特開2019-219108(P2019-219108A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-219108炉内状況判定方法及び蒸発量制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-219108(P2019-219108A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】炉内状況判定方法及び蒸発量制御方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   F23G5/50 L
   F23G5/50 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-116863(P2018-116863)
(22)【出願日】2018年6月20日
(11)【特許番号】特許第6543390号(P6543390)
(45)【特許公報発行日】2019年7月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】下川 達之
【テーマコード(参考)】
3K062
【Fターム(参考)】
3K062AA02
3K062AB01
3K062AC01
3K062BA02
3K062CA01
3K062CA08
3K062CB03
3K062DA01
3K062DA05
3K062DA16
3K062DA23
3K062DA25
3K062DA40
3K062DB06
3K062DB08
3K062DB09
3K062DB14
(57)【要約】
【課題】燃焼室で現在発生している熱量の正確な指標を取得する方法を提供する。
【解決手段】炉内状況判定方法は、映像取得工程と、3次元映像作成工程と、火炎断面積算出工程と、火炎流速算出工程と、を含む。映像取得工程では、視点が異なる複数の撮像装置96を用いて、一次燃焼ゾーン10から二次燃焼ゾーン14へ到達した火炎の映像をそれぞれ取得する。3次元映像作成工程では、映像取得工程で取得された異なる視点からの複数の映像に画像合成処理を行うことで、二次燃焼ゾーン14の火炎を含む3次元映像を作成する。火炎断面積算出工程では、3次元映像を解析することで、燃焼ガスの流路と交差する所定の仮想平面で切った二次燃焼ゾーン14の火炎断面積の時間変化を算出する。火炎流速算出工程では、3次元映像を解析することで、燃焼ガスの流路に沿う方向の火炎流速の時間変化を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次燃焼用気体を用いて一次燃焼を行うための一次燃焼ゾーン、及び、一次燃焼で発生した未燃焼ガスを含む一次燃焼ガスを二次燃焼用気体を用いて燃焼させる二次燃焼を行うための二次燃焼ゾーンを有する燃焼室を備える廃棄物焼却設備に対して、
視点が異なる複数の撮像装置を用いて、前記一次燃焼ゾーンから前記二次燃焼ゾーンへ到達した火炎の映像をそれぞれ取得する映像取得工程と、
前記映像取得工程で取得された異なる視点からの複数の映像に画像合成処理を行うことで、前記二次燃焼ゾーンの火炎を含む3次元映像を作成する3次元映像作成工程と、
前記3次元映像を解析することで、一次燃焼又は二次燃焼で発生した燃焼ガスの流路と交差する所定の仮想平面で切った前記二次燃焼ゾーンの火炎断面積の時間変化を算出する火炎断面積算出工程と、
前記3次元映像を解析することで、一次燃焼又は二次燃焼で発生した燃焼ガスの流路に沿う方向の火炎流速の時間変化を算出する火炎流速算出工程と、
を含む処理を行うことを特徴とする炉内状況判定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の炉内状況判定方法であって、
前記二次燃焼ゾーンの温度である二次燃焼温度の時間変化を検出する二次燃焼温度検出工程と、
火炎断面積、火炎流速、及び二次燃焼温度のそれぞれの時間変化に基づいて、定常値に対する瞬時値の大きさである相対変化量を算出する処理をそれぞれ行う解析工程と、
を含むことを特徴とする炉内状況判定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の炉内状況判定方法であって、
前記燃焼室から排出された排ガスからの熱量回収に伴うボイラ蒸発量を取得するボイラ蒸発量取得工程を含み、
前記解析工程では、更に、
火炎断面積、火炎流速、及び二次燃焼温度のそれぞれについて、前記相対変化量と、時間遅れ後のボイラ蒸発量の変化量と、の関係を示す相関関係情報を算出し、
火炎断面積、火炎流速、及び二次燃焼温度のそれぞれについて、算出又は検出された瞬時値と前記相関関係情報とに基づいてボイラ蒸発量の予測変化量を算出することを特徴とする炉内状況判定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の炉内状況判定方法を用いてボイラ蒸発量を制御する蒸発量制御方法であって、
