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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-219903(P2019-219903A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】トイレ使用状態監視装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20191129BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   G08B21/02
   G08B25/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-116698(P2018-116698)
(22)【出願日】2018年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】301011659
【氏名又は名称】株式会社三陽電設
(71)【出願人】
【識別番号】518218885
【氏名又は名称】安喜 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】吉井 健一
(72)【発明者】
【氏名】安喜 耕一
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA52
5C086BA04
5C086CB01
5C086CB16
5C086CB28
5C086DA08
5C086DA33
5C086EA13
5C086FA02
5C086FA11
5C086FA17
5C087AA10
5C087AA11
5C087AA19
5C087AA32
5C087DD03
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG38
5C087GG66
5C087GG84
(57)【要約】
【課題】トイレ内の人の異常を早期に検知することが可能なトイレ使用状態監視装置を提供する。
【解決手段】このトイレ使用状態監視装置100は、トイレT内に位置する人を検知する赤外線センサ部2と、赤外線センサ部2とは異なる種類のセンサにより構成され、トイレTを使用している人を検知する温度センサ3とを備え、赤外線センサ部2および温度センサ3の両方の検知信号Sに基づいて、トイレT内の人の異常を検知するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ内に位置する人を検知する第1センサ部と、
前記第1センサ部とは異なる種類のセンサにより構成され、トイレを使用している人を検知する第2センサ部とを備え、
前記第1センサ部および前記第2センサ部の両方の検知信号に基づいて、トイレ内の人の異常を検知するように構成されている、トイレ使用状態監視装置。
【請求項2】
前記第1センサ部によりトイレ内に位置する人を検知し、かつ、前記第2センサ部によりトイレを使用している人を検知できない第1検知状態となったことに基づいて、トイレ内の人の異常を検知するとともに、トイレ内の人の異常を他の人に通知する通知処理を行うように構成されている、請求項1に記載のトイレ使用状態監視装置。
【請求項3】
前記第1検知状態が第1の時間継続された場合に、前記通知処理を行うように構成されている、請求項2に記載のトイレ使用状態監視装置。
【請求項4】
前記第1センサ部によりトイレ内に位置する人を検知できず、かつ、前記第2センサ部によりトイレを使用している人を検知できない非検知状態から、前記第1検知状態に変化した際には、前記通知処理を行わないように構成されている、請求項2または3に記載のトイレ使用状態監視装置。
【請求項5】
前記第2センサ部は、トイレを使用している人が位置するトイレ内の上方側領域を複数画素の検知領域に分割して、各画素毎の温度状態を検知する温度センサ、または、トイレを使用している人がいる場合にはトイレを使用している人までの距離を測定し、トイレを使用している人がいない場合にはトイレ内の所定の構造物までの距離を測定するような位置に配置された距離センサを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトイレ使用状態監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トイレ使用状態監視装置に関し、特に、トイレ内に位置する人を検知するセンサ部を備えるトイレ使用状態監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ内に位置する人を検知するセンサ部を備えるトイレ使用状態監視装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、トイレ内に位置する人を検知(トイレ内の人の有無を検知)するセンサ部を備え、センサ部の検知結果に基づいて、トイレ内の人の異常を検知する異変検知システムが開示されている。