【解決手段】スペクトルイメージ、特に、ラマン分光基盤のスペクトルイメージの曲率補正装置100が開示される。一実施形態によれば、スペクトルイメージの曲率補正装置は、スペクトルイメージを獲得するイメージ獲得部110;スペクトルイメージに対して、スペクトルの微分値に基づいて特徴波長に対するピーク波長を検出し、検出されたピーク波長を用いてスペクトルイメージの曲率を補正するプロセッサ120;を含みうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、スペクトルイメージ補正装置及び方法と、対象体の成分分析装置と、を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、スペクトルイメージ補正装置は、スペクトルイメージを獲得するイメージ獲得部;及びスペクトルイメージのスペクトルの微分値に基づいて特徴波長に対するピーク波長(peak wavelength)を検出し、該検出されたピーク波長を用いてスペクトルイメージの曲率を補正するプロセッサ;を含みうる。
【0005】
イメージ獲得部は、対象体に光を照射する光源;及び対象体から散乱または反射した光に基づいて、スペクトルイメージを獲得するディテクター;を含みうる。
【0006】
イメージ獲得部は、ラマン分光技法に基づいてスペクトルイメージを獲得することができる。
【0007】
ディテクターは、CCD、ダイオードアレイ(diode array)及びフィルム(film)のうちの少なくとも1つを含みうる。
【0008】
プロセッサは、スペクトルイメージの各行(row)に対して、スペクトルを微分し、スペクトルの微分値に基づいてピーク波長を検出するピーク検出部を含みうる。
【0009】
ピーク検出部は、スペクトルイメージの各行に対して、スペクトルを、1次微分及び2次微分して、1次微分値が0であり、2次微分値が負数である地点をピーク波長に対応するものと検出することができる。
【0010】
ピーク検出部は、スペクトルイメージが得られると、スペクトルの全体波長帯域から曲率補正を行う1つ以上の特徴波長を選択し、該選択された1つ以上の特徴波長は、特徴波長を含みうる。
【0011】
ピーク検出部は、スペクトルを、ローパスフィルター(Low Pass Filter、LPF)、バンドパスフィルター(Band Pass Filter、BPF)及びハイパスフィルター(High Pass Filter、HPF)のうちの少なくとも1つを適用して、前記選択された1つ以上の特徴波長を含む複数の波長バンドに分割し、前記複数の波長バンドのそれぞれを微分して、各波長バンド別に1つのピーク波長を検出することができる。
【0012】
プロセッサは、選択された1つ以上の特徴波長に対して検出されたピーク波長に基づいて、前記1つ以上の特徴波長に対する曲率を計算する曲率計算部を含みうる。
【0013】
曲率計算部は、汎用最小二乗回帰法(Ordinary Least Squares regression)を用いて、前記選択された1つ以上の特徴波長に対する曲率を計算することができる。
【0014】
プロセッサは、選択された1つ以上の特徴波長に対して計算された曲率に基づいて、前記スペクトルイメージの各ピクセルの強度(intensity)を補間して曲率補正を行うピクセル補間部をさらに含みうる。
【0015】
一態様によれば、スペクトルイメージを獲得する段階;前記スペクトルイメージに対して、スペクトルの微分値に基づいて特徴波長に対するピーク(peak)波長を検出する段階;及び検出されたピーク波長に基づいてスペクトルイメージの曲率を補正する段階;を含みうる。
【0016】
スペクトルイメージを獲得する段階は、ラマン分光技法に基づいてスペクトルイメージを獲得することができる。
【0017】
ピーク波長を検出する段階は、前記スペクトルイメージの各行に対して、スペクトルを微分し、スペクトルの微分値に基づいてピーク波長を検出することができる。
【0018】
ピーク波長を検出する段階は、前記スペクトルイメージの各行に対して、スペクトルを、1次微分及び2次微分して、1次微分値が0であり、2次微分値が負数である地点をピーク波長に対応するものと検出することができる。
【0019】
ピーク波長を検出する段階は、前記スペクトルイメージが得られると、スペクトルの全体波長帯域から曲率補正を行う1つ以上の特徴波長を選択する段階を含み、前記選択された1つ以上の特徴波長は、前記特徴波長を含みうる。
【0020】
