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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-219609(P2019-219609A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】液晶パネルおよび電気光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20191129BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20191129BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20191129BHJP
   C08F 4/04 20060101ALI20191129BHJP
   C08F 4/32 20060101ALI20191129BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20191129BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20191129BHJP
   C08G 59/40 20060101ALI20191129BHJP
   C08F 2/40 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   G02F1/1339 505
   G02F1/1334
   G02F1/13357
   C08F4/04
   C08F4/32
   C08L33/06
   C08L63/00 Z
   C08G59/40
   C08F2/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-118813(P2018-118813)
(22)【出願日】2018年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩壁 靖
(72)【発明者】
【氏名】福岡 暢子
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健太郎
【テーマコード(参考)】
2H189
2H391
4J002
4J011
4J015
4J036
【Fターム(参考)】
2H189AA04
2H189BA04
2H189CA04
2H189EA03Y
2H189EA11Y
2H391AA25
2H391AB05
2H391CB03
4J002BG03W
4J002CD00X
4J002GJ02
4J002GP00
4J002GQ00
4J011NA15
4J011NA18
4J011NA23
4J011NA27
4J011NB01
4J015AA03
4J015CA05
4J015CA06
4J015CA08
4J015CA09
4J036AA01
4J036DB15
4J036DC03
4J036DC40
4J036DD02
4J036FB03
4J036GA22
4J036GA24
4J036JA06
4J036JA07
(57)【要約】
【課題】 シール部を好適に硬化させることが可能な液晶パネルおよび当該液晶パネルを備えた電気光学装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る液晶パネルは、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板を接着するシール部と、前記シール部によって前記第1基板と前記第2基板の間に封入された液晶層とを備えている。前記シール部は、10時間半減期温度が95℃以下の熱ラジカル重合開始剤と、アクリル樹脂とを含む。前記液晶層は、高分子化合物を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
10時間半減期温度が95℃以下の熱ラジカル重合開始剤と、アクリル樹脂とを含み、前記第1基板と前記第2基板を接着するシール部と、
高分子化合物を含み、前記シール部によって前記第1基板と前記第2基板の間に封入された液晶層と、
を備える液晶パネル。
【請求項2】
前記液晶層は、光を散乱させる散乱型液晶層である、
請求項1に記載の液晶パネル。
【請求項3】
前記熱ラジカル重合開始剤の前記10時間半減期温度は、40℃以上かつ80℃以下である、
請求項1または2に記載の液晶パネル。
【請求項4】
前記シール部は、エポキシ樹脂と、熱硬化剤とをさらに含み、
前記熱硬化剤の反応開始温度は、前記熱ラジカル重合開始剤の前記10時間半減期温度よりも高い、
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の液晶パネル。
【請求項5】
前記熱硬化剤の前記反応開始温度は、前記熱ラジカル重合開始剤の前記10時間半減期温度よりも15℃以上高い、
請求項4に記載の液晶パネル。
【請求項6】
前記熱硬化剤は、アミン系熱硬化剤である、
請求項4または5に記載の液晶パネル。
【請求項7】
前記第1基板または前記第2基板の側面に光を照射する光源をさらに備える、
請求項1ないし6のうちいずれか1項に記載の液晶パネル。
【請求項8】
前記第1基板および前記第2基板の一方から他方に向けて突出する突起をさらに備え、
前記シール部の前記液晶層側の端部は、平面視において前記突起と重畳する、
請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の液晶パネル。
【請求項9】
前記液晶層は、重合禁止剤をさらに含む、
請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の液晶パネル。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の液晶パネルを備え、
前記液晶パネルの一方側から他方側を視認可能である、電気光学装置。
【請求項11】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板を接着し、アクリル樹脂と、パーオキシエステル骨格を有する、又は、数平均分子量1000以上のアゾ系ポリマーである熱ラジカル重合開始剤と、を含むシール部と、
高分子化合物を含み、前記シール部によって前記第1基板と前記第2基板の間に封入された液晶層と、
