【解決手段】車両1が走行しているときに複数回取得した、車両の上下方向を軸とする回転の角度であるヨー角と車両の前後方向を軸とする回転の角度であるロール角とを記憶する角度記憶部331と、記憶された複数のヨー角およびロール角に基づいて、車両の左右方向を軸とする傾斜角を算出する傾斜角算出部332と、を備えるよう、傾斜角計測装置3を構成する。
車両が走行しているときに複数回取得した、前記車両の上下方向を軸とする回転の角度であるヨー角と前記車両の前後方向を軸とする回転の角度であるロール角とを記憶する角度記憶部と、
記憶された複数の前記ヨー角および前記ロール角に基づいて、前記車両の左右方向を軸とする傾斜角を算出する傾斜角算出部と、
を備える傾斜角計測装置。
前記傾斜角算出部は、前記記憶された複数の前記ヨー角および前記ロール角を、前記ヨー角の正弦を第1軸とし前記ロール角の正接を第2軸としてマッピングしたときの各点の分布傾向を表す回帰直線の傾きを求め、前記傾きの逆正接を前記傾斜角として算出する、請求項1に記載の傾斜角計測装置。
前記角度記憶部は、前記車両に設けられた角速度センサから受信した、前記車両の上下方向を軸とする回転の角速度と前記車両の前後方向を軸とする回転の角速度とをそれぞれ積分することにより、前記ヨー角および前記ロール角を取得する、請求項1または2に記載の傾斜角計測装置。
前記車両が走行を開始して以降、所定数の異なる値の前記ヨー角および対応する前記ロール角が前記角度記憶部に記憶された後に、前記傾斜角算出部が前記傾斜角を算出する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の傾斜角計測装置。
車両が走行しているときに複数回取得した、前記車両の上下方向を軸とする回転の角度であるヨー角と前記車両の前後方向を軸とする回転の角度であるロール角とを記憶する角度記憶ステップと、
記憶された前記ヨー角および前記ロール角に基づいて、前記車両の左右方向を軸とする傾斜角を算出する傾斜角算出ステップと、
を含む傾斜角計測方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車高センサにより車両の傾斜角を計測する場合、車高センサは前輪および後輪のサスペンションに取り付けられ、車高センサの出力がケーブルによりECU(Electronic Control Unit)まで伝達される必要がある。そのため、車高センサによる車両傾斜角の計測は、コストの上昇および設計自由度の低下の要因となり得る。
【0006】
また、加速度センサにより車両の傾斜角を計測する場合、加速度センサは、鉛直方向に対する傾き、すなわち車両の傾斜角と路面の傾斜角とをあわせた傾斜角を計測する。ヘッドライトの光軸は車両の傾斜角に対応して調整されるが、加速度センサの出力値は路面の傾斜角を含むため、ヘッドライトの光軸の調整にそのまま用いることができず、路面傾斜角を切り分ける処理が必要となる。
【0007】
例えば特許文献1に記載の装置では、車体と車台のそれぞれに加速度センサを設け、車体の勾配角度から車台の勾配角度を減ずることにより車体の傾きを検出している。すなわち、車体と車台の2箇所に設けた加速度センサの出力がケーブルによりECUまで伝達される必要があり、車高センサにより計測する場合と同様に設計自由度の低下の要因となり得る。さらに、加速度センサは比較的高価な部品であり、コスト上昇の要因にもなり得る。
【0008】
本発明は、簡単な構成で車両の傾斜角を計測可能な、傾斜角計測装置および傾斜角計測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる傾斜角計測装置は、車両が走行しているときに複数回取得した、車両の上下方向を軸とする回転の角度であるヨー角と車両の前後方向を軸とする回転の角度であるロール角とを記憶する角度記憶部と、記憶された複数のヨー角およびロール角に基づいて、車両の左右方向を軸とする傾斜角を算出する傾斜角算出部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる傾斜角計測装置では、傾斜角算出部は、記憶された複数のヨー角およびロール角を、ヨー角の正弦を第1軸としロール角の正接を第2軸としてマッピングしたときの各点の分布傾向を表す回帰直線の傾きを求め、傾きの逆正接を傾斜角として算出することが好ましい。
【0011】
