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特開2019-219722磁界発生装置、磁気記録媒体処理装置および磁界発生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-219722(P2019-219722A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】磁界発生装置、磁気記録媒体処理装置および磁界発生方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/06 20060101AFI20191129BHJP
   G07D 9/00 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   G06K13/06 Z
   G07D9/00 461
   G07D9/00 426Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-114461(P2018-114461)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 啓志
(72)【発明者】
【氏名】清水 洋平
(72)【発明者】
【氏名】青木 暁
【テーマコード(参考)】
3E040
5B023
【Fターム(参考)】
3E040AA03
3E040DA01
5B023AA01
5B023AA05
(57)【要約】
【課題】セキュリティ性を維持しながら、コイルの損傷を防止する。
【解決手段】磁界を発生するコイル110と、コイル110に電圧を印加する、またはコイル110に電流を流す駆動部120と、コイル110の温度と共に値が変化する状態情報を取得する監視部130と、監視部130が取得した状態情報に基づいて、駆動部120が印加する電圧、または駆動部120が流す電流を制御する制御部140とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界を発生する磁界発生部と、
前記磁界発生部に電圧を印加する、または前記磁界発生部に電流を流す駆動部と、
前記磁界発生部の温度と共に値が変化する状態情報を取得する監視部と、
前記監視部が取得した状態情報に基づいて、前記駆動部が印加する電圧、または前記駆動部が流す電流を制御する制御部とを有する磁界発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁界発生装置において、
前記制御部は、前記監視部が取得した状態情報が示す値と所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記駆動部が前記磁界発生部に印加する電圧を、現在印加している電圧から該電圧とは異なる電圧へ変更する、または前記駆動部が前記磁界発生部に流す電流を、現在流している電流から該電流とは異なる電流へ変更する磁界発生装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の磁界発生装置において、
前記監視部は、前記状態情報として、前記磁界発生部に流れる電流値を取得し、
前記制御部は、前記監視部が取得した電流値に基づいて、前記駆動部が印加する電圧、または前記駆動部が流す電流を制御する磁界発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の磁界発生装置において、
前記制御部は、前記監視部が取得した電流値が所定の第1の電流閾値を下回った場合、前記駆動部が前記磁界発生部に印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い第2の電圧へ変更する磁界発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載の磁界発生装置において、
前記制御部は、前記磁界発生部に印加する電圧を前記第2の電圧へ変更した後、前記監視部が取得した電流の値が前記第1の電流閾値よりも大きな値である第2の電流閾値を超えた場合、前記磁界発生部に印加する電圧を前記第1の電圧へ変更する磁界発生装置。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか1項に記載の磁界発生装置において、
前記制御部は、所定の固定磁界パターンを出力し、
前記駆動部は、前記制御部から出力された固定磁界パターンに応じた電圧を前記磁界発生部に印加し、
前記監視部は、前記駆動部が前記固定磁界パターンに応じた電圧を前記磁界発生部に印加したときの前記磁界発生部に流れる電流値を取得する磁界発生装置。
【請求項7】
請求項3に記載の磁界発生装置において、
電流値と温度とを対応付けたテーブルを有し、
前記制御部は、前記監視部が取得した電流値と対応付けられた温度を前記テーブルから読み出し、該読み出した温度に基づいて、前記駆動部が印加する電圧を制御する磁界発生装置。
【請求項8】
請求項7に記載の磁界発生装置において、
前記制御部は、前記テーブルから読み出した温度が所定の第1の温度閾値を超えた場合、前記駆動部が前記磁界発生部に印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い第2の電圧へ変更する磁界発生装置。