ピーク波長を検出する段階は、前記スペクトルを、ローパスフィルター(LPF)、バンドパスフィルター(BPF)及びハイパスフィルター(HPF)のうちの少なくとも1つを適用して、前記選択された1つ以上の特徴波長を含む複数の波長バンドに分割する段階をさらに含み、前記分割された各波長バンドを微分して、各波長バンド別に1つのピーク波長を検出することができる。
【0021】
曲率を補正する段階は、選択された1つ以上の特徴波長に対して検出されたピーク波長に基づいて、前記選択された1つ以上の特徴波長に対する曲率を計算する段階を含みうる。
【0022】
曲率を計算する段階は、汎用最小二乗回帰法を用いて、前記特徴波長に対する曲率を計算することができる。
【0023】
曲率を補正する段階は、前記選択された1つ以上の特徴波長に対して計算された曲率に基づいて、前記スペクトルイメージの各ピクセルの強度を補間して曲率補正を行う段階をさらに含みうる。
【0024】
一態様によれば、外部機器からスペクトルイメージを受信する通信部;及びスペクトルイメージに対して、スペクトルの微分値に基づいて特徴波長に対するピーク波長を検出し、該検出されたピーク波長を用いて、前記スペクトルイメージの曲率を補正するプロセッサ;を含みうる。
【0025】
プロセッサは、スペクトルイメージの各行に対して、スペクトルを微分し、スペクトルの微分値に基づいてピーク波長を検出するピーク検出部を含みうる。
【0026】
ピーク検出部は、前記スペクトルイメージの各行に対して、スペクトルを、1次微分及び2次微分して、1次微分値が0であり、2次微分値が負数である地点をピーク波長に対応するものと検出することができる。
【0027】
プロセッサは、前記特徴波長に対して検出されたピーク波長に基づいて、汎用最小二乗回帰法を用いて、前記特徴波長に対する曲率を計算する曲率計算部を含みうる。
【0028】
プロセッサは、前記特徴波長に対して計算された曲率に基づいて、前記スペクトルイメージの各ピクセルの強度を補間して曲率補正を行うピクセル補間部をさらに含みうる。
【0029】
一態様によれば、対象体の成分分析装置は、スペクトルイメージを獲得するイメージ獲得部;及び基準スペクトルイメージに対して、スペクトルの微分値の特性に基づいて特徴波長に対するピーク波長を検出し、該検出されたピーク波長に基づいて曲率を補正する曲率補正部;及び前記基準スペクトルイメージの曲率補正結果に基づいて分析スペクトルイメージを補正して、スペクトルを復元し、該復元されたスペクトルに基づいて対象体の成分を分析する成分分析部;を含みうる。
【0030】
イメージ獲得部は、ラマン分光技法に基づいてスペクトルイメージを獲得することができる。
【0031】
曲率補正部は、前記スペクトルイメージの各行に対して、スペクトルを、1次微分及び2次微分して、1次微分値が0であり、2次微分値が負数である地点をピーク波長に対応するものと検出することができる。
【0032】
曲率補正部は、前記特徴波長に対して検出されたピーク波長に基づいて、汎用最小二乗回帰法を用いて、前記特徴波長に対する曲率を計算し、該計算された曲率に基づいて、前記スペクトルイメージの各ピクセルの強度を補間して曲率補正を行うことができる。
【0033】
成分分析部は、前記成分分析の結果に基づいてスペクトルイメージの補正有無を判断し、該判断の結果に基づいてユーザにスペクトルイメージ補正に関するガイド情報を提供することができる。
【0034】
対象体の成分は、血糖、抗酸化度、皮膚癌、微塵、中性脂肪、カロリー、アルコール、コレステロール、タンパク質及び尿酸のうちの少なくとも1つを含みうる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。記載の技術の利点及び特徴、そして、それらを果たす方法は、図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すると、明確になる。明細書の全般に亘って同じ参照符号は、同じ構成要素を称する。
【0037】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素の説明に使われるが、構成要素は、用語によって限定されるものではない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。単数の表現は、文脈上、取り立てて明示しない限り、複数の表現を含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に取り立てて言及しない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。また、明細書に記載の「...部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアとして具現されるか、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで具現可能である。