また、本発明にかかる傾斜角計測装置では、角度記憶部は、車両に設けられた角速度センサから受信した、車両の上下方向を軸とする回転の角速度と車両の前後方向を軸とする回転の角速度とをそれぞれ積分することにより、ヨー角およびロール角を取得することが好ましい。
【0012】
また、本発明にかかる傾斜角計測装置では、車両が走行を開始して以降、所定数の異なる値のヨー角および対応するロール角が角度記憶部に記憶された後に、傾斜角算出部が傾斜角を算出することが好ましい。
【0013】
また、本発明にかかる傾斜角計測装置では、車両が走行しているときに算出された傾斜角を不揮発に記憶する傾斜角記憶部をさらに備え、傾斜角算出部は、車両が走行を開始して以降、所定数の異なる値のヨー角および対応するロール角が角度記憶部に記憶されるまで、傾斜角記憶部に記憶されている傾斜角を傾斜角として算出することが好ましい。
【0014】
また、本発明にかかる傾斜角計測装置では、車両が走行していないときの車両の移動を検出するとエラー情報を出力する停止時移動検出部と、をさらに備えることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明にかかる傾斜角計測方法は、車両が走行しているときに複数回取得した、車両の上下方向を軸とする回転の角度であるヨー角と車両の前後方向を軸とする回転の角度であるロール角とを記憶する角度記憶ステップと、記憶されたヨー角およびロール角に基づいて、車両の左右方向を軸とする傾斜角を算出する傾斜角算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
上記の傾斜角計測装置によれば、簡単な構成で車両の傾斜角を計測することができる。
【0017】
また、上記の傾斜角計測方法によれば、簡単な構成で車両の傾斜角を計測することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して傾斜角計測装置および傾斜角計測方法について詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0020】
本発明にかかる傾斜角計測装置は、車両が走行しているときに、車両の上下方向を軸とする回転の角度であるヨー角と、車両の前後方向を軸とする回転の角度であるロール角とを、車両に設けられた角速度センサから取得し、記憶する。そして、傾斜角計測装置は、記憶された複数のヨー角およびロール角に基づいて、車両の左右方向を軸とする傾斜角を算出する。これにより、傾斜角計測装置は、路面傾斜角を切り分けることなく車両の傾斜角を計測する。
【0021】
図1(a)は傾斜していない車両がカーブを走行するときの状態を説明する図であり、
図1(b)は傾斜している車両がカーブを走行するときの状態を説明する図である。
【0022】
図1(a)は、傾斜していない車両100が地点Aから地点Bへのカーブを走行する状態を示している。車両100において、前後方向を軸とする回転角であるロール角および上下方向を軸とする回転角であるヨー角をそれぞれ計測した場合、地点Aから地点Bへのカーブを走行すると、車両100は、上下方向を軸としてカーブの角度だけ回転する。すなわち、
図1(a)の状態では、カーブの角度に応じたヨー角の変化が計測され、ロール角の変化は計測されない。
【0023】
一方、
図1(b)は、前方に比べて後方が低く傾斜している車両101が地点Aから地点Bへのカーブを走行する状態を示している。車両101においてロール角およびヨー角をそれぞれ計測した場合、車両101は傾斜しているため、地点Aにおいて、車両101の前後方向の軸および上下方向の軸は、車両101の左右方向の軸を中心に回転され、傾いている。
【0024】
車両101が地点Aから地点Bへのカーブを走行すると、傾いた上下方向の軸がカーブにより回転されるため、ロール角の変化が計測される。具体的には、後方が低くなるよう傾斜した車両101が左カーブを走行すると、右回転のロール角が計測される。
【0025】
このように、車両の傾斜角に応じて、計測されるヨー角およびロール角の関係が変動する。実施形態の傾斜角計測装置は、こうしたヨー角およびロール角の関係に基づいて、車両の傾斜角を計測する。
【0026】
図2は、傾斜角計測装置を含む車両の模式図である。
【0027】
車両1は、角速度センサ2と、傾斜角計測装置3とを有する。
【0028】
角速度センサ2は、車両1に設けられ、車両1の上下方向を軸とする回転の角速度および前後方向を軸とする回転の角速度を出力するセンサである。
