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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218624(P2019-218624A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】電気化学式水素ポンプ
(51)【国際特許分類】
   C25B 9/10 20060101AFI20191129BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20191129BHJP
   H01M 8/04 20160101ALN20191129BHJP
   H01M 8/0662 20160101ALN20191129BHJP
【FI】
   C25B9/10
   C01B3/00 Z
   H01M8/04 N
   H01M8/0662
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-51460(P2019-51460)
(22)【出願日】2019年3月19日
(31)【優先権主張番号】特願2018-113854(P2018-113854)
(32)【優先日】2018年6月14日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 邦弘
(72)【発明者】
【氏名】川畑 徳彦
(72)【発明者】
【氏名】酒井 修
(72)【発明者】
【氏名】脇田 英延
(72)【発明者】
【氏名】張 晋
(72)【発明者】
【氏名】可児 幸宗
【テーマコード(参考)】
4G140
4K021
5H127
【Fターム(参考)】
4G140AB01
4K021AA01
4K021CA09
4K021DB04
4K021DB06
4K021DB43
4K021DB49
4K021DB53
4K021EA02
5H127BA02
5H127BA14
5H127BA17
5H127BA22
5H127EE12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水素ポンプユニットのカソードセパレーターおよびカソード間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制し得る電気化学式水素ポンプを提供する。
【解決手段】電気化学式水素ポンプ100は、電解質膜、電解質膜の一方の主面に接するアノード、電解質膜の他方の主面に接するカソード、アノード上に積層されたアノードセパレーター17、およびカソード上に積層されたカソードセパレーター16を含み、アノードに供給された水素含有ガス中の水素をカソードに移動させ、かつ昇圧させる、水素ポンプユニットと、アノードセパレーター上に設けられたアノード端板24Aと、カソードセパレーター上に設けられたカソード端板24Cと、カソード端板からカソードセパレーターまでの部材を移動をさせないための第1固定部材と、カソード端板とカソードセパレーターとの間に設けられた第一空間60にカソード上の水素を供給する第1のガス流路と、を備える。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜、前記電解質膜の一方の主面に接するアノード、前記電解質膜の他方の主面に接するカソード、前記アノード上に積層されたアノードセパレーター、および前記カソード上に積層されたカソードセパレーターを含み、前記アノードに供給された水素含有ガス中の水素を前記カソードに移動させ、かつ昇圧させる、少なくとも1つの水素ポンプユニットと、
前記積層された方向において、一方の端に位置する前記アノードセパレーター上に設けられたアノード端板と、
前記積層された方向において、他方の端に位置する前記カソードセパレーター上に設けられたカソード端板と、
少なくとも前記カソード端板から前記他方の端に位置するカソードセパレーターまでの部材について、前記積層された方向への移動をさせないための第1固定部材と、
前記カソード端板と前記カソードセパレーターとの間に設けられた第一空間に前記カソード上の水素を供給する第1のガス流路と、
を備える電気化学式水素ポンプ。
【請求項2】
少なくとも前記アノード端板から前記一方の端に位置するアノードセパレーターまでの部材について、前記積層された方向への移動をさせないための第2固定部材と、
前記アノード端板と前記アノードセパレーターとの間に設けられた第二空間に前記カソード上の水素を供給する第2のガス流路を備える請求項1に記載の電気化学式水素ポンプ。
【請求項3】
前記第一空間と前記第二空間は対向する位置に設けられる請求項2に記載の電気化学式水素ポンプ。
【請求項4】
前記第2のガス流路は、前記第一空間と前記第二空間とを連通させる連通流路を含む請求項2または3に記載の電気化学式水素ポンプ。
【請求項5】
前記第一空間は、前記カソードの主面と平行に設けられる請求項1−4のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
【請求項6】
前記カソードセパレーターの主面と平行な方向における前記第一空間の開口面積は、前記カソードの主面の面積以上である請求項1−5のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
【請求項7】
前記カソードセパレーターの主面と平行な方向における前記第一空間の開口面積は、前記カソードセパレーターの主面の面積以下である請求項1−6のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
【請求項8】
前記第二空間は、前記アノードの主面と平行に設けられる請求項2−4のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
【請求項9】
前記アノードセパレーターの主面と平行な方向における前記第二空間の開口面積は、前記アノードの主面の面積以上である請求項2−5のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
【請求項10】
前記アノードセパレーターの主面と平行な方向における前記第二空間の開口面積は、前記アノードセパレーターの主面の面積以下である請求項2−5、9のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。
【請求項11】
前記アノードは、アノードガス拡散層を含み、
前記カソードは、カソードガス拡散層を含み、
前記アノードガス拡散層の弾性率は、前記カソードガス拡散層の弾性率よりも高い請求項1−10のいずれか1項に記載の電気化学式水素ポンプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電気化学式水素ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化などの環境問題、石油資源の枯渇などのエネルギー問題から、化石燃料に代わるクリーンな代替エネルギー源として、水素が注目されている。水素は燃焼しても基本的に水しか放出せず、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されずかつ窒素酸化物などもほとんど排出されないので、クリーンエネルギーとして期待されている。また、水素を燃料として高効率に利用する装置として、例えば、燃料電池があり、自動車用電源向け、家庭用自家発電向けに開発および普及が進んでいる。
【0003】
来るべき水素社会では、水素を製造することに加えて、水素を高密度で貯蔵し、小容量かつ低コストで輸送または利用し得る技術開発が求められている。特に、分散型のエネルギー源となる燃料電池の普及促進には、水素供給インフラを整備する必要がある。また、水素を安定的に供給するために、高純度の水素を製造、精製、高密度貯蔵する様々な提案が行われている。
【0004】
例えば、特許文献1では、固体高分子電解質膜、給電体およびセパレーターの積層体をエンドプレートで挟んだ状態で、エンドプレートを貫通する締結ボルトにより積層体が締結された高圧水素製造装置が提案されている。この高圧水素製造装置において、高圧側のカソード給電体および低圧側のアノード給電体間に、所定圧以上の差圧が生じると、固体高分子電解質膜および低圧側のアノード給電体が変形する。すると、高圧側のカソード給電体および固体高分子電解質膜間の接触抵抗が増加する。
【0005】
