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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-218966(P2019-218966A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】防振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 13/26 20060101AFI20191129BHJP
   F16F 13/20 20060101ALI20191129BHJP
   F16F 13/10 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   F16F13/26 B
   F16F13/20
   F16F13/10 E
   F16F13/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-114753(P2018-114753)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏
(72)【発明者】
【氏名】前野 和浩
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 信吉
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健人
【テーマコード(参考)】
3J047
【Fターム(参考)】
3J047AA03
3J047CA03
3J047CB06
3J047CC02
3J047CD12
3J047DA01
3J047DA02
3J047FA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、減衰特性の低下を抑制可能な防振装置を提供することを目的とする。
【解決手段】防振装置10は、振動発生部及び振動受部の一方に連結される筒体12、振動発生部及び振動受部の他方に連結される支持体16、支持体16を筒体12に取付ける弾性体14、液体が収容された主液室33、筒体内を仕切るダイヤフラム46とオリフィス形成部材32との間に設けられオリフィス通路54を介して主液室33との間で液体が流通する副液室50、ダイヤフラム44を介して副液室50と反対側に設けられた第1気体室62、第1気体室62と隔離された第2気体室70、第2空気室70の内部に配置され第1気体室62と第2気体室70とを電気制御により連通状態又は非連通状態に切り替えるソレノイドバルブ72(切替部)、第2気体室70の隔壁の一部を構成し弾性体から構成されて第2気体室70の圧力変動により弾性変形するカバー64、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部及び振動受部の一方に連結される筒体と、
振動発生部及び振動受部の他方に連結される支持体と、
前記支持体を前記筒体に相対移動可能に取付ける弾性体と、
前記弾性体と前記筒体内に設けられた通路形成部材との間に形成され、液体が収容された主液室と、
前記通路形成部材と前記筒体内を仕切るダイヤフラムとを隔壁の一部とし、前記通路形成部材に形成された制限通路を介して前記主液室との間で液体が流通する副液室と、
前記ダイヤフラムを介して前記副液室と反対側に設けられた第1気体室と、
前記第1気体室とは仕切部材を介して隔離されると共に密閉された第2気体室と、
前記第2気体室の内部に配置され、前記第1気体室と前記第2気体室とを電気制御により連通状態又は非連通状態に切り替える切替部と、
前記第2気体室の隔壁の一部を構成し前記仕切部材よりも曲げ剛性の低い弾性体から構成されて前記第2気体室の圧力変動によって弾性変形する弾性壁面部と、
を有する防振装置。
【請求項2】
前記弾性壁面部の内、前記切替部と対向する壁面部分は、その他壁面部分と比較して変形変位が小さく設定されている、請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
前記壁面部分に、前記切替部に接続されるリード線を通して前記第2気体室の外部に取り出すリード線挿通孔が形成されている、請求項2に記載の防振装置。
【請求項4】
前記壁面部分には、前記壁面部分よりも厚く形成され前記リード線挿通孔が形成されたグロメット部が一体的に形成されている、請求項3に記載の防振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を抑制する防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両にはエンジンで発生する振動を抑制する防振装置が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この防振装置は、エンジンを支持する支持体と、車体に連結される筒体と、支持体と筒体を連結する弾性体を備えており、筒体内には、主液室、及び副液室が形成されている。