前記解析工程で算出されたボイラ蒸発量の予測変化量と、前記ボイラ蒸発量取得工程で取得されたボイラ蒸発量と、に基づいて、前記一次燃焼用気体及び前記二次燃焼用気体の少なくとも一方の供給条件を調整する制御工程を含むことを特徴とする蒸発量制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、燃焼室で現在発生している熱量の指標を取得する炉内状況判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一次燃焼と、一次燃焼で発生した未燃焼ガスを含む一次燃焼ガスを燃焼させる二次燃焼と、を行う燃焼室を備える廃棄物焼却設備が知られている。特許文献1から4には、様々なデータに基づいて、炉内の状況、特に燃焼室で発生する熱量の指標を取得することが記載されている。
【0003】
特許文献1には、廃棄物の燃焼により発生した熱を用いて蒸気を発生させるボイラを備える設備において、時系列で取得したボイラ蒸発量に基づいてボイラ蒸発量の変化を予測することが開示されている。なお、燃焼室で発生した熱量が多くなるほどボイラ蒸発量は多くなる。
【0004】
特許文献2には、廃棄物を燃焼することで発生する排ガスの成分濃度から、廃棄物の発熱量を求め、廃棄物の発熱量に基づいてボイラ蒸発量を推定することが開示されている。
【0005】
特許文献3には、燃焼室内の火炎の映像を1つのカメラで撮像し、この撮像された火炎の映像に基づいて、火炎の明るさ、色彩、及び火炎形状等を数値化することが開示されている。なお、燃焼室で発生する火炎は、燃焼室で発生する熱量と関係がある。
【0006】
特許文献4には、燃焼室内の火炎の映像を1つのカメラで撮像し、この撮像された火炎の映像に基づいて、火炎の高さ及び所定範囲における火炎の面積を計算することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−289401号公報
【特許文献2】特開2017−96517号公報
【特許文献3】特開2016−186382号公報
【特許文献4】特開平7−158835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1で用いるボイラ蒸発量は、燃焼室で発生する熱量と比較的高い相関性がある一方で、燃焼室で発生した熱量がボイラの蒸発に寄与するまでには時間が掛かるため、ボイラ蒸発量は、燃焼室で現在発生している熱量ではなく、それより前に発生していた熱量と相関性がある。そのため、燃焼室で現在発生している熱量の指標としてボイラ蒸発量を用いることは適切でない場合がある。
【0009】
また、特許文献2の方法では、投入された廃棄物の性状が変化して、排ガスの成分濃度と熱量の関係が変化した場合において、燃焼室で現在発生している熱量の指標を適切に求めることができない。
【0010】
また、特許文献3及び4の方法では、火炎の形状を適切に取得できないため、燃焼室で現在発生している熱量の指標を適切に求めることができない可能性がある。具体的には、この方法では、映像の奥行方向において、局所的に火炎が高くなっている状態と、奥行方向の全体にわたって火炎が高くなっている状態と、を区別することができない。
【0011】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、燃焼室で現在発生している熱量の正確な指標を取得する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0013】
以上に説明したように、本発明の観点によれば、以下の炉内状況判定方法が提供される。即ち、この炉内状況判定方法は、一次燃焼用気体を用いて一次燃焼を行うための一次燃焼ゾーン、及び、一次燃焼で発生した未燃焼ガスを含む一次燃焼ガスを二次燃焼用気体を用いて燃焼させる二次燃焼を行うための二次燃焼ゾーンを有する燃焼室を備える廃棄物焼却設備に対して行われる。この炉内状況判定方法では、映像取得工程と、3次元映像作成工程と、火炎断面積算出工程と、火炎流速算出工程と、を含む処理を行う。前記映像取得工程では、視点が異なる複数の撮像装置を用いて、前記一次燃焼ゾーンから前記二次燃焼ゾーンへ到達した火炎の映像をそれぞれ取得する。前記3次元映像作成工程では、前記映像取得工程で取得された異なる視点からの複数の映像に画像合成処理を行うことで、前記二次燃焼ゾーンの火炎を含む3次元映像を作成する。前記火炎断面積算出工程では、前記3次元映像を解析することで、一次燃焼又は二次燃焼で発生した燃焼ガスの流路と交差する所定の仮想平面で切った前記二次燃焼ゾーンの火炎断面積の時間変化を算出する。前記火炎流速算出工程では、前記3次元映像を解析することで、一次燃焼又は二次燃焼で発生した燃焼ガスの流路に沿う方向の火炎流速の時間変化を算出する。
【0014】
これにより、二次燃焼ゾーンの火炎断面積及び火炎流速を用いることで、燃焼室で現在発生している熱量の正確な指標を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃焼室で現在発生している熱量の正確な指標を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の方法を行う対象の廃棄物焼却設備の概略構成図。
図2】焼却炉の機能ブロック図。