【0038】
後術するスペクトルイメージ補正装置の多様な実施形態は、携帯用ウェアラブル機器やスマート機器などの機器に搭載されうる。例えば、機器は、手首に着用するスマートウォッチ、スマートバンド型、ヘッドホン型、ヘアバンド型などの多様な形態で製作されるウェアラブル機器や、スマートフォン、タブレットPCのようなモバイル機器を含むが、これらに制限されるものではない。
【0039】
図1は、一実施形態によるスペクトルイメージ補正装置のブロック図である。
【0040】
図1を参照すれば、スペクトルイメージ補正装置100は、イメージ獲得部110及びプロセッサ120を含む。
【0041】
イメージ獲得部110は、対象体(OBJ)からスペクトルイメージを獲得することができる。イメージ獲得部110は、ラマン分光(例:分光器)基盤のイメージ獲得センサーであり、光源111及びディテクター112を含みうる。但し、必ずしもラマン分光技法で限定されるものではなく、近赤外線分光技法など多様な技法で獲得されたスペクトルイメージを獲得することができる。
【0042】
光源111は、スペクトルイメージの光収差(light aberration)、例えば、曲率を補正するために、基準対象体(OBJ)に光を照射することができる。光源111は、LED(light emitting diode)、レーザダイオード(laser diode)及び蛍光体などを含みうる。光源111は、1つまたは複数のアレイで形成されうる。光源111は、ラマン分光技法によってスペクトルイメージを獲得するために、レーザ単一光を照射するように形成されうる。
【0043】
ディテクター112は、光源111によって照射されて対象体から散乱/反射した光(以下、‘散乱光’と称する)を検出することができる。ディテクター112は、マルチピクセルで形成された、CCDディテクター(CCDイメージセンサー)、CMOSイメージセンサー、MOSイメージセンサー、ダイオードアレイ及びフィルムなどを含みうる。
【0044】
図2A及び
図2Bは、スペクトルイメージを獲得することを説明するために、イメージ獲得部を簡略に示した図面である。
【0045】
図2Aを参照すれば、光源111から照射されたレーザ光は、対象体(OBJ)に入射される。対象体(OBJ)に入射された光は、対象体内の成分によって散乱され、散乱光は、スリット21を通過してCCDディテクター112によって検出される。スリット21の幅は、調節可能であり、スリット21の幅を調節することにより、分解能を調節することができる。この際、スリット21を通過した光は、レンズ22を経てミラー23によって方向が転換されてCCDディテクター112に入ることができる。
【0046】
図2Bを参照すれば、グラフ(1)は、CCDディテクター112によって復元されたスペクトルイメージを図示したものである。ラマン光は、強度(intensity)と波長(wavelength)との関数として検出されて、スペクトルイメージに復元されうる。ここで、X軸は、CCDディテクター112の行方向であって、スリット21の高さを示す。Y軸は、列方向であって、波長を示す。スペクトルイメージでスペクトルラインが一定の曲率を有することを示す。グラフ(2)は、それぞれのスペクトルラインは、互いに異なる曲率値を有していることを示す。
【0047】
一般的に、ディテクター112を通じるスペクトルイメージは、光学異常を含みうる。曲率などの光学異常は、スペクトル帯域(spectrum band)の重複及び/またはピークの不十分な分離をもたらしうる。このような現象は、対象体成分分析の正確度を落とす。
【0048】
プロセッサ120は、獲得されたスペクトルイメージの曲率を補正することができる。プロセッサ120は、ソフトウェア的にスペクトルイメージの曲率を補正することができる。例えば、スペクトルイメージに対して、微分値の特性に基づいて特徴波長(characteristic wavelength)に対するピークを検出することができる。この際、特徴波長は、スペクトルイメージで曲率補正に活用しようとするスペクトルラインに対応する波長を意味する。
【0049】
また、プロセッサ120は、各特徴波長に対して検出されたピーク情報を用いてピクセル強度を調節することにより、スペクトルイメージの曲率を補正することができる。この際、ピーク情報及び汎用最小二乗回帰法を用いて、各特徴波長に該当するスペクトルラインに対する曲率を計算し、該計算された曲率情報を用いてスペクトルイメージの曲率を補正することができる。
