特開2019-218941(P2019-218941A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田中央研究所の特許一覧
<>
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000003
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000004
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000005
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000006
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000007
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000008
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000009
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000010
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000011
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000012
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000013
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000014
  • 特開2019218941-遠心圧縮機、ターボチャージャ 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218941(P2019-218941A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】遠心圧縮機、ターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/00 20060101AFI20191129BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20191129BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20191129BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   F02B37/00 301F
   F04D29/44 P
   F04D29/66 H
   F02B39/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-119221(P2018-119221)
(22)【出願日】2018年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】岩切 雄二
(72)【発明者】
【氏名】秋本 健太
【テーマコード(参考)】
3G005
3H130
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005FA12
3G005GB15
3G005GB85
3G005GD13
3H130AA13
3H130AB07
3H130AB27
3H130AB43
3H130AC14
3H130BA03A
3H130CA02
3H130CB00
3H130DA02Z
3H130DD09Z
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EB01A
3H130EB02A
(57)【要約】
【課題】低圧力比域においても、サージングの発生を抑制することができる遠心圧縮機、及びターボチャージャを得る。
【解決手段】逆方向へ流れた空気は、副流路112を螺旋状に流れる。さらに、螺旋状に流れる空気は、連通路114を通って主流路110側へ流れ、空気の流れ方向において本体部の上流端からインペラ側へ流れる空気と合流して、インペラ側へ流れる。このように、副流路112を螺旋状に流れる空気が流れ方向を変えずに、インペラ側へ流れる空気と合流することがない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸周りに回転し、軸方向から流入する空気を圧縮して径方向へ流すインペラと、
空気の流れ方向において前記インペラの上流側で、前記インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した断面が円状とされた内周面が形成された本体部と、
前記内周面の内側に配置され、前記内周面と空間を空けて対向する対向面と、前記対向面の反対側で前記インペラへ空気を案内する案内面とが形成され、前記インペラの回転軸における周方向に離間して複数設けられている内側部材であって、複数の前記内側部材の前記案内面で囲まれた主流路と、前記内周面と前記対向面との間に形成された副流路とを連通する連通路が前記周方向で隣り合う前記内側部材の間に形成されると共に、前記インペラ側から逆流した空気が前記副流路に流入する流入口が形成されている前記内側部材と、
を備えた遠心圧縮機。
【請求項2】
前記主流路は、前記インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した断面が円状で、前記インペラへ空気を案内する流路であって、
前記主流路の径寸法は、前記流れ方向の上流側から下流側に向かうに従って小さくなっている請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記内側部材には、前記連通路を臨む側面が形成されており、
前記インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した切断面において、前記連通路を形成する一対の前記側面は、前記インペラの回転中心を通り径方向に延びている直線に対して対称の形状とされ、かつ、一対の前記側面は、回転軸を通り径方向に延びている直線に沿って延びており、互いに平行とされている請求項1又は2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記内側部材には、前記連通路を臨む側面が形成されており、