図3】撮像装置の取付位置及び仮想平面を示す焼却炉の立体模式図。
図4】ボイラ蒸発量を安定させるために制御装置が行う制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<廃棄物焼却設備の全体構成>初めに、図1を参照して、本実施形態の廃棄物焼却設備100について説明する。図1は、本発明の一実施形態の廃棄物焼却設備100の概略構成図である。なお、以下の説明では、単に上流、下流と記載したときは、廃棄物、燃焼ガス、燃焼用気体、排ガス等が流れる方向の上流及び下流を意味するものとする。
【0018】
図1に示すように、廃棄物焼却設備100は、焼却炉(廃棄物焼却炉)1と、ボイラ30と、蒸気タービン発電設備35と、を備える。焼却炉1は、供給された廃棄物を焼却する。なお、焼却炉1の詳細な構成は後述する。
【0019】
ボイラ30は、廃棄物の燃焼によって発生した熱を利用して蒸気を生成する。ボイラ30は、流路壁に設けられた多数の水管31及び過熱器管32で、炉内で発生した高温の燃焼ガスと水との熱交換を行うことにより蒸気(過熱蒸気)を生成する。水管31及び過熱器管32で生成された蒸気は、蒸気タービン発電設備35へ供給される。
【0020】
蒸気タービン発電設備35は、図略のタービン及び発電装置を含んで構成されている。タービンは、水管31及び過熱器管32から供給された蒸気によって回転駆動される。発電装置は、タービンの回転駆動力を用いて発電を行う。
【0021】
<焼却炉の構成>焼却炉1は、廃棄物を炉内に供給するための給じん装置40を備える。給じん装置40は、廃棄物投入ホッパ41と、給じん装置本体42と、を備える。廃棄物投入ホッパ41は、炉外から廃棄物が投入される部分である。給じん装置本体42は、廃棄物投入ホッパ41の底部分に位置し、水平方向に移動可能に構成されている。給じん装置本体42は、廃棄物投入ホッパ41に投入された廃棄物を下流側に供給する。この給じん装置本体42の移動速度、単位時間あたりの移動回数、移動量(ストローク)、及びストローク端の位置(移動範囲)は、図2に示す制御装置90によって制御されている。なお、給じん装置は水平方向に対し多少の角度をもって移動する型式でもよい。
【0022】
給じん装置40によって炉内に供給された廃棄物は、燃焼室2に供給される。燃焼室2は、一次燃焼ゾーン10と、二次燃焼ゾーン14と、を含んでいる。一次燃焼ゾーン10は、一次燃焼のための空間である。一次燃焼とは、投入された廃棄物を一次燃焼用気体(gas for primary combustion)と反応させて燃焼させることである。一次燃焼用気体とは、一次燃焼のために供給される酸素を含んだ気体である。一次燃焼用気体としては、一次空気、循環排ガス、それらの混合ガスが含まれる。一次空気とは、外部から取り込んだ空気であって、燃焼等に用いられていない(即ち、循環排ガスを除く)気体である。従って、一次空気には、外部から取り込んだ空気を加熱等した気体も含まれる。また、一次燃焼により、CO等の未燃焼ガスを含む一次燃焼ガス(flue gas after primary combustion)が発生する。
【0023】
一次燃焼ゾーン10は、乾燥部11と、燃焼部12と、後燃焼部13と、から構成されている。廃棄物は、搬送部20によって、乾燥部11、燃焼部12、及び後燃焼部13の順に供給されていく。搬送部20は、乾燥部11に設けられた乾燥火格子21と、燃焼部12に設けられた燃焼火格子22と、後燃焼部13に設けられた後燃焼火格子23と、で構成されている。従って、搬送部20は複数段の火格子から構成されている。それぞれの火格子は、各部の底面に設けられており、廃棄物が載置される。火格子は、廃棄物搬送方向に並べて配置された可動火格子と固定火格子とから構成されており、可動火格子が間欠的に前進及び後進を行うことで、廃棄物を下流側へ搬送するとともに、廃棄物を攪拌することができる。なお、火格子の動作は、制御装置90によって制御されている。また、火格子には、気体が通過可能な大きさの隙間が形成されている。
【0024】
乾燥部11は、焼却炉1に供給された廃棄物を乾燥させる部分である。乾燥部11の廃棄物は、乾燥火格子21の下から供給される一次空気及び隣接する燃焼部12における燃焼の輻射熱によって乾燥する。その際、熱分解によって乾燥部11の廃棄物から熱分解ガスが発生する。また、乾燥部11の廃棄物は、乾燥火格子21によって燃焼部12に向かって搬送される。
【0025】
燃焼部12は、乾燥部11で乾燥した廃棄物を主に燃焼させる部分である。燃焼部12では、廃棄物が主に火炎燃焼を起こし火炎が発生する。燃焼部12における廃棄物及び燃焼により発生した灰及び燃焼しきれなかった未燃物は、燃焼火格子22によって後燃焼部13に向かって搬送される。また、燃焼部12で発生した一次燃焼ガス及び火炎は、絞り部17を通過して後燃焼部13に向かって流れる。なお、燃焼火格子22は、乾燥火格子21と同じ高さに設けられているが、乾燥火格子21よりも低い位置に設けられていてもよい。
【0026】