【請求項9】
請求項8に記載の磁界発生装置において、
前記制御部は、前記磁界発生部に印加する電圧を前記第2の電圧へ変更した後、前記テーブルから読み出した温度が前記第1の温度閾値よりも小さな値である第2の温度閾値を下回った場合、前記駆動部が前記磁界発生部に印加する電圧を前記第1の電圧へ変更する磁界発生装置。
【請求項10】
磁気カードが挿入されるカード挿入口と、
前記カード挿入口に挿入された磁気カードから所定の情報を読み取る情報読み取り部と、
前記磁気カードに記録された磁気データの不正な読み取りを妨害するための磁界発生装置であって、請求項1から9のいずれか1項に記載の磁界発生装置とを有する磁気記録媒体処理装置。
【請求項11】
磁界を発生するコイルに電圧を印加する、または前記コイルに電流を流す処理と、
前記コイルの温度と共に値が変化する状態情報を取得する処理と、
前記取得した状態情報に基づいて、前記コイルに印加する電圧、または前記コイルに流す電流を制御する処理とを行う磁界発生方法。
【請求項12】
請求項11に記載の磁界発生方法において、
前記取得した状態情報が示す値と所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記コイルに印加する電圧を、現在印加している電圧から該電圧とは異なる電圧へ変更する、または前記コイルに流す電流を、現在流している電流から該電流とは異なる電流へ変更する処理を行う磁界発生方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の磁界発生方法において、
前記状態情報として前記コイルに流れる電流値を取得する処理と、
前記取得した電流値に基づいて、前記コイルに印加する電圧、または前記コイルに流す電流を制御する処理とを行う磁界発生方法。
【請求項14】
請求項13に記載の磁界発生方法において、
前記取得した電流値が所定の第1の電流閾値を下回った場合、前記コイルに印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い第2の電圧へ変更する処理を行う磁界発生方法。
【請求項15】
請求項13に記載の磁界発生方法において、
前記取得した電流値と対応付けられた温度を、電流値と温度とを対応付けたテーブルから読み出す処理と、
前記テーブルから読み出した温度に基づいて、前記コイルに印加する電圧を制御する処理とを行う磁界発生方法。
【請求項16】
請求項15に記載の磁界発生方法において、
前記テーブルから読み出した温度が所定の第1の温度閾値を超えた場合、前記コイルに印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い第2の電圧へ変更する処理を行う磁界発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界発生装置、磁気記録媒体処理装置および磁界発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャッシュカード等の磁気カードに記録されている情報を詐取するスキミングと言われる犯罪が増えている。そのスキミングへの対応策として、カードリーダのカード挿入口に妨害磁界を発生させる装置を取り付ける技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008−504599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した一般的な妨害磁界の発生装置は、ランダムなタイミングでコイルに電流を流すことで磁界を発生させ、スキミングヘッドに磁気ノイズを与えて出力を乱し、磁気データの詐取を妨害するものである。しかしながら、コイルを用いた磁界の発生を繰り返し行うと、コイルに流れる電流によってコイルが発熱し、コイルが損傷するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、セキュリティ性を維持しながら、コイルの損傷を防止することができる磁界発生装置、磁気記録媒体処理装置および磁界発生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の磁界発生装置は、磁界を発生する磁界発生部と、
前記磁界発生部に電圧を印加する、または前記磁界発生部に電流を流す駆動部と、
前記磁界発生部の温度と共に値が変化する状態情報を取得する監視部と、
前記監視部が取得した状態情報に基づいて、前記駆動部が印加する電圧、または前記駆動部が流す電流を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の磁界発生装置では、磁界発生部の温度と共に値が変化する状態情報に応じて、妨害磁界を発生させるために磁界発生部に印加する電圧、または磁界発生部に流す電流の大きさを変化させる。そのため、本発明では、磁界発生部の損傷を回避しながら、スキミングを防止することができる。
【0008】
本発明において、前記制御部は、前記監視部が取得した状態情報が示す値と所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記駆動部が前記磁界発生部に印加する電圧を、現在印加している電圧から該電圧とは異なる電圧へ変更する、または前記駆動部が前記磁界発生部に流す電流を、現在流している電流から該電流とは異なる電流へ変更する。この場合には、状態情報と閾値との比較の結果に基づいて、電圧または電流を変更するため、その変更の制御を容易に行うことができる。