【0004】
主液室と副液室とは、制限通路を介して連通しており、副液室は、壁面の一部がダイヤフラムで構成されている。このダイヤフラムを境とした副液室の隣には、空気室が設けられている。この空気室は、空気通路、及び切替弁を介して外部へ連通可能に構成され、切替弁で外部と連通した大気開放状態と、外部と遮断された非開放状態とに切り替えることができるように構成されている。
【0005】
これにより、エンジンからの振動によって弾性体が変形した際に、主液室が拡縮し、主液室と連通した副液室の壁面を構成するダイヤフラムが変形することで、制限通路を介して主液室と副液室との間で液体が行き来するように構成されている。この防振装置では、空気室を大気に連通させることで、ダイヤフラムが動き易くなり、これにより、副液室を大きく拡縮させ、副液室と主液室とを連通する制限通路を行き来する流体の移動量を大きくして、高い減衰特性を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−074923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の防振装置は、切替弁が、空気室と大気とを連通する空気の通過経路の途中に設けられていたので、大気側から切替弁に異物や水分が侵入する場合が考えられる。切替弁に対して異物や水分の侵入を抑制するには、例えば、空気の通過経路の端部を大気に連通させる代わりに、大気と連通しない密閉された別の空気室に連通させることが考えられる。
【0008】
しかしながら、副液室とはダイヤフラムを介して隣接する空気室に対して、別の空気室を接続した場合、別の空気室は、大気と異なり、防振装置をエンジンルームの限られたスペースに配置する関係で容積が制限されてしまう。このため、限られた容積の空気室は、副液室とはダイヤフラムを介して隣接する空気室が拡縮する際の抵抗となってしまう。ダイヤフラムを介して隣接する空気室が拡縮する際に抵抗があると、制限通路に流れる流体の移動量が減少し、減衰特性の低下を招く虞がある。
【0009】
本発明は、減衰特性の低下を抑制可能な防振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の防振装置は、振動発生部及び振動受部の一方に連結される筒体と、振動発生部及び振動受部の他方に連結される支持体と、前記支持体を前記筒体に相対移動可能に取付ける弾性体と、前記弾性体と前記筒体内に設けられた通路形成部材との間に形成され、液体が収容された主液室と、前記通路形成部材と前記筒体内を仕切るダイヤフラムとを隔壁の一部とし、前記通路形成部材に形成された制限通路を介して前記主液室との間で液体が流通する副液室と、前記ダイヤフラムを介して前記副液室と反対側に設けられた第1気体室と、前記第1気体室とは仕切部材を介して隔離されると共に密閉された第2気体室と、前記第2気体室の内部に配置され、前記第1気体室と前記第2気体室とを電気制御により連通状態又は非連通状態に切り替える切替部と、前記第2気体室の隔壁の一部を構成し前記仕切部材よりも曲げ剛性の低い弾性体から構成されて前記第2気体室の圧力変動によって弾性変形する弾性壁面部とを有する。
【0011】
請求項1に記載の防振装置では、振動発生部及び振動受部の何れか一方に第1の連結部を連結し、第2の連結部を振動発生部及び振動受部の何れか他方に連結して用いる。そして、防振装置に振動発生部から振動が入力すると、この振動は弾性体の内部摩擦に基く抵抗により吸収される他、弾性体が変形して主液室が拡縮し、制限通路を通して液体が主液室と副液室との間で相互に流通し、制限通路を流れる流体の通過抵抗、または液柱共振により吸収される。
【0012】
また、請求項1に記載の防振装置では、以下のように第1気体室と第2気体室とを非連通状態にすると、防振装置の静バネ定数を高くすることができ、第1気体室と第2気体室とを連通状態にすると、防振装置の静バネ定数を低くすることができる。
【0013】
第1気体室と第2気体室とを非連通状態とした防振装置で荷重を支持すると、弾性体が変形して主液室内の圧力が上昇する。主液室の圧力は、制限通路を介して副液室に伝達されるので、副液室の圧力も上昇する。第1気体室は、ダイヤフラムを介して副液室に面しているので、副液室の圧力が上昇すると、ダイヤフラムが第1気体室側に変形し、第1気体室の気体が圧縮されて第1気体室の圧力が上昇する。即ち、第1気体室及びダイヤフラムは、空気バネとして機能するので、第1気体室と第2気体室とを非連通状態とした防振装置では、弾性体のバネ成分と第1気体室の空気バネのバネ成分とが直列となったバネ成分により、荷重が支持される。