後燃焼部13は、燃焼部12で燃焼しきれなかった廃棄物(未燃物)を燃焼させる部分である。後燃焼部13では、一次燃焼ガスの輻射熱と一次空気によって、燃焼部12で燃焼しきれなかった未燃物の燃焼が促進される。その結果、未燃物の殆どが灰となって、未燃物は減少する。なお、後燃焼部13で発生した灰は、後燃焼部13の底面に設けられた後燃焼火格子23によってシュート24に向かって搬送される。シュート24に搬送された灰は、廃棄物焼却設備100の外部に排出される。なお、本実施形態の後燃焼火格子23は、燃焼火格子22よりも低い位置に設けられているが、燃焼火格子22と同じ高さに設けられていてもよい。
【0027】
上述したように、乾燥部11、燃焼部12、及び後燃焼部13では、生じる反応が異なるため、それぞれの壁面等は、生じる反応に応じた構成となっている。例えば、燃焼部12では火炎燃焼が生じるため、乾燥部11よりも耐火レベルが高い構造が採用されている。
【0028】
以上で説明したように、本実施形態の焼却炉1の一次燃焼ゾーン10では、投入された廃棄物に対して、乾燥、燃焼、及び後燃焼が行われる。本実施形態の焼却炉1では、各構成段が明確に分かれているため、上記の3つの処理が段階的に行われる。なお、本発明は、様々な構成の焼却炉に適用可能である。例えば、本発明は、各構成段が明確に区分されていない焼却炉にも適用可能である。また、本発明は、乾燥段及び後燃焼段の少なくとも一方が存在しない焼却炉にも適用可能である。また、本発明は、火格子を備えない焼却炉、例えば、流動床式焼却炉又は固定床式焼却炉等にも適用可能である。
【0029】
二次燃焼ゾーン14は、二次燃焼のための空間である。二次燃焼とは、一次燃焼ガスに含まれる未燃焼ガスを二次燃焼用気体と反応させて燃焼させることである。二次燃焼用気体とは、二次燃焼のために供給される酸素を含んだ気体である。二次燃焼用気体としては、二次空気、循環排ガス、それらの混合ガスが含まれる。二次空気とは、外部から取り込んだ空気であって、燃焼等に用いられていない(即ち、循環排ガスを除く)気体である。二次燃焼を行うことにより、燃焼完結性を進めることができる。二次燃焼ゾーン14は、乾燥部11、燃焼部12、及び後燃焼部13から上方に向かって延び、その途中に二次空気が供給される。これにより、一次燃焼ガスは二次空気と混合及び撹拌され、一次燃焼ガスに含まれる未燃ガスが二次燃焼ゾーン14で燃焼される。
【0030】
<一次燃焼用気体と二次燃焼用気体の供給>気体供給装置50は、燃焼室2内に気体(一次燃焼用気体、二次燃焼用気体)を供給する装置である。本実施形態の気体供給装置50は、一次空気供給部51と、二次空気供給部52と、排ガス供給部53と、を有している。それぞれの供給部は、気体を誘引又は送出するための送風機によって構成されている。
【0031】
一次空気供給部51は、一次供給経路71を介して燃焼室2に一次空気を供給する。一次供給経路71は、乾燥火格子21の下方に設けられた乾燥段風箱25、燃焼火格子22の下方に設けられた燃焼段風箱26、及び後燃焼火格子23の下方に設けられた後燃焼段風箱27にそれぞれ一次空気を供給するための経路である。一次供給経路71には、乾燥段風箱25に供給する一次空気の供給量を調整する第1ダンパ81と、燃焼段風箱26に供給する一次空気の供給量を調整する第2ダンパ82と、後燃焼段風箱27に供給する一次空気の供給量を調整する第3ダンパ83と、がそれぞれ設けられている。図2に示すように、第1ダンパ81、第2ダンパ82、及び第3ダンパ83は制御装置90によって制御されている。
【0032】
また、一次供給経路71にヒータを設け、燃焼室2に供給する一次空気の温度を調整できるようにしてもよい。また、上述のように、一次燃焼用気体には、循環排ガス及び混合ガスも含まれるため、それらが燃焼室2に供給される構成であってもよい。また、本実施形態では、一次燃焼用気体は、一次燃焼ゾーン10に下方から供給されるが、一次燃焼ゾーン10の側方等から供給されてもよい。また、一次燃焼用気体は、一次燃焼に用いられるのであれば、一次燃焼ゾーン10よりも上流側に供給されてもよい。
【0033】
二次空気供給部52は、二次供給経路72を介して、二次空気を燃焼室2に供給する。具体的には、二次空気供給部52は、焼却炉1の空気ガス保有空間16にその上部(天井部)から二次空気を供給するとともに、絞り部17によって燃焼ガスが方向を転換する部分(絞り部17の近傍)に二次空気を供給することで、二次燃焼ゾーン14に二次空気を供給する。二次供給経路72には、空気ガス保有空間16及び絞り部17の近傍に供給する二次空気の供給量を調整する第5ダンパ85が設けられている。図2に示すように、第5ダンパ85は制御装置90によって制御されている。
【0034】
排ガス供給部53は、循環排ガス供給経路73を介して、廃棄物焼却設備100から排出された排ガスを炉内に供給する(再循環させる)。廃棄物焼却設備100から排出されて集じん器6で浄化された排ガスの一部が排ガス供給部53によって燃焼部12の両側面(紙面手前側及び紙面奥側の面)から焼却炉1へ供給される。なお、排ガスが供給される位置は、特に限定されない。例えば、排ガスは焼却炉1の上方(天井部)から供給されてもよく、一方の側面のみから供給されていてもよい。排ガスを焼却炉1に供給することで、焼却炉1内の酸素濃度が低下し、燃焼温度の局所的な過上昇を抑えることができる。その結果、NOxの発生を抑えることができる。また、循環排ガス供給経路73には、循環排ガスの供給量を調整する第4ダンパ84が設けられている。図2に示すように、第4ダンパ84は制御装置90によって制御されている。
