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特開2019-219186微細藻類の栄養状態の判定装置及び微細藻類の栄養状態の判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-219186(P2019-219186A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】微細藻類の栄養状態の判定装置及び微細藻類の栄養状態の判定方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20191129BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20191129BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20191129BHJP
   A01G 33/00 20060101ALI20191129BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   G01N21/64 Z
   C12M1/34 A
   C12Q1/06
   A01G33/00
   A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-114625(P2018-114625)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 倫男
【テーマコード(参考)】
2B026
2G043
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2B026AA05
2B026AB08
2B026AB09
2B026AC01
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA05
2G043DA05
2G043EA01
2G043EA14
2G043GA06
2G043GB12
2G043GB18
2G043JA02
2G043JA03
2G043KA02
2G043KA03
2G043KA05
2G043KA09
2G043LA03
2G043MA01
2G043NA01
2G043NA02
2G043NA05
4B029AA07
4B029BB05
4B029CC01
4B029FA15
4B063QA01
4B063QQ05
4B063QR74
4B063QS39
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】微細藻類の状態変化を検出可能な装置を提供する。
【解決手段】微細藻類を含む流体が流されるフローセル40と、フローセル40に励起光を照射する励起光光源10と、励起光を照射された微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光を検出する蛍光検出器102と、励起光を照射された微細藻類で生じた散乱光を検出する散乱光検出器105と、自家蛍光の強度と、散乱光の強度と、の比を算出する比算出部301と、比のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部302と、ヒストグラムの形状に基づき、微細藻類の栄養状態を判定する栄養状態判定部303と、を備える微細藻類の栄養状態の判定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細藻類を含む流体が流されるフローセルと、
前記フローセルに励起光を照射する励起光光源と、
前記励起光を照射された前記微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光を検出する蛍光検出器と、
前記励起光を照射された前記微細藻類で生じた散乱光を検出する散乱光検出器と、
前記自家蛍光の強度と、前記散乱光の強度と、の比を算出する比算出部と、
前記比のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、
前記ヒストグラムの形状に基づき、前記微細藻類の栄養状態を判定する栄養状態判定部と、
を備える、微細藻類の栄養状態の判定装置。
【請求項2】
前記比が、前記散乱光の強度に対する前記自家蛍光の強度の比である、請求項1に記載の微細藻類の栄養状態の判定装置。
【請求項3】
前記栄養状態判定部が、前記ヒストグラムの最頻値の前及び後の少なくともいずれかの変化率に基づき、前記微細藻類の栄養状態を判定する、請求項1又は2に記載の微細藻類の栄養状態の判定装置。
【請求項4】
前記栄養状態判定部が、前記ヒストグラムの最頻値の前及び後の少なくともいずれかの変化率が所定の値より大きい場合、前記微細藻類の栄養状態が貧栄養状態であると判定する、請求項3に記載の微細藻類の栄養状態の判定装置。
【請求項5】
前記栄養状態判定部が、非対称分布を表す確率密度関数で前記ヒストグラムを近似し、前記確率密度関数の適合度に基づき、前記微細藻類の栄養状態を判定する、請求項1又は2に記載の微細藻類の栄養状態の判定装置。
【請求項6】
前記確率密度関数がカイ二乗分布を表す、請求項5に記載の微細藻類の栄養状態の判定装置。
【請求項7】
前記確率密度関数がポアソン分布を表す、請求項6に記載の微細藻類の栄養状態の判定装置。
【請求項8】
