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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218907(P2019-218907A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】開放型圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20191129BHJP
   F04B 39/02 20060101ALI20191129BHJP
   F04B 39/12 20060101ALI20191129BHJP
   F04C 27/00 20060101ALI20191129BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20191129BHJP
   F04C 29/02 20060101ALI20191129BHJP
   F16J 15/34 20060101ALI20191129BHJP
   F16J 15/54 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   F04B39/00 104A
   F04B39/02 Z
   F04B39/12 J
   F04C27/00 311
   F04C29/00 S
   F04C29/02 E
   F16J15/34 Z
   F16J15/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-117051(P2018-117051)
(22)【出願日】2018年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】宮本 善彰
(72)【発明者】
【氏名】後藤 利行
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 隆史
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
3J041
3J042
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB07
3H003AC03
3H003BC01
3H003BD00
3H003CD01
3H129AA02
3H129AA17
3H129AB03
3H129BB16
3H129BB47
3H129CC09
3H129CC20
3H129CC22
3J041AA01
3J041DA12
3J042AA04
3J042AA13
3J042BA02
3J042BA08
3J042CA01
3J042DA13
(57)【要約】
【課題】潤滑油の漏れを防いでクラッチの滑りを防止するとともに、封止した潤滑油を速やかに排出する。
【解決手段】貫通孔12を有するハウジング2と、圧縮機構と、圧縮機構に連結された駆動軸9と、駆動軸9の軸線方向一方側の端部に設けられたクラッチと、貫通孔12と駆動軸9との間に配置され、圧縮機構から漏れるガス及び液体をシールするメカニカルシール18と、貫通孔12と駆動軸9との間で、メカニカルシール18の軸線方向一方側に設けられ、基部51と、中実のエラストマーによって形成され、基部51から突出するリップ部52と、を有するオイルシール50と、基部51の軸線方向一方側の端部よりも軸線方向他方側、かつ、メカニカルシールよりも軸線方向一方側で、貫通孔12の内周面に開口する開口部48と、油排出経路本体47と、を有する油排出経路46と、を備える開放型圧縮機を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間と、前記内部空間と外部とを連通する貫通孔と、を有するハウジングと、
前記内部空間に収容され、ガスを圧縮する圧縮機構と、
前記圧縮機構に連結され、軸線方向一方側の端部が前記外部に突出している駆動軸と、
前記駆動軸の軸線方向一方側の端部に設けられたクラッチと、
前記貫通孔の内周面と前記駆動軸の外周面との間に配置され、前記圧縮機構から漏れる前記ガス及び液体をシールするメカニカルシールと、
前記貫通孔の内周面と前記駆動軸の外周面との間で、前記メカニカルシールの前記軸線方向一方側に設けられ、前記貫通孔の内周面に固定された基部と、中実のエラストマーによって形成され、前記基部から径方向内側に突出するリップ部と、を有するオイルシールと、
前記基部の軸線方向一方側の端部よりも軸線方向他方側、かつ、前記メカニカルシールよりも軸線方向一方側で、前記貫通孔の内周面に開口する開口部と、前記開口部と前記ハウジングの外面とを接続する油排出経路本体と、を有する油排出経路と、を備える開放型圧縮機。