を備える液晶パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶パネルおよび電気光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの電気光学装置は、液晶パネルを備えている。例えば、液晶パネルは、第1基板と、第2基板と、第1基板および第2基板を貼り合せるシール部と、第1基板および第2基板の間においてシール部の内側に封入された液晶層とを備えている。また、近年、光を散乱する散乱状態と光を透過させる透過状態とを切り替え可能な散乱型の液晶層を有する液晶パネルが開発されている。
【0003】
液晶層をシール部の内側に設ける方式としては、真空注入方式および滴下注入(ODF)方式が知られている。真空注入方式においては、シール部に注入口が設けられ、シール部を硬化させた後に注入口から液晶材料が注入される。ODF方式においては、一対の基板の一方に紫外線硬化型の材料を含むシール部が描画されるとともに、その内側に液晶材料が滴下される。その後、例えば紫外光を照射することにより、シール部が硬化される。
【0004】
液晶パネルの種類によっては、シール部以外の領域への紫外光の照射を抑制することが好ましい場合がある。この場合、シール部を硬化させるための工夫が必要となる。例えば上述の散乱型の液晶層を備える液晶パネルの製造時においては、液晶層に紫外光を照射することにより、液晶モノマーが高分子化される。シール部を硬化させるための紫外光が液晶層に照射されると、液晶モノマーが不所望に高分子化される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−167527号公報
【特許文献2】特開2010−132801号公報
【特許文献3】特開2017−63038号公報
【特許文献4】特開2018−35291号公報
【特許文献5】国際公開第2016/056560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的の一つは、シール部を好適に硬化させることが可能な液晶パネルおよび当該液晶パネルを備えた電気光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る液晶パネルは、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板を接着するシール部と、前記シール部によって前記第1基板と前記第2基板の間に封入された液晶層とを備えている。前記シール部は、10時間半減期温度が95℃以下の熱ラジカル重合開始剤と、アクリル樹脂とを含む。前記液晶層は、高分子化合物を含む。
【0008】
また、一実施形態に係る液晶パネルは、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板を接着するシール部と、前記シール部によって前記第1基板と前記第2基板の間に封入された液晶層とを備えている。前記シール部は、アクリル樹脂と、パーオキシエステル骨格を有するか、あるいは数平均分子量1000以上のアゾ系ポリマーである熱ラジカル重合開始剤と、を含む。前記液晶層は、高分子化合物を含む。
【0009】
一実施形態に係る電気光学装置は、前記液晶パネルを備え、前記液晶パネルの一方側から他方側を視認可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態における表示装置(電気光学装置)の構成例を示す平面図である。
図2図2は、一実施形態における表示装置の概略的な断面図である。
図3A図3Aは、一実施形態における液晶層に適用し得る構成の一例を示す断面図である。
図3B図3Bは、一実施形態における液晶層に適用し得る構成の一例を示す断面図である。
図4図4は、一実施形態における液晶パネルの画像表示を説明するための断面図である。
図5図5は、一実施形態における表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、一実施形態におけるシール部、走査線ドライバおよび表示領域の一部を拡大して示す概略的な平面図である。
図7図7は、シール部の他の例を示す液晶パネルの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0012】
本明細書において「αはA,B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」といった表現は、特に明示がない限り、αがA〜Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0013】
本明細書における「第1α、第2α、第3α」という表現の「第1、第2、第3」は、要素を説明のために用いる便宜的な数字に過ぎない。つまり、特に明示が無い限り、「Aが第3αを備える」という表現は、第3αの他の第1α及び第2αを、Aが備えていない場合も含む。
【0014】
本明細書において、「部材αの上の部材β」や「部材αの下の部材β」という表現は、部材αと部材βが接触している場合だけでなく、部材αと部材βの間に他の部材が介在している場合を含み得る。
【0015】
各実施形態においては、電気光学装置の一例として液晶表示装置を開示する。また、液晶パネルの一例として、液晶表示装置が備える液晶パネルを開示する。ただし、各実施形態は、他種の電気光学装置に対する、各実施形態にて開示される個々の技術的思想の適用を妨げるものではない。他種の電気光学装置としては、例えば、発光ダイオード素子または有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示素子を有する自発光型の表示装置、電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示装置、MEMS(Micro Electro Mechanical System)を応用した表示装置、エレクトロクロミズムを応用した表示装置等が想定される。また、電気光学装置は、パネルの背景が透けて見える状態と見えない状態とを電気的な制御で切り替え可能なスクリーン装置など、表示装置以外の装置であってもよい。
【0016】
図1は、本実施形態における液晶表示装置DSP(以下、表示装置DSPと呼ぶ)の構成例を示す平面図である。図中において、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに交差する方向である。一例では、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは互いに直交するが、90度以外の角度で交差してもよい。