【0014】
一方、第1気体室と第2気体室とを連通状態とした防振装置で荷重を支持すると、弾性体が変形して主液室内の圧力が上昇する。主液室の圧力は、制限通路を介して副液室に伝達されるので、副液室の圧力も上昇する。第1気体室は副液室にダイヤフラムを介して面しているので、副液室の圧力が上昇すると、ダイヤフラムが第1気体室側に変形し、第1気体室の気体が圧縮されて第1気体室の圧力が上昇する。また、第1気体室と第2気体室とが連通状態とされていると、第1気体室の圧力が第2気体室に伝達され、第2気体室の圧力が上昇する。即ち、第1気体室と第2気体室とが連通すると、第1気体室と第2気体室とを非連通状態とした場合に比較して、容量の大きな気室がダイヤフラムに面することになり、空気バネのバネ定数が低くなる。
したがって、第1気体室と第2気体室とを連通状態とした防振装置では、第1気体室と第2気体室とを非連通状態とした場合に比較して、防振装置の静バネ定数が低下する。
【0015】
このように、この防振装置では、切替部を操作して第1気体室と第2気体室とを連通状態又は非連通状態に切り替えることで静バネ定数を容易に変更することができ、第1気体室と第2気体室とを連通状態とすれば防振装置の静バネ定数を低くすることができ、第1気体室と第2気体室とを非連通状態とすれば防振装置の静バネ定数を高くすることができる。
【0016】
さらに、請求項1に記載の防振装置では、第1気体室と第2気体室を連通状態とした状態において、副液室の液圧の変化によってダイヤフラムが変形して第1気体室及び第2気体室の圧力が変化すると、弾性壁部が弾性変形し、第1気体室及び第2気体室を大気に連通させた場合と同様に、副液室の液圧の変化でダイヤフラムを容易に変形させることができる。これにより、制限通路で十分な量の流体を行き来させることができ、防振装置の減衰特性の低下を抑制することができる。
【0017】
請求項1の防振装置では、第2気体室が仕切部材よりも曲げ剛性の低い弾性壁部を隔壁の一部として密閉されており、この密閉された第2気体室の内部に切替部が配置されているので、切替部に対して外部から異物や水分が侵入することが抑制できる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防振装置において、前記弾性壁面部の内、前記切替部と対向する壁面部分は、その他壁面部分と比較して変形変位が小さく設定されている。
【0019】
請求項2に記載の防振装置では、第2気体室の圧力変動によって弾性壁面部が弾性変形するが、弾性壁面部のうち切替部と対向する壁面部分は、その他壁面部分と比較して変形変位が小さく設定されている。このため、切替部と対向する壁面部分が切替部に接触することを抑制できる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の防振装置において、前記壁面部分に、前記切替部に接続されるリード線を通して前記第2気体室の外部に取り出すリード線挿通孔が形成されている。
【0021】
請求項3に記載の防振装置では、弾性壁面部において、リード線を通すリード線挿通孔の形成されている部分は、その他壁面部分と比較して変形変位が小さく設定されているため、振動時にリード線挿通孔が変形し難く、リード線とリード線挿通孔との間に隙間を生じ難くすることができ、リード線とリード線挿通孔との間のシール性を確保することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の防振装置において、前記壁面部分には、前記壁面部分よりも厚く形成され前記リード線挿通孔が形成されたグロメット部が一体的に形成されている。
【0023】
請求項4に記載の防振装置では、リード線挿通孔が形成されたグロメット部が、壁面部分の他の部分よりも厚く形成され、リード線挿通孔の長さが長くなるので、リード線挿通孔とリード線との接触部分が長くなり、シール性を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の防振装置は上記構成としたので、減衰特性の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る防振装置を示す縦断面図である。
図2】本実施形態に係る防振装置を示す縦断面図である。
図3】防振装置を示す側面図である。
図4】カバーを示す斜視図である。
図5】仕切部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1乃至図5にしたがって、本発明の一実施形態に係る防振装置10を説明する。
(筒体)
図1、及び図2に示すように、防振装置10は、振動受部の一例としての車体側に連結される金属製の筒体12を備えている。筒体12は、上方側の端部の開口部の開口縁部が径方向外側へ湾曲し、湾曲部12Aが全周に渡って形成されている。
【0027】