【請求項2】
前記リップ部の前記径方向内側の端部と、前記駆動軸の外周面との間には、隙間が設けられている請求項1に記載の開放型圧縮機。
【請求項3】
前記駆動軸の直径をD、前記リップ部と前記駆動軸の外周面との間の前記径方向の距離をCとすると、
0<C/D<0.08
である請求項2に記載の開放型圧縮機。
【請求項4】
前記開口部の一部は、前記径方向から見て前記基部と重なっており、前記開口部の前記一部とは異なる部分は、前記径方向から見て前記基部と重なっていない請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の開放型圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開放型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機の一種として、開放型圧縮機と呼ばれる装置が知られている。開放型圧縮機は、ハウジングの内部空間で回転自在に支持されている駆動軸を有している。駆動軸の端部は、ハウジングの外部に突出しており、外部からの駆動力が駆動軸の端部に付加される。このため、駆動軸に沿ってハウジングの内外では差圧が発生する。
この差圧によって漏洩する潤滑油などの油を封止することを目的として、駆動軸にはシール装置が設けられる。
【0003】
開放型圧縮機では、シール装置のシール部材が硬化したり、経年劣化したりしてシール機能が低下することで、潤滑油がシール装置から漏出することがある。特許文献1には、シール装置から漏出した潤滑油をフェルトリングにより吸着する機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−145694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の開放型圧縮機では、フェルトリングが飽和するとフェルトリングに吸着されていた潤滑油が染み出す。潤滑油が染み出すことによって、駆動軸の端部に設けられているクラッチに付着し、クラッチが滑るという課題がある。
【0006】
この発明は、潤滑油の漏れを防いでクラッチの滑りを防止するとともに、封止した潤滑油を速やかに排出することができる開放型圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、開放型圧縮機は、内部空間と、前記内部空間と外部とを連通する貫通孔と、を有するハウジングと、前記内部空間に収容され、ガスを圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構に連結され、軸線方向一方側の端部が前記外部に突出している駆動軸と、前記駆動軸の軸線方向一方側の端部に設けられたクラッチと、前記貫通孔の内周面と前記駆動軸の外周面との間に配置され、前記圧縮機構から漏れる前記ガス及び液体をシールするメカニカルシールと、前記貫通孔の内周面と前記駆動軸の外周面との間で、前記メカニカルシールの前記軸線方向一方側に設けられ、前記貫通孔の内周面に固定された基部と、中実のエラストマーによって形成され、前記基部から径方向内側に突出するリップ部と、を有するオイルシールと、前記基部の軸線方向一方側の端部よりも軸線方向他方側、かつ、前記メカニカルシールよりも軸線方向一方側で、前記貫通孔の内周面に開口する開口部と、前記開口部と前記ハウジングの外面とを接続する油排出経路本体と、を有する油排出経路と、を備える。
【0008】
このような構成によれば、オイルシールにより、メカニカルシールから漏出した油を封止することができる。これにより、油の付着によりクラッチが滑るのを防止することができる。
また、オイルシールによって留められた油が開口部に導入されることにより、油排出経路を介して油を排出することができる。
【0009】
上記開放型圧縮機において、前記リップ部の前記径方向内側の端部と、前記駆動軸の外周面との間には、隙間が設けられてよい。
【0010】
このような構成によれば、リップ部と駆動軸との接触がなくなるため、リップ部の摩耗を抑制することができる。
【0011】
上記開放型圧縮機において、前記駆動軸の直径をD、前記リップ部と前記駆動軸の外周面との間の前記径方向の距離をCとすると、0<C/D<0.08であってよい。
【0012】
このような構成によれば、リップ部と駆動軸との間の径方向の距離を規定することにより、油の漏れを確実に防ぐことができる。
【0013】
上記開放型圧縮機において、前記開口部の一部は、前記径方向から見て前記基部と重なっており、前記開口部の前記一部とは異なる部分は、前記径方向から見て前記基部と重なっていなくてよい。
