特開2019-218654(P2019-218654A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218654(P2019-218654A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】積層生地および機能性衣類
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/00 20060101AFI20191129BHJP
   D04B 21/14 20060101ALI20191129BHJP
   D04B 21/10 20060101ALI20191129BHJP
   D04B 1/00 20060101ALI20191129BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20191129BHJP
   A41D 31/10 20190101ALI20191129BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20191129BHJP
   D06M 101/20 20060101ALN20191129BHJP
   D06M 101/32 20060101ALN20191129BHJP
【FI】
   D06M13/00
   D04B21/14 Z
   D04B21/10
   D04B1/00 B
   A41D31/00 B
   A41D31/00 501B
   A41D31/00 503E
   A41D31/02 A
   D06M101:20
   D06M101:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-116073(P2018-116073)
(22)【出願日】2018年6月19日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.掲載アドレス https://twitter.com/OTAFUKU_GLOVE 掲載年月日 平成29年12月19日 2.発行者名 おたふく手袋株式会社 刊行物名 2018 SPRING&SUMMER COLLECTION 発行日 平成30年1月 3.掲載アドレス https://www.youtube.com/watch?v=kRoUjKTeUCs 掲載年月日 平成30年1月18日 4.掲載アドレス https://www.facebook.com/おたふく手袋−1425122874394164/ 掲載年月日 平成30年1月19日 5.納品場所 別紙添付の『納品先店舗一覧表』に記載の各店舗 納品日 平成30年2月9日〜平成30年6月19日 6.掲載アドレス http://www.otafuku−glove.jp/topics/catalog/ http://otafuku−glove.jp/topics/catalog/2018_ss.html http://otafuku−glove.jp/images/assets/2018SS.pdf 掲載年月日 平成30年2月19日 7.販売場所 自社ホームページ http://www.otafuku−glove.jp/ http://weborder.otafuku−glove.jp/pc/cgi−bin/Catalog.cgi?CMD6000=1 http://weborder.otafuku−glove.jp/ip/cgi−bin/Catalog.cgi?CMD6000=1 販売日 平成30年2月19日 8.発行者名 株式会社スポーツニッポン新聞社 刊行物名 フリーペーパーマガジン『架橋』2018年第15号4月発行,第6頁 発行日 平成30年4月 9.掲載アドレス http://body−toughness.jp/ http://body−toughness.jp/info/ http://body−toughness.jp/products/dual_fabric/(QRコード)■ 掲載年月日 平成30年4月20日 10.販売場所 富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町中日向694) 販売日 平成30年4月28日 11.販売場所 信州青少年の家(長野県小諸市己65番地2) 販売日 平成30年5月12日 12.発
(71)【出願人】
【識別番号】594124214
【氏名又は名称】おたふく手袋株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】徳永 智彦
【テーマコード(参考)】
4L002
4L033
【Fターム(参考)】
4L002AA05
4L002AA06
4L002AA07
4L002AB02
4L002AC00
4L002BB01
4L002BB03
4L002CB01
4L002CB02
4L002EA02
4L002EA03
4L002FA02
4L002FA03
4L002FA05
4L033AA05
4L033AA07
4L033AB04
4L033AC07
4L033BA00
(57)【要約】
【課題】合成繊維を使用し、吸汗性および速乾性に優れた簡便な構造の積層生地、および、当該積層生地を有して構成された機能性衣類を提供する。