前記適合度が所定の基準より高い場合、前記微細藻類の栄養状態が貧栄養状態であると判定する、請求項5から7のいずれか1項に記載の微細藻類の栄養状態の判定装置。
【請求項9】
前記微細藻類が単細胞生物である、請求項1又は2に記載の微細藻類の栄養状態の判定装置。
【請求項10】
微細藻類を含む流体をフローセルに流すことと、
前記フローセルに励起光を照射することと、
前記励起光を照射された前記微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光を検出することと、
前記励起光を照射された前記微細藻類で生じた散乱光を検出することと、
前記自家蛍光の強度と、前記散乱光の強度と、の比を算出することと、
前記比のヒストグラムを生成することと、
前記ヒストグラムの形状に基づき、前記微細藻類の栄養状態を判定することと、
を含む、微細藻類の栄養状態の判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分析技術に関し、微細藻類の栄養状態の判定装置及び微細藻類の栄養状態の判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細藻類は、栄養補助食品、貝類の養殖の飼料、及び色素などの化合物の生産のために、工業的に培養されている。微細藻類を効率よく増殖させるために、培養液の温度、培養液のpH、培養液中の溶存酸素、微細藻類による二酸化炭素吸収量、及びサンプリングされた微細藻類の乾燥質量などが計測され、監視される。近年では特に、微細藻類が細胞内に蓄積する脂質を石油代替燃料として使用することが注目されている。微細藻類に含まれる脂質は、オイルボディとも呼ばれる。ここで、微細藻類においては、窒素や硫黄などの必須栄養素が欠乏すると、細胞が増殖を停止し、細胞内に脂質を蓄積することが知られている。脂質は、葉緑体等の細胞小器官の膜から生成されると考えられている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
従来、細胞が脂質をどの程度蓄積しているかどうかは、サンプリングした細胞の脂質をナイルレッドやBODIPYのような蛍光色素で染色し、細胞を、蛍光顕微鏡、フローサイトメーター、及び蛍光プレートリーダー等で分析することによって確認されている(例えば、特許文献1及び非特許文献2、3参照。)。これに対し、細胞の脂質及び葉緑体の自家蛍光を検出することにより、蛍光色素を用いることなく、脂質及び葉緑体の大きさを検出することが提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−268993号公報
【特許文献2】特開2017−106831号公報
【特許文献3】特開2017−106832号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M Wayama et al., "Three-Dimensional Ultrastructural Study of Oil and Astaxanthin Accumulation during Encystment in the Green Alga Haematococcus pluvialis," PLOS ONE, January 2013, Volume 8, Issue 1, e53618
【非特許文献2】T Ishida et al., "Growth Characteristics and Dense Culture of Thermophilic Cyanobacterium, Chroococcidiopsis sp. Strain TS-821," JOURNAL OF FERMENTATION AND BIOENGINEERING, Vol.83, No.6, 571-576, 1997
【非特許文献3】MS Cooper et al., “Visualizing "green oil" in live algal cells,"Journal of Bioscience and Bioengineering, VOL.109, No.2, 198-201, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
微細藻類の栄養状態は、微細藻類に蓄積される脂質の量に影響するため、微細藻類の栄養状態を判定可能な技術が望まれている。そこで、本発明は、微細藻類の栄養状態の判定装置及び微細藻類の栄養状態の判定方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によれば、微細藻類を含む流体が流されるフローセルと、フローセルに励起光を照射する励起光光源と、励起光を照射された微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光を検出する蛍光検出器と、励起光を照射された微細藻類で生じた散乱光を検出する散乱光検出器と、自家蛍光の強度と、散乱光の強度と、の比を算出する比算出部と、比のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、ヒストグラムの形状に基づき、微細藻類の栄養状態を判定する栄養状態判定部と、を備える、微細藻類の栄養状態の判定装置が提供される。
【0008】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光が、赤色帯域の光であってもよい。