【0029】
傾斜角計測装置3は、角速度センサ2の出力する値に基づいて、車両1の傾斜角を算出する。傾斜角計測装置3は、角速度センサ2と一体に車両1に設けられる。角速度センサ2と傾斜角計測装置3は、それぞれ別に車両1に設けられてもよい。
【0030】
図3は、傾斜角計測装置のハードウェア構成を示す図である。
【0031】
傾斜角計測装置3は、入力部31と、出力部32と、演算部33と、記憶部34とを有する。傾斜角計測装置3は、ECUとして車両1に搭載される。
【0032】
入力部31は、角速度センサ2から出力値を受信する回路である。入力部31は、受信した出力値を演算部33に供給する。
【0033】
出力部32は、算出された傾斜角に応じた信号を出力する回路である。なお、傾斜角計測装置3が実装されるECUと同一のECUに実装される他の装置(例えば、車両1の前照灯の角度を調整するオートレベリング装置(不図示))が、傾斜角計測装置3により算出された傾斜角に基づき制御を行ってもよい。こうした場合、出力部32は省略可能である。
【0034】
演算部33は、入力部31から供給された信号に基づき演算を行い、出力部32に演算結果を出力する。演算部33は、所定のプログラムを実行することにより演算を実行する。演算部33は、専用回路により実現されてもよい。
【0035】
記憶部34は、情報を記憶する不揮発メモリである。記憶部34は、演算部33で実行されるプログラムおよび演算部33の処理結果などのデータを記憶し、不揮発に保持する。
【0036】
図4は、傾斜角計測装置の機能ブロックを示す図である。
【0037】
傾斜角計測装置3は、機能ブロックとして、角度記憶部331と、傾斜角算出部332と、傾斜角記憶部333と、停止時移動検出部334とを有する。各機能ブロックは、所定のプログラムを傾斜角計測装置3の演算部33で実行することにより実現することができる。各機能ブロックは、専用回路により実現されてもよい。
【0038】
角度記憶部331は、車両1が走行しているときに入力部31を介してヨー角およびロール角を取得する度に、取得したヨー角およびロール角を記憶部34に保存する。
【0039】
角度記憶部331は、車両1に設けられた角速度センサ2から入力部31を介して受信した、車両1の上下方向を軸とする回転の角速度と車両1の前後方向を軸とする回転の角速度とをそれぞれ積分することにより、ヨー角およびロール角を取得する。
【0040】
このような角度記憶部331によると、傾斜角計測装置3は、比較的安価かつ設置場所の自由度の大きい角速度センサ2を用いて車両1の傾斜角の計測を行うことができる。
【0041】
なお、角度記憶部331は、車両1に設けられた角度センサ(例えばポテンショメータ)または加速度センサによりヨー角およびロール角を取得してもよい。
【0042】
傾斜角算出部332は、記憶された複数のヨー角およびロール角に基づいて、車両1の左右方向を軸とする傾斜角を算出する。
【0043】
ここで、
図5ないし
図7を参照して、ヨー角およびロール角に基づく傾斜角の算出について説明する。
【0044】
図5(a)は傾斜している車両の3次元空間における姿勢を説明する模式図であり、
図5(b)は(a)の右側面図である。
【0045】
図5(a)に示すように、車両1が傾斜していない状態でz軸(上下方向)上にある点P(0,0,1)は、車両1がy軸(左右方向)を中心に角度θだけ傾斜すると、点P′に移動する。点P′のy座標は、点Pと同じく0である。
【0046】
図5(b)に示すように、xz平面において点P′は、原点を中心に点Pを角度θだけ回転させることにより得られる。したがって、点P′のx座標はsinθであり、z座標はcosθである。つまり、車両1が傾斜していない状態でz軸上にある点P(0,0,1)は、車両1がy軸を中心に角度θだけ傾斜することにより、点P′(sinθ,0,cosθ)に移動する。
【0047】
図6(a)は傾斜している車両がカーブしたときの3次元空間における姿勢を説明する模式図であり、
図6(b)は(a)の上面図であり、
図6(c)は(a)の後面図である。
【0048】
点P′は、車両1がカーブを走行することによりz軸を中心に角度ψだけ回転すると、点P′′に移動する。点P′′のz座標は、点P′と同じくcosθである。角度ψは、カーブを走行することにより車両1に生ずるz軸を中心とした回転、すなわちヨーに対応する。
【0049】