前記インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した切断面において、前記連通路を形成する一対の前記側面は、前記インペラの回転中心を通り径方向に延びている直線に対して対称の形状とされ、かつ、前記連通路の通路幅は、前記副流路から、前記主流路へ向かうに従って狭くなっている請求項1又は2に記載の遠心圧縮機。
【請求項5】
エンジンから排出される排気ガスが流れる力によって回転するタービンロータを有するタービンユニットと、
前記タービンロータから回転力が前記インペラに伝達され、前記エンジンに供給する空気を圧縮する請求項1〜4の何れか1項に記載の遠心圧縮機と、
を備えたターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心圧縮機、及びターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の遠心圧縮機は、インペラの回転により空気を圧縮する遠心圧縮機であって、インペラへ空気を導入する導入管と、導入管内に設けられ、インペラの上流側で空気の流れを規制し、かつ、空気の流れを規制する状態と規制しない状態との間で変位する規制部材とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−138765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遠心圧縮機では、回転するインペラによって、圧縮される空気の流量が小さくなると、遠心圧縮機の出口側の圧力が高くなる。これにより、空気の一部が、インペラの出口から、インペラとハウジングとの隙間を通って、インペラの入口側に逆流する。この逆流に起因して、遠心圧縮機では、サージングが発生することがある。
サージングを抑制するアイテムとしてケーシングトリートメントが知られているが、ケーシングトリートメントによるサージング抑制は、圧力比の高い場合には効果があるものの圧力比が低くなるとその効果が少なくなる。また、近年では遠心圧縮機のより広い動作領域での使用が求められており、このため、低圧力比、低流量でのサージング抑制が強く求められている。
【0005】
本願発明の課題は、低圧力比域においても、サージングの発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る遠心圧縮機は、軸周りに回転し、軸方向から流入する空気を圧縮して径方向へ流すインペラと、空気の流れ方向において前記インペラの上流側で、前記インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した断面が円状とされた内周面が形成された本体部と、前記内周面の内側に配置され、前記内周面と空間を空けて対向する対向面と、前記対向面の反対側で前記インペラへ空気を案内する案内面とが形成され、前記インペラの回転軸における周方向に離間して複数設けられている内側部材であって、複数の前記内側部材の前記案内面で囲まれた主流路と、前記内周面と前記対向面との間に形成された副流路とを連通する連通路が前記周方向で隣り合う前記内側部材の間に形成されると共に、前記インペラ側から逆流した空気が前記副流路に流入する流入口が形成されている前記内側部材と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、回転するインペラは、インペラへ流入する空気を圧縮し、圧縮した空気を径方向へ流す。インペラによって圧縮された圧縮空気の流量が小さい場合には、インペラから径方向へ流れる圧縮空気は、径方向へ流れ続ける空気と、逆方向へ折り返してインペラの空気入口側へ流れる空気とに分かれる(剥離する)。この逆方向への空気の流れ(逆流)に起因して、サージングが発生する。
【0008】
逆方向へ流れた空気は、流入口から内周面と対向面との間に形成された副流路に流入し、本体部の内周面と内側部材の対向面との間を螺旋状に流れる。さらに、螺旋状に流れる空気は、隣り合う内側部材の間の連通路を通って、インペラへ空気を案内する案内面側の主流路へ流れる。また、案内面側の主流路へ流れた空気は、空気の流れ方向において本体部の上流端からインペラ側へ流れる空気と合流して、インペラ側へ流れる。つまり、インペラを通過して逆流した空気が、副流路及び連通路を通って案内面側の主流路へ流れ、再度インペラ側へ向かって流れるように循環する(循環空気)。
【0009】
具体的には、軸方向から見て、内周面に沿って内周面の周方向へ旋回する空気が、隣り合う内側部材の間の連通路を通ることで、その旋回が弱められた状態となり、インペラの回転軸側へ流れる。そして、インペラの回転軸側へ流れる空気が、空気の流れ方向において本体部の上流端からインペラ側へ流れる空気と合流して、インペラ側へ流れる。
【0010】
このため、内側部材が設けられていないことで、内周面に沿って流れる空気が、空気の流れ方向において本体部の上流端からインペラ側へ流れる空気と合流する場合と比して、インペラ側へ流れる空気の流れ方向が、周方向でインペラの回転側に傾くのが抑制される。
【0011】
さらに、インペラ側へ流れる空気の流れ方向が、周方向でインペラの回転側に傾くのが抑制されることで、インペラが空気に与える角運動量が増加して、インペラから押し出される空気の圧力は高くなる。また、低流量域においてもインペラから押し出される空気の圧力を高くすることができるので、低流量域における流量vs圧力比の特性は、流量の減少とともに圧力比が上がるような左上がりの特性となる。即ち、低流量域でのサージング発生を抑制して作動領域を拡大しつつ、低流量域での遠心圧縮機の安定動作を確保することができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る遠心圧縮機は、請求項1に記載の遠心圧縮機において、前記主流路は、前記インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した断面が円状で、前記インペラへ空気を案内する流路であって、前記主流路の径寸法は、前記流れ方向の上流側から下流側に向かうに従って小さくなっていることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、主流路の径寸法は、流れ方向の上流側から下流側に向かうに従って小さくなっている。このため、主流路の径寸法が一定の場合と比して、案内面側へ流れる循環空気の流量を増加させることができる。
【0014】