異変検知システムは、センサ部による人の検知状態が所定の設定時間継続した場合に、トイレ内の人の異常を検知するように構成されている。なお、通常のトイレ使用時に異常を検知することがないように、異変検知システムは、所定の設定時間として、比較的長い時間(たとえば30分)を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−209860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の異変検知システムでは、トイレ内の人に異常が発生したとしても、通常のトイレ使用時に異常を検知することがないように、比較的長い所定の設定時間が経過するまで、トイレ内の人の異常を検知することができないという問題点がある。すなわち、トイレ内の人の異常を早期に検知することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、トイレ内の人の異常を早期に検知することが可能なトイレ使用状態監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面によるトイレ使用状態監視装置は、トイレ内に位置する人を検知する第1センサ部と、第1センサ部とは異なる種類のセンサにより構成され、トイレを使用している人を検知する第2センサ部とを備え、第1センサ部および第2センサ部の両方の検知信号に基づいて、トイレ内の人の異常を検知するように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面によるトイレ使用状態監視装置では、上記のように構成することによって、第1センサ部によりトイレ内の人の有無を検知することができるとともに、第2センサ部によりトイレの使用の有無を検知することができるので、第1センサ部および第2センサ部の組み合わせにより、トイレ内に人がいる状態でかつ人がトイレを使用している状態と、トイレ内に人がいる状態でかつ人がトイレを使用していない状態とを区別して検知することができる。ここで、トイレ内において人がトイレを使用していない状態では、トイレ内で人が倒れているなど、人に何らかの異常が発生している可能性が高い。したがって、トイレ内に人がいる状態でかつ人がトイレを使用していない状態を検知したことに基づいて、トイレ内の人の異常を早期に検知することができる。
【0009】
上記一の局面によるトイレ使用状態監視装置において、好ましくは、第1センサ部によりトイレ内に位置する人を検知し、かつ、第2センサ部によりトイレを使用している人を検知できない第1検知状態となったことに基づいて、トイレ内の人の異常を検知するとともに、トイレ内の人の異常を他の人に通知する通知処理を行うように構成されている。このように構成すれば、第1検知状態となったことに基づいて、トイレ内の人の異常を確実に検知することができるとともに、通知処理により他の人にトイレ内の人の異常を確実に認識させることができる。
【0010】
この場合、好ましくは、第1検知状態が第1の時間継続された場合に、通知処理を行うように構成されている。このように構成すれば、第1の時間を、トイレに入室しまたはトイレから退出するのに通常要する時間よりも少しだけ長い時間(たとえば数秒から数分(1〜3分))に設定することにより、トイレに入室しまたはトイレから退出する人の状態と、トイレ内で倒れている人の状態とをより確実に区別することができる。その結果、トイレに入室しまたはトイレから退出する際に、人が倒れているとして誤って通知処理が行われることを抑制することができる。
【0011】
上記第1検知状態となったことに基づき通知処理を行う構成において、好ましくは、第1センサ部によりトイレ内に位置する人を検知できず、かつ、第2センサ部によりトイレを使用している人を検知できない非検知状態から、上記第1検知状態に変化した際には、通知処理を行わないように構成されている。このように構成すれば、第1センサ部によりトイレ内に位置する人を検知し、かつ、第2センサ部によりトイレを使用している人を検知できない第1検知状態となったとしても、通知処理が行われないので、トイレ内に人がいない非検知状態からトイレに人が入る際に、人が倒れているとして誤って通知処理が行われることを防止することができる。
【0012】
上記一の局面によるトイレ使用状態監視装置において、好ましくは、第2センサ部は、トイレを使用している人が位置するトイレ内の上方側領域を複数画素の検知領域に分割して、各画素毎の温度状態を検知する温度センサ、または、トイレを使用している人がいる場合にはトイレを使用している人までの距離を測定し、トイレを使用している人がいない場合にはトイレ内の所定の構造物までの距離を測定するような位置に配置された距離センサを含む。このように構成すれば、温度センサにより、人の体温を直接検知することができるので、人がトイレを使用していることを確実に検知することができる。また、距離センサにより、トイレを使用している人がいる状態と、トイレを使用している人がいない状態とを、カメラのように直接人の姿を撮像するのではなく直接人の姿を撮像しない態様により、区別することができるので、トイレを使用する人のプライバシーを侵害することなく、トイレ内の人の異常を検知することができる。