【0050】
図3は、他の実施形態によるスペクトルイメージ補正装置のブロック図である。
【0051】
図3を参照すれば、スペクトルイメージ補正装置300は、プロセッサ120の他に通信部311及び保存部312を含みうる。他の実施形態によれば、スペクトルイメージ補正装置300は、イメージ獲得のためのセンサーを搭載しないので、装置300の小型化が可能である。
【0052】
プロセッサ120は、通信部311によって外部機器350から補正するスペクトルイメージを受信すれば、スペクトルイメージに対して微分値の特性及び/または汎用最小二乗回帰法に基づいてスペクトルイメージの曲率を補正することができる。
【0053】
通信部311は、外部機器350からスペクトルイメージ補正要請及び/またはスペクトルイメージを受信することができる。外部機器350は、ラマンスペクトルイメージ獲得を行うラマン分光センサー、スマートフォン、タブレットPC、デスクトップPCなどの情報処理装置及びヘルスケア機器などを含みうる。また、通信部311は、プロセッサ120の処理結果、例えば、スペクトルイメージの曲率補正結果を外部機器350に伝送しうる。
【0054】
この際、通信部311は、ブルートゥース(登録商標)(bluetooth)通信、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信、近距離無線通信(Near Field Communication unit)、WLAN(Wi−Fi)通信、ジグビー(Zigbee)通信、赤外線(IrDA、infrared Data Association)通信、WFD(Wi−Fi Direct)通信、UWB(ultra wideband)通信、Ant+通信、Wi−Fi通信、3G、4G及び5G通信技術などを活用することができる。但し、これらに限定されるものではない。
【0055】
保存部312は、外部機器350から受信したスペクトルイメージを含んだ各種の情報を保存することができる。例えば、ユーザの年齢、性別及び健康状態などのユーザ情報を含みうる。また、保存部312は、プロセッサ120の処理結果を保存することができる。例えば、スペクトルイメージの曲率計算値などの曲率補正結果を保存することができる。
【0056】
この際、保存部312は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、SDまたはXDメモリなど)、RAM(Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read−Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、PROM(Programmable Read−Only Memory)、磁気メモリ、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの記録媒体を含みうる。
【0057】
図4は、
図1及び
図3のプロセッサ構成のブロック図である。
図5Aから
図5Hは、スペクトルイメージの曲率補正を説明する図面である。
図4から
図5Hを参照して、本実施形態によってスペクトルイメージを補正する過程を説明する。
【0058】
図4を参照すれば、一実施形態によるプロセッサ120は、ピーク検出部410、曲率計算部420及びピクセル補間部430を含みうる。
【0059】
ピーク検出部410は、ロースペクトルイメージ(raw spectral image)(生のスペクトルイメージ)、すなわち、スペクトルの全体波長帯域から曲率補正に利用する1つ以上の特徴波長を選択することができる。例えば、
図5Aは、曲率を補正しようとするロースペクトルイメージを図示したものである。
図5Bは、ロースペクトルイメージから曲率補正に利用する3つの特徴波長(CP
1、CP
k、CP
n)を図示したものである。
【0060】
ピーク検出部410は、スペクトルイメージの各行に対して、順次に、または選択された少なくとも一部の行に対して、スペクトルを微分し、微分値に基づいて特徴波長に対して、各行別にピークを検出することができる。
図5Bを参照すれば、選択された3つの行(R1、R2、R3)を例示している。
【0061】
一方、ピーク検出部410は、スペクトルを、各特徴波長を含むそれぞれの単位バンドに分割することができる。ここで、「単位バンド」は、また波長バンドとして参照される。例えば、スペクトルをローパスフィルター(LPF)、バンドパスフィルター(BPF)及びハイパスフィルター(HPF)のうちの少なくとも1つを用いて、各特徴波長を含む単位バンドに分割することができる。