【0017】
表示装置DSPは、液晶パネルPNLと、光源LSと、第1フレキシブル配線基板FPC1と、コントローラCTとを備えている。液晶パネルPNLは、第1基板SUB1(アレイ基板)と、第2基板SUB2(対向基板)と、これら基板の間に封入された散乱型の液晶層LCとを備えている。
【0018】
図1の例において、液晶パネルPNLは、第1辺E1と、第2辺E2と、第3辺E3と、第4辺E4とを有している。例えば、第1辺E1および第2辺E2は第1方向Xと平行であり、第3辺E3および第4辺E4は第2方向Yと平行である。本実施形態において、辺E1〜E4は、矩形状の第2基板SUB2の4辺に相当する。第1基板SUB1も矩形状であり、3つの辺がそれぞれ辺E2〜E4と重なっている。第1基板SUB1の図中下方の辺は、第1辺E1に対して突出している。第1基板SUB1の第2基板SUB2から突出した部分は、端子領域TAであり、外部接続用の端子Tを含む。第1フレキシブル配線基板FPC1は、端子Tに接続されている。なお、第1基板SUB1および第2基板SUB2の形状は矩形状に限られない。
【0019】
液晶パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域PAとを備えている。表示領域DAは、電気光学領域の一例である。周辺領域PAは、端子領域TAを含む。表示領域DAにおいて、第1基板SUB1は、複数の走査信号線Gと、複数の映像信号線Sとを備えている。複数の走査信号線Gは、第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。複数の映像信号線Sは、第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んでいる。
【0020】
表示領域DAは、マトリクス状に配列された複数の画素PXを含む。第1基板SUB1は、各画素PXに配置された画素電極PEおよびスイッチング素子SWを備えている。第2基板SUB2は、複数の画素PXにわたって延在する共通電極CEを備えている。共通電極CEには、コモン電圧が供給される。
【0021】
液晶パネルPNLは、周辺領域PAにおいて、第1走査線ドライバGD1と、第2走査線ドライバGD2とを備えている。図1の例においては、第1走査線ドライバGD1が表示領域DAと第3辺E3の間に配置され、第2走査線ドライバGD2が表示領域DAと第4辺E4の間に配置されている。走査信号線Gは、周辺領域PAに延出して第1走査線ドライバGD1または第2走査線ドライバGD2に接続されている。映像信号線Sは、周辺領域PAに設けられた配線VLを介して端子Tに接続されている。
【0022】
光源LSは、端子領域TAに配置されている。光源LSは、第1辺E1と対向する複数の発光素子LDを備えている。本実施形態において、複数の発光素子LDは、赤色の光を発する発光素子LDrと、緑色の光を発する発光素子LDgと、青色の光を発する発光素子LDbとを含む。ただし、光源LSは、赤色、緑色および青色以外の発光素子LDを備えてもよい。図1においては、便宜的にこれら発光素子LDr,LDg,LDbを第1方向Xに並べて示しているが、発光素子LDr,LDg,LDbは第3方向Zに並んでもよい。なお、光源LSは、第2辺E2、第3辺E3または第4辺E4に対向配置されてもよい。異なる辺にそれぞれ対向する複数の光源LSが配置されてもよい。
【0023】
コントローラCTは、第1走査線ドライバGD1、第2走査線ドライバGD2および光源LSを制御するとともに、各映像信号線Sに映像信号を供給する。図1の例においては、コントローラCTが第1フレキシブル配線基板FPC1に実装されているが、コントローラCTは他の部材に実装されてもよい。
【0024】
図2は、図1に示した表示装置DSPの概略的な断面図である。ここでは、第2方向Yおよび第3方向Zによって規定されるY−Z平面における表示装置DSPの断面において、主要部のみを説明する。
【0025】
光源LS(発光素子LD)は、第1辺E1において、第2基板SUB2の側面に対向している。光源LSが他の辺E3〜E4に沿って配置される場合、光源LSが第1基板SUB1および第2基板SUB2の双方に対向してもよいし、いずれか一方にのみ対向してもよい。例えば、光源LSには第2フレキシブル配線基板FPC2が接続されている。例えば、第2フレキシブル配線基板FPC2は、上述のコントローラCTにも接続されている。
【0026】
第1基板SUB1は、第1透明基材10と、画素電極PEと、画素電極PEを覆う第1配向膜11とを備えている。第2基板SUB2は、第2透明基材20と、共通電極CEと、共通電極CEを覆う第2配向膜21とを備えている。第1基板SUB1と第2基板SUB2は、透明なシール部SEによって貼り合わされている。液晶層LCは、シール部SE、第1配向膜11および第2配向膜21で囲われた空間に配置されている。
【0027】
画素電極PEおよび共通電極CEは、例えばインジウム・ティン・オキサイド(ITO)などの透明導電材料によって形成することができる。第1配向膜11および第2配向膜21は、例えばポリイミドで形成することができる。第1配向膜11および第2配向膜21は、液晶層LCに含まれる液晶分子を初期配向方向に配向する配向規制力を有している。この配向規制力は、例えばラビング処理によって付与することができるが、光配向処理など他の方法で付与されてもよい。
【0028】
図3Aおよび図3Bは、液晶層LCに適用し得る構成の一例を示す断面図である。液晶層LCは、高分子化合物の一例である液晶ポリマー31および液晶分子32を含む。液晶ポリマー31は、例えば、液晶モノマーが第1配向膜11および第2配向膜21の配向規制力によって初期配向方向に配向した状態で高分子化されることにより得られる。液晶分子32は、液晶モノマー内に分散されており、液晶モノマーが高分子化された際に、液晶モノマーの配向方向に依存して所定の方向に配向される。
【0029】
液晶分子32は、正の誘電率異方性を有するポジ型であってもよいし、負の誘電率異方性を有するネガ型であってもよい。液晶ポリマー31および液晶分子32は、それぞれ同等の光学異方性を有している。あるいは、液晶ポリマー31および液晶分子32は、それぞれ略同等の屈折率異方性を有している。また、液晶ポリマー31および液晶分子32の各々の電界に対する応答性は異なる。すなわち、液晶ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。