【0009】
本発明において、磁界発生装置は、前記監視部は、前記状態情報として、前記磁界発生部に流れる電流値を取得し、
前記制御部は、前記監視部が取得した電流値に基づいて、前記駆動部が印加する電圧、または前記駆動部が流す電流を制御する。この場合には、電流値のみを測定するだけで良いため、温度センサなどの追加の装備が不要となり、装置のコストを低減することができる。
【0010】
本発明において、磁界発生装置は、前記制御部は、前記監視部が取得した電流値が所定の第1の電流閾値を下回った場合、前記駆動部が前記磁界発生部に印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い第2の電圧へ変更する。この場合には、電圧を低いものへ変更するための基準を設けることで制御をしやすくすることができる。また、磁界発生部の損傷を未然に防止することができる。
【0011】
本発明において、磁界発生装置は、前記制御部は、前記磁界発生部に印加する電圧を前記第2の電圧へ変更した後、前記監視部が取得した電流の値が前記第1の電流閾値よりも大きな値である第2の電流閾値を超えた場合、前記磁界発生部に印加する電圧を前記第1の電圧へ変更する。この場合には、電圧を元の値に戻すための基準を設けることで制御をしやすくすることができる。
【0012】
本発明において、磁界発生装置は、前記制御部は、所定の固定磁界パターンを出力し、
前記駆動部は、前記制御部から出力された固定磁界パターンに応じた電圧を前記磁界発生部に印加し、
前記監視部は、前記駆動部が前記固定磁界パターンに応じた電圧を前記磁界発生部に印加したときの前記磁界発生部に流れる電流値を取得する。この場合には、磁界発生部に流れる電流値を測定しやすくすることができる。
【0013】
本発明において、磁界発生装置は、電流値と温度とを対応付けたテーブルを有し、
前記制御部は、前記監視部が取得した電流値と対応付けられた温度を前記テーブルから読み出し、該読み出した温度に基づいて、前記駆動部が印加する電圧を制御する。この場合には、磁界発生部の温度を基準として磁界発生部に印加する電圧を制御することができる。
【0014】
本発明において、磁界発生装置は、前記制御部は、前記テーブルから読み出した温度が所定の第1の温度閾値を超えた場合、前記駆動部が前記磁界発生部に印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い第2の電圧へ変更する。この場合には、電圧を低いものへ変更するための基準を設けることで制御をしやすくすることができる。
【0015】
本発明において、磁界発生装置は、前記磁界発生部に印加する電圧を前記第2の電圧へ変更した後、前記テーブルから読み出した温度が前記第1の温度閾値よりも小さな値である第2の温度閾値を下回った場合、前記駆動部が前記磁界発生部に印加する電圧を前記第1の電圧へ変更する。この場合には、電圧を元の値に戻すための基準を設けることで制御をしやすくすることができる。
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の磁気記録媒体処理装置は、磁気カードが挿入されるカード挿入口と、
前記カード挿入口に挿入された磁気カードから所定の情報を読み取る情報読み取り部と、
前記磁気カードに記録された磁気データの不正な読み取りを妨害するための磁界発生装置であって、
磁界を発生する磁界発生部と、
前記磁界発生部に電圧を印加する、または前記磁界発生部に電流を流す駆動部と、
前記磁界発生部の温度と共に値が変化する状態情報を取得する監視部と、
前記監視部が取得した状態情報に基づいて、前記駆動部が印加する電圧、または前記駆動部が流す電流を制御する制御部とを具備する磁界発生装置とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の磁気記録媒体処理装置では、挿入された磁気カードから所定の情報を読み取る際、磁界発生部の温度と共に値が変化する状態情報に応じて、妨害磁界を発生させるために磁界発生部に印加する電圧、または磁界発生部に流す電流の大きさを変化させる。そのため、本発明では、磁界発生部の損傷を回避しながら、スキミングを防止することができる。
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の磁界発生方法は、磁界を発生するコイルに電圧を印加する、または前記コイルに電流を流す処理と、
前記コイルの温度と共に値が変化する状態情報を取得する処理と、
前記取得した状態情報に基づいて、前記コイルに印加する電圧、または前記コイルに流す電流を制御する処理とを行うことを特徴とする。
【0019】
本発明の磁界発生方法では、コイルの温度と共に値が変化する状態情報に応じて、妨害磁界を発生させるためにコイルに印加する電圧、またはコイルに流す電流の大きさを変化させる。そのため、本発明では、コイルの損傷を回避しながら、スキミングを防止することができる。
【0020】
本発明において、磁界発生方法では、前記取得した状態情報が示す値と所定の閾値とを比較する処理と、