(弾性体)
筒体12の湾曲部12Aには、ゴム製の弾性体14が固着されており、当該筒体12は、この弾性体14により上方側の開口部が閉鎖されている。弾性体14は、略円柱状に形成された本体部14Aを備えており、この本体部14Aには、筒体12の湾曲部12Aへ向けて延出する脚部14Bが一体形成されている。脚部14Bの端面は筒体12の湾曲部12Aの内周面に加硫接着されている。
【0028】
この脚部14Bは、筒体12側へ向かうに従って外周方向へ向けて傾斜しており、弾性体14の内側には、すり鉢状の空間が形成されている。また、この脚部14Bは、筒体12の内周面、及び外周面に沿って薄肉状に延びている。
【0029】
筒体12は、車体に連結するブラケット24の孔26に挿入されている。図3に示すように、ブラケット24には、車体に連結する際に用いるボルト28、及び筒状のインサートメタル30が設けられている。
【0030】
(支持体)
図1、及び図2に示すように、この弾性体14の本体部14Aには、筒体12とは反対側にエンジン側に連結される支持体16が設けられている。この支持体16は、本体部14Aの端部に加硫接着される金属製のプレート16Aと、このプレート16Aに接合された金属製のストッパブラケット16Bと含んで構成されている。ストッパブラケット16Bには、プレート16Aの径方向外側に延出されるストッパ部18が一体的に形成されている。ストッパ部18は、支持体16の過大変位時に、ブラケット24の一部に当接して、支持体16の変位を抑制する。
【0031】
ストッパブラケット16Bの上面には、ボルト20、及び位置決め用のピン22が設けられており、このボルト20が振動発生部の一例であるエンジンとの固定に用いられる。これにより、エンジンから振動が入力すると、弾性体14が弾性変形し、支持体16と筒体12とが相対移動する。
【0032】
(筒体の内部構成)
筒体12の内部には、弾性体14の支持体16側とは反対側に、メンブレンプレート38、通路形成部材としてのオリフィス形成部材32、及び仕切部材36が順に設けられている。
【0033】
メンブレンプレート38は、環状に形成された金属製の環状プレート38Aと、環状プレート38Aの中央の穴を閉塞するように環状プレート38Aに加硫接着された円板状のゴム等の弾性体で形成されたメンブレン38Bと、を含んで構成されている。
メンブレンプレート38と弾性体14との間には、エチレングリコール等の液体が充填された主液室33が形成されている。
【0034】
オリフィス形成部材32には、メンブレンプレート38側に第1凹部40が形成されており、第1凹部40と反対側に第2凹部42が形成されている。なお、オリフィス形成部材32の中央側には、第1凹部40と第2凹部42とを連通する孔44が形成されている。
【0035】
第2凹部42の下方側には、ゴム等の弾性体で形成されたダイヤフラム46が配置されている。なお、ダイヤフラム46の外周部分には、環状に形成された金属製のダイヤフラムリング48が加硫接着されている。ダイヤフラム46は、オリフィス形成部材32と仕切部材36とで外周部分が挟持されている。
【0036】
ここで、オリフィス形成部材32の内部には、メンブレンプレート38とダイヤフラム46との間に、副液室50が形成されている。副液室50は、メンブレンプレート38を挟んで主液室33と隣接している。また、メンブレン38Bの曲げ剛性は、ダイヤフラム46の曲げ剛性よりも高く設定されている。
【0037】
オリフィス形成部材32の外周部分には、オリフィス形成部材32の周方向に沿って延び、軸方向から見て略C字形状の溝52が形成されている。このオリフィス形成部材32の溝52は、筒体12とメンブレンプレート38とで囲まれており、制限通路としてのオリフィス通路54を形成している。
【0038】
図2に示すように、オリフィス通路54の一端は、オリフィス形成部材32に形成された孔56を介して副液室50と連通しており、オリフィス通路54の他端は、メンブレンプレート38の環状プレート38Aに形成された孔58を介して主液室33と連通している。したがって、主液室33と副液室50とは、孔58、オリフィス通路54、及び孔56を介して連通している。
【0039】
(第1空気室)
仕切部材36には、ダイヤフラム46側に凹部60が形成されており、この凹部60は、ダイヤフラム46で閉塞されて第1気体室としての第1空気室62を形成している。第1空気室62と副液室50とは、ダイヤフラム46を挟んで隣接している。
【0040】
(カバー)
仕切部材36の下側には、仕切部材36の下面側を覆うように仕切部材36側とは反対側、言い換えれば下方に向けて凸となる略ドーム状に形成された加硫ゴム、エラストマー等の弾性体から形成された図4に示す弾性壁面部としてのカバー64が配置されている。カバー64の外周部分は環状に形成され、仕切部材36に形成された環状溝66に挿入されている。