そこで、特許文献1の高圧水素製造装置に、固体高分子電解質膜および低圧側のアノード給電体が変形しても、高圧側のカソード給電体を固体高分子電解質膜に押圧して密着させる皿バネ、コイルバネなどの押圧手段が設けられている。これにより、高圧側のカソード給電体および固体高分子電解質膜間の接触抵抗の増加を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−70322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来例は、カソードのガス圧が高圧になる場合のカソードセパレーターおよびカソード間の接触抵抗の増加については十分に検討されていない。本開示の一態様(aspect)は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来に比べて、水素ポンプユニットのカソードセパレーターおよびカソード間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制し得る電気化学式水素ポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本開示の一態様の電気化学式水素ポンプは、電解質膜、前記電解質膜の一方の主面に接するアノード、前記電解質膜の他方の主面に接するカソード、前記アノード上に積層されたアノードセパレーター、および前記カソード上に積層されたカソードセパレーターを含み、前記アノードに供給された水素含有ガス中の水素を前記カソードに移動させ、かつ昇圧させる、少なくとも1つの水素ポンプユニットと、前記積層された方向において、一方の端に位置する前記アノードセパレーター上に設けられたアノード端板と、前記積層された方向において、他方の端に位置する前記カソードセパレーター上に設けられたカソード端板と、少なくとも前記カソード端板から前記他方の端に位置するカソードセパレーターまでの部材について、前記積層された方向への移動をさせないための第1固定部材と、前記カソード端板と前記カソードセパレーターとの間に設けられた第一空間に前記カソード上の水素を供給する第1のガス流路と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様の電気化学式水素ポンプは、従来に比べて、水素ポンプユニットのカソードセパレーターおよびカソード間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制し得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A図1Aは、電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図1B図1Bは、電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図2A図2Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図2B図2Bは、図2AのB部の拡大図である。
図3A図3Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図3B図3Bは、図3AのB部の拡大図である。
図4図4は第1実施形態の変形例の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図5図5は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
図6図6は第2実施形態の変形例の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特許文献1の高圧水素製造装置では、エンドプレートを貫通する締結ボルトにより積層体が締結され、積層方向に圧縮されている。しかしながら、発明者らが鋭意検討した結果、カソードのガス圧が高圧であるため、カソードセパレーターが、これに近接するエンドプレート側に膨らむように変形し、これに伴いエンドプレートも積層体側と反対の方向である外側に向け膨らむよう変形することを見出した。また、上記積層体が複数であるとき、複数の積層体において、積層方向において端に位置するカソードセパレーターが、近接するエンドプレート側に変形する。この変形に伴い、エンドプレートも上記と同様に変形する。
【0012】
カソードセパレーターの上記変形に伴い、カソードセパレーターとカソード給電体の間には、特許文献1の段落[0020]に記載の隙間よりも大きな隙間が生じ、この隙間を補うために、カソード給電体とカソードセパレーターとを電気的に接続する皿バネの距離が長くなり、皿バネの電気抵抗が増加する。
【0013】
これは、特許文献1の高圧水素製造装置に限らず、出願人による先行特許の電気化学式水素ポンプおいても同様である。
【0014】
例えば、図1Aに示す如く、カソードガス拡散層114が、カソードセパレーター116の凹部に収納されるとともに、電解質膜111、カソード触媒層112、アノード触媒層113、カソードガス拡散層114、およびアノードガス拡散層115の積層体500の締結前に、凹部からその厚み方向に所定の大きさEcdではみ出して配設される構成が提案された。
【0015】
このとき、図1Bに示す如く、積層体500の締結時において、カソードガス拡散層114を、はみ出し量Ecd分、厚み方向に弾性変形する。
【0016】
ここで、この電気化学式水素ポンプの動作時に、積層体500のカソードガス拡散層114のガス圧が高圧になると、電解質膜111がガスを通さないので、アノードガス拡散層115、アノード触媒層113および電解質膜111に高圧がかかる。すると、アノードガス拡散層115、アノード触媒層113および電解質膜111のそれぞれが圧縮変形する。しかし、このとき、カソードガス拡散層114が、締結器による圧縮後の厚みT2から圧縮前の厚みT1に戻る方向に弾性変形することにより、カソード触媒層112とカソードガス拡散層114との間の接触を適切に維持できる。
【0017】
しかしながら、上述の通り、カソードのガス圧が高圧になると、カソードセパレーター116が、これに近接する図示しないエンドプレート側(外側)に膨張するように変形するので、カソードセパレーター116の凹部の底面とカソードガス拡散層114との間に隙間が生じやすくなる。そこで、カソードセパレーター116とカソードガス拡散層114との電気的接触を確保するには、カソードセパレーター116の変形分も考慮して、カソードガス拡散層114のはみ出し量Ecdを更に大きくする必要がある。その結果、カソードのガス圧が高圧であるとき、カソードガス拡散層114の厚み方向の長さが長くなり、カソードガス拡散層114の厚み方向の電気抵抗が増加する。
【0018】
なお、この問題は、上記の出願人の先行特許の例に限らず、凹部が設けられていないカソードセパレーターの平面上にカソードガス拡散層が設けられている形態においても、同様に発生する。
【0019】
そこで、発明者らは、以上のカソードガス拡散層とカソードセパレーターとの間の電気抵抗の増加を、カソードセパレーター上に設けられたカソード端板とカソードセパレーターとの間に、カソードに連通する空間を形成することで簡易に抑制できることを見出し、以下の本開示の一態様に想到した。
【0020】
すなわち、本開示の第1態様の電気化学式水素ポンプは、電解質膜、電解質膜の一方の主面に接するアノード、電解質膜の他方の主面に接するカソード、アノード上に積層されたアノードセパレーター、およびカソード上に積層されたカソードセパレーターを含み、アノードに供給された水素含有ガス中の水素をカソードに移動させ、かつ昇圧させる、少なくとも1つの水素ポンプユニットと、上記積層された方向において、一方の端に位置するアノードセパレーター上に設けられたアノード端板と、上記積層された方向において、他方の端に位置するカソードセパレーター上に設けられたカソード端板と、少なくともカソード端板から他方の端に位置するカソードセパレーターまでの部材について、上記積層された方向への移動をさせないための第1固定部材と、カソード端板とカソードセパレーターとの間に設けられた第一空間にカソード上の水素を供給する第1のガス流路と、を備える。
【0021】
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、従来に比べて、水素ポンプユニットのカソードセパレーターおよびカソード間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制し得る。
【0022】
具体的には、水素ポンプユニットのカソード上の高圧の水素を、第1のガス流路を通じてカソード端板とカソードセパレーターとの間に設けられた第一空間に供給することができる。このため、第一空間内の水素ガス圧は、水素ポンプユニットのカソード内の水素ガス圧とほぼ同等の高圧である。すると、第一空間内の水素によってカソードセパレーターに付与される荷重は、カソード内の水素ガス圧に起因するカソードセパレーターの変形(たわみ)を抑えるように作用する。よって、本態様の電気化学式水素ポンプは、このような第一空間を設けない場合に比べて、水素ポンプユニットのカソードセパレーターおよびカソード間の隙間が発生しにくくなるので、両者間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制することができる。
【0023】
ところで、特許文献1の高圧水素製造装置について、発明者らが更に鋭意検討した結果、アノードセパレーターは、アノード給電体から圧力を受けるので、これに近接するエンドプレート側(外側)に膨らむように変形し、これに伴いエンドプレートも積層体側と反対の方向である外側に向け膨らむよう変形することを見出した。すると、特許文献1の高圧水素製造装置では、アノードセパレーターの上記変形に伴い、カソードセパレーターとカソード給電体の間には、特許文献1の段落[0020]に記載の隙間よりも大きな隙間が生じ、この隙間を補うために、カソード給電体とカソードセパレーターとを電気的に接続する皿バネの距離が長くなり、皿バネの電気抵抗が増加する。
