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特開2019-218626基板処理装置、記憶媒体、基板処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218626(P2019-218626A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】基板処理装置、記憶媒体、基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/52 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   C23C16/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-96799(P2019-96799)
(22)【出願日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】16/014320
(32)【優先日】2018年6月21日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】和田 隆
(72)【発明者】
【氏名】野口 哲
(72)【発明者】
【氏名】安達 渉
(72)【発明者】
【氏名】村松 大輔
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030DA06
4K030FA01
4K030HA14
4K030JA01
4K030KA41
(57)【要約】
【課題】本発明は、基板への処理の結果を一定にし得る基板処理装置、記憶媒体および基板処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板に処理を施すデバイスと、該デバイスを制御するために予め定められた制御パラメータを、時間の経過とともに変化する第1補正値と第2補正値で補正することで、補正後パラメータを算出し、該補正後パラメータで該デバイスを制御するコントローラと、を備え、該第1補正値は、該第2補正値よりも該制御パラメータを補正する期間が短いことを特徴とする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理を施すデバイスと、
前記デバイスを制御するために予め定められた制御パラメータを、時間の経過とともに変化する第1補正値と第2補正値で補正することで、補正後パラメータを算出し、前記補正後パラメータで前記デバイスを制御するコントローラと、を備え、
前記第1補正値は、前記第2補正値よりも前記制御パラメータを補正する期間が短いことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記制御パラメータは、レシピに記録されているALDにおける反復処理のサイクル回数、レシピのステップのサイクル回数、前記ステップの時間、又はアナログアウトプットであることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1補正値と前記第2補正値は、成膜処理の積算回数、成膜処理の合計時間、成膜処理によって形成された膜の厚みの積算値、又はALD処理における反復処理のサイクル回数の積算回数に対応して設定されたことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第1補正値と前記第2補正値は、パーセンテージ、増減値又は前記補正後パラメータとして表現されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1補正値は、前記デバイスによる前記基板の処理を停止したことによって前記基板の処理を再開した後の前記基板の処理結果に生じる変化を緩和することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記基板に処理を施すリアクタチャンバを備え、
前記第1補正値は、前記リアクタチャンバのクリーニング及びプリコートによって前記クリーニング及び前記プリコートの後の前記基板の処理結果に生じる変化を緩和することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板に処理を施すリアクタチャンバを備え、
前記コントローラには複数の前記第1補正値が保存され、