【0035】
<各種センサ及び制御装置>焼却炉1には、図1及び図2に示すように、燃焼状態等を把握するための複数のセンサが設けられている。具体的には、焼却炉1には、一次燃焼温度センサ91と、二次燃焼温度センサ92と、COガス濃度センサ93と、NOxガス濃度センサ94と、ボイラ蒸気量センサ95と、撮像装置96と、が設けられている。
【0036】
一次燃焼温度センサ91は、例えば空気ガス保有空間16よりも下流かつ後燃焼部13よりも上流である一次燃焼ゾーン10に配置されており、一次燃焼ゾーン10の温度である一次燃焼温度を検出して制御装置90へ出力する。二次燃焼温度センサ92は、後燃焼部13よりも下流かつボイラ30よりも上流である二次燃焼ゾーン14に配置されており、二次燃焼ゾーン14の温度である二次燃焼温度を検出して制御装置90へ出力する。COガス濃度センサ93は、集じん器6の下流に配置されており、排ガスに含まれるCOガス濃度(焼却炉排出COガス濃度)を検出して制御装置90へ出力する。NOxガス濃度センサ94は、集じん器6の下流に配置されており、排ガスに含まれるNOxガス濃度(焼却炉排出NOxガス濃度)を検出して制御装置90へ出力する。ボイラ蒸気量センサ95は、ボイラ30から蒸気タービン発電設備35へ向かう経路に配置されている。ボイラ蒸気量センサ95は、この経路を通過する蒸気量、即ちボイラ30が発生させた蒸気量(ボイラ蒸発量)を検出して制御装置90へ出力する。
【0037】
本実施形態では、撮像装置96が2つ設けられている。それぞれの撮像装置96は同じ構造である。また、撮像装置96は、3つ以上設けられていてもよい。撮像装置96は、3次元映像を作成することを目的として、複数設けられている。そのため、複数の撮像装置96の相対位置は予め記憶されている。なお、撮像装置96は、静止画を適切なインターバルで連続して撮像することを主目的とする機器であってもよいし、映像(動画)を撮像することを主目的とする機器であってもよい。連続して取得された静止画により得られる画像情報は映像(動画)情報と同等であるため、何れの機器であっても、映像を取得するという機能を有していることとなる。
【0038】
また、撮像装置96は、温度等を検出するための赤外線カメラではなく、火炎の外観(色や輝度等)の映像を取得するためのカメラである。従って、撮像装置96が取得する映像は、撮像装置96の視点から見た炉内の火炎の色や輝度等を示す映像である。なお、視点とは、計測器である撮像装置96が配置されている位置を示す。それぞれの撮像装置96は、一次燃焼で発生した火炎であって、一次燃焼ゾーン10から二次燃焼ゾーン14に到達した火炎の映像を取得することを目的としている。そのため、撮像装置96は、撮像範囲の少なくとも一部に二次燃焼ゾーン14が含まれる位置に配置されている。具体的には、撮像装置96は、二次燃焼ゾーン14を構成する壁部に配置されている。ここで、図3に示すように、火格子上における廃棄物の搬送方向と上下方向(鉛直方向)の両方に垂直な方向を炉幅方向と称する。本実施形態の撮像装置96は、搬送方向の下流側の端部に設けられている奥壁14aに形成された窓部14bを介して、映像を取得する。なお、窓部14bとは、炉内を観察するための部分であり、具体的には、奥壁14aの一部を開口させ、透明(半透明を含む)な耐熱ガラス等で当該開口を塞いだ構成の部分である。また、奥壁14aに代えて、炉幅方向の端部である側壁14cに撮像装置96が設けられていてもよい。
【0039】
後述のように本実施形態では、火炎の3次元映像に基づいて火炎断面積を算出するが、火炎断面積の具体的な数値ではなく、その変化量を用いて制御を行うため、火炎を取り囲むように撮像装置96を配置する必要はない。そのため、本実施形態のように奥壁14aのみに撮像装置96が配置されていても本発明の目的を達成できる。しかし、奥壁14aに加えて、例えば側壁14cにも複数の撮像装置96を配置することで、より広い範囲の火炎の映像を作成することもできる。なお、2つの撮像装置96の上下方向の位置は同じであってもよいし、撮像範囲が大きく異ならなければ上下方向の位置が異なっていてもよい。
【0040】
<制御装置が行う処理>制御装置90は、CPU、RAM、ROM等によって構成されており、種々の演算を行うとともに、廃棄物焼却設備100全体を制御する。画像処理装置97も同様に、CPU、RAM、ROM等によって構成されており、2つの撮像装置96が取得した映像に基づいて3次元映像を作成する処理(画像合成処理)を行うことができる。本実施形態では、制御装置90と画像処理装置97は、個別のハードウェアであるが、1つのハードウェアが制御装置90と画像処理装置97の両方の機能を有していてもよい。以下、制御装置90が行う燃焼制御であって、特に3次元映像を解析して行う制御について、図4のフローチャートに沿って説明する。図4は、ボイラ蒸発量を安定させるために制御装置90が行う制御を示すフローチャートである。