【0014】
このような構成によれば、オイルシールの基部から溢れた潤滑油が直ちに開口部に導入される。これにより、オイルシールにより留められた油を速やかに排出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、オイルシールにより、メカニカルシールから漏出した油を封止することができる。これにより、油の付着によりクラッチが滑るのを防止することができる。
また、オイルシールによって留められた油が開口部に導入されることにより、油排出経路を介して油を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の開放型圧縮機の断面図である。
図2】本発明の実施形態の開放型圧縮機のメカニカルシール及びオイルシール近傍を拡大した断面図である。
図3】本発明の実施形態の開放型圧縮機のメカニカルシール、オイルシール、及び油排出経路の作用を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の開放型圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、開放型圧縮機1は、ハウジング2と、ハウジング2の内部空間Vに収容された圧縮機構19と、圧縮機構19に連結されている駆動軸9と、を備えている。
なお、以下の説明において、駆動軸9の軸線Aが延びている方向を軸線方向Daとする。また、軸線Aに直交する方向を径方向とし、径方向で軸線Aから遠ざかる側を径方向外側といい、径方向で軸線Aに近づく側を径方向内側という。軸線方向Daであって、駆動軸9の突出方向を軸線方向一方側Da1(図1の左側)、軸線方向一方側Da1の反対側を軸線方向他方側Da2(図1の右側)という。
【0018】
ハウジング2は、圧縮機構19を収容するハウジング本体3と、ハウジング本体3の軸線方向一方側Da1にボルト38を介して一体に取り付けられているボス部13と、を有している。
ハウジング本体3は、有底形状をなすフロントハウジング3Aとリアハウジング3Bとを有している。フロントハウジング3Aとリアハウジング3Bとは、ボルト5を介して一体に締結されている。
【0019】
ハウジング2内のフロントハウジング3A側の軸線方向他方側Da2には、軸受部材6がボルト7を介して固定されている。駆動軸9は、軸受部材6のラジアル軸受部6Aと、フロントハウジング3A内に設置された第一ころがり軸受8とによって、回転自在に支持されている。
駆動軸9の軸線方向一方側Da1の端部は、フロントハウジング3A及びボス部13に設けられている貫通孔12を貫通して外部に突出している。駆動軸9の一端部(突出部位)には、エンジン等の外部駆動源からの動力がプーリ10および電磁クラッチ11を介して入力される。
【0020】
ボス部13は、駆動軸9と同軸状をなす円筒形状のボス部本体13Aと、ボス部本体13Aの軸線方向他方側Da2に形成されているフランジ部13Bと、を有している。フランジ部13Bは、ボス部本体13Aの軸線方向他方側Da2の端部から径方向外側に突出している。ボス部13は、フランジ部13Bがボルト38を介してフロントハウジング3Aに締結されることにより、ハウジング本体3に固定される。
本実施形態では、ボス部13をボルト38を用いてハウジング本体3に固定しているが、これに限ることはない。例えば、ボス部13とハウジング本体3とを一体に形成してもよい。
【0021】
電磁クラッチ11は、エンジン等の外部駆動源からの動力によって回転駆動されるロータ11Aと、ロータ11Aに対向配置されたアーマチュア16と、ロータ11Aとアーマチュア16を磁気吸着させる電磁コイルユニット15と、を有している。
【0022】
ロータ11Aは、環状に形成されている。ロータ11Aの内周面は、第二ころがり軸受14を介してボス部本体13Aの外周面に回転可能に支持されている。ロータ11Aの外周面にはベルト溝11Bが形成されている。ロータ11Aの外周面はプーリ10として機能する。
【0023】
アーマチュア16は、フランジ部を有する筒状のハブ16Aと、磁性体によって形成された円板状のアーマチュア板16Bと、リーフスプリング16Cと、を有している。ハブ16Aは、ハウジング2の外部に突出する駆動軸9の一端部に、ボルト17を介して固定されている。アーマチュア板16Bは、ロータ11Aの端面に対向配置されている。リーフスプリング16Cは、アーマチュア板16Bをロータ11Aの端面から離す方向に付勢している。
【0024】
電磁コイルユニット15は、外部から電源が供給されると電磁コイルが通電して電磁力を発生し、リーフスプリング16Cの付勢力に抗してアーマチュア板16Bをロータ11Aの端面に磁気吸着させる。これにより、ロータ11Aとアーマチュア16とが結合され、ロータ11Aの回転力がアーマチュア16へと伝達され、さらには開放型圧縮機1の駆動軸9へと伝達されて開放型圧縮機1が作動する。