前記コントローラは、前記基板の処理を開始する直前の前記リアクタチャンバの状態に基づき、複数の前記第1補正値から1つの前記第1補正値を選択して、選択された前記第1補正値を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
複数の前記第1補正値は、前記基板の処理を開始する直前の前記リアクタチャンバが予め定められた時間よりも短い時間停止していた際に用いる第1補正値と、前記基板の処理を開始する直前の前記リアクタチャンバが予め定められた時間よりも長い時間停止していた際に用いる第1補正値と、前記基板の処理を開始する直前に前記リアクタチャンバのクリーニングとプリコートが行われた際に用いる第1補正値と、を含むことを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、
前記プログラムは、
基板に処理を施すデバイスを制御するために予め定められた制御パラメータを、時間の経過とともに変化する第1補正値と、時間の経過とともに変化し前記第1補正値よりも前記制御パラメータを補正する期間が長い第2補正値とで補正することで、補正後パラメータを算出することと、
前記補正後パラメータで前記デバイスを制御することと、をコンピュータに実行させることを特徴とする記憶媒体。
【請求項10】
基板に処理を施すデバイスを制御するために予め定められた制御パラメータを、時間の経過とともに変化する第1補正値と第2補正値で補正することで、補正後パラメータを算出することと、
前記補正後パラメータで前記デバイスを制御すること、を備え、
前記第1補正値は、前記第2補正値よりも前記制御パラメータを補正する期間が短いことを特徴とする基板処理方法。
【請求項11】
前記補正後パラメータで前記デバイスを制御することで、前記基板に成膜することを特徴とする請求項10に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板処理装置、記憶媒体および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、膜厚の情報を元に、後の成膜処理に対して膜厚が常に一定になるようにレシピのパラメータを調整することが開示されている。特許文献2には、測定器の情報を装置にフィードバックして、自動的にレシピを変更するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6119400号公報
【特許文献2】米国特許第7313450号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に開示された、測定情報を起点としたレシピの補正では、クリーニングとプリコートが行われた直後、又はチャンバに待機時間が発生した時に生じる処理結果の変化を補正できない。その結果、基板処理開始後に、比較的短期で終わる処理結果への影響を受けることがある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、基板への処理の結果を一定にし得る基板処理装置、記憶媒体および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の発明に係る基板処理装置は、基板に処理を施すデバイスと、該デバイスを制御するために予め定められた制御パラメータを、時間の経過とともに変化する第1補正値と第2補正値で補正することで、補正後パラメータを算出し、該補正後パラメータで該デバイスを制御するコントローラと、を備え、該第1補正値は、該第2補正値よりも該制御パラメータを補正する期間が短いことを特徴とする。
【0007】
本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レシピに基づく制御パラメータを複数の観点で補正することで、基板の処理結果を略一定にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】基板処理装置の構成例を示す図である。
図2】第1補正値テーブルの例を示す図である。
図3】第1補正値テーブルの例を示す図である。
図4】第1補正値テーブルの例を示す図である。
図5】第1補正値テーブルの例を示す図である。
図6】第2補正値テーブルの例を示す図である。
図7】記憶媒体に保存されたテーブルの例を示す図である。
図8】基板処理方法の例を示すフローチャートである。
図9】時間経過に伴う基板に形成された膜の厚みの変化の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る基板処理装置、記憶媒体及び基板処理方法について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態.