本発明の請求項3に係る遠心圧縮機は、請求項1又は2に記載の遠心圧縮機において、前記内側部材には、前記連通路を臨む側面が形成されており、前記インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した切断面において、前記連通路を形成する一対の前記側面は、前記インペラの回転中心を通り径方向に延びている直線に対して対称の形状とされ、かつ、一対の前記側面は、回転軸を通り径方向に延びている直線に沿って延びており、互いに平行とされていることを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、逆方向へ流れた空気は、本体部の内周面と内側部材の対向面との間の空間を螺旋状に、インペラの回転側へ流れる。さらに、螺旋状に流れる空気は、連通路を通って、複数の内側部材の案内面で囲まれた空間側へ流れる。ここで、インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した切断面において、連通路を形成する一対の側面は、インペラの回転中心を通り径方向に延びている直線に対して対称の形状とされ、回転軸中心を通り、径方向に延びている直線に対して平行に延びており、かつ、互いに平行とされている。換言すれば、インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した切断面において、連通路は、径方向に延びている。このため、連通路が径方向に対して傾斜している場合と比して、インペラ側への空気の流れが、軸方向から見て、周方向でインペラの回転側に傾くのを抑制することができる。
【0016】
さらに、インペラ側への空気の流れが、軸方向から見て、周方向でインペラの回転側に傾くのが抑制されることで、連通路が径方向に対して傾斜している場合と比して、サージングの発生を抑制することができる。
【0017】
本発明の請求項4に係る遠心圧縮機は、請求項1又は2に記載の遠心圧縮機において、前記内側部材には、前記連通路を臨む側面が形成されており、前記インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した切断面において、前記連通路を形成する一対の前記側面は、前記インペラの回転中心を通り径方向に延びている直線に対して対称の形状とされ、かつ、前記連通路の通路幅は、前記副流路から、前記主流路へ向かうに従って狭くなっていることを特徴とする。
【0018】
上記構成によれば、逆方向へ折り返してインペラの空気入口側へ流れる空気は、本体部の内周面と内側部材の対向面との間の空間を螺旋状に流れる。さらに、螺旋状に流れる空気は、連通路を通って、複数の内側部材の案内面で囲まれた空間側へ流れる。ここで、インペラの回転軸に対して直交する方向で切断した切断面において、連通路を形成する一対の側面は、インペラの回転中心を通り径方向に延びている直線に対して対称の形状とされている。さらに、連通路の通路幅は、副流路から主流路へ向かうに従って狭くなっている。このため、連通路の通路幅が一定である場合と比して、複数の内側部材の案内面で囲まれた空間側への空気の流れが速くなり、インペラ側へ流れる空気が回転軸側に押される。これにより、インペラから押し出される空気の圧力を高くすることができる。
【0019】
また、インペラから押し出される空気の圧力が高くなることで、連通路の通路幅が一定である場合と比して、サージングの発生を抑制することができる。
【0020】
本発明の請求項5に係るターボチャージャは、エンジンから排出される排気ガスが流れる力によって回転するタービンロータを有するタービンユニットと、前記タービンロータから回転力が前記インペラに伝達され、前記エンジンに供給する空気を圧縮する請求項1〜4の何れか1項に記載の遠心圧縮機と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、請求項1〜4の何れか1項に記載の遠心圧縮機を備えることで、圧縮空気をエンジンに効率よく供給することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、低圧力比域においても、サージングの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機を示した正面図、及び断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機を示した正面図である。
図4】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
図5】(A)(B)本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機において、空気の流れ方向を矢印で示した説明図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機、及び比較形態に係る遠心圧縮機の評価結果をグラフで示した図面である。
図7】本発明の第1実施形態に係るターボチャージャを示した断面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機の内側部材等を示した斜視図である。
図9】(A)(B)本発明の第1実施形態に対する比較形態に係る遠心圧縮機において、空気の流れ方向を矢印で示した説明図である。
図10】本発明の第1実施形態に対する比較形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る遠心圧縮機を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る遠心圧縮機、及びターボチャージャの一例について図1図10を用いて説明する。
【0025】
(全体構成)
本第1実施形態に係るターボチャージャ10は、図7に示されるように、タービンユニット20、遠心圧縮機30、及びタービンユニット20と遠心圧縮機30とを連結する連結ユニット40を備えている。そして、タービンユニット20は、自動車のエンジン(図示省略)の排気通路12の途中に配置され、遠心圧縮機30は、このエンジンの吸気通路14の途中に配置されている。
【0026】
タービンユニット20は、ハウジング24を備え、遠心圧縮機30は、ハウジング50を備え、連結ユニット40は、ハウジング24とハウジング50とを連結するハウジング44を備えている。
【0027】
さらに、ターボチャージャ10は、ハウジング24、ハウジング44、及びハウジング50の内部を通る回転軸42を備えている、そして、この回転軸42の軸方向(図中矢印E方向:以下単に「軸方向」)の一端側(図中右側)から他端側(図中左側)へ、ハウジング24、ハウジング44、及びハウジング50は、この順番で図示せぬ固定具を用いて互いに固定され、並んでいる。
【0028】
〔タービンユニット〕