図5Cは、スペクトルイメージの特定の行に対するスペクトルの1つのバンドを図示したものであって、スペクトルバンドは、例えば、所定の特徴波長460cm
−1を含んでいることが分かる。
【0062】
ピーク検出部410は、各バンドのスペクトルを微分し、微分値に基づいて特徴波長に対するピークを決定することができる。例えば、ピーク検出部410は、スペクトルを、1次微分及び2次微分し、1次微分値が0でありながら、2次微分値が負数であるスペクトルの地点を、その行に対して特徴波長のピークとして決定することができる。例えば、
図5Cを参照すれば、スペクトルの1次微分値(P
12)が0であり、2次微分値(P
13)が負数であるスペクトルの地点(P
11)の波長(約458cm
−1)を特徴波長460cm
−1に対するピークとして決定することができる。ピーク検出部410は、このように選択された特徴波長に対するピークをスペクトルイメージの各行別に決定することができる。
【0063】
曲率計算部420は、ピーク検出部410によって選択された各特徴波長に対する各行別のピークを用いて、当該特徴波長に対する曲率を計算することができる。例えば、曲率計算部420は、汎用最小二乗回帰法を用いて、各特徴波長に対する曲率を計算することができる。
図5Dは、スペクトルイメージに対して、各行別のピークの波長をプロット(plot)して示した所定の特徴波長に対する曲率放物線を例示したものである。
【0064】
図5B及び
図5Eを参照して説明すれば、曲率計算部420は、各特徴波長(CP
1、CP
k、CP
n)に対して少なくとも3つの行(R1、R2、R3)に対して検出されたピークに基づいて、下記の数式1のような汎用最小二乗回帰法の係数を決定することにより、各特徴波長のスペクトルラインに対する曲率を計算することができる。
【0065】
例えば、最初の特徴波長(CP
1)が100cm
−1であり、3つの行(R1、R2、R3)の値が100、500及び800であり、各行(R1、R2、R3)に対して検出されたピークが80、70及び98であると仮定すれば、各行の値及びその行に対応するピーク波長を数式1に代入することにより、最初の特徴波長(CP
1)に対する係数(a
1、b
1、c
1)を算出することができる。このような方法で特徴波長(CP
k)に対する係数(a
k、b
k、c
k)及び特徴波長(CP
n)に対する係数(a
n、b
n、c
n)を算出することができる。
【0067】
ここで、xは、スペクトルイメージの特定の行の値を示し、yは、行xに対して検出されたピーク波長を示す。
【0068】
ピクセル補間部430は、曲率計算部420によって、各特徴波長に対して算出された曲率情報に基づいてスペクトルイメージの全体曲率を補正することができる。ピクセル補間部430は、各特徴波長に対してピクセル強度の値を調節する補間(interpolation)作業を行うことにより、各特徴波長のスペクトルラインを垂直に正しく立てることができる。また、各特徴波長に対して計算された曲率情報に基づいて、その周辺波長に対するピクセル補間を行うことにより、全体スペクトルイメージの曲率を補正することができる。
【0069】
例えば、
図5Fを参照すれば、スペクトルイメージの特定の行、例えば、中心行500をスペクトルの中心と仮定し、その中心行(500位置)を基準に、各特徴波長(CP
1、CP
k、CP
n)のスペクトルラインが垂直になるように、各ピクセルの強度を調節することができる。但し、これに制限されるものではなく、本実施形態によれば、必ずしも中心行を基準にする必要はなく、任意の行を基準に垂直ビニング(vertical binning)を行うことができる。
【0070】
図5Gは、このような方法で曲率を補正して、各スペクトルラインを垂直に立てた補正されたスペクトルイメージを図示したものである。
図5Hは、補正されたスペクトルイメージに基づいてスペクトルを復元したものを例示したものである。本実施形態によれば、スペクトルイメージで特徴波長に対するピークを微分値に基づいて検出することができる。また、汎用最小二乗回帰法に基づいて、各特徴波長に対するスペクトルラインの曲率を個別的に計算することにより、スペクトルイメージの中心行ではない、すなわち、整列が合わない場合にも、任意の行を基準に垂直ビニングを行うことができる。
【0071】
図6は、一実施形態によるスペクトルイメージ補正方法のフローチャートである。
【0072】
図6は、
図1及び
図3の実施形態によるスペクトルイメージ補正装置100、300によって行われるスペクトルイメージ補正方法の一実施形態である。