図1は、基板処理装置の構成例を示す図である。図1の基板処理装置は、例えば基板に成膜するための装置とすることができる。この基板処理装置はコントローラ10を備える。コントローラ10は例えばUnique Platform Controller(UPC)である。コントローラ10は基板処理のスケジューリング、及び基板処理の実行指令などを行う部分である。コントローラ10は記憶媒体10aとコンピュータ10bを備えている。記憶媒体10aには、例えば、基板処理装置の構成(configuration)に関するデータ、基板の処理内容を規定するレシピ、並びに、アラームの有無の設定及び言語設定などの環境設定に関する情報が格納されている。コントローラ10は、ホストコンピュータ14から指令を受ける。コントローラ10は、例えばProcess Module Controller(PMC)であるコントローラ12に接続されている。コントローラ12は記憶媒体12aとコンピュータ12bを備えている。
【0012】
コントローラ12には複数のデバイス20、22、24、26が接続されている。デバイス20、22、24、26は、例えばシリコンウェーハなどの基板に処理を施すものである。この例では、複数のデバイスは基板に成膜するためのデバイスである。デバイス20は例えば基板にプラズマ処理を施すためのRFジェネレータである。この場合、デバイス20は周知のシャワープレートと呼ばれるサセプタの上方の設けられたプレートに高周波電力を印加する。デバイス22、24は例えば基板にガスを提供するためのガス供給装置である。デバイス26は例えば基板を加熱するためのヒータである。
【0013】
コントローラ10はコントローラ12に指令を出し、指令を受けたコントローラ12がデバイス20、22、24、25を制御する。コントローラ10の記憶媒体10aには、デバイスを制御するために予め定められた制御パラメータが保存されている。制御パラメータは例えばプロセスジョブレシピである。コントローラ10は、この制御パラメータを補正して補正後パラメータを算出する。コントローラ10は、制御パラメータを、例えば、時間の経過とともに変化する第1補正値と第2補正値で補正することで、補正後パラメータを算出する。
【0014】
図2−5には第1補正値の例が示されている。図2−5の例では第1補正値はテーブルの形態で表現されている。図2には第1補正値テーブルの例が示されている。プロセシングカウントとは、基板処理の進行に応じて積算される数値である。プロセシングカウントは、例えば、成膜処理の積算回数、成膜処理の合計時間、成膜処理によって形成された膜の厚みの積算値、又はALD処理における反復処理のサイクル回数の積算回数とすることができる。VT1とはレシピの特定のステップの時間である。VT1として任意のステップタイムを採用することができる。制御パラメータで定められたVT1の値を10秒とする。VC3とは、特定の処理のサイクル回数である。VC3として任意のステップサイクルを採用することができる。制御パラメータで定められたVC3の値を10回とする。基板の成膜処理が始まり、プロセシングカウントが1のとき、VT1の第1補正値として−20%を利用し、VC3の第1補正値として+20%を利用する。プロセシングカウントが2のとき、VT1の第1補正値として−10%を利用し、VC3の第1補正値として+10%を利用する。プロセシングカウントが3以上となると、VT1の第1補正値は0%、VC3の第1補正値は0%となる。したがって、プロセシングカウントが3以上となると、第1補正値による補正はかからない。
【0015】
図3には第1補正値テーブルの別の例が示されている。シフトサイクル1の欄には成膜処理のサイクル回数の増減値が示されている。例えば、シフトサイクル1として任意のALDサイクルを採用することができる。HRF1の欄にはシャワープレートに印加する電圧を何%増減させるかが示されている。HRF1として、RFパワーに関連した任意のパラメータを採用することができる。制御パラメータで定められたシフトサイクル1の値を100回とする。制御パラメータで定められたHRF1の値を300Wとする。プロセシングカウントが1のとき、シフトサイクル1の第1補正値として−2を利用し、HRF1の第1補正値として+20%を利用する。プロセシングカウントが2のとき、シフトサイクル1の第1補正値として−1を利用し、HRF1の第1補正値として+10%を利用する。プロセシングカウントが3以上となると、シフトサイクル1の第1補正値は0%、HRF1の第1補正値は0%となる。したがって、プロセシングカウントが3以上となると、第1補正値による補正はかからない。