タービンユニット20は、図7に示されるように、ハウジング24と、タービンロータ22とを備えている。ハウジング24は、内部が空洞とされ、このハウジング24の内部に、タービンロータ22が配置されている。そして、タービンロータ22は、回転軸42の軸方向の一端側の部分に固定されているロータ軸部28と、ロータ軸部28から延びている複数のタービン翼26とを有している。
【0029】
また、ハウジング24においてタービンロータ22に対して回転軸42の径方向(図中矢印D方向:以下単に「径方向」)の外側の部分には、排気通路12を流れる排気ガスをハウジング24の内部へ流入させる渦巻き状の渦巻き流路24Aが形成されている。さらに、ハウジング24においてタービンロータ22に対して軸方向の外側(ハウジング44側とは反対側)の部分には、排気ガスをハウジング24の外部へ排出させて排気通路12へ流出させる排出流路24Bが形成されている。
【0030】
この構成において、渦巻き流路24Aからハウジング24の内部へ流入した排気ガス(流体の一例)は、隣り合うタービン翼26の間へ流れ込む。そして、排気ガスは、複数のタービン翼26を押すことで、タービンロータ22を回転させる。さらに、タービンロータ22を回転させた排気ガスは、排出流路24Bから排出される。このように、タービンロータ22は、所謂ラジアルタービンロータとされている。
【0031】
〔連結ユニット〕
連結ユニット40は、図7に示されるように、ハウジング44を備えている。そして、このハウジング44は、回転軸42を回転可能に支持する支持部44Aを有している。
【0032】
さらに、ハウジング44は、循環しながら支持部44Aへ供給されるエンジンオイルをハウジング44の内部へ流入させる開口(図示省略)と、エンジンオイルをハウジング44の内部から排出させる排出口(図示省略)とを有している。
【0033】
この構成において、ハウジング44の内部へ流入したエンジンオイルは、支持部44Aに供給され、回転軸42が滑らかに回転する。
【0034】
〔遠心圧縮機〕
遠心圧縮機30は、図7に示されるように、ハウジング50と、インペラ32とを備えている。ハウジング50は、内部が空洞とされ、このハウジング50の内部に、インペラ32が配置されている。そして、インペラ32は、回転軸42の軸方向の他端側の部分に固定されている回転軸部34と、回転軸部34から延びている複数のインペラ翼36とを有している。
【0035】
また、ハウジング50においてインペラ32に対して軸方向の外側(ハウジング44側とは反対側)の部分には、吸気通路14を流れる空気をインペラ32へ導く主流路110が形成されている。さらに、ハウジング50においてインペラ32に対して径方向の外側(回転軸42とは反対側)の部分には、空気をハウジング50の外部へ排出して吸気通路14へ流入させる渦巻き状の渦巻き流路68(所謂スクロール流路)が形成されている。なお、遠心圧縮機30については詳細を後述する。
【0036】
(全体構成の作用)
次に、ターボチャージャ10の作用について説明する。
タービン翼26は、渦巻き流路24Aからハウジング24の内部へ流入した排気ガスによって押されて回転する。タービンロータ22の回転力は、回転軸42を介してインペラ32に伝達される。なお、ハウジング24の内部でタービンロータ22を回転させた排気ガスは、排出流路24Bから排出される。
【0037】
インペラ32は、回転軸42を介してタービンロータ22の回転力が伝達されることで回転する。そして、回転するインペラ32は、吸気通路14からハウジング50の主流路110によってインペラ32側へ導かれた空気を圧縮する。また、回転するインペラ32は、圧縮した空気を径方向へ流す。さらに、径方向へ流された圧縮空気は、渦巻き流路68を流れて吸気通路14へ排出される。渦巻き流路68から排出された空気は、燃焼用の圧縮空気としてエンジンに供給される。
【0038】
(要部構成)
次に、遠心圧縮機30について説明する。
遠心圧縮機30は、図1(A)(B)に示されるように、インペラ32と、内部にインペラ32が配置されているハウジング50と、ハウジング50に取り付けられている複数の内側部材100(図1(A)参照)とを備えている。
【0039】
〔インペラ32〕
インペラ32は、図1(A)(B)、図3に示されるように、回転軸42の軸方向の他端側の部分に固定されている回転軸部34と、回転軸部34から延びている複数のインペラ翼36とを有している。
【0040】
回転軸部34は、軸方向の外側(ハウジング44側とは反対側:図中左側)に向かうに従って徐々に細くなっている。また、夫々のインペラ翼36は、図1(A)に示されるように、軸方向から見て、回転軸部34から湾曲しながら径方向の外側へ延びている。そして、夫々のインペラ翼36は、図1(B)に示されるように、軸方向の外側の部分で径方向へ延びている先端縁36Aと、先端縁36Aの径方向の外側の端部に接続されて、湾曲しながら軸方向の内側(ハウジング44側:図中右側)へ延びている湾曲縁36Bとを有している。さらに、夫々のインペラ翼36は、湾曲縁36Bの端部に接続されて、軸方向へ延びている基端縁36Cを有している。
【0041】
この構成において、回転するインペラ32は、インペラ翼36の先端縁36Aから流入する空気を圧縮し、圧縮した空気(圧縮空気)をインペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側へ流す。
【0042】
〔ハウジング50〕
ハウジング50は、図1(B)、図3に示されるように、インペラ32に対して空気の流れ方向の上流側の本体部52と、回転するインペラ32によって空気が圧縮される圧縮路56が形成された圧縮部58とを有している。さらに、ハウジング50は、インペラ32によって圧縮された圧縮空気が流れる拡散流路62が形成された拡散部64と、拡散流路62を通った圧縮空気を吸気通路14(図1参照)へ排出する渦巻き流路68が形成された渦巻き部70とを有している。
【0043】
圧縮部58に形成された圧縮路56は、インペラ32を収容するように形成されている。また、圧縮路56には、インペラ翼36の湾曲縁36Bと隙間60を空けて対向する対向面56Aが形成されている。
【0044】
拡散部64に形成された拡散流路62は、軸方向から見て、インペラ32を囲むように形成されている(図3参照)。そして、拡散流路62は、回転するインペラ32によって圧縮され、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側へ流された圧縮空気を渦巻き流路68へ流すようになっている。
【0045】