【0024】
また、出願人による先行特許の電気化学式水素ポンプにおいても、カソードのガス圧が高圧になると、特許文献1と同様にアノードガス拡散層115が変形する。すると、アノードガス拡散層115の変形より圧力を受けたアノードガス流路部材(図示せず)は、これに近接する図示しないエンドプレート側(外側)に膨らむように変形し、これに伴いエンドプレートも積層体500側と反対の方向である外側に向け膨らむよう変形する。このとき、カソードガス拡散層114と電解質膜111(カソード触媒層112)との電気的接触を確保するには、アノードガス流路部材、エンドプレートなどの変形分も考慮して、カソードガス拡散層114のはみ出し量Ecdを更に大きくする必要がある。その結果、カソードのガス圧が高圧であるとき、カソードガス拡散層114の厚み方向の長さが長くなり、カソードガス拡散層114の厚み方向の電気抵抗が増加する。なお、この問題は、上記の出願人の先行特許の例に限らず、凹部が設けられていないカソードセパレーターの平面上にカソードガス拡散層が設けられている形態においても、同様に発生する。
【0025】
そこで、発明者らは、以上のカソードガス拡散層と電解質膜(カソード触媒層)との間の電気抵抗の増加を、アノードセパレーター上に設けられたアノード端板とアノードセパレーターとの間に、カソードに連通する空間を形成することで簡易に抑制できることを見出し、以下の本開示の一態様に想到した。
【0026】
すなわち、本開示の第2態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様の電気化学式水素ポンプにおいて、少なくともアノード端板から一方の端に位置するアノードセパレーターまでの部材について、上記積層された方向への移動をさせないための第2固定部材と、アノード端板とアノードセパレーターとの間に設けられた第二空間にカソード上の水素を供給する第2のガス流路を備えてもよい。
【0027】
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、水素ポンプユニットのカソード上の高圧の水素を、第2のガス流路を通じてアノード端板とアノードセパレーターとの間に設けられた第二空間に供給することができる。このため、第二空間内の水素ガス圧は、水素ポンプユニットのカソード内の水素ガス圧とほぼ同等の高圧である。すると、第二空間内の水素によってアノードセパレーターに付与される荷重は、カソード内の水素ガス圧に起因するアノードセパレーターの変形を抑えるように作用する。よって、本態様の電気化学式水素ポンプは、このような第二空間を設けない場合に比べて、水素ポンプユニットのカソードおよび電解質膜間の隙間が発生しにくくなるので、両者間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制することができる。
【0028】
本開示の第3態様の電気化学式水素ポンプは、第2態様の電気化学式水素ポンプにおいて、第一空間と第二空間は対向する位置に設けられていてもよい。
【0029】
かかる構成によると、第一空間内の水素によってカソードセパレーターに付与される荷重および第二空間内の水素によってアノードセパレーターに付与される荷重は、カソード内の水素ガス圧に起因する水素ポンプユニットの各部の変形を水素ポンプユニットの両端部から面内で均等に抑えるように作用する。よって、本態様の電気化学式水素ポンプは、第一空間と第二空間とを対向する位置に設けない場合に比べて、水素ポンプユニットの各部の変形を効果的に抑制することができる。
ここで、対向する位置に設けられるとは、第1空間の少なくとも一部と第2空間の少なくとも一部とが、上記積層された方向からみて重なる位置に設けられることを意味する。
【0030】
本開示の第4態様の電気化学式水素ポンプは、第2態様または第3態様の電気化学式水素ポンプにおいて、第2のガス流路は、第一空間と第二空間とを連通させる連通流路を含んでもよい。
【0031】
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素ポンプは、水素ポンプユニットのカソード上の高圧の水素を、第一空間と第二空間とを連通させる連通流路を通じて第二空間に供給することができる。
【0032】
本開示の第5態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第4態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、第一空間は、カソードの主面と平行に設けられていてもよい。
【0033】
かかる構成によると、第一空間内の水素ガス圧に基づいて、カソードセパレーターに伝わる荷重をカソードセパレーターの面内で均等に与えることができる。よって、本態様の電気化学式水素ポンプは、第一空間をカソードの主面と平行に設けない場合に比べて、第一空間内の水素によってカソードセパレーターに付与される荷重が、カソードセパレーターの変形を抑えるように効果的に作用する。
【0034】
本開示の第6態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第5態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、カソードセパレーターの主面と平行な方向における第一空間の開口面積は、カソードの主面の面積以上であってもよい。
【0035】
仮に、カソードセパレーターの主面と平行な方向における第一空間の開口面積が、カソードの主面の面積未満の場合、第一空間で覆われていないカソードに対向するカソードセパレーターの部分では、カソード内の水素ガス圧に起因する変形が起きる可能性がある。
【0036】
しかし、本態様の電気化学式水素ポンプは、上記の第一空間の開口面積をカソードの主面の面積以上に設定することで、カソードの主面全域を第一空間で覆うことができる。このため、第一空間内の水素ガス圧に基づいて、カソードに対向するカソードセパレーターの全域に荷重が伝わるので、上記の可能性を低減できる。
【0037】
本開示の第7態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第6態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、カソードセパレーターの主面と平行な方向における第一空間の開口面積は、カソードセパレーターの主面の面積以下であってもよい。
【0038】
本開示の第8態様の電気化学式水素ポンプは、第2態様から第4態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、第二空間は、アノードの主面と平行に設けられていてもよい。
【0039】
かかる構成によると、第二空間内の水素ガス圧に基づいて、アノードセパレーターに伝わる荷重をアノードセパレーターの面内で均等に与えることができる。よって、本態様の電気化学式水素ポンプは、第二空間をアノードの主面と平行に設けない場合に比べて、第二空間内の水素によってアノードセパレーターに付与される荷重が、アノードセパレーターの変形を抑えるように効果的に作用する。
【0040】
本開示の第9態様の電気化学式水素ポンプは、第2態様から第5態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、アノードセパレーターの主面と平行な方向における第二空間の開口面積は、アノードの主面の面積以上であってもよい。
【0041】
仮に、アノードセパレーターの主面と平行な方向における第二空間の開口面積が、アノードの主面の面積未満の場合、第二空間で覆われていないアノードに対向するアノードセパレーターの部分では、カソード内の水素ガス圧に起因する変形が起きる可能性がある。
【0042】
しかし、本態様の電気化学式水素ポンプは、上記の第二空間の開口面積をアノードの主面の面積以上に設定することで、アノードの主面全域を第二空間で覆うことができる。このため、第二空間内の水素ガス圧に基づいて、アノードに対向するアノードセパレーターの全域に荷重が伝わるので、上記の可能性を低減できる。
【0043】
本開示の第10態様の電気化学式水素ポンプは、第2態様から第5態様および第9態様のいずれか一つの電気化学式水素ポンプにおいて、アノードセパレーターの主面と平行な方向における第二空間の開口面積は、アノードセパレーターの主面の面積以下であってもよい。
【0044】
本開示の第11態様の電気化学式水素ポンプは、第1態様から第10態様のいずれかの一つの電気化学式水素ポンプにおいて、アノードは、アノードガス拡散層を含み、カソードは、カソードガス拡散層を含み、アノードガス拡散層の弾性率は、カソードガス拡散層の弾性率よりも高くてもよい。
【0045】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、および、構成要素の配置位置および接続形態などは、あくまで一例であり、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、上記の各態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