【0009】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、比が、散乱光の強度に対する自家蛍光の強度の比であってもよい。
【0010】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、栄養状態判定部が、ヒストグラムの最頻値の前及び後の少なくともいずれかの変化率に基づき、微細藻類の栄養状態を判定してもよい。
【0011】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、栄養状態判定部が、ヒストグラムの最頻値の前及び後の少なくともいずれかの変化率が所定の値より大きい場合、微細藻類の栄養状態が貧栄養状態であると判定してもよい。
【0012】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、栄養状態判定部が、ヒストグラムの最頻値の前及び後の少なくともいずれかの変化率が所定の値より小さい場合、微細藻類の栄養状態が富栄養状態であると判定してもよい。
【0013】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、栄養状態判定部が、非対称分布を表す確率密度関数でヒストグラムを近似し、確率密度関数の適合度に基づき、微細藻類の栄養状態を判定してもよい。
【0014】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、確率密度関数がカイ二乗分布を表してもよい。
【0015】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、確率密度関数がポアソン分布を表してもよい。
【0016】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、適合度が所定の基準より高い場合、微細藻類の栄養状態が貧栄養状態であると判定してもよい。
【0017】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、適合度が所定の基準より低い場合、微細藻類の栄養状態が富栄養状態であると判定してもよい。
【0018】
上記の微細藻類の栄養状態の判定装置において、微細藻類が単細胞生物であってもよい。
【0019】
また、本発明の態様によれば、微細藻類を含む流体をフローセルに流すことと、フローセルに励起光を照射することと、励起光を照射された微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光を検出することと、励起光を照射された微細藻類で生じた散乱光を検出することと、自家蛍光の強度と、散乱光の強度と、の比を算出することと、比のヒストグラムを生成することと、ヒストグラムの形状に基づき、微細藻類の栄養状態を判定することと、を含む、微細藻類の栄養状態の判定方法が提供される。
【0020】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光が、赤色帯域の光であってもよい。
【0021】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、比が、散乱光の強度に対する自家蛍光の強度の比であってもよい。
【0022】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、ヒストグラムの最頻値の前及び後の少なくともいずれかの変化率に基づき、微細藻類の栄養状態を判定してもよい。
【0023】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、ヒストグラムの最頻値の前及び後の少なくともいずれかの変化率が所定の値より大きい場合、微細藻類の栄養状態が貧栄養状態であると判定してもよい。
【0024】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、ヒストグラムの最頻値の前及び後の少なくともいずれかの変化率が所定の値より小さい場合、微細藻類の栄養状態が富栄養状態であると判定してもよい。
【0025】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、非対称分布を表す確率密度関数でヒストグラムを近似し、確率密度関数の適合度に基づき、微細藻類の栄養状態を判定してもよい。
【0026】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、確率密度関数がカイ二乗分布を表してもよい。
【0027】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、確率密度関数がポアソン分布を表してもよい。
【0028】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、適合度が所定の基準より高い場合、微細藻類の栄養状態が貧栄養状態であると判定してもよい。
【0029】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、適合度が所定の基準より低い場合、微細藻類の栄養状態が富栄養状態であると判定してもよい。
【0030】