渦巻き部70に形成された渦巻き流路68は、軸方向から見て、拡散流路62を囲むように渦巻き状に形成されている。また、渦巻き流路68の一端には、圧縮空気を吸気通路14へ排出するための排出口68Aが形成されている。この渦巻き流路68の流路断面は、略円形状とされている。そして、渦巻き流路68は、拡散流路62を通過した圧縮空気を、吸気通路14へ排出させるようになっている。
【0046】
本体部52は、インペラ32に対して空気の流れ方向の上流側に配置されている。さらに、本体部52には、インペラ32の回転軸C1に対して直交する方向で切断した切断面において円状で、かつ、径寸法が空気の流れ方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる内周面74が形成されている。また、本体部52には、内周面74に対して空気の流れ方向の下流端に一端に接続され、他端が圧縮部58の対向面56Aに接続され、他端側の部分が空気の流れ方向の上流側を向いた湾曲面76が形成されている。さらに、本体部52には、空気の流れ方向において内周面74の上流端に接続され、断面L字状のL字面78が形成されている。
【0047】
〔内側部材100〕
内側部材100は、図1(A)(B)に示されるように、本体部52の内周面74の内側に配置されており、周方向に離間して複数(本実施形態では6個)設けられている。
【0048】
夫々の内側部材100には、本体部52の内周面74及び湾曲面76と対向する対向面102と、対向面102の反対側で、インペラ32へ空気を案内する案内面104とが形成されている。さらに、夫々の内側部材100には、周方向において隣に配置された内側部材100側を向いた側面106と、本体部52のL字面78に接触する取付面108とが形成されている。
【0049】
−対向面102−
対向面102は、前述したように、本体部52の内周面74及び湾曲面76と対向している。本実施形態では、内側部材100の対向面102と本体部52の内周面74との距離(図1(B)のL1)は、一例として、2〔mm〕とされている。
【0050】
さらに、本体部52の湾曲面76と内側部材100の対向面102との距離(図1(B)のL2)は、一例として、2〔mm〕以上5〔mm〕以下とされており、開口側が広くなっている。また、本体部52の湾曲面76と内側部材100の対向面102とで形成される開口は、インペラ32の回転軸C1側を向いており、径方向で回転軸C1と対向している。このように、内周面74及び湾曲面76と、対向面102との間に形成された空間に、インペラ32側から逆流した空気(詳細は後述)が流入する、流入口84が形成されている。
【0051】
そして、内側部材100の対向面102と、本体部52の内周面74及び湾曲面76との間が、インペラ32側から逆流した空気が流れる副流路112とされている。
【0052】
−案内面104−
案内面104は、前述したように、対向面102の反対側、つまり、回転軸C1側を向いており、軸方向に対して直交する方向で切断した切断形状が円弧状とされている(図4(B)参照)。そして、複数の内側部材100の案内面104で囲まれた空間が、インペラ32へ空気を案内する主流路110とされている。また、主流路110は、インペラ32の回転軸C1を中心とする断面円状とされている。さらに、主流路110の径寸法は、空気の流れ方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる。また、空気の流れ方向において案内面104の下流端は、軸方向から見て、回転するインペラ翼36の先端縁36Aによって描かれる円と比して、径方向の外側に配置されている。なお、本実施形態では、案内面104については、軸方向に対して直交する方向で切断した切断形状が円弧状とされたが、一部が直線状であってもよい。
【0053】
−側面106−
側面106は、前述したように、周方向において隣に配置された内側部材100側を向くように形成されている。つまり、隣り合う内側部材100に形成された側面106は、周方向で対向している。そして、対向する一対の側面106の間が、主流路110と副流路112とを連通する連通路114とされている。
【0054】
また、回転軸C1に対して直交する方向で切断した切断面において、連通路114を形成する一対の側面106は、図4(B)に示されるように、回転軸C1を通り、径方向に延びている直線に対して対称の形状とされ、かつ、回転軸C1を通り径方向に延びている直線に沿って延びており、互いに平行とされている。そして、連通路114は、軸方向から見て、径方向へ延びている。換言すると、回転軸C1に対して直交する方向で切断した切断面において、連通路114は、径方向に延びいている。さらに、対向する一対の側面106の距離(図4(B)のL3)は、一例として、8〔mm〕とされている。
【0055】
また、図1(A)示されるように、案内面104において空気の流れ方向の下流側の一対の角部の回転角を角度θ1とし、連通路114において空気の流れ方向の下流側の一対の端部の回転角を角度θ2とする。そうすると、角度θ1を10とすると、角度θ2は、2以上6以下が好ましく、3以上5以下がより好ましい。
【0056】
−取付面108−
取付面108は、図1(B)に示されるように、空気の流れ方向において、対向面102の上流側に配置されており、本体部52のL字面78に接触するように形成されている。内側部材100の取付面108が、図示せぬ固定部材を用いて本体部52のL字面78に固定されることで、内側部材100は、ハウジング50に取り付けられている。これにより、副流路112において取付面108側は、閉じている。
【0057】
−その他−
隣り合う内側部材100を連結する連結部120が、図1(A)に示されるように、隣り合う内側部材100の間に形成されている。具体的には、空気の流れ方向において、隣り合う内側部材100の上流側の部分に、連結部120が形成されている。また、連結部120において主流路110に臨んだ面は、案内面104と滑らかに繋がっている。これにより、複数の内側部材100は、複数の連結部120によって連結されており、一体的に形成されている。
【0058】
(作用)
次に、第1実施形態に係る遠心圧縮機30の作用について、比較形態に係る遠心圧縮機200と比較しつつ説明する。先ず、比較形態に係る遠心圧縮機200の構成について、遠心圧縮機30と異なる部分を主に説明する。
【0059】
比較形態に係る遠心圧縮機200は、図10に示されるように、内側部材100を備えていない。遠心圧縮機200においては、本体部52の内周面74及び湾曲面76に囲まれた空間が、インペラ32へ空気を案内する主流路210とされている。なお、遠心圧縮機200の他の構成については、遠心圧縮機30と同様である。
【0060】
−遠心圧縮機200から排出される圧縮空気の流量が小さい場合−