前記比較の結果に基づいて、前記コイルに印加する電圧を、現在印加している電圧から該電圧とは異なる電圧へ変更する、または前記コイルに流す電流を、現在流している電流から該電流とは異なる電流へ変更する処理を行う。この場合には、状態情報と閾値との比較の結果に基づいて、電圧または電流を変更するため、その変更の制御を容易に行うことができる。
【0021】
本発明において、磁界発生方法では、前記状態情報として前記コイルに流れる電流値を取得する処理と、
前記取得した電流値に基づいて、前記コイルに印加する電圧、または前記コイルに流す電流を制御する処理とを行う。この場合には、電流値のみを測定するだけで良いため、温度センサなどの追加の装備が不要となり、装置のコストを低減することができる。
【0022】
本発明において、磁界発生方法では、前記取得した電流値が所定の第1の電流閾値を下回った場合、前記コイルに印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い第2の電圧へ変更する処理を行う。この場合には、電圧を低いものへ変更するための基準を設けることで制御をしやすくすることができる。
【0023】
本発明において、磁界発生方法では、前記取得した電流値と対応付けられた温度を、電流値と温度とを対応付けたテーブルから読み出す処理と、
前記テーブルから読み出した温度に基づいて、前記コイルに印加する電圧を制御する処理とを行う。この場合には、コイルの温度を基準としてコイルに印加する電圧を制御することができる。
【0024】
本発明において、磁界発生方法では、前記テーブルから読み出した温度が所定の第1の温度閾値を超えた場合、前記コイルに印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い第2の電圧へ変更する処理を行う。この場合には、電圧を低いものへ変更するための基準を設けることで制御をしやすくすることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明においては、セキュリティ性を維持しながら、コイルの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の磁界発生装置を搭載したカードリーダの一構成例を示す図である。
図2】本発明の磁界発生装置の第1の実施の形態を示す図である。
図3】一般的な妨害磁界を発生した場合のコイルの温度の時間的変化の様子の一例を示す図である。
図4図2に示したコイルに流れる電流値とコイルの温度との関係の一例を示すグラフである。
図5図2に示した制御部における磁界発生の制御の一例を示す図である。
図6図2に示した制御部が駆動部を用いてコイルに発生させた固定磁界パターンと監視部が測定した電流値との関係の一例を示す図である。
図7図2に示した磁界発生装置における磁界発生方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図8】本発明の磁界発生装置の第2の実施の形態を示す図である。
図9図8に示した制御部における磁界発生の制御の一例を示す図である。
図10図8に示した磁界発生装置における磁界発生方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0028】
(磁界発生装置の搭載例)
図1は、本発明の磁界発生装置を搭載したカードリーダの一構成例を示す図である。ここで、カードリーダは、所定の情報が磁気的方式を用いて書き込まれた(記録された)磁気カードから情報を読み取り、所定の処理を行う磁気記録媒体処理装置である。磁界発生装置100は、磁気カードに記録された磁気データの不正な読み取りを妨害するための装置であって、詳細な内部構成については、後述する。磁界発生装置100を搭載したカードリーダ200には図1に示すように、カード挿入口201と、カード挿入検出機構202と、シャッタ203と、搬送ローラ204と、情報読み取り機構205とが具備されている。カード挿入検出機構202は、カード挿入口201に磁気カードが挿入されたことを検出する。搬送ローラ204は、カード挿入口201から挿入された磁気カードを搬送する。情報読み取り機構205は、挿入された磁気カードから情報を読み取る。
【0029】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の磁界発生装置の第1の実施の形態を示す図である。本形態における磁界発生装置100は図1に示したカードリーダ200に搭載された磁界発生装置であって、図2に示すように、コイル110と、駆動部120と、監視部130と、制御部140とを有する。磁界発生装置100は、磁気カードリーダに設けられているものであって、例えば、磁気を用いて情報が記録された媒体(以下、磁気カードと称する)の挿入口の周辺等の、スキミングヘッドに磁気ノイズ(妨害磁界)を与えることができる位置に設置されている。図2には、本形態における磁界発生装置100が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。
【0030】
コイル110は、電圧が印加されることで電流が流れ、磁界を発生させる磁界発生部である。
駆動部120は、コイル110に電圧を印加する。駆動部120は、制御部140から出力された所定の妨害磁界パターンおよび固定磁界パターンに応じた電圧をコイル110に印加する。
