には窒素が用いられ、プレ乾燥装置13bで発生した蒸気を循環させて用いる場合には蒸気を用いる。本変形例によれば、スラグ水冷却器96にて加熱媒体17が所望値よりも高温となった場合にも、プレ乾燥装置13bで必要な乾燥温度に調整することができる。
【0064】
[変形例2]
図3Bに示すように、スラグ水冷却器96にて熱を回収した後の加熱媒体17を温度調整するために、温調用熱交換器(温度調整部)23を設けるようにしても良い。温調用熱交換器23にて、加熱媒体17が冷却媒体によって冷却される。この場合には、冷却後の加熱媒体17の温度を計測する温度センサ23Tを設け、制御部によって温度調整後の加熱媒体17の温度が70℃以上150℃以下の温度となるように冷却媒体の流量を制御する。冷却媒体としては、加熱媒体17よりも低い温度の流体が用いられ、例えば、空気分離設備42にて分離された窒素や、プレ乾燥装置13bで発生した蒸気を循環させて用いる循環蒸気が用いられる。本変形例によれば、スラグ水冷却器96にて加熱媒体17が所望値よりも高温となった場合にも、プレ乾燥装置13bで必要な乾燥温度に調整することができる。
【0065】
[スラグ水回収熱供給先II]
次に、図4を用いて、スラグ水冷却器96によって回収された熱の別の供給先について説明する。
【0066】
図4には、図1に示したガス精製設備5の具体的な構成が示されている。ガス精製設備5は、ガス化炉設備3(図1参照)からガス排出ライン53を介して生成ガスが導かれ、COシフト反応を促進するCOシフト触媒反応器24を備えている。COシフト触媒反応器24の下流側には、湿式スクラバ装置25と、アミン吸収液等の吸収液にHS(硫化水素)を吸収するHS吸収塔(硫化水素吸収装置)26と、HSを吸収した吸収液からHSを再生するHS再生塔(硫化水素再生装置)27とが接続されている。HS吸収塔(硫化水素吸収装置)26にてHSが除去された生成ガスは、精製ガスとして、下流側に接続されたガスタービン7の燃焼器62(図1参照)へと送られる。
【0067】
S再生塔27には、吸収液を加熱するための再生加熱器29が接続されている。再生加熱器29にて吸収液を加熱する蒸気(加熱媒体)は、スラグ水冷却器96(図2参照)にて70℃以上150℃以下に加熱されるようになっている。すなわち、図4の再生加熱器29の符号※A及び符号※Bは、図2のスラグ水冷却器96の符号※A及び符号※Bに対応する。このように、再生加熱器29に供給する再生熱として、スラグ水冷却器96によって回収された熱を用いることとしたので、石炭ガス化複合発電設備1の熱効率を向上させることができる。
【0068】
[スラグ水回収熱供給先III]
図4を用いて、スラグ水冷却器96によって回収された熱のさらに別の供給先について説明する。
【0069】
図4に示すように、湿式スクラバ装置25から排液が導かれるハイドロカーボン処理設備36が設けられている。ハイドロカーボン処理設備36では、排液に残留する炭化水素が処理される。ハイドロカーボン処理設備36にて処理された排液は、アンモニアストリッピング塔(アンモニアストリッピング装置)37へと導かれる。アンモニアストリッピング塔37では、排液中のアンモニアが除去され、除去されたアンモニアガスはオフガス処理装置へと導かれ、アンモニアが除去された排液は下方から取り出されて排水として処理される。
【0070】
アンモニアストリッピング塔37には、アンモニアストリッピング塔37を加熱するための加熱器38が設けられている。加熱器38に用いられる加熱媒体としての蒸気は、スラグ水冷却器96(図2参照)にて70℃以上150℃以下に加熱されるようになっている。すなわち、図4の加熱器38の符号※A及び符号※Bは、図2のスラグ水冷却器96の符号※A及び符号※Bに対応する。このように、加熱器38に供給する熱として、スラグ水冷却器96によって回収された熱を用いることとしたので、石炭ガス化複合発電設備1の熱効率を向上させることができる。
【0071】
なお、上記実施形態では、スラグ水回収熱供給先I乃至IIIをそれぞれ別個に説明したが、これらを適宜組み合わせることも可能である。
また、スラグ水回収熱供給先は、これら以外にも、例えば暖房の熱源として用いることも可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、石炭ガス化複合発電設備1をガス化設備の一例として説明したが、石炭ガス化複合発電設備1以外のプラント、例えば所望の化学種を生成ガスから得るためのガス化炉設備として用いてもよい。この場合には、ガスタービン等の発電設備を省略することができる。
【0073】
また、上述した実施形態では、燃料として灰分含有量が多い高灰分石炭を使用したが、高灰分炭よりも灰分が少ない石炭であっても適用可能であり、また、石炭に限らず、再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを使用することも可能である。
【0074】
また、本実施形態はガス化炉として、タワー型ガス化炉について説明してきたが、ガスの流通経路が上部で略逆U字状に折り返すクロスオーバー型ガス化炉としても良い。この場合には、ガス化炉内の各機器の鉛直上下方向を生成ガスのガス流れ方向を合わせるように置き換えることで、タワー型ガス化炉と同様に実施が可能である。
【0075】
また、上述した実施形態では、スラグ水と熱回収先とがスラグ水冷却器96を介して直接的に熱交換することとしたが、これに代えて、熱交換媒体(例えば水)が流通する別系統を介して間接的に熱交換するようにしても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 石炭ガス化複合発電設備(ガス化設備)
3 ガス化炉設備
5 ガス精製設備
7 ガスタービン
13 石炭粉砕部
13a 粉砕機
13b プレ乾燥装置(燃料乾燥部)
13c 微粉炭機(微粉砕機)
16 ガス化炉(ガス化部)
17 加熱媒体
19 発電機
20 排熱回収ボイラ
22 合流配管(温度調整部)
23 温調用熱交換器(温度調整部)
26 HS吸収塔(硫化水素吸収装置)
27 HS再生塔(硫化水素再生装置)
29 再生加熱器
36 ハイドロカーボン処理設備
37 アンモニアストリッピング塔(アンモニアストリッピング装置)
38 加熱器
42 空気分離設備
62 燃焼器
63 タービン
77 スラグ水貯留部
79 水力輸送配管(スラグ取出部)
80 スラグサイクロン(スラグ分離部)
94 スラグ水返送配管(スラグ水返送部)
95 スラグ水循環ポンプ
96 スラグ水冷却器(スラグ水熱回収部)
図1
図2
図3A
図3B
図4