【0073】
図6を参照すれば、スペクトルイメージ補正装置は、スペクトルイメージ補正要請に応じてスペクトルイメージを獲得することができる(610)。スペクトルイメージ補正要請は、ユーザから入力されるか、外部機器から受信することができる。例えば、スペクトルイメージ補正要請が受信されると、スペクトルイメージ補正装置は、内部に搭載されたラマン分光基盤のイメージ獲得センサーを駆動して、ロースペクトルイメージを獲得することができる。
【0074】
次いで、スペクトルイメージに対して、微分値の特性に基づいて所定の特徴波長に対するピークを検出することができる(620)。
【0075】
スペクトルイメージ補正装置は、ロースペクトルイメージから曲率補正に利用する1つ以上の特徴波長を選択することができる。また、スペクトルイメージの各行に対して、スペクトルを微分し、微分値に基づいて選択された1つ以上の特徴波長に対するピークを検出することができる。この際、1つ以上の特徴波長を選択すれば、スペクトルを、各特徴波長を含むそれぞれの単位バンドに分割し、該分割された各バンドのスペクトルを微分して、微分値に基づいて特徴波長に対するピークを決定することができる。
【0076】
スペクトルイメージ補正装置は、各行別にスペクトルを、1次微分及び2次微分し、1次微分値が0でありながら、2次微分値が負数であるスペクトルの地点を、その行に対して特徴波長のピークとして決定することができる。
【0077】
次いで、検出されたピークを用いてスペクトルイメージの曲率を補正することができる(630)。
【0078】
例えば、スペクトルイメージ補正装置は、ある特徴波長に対して、各行別に検出されたピークを用いて、当該特徴波長に対する曲率を計算することができる。この際、汎用最小二乗回帰法を用いて、各特徴波長に対する曲率を計算することができる。
【0079】
また、各特徴波長に対してスペクトルラインの曲率が計算されると、該計算された曲率情報に基づいてスペクトルイメージの全体曲率を補正することができる。例えば、各特徴波長に対してピクセル強度の値を補間することにより、各特徴波長のスペクトルラインを垂直に正しく立てる垂直ビニングを行うことができる。また、各特徴波長に対して計算された曲率情報に基づいて、その周辺波長に対するピクセル補間を行うことにより、全体スペクトルイメージの曲率を補正することができる。
【0080】
以下、対象体の成分分析装置及び方法の実施形態を図面を参考にして詳しく説明する。後術する対象体の成分分析装置の多様な実施形態は、携帯用ウェアラブル機器やスマート機器などの機器に搭載されうる。例えば、機器は、手首に着用するスマートウォッチ、スマートバンド型、ヘッドホン型、ヘアバンド型などの多様な形態で製作されるウェアラブル機器や、スマートフォン、タブレットPCのようなモバイル機器を含むが、これらに制限されるものではない。
【0081】
図7は、一実施形態による対象体の成分分析装置のブロック図である。
【0082】
図7を参照すれば、対象体の成分分析装置700は、イメージ獲得部710、曲率補正部720及び成分分析部730を含みうる。曲率補正部720及び成分分析部730は、1つのプロセッサに含まれるか、2つ以上のプロセッサにそれぞれ含まれうる。
【0083】
イメージ獲得部710は、ラマン分光技法でラマンスペクトルイメージを獲得することができる。但し、必ずしもラマン分光技法で限定されるものではなく、近赤外線分光技法など多様な技法で獲得されたスペクトルイメージを獲得することができる。例えば、イメージ獲得部710は、対象体に光を照射する光源と、対象体から散乱された光を検出してスペクトルイメージを獲得するディテクターと、を含みうる。光源は、1つ以上であり、LED、LDなどを含みうる。ディテクターは、マルチピクセルで形成されるCCDディテクター(CCDイメージセンサー)、CMOSイメージセンサー、MOSイメージセンサー、ダイオードアレイなどを含みうる。
【0084】
曲率補正部720は、基準対象体から獲得された基準スペクトルイメージを用いてスペクトルイメージの曲率を補正することができる。基準スペクトルイメージから曲率を補正する過程は、対象体の成分分析装置700の製作時点に行われる。
【0085】
曲率補正部720は、基準スペクトルイメージから曲率補正に利用する1つ以上の特徴波長を選択することができる。曲率補正部720は、スペクトルを、各特徴波長を含む波長帯域のバンドに区分することができる。
【0086】