【0030】
図3Aに示した例は、例えば、液晶層LCに電圧が印加されていない透明状態(画素電極PEと共通電極CEの間の電位差がゼロである状態)に相当する。この状態においては、液晶ポリマー31の光軸Ax1および液晶分子32の光軸Ax2は、互いに平行となる。
【0031】
上述の通り、液晶ポリマー31および液晶分子32は略同等の屈折率異方性を有しており、しかも光軸Ax1およびAx2は互いに平行である。そのため、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを含むあらゆる方向において、液晶ポリマー31と液晶分子32の間にほとんど屈折率差がない。これにより、第3方向Zと平行な光L1や、第3方向Zに対して傾斜した光L2,L3は、ほとんど散乱されることなく液晶層LCを透過する。
【0032】
図3Bに示した例は、液晶層LCに電圧が印加されている散乱状態(画素電極PEと共通電極CEの間に電位差が形成された状態)に相当する。上記の通り、液晶ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶分子32の電界に対する応答性より低い。そのため、液晶層LCに電圧が印加された状態では、液晶ポリマー31の配向方向がほとんど変化しないのに対して、液晶分子32の配向方向は電界に応じて変化する。そのため、光軸Ax2が光軸Ax1に対して傾斜する。これにより、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを含むあらゆる方向において、液晶ポリマー31と液晶分子32の間に大きな屈折率差が生ずる。この状態においては、液晶層LCに入射する光L1〜L3が液晶層LC内で散乱される。
【0033】
なお、液晶層LCの構成は、以上説明した例に限られない。例えば、液晶層LCは、配向規制力を有する断面線状の高分子化合物と、この高分子化合物により配向する液晶分子とを含み、液晶層LCに電圧を印加することで散乱状態となる構成であってもよい。つまり、本実施形態における液晶層LCは、画素電極PEと共通電極CEの間に形成される電界によって透過状態と散乱状態とを切り替え可能な液晶組成物を用いた構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0034】
図4は、光源LSからの光を用いた画像表示を説明するための液晶パネルPNLの断面図である。光源LSが発する光L10は、第2透明基材20の側面SFから入射し、第2透明基材20、液晶層LCおよび第1透明基材10などを伝播する。電圧が印加されていない画素電極PE(図中のOFF)の近傍においては、光L10が液晶層LCでほとんど散乱されない。そのため、光L10は、液晶パネルPNLの第1面F1(第2透明基材20の上面)および第2面F2(第1透明基材10の下面)からほとんど漏れ出すことはない。
【0035】
一方、電圧が印加されている画素電極PE(図中のON)の近傍においては、光L10が液晶層LCで散乱される。この散乱光は、第1面F1および第2面F2から出射し、表示画像として視認される。
【0036】
なお、電圧が印加されていない画素電極PE(図中のOFF)の近傍において、第1面F1または第2面F2に入射する外光L20は、ほとんど散乱されることなく液晶パネルPNLを透過する。すなわち、第2面F2側から液晶パネルPNLを見た場合には第1面F1側の背景が視認可能であり、第1面F1側から液晶パネルPNLを見た場合には第2面F2側の背景が視認可能である。光源LSからの光L10を用いた画像は、このような背景に浮かび上がるように表示される。
【0037】
以上のような構成の表示装置DSPは、例えばフィールドシーケンシャル方式にて駆動することができる。この方式においては、1つのフレーム期間が複数のサブフレーム期間(フィールド)を含む。例えば、本実施形態のように赤色、緑色および青色の発光素子LDr,LDg,LDbを含む場合、1つのフレーム期間には、赤色、緑色および青色のサブフレーム期間が含まれる。
【0038】
赤色のサブフレーム期間においては、発光素子LDrが点灯するとともに、赤色の画像データに応じて各画素PXが制御される。これにより、赤色の画像が表示される。緑色および青色のサブフレーム期間においても同様に、それぞれ発光素子LDg,LDbが点灯するとともに、それぞれ緑色および青色の画像データに応じて各画素PXが制御される。これにより、緑色および青色の画像が表示される。このように時分割で表示される赤色、緑色および青色の画像は、互いに合成されて多色表示の画像としてユーザに視認される。
【0039】
続いて、表示装置DSPの製造方法について説明する。本実施形態のような散乱型の液晶層LCの製造時においては、第1配向膜11および第2配向膜21の配向規制力によって配向した状態で紫外光を照射することにより、液晶モノマーが高分子化される。液晶層LCをシール部SEの内側に注入する方法としては、真空注入方式および滴下注入(ODF)方式が挙げられる。真空注入方式においては、シール部SEに注入口が設けられ、シール部SEを硬化させた後に注入口から液晶材料が注入される。
【0040】
本実施形態のように液晶モノマーを含む液晶材料は、粘度が高いため、真空注入方式による注入に時間がかかる。また、注入口付近において、シール部SEの外側の第1基板SUB1と第2基板SUB2の隙間に液晶材料が毛管現象によって入り込むことがある。このようにシール部SEの外に入り込んだ液晶材料は、紫外光の照射時に高分子化され、光源LSからの光の透過の障害となり得る。
【0041】
ODF方式においては、第1基板SUB1および第2基板SUB2の一方にシール部SEが形成(描画)されるとともに、その内側に液晶材料が滴下される。一般的に、シール部SEとしては紫外線硬化型の材料が用いられ、紫外光の照射によりシール部SEが硬化される。ODF方式においては、真空注入方式のように液晶材料の注入に時間がかかることはないし、シール部SEの外側に液晶材料が入り込むこともない。しかしながら、紫外光によりシール部SEを硬化させる際に、この紫外光を受けて液晶モノマーが高分子化されてしまう。
【0042】
そこで、本実施形態においては、ODF方式を採用するとともに、シール部SEを紫外光ではなく熱により硬化させる。このような製造方法に適合させるために、本実施形態におけるシール部SEは、アクリル樹脂と、エポキシ樹脂と、熱ラジカル重合開始剤と、熱硬化剤とを含む。また、液晶層LCは、上述の高分子化合物を含む。好ましくは、液晶層LCは、光ラジカル重合開始剤と、重合禁止剤とを含む。