【0046】
(第1実施形態)
[装置構成]
図2Aおよび図3Aは、第1実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。図2Bは、図2AのB部の拡大図である。図3Bは、図3AのB部の拡大図である。
【0047】
なお、図2Aには、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、カソードガス導出マニホールド50の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。また、図3Aには、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、アノードガス導入マニホールド27の中心と、アノードガス導出マニホールド30の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。
【0048】
図2Aおよび図3Bに示す例では、電気化学式水素ポンプ100は、少なくとも一つの水素ポンプユニット100Aを備える。
【0049】
なお、図2Aおよび図3Bの電気化学式水素ポンプ100には、3段の水素ポンプユニット100Aが積層されているが、水素ポンプユニット100Aの段数はこれに限定されない。つまり、水素ポンプユニット100Aの段数は、電気化学式水素ポンプ100が昇圧する水素量などの運転条件をもとに適宜の数に設定することができる。
【0050】
水素ポンプユニット100Aは、電解質膜11と、アノードANと、カソードCAと、カソードセパレーター16と、アノードセパレーター17と、絶縁体21と、を備える。そして、水素ポンプユニット100Aは、アノードANに供給された水素含有ガス中の水素をカソードCAに移動させ、かつ昇圧させる装置である。
【0051】
アノードANは、電解質膜11の一方の主面に設けられている。アノードANは、アノード触媒層13と、アノード触媒層13上に設けられたアノードガス拡散層15とを含む電極である。なお、平面視において、アノード触媒層13の周囲を囲むように環状のシール部材43が設けられ、アノード触媒層13が、シール部材43で適切にシールされている。
【0052】
カソードCAは、電解質膜11の他方の主面に設けられている。カソードCAは、カソード触媒層12と、カソード触媒層12上に設けられたカソードガス拡散層14とを含む電極である。なお、平面視において、カソード触媒層12の周囲を囲むように環状のシール部材42が設けられ、カソード触媒層12が、シール部材42で適切にシールされている。
【0053】
以上により、電解質膜11は、アノード触媒層13およびカソード触媒層12のそれぞれと接触するようにして、アノードANとカソードCAとによって挟持されている。なお、カソードCA、電解質膜11およびアノードANの積層体を膜−電極接合体(以下、MEA:Membrane Electrode Assembly)という。
【0054】
電解質膜11は、プロトン伝導性を備える。電解質膜11は、プロトン伝導性を備えていれば、どのような構成であってもよい。例えば、電解質膜11として、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を挙げることができるが、これらに限定されない。具体的には、例えば、電解質膜11として、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などを用いることができる。
【0055】
アノード触媒層13は、電解質膜11の一方の主面に設けられている。アノード触媒層13は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
【0056】
カソード触媒層12は、電解質膜11の他方の主面に設けられている。カソード触媒層12は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
【0057】
カソード触媒層12およびアノード触媒層13の触媒担体としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉体、導電性の酸化物粉体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
なお、カソード触媒層12およびアノード触媒層13では、触媒金属の微粒子が、触媒担体に高分散に担持されている。また、これらのカソード触媒層12およびアノード触媒層13中には、電極反応場を大きくするために、水素イオン伝導性のイオノマー成分を加えることが一般的である。
【0059】
アノードガス拡散層15は多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。また、アノードガス拡散層15は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソードCAおよびアノードAN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形を抑制可能な高剛性であることが望ましい。つまり、アノードガス拡散層15の弾性率は、カソードガス拡散層14の弾性率よりも高い。
【0060】
アノードガス拡散層15の基材として、例えば、チタン、チタン合金、ステンレススチールなどを素材とする金属繊維の焼結体、これらを素材とする金属粉体の焼結体、エキスパンドメタル、金属メッシュ、パンチングメタルなどを用いることができる。
【0061】
カソードガス拡散層14は多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。また、カソードガス拡散層14は、電気化学式水素ポンプ100の動作時にカソードおよびアノード間の差圧で発生する構成部材の変位、変形に適切に追従するような弾性を備える方が望ましい。つまり、カソードガス拡散層14の弾性率は、アノードガス拡散層15の弾性率よりも低い。
【0062】
カソードガス拡散層14の基材として、例えば、チタン、チタン合金、ステンレススチールなどを素材とする金属繊維の焼結体、これらを素材とする金属粉末の焼結体などを用いることができる。また、カソードガス拡散層14の基材に、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボンフェルトなどの多孔性の炭素材料を用いることもできる。更に、カーボンブラックとPTFEなどのエラストマーを混錬、圧延した多孔性のシート材料などを用いることもできる。
【0063】
アノードセパレーター17は、アノードAN上に積層された部材である。また、カソードセパレーター16は、カソードCA上に積層された部材である。そして、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17のそれぞれの中央部には、凹部が設けられている。これらの凹部のそれぞれに、カソードガス拡散層14およびアノードガス拡散層15がそれぞれ収容されている。
【0064】
このようにして、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17で上記のMEAを挟むことにより、水素ポンプユニット100Aが形成されている。
【0065】
カソードガス拡散層14と接触するカソードセパレーター16の主面には、平面視において、例えば、複数のU字状の折り返す部分と複数の直線部分とを含むサーペンタイン状のカソードガス流路32が設けられている。そして、カソードガス流路32の直線部分は、図2Aの紙面に垂直な方向(図3Aの紙面に平行な方向)に延伸している。但し、このようなカソードガス流路32は、例示であって、本例に限定されない。例えば、カソードガス流路は、複数の直線状の流路により構成されていてもよい。
【0066】
アノードガス拡散層15と接触するアノードセパレーター17の主面には、平面視において、例えば、複数のU字状の折り返す部分と複数の直線部分とを含むサーペンタイン状のアノードガス流路33が設けられている。そして、アノードガス流路33の直線部分は、図3Aの紙面に垂直な方向(図2Aの紙面に平行な方向)に延伸している。但し、このようなアノードガス流路33は、例示であって、本例に限定されない。例えば、アノードガス流路は、複数の直線状の流路により構成されていてもよい。
【0067】
また、導電性のカソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間には、MEAの周囲を囲むように設けられた環状かつ平板状の絶縁体21が挟み込まれている。これにより、カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の短絡が防止されている。
【0068】
図2Aおよび図3Aに示すように、電気化学式水素ポンプ100は、第1固定部材と、第2固定部材と、アノード端板24Aと、カソード端板24Cと、を備える。
【0069】
アノード端板24Aは、アノードセパレーター17が積層された積層方向において、一方の端に位置するアノードセパレーター17上に設けられた部材である。なお、「アノードセパレーター17上」とは、アノードセパレーター17の一対の主面のうち、アノードAN側とは反対側の主面上を意味する。また、カソード端板24Cは、カソードセパレーター16が積層された積層方向において、他方の端に位置するカソードセパレーター16上に設けられた部材である。なお、「カソードセパレーター16上」とは、カソードセパレーター16の一対の主面のうち、カソードCA側とは反対側の主面上を意味する。