監視部130は、コイル110の温度と共に変化する状態情報を取得する。本形態においてこの状態情報は、コイル110に流れる電流値である。監視部130は、駆動部120が固定磁界パターンに応じた電圧をコイル110に印加したときのコイル110に流れる電流の電流値を測定(取得)する。また、監視部130は、コイル110の断線、短絡等を検出する機能を備えていても良い。
制御部140は、監視部130が取得した状態情報(本形態においては、コイル110に流れる電流値)に基づいて、駆動部120がコイル110に印加する電圧を制御する。制御部140は、監視部130が測定(取得)した電流値が所定の第1の電流閾値と等しくなった場合、または第1の電流閾値を下回った場合、駆動部120がコイル110に印加する電圧を、現在印加している電圧(第1の電圧)の最大値よりも最大値が低い電圧(第2の電圧)へ変更する。制御部140は、コイル110に印加する電圧を第2の電圧へ変更した後、監視部130が測定(取得)した電流の値が第1の電流閾値よりも大きな値である第2の電流閾値に達した場合、または第2の電流閾値を超えた場合、コイル110に印加する電圧を第1の電圧へ変更する(戻す)。また、制御部140は、監視部130が電流値を測定するために、所定の固定磁界パターンを出力する。このとき、制御部140は、固定磁界パターンを所定の周期(例えば、1秒周期)で出力する。固定磁界パターンは、ランダムなタイミングで出力されるものであっても良い。固定磁界パターンの一例は、駆動部120がコイル110に所定の電圧をパルス状に1回のみ印加するものである。固定磁界パターンは、駆動部120がコイル110に所定の電圧をパルス状に2回印加して、その2つのパルス間で電流値を測定するようなものであっても良い。
【0031】
図3は、一般的な妨害磁界を発生した場合のコイルの温度の時間的変化の様子の一例を示す図である。図3に示すように、コイルに電圧を印加して電流を流すと、磁界が発生する。磁界発生の時間経過に伴ってコイルの温度が上昇する。そして、コイルの温度がある一定の温度に達すると、上昇した熱でコイルが損傷し、磁界の発生が停止する。
【0032】
本発明は、このようなコイルの損傷を防止するために、コイルの温度の上昇を低減させるような制御を行う。
【0033】
コイル110を構成する導線の抵抗値は、コイル110の温度に応じて変化する。具体的には、コイル110の温度が低い場合は抵抗値は小さく、コイル110の温度が高い場合は抵抗値は大きい。したがって、コイル110に印加する電圧値が一定であると、コイル110の温度が低い場合はコイル110に流れる電流の大きさが大きく、コイル110の温度が高い場合はコイル110に流れる電流の大きさが小さくなる。
【0034】
図4は、図2に示したコイル110に流れる電流値とコイル110の温度との関係の一例を示すグラフである。図4に示すように、コイル110に印加する電圧値が一定であると、コイル110の温度が低い場合はコイル110に流れる電流値が大きく、コイル110の温度が高い場合はコイル110に流れる電流値が小さくなる。
【0035】
図5は、図2に示した制御部140における磁界発生の制御の一例を示す図である。図5に示した例では、電流の時間的変化が直線的に増加または減少しているように示しているが、これは説明の便宜上の表示であって、実際は必ずしも直線的に変化するとは限らない。
【0036】
まず、妨害磁界発生の停止状態から、コイル110に所定の強さの磁界を発生させるように、電圧(第1の電圧)を印加して電流を流す。この第1の電圧は、その値がランダムなものであり、コイル110から発生する磁界によって、スキミングを十分に妨害できるレベルのものである。また、この第1の電圧を印加して行う動作モードを「強モード」とする。その後、コイル110の温度が上昇することにより、コイル110に流れる電流値が小さくなり、その電流値が第1の電流閾値(閾値IL)を下回ると、制御部140は、駆動部120がコイル110に印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い電圧(第2の電圧)へ変更する。この第2の電圧は、コイル110から発生する磁界によって、スキミングをある程度妨害できるレベルのものである。また、この第2の電圧を印加して行う動作モードを「弱モード」とする。すると、コイル110の温度が低下し、コイル110に流れる電流値が大きくなる。その後、コイル110を流れる電流値が、第1の電流閾値よりも大きな第2の電流閾値(閾値IH)を超えると、制御部140は、駆動部120がコイル110に印加する電圧を、現在印加している第2の電圧から第1の電圧へ変更する(印加する電圧を戻す)。こうすることで、動作モードが「強モード」へ戻る。その後は、コイル110に流れる電流値と2つの電流閾値との比較に基づいて、制御部140は動作モードを変更する。
【0037】