【0043】
ここで、アクリル樹脂とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む硬化性組成物である。また、エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有する化合物を含む硬化性組成物である。シール部SEは、エポキシ樹脂とともに、あるいはエポキシ樹脂に代えて、エポキシアクリレートを含んでもよい。
【0044】
以下に、熱ラジカル重合開始剤、熱硬化剤、光ラジカル重合開始剤および重合禁止剤の一態様につき説明する。
[熱ラジカル重合開始剤]
シール部SEに含まれる熱ラジカル重合開始剤は、熱が加えられることにより、未硬化のアクリル樹脂においてラジカル重合を開始させる。例えば、熱ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物や有機過酸化物からなるものを用いることができる。これらは低温条件下でラジカルを発生させることができる。より詳しくは、高分子アゾ化合物からなる高分子アゾ開始剤を熱ラジカル重合開始剤として用いてもよい。例えば、高分子アゾ開始剤とは、アゾ基を有し、数平均分子量が300以上であって、熱によってアクリロイルオキシン基を硬化させることができるラジカルを生成する化合物を意味する。熱ラジカル重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0045】
高分子アゾ開始剤の数平均分子量が1000未満であると、高分子アゾ開始剤が液晶層LCに悪影響を与え得る。一方、高分子アゾ開始剤の数平均分子量が300000を超えると、アクリル樹脂やエポキシ樹脂への混合が困難となり得る。そこで、高分子アゾ開始剤の数平均分子量は、1000以上であると好ましく、5000以上であるとより好ましく、10000以上であるとより一層好ましい。また、当該数平均分子量は、300000以下であると好ましく、100000以下であるとより好ましく、90000以下であるとより一層好ましい。
【0046】
例えば、高分子アゾ開始剤としては、ポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等の複数のユニットがアゾ基を介して結合した構造を有するものを用いることができる。ポリアルキレンオキサイド等の複数のユニットがアゾ基を介して結合した構造を有する高分子アゾ開始剤としては、例えばポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。一例として、このような高分子アゾ開始剤としては、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。具体的には、高分子アゾ開始剤としては、例えば、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPS−0501、VPS−1001(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。また、高分子アゾ開始剤以外のアゾ開始剤の例としては、例えば、V−40、V−59、V−65、V−501、V−601、VE−073、AIBN(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
【0047】
上述の有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等を用いることができる。これらの中でもパーオキシエステルが好ましい。
【0048】
パーオキシエステルであるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(いずれも日油社製)等を用いると好ましい。パーオキシ−2−エチルヘキサノエート骨格が代表であるパーオキシエステル骨格を有する熱ラジカル重合開始剤は、10時間半減期温度Taが低いため好ましい。
【0049】
例えば、シール部SEにおける熱ラジカル重合開始剤の含有量は、上述のエポキシ樹脂やアクリル樹脂を含む硬化性樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上かつ30重量部以下である。熱ラジカル重合開始剤の含有量が0.1重量部未満であると、シール部SEの重合が充分に進行しないことがある。熱ラジカル重合開始剤の含有量が30重量部を超えると、未反応の熱ラジカル重合開始剤が多く残り、シール部SEの耐候性が悪くなることがある。熱ラジカル重合開始剤の含有量は、1重量部以上であると好ましい。また、当該含有量は、10重量部以下であると好ましく、5重量部以下であるとより好ましい。
【0050】
本実施形態において、熱ラジカル重合開始剤は、例えば95℃以下の10時間半減期温度Ta(Ta≦95℃)を有している。10時間半減期温度Taは、90℃以下(Ta≦90℃)であると好ましく、80℃以下(Ta≦80℃)であるとより好ましく、75℃以下(Ta≦75℃)であるとより一層好ましい。また、10時間半減期温度Taは、40℃以上(40℃≦Ta)であると好ましく、45℃以上(45℃≦Ta)であるとより好ましい。
【0051】
化合物の10時間半減期温度は、測定対象化合物を濃度が0.1モル/Lとなるように不活性溶媒(例えばトルエン)に溶解させた溶液を調整し、これを容器に密封し、所定の温度に保持して測定対象化合物を熱分解し、この際の時間と測定対象化合物の濃度変化との関係を測定することにより、求められるものである。
具体的には、まず、所定の一定温度において、
[式1]:ln(a/x)=kt
に基づいてk値を求め、これを
[式2]:t1/2(半減期)=(ln2)/k
に代入して半減期を求め、複数の温度での半減期から所望の時間の得られた半減期が10時間となる温度を算出することにより、化合物の10時間半減期温度が求められる。ここで、式1中のxは測定対象化合物の時間tにおける濃度(モル/L)、aは測定対象化合物の初期濃度(モル/L)、kは温度により定まる分解速度定数である。
【0052】
[熱硬化剤]
シール部SEに含まれる熱硬化剤は、熱が加えられることにより、未硬化のエポキシ樹脂において付加重合を開始させる。例えば、熱硬化剤としては、イミダゾール系熱硬化剤、アミン系熱硬化剤、フェノール系熱硬化剤、ポリチオール系熱硬化剤、酸無水物および熱カチオン開始剤等を用いることができる。熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0053】