一方、電磁コイルユニット15への電源の供給が停止されると、リーフスプリング16Cの付勢力によってアーマチュア板16Bはロータ11Aの端面から離脱する。これにより、ロータ11Aの回転力の伝達が遮断されて開放型圧縮機1は停止する。
【0025】
ハウジング2のリアハウジング3B側の内部空間Vには、圧縮機構19が設けられている。ここでは、圧縮機構19を一対の固定スクロール20と、旋回スクロール21とを備えたスクロール圧縮機構としている。スクロール圧縮機構19は、一対の固定スクロール20および旋回スクロール21を180°位相をずらして噛み合わせ、両スクロール20,21間に複数の圧縮室22を形成したものであり、このようなスクロール圧縮機構19自体は周知のものである。
【0026】
固定スクロール20は、軸受部材6にボルト23を介して固定されている。固定スクロール20の端板20Aの背面とリアハウジング3Bの内面との間には、吐出キャビティ26が形成されている。固定スクロール20の端板20Aには、圧縮されたガスを吐出キャビティ26内に吐出する吐出ポート24と、吐出ポート24を開閉する吐出弁25が設けられている。
【0027】
リアハウジング3Bには、吐出キャビティ26内に吐出された圧縮ガスを外部に吐き出す吐出口27が形成されている。吐出口27には、冷凍サイクルを構成する吐出配管を接続することができる。
旋回スクロール21の端板21Aの背面には、ボス28が設けられている。駆動軸9の軸線方向他方側Da2に設けられているクランクピン9Aは、ドライブブッシュ29および旋回軸受30を介してボス28に連結されている。旋回スクロール21は、駆動軸9の回転によりクランクピン9Aを介して旋回駆動される。
【0028】
旋回スクロール21の端板21Aの背面は、軸受部材6に設けられているスラスト軸受31で支持されている。旋回スクロール21の端板21Aの背面と軸受部材6との間には、オルダムリンクまたはピンリング等からなる周知の自転阻止機構32が設けられている。旋回スクロール21の自転は、自転阻止機構32により阻止されている。旋回スクロール21は、固定スクロール20に対して公転旋回駆動する。
【0029】
リアハウジング3Bには、冷凍サイクル側の吸入配管を接続する吸入口33が設けられている。吸入口33から吸入キャビティ34内に吸入された低圧ガスは、スクロール圧縮機構19の圧縮室22に吸い込まれて圧縮される。
【0030】
なお、本実施形態においては、圧縮機構19を、固定スクロール20および旋回スクロール21の渦巻き方向において、ラップ高さを変化させる段部を設け、内周側ラップ高さに対して外周側ラップ高さを高くし、ガスを周方向だけでなく、軸線方向Daにも圧縮できる三次元圧縮が可能な所謂段付きスクロール圧縮機構19としている。しかしながら、圧縮機構19は、これに限定されるものではない。
【0031】
フロントハウジング3Aの内部には、所要量の潤滑油が充填されている。潤滑油は、フロントハウジング3A内の下部空間を油溜め35とすることにより、油溜め35に集められる。油溜め35の油は、吸入通路36を経て給油ポンプ37に吸入される。給油ポンプ37は、公知のロータリ式容積型ポンプである。
【0032】
図2に示すように、駆動軸9の一端部は、ボス部本体13A(貫通孔12)によって取り囲まれている。駆動軸9の外周面9Bと貫通孔12の内周面12Aとは、径方向で対向している。
貫通孔12の内周面12Aと駆動軸9の外周面9Bとの間には、メカニカルシール18が設けられている。メカニカルシール18の軸線方向一方側Da1は、貫通孔12の内周面12Aに周方向に亘って形成されている突条41に当接している。即ち、メカニカルシール18は、突条41によって軸線方向一方側Da1への移動が規制されている。
【0033】
メカニカルシール18は、密封すべき潤滑油で潤滑作用をしながら摺動面に液膜を形成し密封するシール装置である。メカニカルシール18は、貫通孔12側にOリング61を介して非回転状態に装着されたメイティングリング60と、駆動軸9側にケース62及びOリング63を介して軸線方向Daに移動自在に装着されて、駆動軸9と一体的に回転されるシールリング64と、ケース62に保持されてシールリング64をメイティングリング60に押し付けるコイルスプリング65とを備えている。
【0034】
メカニカルシール18は、静止側摺動環であるメイティングリング60と、回転側摺動環であるシールリング64との間に密封摺動部Sを形成して、後述するポンプ室39内の潤滑油及びガスが、メカニカルシール18の軸線方向一方側Da1に漏出するのを防止するものである。