【解決手段】吸水性加工を施した第一合成繊維素材11を有する表地10と、非吸水性の第二合成繊維素材21を有する裏地20と、を備え、裏地20をメッシュ地とした二層構造の積層生地X、および、積層生地Xを有して構成された機能性衣類Y。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性加工を施した第一合成繊維素材を有する表地と、
非吸水性の第二合成繊維素材を有する裏地と、を備え、前記裏地をメッシュ地とした二層構造の積層生地。
【請求項2】
前記第一合成繊維素材および前記第二合成繊維素材は疎水性の合成繊維素材である請求項1に記載の積層生地。
【請求項3】
前記第一合成繊維素材がポリエステルであり、前記第二合成繊維素材がポリプロピレンである請求項2に記載の積層生地。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の積層生地を有して構成された機能性衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成繊維を使用した積層生地、および、当該積層生地を有して構成された機能性衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツウェアやインナーウェアなど身体に密着する衣類は、ポリエステルなどの合成繊維や、木綿などの天然繊維、または合成繊維と天然繊維との交編地が用いられている。天然繊維は吸湿性、吸水性および保水性に優れているため吸汗性に優れているが、吸い取った汗は容易に蒸散せず、肌に密着してベトツキ感が生じていた。即ち、前記衣類が汗で濡れたまま運動を継続すると、保水した衣類が肌にべとついて筋肉の動きを阻害することがあり、また、運動後に衣類が汗で濡れたまま肌に接触していれば、汗冷えを感じることとなり、不快感を抱くことがあった。
【0003】
また、合成繊維の場合は、吸湿性がないため蒸れ感を生じると共に、疎水性であるために汗と接触した時の吸水速度が遅く、天然繊維に比べて吸汗性に劣るため汗の吸水移動が行われ難く、汗が肌についたままになり、この場合もベトツキ感が生じていた。
【0004】
このように、ポリエステル繊維は、その優れた汎用性により、多方面にわたり用いられているが、疎水性であることにより発汗した汗を吸湿・放湿できないために、吸水加工を施したポリエステル繊維を使用すること行われている。
【0005】
特許文献1には、合成繊維としてポリエステルを使用した多層構造編地として、表面層および中間層を、吸水加工を施したポリエステル繊維で構成し、裏面層を、撥水加工を施した綿/ポリエステル混紡の疎水性繊維および吸水加工を施した綿/ポリエステル混紡の親水性繊維で構成した構造について記載してある。
【0006】
また、ポリエステル以外の合成繊維を使用した多層構造編地として、特許文献2には、合成繊維としてポリプロピレンを使用した多層構造編地が記載してある。特許文献2には、三層構造編地で外層ほど公定水分率が低くなる繊維糸で構成された軽量保温衣類が記載してあり、多層構造編地における内層にてポリプロピレン繊維を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−41750号公報
【特許文献2】特開2009−209459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2に記載の多層構造編地は、汗を吸収しても肌面側(裏面層)には残留する汗の量を少なくできるため、発汗してもべとつきを感じ難い構造となっていた。しかし、特許文献1,2に記載の多層構造編地は何れも三層構造となっており複雑な構造となっていたため、簡便な構造とすることが望まれていた。
【0009】
従って、本発明の目的は、合成繊維を使用し、吸汗性および速乾性に優れた簡便な構造の積層生地、および、当該積層生地を有して構成された機能性衣類を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る積層生地の第一特徴構成は、吸水性加工を施した第一合成繊維素材を有する表地と、非吸水性の第二合成繊維素材を有する裏地と、を備え、前記裏地をメッシュ地とした二層構造とした点にある。
【0011】
本構成の積層生地は、表地および裏地の二層構造としたため、簡便な構造とすることができる。
【0012】
本発明の積層生地によれば、肌面に触れる裏地に非吸水性の第二合成繊維素材を使用しているため、汗等の水分は裏地に留まらず、吸水性加工を施した第一合成繊維素材を使用した表地の側に毛細管現象により素早く移動させることができる。表地の側に移動した汗等の水分は吸水性を有する表地に留まり、非吸水性の裏地に戻り難くなっている。
【0013】
これにより、裏地と直接接触する肌面をドライで快適な状態とすることができる。また、表地の側に移動した汗等の水分は、裏地の側に戻り難いため、外側に向けて素早く蒸発する。このように本発明の積層生地は、吸汗性および速乾性に優れた積層生地とすることができる。
【0014】
本発明に係る積層生地の第二特徴構成は、前記第一合成繊維素材および前記第二合成繊維素材を疎水性の合成繊維素材とした点にある。
【0015】
本構成によれば、汎用性が高く、入手の容易な疎水性の合成繊維素材を第一合成繊維素材および第二合成繊維素材に適用することで、積層生地を容易に作製することができる。
【0016】
本発明に係る積層生地の第三特徴構成は、前記第一合成繊維素材をポリエステルとし、前記第二合成繊維素材をポリプロピレンとした点にある。