【0041】
初めに、制御装置90は、複数(2つ)の撮像装置96が取得した映像に基づいて画像処理装置97が作成した3次元映像を記憶する(S101)。複数の映像(各画像)から3次元映像(時間的に連続する複数の3次元画像)を作成する処理は公知の技術なので簡単に説明する。ここでは、2つの撮像装置96を区別するために第1及び第2を付けて説明することがある。第1撮像装置が取得する映像には、第1撮像装置の位置から見た火炎の表面の色及び形状等が表れている。第2撮像装置が取得する映像についても同様である。そして、画像処理装置97は、火炎の表面の特定箇所Aが、2つの映像のそれぞれ何処に表示されるかを特定する。上述したように第1撮像装置と第2撮像装置の位置関係は既知なので、三角法等に基づいて、第1又は第2撮像装置から、火炎の特定箇所Aまでの距離を計算できる。この処理を火炎の表面の他の部分についても行うことで、火炎の表面の位置(3次元座標)を特定できる。
【0042】
次に、制御装置90は、ステップS101で記憶した3次元映像に基づいて、(1)火炎断面積の時間変化、(2)火炎流速の時間変化を算出する(S102)。
【0043】
火炎断面積とは、3次元映像の火炎を所定の仮想平面で切ったときの断面積である。一般的に二次燃焼ゾーン14の火炎が大きいほど、燃焼室2で発生している熱量が多くなる。従って、火炎断面積は、現在発生している熱量の指標となる。特に、3次元画像の火炎から得られる断面積は、従来の火炎の2次元画像とは異なり、撮像装置96から見た奥行方向の火炎の大きさを考慮した熱量の指標となる。
【0044】
図3に示すように、仮想平面101は、燃焼ガス(詳細には、一次燃焼で発生した一次燃焼ガス及び二次燃焼で発生した二次燃焼ガス)の流路に交差する平面である。なお、燃焼ガスの流路とは、燃焼ガスが全体として向かう方向(言い換えれば二次燃焼ゾーン14においてボイラ30へ向かう方向)である。また、仮想平面101は、この燃焼ガスの流路に対して直交することが更に好ましい。また、図3では仮想平面101の位置を分かり易くするために、仮想平面101の輪郭を描画して仮想平面101の範囲を区切っている。しかし、実際には、火炎の位置又は形状が変化しても火炎断面積を適切に算出するために、炉幅方向及び搬送方向に大きな広がりを持った範囲を仮想平面101とすべきであるため、輪郭等を規定せずに無限遠まで広がる仮想平面を設定することが好ましい。
【0045】
3次元映像の火炎をこの仮想平面101で切ったときの仮想断面102の面積が火炎断面積である。ここで、上述したように本実施形態では火炎の周囲の全体の映像を取得していないため、例えば絞り部17側の火炎の形状は特定できない。従って、制御装置90は、3次元映像で作成された火炎の範囲において仮想断面102の輪郭を描画し、3次元映像で特定されていない部分については直線補間等を行うことで仮想断面102を作成する。制御装置90は、算出した火炎断面積を時刻と対応付けて記憶する。制御装置90は、この処理を各時刻の3次元映像に対して行うことで火炎断面積の時間変化(各時刻の火炎断面積)を算出して記憶する。
【0046】
火炎流速とは、上述した仮想平面101の位置における、火炎面を通過する燃焼ガスの流路に沿う方向のガス流速である。一般的に、燃焼室2で多くの燃焼ガスが発生しているほど(即ち、燃焼室2で発生している熱量が多くなるほど)、火炎流速が速くなり易い。従って、火炎流速は、現在発生している熱量の指標となる。
【0047】
制御装置90は、仮想平面101及びその上下方向の近傍の3次元映像に基づいて火炎の動きから火炎流速を算出する。なお、火炎流速は仮想平面101の水平方向の位置に応じて異なるが、例えば所定の範囲の平均の流速等を算出することで、該当の時刻の火炎流速を決定する。また、本実施形態では火炎流速を算出する位置は、火炎断面積を算出する位置と一致しているが、異なっていてもよい。即ち、制御装置90は、仮想平面101よりも上流側又は下流側で火炎流速を算出する処理を行ってもよい。制御装置90は、この処理を各時刻の3次元映像に対して行うことで火炎流速の時間変化(各時刻の火炎流速)を算出して記憶する。
【0048】
なお、火炎断面積及び火炎流速を算出して、燃焼室2で現在発生している熱量の指標を取得する方法は、二次燃焼ゾーン14ではなく一次燃焼ゾーン10に存在する火炎を用いて行うこともできる。しかし、一次燃焼ゾーン10では未燃焼の多種多様な廃棄物が存在するため火炎が安定しておらず、この指標の精度が大幅に低下する可能性があるため、本実施形態では、二次燃焼ゾーン14に到達した火炎を用いている。
【0049】
制御装置90は、二次燃焼温度センサ92が検出した二次燃焼温度を取得する(S103)。制御装置90は、二次燃焼温度の時間変化(各時刻の二次燃焼温度)を記憶する。当然であるが、二次燃焼温度が高いほど燃焼室2で発生している熱量が多くなる。従って、二次燃焼温度は、現在発生している熱量の指標となる。
【0050】