【0035】
即ち、メカニカルシール18は、弾性部材であるコイルスプリング65によって、軸線方向Daに動くことができるシールリング64と、動かないメイティングリング60と、を有している。メカニカルシール18は、シールリング64の軸線Aに直交する摺動面とメイティングリング60の軸線Aに直交する摺動面とが互いに接触し、相対的に回転することによって流体をシールする。
【0036】
給油ポンプ37により油溜め35から汲み上げられた油は、駆動軸9とボス部13とメカニカルシール18との間に形成されているポンプ室39内に吐出される。ポンプ室39に汲み上げられた潤滑油は、駆動軸9内に設けた給油通路(図示せず)を通してラジアル軸受部6Aやドライブブッシュ29、旋回軸受30、スラスト軸受31等の摺動部位あるいはメカニカルシール18の摺動部位等に供給される。
【0037】
メカニカルシール18及び突条41の軸線方向一方側Da1であって、貫通孔12の内周面12Aには、オイルシール50が取り付けられている。オイルシール50は、環状をなし、潤滑油が駆動軸9と貫通孔12との間から漏れるのを防ぐシール装置である。オイルシール50は、貫通孔12の内周面12Aに固定された基部51と、基部51から径方向内側に突出しているリップ部52と、を有している。
【0038】
基部51は、環状をなしている。基部51の外周面は、貫通孔12の内周面12Aに嵌め合わせられている。
リップ部52は、環状をなしている。リップ部52は、基部51の軸線方向一方側Da1の一端から径方向内側に突出している。
【0039】
基部51とリップ部52との内部には、金属環53が埋め込まれている。金属環53は、環状をなし、基部51の骨格をなす部位である。
オイルシール50は、金属環53に基部51及びリップ部52となるエラストマーを焼き付け接着することにより製造される。基部51及びリップ部52は、中実のエラストマーによって形成されている。基部51及びリップ部52を形成するエラストマーは、多孔質ではない。基部51及びリップ部52は、内部に液体が浸透しないように形成されている。
【0040】
リップ部52は、基部51の軸線方向一方側Da1の一端から径方向外側に突出する突出部52Aと、突出部52Aの径方向内側端部から軸線方向他方側Da2に突出するリップ先端部52Bと、リップ先端部52Bの径方向内側に埋め込まれているバネ部52Cと、を有している。バネ部52Cは、環状のコイルスプリングである。
【0041】
本実施形態のオイルシール50は、基部51がエラストマー及び金属環53により形成されているが、これに限ることはなく、基部51を金属環53のみにより形成してもよい。
【0042】
リップ部52のリップ先端部52Bと駆動軸9の外周面9Bとの間には、隙間Gが形成されている。即ち、オイルシール50の軸線方向一方側Da1と、オイルシール50の軸線方向他方側Da2とは、隙間Gを介して連通している。
オイルシール50のリップ先端部52Bと径方向で対向する駆動軸9の直径をD、リップ部52と駆動軸9の外周面9Bとの間の距離(隙間Gの寸法)をCとすると、駆動軸9及びオイルシール50は、以下の式(1)を満たすように形成されている。
0 < C/D < 0.08 ・・・(1)
例えば、駆動軸9の直径D=13.5mmとすると、オイルシール50は、リップ部52と駆動軸9の外周面9Bとの間の距離Cが1.08mm以下となるように、選択される。
【0043】
ボス部13の下部には、油排出経路46が形成されている。油排出経路46は、貫通孔12の内周面12Aに開口する開口部48と、開口部48とフランジ部13Bの外面とを接続する油排出経路本体47と、を有している。開口部48の断面積は、油排出経路本体47の断面積よりも大きい。開口部48は、油排出経路本体47よりも拡径されている。開口部48及び油排出経路本体47の断面形状は、円形であってもよいし、多角形であってもよい。
【0044】
開口部48は、オイルシール50の基部51の軸線方向一方側Da1の端部よりも軸線方向他方側Da2、かつ、メカニカルシール18よりも軸線方向一方側Da1で開口している。開口部48の一部は、径方向から見てオイルシール50の基部51と重なっており、開口部48の一部とは異なる部分は、径方向から見て基部51と重なっていない。即ち、径方向内側から見て開口部48の一部はオイルシール50によって塞がれている。
【0045】
次に、本実施形態の開放型圧縮機1の作用について説明する。