曲率補正部720は、スペクトルイメージの各行別のスペクトルを微分し、その微分値の特性に基づいてスペクトルイメージの曲率補正に利用する1つ以上の特徴波長に対するピークを決定することができる。例えば、曲率補正部720は、スペクトルイメージの各行に対するスペクトルを、1次微分及び2次微分して、1次微分値が0であり、2次微分値が負数であるスペクトルの地点をピークとして決定することができる。
【0087】
曲率補正部720は、各特徴波長に対する各行別のピークを用いて、当該特徴波長に対する曲率を計算することができる。例えば、曲率補正部720は、汎用最小二乗回帰法を用いて、各特徴波長に対する曲率を計算することができる。
【0088】
曲率補正部720は、各特徴波長に対して計算された曲率情報に基づいてスペクトルイメージの全体曲率を補正することができる。曲率補正部720は、各特徴波長に対してピクセル強度の値を調節する補間作業を行うことにより、各特徴波長のスペクトルラインを垂直に正しく立てることができる。また、各特徴波長に対して計算された曲率情報に基づいて、その周辺波長に対するピクセル補間を行うことにより、全体スペクトルイメージの曲率を補正することができる。
【0089】
成分分析部730は、分析対象体、例えば、人体皮膚の成分分析要請が受信されると、イメージ獲得部710を駆動し、イメージ獲得部710から対象体の成分分析のための分析スペクトルイメージを受信することができる。対象体の成分分析要請は、ユーザから入力されうる。または、分析周期が設定された場合、当該周期になれば、自動で対象体の成分分析要請が受信されたと判断することができる。
【0090】
成分分析部730は、分析スペクトルが受信されると、基準スペクトルイメージの曲率補正結果に基づいて分析スペクトルイメージを補正することができる。
【0091】
成分分析部730は、補正された分析スペクトルイメージからスペクトルを復元し、該復元されたスペクトルを用いて対象体の成分を分析することができる。成分分析部730は、復元されたスペクトルの吸光度と既定の成分推定モデルに基づいて対象成分の濃度を測定することができる。この際、対象体の成分は、血糖、抗酸化度、皮膚癌、微塵、中性脂肪、カロリー、アルコール、コレステロール、タンパク質及び尿酸などを含みうる。
【0092】
一方、成分分析部730は、成分分析の結果に基づいてスペクトルイメージの補正有無を判断することができる。この際、スペクトルイメージ補正のための基準があらかじめ設定されうる。例えば、血糖測定の場合、測定された血糖濃度が既定の正常血糖範囲を外れ、該外れた回数が所定回数以上であれば、スペクトルイメージを再び補正しなければならないと判断することができる。スペクトルイメージ補正のための基準は、多様に設定可能であり、例示されたものに制限されるものではない。成分分析部730は、判断の結果、スペクトルイメージの補正が必要であると判断すれば、ユーザにスペクトルイメージ補正に関するガイド情報を提供することができる。
【0093】
図8は、他の実施形態による対象体の成分分析装置のブロック図である。
【0094】
図8を参照すれば、対象体の成分分析装置800は、イメージ獲得部710、曲率補正部720、成分分析部730、保存部810及び出力部820を含みうる。イメージ獲得部710、曲率補正部720及び成分分析部730については、前述した。
【0095】
保存部810は、各種の基準情報を保存することができる。例えば、基準情報は、対象体の成分測定モデル、成分測定周期、及びユーザの年齢、性別及び健康状態などのユーザ情報を含みうる。また、保存部810は、曲率補正部720の処理結果、例えば、曲率補正結果を保存することができる。また、保存部810は、成分分析部730の成分分析の結果を保存することができる。
【0096】
この際、保存部810は、フラッシュメモリタイプ、ハードディスクタイプ、マルチメディアカードマイクロタイプ、カードタイプのメモリ(例えば、SDまたはXDメモリなど)、RAM、SRAM、ROM、EEPROM、PROM、磁気メモリ、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの記録媒体を含みうる。
【0097】
出力部820は、成分分析部730の処理結果をユーザに出力することができる。例えば、出力部820は、測定された対象体の成分濃度情報を視覚的または非視覚的にユーザに提供することができる。出力部820は、同様にユーザの健康状態モニタ情報を出力することができる。この際、ディスプレイに出力される成分濃度値の色相を変更するか、ハプティックモジュールを通じて触感や振動などの方法でユーザに情報を提供することができる。また、出力部820は、成分分析部730がスペクトルイメージを再び補正する必要があると判断すれば、スペクトルイメージの再補正が必要であるというガイド情報を出力することができる。