【0041】
仕切部材36と筒体12との間には、筒状のカバー固定部材68が挿入されている。カバー固定部材68は、筒体12の端部が内周側に曲げられることでカシメ固定されている。また、カバー固定部材68は、端部が内周側に曲げられることで、カバー64を仕切部材36に押し付けて固定している。
【0042】
仕切部材36とカバー64とで囲まれた空間は、大気と隔離された密閉された第2気体室としての第2空気室70とされている。本実施形態の第2空気室70は、第1空気室62よりも容積が大きく設定されている。
【0043】
図1、及び図5に示すように、仕切部材36には、第2空気室70側に、切替部としてのソレノイドバルブ72がソレノイドバルブブラケット73を介して取り付けられている。なお、ソレノイドバルブ72は、仕切部材36の中心よりも径方向外側に変位した位置に配置されている。
【0044】
図2、及び図5に示すように、ソレノイドバルブ72は、第1空気室62と連通する第1ポート74と、第2空気室70と連通する第2ポート76とを備えている。ソレノイドバルブ72は、通電時は、第1ポート74と第2ポート76とを非連通状態とし、非通電時には、第1ポート74と第2ポート76とを連通させる。即ち、ソレノイドバルブ72は、通電時は、第1空気室62と第2空気室70との間で空気の出入りを阻止(非連通状態)し、非通電時は、第1空気室62と第2空気室70との間で空気を出入り可能(連通状態)とする。
【0045】
カバー64は、ソレノイドバルブ72と対向する略半分の部分64A(本発明の切替部と対向する壁面部分)が、残りの略半分の部分64B(本発明のその他壁面部分)と比較して凸形状とされることで相対的に曲げ剛性が高く設定されている。言い換えれば、ソレノイドバルブ72と対向する略半分の凸形状とされた部分64Aに比較して、残りの略半分の部分64Bは比較的平坦な形状とされ、相対的に曲げ剛性が低く設定されている。このため、第2空気室70の内圧が変動した際に、部分64Bは変形及び変位し易いが、ソレノイドバルブ72と対向する部分64Aは、相対的に部分64Bに対して変形及び変位
が抑えられる。
【0046】
また、ソレノイドバルブ72とカバー64との間には、第2空気室70の内圧が変動してカバー64が変形した際に、カバー64がソレノイドバルブ72、及びソレノイドバルブブラケット73と接触しないように必要最小限の隙間が設けられている。
【0047】
カバー64には、ソレノイドバルブ72と対向する曲げ剛性の高い略半分の部分64Aに、円柱状のグロメット部77が一体的に形成されている。グロメット部77には、ソレノイドバルブ72のリード線72Aを挿通する一対のリード線挿通孔としての細孔78が形成されている。グロメット部77では、細孔78の内周面をグロメット部77の弾性でリード線72Aの外周面に密着させている。
【0048】
(作用)
次に、本実施形態の防振装置10の作用を説明する。
一例として、防振装置10のブラケット24を車体に連結し、防振装置10の支持体16をエンジンに連結してエンジンの荷重を防振装置10で支持すると、弾性体14が変形して主液室33の液圧が上昇する。すると、主液室33の液圧がオリフィス通路54を介して副液室50に伝達され、副液室50の液圧が上昇するとともに、副液室50の液圧変化に応じてダイヤフラム46が第1空気室62側へ膨出するように変形する。
【0049】
ここで、第1空気室62と第2空気室70とを非連通状態としたときの状態について説明する。ダイヤフラム46を介して副液室50と隣接する第1空気室62は、空気バネとして作用するので、防振装置10の静バネ定数としては、弾性体14のバネ成分と、第1空気室62の空気バネのバネ成分とを直列に接続した際のバネ定数となる。
【0050】
次に、第1空気室62と第2空気室70とを連通状態としたときの状態について説明する。ここでは、第1空気室62と第2空気室70とが直列に接続されたものが空気バネとして作用する。これにより、防振装置10の静バネ定数としては、弾性体14のバネ成分と、第1空気室62の空気バネのバネ成分と、第2空気室70の空気バネのバネ成分とを直列に接続した際のバネ定数となる。第1空気室62と第2空気室70とで構成された空気バネのバネ定数は、第1空気室62のみで構成された空気バネに比較して空気の容量が大きくなるので、防振装置10の静バネ定数は低くなる。
【0051】
このように、本実施形態の防振装置10では、ソレノイドバルブ72によって第1空気室62と第2空気室70とを連通状態と非連通状態とに切り替えることで、容易に静バネ定数を変更することができる。
【0052】
次に、この防振装置10にエンジンの振動が入力すると、振動は、弾性体14の内部摩擦に基く抵抗により吸収される他、弾性体14が変形して主液室33が拡縮し、主液室33の流体と副液室50の流体とがオリフィス通路54を行き来することで、オリフィス通路54を流れる液体の通過抵抗、または液柱共振により吸収される。