また、制御装置90は、ボイラ蒸気量センサ95が検出したボイラ蒸発量を取得する(S104)。制御装置90は、ボイラ蒸発量の時間変化(各時刻のボイラ蒸発量)を記憶する。燃焼室2で発生した熱量に応じてボイラ30で蒸気が発生するため、燃焼室2で発生した熱量とボイラ蒸発量とは高い相関性がある。しかし、燃焼室2で発生した熱に起因してボイラ30で蒸気が発生するまでにはタイムラグが存在するため、厳密には、燃焼室2で少し前に発生した熱量と、現在のボイラ蒸発量と、に高い相関性がある。そのため、例えば現在のボイラ蒸発量に基づいて一次空気又は二次空気の供給量を変化させた場合であっても、この供給量を変化させたことの効果がボイラ蒸発量に影響するまでには時間が掛かるため、ボイラ蒸発量を十分に安定させることは容易ではない。この点、本実施形態では、以下のステップS105以降の処理を行うことにより、燃焼室2で現在発生している熱量に基づいて燃焼状態を制御することができるので、ボイラ蒸発量をより安定させることが可能となる。
【0051】
次に、制御装置90は、火炎断面積/火炎流速/二次燃焼温度のそれぞれについて、相対変化量を算出する(S105、解析工程)。相対変化量とは、定常値に対する瞬時値の差異である。定常値とは、焼却炉1に投入される廃棄物の量及び性状や、廃棄物の燃焼状態が平均的な状態で取得される値の目安である。定常値は、例えば比較的長い期間の平均値を求めること等によって算出される。なお、平均値を求める際には、他と比較して明らかに高い又は低いデータを除外して平均値を求めてもよい。瞬時値とは、ある時刻で取得される値である。上述したように、火炎断面積/火炎流速/二次燃焼温度は、何れも燃焼室2で現在発生している熱量に関する値である。従って、相対変化量は、過去の平均的な状態と比較して、燃焼室2で現在発生している熱量がどの程度多いか少ないかを示す指標となる。制御装置90は、火炎断面積/火炎流速/二次燃焼温度のそれぞれについて、算出した相対変化量の時間変化(各時刻の相対変化量)を記憶する。
【0052】
次に、制御装置90は、火炎断面積/火炎流速/二次燃焼温度のそれぞれについて、相対変化量と、ボイラ蒸発量の変化量と、の関係を示す相関関係情報を算出する(S106、解析工程)。火炎断面積/火炎流速/二次燃焼温度のそれぞれは燃焼室2で現在発生している熱量に関係する値であり、ボイラ蒸発量の変化量は、燃焼室2で少し前に発生した熱量に関係する値である。従って、相対変化量が時刻に応じて上下する挙動と、ボイラ蒸発量が時刻に応じて上下する挙動と、を比較することで時間遅れの目安を算出することができる。その後、時間遅れ分だけボイラ蒸発量をオフセットさせて、相対変化量の大きさと、ボイラ蒸発量の変化量の大きさと、を比較することで、相対変化量がボイラ蒸発量の変化量に及ぼす影響を具体的に算出できる。例えば、相対変化量を変数としてボイラ蒸発量の変化量を求めるための関係式(相関関係情報に相当)を算出することができる。なお、例えば火炎断面積が変化した時間帯であって、火炎流速及び二次燃焼温度が殆ど変化していない時間帯では、火炎断面積の相対変化量とボイラ蒸発量の変化量との相関関係情報をより適切に求めることができる。火炎断面積/火炎流速/二次燃焼温度のそれぞれの相関関係情報は、ボイラ蒸発量の変化量を予測する毎に新たに算出してもよいし、一度算出した相関関係情報を少なくとも所定の時間において使い続けてもよい。
【0053】
次に、制御装置90は、火炎断面積/火炎流速/二次燃焼温度のそれぞれについて、直近の相対変化量と相関関係情報に基づいて、ボイラ蒸発量の予測変化量を算出する(S107、解析工程)。相関関係情報は、相対変化量とボイラ蒸発量の変化量との関係を示す。従って、直近の相対変化量と相関関係情報とに基づいて、ボイラ蒸発量がこれからどの程度変化するかを算出できる。特に、本実施形態では、火炎断面積/火炎流速/二次燃焼温度のそれぞれにこの処理を行うため、ボイラ蒸発量の的確な予測変化量を算出できる。
【0054】
次に、制御装置90は、ボイラ蒸発量の瞬時値と予測変化量とに基づいて、ボイラ蒸発量を安定化させるための一次燃焼用気体及び二次燃焼用気体の供給条件を決定する(S108、制御工程)。ボイラ蒸発量の瞬時値と予測変化量との両方に基づいて、ボイラ蒸発量の予測値を推定できる。例えばこの予測値と目標値とを比較することで、ボイラ蒸発量を増加させるべきか減少させるべきかの判断を的確に行うことができる。例えばボイラ蒸発量を増加させるべきと判断した場合、制御装置90は、燃焼を促進させるために、例えば一次燃焼用気体及び二次燃焼用気体の供給量を増加させる。なお、気体の供給量を変化させる処理に加えて又は代えて、例えば一次燃焼用気体に占める循環排ガスの比率、一次燃焼用気体をヒータで加熱する場合のヒータの設定、又は、一次燃焼用気体に対する二次燃焼用気体の比率等(供給条件)を変化させてもよい。この処理を行うことにより、燃焼室2で過去に発生した熱量(現在のボイラ蒸発量)ではなく、燃焼室2で現在発生している熱量に基づいて燃焼制御を行うことができるので、ボイラ蒸発量をより安定させることが可能となる。
【0055】