図6は、図2に示した制御部140が駆動部120を用いてコイル110に発生させた固定磁界パターンと監視部130が測定した電流値との関係の一例を示す図である。図6に示すように、磁界発生装置100がスキミングを防止する動作中においては、制御部140からの制御に従って、駆動部120はコイル110にランダムなタイミングおよび強さで電圧を印加して磁界を発生させている。制御部140は、このランダムな磁界発生の合間に、駆動部120を用いてコイル110に固定磁界パターンを発生させる。コイル110にこの固定磁界パターンを発生させたときの電流Aを監視部130は測定する。電流Aとしては、固定磁界パターンのうち電流値が安定した箇所の電流が測定しやすい。固定磁界パターンを発生させずに、妨害磁界パターンが発生しているときの電流を測定するようにしても良い。
【0038】
以下に、図2に示した磁界発生装置100における磁界発生方法について説明する。図7は、図2に示した磁界発生装置100における磁界発生方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0039】
まず、制御部140は、駆動部120を用いてコイル110に電圧(第1の電圧)を印加する(ステップS1)。これにより、コイル110には電流が流れ、コイル110は妨害磁界を発生する。このときの妨害磁界発生の動作モードは「強モード」となる。制御部140は、駆動部120がコイル110に所定の固定磁界パターンに応じた電圧を印加するタイミングであるかどうかを判定する(ステップS2)。このタイミングは、あらかじめ設定されたものであっても良いし、磁界発生装置100の動作状態や周囲の環境状況に応じて算出されるものであっても良い。駆動部120がコイル110に所定の固定磁界パターンに応じた電圧を印加するタイミングである場合、制御部140は、所定の固定磁界パターンを出力し、駆動部120は制御部140から出力された固定磁界パターンに応じた電圧をコイル110に印加する(ステップS3)。固定磁界パターンに応じた電圧がコイル110に印加されたとき、監視部130はコイル110に流れる電流値を測定する(ステップS4)。
【0040】
制御部140は、監視部130が測定した電流値が、あらかじめ設定されている第1の電流閾値と等しくなった、または第1の電流閾値を下回ったかどうかを判定する(ステップS5)。監視部130が測定した電流値が第1の電流閾値と等しくなった場合、または第1の電流閾値を下回った場合、制御部140は、駆動部120がコイル110に印加する電圧を、現在の電圧の最大値よりも最大値が低い電圧へ変更する(ステップS6)。駆動部120は変更された電圧をコイル110に印加する(ステップS7)。このときの妨害磁界発生の動作モードは「弱モード」となる。その後、制御部140は、駆動部120がコイル110に所定の固定磁界パターンに応じた電圧を印加するタイミングであるかどうかを判定する(ステップS8)。駆動部120がコイル110に所定の固定磁界パターンに応じた電圧を印加するタイミングである場合、制御部140は、所定の固定磁界パターンを出力し、駆動部120は制御部140から出力された固定磁界パターンに応じた電圧をコイル110に印加する(ステップS9)。このステップS9の処理はステップS3の処理と同じものであっても良いし、そのとき動作している動作モードに応じた電圧を印加するものであって良い。固定磁界パターンに応じた電圧がコイル110に印加されたとき、監視部130はコイル110に流れる電流値を測定する(ステップS10)。
【0041】
制御部140は、監視部130が測定した電流値が、あらかじめ設定されている第2の電流閾値に達した、または第2の電流閾値を超えたかどうかを判定する(ステップS11)。監視部130が測定した電流値が第2の電流閾値に達した場合、または第2の電流閾値を超えた場合、制御部140は、駆動部120がコイル110に印加する電圧を元の電圧、つまりステップS1で印加した電圧へ戻す(ステップS12)。
【0042】
なお、制御部140は、監視部130が取得した電流値が所定の第1の電流閾値を下回った場合、駆動部120がコイル110に電圧を間欠的に印加するものとするものであっても良い。この場合、駆動部120がコイル110に電圧を印加しない時間は、0に近いほど良いが、実際はコイル110に電圧を印加する時間が7msであり、且つ電圧を印加しない時間が13ms程度の使用条件範囲内とすることが好ましい。また、制御部140は、監視部130が取得した電流値が所定の第1の電流閾値を下回った場合、駆動部120がコイル110に印加する電圧の周波数を変更する(例えば、周波数の低いものへ変更する)ものであっても良い。
【0043】
このように、本形態においては、コイルに流れる電流値に応じて、妨害磁界を発生させるためにコイルに印加する電圧の大きさを変化させる。そのため、コイルの損傷を回避しながら、スキミングを防止することができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の磁界発生装置の第2の実施の形態を示す図である。本形態における磁界発生装置101は図8に示すように、コイル111と、駆動部121と、監視部131と、制御部141と、テーブル151とを有する。磁界発生装置101は、磁気カードリーダに設けられているものであって、例えば、磁気カードの挿入口の周辺等の、スキミングヘッドに磁気ノイズを与えることができる位置に設置されている。図8には、本形態における磁界発生装置101が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。
【0045】
コイル111は、電圧が印加されることで電流が流れ、磁界を発生させる磁界発生部である。