【0098】
図9は、一実施形態による対象体の成分分析方法のフローチャートである。
【0099】
図9は、
図7及び
図8の実施形態による対象体の成分分析装置700、800によって行われる成分分析方法の一実施形態である。
【0100】
図9を参照すれば、成分分析装置は、対象体の成分分析要請を受信することができる(901)。一例として、ユーザから対象体の成分分析要請を受信することができる。他の例として、既定の一定周期になれば、自動で成分分析要請と判断することができる。
【0101】
次いで、成分分析のための対象体、例えば、ユーザの皮膚組織から分析用スペクトルイメージを獲得することができる(902)。この際、スペクトルイメージは、ラマンスペクトルイメージであり得る。
【0102】
次いで、基準スペクトルイメージに対して行われた曲率補正結果に基づいて分析スペクトルイメージの曲率を補正することができる(903)。この際、基準スペクトルイメージを利用した曲率補正は、最初の装置の製作時点、所定周期またはユーザの要請に応じて行われる。本実施形態による基準スペクトルイメージの曲率補正は、ソフトウェア的に行われる。例えば、基準スペクトルイメージから微分値の特性に基づいて曲率補正に利用する特徴波長に対するピークを検出し、該検出されたピークを用いて曲率計算及びピクセル強度の補間を通じて全体スペクトルイメージの曲率を補正することができる。
【0103】
次いで、曲率が補正された分析スペクトルイメージに基づいてスペクトルを復元し(904)、該復元されたスペクトルを用いて対象体の成分を分析することができる(905)。例えば、スペクトル吸光度と既定の成分測定モデルを用いて成分濃度を測定することができる。
【0104】
次いで、対象体の成分分析の結果に基づいて曲率補正の再遂行が必要であるか否かを判断することができる(906)。例えば、現在測定された成分濃度が既定の正常範囲を外れ、所定期間正常範囲を外れた回数が臨界値を超過する場合、曲率補正の再遂行が必要であると判断することができる。
【0105】
次いで、段階(906)で判断した結果、曲率補正の再遂行が必要な場合、曲率補正再遂行に対するガイドを出力することができる(907)。例えば、装置のディスプレイを通じて「スペクトルイメージの曲率補正が必要です」のような情報を視覚的に表示するか、音声信号に変換した後、スピーカーモジュールを通じて音声で出力することができる。
【0106】
もし、段階(906)で判断した結果、曲率補正の再遂行が必要ではない場合、成分分析の結果を出力することができる(908)。成分分析の結果は、視覚的及び/または非視覚的な方法で出力することができる。例えば、成分濃度が正常範囲を外れた場合、赤色で表示することにより、ユーザに視覚的に正常ではないということを知らせることができる。または、ハプティックモジュールが搭載または連結されている場合、ハプティックモジュールを通じて振動や触感などの方法で測定された成分濃度に異常があるということを知らせることができる。
【0107】
一方、本実施形態は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なコードとして具現することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取れるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。
【0108】
コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ記録装置などがあり、また、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを介した伝送)の形態で具現するものを含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータで読み取り可能なコードとして保存されて実行可能である。そして、本実施形態を具現するための機能的な(functional)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーによって容易に推論されうる。
【0109】
当業者ならば、開示された技術的思想や必須的な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるであろう。したがって、前述した実施形態は、あらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないということを理解せねばならない。