【0016】
図4には第1補正値テーブルの別の例が示されている。シフトサイクル1の欄には成膜処理のサイクル回数が示されている。プロセシングカウントが1のとき、シフトサイクル1の値は105回となる。プロセシングカウントが2、3、4のとき、シフトサイクル1の値はそれぞれ104、103、102回となる。
【0017】
図5には第1補正値テーブルの別の例が示されている。トータル厚みとは、成膜処理によって形成された膜の厚みの積算値である。シフトサイクル1とHRF1の表現は図3と同じである。図5の第1補正値テーブルを用いる場合、成膜処理によって形成された膜の厚みの積算値の増加にともなって、シフトサイクル1とHRF1が変化する。積算値が0のとき、シフトサイクル1の第1補正値として−2を利用し、HRF1の第1補正値として+20%を利用する。積算値が100のとき、シフトサイクル1の第1補正値として−1と利用し、HRF1の第1補正値として+10%を利用する。
【0018】
図6には第2補正値テーブルの例が示されている。プロセシングカウントの積算値が1のとき、VT1の第2補正値として+60%を利用し、VC3の第2補正値として+20%を用いる。積算値が11、21、31のときは、VT1の第2補正値としてそれぞれ+50%、+40%、+30%を利用する。積算値が11のときVC3の第2補正値として+10%を用いる。
【0019】
第1補正値と第2補正値は、例えば、成膜処理の積算回数、成膜処理の合計時間、成膜処理によって形成された膜の厚みの積算値、又はALD処理における反復処理のサイクル回数の積算回数に対応して設定することができる。第1補正値は例えば補正値の群で構成され、第2補正値は例えば補正値の群で構成される。
【0020】
第1補正値と第2補正値の表現方法は、例えば、パーセンテージ、増減値又は補正後パラメータとすることができる。第1補正値は、第2補正値よりも制御パラメータを補正する期間が短い。したがって、第1補正値は比較的短期で終了する膜厚変化を抑制し、第2補正値は比較的長期にわたる膜厚変化を抑制するものである。この例では、第1補正値と第2補正値の両方を用いて制御パラメータを修正することで、短期的膜厚変化と長期的膜厚変化の両方を抑制する。
【0021】
制御パラメータは、例えば、レシピに記録されているALDにおける反復処理のサイクル回数、レシピのステップのサイクル回数、当該ステップの時間、又はアナログアウトプットとすることができる。これ以外にも、反復継続的に制御パラメータを用いてデバイスを制御すると形成される膜の厚みが時間変化してしまう場合には、その制御パラメータを第1補正値と第2補正値による補正の対象とすることができる。
【0022】
図7は、記憶媒体10aに保存されたテーブルの例を示す図である。例えば記憶媒体10aに第1補正値のテーブルA、B、Cと、第2補正値のテーブルDが保存される。テーブルAは、デバイスによる基板の処理を長期間停止したことによって基板の処理を再開した後の基板の処理結果に生じる変化を緩和する第1補正値のテーブルである。テーブルBは、デバイスによる基板の処理を短期間停止したことによって基板の処理を再開した後の基板の処理結果に生じる変化を緩和する第1補正値のテーブルである。テーブルCは、基板に処理を施すリアクタチャンバのクリーニング及びプリコートによってクリーニング及びプリコートの後の基板の処理結果に生じる変化を緩和する第1補正値のテーブルである。基板の処理を停止することと、クリーニング及びプリコートは、どちらも比較的短期で終了する膜厚変化を与える。
【0023】
コンピュータ10bは、複数の第1補正値であるテーブルA、B、Cのいずれか1つを選択する。コントローラ10は、基板の処理を開始する直前のリアクタチャンバの状態に基づき、複数の第1補正値から1つの第1補正値を選択して、選択された第1補正値を用いる。具体的には、基板の処理を開始する直前のリアクタチャンバが予め定められた時間よりも長い時間停止していた際には第1補正値としてテーブルAを選択する。基板の処理を開始する直前のリアクタチャンバが予め定められた時間よりも短い時間停止していた際は第1補正値としてテーブルBを選択する。基板の処理を開始する直前にリアクタチャンバのクリーニングとプリコートが行われた際には第1補正値としてテーブルCを選択する。なお、この例では第2補正値はテーブルDだけなので、第2補正値としてテーブルDを選択するが、複数の第2補正値がある場合はいずれか1つの第2補正値を選択する。この例では3つの第1補正値と1つの第2補正値を示したが、さらに補正値の候補を増やしてもよい。