【0070】
上記の第1固定部材は、少なくともカソード端板24Cから他方の端に位置するカソードセパレーター16までの部材について、カソードセパレーター16が積層された積層方向への移動をさせないための部材である。なお、図2Aおよび図3Aでは、カソード端板24Cから他方の端に位置するカソードセパレーター16までの部材として、カソード端板24C、カソード絶縁板23C、カソード給電板22Cおよびカソードセパレーター16が図示されているが、これらの部材に限定されない。第1固定部材は、上記の積層方向に、少なくともカソード端板24Cから他方の端に位置するカソードセパレーター16までの部材を固定することができれば、どのような構成であってもよい。例えば、第1固定部材は、図2Aおよび図3Aに示す如く、水素ポンプユニット100Aに締結圧をかけるための締結器25であってもよい。締結器25として、ボルトおよび皿ばね付きナットなどを挙げることができる。
上記の第2固定部材は、少なくともアノード端板24Aから一方の端に位置するアノードセパレーター17までの部材について、アノードセパレーター17が積層された積層方向への移動をさせないための部材である。なお、図2Aおよび図3Aでは、アノード端板24Aから一方の端に位置するアノードセパレーター17までの部材として、アノード端板24A、アノード絶縁板23A、アノード給電板22Aおよびアノードセパレーター17が図示されているが、これらの部材に限定されない。第2固定部材は、上記の積層方向に、少なくともアノード端板24Aから一方の端に位置するアノードセパレーター17までの部材を固定することができれば、どのような構成であってもよい。例えば、第2固定部材は、図2Aおよび図3Aに示す如く、締結器25であってもよい。つまり、第2固定部材は、第1固定部材と兼用されてもよい。
【0071】
締結器25のボルトは、アノード端板24Aおよびカソード端板24Cのみを貫通するように構成してもよいが、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、かかるボルトは、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材、カソード給電板22C、カソード絶縁板23C、アノード給電板22A、アノード絶縁板23A、アノード端板24Aおよびカソード端板24Cを貫通している。そして、上記の積層方向において他方の端に位置するカソードセパレーター16の端面、および、上記の積層方向において一方の端に位置するアノードセパレーター17の端面をそれぞれ、カソード給電板22Cとカソード絶縁板23Cおよびアノード給電板22Aとアノード絶縁板23Aのそれぞれを介して、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aのそれぞれで挟むようにして、締結器25により水素ポンプユニット100Aに所望の締結圧が付与されている。
【0072】
以上により、複数段(ここでは、3段)の水素ポンプユニット100Aが、上記の積層方向において、締結器25の締結圧により積層状態で適切に保持されるとともに、電気化学式水素ポンプ100の各部材を締結器25のボルトが貫通しているので、これらの各部材の面内方向における移動を適切に抑えることができる。
【0073】
なお、ここでは、詳細な説明および図示を省略するが、締結器25に代えて、電気化学式水素ポンプの各部材の側面に樹脂製のシール材を設けることで、電気化学式水素ポンプを固定してもよい。
【0074】
図2Aおよび図3Aに示すように、電気化学式水素ポンプ100は、カソード端板24Cとカソードセパレーター16との間に設けられた第一空間60にカソードCA上の水素を供給する第1のガス流路を備える。
【0075】
第一空間60は、カソード端板24Cとカソードセパレーター16との間に設けられた空間であれば、どのような構成であってもよい。また、第1のガス流路は、第一空間60にカソードCA上の水素を供給することができれば、どのような構成であってもよい。
【0076】
例えば、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、図2Aに示す如く、第1のガス流路は、筒状のカソードガス導出マニホールド50と、カソードガス導出マニホールド50と第一空間60とを連通するカソードガス供給経路51とを含む。
【0077】
ここで、第一空間60は、カソード端板24Cの中央部に設けられた凹部とカソード絶縁板23Cの中央部に設けられた開口とによって構成されている。
【0078】
また、カソードガス導出マニホールド50は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材に設けられた貫通孔およびアノード端板24Aおよびカソード端板24Cに設けられた非貫通孔の連なりによって構成されている。
【0079】
また、カソードガス供給経路51は、カソード端板24Cの凹部内(第一空間60)とカソードガス導出マニホールド50の他方の端部とを連通するカソード端板24Cの主面に設けられた溝によって構成されている。
【0080】
ここで、図2Aに示す如く、カソード端板24Cには、カソードガス導出経路26が設けられている。カソードガス導出経路26は、カソードCAから排出される水素(H)が流通する配管で構成されていてもよい。そして、カソードガス導出経路26は、上記の第一空間60と連通している。これにより、カソードガス導出経路26は、第一空間60およびカソードガス供給経路51を介してカソードガス導出マニホールド50に連通している。
【0081】
また、カソードガス導出マニホールド50は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス流路32の一方の端部と、カソードガス通過経路34のそれぞれを介して連通している。これにより、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのカソードガス流路32およびカソードガス通過経路34を通過した水素が、カソードガス導出マニホールド50で合流される。そして、合流された水素が、カソードガス供給経路51および第一空間60をこの順番に通過してから、カソードガス導出経路26に導かれる。このようにして、第一空間60内を高圧の水素が流通する。
【0082】
カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間、カソードセパレーター16およびカソード給電板22Cの間、アノードセパレーター17およびアノード給電板22Aの間には、平面視において、カソードガス導出マニホールド50を囲むように、Oリングなどの環状のシール部材40が設けられ、カソードガス導出マニホールド50が、このシール部材40で適切にシールされている。
【0083】
図3Aに示す如く、アノード端板24Aには、アノードガス導入経路29が設けられている。アノードガス導入経路29は、アノードANに供給される水素(H)が流通する配管で構成されていてもよい。そして、アノードガス導入経路29は、筒状のアノードガス導入マニホールド27に連通している。なお、アノードガス導入マニホールド27は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびアノード端板24Aに設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。
【0084】
また、アノードガス導入マニホールド27は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33の一方の端部と、第1アノードガス通過経路35のそれぞれを介して連通している。これにより、アノードガス導入経路29からアノードガス導入マニホールド27に供給された水素は、水素ポンプユニット100Aのそれぞれの第1アノードガス通過経路35を通じて、水素ポンプユニット100Aのそれぞれに分配される。そして、分配された水素がアノードガス流路33を通過する間に、アノードガス拡散層15からアノード触媒層13に水素が供給される。
【0085】
また、図3Aに示す如く、アノード端板24Aには、アノードガス導出経路31が設けられている。アノードガス導出経路31は、アノードANから排出される水素(H)が流通する配管で構成されていてもよい。そして、アノードガス導出経路31は、筒状のアノードガス導出マニホールド30に連通している。なお、アノードガス導出マニホールド30は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびアノード端板24Aに設けられた貫通孔の連なりによって構成されている。
【0086】