例えば、熱硬化剤としてイミダゾール系熱硬化剤、ポリチオール系熱硬化剤またはアミン系熱硬化剤を用いる場合、エポキシ樹脂を低温でより一層速やかに硬化可能である。また、潜在性の熱硬化剤を用いる場合、エポキシ樹脂と熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなる。潜在性の熱硬化剤としては、潜在性イミダゾール系熱硬化剤、潜在性ポリチオール系熱硬化剤および潜在性アミン系熱硬化剤が挙げられる。なお、熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されてもよい。
【0054】
例えば、イミダゾール系熱硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンおよび2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
【0055】
例えば、ポリチオール系熱硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネートおよびジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0056】
例えば、アミン系熱硬化剤としては、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミンおよびジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0057】
例えば、熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤およびスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
【0058】
本実施形態において、熱硬化剤は、例えば50℃以上の反応開始温度Tb(硬化温度)を有している。反応開始温度Tbは、70℃以上であると好ましく、80℃以上であるとより好ましい。また、反応開始温度Tbは、250℃以下であると好ましく、200℃以下であるとより好ましく、150℃以下であるとより一層好ましい。なお、熱硬化剤の反応開始温度とは、DSC(示差走査熱量計)での発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。
【0059】
上述した熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度Taと熱硬化剤の反応開始温度Tbとの関係に着目すると、本実施形態においては、反応開始温度Tbが10時間半減期温度Taよりも高い(Ta<Tb)。反応開始温度Tbは、10時間半減期温度Taよりも15℃以上高い(Ta+15℃≦Tb)ことが好ましい。熱ラジカル重合開始剤および熱硬化剤は、10時間半減期温度Taおよび反応開始温度Tbがそれぞれについて上述した好適な温度範囲に属し、かつTa<TbやTa+15℃≦Tbが成立するように選定すればよい。
【0060】
[光ラジカル重合開始剤]
液晶層LCに含まれる光ラジカル重合開始剤は、紫外光が照射されることにより、液晶層LCにおいてラジカル重合を開始させる。特に限定されないが、例えば光ラジカル重合開始剤としては、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等を用いることができる。光ラジカル重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でもアセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チオキサントン系化合物が好ましい。
【0061】
[重合禁止剤]
液晶層LCに含まれる重合禁止剤は、シール部SEの硬化時に加えられる熱に起因した液晶層LCにおける重合を抑制する。特に限定されないが、例えば重合禁止剤としては、β−ナフトキノン、2−メトキシ−1,4−ナフトキノン、4−メトキシ−1−ナフトール、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、モノ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノンおよび2,5−ジ−tert−ブチル−p−ベンゾキノン等のハイドロキノン系のものを用いることができる。また、重合禁止剤として、カテコール、tert−ブチルカテコールといったカテコール系、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩およびN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等のニトロソ系のものや、トリフェニルホスフィンおよびピロガロールを用いてもよい。重合禁止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0062】
続いて、表示装置DSPの製造方法の一例につき、図5のフローチャートを参照して説明する。先ず、第1透明基材10の上に走査信号線G、映像信号線S、第1走査線ドライバGD1、第2走査線ドライバGD2、スイッチング素子SW、画素電極PEおよび第1配向膜11等が形成された第1基板SUB1を作製する(第1工程P1)。また、第2透明基材20の上に共通電極CEおよび第2配向膜21等が形成された第2基板SUB2を作製する(第2工程P2)。例えば、第1基板SUB1および第2基板SUB2は、それぞれ大サイズのマザーガラスに形成されてもよい。この場合、後述の各工程P3〜P8を経た後などの適宜のタイミングで、第1基板SUB1および第2基板SUB2がマザーガラスから切り出される。
【0063】
続いて、第1基板SUB1および第2基板SUB2の一方に未硬化のシール部SEを形成する(第3工程P3)。シール部SEは、例えばディスペンサを用いて環状に形成することができる。本実施形態においては、ODF方式を採用するために、シール部SEが注入口を有していない。すなわち、シール部SEは、切れ目のない連続した環状である。
【0064】
シール部SEを形成した後、シール部SEの内側に液晶材料を滴下する(第4工程P4)。その後、真空中で第1基板SUB1と第2基板SUB2をシール部SEにより貼り合せる(第5工程P5)。これにより、第1配向膜11、第2配向膜21およびシール部SEによって囲われた空間に液晶層LCが形成される。