【0013】
なお、本出願では、上記一の局面によるトイレ使用状態監視装置において、以下の構成も考えられる。
【0014】
(付記項1)
すなわち、上記第1検知状態が第1の時間継続された場合に通知処理を行うトイレ使用状態監視装置において、好ましくは、第1センサ部によりトイレ内に人が位置することを検知し、かつ、第2センサ部によりトイレを使用している人を検知している第2検知状態が第1の時間よりも長い第2の時間継続された場合にも、通知処理を行うように構成されている。
【0015】
(付記項2)
上記第1センサ部および第2センサ部の両方の検知信号に基づきトイレ内の人の異常を検知するトイレ使用状態監視装置において、好ましくは、第2センサ部は、便座に着座している人を検知するように構成されている。
【0016】
(付記項3)
上記第2センサ部が距離センサを含むトイレ使用状態監視装置において、好ましくは、第2センサ部は、距離センサを含み、便座に着座している人を検知するように構成されており、第1センサ部および第2センサ部が設けられる筐体部をさらに備え、筐体部は、便座の略直上の位置に配置されている。
【0017】
(付記項4)
上記第2センサ部が温度センサを含むトイレ使用状態監視装置において、好ましくは、第2センサ部は、温度センサを含み、便座に着座している人を検知するように構成されており、第1センサ部および第2センサ部が設けられる筐体部をさらに備え、筐体部は、便座の略正面の位置に配置されている。
【0018】
(付記項5)
上記第1センサ部および第2センサ部の両方の検知信号に基づきトイレ内の人の異常を検知するトイレ使用状態監視装置において、好ましくは、第1センサ部は、トイレ内の略全域から赤外線を受光可能な赤外線センサ部を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、上記のように、トイレ内の人の異常を早期に検知することが可能なトイレ使用状態監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態によるトイレ使用状態監視装置の全体構成を示した模式図である。
図2】本発明の第1実施形態によるトイレ使用状態監視装置の温度センサによる各画素毎の検知状態について説明するための図であり、(A)は人を検知している状態を示しており、(B)は人を検知していない状態を示している。
図3】本発明の第1実施形態によるトイレ使用状態監視装置による通知処理のための制御処理フローである。
図4】本発明の第2実施形態によるトイレ使用状態監視装置の全体構成を示した模式図である。
図5】本発明の第1実施形態の変形例によるトイレ使用状態監視装置の全体構成を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1図3を参照して、本発明の第1実施形態によるトイレ使用状態監視装置100について説明する。
【0023】
(トイレ使用状態監視装置の構成)
図1に示すトイレ使用状態監視装置100は、トイレ(トイレ室)T内で体調不良などにより倒れ込んだ人を早急に他の人が発見するための装置である。トイレ使用状態監視装置100は、トイレT内で倒れ込んだ人がいる場合には、トイレT外に設置されている表示装置103を介してその旨を監視者などの他の人に通知するように構成されている。詳細については後述する。なお、トイレTには、着座して使用するいわゆる洋式の便座T1が設けられている。トイレTは、通常、他の人に見られることなく1人で使用する空間である。したがって、トイレT内は、倒れ込んだ人がいた場合に他の人に発見されにくい空間となる。
【0024】
トイレ使用状態監視装置100は、後述する赤外線センサ部2および後述する温度センサ(グリッドサーモセンサ)3の両方の検知信号Sに基づいて、トイレT内の人の異常を検知するように構成されている。なお、赤外線センサ部2は、特許請求の範囲の「第1センサ部」の一例である。また、温度センサ3は、特許請求の範囲の「第2センサ部」の一例である。
【0025】
トイレ使用状態監視装置100は、センサーボックス101と、受信装置102と、表示装置103とを備えている。センサーボックス101は、トイレT内に配置され、受信装置102と表示装置103とは、トイレT外に配置されている。受信装置102と表示装置103とは、ケーブルCにより電気的に接続されている。
【0026】
(センサーボックスの構成)