上記の微細藻類の栄養状態の判定方法において、微細藻類が単細胞生物であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、微細藻類の栄養状態の判定装置及び微細藻類の栄養状態の判定方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施形態に係る微細藻類の栄養状態の判定装置の模式図である。
図2】実施形態及び実施例に係る、富栄養状態における微細藻類で生じた散乱光強度に対する葉緑体で生じた自家蛍光強度の比の度数分布を示すヒストグラムである。
図3】実施形態及び実施例に係る、貧栄養状態における微細藻類で生じた散乱光強度に対する葉緑体で生じた自家蛍光強度の比の度数分布を示すヒストグラムである。
図4】実施形態及び実施例に係る、貧栄養状態における微細藻類で生じた散乱光強度に対する葉緑体で生じた自家蛍光強度の比の度数分布を示すヒストグラムである。
図5】実施形態及び実施例に係る、富栄養状態における微細藻類で生じた散乱光強度に対する葉緑体で生じた自家蛍光強度の比の度数の測定値と、測定値にフィットするよう算出された確率密度関数と、示すグラフである。
図6】実施形態及び実施例に係る、貧栄養状態における微細藻類で生じた散乱光強度に対する葉緑体で生じた自家蛍光強度の比の度数の測定値と、測定値にフィットするよう算出された確率密度関数と、示すグラフである。
図7】実施形態及び実施例に係る、貧栄養状態における微細藻類で生じた散乱光強度に対する葉緑体で生じた自家蛍光強度の比の度数の測定値と、測定値にフィットするよう算出された確率密度関数と、示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施形態を説明する。ただし、本開示の一部をなす記述及び図面は、本発明を限定するものであると理解するべきではない。本開示から当業者には様々な代替技術及び運用技術が明らかになるはずであり、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
【0034】
実施形態に係る微細藻類の栄養状態の判定装置は、図1に示すように、微細藻類を含む流体が流されるフローセル40と、フローセル40に励起光を照射する励起光光源10と、励起光を照射された微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光を検出する蛍光検出器102と、励起光を照射された微細藻類で生じた散乱光を検出する散乱光検出器105と、自家蛍光の強度と、散乱光の強度と、の比を算出する比算出部301と、比のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部302と、ヒストグラムの形状に基づき、微細藻類の栄養状態を判定する栄養状態判定部303と、を備える。
【0035】
比算出部301、ヒストグラム生成部302及び栄養状態判定部303は、例えば、中央演算処理装置(CPU)300において、メモリに格納されたプログラムをCPUが実行することにより実現されてもよい。あるいは、比算出部301、ヒストグラム生成部302及び栄養状態判定部303は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0036】
フローセル40内を流れる流体は、液体であっても、気体であってもよい。以下においては、流体が液体である例を説明する。
【0037】
励起光光源10は、フローセル40中を流れる液体に向けて、広帯域波長の励起光を照射する。励起光光源10としては、例えば、発光ダイオード(LED)及びレーザーが使用可能である。励起光は、例えば、波長が200nmから400nmの近紫外光である。ただし、励起光は、波長が400nmから450nmの紫色の可視光であってもよいし、波長が450nmから500nmの青色の可視光であってもよい。あるいは、励起光は、波長が500nm以上の可視光であってもよい。励起光の波長帯域は、バンドパスフィルター等のフィルターによって設定されてもよい。励起光光源10には、励起光光源10に電力を供給する光源駆動電源11が接続されている。光源駆動電源11には、励起光光源10に供給される電力を制御する電源制御装置12が接続されている。
【0038】
フローセル40は、励起光に対して透明であり、例えば石英等からなる。フローセル40は、微細藻類が概ね1個ずつ内部を流れる程度の内径を有する。フローセル40は、例えば丸管形状、あるいは角管形状を有する。フローセル40内部を連続的に流れる液体は、励起光を横切る。
【0039】
微細藻類は、例えば大きさが数μmから数十μmの単細胞生物である藻類である。微細藻類は、植物プランクトンとも呼ばれることがある。また、例えば、微細藻類は、炭化水素を産生する。微細藻類の例としては、ボトリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)、シュードコリシスティス(Pseudochoricystis ellipsoidea)、イカダモ(Scenedesmus,Desmodesmus)、クロレラ(Chlorella)、ドナリエラ(Dunaliella)、スピルリナ(Arthrospira,Spirulina)、ユーグレナ(Euglena)、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)、ヘマトコッカス(Haematococcus)、及びMicrocystis aeruginosa等が挙げられる。
【0040】