図6(b)に示すように、xy平面において点P′′は、原点を中心に点P′を角度ψだけ回転させることにより得られる。したがって、点P′′のx座標はsinθcosψであり、y座標はsinθsinψである。つまり、点P′(sinθ,0,cosθ)は、車両1がカーブを走行することにより、点P′′(sinθcosψ,sinθsinψ,cosθ)に移動する。
【0050】
図6(c)は、点P′と点P′′とのyz平面における位置関係を示している。点P′′(sinθsinψ,cosθ)は、原点を中心として点P′(0,cosθ)を角度φだけ回転した点である。角度φは、カーブを走行することにより車両1に生ずるx軸を中心とした回転、すなわちロールに対応する。
【0051】
ここで、tanφは以下の式で表すことができる。
tanφ = sinθsinψ / cosθ = (sinθ / cosθ) × sinψ (式1)
【0052】
一方、tanθについて以下の式が成り立つ。
tanθ = sinθ / cosθ (式2)
【0053】
式1に式2を代入することにより、以下の式が得られる。
tanφ = tanθ × sinψ (式3)
【0054】
式3は、角度θで傾斜した車両1においてヨー角およびロール角を取得した場合、ロール角の正接(tanφ)とヨー角の正弦(sinψ)とが、傾きをtanθとする直線上にあることを意味する。
【0055】
図7は、車体ヨー角と車体ロール角との関係の例を示すグラフである。
【0056】
グラフ700において、第1軸である横軸はヨー角の正弦(sinψ)を、第2軸である縦軸はロール角の正接(tanφ)を示している。
【0057】
第1系列701は、車体傾斜角が比較的大きい(例えば8度)状態で走行しているときに取得された複数のヨー角およびロール角をマッピングした例を示している。第2系列702は、車体傾斜角が比較的小さい(例えば4度)状態で走行しているときに取得された複数のヨー角およびロール角をマッピングした例を示している。第3系列703は、車体傾斜角がない状態で走行しているときに取得された複数のヨー角およびロール角をマッピングした例を示している。
【0058】
このようにマッピングされたロール角の正接およびヨー角の正弦について、傾斜角算出部332は、分布傾向を示す回帰直線を作成する。回帰直線は、最小二乗法などの既知の手法により作成することができる。
【0059】
例えば、第1系列701の回帰直線704の傾きが0.1439であるとする。式3より、回帰直線704の傾きは、第1系列701に対応するヨー角およびロール角を取得したときの車両1の傾斜角の正接(tanθ)に相当する。
【0060】
したがって、傾斜角算出部332は、回帰直線の傾きの逆正接(tan
-1)を求めることにより、車両1の傾斜角(θ)を算出することができる。例えば、回帰直線704の傾きの逆正接である8.132が、第1系列701に対応するヨー角およびロール角を取得したときの車両1の傾斜角として算出される。
【0061】
このように、傾斜角算出部332が、ヨー角の正弦を第1軸としロール角の正接を第2軸としてマッピングしたときの各点の分布傾向を表す回帰直線の傾きの逆正接を、車両1の傾斜角として算出することにより、傾斜角計測装置3は、路面傾斜角を切り分けることなく車両の傾斜角を計測することができる。
【0062】
傾斜角算出部332は、所定数の異なる値のヨー角および対応するロール角が角度記憶部331に記憶された後に傾斜角を算出してもよい。
【0063】
傾斜角算出部332が所定数のヨー角およびロール角に基づいて傾斜角の算出を行うようにすることで、所定数に満たないヨー角およびロール角に基づく傾斜角の算出が行われないため、傾斜角計測装置3は、車両の傾斜角をより高い精度で計測することができる。
【0064】
図4に戻り、傾斜角記憶部333は、車両1が走行しているときに算出された傾斜角を、記憶部34に保存する。傾斜角記憶部333に記憶される傾斜角は、傾斜角算出部332が新たな傾斜角を算出する度に上書きされる。
【0065】
また、傾斜角記憶部333は、車両1が走行を開始してから傾斜角算出部332が算出した傾斜角をすべて記憶しておき、この走行における車両1の傾斜角としてこれらの平均値を出力してもよい。
【0066】
また、傾斜角記憶部333は、車両1が走行しているときに他のセンサにより計測された傾斜角を記憶してもよい。他のセンサとは、例えば地磁気センサまたは加速度センサである。
【0067】