また、制御装置90は、ステップS108の後に、新たにデータを取得して(S101−S104)、必要に応じて相関関係情報を更新し(S105,S106)、新たに算出したボイラ蒸発量の予測変化量等に基づいて一次燃焼用気体及び二次燃焼用気体の供給条件を更に変更する(S107,S108)。これにより、燃焼室2で発生する熱量が変化した場合においても、その変化に即座に対応して、ボイラ蒸発量を安定させるために必要な制御を行うことができる。
【0056】
なお、焼却炉1で生じる燃焼は、焼却炉1の形状や構造、及び投入される廃棄物によって大きく異なる。また、要求される処理量、焼却炉1の耐久性、及び排ガスに関する法規制等によっても、目標とする状態が大きく異なる。更に、一次燃焼用気体及び二次燃焼用気体の供給条件は、ボイラ蒸発量だけでなく、他のセンサ(例えば一次燃焼温度センサ91からNOxガス濃度センサ94)の検出結果も考慮して決定される。このような事情があるため、ボイラ蒸発量の予測値が目標値より低い場合であっても一次燃焼用気体及び二次燃焼用気体を増加させる制御が行われない場合もあり得る。
【0057】
以上に説明したように、本発明の観点によれば、以下の炉内状況判定方法が提供される。即ち、この炉内状況判定方法は、一次燃焼用気体を用いて一次燃焼を行うための一次燃焼ゾーン10、及び、一次燃焼で発生した未燃焼ガスを含む一次燃焼ガスを二次燃焼用気体を用いて燃焼させる二次燃焼を行うための二次燃焼ゾーン14を有する燃焼室2を備える廃棄物焼却設備100に対して行われる。この炉内状況判定方法は、映像取得工程と、3次元映像作成工程と、火炎断面積算出工程と、火炎流速算出工程と、を含む処理を行う。映像取得工程では、視点が異なる複数の撮像装置96を用いて、一次燃焼ゾーン10から二次燃焼ゾーン14へ到達した火炎の映像をそれぞれ取得する。3次元映像作成工程では、映像取得工程で取得された異なる視点からの複数の映像に画像合成処理を行うことで、二次燃焼ゾーン14の火炎を含む3次元映像を作成する。火炎断面積算出工程では、3次元映像を解析することで、一次燃焼又は二次燃焼で発生した燃焼ガスの流路と交差する所定の仮想平面で切った二次燃焼ゾーン14の火炎断面積の時間変化を算出する。火炎流速算出工程では、3次元映像を解析することで、一次燃焼又は二次燃焼で発生した燃焼ガスの流路に沿う方向の火炎流速の時間変化を算出する。
【0058】
これにより、二次燃焼ゾーン14の火炎断面積及び火炎流速を用いることで、燃焼室2で現在発生している熱量の正確な指標を得ることができる。
【0059】
また、本実施形態の炉内状況判定方法は、二次燃焼温度検出工程と、解析工程と、を含む。二次燃焼温度検出工程では、二次燃焼ゾーン14の温度である二次燃焼温度の時間変化を検出する。解析工程では、火炎断面積、火炎流速、及び二次燃焼温度のそれぞれの時間変化に基づいて、定常値に対する瞬時値の大きさである相対変化量を算出する処理をそれぞれ行う。
【0060】
これにより、平均的な状態(通常の状態)と比較した、燃焼室2で現在発生している熱量の正確な指標を用いて炉内状況を判定できる。
【0061】
また、本実施形態の炉内状況判定方法は、燃焼室2から排出された排ガスからの熱量回収に伴うボイラ蒸発量を取得するボイラ蒸発量取得工程を含む。解析工程では、更に、火炎断面積、火炎流速、及び二次燃焼温度のそれぞれについて、相対変化量と、時間遅れ後のボイラ蒸発量の変化量と、の関係を示す相関関係情報を算出する。火炎断面積、火炎流速、及び二次燃焼温度のそれぞれについて、算出又は検出された瞬時値と相関関係情報とに基づいてボイラ蒸発量の予測変化量を算出する。
【0062】
これにより、燃焼室2で現在発生している熱量の正確な指標を用いてボイラ蒸発量を推定できる。
【0063】
また、本実施形態の蒸発量制御方法では、炉内状況判定方法を用いて得られた情報に基づいてボイラ蒸発量を制御する。この蒸発量制御方法は、解析工程で算出されたボイラ蒸発量の予測変化量と、ボイラ蒸発量取得工程で取得されたボイラ蒸発量と、に基づいて、一次燃焼用気体及び二次燃焼用気体の少なくとも一方の供給条件を調整する制御工程を含む。
【0064】
これにより、推定した正確なボイラ蒸発量を用いて気体の供給条件を調整することができるので、ボイラ蒸発量を安定させることができる。
【0065】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0066】
なお、ステップS101からS104の処理は、ステップS105以降の処理に必要なデータを取得したり記憶(更新)したりする処理であるため、行う順序は異なっていてもよい。また、ステップS102において、火炎断面積を算出する処理と火炎流速を算出する処理は何れが先であってもよいし同時に行ってもよい。
【0067】
上記実施形態では、ボイラ蒸発量の予測値に基づいて、一次燃焼用気体及び二次燃焼用気体の供給条件を変化させる構成である。これに加えて、ボイラ蒸発量の予測値に基づいて、乾燥火格子21、燃焼火格子22、及び後燃焼火格子23の速度等を制御してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 焼却炉(廃棄物焼却炉)
90 制御装置
95 ボイラ蒸気量センサ
96 撮像装置
97 画像処理装置
100 廃棄物焼却設備
図1
図2
図3
図4