駆動部121は、コイル111に電圧を印加する。駆動部121は、制御部141から出力された固定磁界パターンに応じた電圧をコイル111に印加する。
監視部131は、コイル111に流れる電流値を測定する。監視部131は、駆動部121が固定磁界パターンに応じた電圧をコイル111に印加したときのコイル111に流れる電流の電流値を測定する。
制御部141は、監視部131が測定した、コイル111に流れる電流値と対応付けられた温度をテーブル151から読み出す。制御部141は、テーブル151から読み出した温度に基づいて、駆動部121が印加する電圧を制御する。制御部141は、テーブル151から読み出した温度が所定の第1の温度閾値を超えた場合、駆動部121がコイル111に印加する電圧を、現在印加している電圧(第1の電圧)の最大値よりも最大値が低い電圧(第2の電圧)へ変更する。制御部141は、コイル111に印加する電圧を第2の電圧へ変更した後、テーブル151から読み出した温度が第1の温度閾値よりも小さな値である第2の温度閾値を下回った場合、コイル111に印加する電圧を第1の電圧へ変更する(戻す)。また、制御部141は、監視部131が電流値を測定するために、所定の固定磁界パターンを出力する。このとき、制御部141は、固定磁界パターンを所定の周期で出力するものであっても良い。
テーブル151は、電流値と温度とをあらかじめ対応付けて記憶している。テーブル151に記憶されている対応付けは、図4に示したようなものであっても良く、コイル111に印加する電圧値について、コイル111の温度とそのときコイル111に流れる電流とが対応付けられている表やグラフであっても良い。この対応付けを用いることで、コイル111に流れる電流値を測定するだけで、温度計や温度センサを用いずにコイル111の温度を取得することができる。特に、磁界発生装置に温度計や温度センサが具備されておらず、コイル111を流れる電流を監視する電流監視回路が具備されている場合に好適となる。
【0046】
図9は、図8に示した制御部141における磁界発生の制御の一例を示す図である。図9に示した例では、電流の時間的変化が直線的に増加または減少しているように示しているが、これは説明の便宜上の表示であって、実際は必ずしも直線的に変化するとは限らない。
【0047】
まず、妨害磁界発生の停止状態から、コイル111に所定の強さの磁界を発生させるように、電圧(第1の電圧)を印加して電流を流す。この第1の電圧は、その値がランダムなものであり、コイル111から発生する磁界によって、スキミングを十分に妨害できるレベルのものである。また、この第1の電圧を印加して行う動作モードを「強モード」とする。その後、コイル111の温度が上昇し、その温度が第1の温度閾値(閾値TH)を超えると、制御部141は、駆動部121がコイル111に印加する電圧を、現在印加している第1の電圧の最大値よりも最大値が低い電圧(第2の電圧)へ変更する。この第2の電圧は、コイル111から発生する磁界によって、スキミングをある程度妨害できるレベルのものである。また、この第2の電圧を印加して行う動作モードを「弱モード」とする。すると、コイル111の温度が低下し、その温度が、第1の温度閾値よりも小さな第2の温度閾値(閾値TL)を下回ると、制御部141は、駆動部121がコイル111に印加する電圧を、現在印加している第2の電圧から第1の電圧へ変更する(印加する電圧を戻す)。こうすることで、動作モードが「強モード」へ戻る。その後は、コイル111の温度と2つの温度閾値との比較に基づいて、制御部141は動作モードを変更する。
【0048】
以下に、図8に示した磁界発生装置101における磁界発生方法について説明する。図10は、図8に示した磁界発生装置101における磁界発生方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0049】
まず、制御部141は、駆動部121を用いてコイル111に電圧(第1の電圧)を印加する(ステップS21)。これにより、コイル111には電流が流れ、コイル111は妨害磁界を発生する。このときの妨害磁界発生の動作モードは「強モード」となる。制御部141は、駆動部121がコイル111に所定の固定磁界パターンに応じた電圧を印加するタイミングであるかどうかを判定する(ステップS22)。このタイミングは、あらかじめ設定されたものであっても良いし、磁界発生装置100の動作状態や周囲の環境状況に応じて算出されるものであっても良い。駆動部121がコイル111に所定の固定磁界パターンに応じた電圧を印加するタイミングである場合、制御部141は、所定の固定磁界パターンを出力し、駆動部121は制御部141から出力された固定磁界パターンに応じた電圧をコイル111に印加する(ステップS23)。この固定磁界パターンは、第1の実施の形態で説明したものと同じもので良い。固定磁界パターンに応じた電圧がコイル111に印加されたとき、監視部131はコイル111に流れる電流値を測定する(ステップS24)。
【0050】