センサーボックス101は、筐体部1と、赤外線センサ部2と、温度センサ3と、無線送信部4とを備えている。また、センサーボックス101は、蓄電池(図示せず)を含んでおり、蓄電池から電力を得て駆動するように構成されている。なお、センサーボックス101は、商用電源から電力を得て駆動するように構成されていてもよい。
【0027】
筐体部1は、直方体形状を有している。筐体部1には、赤外線センサ部2、温度センサ3および無線送信部4が設けられている。筐体部1の便座T1側の面には、赤外線センサ部2および温度センサ3が露出するように配置されている。
【0028】
筐体部1は、便座T1の略正面の位置に配置されている。すなわち、筐体部1は、便座T1に着座した人と対向する位置に配置されている。また、筐体部1は、便座T1に着座した人の頭部と略同じ高さ位置に配置されている。
【0029】
赤外線センサ部2は、トイレT内に位置する人を検知するように構成されている。すなわち、赤外線センサ部2は、トイレT内の人の存在を検知するためのセンサである。赤外線センサ部2は、トイレT内の略全域から赤外線を受光可能に構成されている。すなわち、赤外線センサ部2は、トイレT内に人がいる場合には、人が退出するまで常に検知状態となる。なお、赤外線センサ部2は、単にトイレT内の人の存在を検知するためのセンサであり、人が倒れ込んでいるか否かを単独で検知することはできない。
【0030】
温度センサ(グリッドサーモセンサ)3は、赤外線センサ部2とは異なる種類のセンサにより構成され、トイレTを使用している人(使用中の人)を検知するように構成されている。温度センサ3は、便座T1に着座している人を検知するように構成されている。
【0031】
詳細には、温度センサ3は、トイレT(便座T1)を使用している人が位置するトイレT内の上方側領域を複数画素の検知領域に分割して、各画素毎の温度状態を検知するように構成されている。なお、トイレTを使用している人が位置するトイレT内の上方側領域とは、便座T1に着座した人の頭部が位置する辺りの領域である。
【0032】
たとえば、図2に示すように、温度センサ3は、縦列n画素(nは自然数。たとえば8画素)、横列m画素(mは自然数。たとえば8画素)の合計n×m画素を有し、各画素毎の温度状態を検知するように構成されている。温度センサ3は、図2(A)に示すように、トイレTを使用している人がいる場合には、人の頭部のシルエットが取得されるような検知状態になる。また、温度センサ3は、図2(B)に示すように、トイレTを使用している人がいない場合には、全ての画素が略同じ検知状態(同色)となる。なお、温度センサ3は、トイレTを使用する人のプライバシーを保護するために、比較的少ない画素数(たとえば100画素未満)により温度状態を検知するように構成されている。表示装置103は、温度センサ3の64画素の検知状態を、後述する表示部103aに表示するように構成されていてもよい。
【0033】
図1に示すように、無線送信部4は、赤外線センサ部2および温度センサ3の両方の検知信号Sを受信装置102に送信するように構成されている。
【0034】
(受信装置の構成)
図1に示す受信装置102は、センサーボックス101と、表示装置103との間の通信を仲介する装置である。受信装置102は、センサーボックス101から受信した検知信号Sを表示装置103に送信するように構成されている。受信装置102は、無線受信部102aと、送信部102bとを備えている。
【0035】
(表示装置の構成)
表示装置103は、センサーボックス101の検知結果を監視者に通知するための端末である。監視者とは、トイレTを使用する人の家族や、外部の管理会社の職員、病院では看護師などである。表示装置103は、ノートパソコンにより構成されている。
【0036】
表示装置103は、表示部103aと、制御部103bとを備えている。
【0037】
表示部103aは、受信装置102を介してセンサーボックス101から検知信号Sに関する所定の情報を表示するように構成されている。詳細には、表示部103aは、トイレT内の人の異常(人が倒れていること)を示す検知信号Sを表示装置103が受信した場合には、その旨を通知するための所定の内容を表示するように構成されている。この際、表示装置103は、警告音を発したり、警告ランプを点灯させるなどしてもよい。
【0038】
図1に示す制御部103bは、赤外線センサ部2および温度センサ3の両方の検知信号Sに基づいて、トイレT内の人の異常(人が倒れている旨)を監視者に通知するための処理を行うように構成されている。制御部103bは、タイマー103cを含んでおり、赤外線センサ部2および温度センサ3の所定の検知状態の継続時間をカウントするように構成されている。
【0039】