また、アノードガス導出マニホールド30が、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33の他方の端部と、第2アノードガス通過経路36のそれぞれを介して連通している。これにより、水素ポンプユニット100Aのそれぞれのアノードガス流路33を通過した水素が、第2アノードガス通過経路36のそれぞれを通じてアノードガス導出マニホールド30に供給され、ここで合流される。そして、合流された水素が、アノードガス導出経路31に導かれる。
【0087】
カソードセパレーター16およびアノードセパレーター17の間、カソードセパレーター16およびカソード給電板22Cの間、アノードセパレーター17およびアノード給電板22Aの間には、平面視において、アノードガス導入マニホールド27およびアノードガス導出マニホールド30を囲むようにOリングなどの環状のシール部材40が設けられ、アノードガス導入マニホールド27およびアノードガス導出マニホールド30が、シール部材40で適切にシールされている。
【0088】
図2Aおよび図3Aに示すように、電気化学式水素ポンプ100は、電圧印加器102を備える。
【0089】
電圧印加器102は、アノードANおよびカソードCA間に電圧を印加する装置である。具体的には、電圧印加器102の高電位が、導電性のアノードANに印加され、電圧印加器102の低電位が、導電性のカソードCAに印加されている。電圧印加器102は、アノードANおよびカソードCA間に電圧を印加できれば、どのような構成であってもよい。例えば、電圧印加器102は、アノードANおよびカソードCA間に印加する電圧を調整する装置であってもよい。このとき、電圧印加器102は、バッテリ、太陽電池、燃料電池などの直流電源と接続されているときは、DC/DCコンバータを備え、商用電源などの交流電源と接続されているときは、AC/DCコンバータを備える。
【0090】
なお、図2Aおよび図3Aに示す例では、電圧印加器102の低電位側の端子が、カソード給電板22Cに接続され、電圧印加器102の高電位側の端子が、アノード給電板22Aに接続されている。カソード給電板22Cは、上記の積層方向において他方の端に位置するカソードセパレーター16と電気的に接触しており、アノード給電板22Aは、上記の積層方向において一方の端に位置するアノードセパレーター17と電気的に接触している。
【0091】
なお、図示を省略するが、上記の電気化学式水素ポンプ100を備える水素供給システムを構築することもできる。この場合、水素供給システムの水素供給動作において必要となる機器は適宜、設けられる。
【0092】
例えば、水素供給システムには、アノードガス導出経路31を通じてアノードANから排出される高加湿状態の水素(H)と、アノードガス導入経路29を通して外部の水素供給源から供給される低加湿状態の水素(H)とが混合された混合ガスの露点を調整する露点調整器(例えば、加湿器)が設けられていてもよい。このとき、外部の水素供給源の水素は、例えば、水電解装置で生成されてもよい。
【0093】
また、水素供給システムには、例えば、電気化学式水素ポンプ100の温度を検出する温度検出器、電気化学式水素ポンプ100のカソードCAから排出された水素を一時的に貯蔵する水素貯蔵器、水素貯蔵器内の水素ガス圧を検出する圧力検出器などが設けられていてもよい。
【0094】
なお、上記の電気化学式水素ポンプ100の構成、および、水素供給システムにおける図示しない様々な機器は例示であって、本例に限定されない。
【0095】
例えば、アノードガス導出マニホールド30およびアノードガス導出経路31を設けずに、アノードガス導入マニホールド27を通してアノードANに供給する水素を全てカソードCAで昇圧するデッドエンド構造が採用されてもよい。また、例えば、アノードガス流路33およびカソードガス流路32には、上記のとおり、水素(H)が流れるが、水素濃度は、100%でなくてもよい。水素が含まれる水素含有ガスが流れればよい。
【0096】
[動作]
以下、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0097】
以下の動作は、例えば、図示しない制御器の演算回路が、制御器の記憶回路から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。
【0098】
まず、電気化学式水素ポンプ100のアノードANに低圧の水素が供給されるとともに、電圧印加器102の電圧が電気化学式水素ポンプ100に給電される。
【0099】
すると、アノードANのアノード触媒層13において、酸化反応で水素分子が水素イオン(プロトン)と電子とに分離する(式(1))。プロトンは電解質膜11内を伝導してカソード触媒層12に移動する。電子は電圧印加器102を通じてカソード触媒層12に移動する。
【0100】
そして、カソード触媒層12において、還元反応で水素分子が再び生成される(式(2))。なお、プロトンが電解質膜11中を伝導する際に、所定水量の水が、電気浸透水としてアノードANからカソードCAにプロトンと同伴して移動することが知られている。
【0101】
このとき、図示しない流量調整器(例えば、配管に設けられた背圧弁、調整弁など)を用いて、水素導出経路(例えば、図2Aのカソードガス導出経路26)の圧損を増加させることにより、カソードCAで生成された水素を昇圧することができる。すると、カソード端板24Cとカソードセパレーター16との間に設けられた第一空間60には、カソードガス導出マニホールド50およびカソードガス供給経路51を通じてカソードCA上の高圧の水素が供給される。
【0102】
アノード:H(低圧)→2H+2e ・・・(1)
カソード:2H+2e→H(高圧) ・・・(2)
このようにして、電気化学式水素ポンプ100では、電圧印加器102で電圧を印加することで、アノードANに供給される水素がカソードCAにおいて昇圧される。これにより、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作が行われ、カソードCAで昇圧された水素は、例えば、図示しない水素貯蔵器に一時的に貯蔵される。また、水素貯蔵器で貯蔵された水素は、適時に、水素需要体に供給される。なお、水素需要体として、例えば、水素を用いて発電する燃料電池などを挙げることができる。
【0103】
ここで、以上の電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作では、カソードCAのガス圧が高圧になることで、電解質膜11、アノード触媒層13およびアノードガス拡散層15が押圧される。すると、この押圧によって、電解質膜11、アノード触媒層13およびアノードガス拡散層15はそれぞれ圧縮される。
【0104】
このとき、仮に、カソード触媒層12とカソードガス拡散層14との間の密着性が低いと、両者間で隙間が生じやすい。そして、カソード触媒層12とカソードガス拡散層14との間で隙間が生じる場合、両者間の接触抵抗が増加する。すると、電圧印加器102で印加する電圧が増加することにより、電気化学式水素ポンプ100の運転効率を低下させる恐れがある。
【0105】
そこで、カソードガス拡散層14は、締結器25による水素ポンプユニット100Aの締結前は、カソードセパレーター16の凹部からその厚み方向に、所望のはみ出し量分、はみ出すように構成されている。また、カソードガス拡散層14は、水素ポンプユニット100Aの締結の際には、締結器25の締結力によって、上記のはみ出し量分だけ圧縮される。
【0106】
このようにして、電気化学式水素ポンプ100の動作時に、電解質膜11、アノード触媒層13およびアノードガス拡散層15のそれぞれが圧縮変形しても、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス拡散層14は、締結器25による圧縮後の厚みから圧縮前の元の厚みに戻る方向に弾性変形することにより、カソード触媒層12とカソードガス拡散層14との間の接触を適切に維持できる。
【0107】
また、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、従来に比べて、水素ポンプユニット100Aのカソードセパレーター16およびカソードCA間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制し得る。
【0108】
具体的には、水素ポンプユニット100AのカソードCA上の高圧の水素を、カソードガス導出マニホールド50およびカソードガス供給経路51を通じてカソード端板24Cとカソードセパレーター16との間に設けられた第一空間60に供給することができる。このため、第一空間60内の水素ガス圧は、水素ポンプユニット100AのカソードCA内の水素ガス圧とほぼ同等の高圧である。すると、第一空間60内の水素によってカソードセパレーター16に付与される荷重は、カソードCA内の水素ガス圧に起因するカソードセパレーター16の変形を抑えるように作用する。よって、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、このような第一空間60を設けない場合に比べて、水素ポンプユニット100Aのカソードセパレーター16およびカソードCA間の隙間が発生しにくくなるので、両者間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制することができる。
【0109】
(第1実施例)