先ず、遠心圧縮機200から排出される圧縮空気の流量が小さい場合について説明する。遠心圧縮機200から排出される圧縮空気の流量が小さい場合には、遠心圧縮機200の圧力比は、遠心圧縮機200から排出される圧縮空気の流量が大きい場合に比して、大きくなる。なお、圧力比とは、遠心圧縮機200のインペラ32から流出する空気の圧力P2と、インペラ32へ流入する空気の圧力P1との比P2/P1である。
【0061】
回転するインペラ32は、図10に示されるように、主流路210を、空気の流れ方向において本体部52の上流端からインペラ32側へ流れインペラ翼36の先端縁36A側から流入する空気(矢印K1)を圧縮する。そして、回転するインペラ32は、圧縮した空気を、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路62側へ流す。
【0062】
さらに、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路62側へ流れた空気は、渦巻き流路68側へ流れる空気(矢印K2)と、逆方向へ折り返してインペラ翼36の湾曲縁36Bとハウジング50との隙間60を通って主流路210側へ流れる空気(矢印K3)とに分かれる(剥離する)。
【0063】
さらに、主流路210側へ逆流した空気は、図9(A)(B)、図10に示されるように、主流路210を形成している湾曲面76及び内周面74に沿ってインペラ32の回転方向に回りながら螺旋状に流れる(矢印K4)。そして、内周面74に沿って螺旋状に流れる空気は、空気の流れ方向において本体部52の上流端からインペラ32側へ流れる空気(矢印K1)と合流して、インペラ32側へ流れる。
【0064】
ここで、遠心圧縮機200には内側部材が設けられていない。このため、内周面74に沿って螺旋状に流れる空気が、流れ方向を変えることなく、空気の流れ方向において本体部52の上流端からインペラ32側へ流れる空気に合流する。このため、インペラ32側への空気(矢印K1)の流れが、軸方向から見て、周方向でインペラ32の回転側に傾いてしまう。換言すれば、インペラ32側へ流れる空気(矢印K1)は、周方向でインペラ32の回転側の成分をもってインペラ側へ流れる。
【0065】
なお、遠心圧縮機200から排出される圧縮空気の流量が大きい場合には、遠心圧縮機200の圧力比は、遠心圧縮機200から排出される圧縮空気の流量が小さい場合と比して、小さくなる。このため、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路62側へ流れた空気の逆流が抑制される。
【0066】
−遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量が小さい場合−
次に、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量が小さい場合について説明する。
【0067】
回転するインペラ32は、図2に示されるように、主流路110を、空気の流れ方向において本体部52の上流端からインペラ32側へ流れ、インペラ翼36の先端縁36Aから流入する空気(矢印M1)を圧縮し、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路62側へ流す。ここで、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量が小さい場合には、遠心圧縮機30の圧力比は、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量が大きい場合と比して、大きくなっている。
【0068】
このため、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路62側へ流れ込んだ空気は、渦巻き流路68側へ流れる空気(矢印M2)と、逆方向へ折り返してインペラ翼36の湾曲縁36Bとハウジング50との隙間60を通って主流路110側へ流れる空気(矢印M3)とに分かれる(剥離する)。
【0069】
さらに、主流路110側へ逆流した空気は、図2図4(A)(B)に示されるように、本体部52の湾曲面76、及び内周面74に沿ってインペラ32の回転方向に回りながら螺旋状に流れる(矢印M4)。具体的には、主流路110側へ逆流した空気は、流入口84を通って、内側部材100の対向面102と、本体部52の内周面74及び湾曲面76との間の副流路112を螺旋状に流れる。
【0070】
また、副流路112を螺旋状に流れる空気は、連通路114を通って主流路110側へ流れる(矢印M5)。さらに、主流路110側へ流れた空気は、空気の流れ方向において本体部52の上流端からインペラ32側へ流れる空気(矢印M1)と合流して、インペラ32側へ流れる。
【0071】
ここで、軸方向から見て、連通路114は、径方向へ延びている。このため、軸方向から見て、連通路114を通って主流路110側へ流れる空気は、径方向に沿って、主流路110側へ流れる。このため、インペラ32側への空気(矢印M1)の流れが、遠心圧縮機200を用いる場合と比して、軸方向から見て、周方向でインペラ32の回転側に傾くのが抑制される。これにより、インペラ32から押し出される空気の圧力は、遠心圧縮機200を用いる場合と比して高くなる。
【0072】
〔解析〕
次に、遠心圧縮機30、200に対して行ったCFD(Computational Fluid Dynamics)解析について説明する。遠心圧縮機30と遠心圧縮機200とで、インペラ32側へ流れる空気の流量を同様とし、軸方向から見た空気の流れ方向についてCFD解析を行った。
【0073】
図5(A)が遠心圧縮機30を用いた場合の解析結果を示し、図5(B)が遠心圧縮機200を用いた場合の解析結果を示している。矢印の方向が軸方向から見た空気の流れ方向を示し、矢印の長さが軸方向から見た速度成分の大きさを示す。つまり、矢印が長い場合は、短い場合と比して、軸方向から見た空気の流れが速くなっている。
【0074】
図5(A)(B)に示されるように、遠心圧縮機30を用いた場合は、遠心圧縮機200を用いた場合と比して、軸方向から見て、インペラ32側へ流れる空気が周方向でインペラ32の回転側に傾くのが抑制されている。これにより、インペラ32から押し出される空気の圧力については、遠心圧縮機30を用いた場合は、遠心圧縮機200を用いた場合と比して高くなる。
【0075】
〔サージング〕
−サージング限界−
次に、遠心圧縮機30、200のサージング限界について説明する。
【0076】
図6に示されるグラフの縦軸は遠心圧縮機30、200を用いた場合の圧力比を示し、横軸は遠心圧縮機30、200から排出される圧縮空気の流量〔g/sec〕を示している。
【0077】