ブローセル40に流される微細藻類は、予め、蛍光色素で染色されていない。フローセル40は、微細藻類が培養されている培養槽に配管を介して連結されており、培養槽から経時的に微細藻類がフローセル40に送られてもよい。フローセル40を流れ終えた微細藻類は、配管を介して培養槽に戻されてもよい。
【0041】
フローセル40の中を流れる液体に微細藻類が含まれると、励起光を照射された微細藻類の葉緑体は、概ね、波長650nmから730nmの赤色帯域の自家蛍光を発する。葉緑体の自家蛍光の波長ピークは、概ね、680nmから700nmである。葉緑体が発した自家蛍光の強度は、微細藻類に含まれる葉緑体の大きさを反映している。さらに、励起光を照射された微細藻類において、ミー散乱により、散乱光が生じる。散乱光の強度は、1個の微細藻類の細胞全体の大きさを反映している。ここで、「大きさ」とは、例えば直径、面積、又は体積である。例えば、微細藻類及び葉緑体のそれぞれの形状が粒子に近似できる場合は、「大きさ」とは、粒径であってもよい。
【0042】
微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光を検出する蛍光検出器102は、微細藻類の葉緑体で生じた自家蛍光を受光する受光素子20を備える。受光素子20の前には、吸収フィルター等の、受光素子20で受光可能な光の波長帯域を設定するフィルターを配置してもよい。受光素子20としては、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ等の固体撮像素子及びフォトダイオード等の内部光電効果型(光起電力効果)光センサや、光電子増倍管等の外部光電効果型光センサ等が使用可能であり、葉緑体で生じた自家蛍光を受光すると、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。受光素子20には、受光素子20で生じた電流を増幅する増幅器21が接続されている。増幅器21には、増幅器21に電力を供給する増幅器電源22が接続されている。
【0043】
また、増幅器21には、増幅器21で増幅された電流を受け取り、受光素子20が受光した葉緑体で生じた自家蛍光の強度を算出する光強度算出装置23が接続されている。光強度算出装置23は、例えば、検出した自家蛍光のスペクトルの面積に基づいて、葉緑体で生じた自家蛍光の強度を算出する。光強度算出装置23は、画像解析ソフトウェアによって、葉緑体で生じた自家蛍光の強度を算出してもよい。またあるいは、光強度算出装置23は、受光素子20で生じた電気信号の大きさに基づき、葉緑体で生じた自家蛍光の強度を算出してもよい。光強度算出装置23には、光強度算出装置23が算出した葉緑体で生じた自家蛍光の強度を保存する光強度記憶装置24が接続されている。
【0044】
励起光を照射された微細藻類で生じた散乱光を受光する散乱光検出器105は、散乱光を受光する散乱光受光素子50を備える。散乱光受光素子50としては、電荷結合素子(CCD)イメージセンサ等の固体撮像素子及びフォトダイオード等の内部光電効果(光起電力効果)型光センサや、光電子増倍管等の外部光電効果型光センサ等が使用可能であり、光を受光すると、光エネルギーを電気エネルギーに変換する。散乱光受光素子50には、散乱光受光素子50で生じた電流を増幅する増幅器51が接続されている。増幅器51には、増幅器51に電力を供給する増幅器電源52が接続されている。
【0045】
また、増幅器51には、増幅器51で増幅された電流を受け取り、散乱光受光素子50が受光した散乱光の強度を算出する光強度算出装置53が接続されている。光強度算出装置53は、例えば、検出した散乱光のスペクトルの面積に基づいて、散乱光の強度を算出する。光強度算出装置53は、画像解析ソフトウェアによって、散乱光の強度を算出してもよい。またあるいは、光強度算出装置53は、散乱光受光素子50で生じた電気信号の大きさに基づき、散乱光の強度を算出してもよい。光強度算出装置53には、光強度算出装置53が算出した散乱光の強度を保存する光強度記憶装置54が接続されている。
【0046】
フローセル40内を液体が流れると、励起光光源10が励起光を照射し、蛍光検出器102が微細藻類の葉緑体が発した自家蛍光の強度をリアルタイムで測定し、時系列的に光強度記憶装置24に保存する。また、散乱光検出器105が、微細藻類で生じた散乱光をリアルタイムで測定し、散乱光の光強度を時系列的に光強度記憶装置54に保存する。同時に検出された自家蛍光と、散乱光と、は、同一個体の微細藻類由来とみなしうる。
【0047】
比算出部301は、個々の微細藻類の葉緑体が発した自家蛍光の強度を光強度記憶装置24から読み出す。また、比算出部301は、個々の微細藻類で生じた散乱光の強度を、光強度記憶装置54から読み出す。さらに、比算出部301は、例えば、個々の微細藻類について、散乱光の強度に対する、葉緑体が発した自家蛍光の強度の比を算出する。上述したように、散乱光の強度は、1個の微細藻類の細胞全体の大きさを反映している。そのため、葉緑体が発した自家蛍光の強度を、散乱光の強度で割った値は、個々の細胞の体積あたりの葉緑体の量を反映する。
【0048】
ヒストグラム生成部302は、散乱光の強度に対する、葉緑体が発した自家蛍光の強度の比の度数分布を表すヒストグラムを生成する。例えば、ヒストグラムにおいて、横軸は散乱光の強度に対する、葉緑体が発した自家蛍光の強度の比を表し、縦軸は、度数(頻度)を表す。
【0049】