開放型圧縮機1において、電磁クラッチ11がONされると、ロータ11A(プーリ10)を介して外部駆動源から動力が入力される。入力された動力は、駆動軸9に伝達され、駆動軸9が回転駆動される。これにより、スクロール圧縮機構19の旋回スクロール21が固定スクロール20周りに公転旋回駆動される。この公転旋回駆動により、吸入口33から吸入キャビティ34内に低圧ガスが吸入される。低圧ガスは、圧縮室22にて圧縮される。高圧ガスは、吐出ポート24を介して吐出キャビティ26内に吐出され、吐出口27から冷凍サイクルへと吐出される。
【0046】
この間、駆動軸9の回転により駆動される給油ポンプ37は、吸入通路36を介して油溜め35内の潤滑油を吸入し、ポンプ室39に汲み上げる。ポンプ室39内に汲み上げられた潤滑油は、メカニカルシール18の摺動部位、ラジアル軸受部6A、ドライブブッシュ29、旋回軸受30、スラスト軸受31等の摺動部位に対して供給され、それぞれの摺動部位を潤滑する。各摺動部位を潤滑した油は、ハウジング2の底部である油溜め35に集められ、再循環される。
【0047】
次に、図3を参照して、本実施形態の開放型圧縮機1におけるメカニカルシール18、オイルシール50、及び油排出経路46の作用について説明する。
ポンプ室39(図1参照)に貯留されている潤滑油は、メカニカルシール18によってシールされる。メカニカルシール18から軸線方向一方側Da1に漏出する潤滑油のうち、重力によって落下した潤滑油は、経路C1に示すように、オイルシール50によってシールされるか、経路C2に示すように、油排出経路46により排出される。
【0048】
また、重力によって落下することなく、駆動軸9を伝った潤滑油は、駆動軸9の回転による遠心力により経路C3に示すように、径方向外側に飛散した後、オイルシール50によってシールされる。
駆動軸9より上方に飛散した潤滑油は、オイルシール50を伝って、下方へ移動する。潤滑油は、オイルシール50によってシールされた後、油排出経路46により排出される。
【0049】
上記実施形態によれば、オイルシール50により、メカニカルシール18から漏出した潤滑油を封止することができる。これにより、潤滑油の付着によりクラッチが滑るのを防止することができる。また、オイルシール50によって留められた潤滑油が開口部48に導入されることにより、油排出経路46を介して潤滑油を排出することができる。
【0050】
また、リップ部52と、駆動軸9との間に隙間Gが設けられていることにより、リップ部52と駆動軸9との接触がなくなるため、リップ部52の摩耗を抑制することができる。
【0051】
また、駆動軸9の直径をD、リップ部52と駆動軸9の外周面9Bとの間の距離をCとし、リップ部52と駆動軸9との間の径方向の距離Cを0<C/D<0.08なる数式で規定することにより、潤滑油の漏れを確実に防ぐことができる。
【0052】
また、開口部48の一部が、径方向から見て基部51と重なっていることによって、オイルシール50の基部51から溢れた潤滑油が直ちに開口部48に導入される。これにより、オイルシール50により留められた潤滑油を速やかに排出することができる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上記実施形態では、開放型圧縮機1の一例として、スクロール式圧縮機に適用した例について説明したが、他形式の、例えばロータリ式や斜板式、レシプロ式等の開放型圧縮機1にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 開放型圧縮機
2 ハウジング
3 ハウジング本体
3A フロントハウジング
3B リアハウジング
6 軸受部材
6A ラジアル軸受部
8 第一ころがり軸受
9 駆動軸
9A クランクピン
9B 外周面
10 プーリ
11 電磁クラッチ
11A ロータ
11B ベルト溝
12 貫通孔
12A 内周面
13 ボス部
13A ボス部本体
13B フランジ部
14 第二ころがり軸受
15 電磁コイルユニット
16 アーマチュア
16A ハブ
16B アーマチュア板
16C リーフスプリング
18 メカニカルシール
19 圧縮機構
20 固定スクロール
20A 端板
21 旋回スクロール
21A 端板
22 圧縮室
24 吐出ポート
25 吐出弁
26 吐出キャビティ
27 吐出口
28 ボス
29 ドライブブッシュ
30 旋回軸受
31 スラスト軸受
32 自転阻止機構
33 吸入口
34 吸入キャビティ
35 油溜め
36 吸入通路
37 給油ポンプ
39 ポンプ室
41 突条
46 油排出経路
47 油排出経路本体
48 開口部
50 オイルシール
51 基部
52 リップ部
53 金属環
60 メイティングリング
61 Oリング
62 ケース
63 Oリング
64 シールリング
65 コイルスプリング
A 軸線
Da 軸線方向
Da1 軸線方向一方側
Da2 軸線方向他方側
V 内部空間
図1
図2
図3