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、第一空間60が、カソードCAの主面と平行に設けられていること以外、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
【0110】
以上の構成により、第一空間60内の水素ガス圧に基づいて、カソードセパレーター16に伝わる荷重をカソードセパレーター16の面内で均等に与えることができる。よって、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、第一空間60をカソードCAの主面と平行に設けない場合に比べて、第一空間60内の水素によってカソードセパレーター16に付与される荷重が、カソードセパレーター16の変形(たわみ)を抑えるように効果的に作用する。
【0111】
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
【0112】
(第2実施例)
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、カソードセパレーター16の主面と平行な方向における第一空間60の開口面積が、カソードCAの主面の面積以上であること以外、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。但し、このような第一空間60の開口面積は、カソードセパレーター16の主面の面積以下である。
【0113】
仮に、カソードセパレーター16の主面と平行な方向における第一空間60の開口面積が、カソードCAの主面の面積未満の場合(つまり、第一空間60の開口面積<カソードCAの主面の面積)、第一空間60で覆われていないカソードCAに対向するカソードセパレーター16の部分では、カソードCA内の水素ガス圧に起因する変形が起きる可能性
がある。
【0114】
しかし、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の第一空間60の開口面積をカソードCAの主面の面積以上に設定することで(つまり、第一空間60の開口面積≧カソードCAの主面の面積)、カソードCAの主面全域を第一空間60で覆うことができる。このため、第一空間60内の水素ガス圧に基づいて、カソードCAに対向するカソードセパレーター16の全域に荷重が伝わるので、上記の可能性を低減できる。
【0115】
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態または第1実施形態の第1実施例の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
【0116】
(変形例)
図4は、第1実施形態の変形例の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
【0117】
図4には、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、カソードガス導出マニホールド50の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。
【0118】
本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明するカソードガス導出経路26Aの配置位置以外、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
【0119】
本変形例の電気化学式水素ポンプ100では、カソードガス導出経路26Aを、図2Aのカソードガス導出経路26の如く、第一空間60内から延伸するように引き回さずに、カソードガス導出マニホールド50から延伸するように引き回している。
【0120】
なお、この場合、カソードガス導出マニホールド50は、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材およびカソード端板24Cに設けられた貫通孔、および、アノード端板24Aに設けられた非貫通孔の連なりによって構成されている。
【0121】
以上により、本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット100AのカソードCA上の高圧の水素を、カソードガス導出マニホールド50およびカソードガス供給経路51を通じてカソード端板24Cとカソードセパレーター16との間に設けられた第一空間60に供給することができる。つまり、第一空間60内を高圧の水素が滞留する。
【0122】
なお、本変形例の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0123】
本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例−第2実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
【0124】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
【0125】
図5には、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、カソードガス導出マニホールド50の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。
【0126】
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明する第二空間61および第2のガス流路を備えること以外は、第1実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
【0127】
図5に示すように、電気化学式水素ポンプ100は、アノード端板24Aとアノードセパレーター17との間に設けられた第二空間61にカソードCA(図2B参照)上の水素を供給する第2のガス流路を備える。
【0128】
第二空間61は、アノード端板24Aとアノードセパレーター17との間に設けられた空間であれば、どのような構成であってもよい。また、第2のガス流路は、第二空間61にカソードCA上の水素を供給することができれば、どのような構成であってもよい。
【0129】
例えば、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100では、図5に示す如く、第2のガス流路は、筒状のカソードガス導出マニホールド50と、カソードガス導出マニホールド50と第二空間61とを連通するカソードガス供給経路52とを含む。なお、第2のガス流路の他の例は、変形例で説明する。
【0130】
ここで、第二空間61は、アノード端板24Aの中央部に設けられた凹部とアノード絶縁板23Aの中央部に設けられた開口とによって構成されている。
【0131】
また、カソードガス導出マニホールド50は、第1実施形態と同様に、3段の水素ポンプユニット100Aの各部材に設けられた貫通孔およびアノード端板24Aおよびカソード端板24Cに設けられた非貫通孔の連なりによって構成されている。
【0132】
また、カソードガス供給経路52は、アノード端板24Aの凹部内(第二空間61)とカソードガス導出マニホールド50の一方の端部とを連通するアノード端板24Aの主面に設けられた溝によって構成されている。
【0133】
以上のとおり、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット100AのカソードCA上の高圧の水素を、カソードガス導出マニホールド50およびカソードガス供給経路52を通じてアノード端板24Aとアノードセパレーター17との間に設けられた第二空間61に供給することができる。このため、第二空間61内の水素ガス圧は、水素ポンプユニット100AのカソードCA内の水素ガス圧とほぼ同等の高圧である。すると、第二空間61内の水素によってアノードセパレーター17に付与される荷重は、カソードCA内の水素ガス圧に起因するアノードセパレーター17の変形を抑えるように作用する。よって、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、このような第二空間61を設けない場合に比べて、水素ポンプユニット100AのカソードCAのカソードガス拡散層14および電解質膜11(カソード触媒層12)間の隙間が発生しにくくなるので、両者間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制することができる。
【0134】
なお、電解質膜11が、例えば、高分子電解質膜である場合、この高分子電解質膜は、湿潤状態で所望のプロトン伝導性を示す。このため、電気化学式水素ポンプ100の水素昇圧動作の効率を所望の値を維持するには、電解質膜11を湿潤状態に保つ必要がある。このとき、仮に、アノードセパレーター17のアノードガス流路33(図2B参照)などが水により閉塞されると、水素ポンプユニット100Aの水素供給が阻害される。つまり、アノードガス流路33を通過する水素の流れの安定化は、電気化学式水素ポンプ100の高効率な水素昇圧動作を行う際の重要な要素になるが、本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、第二空間61を設けない場合に比べて、水素ポンプユニット100AのカソードCA上の水素のガス圧に寄らず、アノードセパレーター17の変形が抑制されるので、アノードセパレーター17のアノードガス流路33を通過する水素の流れを適切に安定化できる。