【0065】
第1基板SUB1と第2基板SUB2を貼り合わせた後、シール部SEを仮硬化させるための第1熱硬化処理(第6工程P6)と、シール部SEを本硬化させるための第2熱硬化処理(第7工程P7)とを順次実施する。
【0066】
第1熱硬化処理においては、第1温度T1の熱をシール部SEに加える。第1温度T1は、シール部SEに含まれる未硬化のアクリル樹脂が硬化する温度であり、例えば熱ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度Taよりも大きい温度としてもよい。第1熱硬化処理においては、熱ラジカル重合開始剤の作用により、アクリル樹脂においてラジカル重合が進行する。ラジカル重合の反応速度は速いため、短時間でアクリル樹脂を硬化させることができる。
【0067】
第2熱硬化処理においては、第1温度T1よりも高い第2温度T2(T1<T2)の熱をシール部SEに加える。第2温度T2は、シール部SEに含まれる未硬化のエポキシ樹脂が硬化する温度、すなわち熱硬化剤の反応開始温度Tb以上(Tb<T2)の温度である。第2熱硬化処理においては、熱硬化剤の作用により、エポキシ樹脂において付加重合が進行する。付加重合の反応速度はラジカル重合に比べて遅いため、第2熱硬化処理は第1熱硬化処理よりも長い時間にわたって実施され得る。
【0068】
仮に、第1熱硬化処理において熱硬化剤の作用によりエポキシ樹脂が幾分か硬化する場合、この反応に伴う副生成物が液晶層LC中に溶出し、表示品位を低下させる可能性がある。そこで、第1温度T1は、熱硬化剤の反応開始温度Tb未満(T1<Tb)であることが好ましい。上述のようにTa+15℃≦Tbが成立する場合、第1温度T1を10時間半減期温度Ta付近とすることで、第1温度T1と反応開始温度Tbとの差分を十分に確保し、第1熱硬化処理におけるエポキシ樹脂の反応と副生成物の液晶層LCへの溶出を好適に抑制できる。
【0069】
第2熱硬化処理における第2温度T2は高温であり、かつ長時間にわたって熱を加える必要があるため、液晶層LCが膨張しやすい。液晶層LCが膨張すると、シール部SEに負荷が加わる。これによりシール部SEが損傷または変形したり、シール部SEと第1基板SUB1または第2基板SUB2とが剥離したりすると、液晶材料がシール部SEの外側に漏れ出てしまう。しかしながら、本実施形態においては、第2熱硬化処理の前に、第1熱硬化処理によってシール部SEのアクリル樹脂が硬化している。これにより、第2熱硬化処理にて液晶層LCが高温に長時間晒されても、シール部SEの損傷、変形または剥離が生じにくくなるので、液晶材料の漏出を抑制できる。
【0070】
上述の通り、液晶層LCは、重合禁止剤を含んでいる。これにより、第1熱硬化処理および第2熱硬化処理の各々において、液晶層LC中での液晶モノマーの重合を抑制できる。
【0071】
シール部SEを硬化させた後、液晶層LCの全面に紫外光を照射する(第8工程P8)。紫外光は、液晶層LCの周囲のシール部SE等を含む液晶パネルPNLの全領域に照射されてもよいし、液晶層LCのみに照射されてもよい。液晶層LCが光ラジカル重合開始剤を含むために、紫外光によって液晶層LC中の液晶モノマーが重合を開始する。紫外光は、第1基板SUB1側から照射されてもよいし、第2基板SUB2側から照射されてもよい。第2基板SUB2は第1基板SUB1に比べて金属配線が少ないため、第2基板SUB2側から紫外光を照射すれば効率的に液晶モノマーを重合させることが可能である。なお、ここでは液晶層LC中のモノマーの重合に光ラジカル重合開始剤を用いているが、これを用いる形態に限定されない。モノマーが重合するのであれば、他の材料や重合方法を用いてもよい。
【0072】
このように紫外光の照射により散乱型の液晶層LCを形成した後、液晶パネルPNLの洗浄や検査が実施される。さらに、光源LS、第1フレキシブル配線基板FPC1、第2フレキシブル配線基板FPC2およびコントローラCT等が実装され、表示装置DSPが完成する。完成した表示装置DSPにおいても、シール部SEは、熱ラジカル重合開始剤と、熱硬化剤とを含んでいる。また、完成した表示装置DSPにおいても、液晶層LCは、光ラジカル重合開始剤と、重合禁止剤とを含んでいる。
【0073】
本実施形態のような表示装置DSPおよびその製造方法によれば、ODF方式にて液晶層LCが形成される。したがって、真空注入方式を採用する場合に比べて液晶材料の注入に時間がかからないし、シール部SEの外側に液晶材料が入り込むこともない。また、シール部SEを途切れることなくシームレスに形成できる。これにより、表示装置DSPの製造に要する時間を短縮できるとともに、表示装置DSPの表示品位を高めることができる。
【0074】
仮にシール部SEを紫外光により硬化させる場合には同時に液晶層LCで重合が生じ得るのに対し、本実施形態では熱によりシール部SEを硬化させる。さらに、液晶層LCが熱に起因した重合を抑制する重合禁止剤を含む。これらにより、シール部SEの硬化時における液晶層LC中での重合を抑制できる。液晶層LCにおける重合は、第8工程P8において、所望の特性を有した液晶層LCを実現するための最適な条件で紫外光を照射することにより実施できる。
【0075】
エポキシ樹脂は、アクリル樹脂に比べて接着力が強い。一方で、アクリル樹脂は、エポキシ樹脂に比べて硬化に要する時間が短い。本実施形態においては、これらアクリル樹脂とエポキシ樹脂の特徴を活かしてシール部SEを形成している。すなわち、アクリル樹脂を短時間で先に硬化させることで、上述の通り液晶層LCの膨張による不具合を抑制している。さらに、アクリル樹脂の硬化の後に時間をかけてエポキシ樹脂を硬化させることで、第1基板SUB1と第2基板SUB2の剥離やシール部SEの経時劣化が生じにくい信頼性の高い表示装置DSPを実現している。
【0076】
なお、仮にシール部SEを紫外光により硬化させる場合には、第1基板SUB1または第2基板SUB2のドライバや金属配線等の遮光部によって紫外光が遮光され、シール部SEの硬化が阻害され得る。これに対し、本実施形態のように熱によりシール部SEを硬化させる場合には、遮光部の影響を受けない。
【0077】
ここで、シール部SEと遮光部との関係の一例について説明する。図6は、シール部SE、第1走査線ドライバGD1および表示領域DAの一部を拡大して示す平面図である。第1走査線ドライバGD1は、遮光部の一例であり、各種の金属配線を含んでいる。シール部SEは、幅方向において、第1端部ED1と、第2端部ED2とを有している。図6の例において、第1端部ED1は、第1走査線ドライバGD1と表示領域DAの間に位置している。第2端部ED2は、第1走査線ドライバGD1と重なっている。