【0024】
図7の例では、第1補正値としてテーブルCを選択し、第2補正値としてテーブルDを選択したことが示されている。例えば、テーブルCは図2のテーブルであり、テーブルDは図6のテーブルである。プロセシングカウント1の段階では、制御パラメータで定められたVT1の値である「10秒」を第1補正値「−20%」と第2補正値「+60%」で補正する。具体的な計算式は以下のとおりである。
10[秒]×0.8×1.6=12.8[秒]
この例では、制御パラメータで定められた「10秒」という値が第1補正値と第2補正値で補正され、補正後パラメータとして「12.8秒」を得た。コントローラ10はVT1を12.8秒としてデバイスを制御するようコントローラ12に指令を出し、コントローラ12は当該指令のとおりデバイスを制御する。
【0025】
プロセシングカウントが2に進むと、制御パラメータで定められたVT1の値である「10秒」を第1補正値「−10%」と第2補正値「+59%」で補正する。そのような第2補正値「+59%」は、線形補間によって算出できる。具体的な計算式は以下のとおりである。
10[秒]×0.9×1.59=14.31[秒]
14.31[秒]が補正後パラメータである。コントローラ10はVT1を14.31秒としてデバイスを制御するようコントローラ12に指令を出し、コントローラ12は当該指令のとおりデバイスを制御する。以下、プロセシングカウントが3以上の場合も同様に処理を進める。こうして基板処理装置は、補正後パラメータを用いることで、基板に形成される膜の膜厚及び膜質を実質的に一定にする。なお、図5などにおいて、成膜処理によって形成された膜の厚みの積算値が100の倍数でないタイミングに、補正値を線形的に補完することで補正後パラメータを算出してもよい。
【0026】
図8は、基板処理方法の例を示すフローチャートである。まずステップS1にて、1つの第1補正値と1つの第2補正値を選択する。補正値は、上述のテーブルに限らず、プロセシングカウントを変数とする関数とすることもできる。次いで、ステップS2にて、デバイスを制御するために予め定められた制御パラメータを、選択した第1補正値と第2補正値で補正することで、補正後パラメータを算出する。
【0027】
次いで、ステップS3にて、補正後パラメータでデバイスを制御する。補正後パラメータでデバイスを制御することで、例えば、基板に成膜する。ステップS2において基板処理の停止までのすべてのプロセシングカウントに対応する補正後パラメータを算出して、ステップS3でプロセシングカウントに応じた処理を実施することができる。あるいは、ステップS2では1つのプロセシングカウントに対応する補正後パラメータを算出し、ステップS3が終わるとステップS2に戻り次のプロセシングカウントに対応する補正後パラメータを算出してもよい。
【0028】
第1補正値は、第2補正値よりも制御パラメータを補正する期間が短いので、基板処理のある段階までは制御パラメータを第1補正値と第2補正値の両方で補正するが、その後は制御パラメータを第2補正値だけで補正することになる。
【0029】
ステップS3までの処理で、一連の基板処理が終了する。例えば1ロットのウエハに対する成膜を終了する。ステップS3まで進むと一旦、基板処理が停止する。処理の停止は、例えば、ウエハ入替に伴う待機又は、チャンバのクリーニング及びプリコートによって生じる。
【0030】
ステップS4では、第1補正値と第2補正値の変更の要否を判定する。この判定は、基板の処理を再開する直前のリアクタチャンバの状態に基づいて行う。例えば、所定時間より長い装置の待機時間があった場合は上述のテーブルAを選択し、所定時間より短い装置の待機時間があった場合は上述のテーブルBを選択し、クリーニング及びプリコートがあった場合はテーブルCを選択する。
【0031】
ステップS4にて補正値の変更が不要と判断した場合は、補正後パラメータを再度算出する必要はない。他方、ステップS4にて補正値の変更が必要と判断した場合は、ステップS5にて補正値を変更し、ステップS6にて変更後の補正値で補正後パラメータを算出する。その後、ステップS7にて、ステップS6で得られた補正後パラメータでデバイスを制御する。補正後パラメータによる一連の処理が終了すると、ステップS8にて処理を終了するか判定する。
【0032】