【0053】
振動の周波数が上昇して、オリフィス通路54が目詰まり状態になると、主液室33の圧力変動によってメンブレン38Bが変形して主液室33の圧力上昇が抑えられる。これにより、防振装置10の動バネ定数の上昇が抑えられ、振動の周波数が上昇しても振動の伝達を低減することができる。
【0054】
ところで、主液室33と副液室50との間で流体が行き来すると副液室50の圧力変動によってダイヤフラム46が変形する。そして、第1空気室62と第2空気室70とが連通状態となっている場合には、第1空気室62の空気と第2空気室の空気とがソレノイドバルブ72を介して行き来するので、第2空気室70の内圧が変動する。
【0055】
本実施形態の防振装置10では、第2空気室70の隔壁の一部を、弾性体で形成されたカバー64で構成しており、比較的平坦形状の部分64Bの曲げ剛性を、ソレノイドバルブ72と対向する部分64Aよりも低くしているので、第2空気室70に圧力変動が生じた場合、比較的平坦形状の部分64Bを容易に弾性変形させることができる。
【0056】
本実施形態のように、カバー64を弾性材料で形成して容易に弾性変形する構造にすると、第2空気室70の圧力変動でカバー64を容易に変形させることができ、これにより、第2空気室の容積を容易に変動させることができるので、第2空気室70の圧力上昇を抑えることができる。これにより、第2空気室70の容積を拡大することなく、即ち、カバー64を大型化することなく、第2空気室70の圧力上昇を抑えることができ、主液室33と副液室50とを繋ぐオリフィス通路54で十分に流体を行き来させることができ、高い防振特性を得ることができる。本実施形態の防振装置10によれば、カバー64を大型化させないので、防振装置10のサイズを小型化することが可能となる。
【0057】
さらに、本実施形態の防振装置10では、第2空気室70は密閉されて大気に連通しておらず、この密閉された第2空気室70の内部にソレノイドバルブ72が配置されているので、防振装置10の外部からの水分や異物がソレノイドバルブ72に進入することが抑制され、ソレノイドバルブ72の耐久性を向上させることができる。
【0058】
また、振動入力時、第2空気室70に圧力変動が生じることで、カバー64が弾性変形するが、カバー64は、ソレノイドバルブ72に対向する部分64Aの曲げ剛性が、ソレノイドバルブ72に対向しないその他の部分64Bの曲げ剛性よりも高く設定されており、変形及び変位が抑えられているので、ソレノイドバルブ72に対向する部分64Aをソレノイドバルブ72に接近させつつ、カバー64が変形及び変位した際にカバー64がソレノイドバルブ72に接触することを抑制することができる。これにより、カバー64をソレノイドバルブ72に接触させないために、ソレノイドバルブ72とカバー64との間に、余裕をもった大きな隙間を設ける必要がなくなり、カバー64を大型化せずに済む。
【0059】
さらに、カバー64には、ソレノイドバルブ72に対向する剛性が高く、変形及び変位の抑制された部分64Aに、リード線72Aを挿通する細孔78の形成されたグロメット部77が一体的に形成されているので、カバー64に対して、カバー64と別体とされたゴム等で形成されたグロメットを取り付ける必要がなく、別体のグロメットを用いた場合に比較して部品点数を低減することができる。また、細孔78の変形が抑えられるので、リード線72Aと細孔78との間に隙間を生じ難くすることができ、リード線72Aと細孔78との間のシール性を確保することができる。
【0060】
また、円柱状のグロメット部77の細孔78の内周面を、グロメット部77の弾性でリード線72Aの外周面に密着させることで、細孔78とリード線72Aとの間の隙間を塞ぐシール剤とを必要とせずに、細孔78とリード線72Aとの間のシール性を確保することができる。グロメット部77の弾性でリード線72Aの外周面に密着させるには、細孔78の径は、リード線72Aの径以下に設定することが好ましい。
【0061】
以上、本発明の防振装置の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
10…防振装置、12…筒体、14…弾性体、16…支持体、32…オリフィス形成部材(通路形成部材)、33…主液室、34…通路形成部材、36…仕切部材、46…ダイヤフラム、50…副液室、54…オリフィス通路(制限通路)、62…第1空気室(第1気体室)、64…カバー(弾性壁面部)、64A…略半分の部分(切替部と対向する壁面部分、剛性が高く設定された壁面部分)、64B…残りの略半分の部分(その他壁面部分)、70…第2空気室(第2気体室)、72…ソレノイドバルブ(切替部)、72A…リード線、77…グロメット部、78…細孔(リード線挿通孔)
図1
図2
図3
図4
図5