図2は、富栄養状態で培養されている微細藻類で生じた散乱光の強度に対する、葉緑体が発した自家蛍光の強度の比の度数分布を表すヒストグラムの一例である。図3は、窒素が欠乏している貧栄養状態で培養されている微細藻類で生じた散乱光の強度に対する、葉緑体が発した自家蛍光の強度の比の度数分布を表すヒストグラムの一例である。図4は、窒素が欠乏している貧栄養状態で培養されている微細藻類で生じた散乱光の強度に対する、葉緑体が発した自家蛍光の強度の比の度数分布を表すヒストグラムの一例である。
【0050】
微細藻類の状態が富栄養状態から貧栄養状態に変化すると、微細藻類の葉緑体が減少し、葉緑体が発する自家蛍光の強度が低下する。そのため、図2から図4に示すように、微細藻類の状態が富栄養状態から貧栄養状態に変化すると、微細藻類で生じた散乱光の強度に対する、葉緑体が発した自家蛍光の強度の比は、全体として減少する。また、微細藻類の状態が貧栄養状態から富栄養状態に変化すると、微細藻類の葉緑体が増加し、葉緑体が発する自家蛍光の強度が上昇する。そのため、微細藻類の状態が貧栄養状態から富栄養状態に変化すると、微細藻類で生じた散乱光の強度に対する、葉緑体が発した自家蛍光の強度の比は、全体として増加する。
【0051】
さらに、微細藻類の状態が富栄養状態から貧栄養状態に変化すると、図2から図4に示すように、ヒストグラムにおいて、最頻値前後の変化率(傾き)が急になる。また、分布の左右非対称性が向上し、非対称分布を表す確率密度関数で測定値の分布を近似した際に、適合度が向上する。これに対し、微細藻類の状態が貧栄養状態から富栄養状態に変化すると、ヒストグラムにおいて、最頻値前後の変化率(傾き)が穏やかになる。また、分布の左右非対称性が低下し、非対称分布を表す確率密度関数で測定値の分布を近似した際に、適合度が低下する。
【0052】
図1に示す栄養状態判定部303は、例えば、ヒストグラムにおいて、比の最小値が予め取得された所定の値より大きいか、小さいかを判定する。比の最小値の所定の値は、例えば、比の最小値が当該所定の値より小さい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量以上となり、比の最小値が当該所定の値より大きい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量未満となるよう設定される。
【0053】
あるいは、栄養状態判定部303は、例えば、ヒストグラムにおいて、比の最頻値が予め取得された所定の値より大きいか、小さいかを判定する。比の最頻値の所定の値は、例えば、比の最頻値が当該所定の値より小さい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量以上となり、比の最頻値が当該所定の値より大きい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量未満となるよう設定される。
【0054】
あるいは、栄養状態判定部303は、例えば、ヒストグラムにおいて、比の中央値が予め取得された所定の値より大きいか、小さいかを判定する。比の中央値の所定の値は、例えば、比の中央値が当該所定の値より小さい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量以上となり、比の中央値が当該所定の値より大きい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量未満となるよう設定される。
【0055】
あるいは、栄養状態判定部303は、例えば、ヒストグラムにおいて、比の平均値が予め取得された所定の値より大きいか、小さいかを判定する。比の平均値の所定の値は、例えば、比の平均値が当該所定の値より小さい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量以上となり、比の平均値が当該所定の値より大きい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量未満となるよう設定される。
【0056】
栄養状態判定部303は、ヒストグラムにおいて、比の最頻値の前の変化率が予め取得された所定の値より大きいか、小さいかを判定する。比の最頻値の前の変化率とは、例えば、比の最頻値よりも小さい値の範囲における比の変化率である。変化率は、所定の範囲における平均変化率でもよい。あるいは、変化率は、点における微分係数でもよい。比の最頻値の前の変化率の所定の値は、例えば、比の最頻値の前の変化率が当該所定の値より大きい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量以上となり、比の最頻値の前の変化率が当該所定の値より小さい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量未満となるよう設定される。
【0057】
栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値の少なくともいずれかが所定の値より小さく、比の最頻値の前の変化率が所定の値より大きい場合、微細藻類が貧栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積する状態にあると判定する。ただし、栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値については判定せずに、比の最頻値の前の変化率が所定の値より大きい場合、微細藻類が貧栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積する状態にあると判定してもよい。