【0135】
本実施形態の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例−第2実施例および第1実施形態の変形例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
【0136】
(第1実施例)
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、第一空間60と第二空間61が対向する位置に設けられていること以外、第2実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
【0137】
以上の構成により、第一空間60内の水素によってカソードセパレーター16に付与される荷重および第二空間61内の水素によってアノードセパレーター17に付与される荷重は、カソードCA内の水素ガス圧に起因する水素ポンプユニット100Aの各部の変形を水素ポンプユニット100Aの両端部から面内で均等に抑えるように作用する。
【0138】
よって、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、第一空間60と第二空間61とを対向する位置に設けない場合に比べて、水素ポンプユニット100Aの各部の変形を効果的に抑制することができる。
【0139】
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
【0140】
(第2実施例)
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、第二空間61が、アノードAN(図2B参照)の主面と平行に設けられていること以外、第2実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
【0141】
以上の構成により、第二空間61内の水素ガス圧に基づいて、アノードセパレーター17に伝わる荷重をアノードセパレーター17の面内で均等に与えることができる。よって、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、第二空間61をアノードANの主面と平行に設けない場合に比べて、第二空間61内の水素によってアノードセパレーター17に付与される荷重が、アノードセパレーター17の変形(たわみ)を抑えるように効果的に作用する。
【0142】
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第2実施形態または第2実施形態の第1実施例の電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
【0143】
(第3実施例)
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、アノードセパレーター17の主面と平行な方向における第二空間61の開口面積が、アノードAN(図2B参照)の主面の面積以上であること以外、第2実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。但し、このような第二空間61の開口面積は、アノードセパレーター17の主面の面積以下である。
【0144】
仮に、アノードセパレーター17の主面と平行な方向における第二空間61の開口面積が、アノードANの主面の面積未満の場合(つまり、第二空間61の開口面積<アノードANの主面の面積)、第二空間61で覆われていないアノードANに対向するアノードセパレーター17の部分では、カソードCA内の水素ガス圧に起因する変形が起きる可能性がある。
【0145】
しかし、本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の第二空間61の開口面積をアノードANの主面の面積以上に設定することで(つまり、第二空間61の開口面積≧アノードANの主面の面積)、アノードANの主面全域を第二空間61で覆うことができる。このため、第二空間61内の水素ガス圧に基づいて、アノードANに対向するアノードセパレーター17の全域に荷重が伝わるので、上記の可能性を低減できる。
【0146】
本実施例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第2実施形態および第2実施形態の第1実施例−第2実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
【0147】
(変形例)
図6は、第2実施形態の変形例の電気化学式水素ポンプの一例を示す図である。
【0148】
図6には、平面視において電気化学式水素ポンプ100の中心と、カソードガス導出マニホールド50の中心と、を通過する直線を含む電気化学式水素ポンプ100の垂直断面が示されている。
【0149】
本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、以下に説明する第2のガス流路の構成以外、第2実施形態の電気化学式水素ポンプ100と同様である。
【0150】
本変形例の電気化学式水素ポンプ100では、第2のガス流路は、第一空間60と第二空間61とを連通させる連通流路を含む。この場合、カソードガス導出マニホールド50と第二空間61とを連通するカソードガス供給経路52(図5参照)を設けなくてもよい。
【0151】
具体的には、例えば、図6に示すように、カソードガス導出経路26を構成するカソードガス導出配管26Bから分岐する連通流路部材70が、アノード端板24Aを貫通して第二空間61にまで延伸している。つまり、図6に示す例では、この連通流路部材70が、第一空間60と第二空間61とを連通させる部材であるが、連通流路部材の構成は、これに限定されない。例えば、連通流路部材は、カソードガス導出配管26Bから分岐させずに、カソード端板24Cおよびアノード端板24Aを貫通するように構成してもよい。
【0152】
以上により、本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、水素ポンプユニット100AのカソードCA上の高圧の水素を、連通流路部材70を通じてアノード端板24Aとアノードセパレーター17との間に設けられた第二空間61に供給することができる。
【0153】
なお、本変形例の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果は、第2実施形態の電気化学式水素ポンプ100が奏する作用効果と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0154】
本変形例の電気化学式水素ポンプ100は、上記の特徴以外は、第2実施形態および第2実施形態の第1実施例−第3実施例のいずれかの電気化学式水素ポンプ100と同様であってもよい。
【0155】
第1実施形態、第1実施形態の第1実施例−第2実施例、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第2実施形態の第1実施例−第3実施例および第2実施形態の変形例は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。
【0156】
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本開示の一態様は、従来に比べて、水素ポンプユニットのカソードセパレーターおよびカソード間の接触抵抗の増加を簡易かつ適切に抑制し得る電気化学式水素ポンプに利用することができる。
【符号の説明】
【0158】
11 :電解質膜
12 :カソード触媒層
13 :アノード触媒層
14 :カソードガス拡散層
15 :アノードガス拡散層
16 :カソードセパレーター
17 :アノードセパレーター
21 :絶縁体
22A :アノード給電板
22C :カソード給電板
23A :アノード絶縁板
23C :カソード絶縁板
24A :アノード端板
24C :カソード端板
25 :締結器
26 :カソードガス導出経路
26A :カソードガス導出経路
26B :カソードガス導出配管
27 :アノードガス導入マニホールド
29 :アノードガス導入経路
30 :アノードガス導出マニホールド
31 :アノードガス導出経路
32 :カソードガス流路
33 :アノードガス流路
34 :カソードガス通過経路
35 :第1アノードガス通過経路
36 :第2アノードガス通過経路
40 :シール部材
42 :シール部材
43 :シール部材
50 :カソードガス導出マニホールド
51 :カソードガス供給経路
52 :カソードガス供給経路
60 :第一空間
61 :第二空間
70 :連通流路部材
100 :電気化学式水素ポンプ
100A :水素ポンプユニット
102 :電圧印加器
AN :アノード
CA :カソード
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6