図6に示すグラフ中の実線G1は、インペラ32の回転数を一定にし、遠心圧縮機30から排出される圧縮空気の流量を変えた場合の圧縮空気の流量と圧力比との関係を示している。これに対して、一点鎖線J1は、インペラ32の回転数を実線G1と同様の回転数にし、遠心圧縮機200から排出される圧縮空気の流量を変えた場合の圧縮空気の流量と圧力比との関係を示している。
【0078】
そして、圧縮空気の流量を徐々に小さくし、サージング(遠心圧縮機が正常に機能しなくなる現象)が発生する圧縮空気の流量と圧力比とを検出した。遠心圧縮機30については、点g1でサージングが発生し、遠心圧縮機200については、点j1でサージングが発生した。なお、ハウジング50に圧力計又は振動計を取り付けて、振幅が予め定められた閾値に達した場合に、サージングの発生と判断した。
【0079】
また、実線G2は、遠心圧縮機30を用い、実線G1と比して回転数を高くした場合を示している。そして、遠心圧縮機30においては、点g2でサージングが発生した。これに対して、一点鎖線J2は、遠心圧縮機200を用い、インペラ32の回転数を実線G2と同様の回転数とした場合を示している。そして、遠心圧縮機200においては、点j2でサージングが発生した。
【0080】
また、実線G3は、遠心圧縮機30を用い、実線G2と比して回転数を高くした場合を示している。そして、遠心圧縮機30においては、点g3でサージングが発生した。これに対して、一点鎖線J3は、遠心圧縮機200を用い、インペラ32の回転数を実線G3と同様の回転数とした場合を示している。そして、遠心圧縮機200においては、点j3でサージングが発生した。
【0081】
また、他の回転数においても実線G1、G2、G3及び一点鎖線J1、J2、J3と同様の作業を行い、遠心圧縮機30、200においてサージングが発生する圧縮空気の流量と圧力比とを求めた。
【0082】
そして、グラフ中の破線H1が、遠心圧縮機30を用いた場合のサージング限界線H1(以下「限界線H1」)であり、グラフ中の破線H2が、遠心圧縮機200を用いた場合のサージング限界線H2(以下「限界線H2」)である。
【0083】
遠心圧縮機30では、グラフ中の限界線H1よりも右側(流量が大きい側)のエリアでサージングが発生することがない。また、遠心圧縮機200では、グラフ中の限界線H2よりも右側(流量が大きい側)のエリアでサージングが発生することがない。
【0084】
ここで、限界線H1と限界線H2とを比較すると、限界線H1が限界線H2と比して図中左側(空気流量が小さい側)に位置している。これにより、圧縮空気の流量が小さい場合に、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機200と比して、サージングの発生が抑制されていることが分かる。
【0085】
−サージングの発生理由−
次に、インペラ32の回転数を同様にして圧縮空気の流量を小さくすると、サージングが発生する理由について説明する。
【0086】
圧縮空気の流量が小さくなると、前述したように、インペラ翼36の基端縁36Cから径方向の外側の拡散流路62側へ流れ込んだ空気は、渦巻き流路68側へ流れる空気と、逆方向へ折り返す空気とに分かれる(図2参照)。逆方向へ折り返す空気は、インペラ翼36の湾曲縁36Bとハウジング50との隙間60を通って主流路110側へ流れる。この逆方向への空気の流れ(逆流)に起因して、サージングが発生してしまう。
【0087】
ここで、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機200と比して、サージングの発生が抑制されている理由について考察する。
【0088】
前述したように、圧縮空気の流量が小さい場合(低流量域の場合)に、遠心圧縮機30を用いた場合のインペラ32側への空気の流れは、遠心圧縮機200を用いる場合と比して、軸方向から見て、周方向でインペラ32の回転側に傾くのが抑制される。これにより、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機200と比して、インペラ32から押し出される空気の圧力は高くなる。
【0089】
また、インペラ32から押し出される空気の圧力が高くなることで、拡散流路62で逆方向へ折り返す空気の流量は小さくなる。これにより、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機200と比して、サージングの発生が抑制されている。
【0090】
(まとめ)
以上説明したように、内側部材100を備えている遠心圧縮機30では、インペラ32側への空気の流れが、遠心圧縮機200を用いる場合と比して、軸方向から見て、周方向でインペラ32の回転側に傾くのが抑制される。これにより、遠心圧縮機30では、遠心圧縮機200と比して、サージングの発生を抑制することができる。
【0091】
また、主流路110の径寸法は、空気の流れ方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなっている(図8参照)。換言すれば、主流路110の径寸法は、空気の流れ方向の下流側から上流側に向かって徐々に大きくなっている(拡径している)。このため、主流路110の径寸法が一定の場合と比して、流れ方向の上流側では、対向する連通路114同士の距離が長くなるため、連通路114から主流路110への噴出する空気が対向する連通路114から噴出する空気と干渉しにくい。そこで、主流路110からインペラ32を通過して逆流した空気が、内周面74と対向面102との間に形成された空間を通って再度主流路110に流れるように循環する循環空気の流量を大きくすることができる。
【0092】
また、循環空気の流量を大きくすることができるため、主流路110の径寸法が一定の場合と比して、サージングの発生を抑制することができる。
【0093】
また、回転軸C1に対して直交する方向で切断した切断面において、連通路114を形成する一対の側面106は、回転軸C1を通り径方向に延びている直線に沿って延びており、互いに平行とされている。換言すると、軸方向から見て、連通路114は、径方向に延びている。このため、軸方向から見て、連通路が径方向に対して傾斜している場合と比して、インペラ32側への空気の流れが、軸方向から見て、周方向でインペラ32の回転側へ傾くのを抑制することができる。
【0094】
また、インペラ32側への空気の流れが、軸方向から見て、周方向でインペラ32の回転側に傾くのを抑制されることで、連通路が径方向に対して傾斜している場合と比して、サージングの発生を抑制することができる。
【0095】
また、ターボチャージャ10においては、遠心圧縮機30におけるサージングの発生が抑制されることで、圧縮空気をエンジンに効率よく供給することができる。