制御部103bは、赤外線センサ部2によりトイレT内に位置する人を検知し、かつ、温度センサ3によりトイレTを使用している人を検知できない第1検知状態となったことに基づいて、トイレT内の人の異常を検知する制御を行うように構成されている。また、制御部103bは、トイレT内の人の異常を検知した場合に、トイレT内の人の異常を他の人に通知する通知処理を行うように構成されている。ここで、第1検知状態とは、トイレT内に人がいるとともに、便座T1の正面の位置に配置された温度センサ3の検知範囲の外に人がいることを検知している状態である。第1検知状態になるのは、主に、トイレTから人が出入する際や、トイレT内で人が倒れている際などである。
【0040】
通知処理とは、表示装置103を介して監視者に対してトイレT内の人の異常を通知するための処理である。具体的には、制御部103bは、通知処理として、表示部103aにトイレT内の人の異常を監視者に知らせるための所定の内容(「トイレ内で異常が発生」などのメッセージ)を表示するように構成されている。また、制御部103bは、通知処理として、上記の通り、警告音を発したり、警告ランプを点灯させるなどしてもよい。
【0041】
制御部103bは、赤外線センサ部2によりトイレT内に位置する人を検知できず、かつ、温度センサ3によりトイレTを使用している人を検知できない非検知状態から、第1検知状態に変化した際には、通知処理を行わないように構成されている。すなわち、制御部103bは、トイレTに人が入ってから便座T1に座るまでの間に、通知処理を行わないように構成されている。
【0042】
制御部103bは、第1検知状態が第1の時間継続された場合に、通知処理を行うように構成されている。第1の時間とは、たとえば、数秒から数分(たとえば1分〜3分)などの比較的短く設定された時間である。
【0043】
すなわち、制御部103bは、赤外線センサ部2によりトイレT内に位置する人を検知し、かつ、温度センサ3によりトイレTを使用している人を検知している第2検知状態(トイレ使用状態)から、第1検知状態に変化した際に、即座に通知処理を行わないように構成されている。要するに、制御部103bは、便座T1に着座している人が立ち上がり倒れることなくトイレTから出るまでの間(通常のトイレTからの退出動作の間)に、通知処理を行わないように構成されている。
【0044】
制御部103bは、赤外線センサ部2によりトイレT内に人が位置することを検知し、かつ、温度センサ3によりトイレTを使用している人を検知している第2検知状態(トイレ使用状態)が第1の時間よりも長い第2の時間継続された場合にも、通知処理を行うように構成されている。第2の時間とは、たとえば、30分、1時間などの比較的長く設定された時間である。
【0045】
すなわち、制御部103bは、人が便座T1に着座している状態であっても、その時間が長く継続された場合には、意識を失っているなどの何らかの異常が発生している可能性が高いとして通知処理を行うように構成されている。
【0046】
(トイレ使用状態監視装置による通知処理のための制御処理)
次に、図3を参照して、トイレ使用状態監視装置100による通知処理のための制御処理フローについて説明する。すなわち、センサーボックス101、受信装置102および表示装置103(制御部103b)による通知処理のための制御処理フローについて説明する。
【0047】
〈センサーボックスの制御処理〉
【0048】
センサーボックス101による通知処理のための制御処理について説明する。
【0049】
まず、ステップS1において、赤外線センサ部2および温度センサ3を介して、トイレT内の状態が検知される。そして、ステップS2に進む。
【0050】
次に、ステップS2において、赤外線センサ部2および温度センサ3の両方の検知信号Sが、無線送信部4から受信装置102に送信される。そして、ステップS3に進む。
【0051】
次に、ステップS3において、センサーボックス101に設けられたタイマー(図示せず)により、数秒程度の所定時間のカウント(待ち合わせ)が行われる。そして、所定時間のカウントが終了した場合、ステップS1に戻る。すなわち、センサーボックス101は、所定時間間隔で、検知信号Sを受信装置102に送信するように構成されている。
【0052】
〈受信装置の制御処理〉
受信装置102による通知処理のための制御処理について説明する。
【0053】
まず、ステップS11において、検知信号Sがセンサーボックス101から受信される。そして、ステップS12に進む。次に、ステップS12において、受信した検知信号SがケーブルCを介して表示装置103に送信される。以上で、センサーボックス101による制御処理が完了する。
【0054】
〈表示装置の制御処理〉
表示装置103の制御部103bによる通知処理のための制御処理について説明する。なお、表示装置103による通知処理のための制御処理の開始時点では、赤外線センサ部2および温度センサ3による検知状態が、非検知状態にあるものとする。すなわち、以下では、トイレT内に人がいない状態から開始される制御処理について説明する。
【0055】
まず、ステップS21において、制御部103bにより、受信部(図示せず)を介して、検知信号Sが受信装置102から受信される。そして、ステップS22に進む。なお、以降では、新たに検知信号Sを取得するステップについての説明を省略する。