【0058】
栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値の少なくともいずれかが所定の値より大きく、比の最頻値の前の変化率が所定の値より小さい場合、微細藻類が富栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積しにくい状態にあると判定する。ただし、栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値については判定せずに、比の最頻値の前の変化率が所定の値より小さい場合、微細藻類が富栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積しにくい状態にあると判定してもよい。
【0059】
あるいは、栄養状態判定部303は、ヒストグラムにおいて、比の最頻値の後の変化率が予め取得された所定の値より大きいか、小さいかを判定する。比の最頻値の後の変化率とは、例えば、比の最頻値よりも大きい値の範囲における比の変化率である。変化率は、所定の範囲における平均変化率でもよい。あるいは、変化率は、点における微分係数でもよい。比の最頻値の後の変化率の所定の値は、例えば、比の最頻値の後の変化率が当該所定の値より大きい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量以上となり、比の最頻値の後の変化率が当該所定の値より小さい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量未満となるよう設定される。
【0060】
栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値の少なくともいずれかが所定の値より小さく、比の最頻値の後の変化率が所定の値より大きい場合、微細藻類が貧栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積する状態にあると判定する。ただし、栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値については判定せずに、比の最頻値の後の変化率が所定の値より大きい場合、微細藻類が貧栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積する状態にあると判定してもよい。
【0061】
栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値の少なくともいずれかが所定の値より大きく、比の最頻値の後の変化率が所定の値より小さい場合、微細藻類が富栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積しにくい状態にあると判定する。ただし、栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値については判定せずに、比の最頻値の後の変化率が所定の値より小さい場合、微細藻類が富栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積しにくい状態にあると判定してもよい。
【0062】
あるいは、栄養状態判定部303は、非対称分布を表す確率密度関数でヒストグラムを近似し、確率密度関数の適合度が予め取得された所定の値より大きいか、小さいかを判定する。確率密度関数は、例えば、カイ二乗分布又はポアソン分布を表す。確率密度関数の適合度は、例えば、ヒストグラムで与えられる測定値と、確率密度関数で与えられる近似値と、の差の二乗の和の逆数で与えられる。適合度の所定の値は、例えば、適合度を表す値が当該所定の値より大きい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量以上となり、適合度を表す値が当該所定の値より小さい場合に、微細藻類における脂質の量が規定の量未満となるよう設定される。
【0063】
栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値の少なくともいずれかが所定の値より小さく、確率密度関数の適合度を表す値が所定の値より大きい場合、微細藻類が貧栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積する状態にあると判定する。ただし、栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値については判定せずに、確率密度関数の適合度を表す値が所定の値より大きい場合、微細藻類が貧栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積する状態にあると判定してもよい。
【0064】
栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値の少なくともいずれかが所定の値より大きく、確率密度関数の適合度を表す値が所定の値より小さい場合、微細藻類が富栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積しにくい状態にあると判定する。ただし、栄養状態判定部303は、比の最小値、比の最頻値、比の中央値、及び比の平均値については判定せずに、確率密度関数の適合度を表す値が所定の値より小さい場合、微細藻類が富栄養状態にあり、内部に脂質を蓄積しにくい状態にあると判定してもよい。