【0096】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る遠心圧縮機、及びターボチャージャの一例について図11を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0097】
第2実施形態の遠心圧縮機330の内側部材400には、対向面102と、対向面102の反対側でインペラ32へ空気を案内する案内面104とが形成されている。さらに、内側部材400には、周方向において隣に配置された内側部材400側を向いた側面406が形成されている。そして、対向する一対の側面406の間に形成された空間が、主流路110と副流路112とを連通する連通路414とされている。
【0098】
具体的には、回転軸C1に対して直交する方向で切断した切断面において、連通路414を形成する一対の側面406は、回転軸C1を通り径方向に延びている直線に対して対称の形状とされている。さらに、連通路414の通路幅が、副流路112から主流路110へ向かうに従って狭くなるように、一対の側面406が形成されている。
【0099】
このため、連通路414の通路幅が、副流路112側の通路幅の値で一定の場合と比して、連通路414を通って主流路110側への空気の流れが速くなり、インペラ32側へ流れる空気(矢印M1)が回転軸C1側に押される。これにより、インペラ32側へ流れる空気の方向をより正確に軸に向かわせることができる。
【0100】
また、インペラ32側へ流れる空気の方向がより正確に軸に向かうことで、連通路414の通路幅が、副流路112側の通路幅の値で一定の場合と比して、サージングの発生を抑制することができる。
【0101】
他の作用については、連通路114を形成する一対の側面106が、回転軸C1を通り径方向に延びている直線に沿って延びることで奏する第1実施形態の作用以外の第1実施形態の作用と同様である。
【0102】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る遠心圧縮機、及びターボチャージャの一例について図12を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0103】
第3実施形態の遠心圧縮機530のハウジング550における本体部552には、径寸法が空気の流れ方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる内周面574が形成されている。また、本体部552には、空気の流れ方向において内周面574の下流端に一端に接続され、他端が圧縮部58の対向面56Aに接続され、他端側の部分が空気の流れ方向の上流側を向いた湾曲面576が形成されている。そして、この湾曲面576は、インペラ翼36の先端縁36Aに対して、空気の流れ方向の下流側に配置されている。
【0104】
内側部材600には、本体部552の内周面574及び湾曲面576と対向する対向面602と、対向面602の反対側でインペラ32へ空気を案内する案内面604とが形成されている。さらに、内側部材600には、周方向において隣に配置された内側部材600側を向いた側面606と、本体部552のL字面78に接触する取付面108とが形成されている。そして、本体部552の湾曲面576と内側部材600の対向面602とで形成される開口は、インペラ翼36の先端縁36Aに対して、空気の流れ方向の下流側に配置されている。
【0105】
この構成において、主流路110側へ逆流した空気は、本体部552の湾曲面576と内側部材600の対向面602とで形成される開口から副流路112へ流れる。第3実施形態の遠心圧縮機530の他の作用については、第1実施形態の遠心圧縮機30の作用と同様である。
【0106】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る遠心圧縮機、及びターボチャージャの一例について図13を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0107】
第4実施形態の遠心圧縮機730のハウジング750における本体部752には、径寸法が空気の流れ方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなる内周面774が形成されている。なお、本体部752には、湾曲面は形成されていない。
【0108】
また、内側部材800には、本体部752の内周面774と対向する対向面802と、対向面802の反対側でインペラ32へ空気を案内する案内面804とが形成されている。さらに、内側部材800には、周方向において隣に配置された内側部材800側を向いた側面806と、本体部752のL字面78に接触する取付面108とが形成されている。
【0109】
第4実施形態の遠心圧縮機730の作用については、第1実施形態の遠心圧縮機30の作用と同様である。
【0110】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、複数の内側部材100、400、600、800が、連結部120によって連結されていたが、夫々が分割されていてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、主流路110の径寸法は、空気の流れ方向の上流側から下流側に向かって徐々に小さくなったが、径寸法が一定であってもよい。この場合には、主流路110の径寸法が徐々に小さくなることで奏する作用は奏しない。
【0112】
また、上記第1実施形態では、軸方向から見て、一対の側面106は、回転軸C1を通り径方向に延びている直線に沿って延びたが、側面が、径方向に対して傾斜していてもよい。しかし、この場合には、一対の側面が回転軸C1を通り径方向に延びている直線に沿って延びていることで奏する効果は奏しない。
【符号の説明】
【0113】
10 ターボチャージャ
20 タービンユニット
22 タービンロータ
30 遠心圧縮機
32 インペラ
52 本体部
74 内周面
84 流入口
100 内側部材
102 対向面
104 案内面
106 側面
110 主流路
112 副流路
114 連通路
330 遠心圧縮機
400 内側部材
406 側面
414 連通路
530 遠心圧縮機
552 本体部
574 内周面
600 内側部材
602 対向面
604 案内面
606 側面
730 遠心圧縮機
752 本体部
774 内周面
800 内側部材
802 対向面
804 案内面
806 側面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13