【0017】
本構成によれば、汎用性が高く、入手の容易なポリエステルを第一合成繊維素材に適用し、かつ、汎用性が高く、入手の容易なポリプロピレンを第二合成繊維素材に適用することで、積層生地を容易に作製することができる。
【0018】
本発明に係る機能性衣類の特徴構成は、第一特徴構成〜第三特徴構成の何れか一項に記載の積層生地を有して構成された点にある。
【0019】
本構成によれば、上記の積層生地を有して構成してあるため、吸汗性および速乾性に優れた機能性衣類とすることができる。また、積層生地の裏地をメッシュ地とすることで、機能性衣類は優れた通気性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の積層生地および機能性衣類を示す概略図である。
図2】積層生地の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜2に示したように、本発明の積層生地Xは、吸水性加工を施した第一合成繊維素材11を有する表地10と、非吸水性の第二合成繊維素材21を有する裏地20と、を備え、裏地20をメッシュ地とした二層構造としてある。
【0022】
積層生地Xは表地10および裏地20の二層構造となっており、表地10は、積層生地Xを衣類とした場合の外側(肌面Sに触れない側)の生地であり、裏地20は内側(肌面Sに触れる側)の生地である。
【0023】
表地10を構成する繊維素材は、吸水性加工を施した第一合成繊維素材11としてある。第一合成繊維素材11は疎水性の合成繊維素材とするのがよく、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド(例えばナイロン)等とするのがよい。本実施形態ではポリエステルを使用した場合について説明する。
【0024】
第一合成繊維素材11は、ポリエステル等の疎水性の合成繊維素材に対して吸水性加工を施してある。当該吸水性加工は、例えば疎水性の合成繊維素材を親水化剤(例えば界面活性剤)により親水化する処理であるが、吸水性加工はこれに限らず、公知の加工方法を適用することができる。
【0025】
裏地20をメッシュ地とするのに対して、表地10は通常の布地の態様とすればよい。
【0026】
裏地20を構成する繊維素材は、非吸水性の第二合成繊維素材21としてある。本明細書における「非吸水性」とは、吸水性が無いか、吸水性が殆ど無い性質のことをいうものとする。第二合成繊維素材21は疎水性の合成繊維素材とするのがよく、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド(例えばナイロン)等とするのがよい。本実施形態ではポリプロピレンを使用した場合について説明する。
【0027】
裏地20は網目の編地であるメッシュ地としてあり、裏地20のメッシュ地のメッシュサイズ(網目のサイズ)は適宜設定すればよく、例えば粗目に編成したメッシュ地や、細目に編成したメッシュ地とすることができるがこれらに限定されるものではない。裏地20をメッシュ地とすることで、積層生地Xは優れた通気性を有する。
【0028】
本発明の積層生地Xは、表地10および裏地20を同時に編み上げて一体の生地としてある。即ち、表地10および裏地20の間に連結糸(図外)を往来させるように編成することによって一体の生地とする。当該連結糸はモノフィラメントや、多数本のフィラメント集合糸などを使用することができる。このように本発明の積層生地Xは、表地10および裏地20の二層構造とした簡便な構造の積層生地とすることができる。
【0029】
本発明の積層生地Xによれば、肌面Sに触れる裏地20に非吸水性の第二合成繊維素材21を使用しているため、汗等の水分は裏地20に留まらず、吸水性加工を施した第一合成繊維素材11を使用した表地10の側に毛細管現象により素早く移動させることができる。表地10の側に移動した汗等の水分は吸水性を有する表地10に留まり、非吸水性の裏地20に戻り難くなっている。
【0030】
これにより、裏地20と直接接触する肌面Sをドライで快適な状態とすることができる。また、表地10の側に移動した汗等の水分は、裏地20の側に戻り難いため、外側に向けて素早く蒸発する。このように本発明の積層生地Xは、吸汗性および速乾性に優れた積層生地とすることができる。
【0031】
本発明の機能性衣類Yは、積層生地Xを有して構成してある。機能性衣類Yはその全体を積層生地Xで構成することができるが、このような態様に限定されるものではなく、その一部を積層生地Xで構成する態様でもよい。機能性衣類Yは、スポーツウェア、インナーウェア、アウターウェア、靴下等とすることができる。
【0032】
本発明の機能性衣類Yによれば、上記の積層生地Xを有して構成してあるため、吸汗性および速乾性に優れた機能性衣類とすることができる。また、積層生地Xの裏地20をメッシュ地とすることで、機能性衣類Yは優れた通気性を有する。また、本発明の機能性衣類Yを一枚だけ着用したとしても、積層生地Xを二層構造としてあることで肌面Sが透け難いため、重ね着しなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、合成繊維を使用した積層生地、および、当該積層生地を有して構成された機能性衣類に利用できる。
【符号の説明】
【0034】
X 積層生地
Y 機能性衣類
10 表地
11 第一合成繊維素材
20 裏地
21 第二合成繊維素材
図1
図2