【0065】
CPU300には、出力装置401が接続されている。出力装置401は、例えば、栄養状態判定部303の判定結果を出力する。例えば、栄養状態判定部303が、細胞が貧栄養状態にあると判定した場合、出力装置401は、細胞が貧栄養状態であることを表すメッセージ、音、及び信号等を発してもよい。出力装置401としては、ディスプレイ、スピーカ、及びプリンタ等が使用可能である。微細藻類の細胞が貧栄養状態にある場合、細胞は脂質を蓄積しているため、微細藻類の培養を中断し、微細藻類を回収して、脂質を抽出してもよい。
【0066】
以上説明した実施形態に係る微細藻類の栄養状態の判定装置は、微細藻類を予め蛍光染色をすることなく、個々の微細藻類に含まれる葉緑体が発する自家蛍光を検出し、微細藻類の栄養状態を判定することが可能である。また、葉緑体が発する自家蛍光に関する統計値は、ばらつきが生じたり、ノイズを含んでいたりする場合があり、統計値のみに基づいて微細藻類の栄養状態を判定すると、誤判定する可能性がある。これに対し、自家蛍光の強度と、散乱光の強度と、の比のヒストグラムの形状は、富栄養状態と貧栄養状態で大きく異なる。そのため、ヒストグラムの形状に基づいて栄養状態を判定することにより、誤判定を低減することが可能である。
【0067】
(実施例1)
クロレラ(Chlorella vulgaris Beijerinck)を3本の試験管に分注し、以下の条件で培養した。
培地:5mL TAP液体培地(試験管中)
温度:23℃
光条件:蛍光灯による光照射(10時間照射及び14時間非照射の繰り返し)
通気条件:静置培養
培養時間:6日間
【0068】
上記の培養の後、試験管をそれぞれ1000gで5分間遠心し、上清の培地を取り除いた。その後、第1の試験管には5mL TAP液体培地を入れた。第2の試験管には5mL dN−TAP液体培地を入れた。dN−TAPは、窒素欠乏TAP液体培地であり、TAP液体培地から塩化アンモニウムを除去した液体培地である。第3の試験管には5mL dS−TAP液体培地を入れた。dS−TAPは、硫黄欠乏TAP液体培地であり、TAP液体培地における硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸鉄、及び硫酸銅を、それぞれ、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化鉄、及び塩化銅に置換した液体培地である。
【0069】
第1から第3の試験管に入れられたクロレラを、培地以外は上記と同様の条件でさらに6日間培養した。
【0070】
リアルタイム微生物デテクター(IMD−W、登録商標、アズビル株式会社製)を用意した。IMD−Wは、フローセル内を流れる微生物に励起光を照射し、微生物で生じる散乱光と蛍光を測定可能な装置である。IMD−Wの励起光の波長は375nmであり、検出蛍光波長は685±20nmであった。IMD−Wで、第1から第3の試験管のそれぞれで培養されたクロレラで生じた散乱光の強度と、葉緑体で生じた自家蛍光の強度と、を測定し、散乱光の強度に対する自家蛍光の強度の比を算出して、図2から図4に示すヒストグラムを作成した。
【0071】
図2に示すように、TAP液体培地において富栄養状態で培養されたクロレラについては、散乱光の強度に対する自家蛍光の強度の比のヒストグラムに、急峻なピークは現れなかった。これに対し、図3及び図4に示すように、dN−TAP液体培地及びdS−TAP液体培地において貧栄養状態で培養されたクロレラについては、散乱光の強度に対する自家蛍光の強度の比が全体的に減少した。また、散乱光の強度に対する自家蛍光の強度の比のヒストグラムに、急峻なピークが現れた。
【0072】
(実施例2)
図5から図7に示すように、各培地で培養された微細藻類で生じた散乱光の強度に対する葉緑体で生じた自家蛍光の強度の比に対する度数の測定値を、カイ二乗分布を表す確率密度関数で近似した。なお、グラフの縦軸を揃えるため、それぞれのグラフにおいて、度数を最大値で割って標準化した。TAP液体培地で培養した場合、図5に示す測定値と、確率密度関数で与えられる近似値と、の差の二乗の和は2.7であった。dN−TAP液体培地で培養した場合、図6に示す測定値と、確率密度関数で与えられる近似値と、の差の二乗の和は0.8であった。dS−TAP液体培地で培養した場合、図7に示す測定値と、確率密度関数で与えられる近似値と、の差の二乗の和は0.3であった。したがって、貧栄養状態における度数の測定値は、非対称分布を表す確率密度関数によって高い適合度で近似できるが、富栄養状態における度数の測定値は、非対称分布を表す確率密度関数によって高い適合度で近似できないことが示された。
【符号の説明】
【0073】
10・・・励起光光源、11・・・光源駆動電源、12・・・電源制御装置、20・・・受光素子、21・・・増幅器、22・・・増幅器電源、23・・・光強度算出装置、24・・・光強度記憶装置、40・・・フローセル、50・・・散乱光受光素子、51・・・増幅器、52・・・増幅器電源、53・・・光強度算出装置、54・・・光強度記憶装置、102・・・蛍光検出器、105・・・散乱光検出器、300・・・CPU、301・・・比算出部、302・・・ヒストグラム生成部、303・・・栄養状態判定部、401・・・出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7