傾斜角記憶部333に記憶された傾斜角は、前回走行時に計測された車両1の傾斜角として、走行開始時点に参照可能となる。
【0068】
停止時移動検出部334は、車両1が走行していないときの車両1の移動の有無を検出するとエラー情報を出力する。
【0069】
図8は、傾斜角計測装置の動作フローチャートである。
【0070】
まず、停止時移動検出部334は、車両1が走行していないとき(停止時)の車両1の移動が検出されたか否かを判定する(ステップS1)。
【0071】
停止時における車両1の移動の有無は、例えば、車両1が備えるセキュリティシステム(不図示)による停止時における発報、角速度センサ2の出力値の停止時における閾値を超えた変動、車両1が備えるエアバッグシステム等に含まれる加速度センサ(不図示)の出力値の停止時における敷地を超えた変動、車両1が備えるカーナビゲーションシステム(不図示)または車両1と関連づけられたスマートフォン等がそれぞれ有する衛星測位システム(不図示)により取得される位置情報の変位、または、車両1が備えるカーナビゲーションシステム(不図示)または車両1と関連づけられたスマートフォン等がそれぞれ有する地磁気センサ(不図示)により取得されるセンサ値の変動などに基づいて、検出することができる。
【0072】
停止時の車両1の移動が検出されなかった場合(ステップS1:N)、角度記憶部331は、車両1のヨー角およびロール角を取得し、記憶する(ステップS2)。
【0073】
次に、傾斜角算出部332は、車両1が走行を開始して以降、所定数の異なる値のヨー角および対応するロール角が角度記憶部331に記憶されたか否かを判定する(ステップS3)。
【0074】
所定数のヨー角およびロール角が記憶されたと判定されなかった場合(ステップS3:N)、傾斜角算出部332は、傾斜角記憶部333に記憶されている傾斜角(前回値)を車両1の傾斜角として算出し(ステップS4)、ステップS2に戻る。
【0075】
所定数のヨー角およびロール角が記憶されたと判定された場合(ステップS3:Y)、傾斜角算出部332は、記憶された複数のヨー角およびロール角に基づいて、車両1の左右方向を軸とする傾斜角を算出し(ステップS5)、傾斜角計測装置3は処理を終了する。
【0076】
傾斜角算出部332が、所定数のヨー角およびロール角が記憶された後に傾斜角を算出することで、傾斜角計測装置3は、算出される傾斜角の誤差を減少させることができる。
【0077】
傾斜角算出部332が、所定数のヨー角およびロール角が記憶されるまで、傾斜角記憶部333に記憶されている傾斜角を車両1の傾斜角として算出することで、傾斜角計測装置3は、角度記憶部331に所定数のヨー角およびロール角が記憶される前であっても傾斜角を計測することができる。
【0078】
停止時の車両1の移動が検出された場合(ステップS1:Y)、停止時移動検出部334は、エラーを出力し(ステップS6)、傾斜角計測装置3は処理を終了する。
【0079】
停止時に車両1が移動されると、路面の傾斜角が変化する可能性がある。前回走行時と移動後とで路面傾斜角が変化している場合、前回走行時の傾斜角は、その時の傾斜角として使用するのに適切なものではない。
【0080】
停止時移動検出部334が、停止時の車両1の移動が検出された場合にエラーを出力することにより、適切でない前回走行時の傾斜角の使用による不具合を回避することができる。
【0081】
停止時移動検出部334の出力するエラーに基づいて、車両1は、車両1の前照灯の角度を調整するオートレベリング装置におけるオートレベリング制御を中止してよい。このとき、オートレベリング装置は、前照灯の角度を下げるなどのフェールセーフ制御を行ってよい。また、停止時移動検出部334の出力するエラーに基づいて、車両1は、ユーザへの通知を行ってよい。
【0082】
以上のように傾斜角計測装置3を動作させることにより、傾斜角計測装置3は、加速度センサよりも安価な角速度センサを用いて、路面傾斜角を切り分けることなく車両の傾斜角を計測することができる。
【0083】
なお、傾斜角計測装置3は、停止時移動検出部334を有していなくてもよい。さらに、傾斜角計測装置3は、傾斜角記憶部333を有していなくてもよい。
【0084】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、種々の変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。