【0078】
シール部SEは、第1幅W1を有している。第1走査線ドライバGD1は、第2幅W2を有している。シール部SEを熱により硬化する場合には、シール部SEと第1走査線ドライバGD1とが大きく重なっても硬化には特に影響がない。そこで、シール部SEと第1走査線ドライバGD1が重畳する領域の幅Woは、例えば幅W2の50%以上とすることができる。幅Woは、幅W2の60%以上であってもよく、さらには70%以上であってもよい。また、シール部SEが第1走査線ドライバGD1の全体と重畳してもよい。第2走査線ドライバGD2についても同様の重畳関係を適用できる。
【0079】
このように、幅Woを大きくしてもシール部SEの硬化に特に影響がないので、シール部SEの幅W1を大きくすることができる。これにより、シール部SEの強度を増し、表示装置DSPの信頼性をさらに向上させることができる。幅W1を大きくすることでシール部SEの硬化に時間がかかる場合には、熱ラジカル重合開始剤や熱硬化剤の量を増やしてもよいし、10時間半減期温度Taが極力低い熱ラジカル重合開始剤や反応開始温度Tbが極力低い熱硬化剤を用いてもよい。
【0080】
図7は、シール部SEの他の例を示す液晶パネルPNLの概略的な断面図である。この図の例においては、シール部SEの第2端部ED2が、液晶パネルPNLの第3辺E3側の端部に位置している。さらに、第1基板SUB1が第2基板SUB2に向けて突出する第1突起PT1および第2突起PT2を備え、第2基板SUB2が第1基板SUB1に向けて突出する第3突起PT3および第4突起PT4を備えている。
【0081】
第1突起PT1は、例えば第1透明基材10と第1配向膜11の間に形成された第1絶縁層12に設けられている。第2突起PT2は、例えば第1透明基材10の上に配置されている。第1突起PT1および第2突起PT2は、例えばマルチトーンマスクを用いて第1絶縁層12をパターニングすることにより形成できる。第1絶縁層12と第1透明基材10の間や、第2突起PT2と第1透明基材10の間に、他の絶縁層が介在してもよい。
【0082】
第3突起PT3および第4突起PT4は、例えば第2透明基材20と第2配向膜21の間に形成された第2絶縁層22の下に設けられている。第3突起PT3および第4突起PT4は、第2絶縁層22をマルチトーンマスクを用いてパターニングすることにより形成されてもよい。
【0083】
図7の例においては、第1配向膜11が第1突起PT1と第3辺E3の間の領域に形成されていないが、この領域の少なくとも一部に第1配向膜11が形成されてもよい。また、図7の例においては、第2配向膜21が第3突起PT3と第3辺E3の間の領域に形成されていないが、この領域の少なくとも一部に第2配向膜21が形成されてもよい。
【0084】
第1端部ED1は、第1突起PT1と第3突起PT3の間に位置している。すなわち、第1端部ED1は、第1突起PT1および第3突起PT3と平面視において重畳する。このような構造においては、第1端部ED1におけるシール部SEの側面と液晶層LCとが接する面積が小さい。したがって、例えば上述の第1熱硬化処理や第2熱硬化処理で液晶層LCが膨張したとしても、シール部SEに負荷が加わりにくくなるので、シール部SEの損傷や変形を抑制することができる。また、シール部SEの硬化に伴う副生成物が生じたとしても、この副生成物が液晶層LCに溶出しにくくなる。第1端部ED1が重畳する突起は、第1突起PT1および第3突起PT3の一方だけでもよい。
【0085】
上述の観点から、第3突起PT3(又は第1突起PT1)の突出量は、第3突起PT3と第1突起PT1の隙間よりも大きいことが好ましい。また、第3突起PT3(又は第1突起PT1)の突出量は、表示領域DAにおける液晶層LCの厚さの50%以上である事が好ましい。
【0086】
第2端部ED2は、第2突起PT2と第4突起PT4の間に位置している。すなわち、第2端部ED2は、第2突起PT2および第3突起PT3と平面視において重畳する。このような構造においては、第2突起PT2と第4突起PT4の間において、シール部SEが薄くなる。したがって、液晶パネルPNLを上述のマザーガラスから切り出す際に、切断が容易となる。
【0087】
なお、液晶パネルPNLは、第1突起PT1と第3突起PT3の一方のみを備えてもよい。また、液晶パネルPNLは、第2突起PT2と第4突起PT4の一方のみを備えてもよい。第1辺E1、第2辺E2および第4辺E4についても、図7の例と同様の構造を適用できる。
【0088】
以上のほかにも、シール部SEの平面形状やシール部SEの近傍における液晶パネルPNLの断面構造には、種々の態様を適用することができる。また、表示装置DSPは、本実施形態にて開示した製造方法を適宜に変形して製造することができる。例えば、シール部SEは、紫外光によりアクリル樹脂を硬化させるための光ラジカル重合開始剤を含んでもよい。この場合、例えば第1熱硬化処理の前に、あるいは第1熱硬化処理に代えて、シール部SEに紫外光を照射する工程を加えるとよい。この紫外光は、例えば液晶層LCにて重合が開始する波長を除く範囲(例えば400nm以上)の波長を有していることが好ましい。液晶層LCにて重合が開始し得る波長の範囲(例えば紫外光のピークより短波長側の所定領域)をカットフィルタにより紫外光から除去してもよい。
【0089】
本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての液晶パネルや電気光学装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0090】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0091】
また、各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0092】
DSP…表示装置、PNL…液晶パネル、SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、LC…液晶層、10…第1透明基材、20…第2透明基材、LS…光源、LD…発光素子、DA…表示領域、PA…周辺領域、TA…端子領域、PE…画素電極、CE…共通電極、G…走査信号線、S…映像信号線、SE…シール部。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7