図9は、時間の経過に伴う基板に形成された膜厚の変化の例を示す図である。時刻t0から時刻t1までの期間に基板に対して例えば複数回の成膜処理が行われる。破線LG1は、例えばチャンバのクリーニング処理後の成膜回数または累積膜厚に依存した膜厚及び膜質の変化を示す。破線LG1は、基板処理を重ねる度に成膜される膜厚が小さくなることを示している。このような膜厚の減少は、例えば、成膜装置の電極に膜が堆積することによって電極のインピーダンスが増加し実質的なRFパワーが低下することで生じる。このような経時的な膜厚低下は、第2補正値による制御パラメータの補正によって抑制される。
【0033】
実線は、制御パラメータを補正せずにデバイスを処理した場合に、成膜処理の積算回数の増加とともに形成される膜の膜厚が低下することを示す。実線のうち、破線C1で囲まれた部分は、基板処理の開始直後に始まり比較的短い期間で終わる膜厚増加を示す。このような比較的短い期間で終わる膜厚増加は、第1補正値による制御パラメータの補正によって抑制される。
【0034】
時刻t1からt2までの間に、リアクタチャンバは予め定められた時間よりも長い時間停止する。この場合コントローラ10は第1補正値としてテーブルAを選択して処理を再開する。そうすると、破線C2で囲まれた基板処理の再開直後に始まり比較的短い期間で終わる膜厚増加を抑制できる。
【0035】
時刻t3からt4までの間に、リアクタチャンバは予め定められた時間よりも短い時間停止する。この場合コントローラ10は第1補正値としてテーブルBを選択して処理を再開する。そうすると、破線C3で囲まれた基板処理の再開直後に始まり比較的短い期間で終わる膜厚増加を抑制できる。
【0036】
時刻t5からt6までの間に、リアクタチャンバのクリーニングとプリコートが行われる。クリーニングでは成膜を重ねることでサセプタとシャワープレートに形成された膜を除去する。クリーニングによりサセプタとシャワープレートが露出した状態となる。プリコートではサセプタとシャワープレートに薄い膜を形成する。これにより、サセプタとシャワープレートが露出した場合と比べて成膜の膜の均一性を高め、パーティクルを抑制することができる。リアクタチャンバのクリーニングとプリコートにより、経時的な膜厚低下がリセットされるとともに、基板処理の再開直後に始まり比較的短い期間で終わる膜厚増加が生じる。この場合コントローラ10は第1補正値としてテーブルCを選択して処理を再開する。そうすると、破線C4で囲まれた基板処理の再開直後に始まり比較的短い期間で終わる膜厚増加を抑制できる。基板処理の開始又は再開直後に始まり比較的短い期間で終わる膜厚増加を抑制することで、製品ウエハに当該膜厚増加が生じることを防止するためのダミーウエハの処理が不要となる。基板処理の開始又は再開直後に始まり比較的短い期間で終わる膜厚増加の要因は様々であり、一例として、リアクタチャンバの処理の停止を挙げた。リアクタチャンバの処理の停止により、サセプタが温度変化したり、ガスラインが温度変化したりすることが考えられる。この例では基板処理する全ての期間において、第2補正値としてテーブルDを選択することで、長期的な膜厚変化を抑制する。
【0037】
ここでは、基板処理の開始直後に始まり比較的短い期間で終わる膜厚増加の要因として、基板処理を停止した時間、クリーニング及びプリコートを挙げた。そしてこれらの要因ごとに、膜厚増加の程度及び期間が異なることを考慮して、第1補正値を複数用意した。テーブルA、B、Cだけでなく、別の補正値テーブルを用意して、装置の状態に応じて補正値テーブルを選択することとしてもよい。
【0038】
上述の各処理は、ソフトウェアで実行することができる。具体的には、記憶媒体10aに記録されたプログラムがコンピュータ10bに上記の各処理を実行させることで、ばらつきの抑制された基板処理を実現できる。例えば、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体10aに以下のプログラムを記録する。
制御パラメータを、時間の経過とともに変化する第1補正値と、時間の経過とともに変化し該第1補正値よりも該制御パラメータを補正する期間が長い第2補正値とで補正することで、補正後パラメータを算出することと、該補正後パラメータで該デバイスを制御することと、をコンピュータに実行させるプログラム。
【0039】
上述の例は、短期的な処理結果の変動を抑制する第1補正値と、長期的な処理結果の変動を抑制する第2補正値とで、レシピに基づく制御パラメータを補正することで、多観点からの膜厚および膜質の補正システムを提供するものである。
【符号の説明】
【0040】
10,12 コントローラ、 20,22,24,26 デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9