制御部141は、監視部131が測定した電流値と対応付けられている温度をテーブル151から読み出す(ステップS25)。続いて、制御部141は、テーブル151から読み出した温度が、あらかじめ設定されている第1の温度閾値に達した、または第1の温度閾値を超えたかどうかを判定する(ステップS26)。制御部141がテーブル151から読み出した温度が第1の温度閾値に達した場合、または第1の温度閾値を超えた場合、制御部141は、駆動部121がコイル111に印加する電圧を、現在の電圧の最大値よりも最大値が低い電圧へ変更する(ステップS27)。駆動部121は変更された電圧をコイル111に印加する(ステップS28)。このときの妨害磁界発生の動作モードは「弱モード」となる。その後、制御部141は、駆動部121がコイル111に所定の固定磁界パターンに応じた電圧を印加するタイミングであるかどうかを判定する(ステップS29)。駆動部121がコイル111に所定の固定磁界パターンに応じた電圧を印加するタイミングである場合、制御部141は、所定の固定磁界パターンを出力し、駆動部121は制御部141から出力された固定磁界パターンに応じた電圧をコイル111に印加する(ステップS30)。このステップS30の処理はステップS23の処理と同じものであっても良いし、そのとき動作している動作モードに応じた電圧を印加するものであって良い。固定磁界パターンに応じた電圧がコイル111に印加されたとき、監視部131はコイル111に流れる電流値を測定する(ステップS31)。
【0051】
制御部141は、監視部131が測定した電流値と対応付けられている温度をテーブル151から読み出す(ステップS32)。続いて、制御部141は、テーブル151から読み出した温度が、あらかじめ設定されている第2の温度閾値と等しくなった、または第2の温度閾値を下回ったかどうかを判定する(ステップS33)。監視部131が測定した電流値が第2の温度閾値と等しくなった場合、または第2の温度閾値を下回った場合、制御部141は、駆動部121がコイル111に印加する電圧を元の電圧、つまりステップS11で印加した電圧へ戻す(ステップS34)。
【0052】
なお、制御部141は、テーブル151から読み出した温度が所定の第1の温度閾値を超えた場合、駆動部121がコイル111に電圧を間欠的に印加するものとするものであっても良い。この場合、駆動部121がコイル111に電圧を印加しない時間は、0に近いほど良いが、実際はコイル110に電圧を印加する時間が7msであり、且つ電圧を印加しない時間が13ms程度の使用条件範囲内とすることが好ましい。また、制御部141は、テーブル151から読み出した温度が所定の第1の温度閾値を超えた場合、駆動部121がコイル111に印加する電圧の周波数を変更するものであっても良い。
【0053】
このように、本形態においては、コイルの温度に応じて、妨害磁界を発生させるためにコイルに印加する電圧の大きさを変化させる。つまり、コイルの温度が損傷するような温度まで上昇してしまわないように、コイルに印加する電圧を制御する。そのため、コイルの温度上昇による損傷を回避しながら、スキミングを防止することができる。なお、図1に示したカードリーダ200に、磁界発生装置100の代わりに、本形態における磁界発生装置101を搭載しても良いことは言うまでもない。
【0054】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例であるが、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。例えば、状態情報として、コイルに流れる電流値や温度を用いるものを例に挙げて説明したが、コイルから発生する妨害磁界の振幅や、コイルにかかる電圧値を用いるものであっても良い。妨害磁界の振幅は、ホール素子等を用いて測定するものであっても良い。これにより、例えば、別の用途ですでにホール素子が搭載された装置においては、状態情報を取得する素子(回路)をあらたに追加することなく、上述した効果と同じ効果を得ることができる。また、温度計や温度センサがすでに設けられている装置においては、その温度計や温度センサが検出した温度を用いて上述した処理を行うものであっても良い。
また、上述した形態においては、駆動部120,121それぞれがコイル110,111それぞれに印加する電圧を制御部140,141が制御する構成を例を挙げたが、制御部140,141は、駆動部120,121それぞれがコイル110,111それぞれに流す電流を、電圧同様に制御するものであっても良い。また、上述した形態においては、第2の電圧は第1の電圧よりも、その最大値が低いものを例に挙げたが、その平均値が低いものやその実効値が低いものであっても良い。また、上述した形態においては、2つの閾値を設定してコイル110,111に印加する電圧を制御する例を挙げたが、温度がさらに低い場合等においては、例えば、第3の電流閾値や第3の温度閾値を設定して、さらに高い電圧をコイル110,111に印加して行う「高強度モード」等へ変更するようにしても良い。これにより、さらにセキュリティ性を高めることができる。
【0055】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。
【符号の説明】
【0056】
100,101 磁界発生装置
110,111 コイル
120,121 駆動部
130,131 監視部
140,141 制御部
151 テーブル
200 カードリーダ
201 カード挿入口
202 カード挿入検出機構
203 シャッタ
204 搬送ローラ
205 情報読み取り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10