【0056】
次に、ステップS22において、制御部103bにより、第1検知状態であるか否かが判断される。詳細には、ステップS22において、制御部103bにより、ステップS21において受信した検知信号Sに基づいて、非検知状態から第1検知状態に変化したか否かが判断される。
【0057】
すなわち、ステップS22において、制御部103bにより、トイレT内に人が入ってきたか否かが判断される。制御部103bにより、第1検知状態であると判断されない場合(トイレT内に人がいない場合)には、制御処理が終了する。制御部103bにより、第1検知状態であると判断された場合には、ステップS23に進む。
【0058】
次に、ステップS23において、制御部103bにより、第2検知状態であるか否かが判断される。詳細には、ステップS23において、制御部103bにより、ステップS22以降に受信した新たな検知信号Sに基づいて、第1検知状態から第2検知状態に変化したか否かが判断される。
【0059】
すなわち、ステップS23において、制御部103bにより、トイレTの使用が開始されたか否か(便座T1に人が着座したか否か)が判断される。制御部103bにより、第2検知状態であると判断されない場合には、ステップS24に進む。制御部103bにより、第2検知状態であると判断された場合には、ステップS25に進む。なお、ステップS23において、第2検知状態であると判断された場合には、制御部103bにより、第2の時間を計測するためにタイマー103cのカウントが開始される。
【0060】
次に、ステップS24において、制御部103bにより、非検知状態であるか否かが判断される。詳細には、ステップS24において、制御部103bにより、ステップS22以降に受信した新たな検知信号Sに基づいて、第1検知状態から非検知状態に変化したか否かが判断される。
【0061】
すなわち、ステップS24において、制御部103bにより、トイレTに入ってきた人がトイレTの使用を開始することなくトイレTから出たか否かが判断される。制御部103bにより、非検知状態であると判断された場合(トイレTから出た場合)には、制御処理が終了する。制御部103bにより、非検知状態であると判断されない場合には、ステップS23に戻る。
【0062】
次に、ステップS25において、制御部103bにより、タイマー103cのカウントに基づいて、第2検知状態が第2の時間(たとえば30分)継続されたか否かが判断される。すなわち、制御部103bにより、トイレTの使用が長時間継続されていないか否かが判断される。制御部103bにより、タイマー103cのカウントに基づいて、第2検知状態が第2の時間継続されていないと判断された場合には、ステップS26に進む。制御部103bにより、第2検知状態が第2の時間継続されたと判断された場合には、ステップS29に進む。
【0063】
次に、ステップS26において、制御部103bにより、第1検知状態であるか否かが判断される。詳細には、ステップS26において、制御部103bにより、ステップS23以降に受信した新たな検知信号Sに基づいて、第2検知状態から第1検知状態に変化したか否かが判断される。
【0064】
すなわち、ステップS26において、制御部103bにより、トイレTの使用が終了したか否か(便座T1を離れて温度センサ3により検知されない位置に人がいるか否か)が判断される。制御部103bにより、第1検知状態であると判断された場合には、ステップS27に進む。なお、ステップS26において、第1検知状態であると判断された場合には、制御部103bにより、第1の時間を計測するためにタイマー103cのカウントが開始される。制御部103bにより、第1検知状態であると判断されない場合には、ステップS25に戻る。
【0065】
次に、ステップS27において、制御部103bにより、タイマー103cのカウントに基づいて、第1検知状態が第1の時間(たとえば30秒)継続されたか否かが判断される。すなわち、制御部103bにより、トイレTの使用が終了してからトイレTを出るまでに時間が掛かりすぎていないか否か(トイレT内で人が倒れていないか否か)が判断される。制御部103bにより、第1検知状態が第1の時間継続されていないと判断された場合には、ステップS28に進む。制御部103bにより、第1検知状態が第1の時間継続されたと判断された場合には、ステップS29に進む。
【0066】
次に、ステップS28において、制御部103bにより、非検知状態であるか否かが判断される。詳細には、ステップS28において、制御部103bにより、ステップS26以降に受信した新たな検知信号Sに基づいて、第1検知状態から非検知状態に変化したか否かが判断される。
【0067】
すなわち、ステップS28において、制御部103bにより、トイレTの使用を終了してトイレTから出たか否かが判断される。制御部103bにより、非検知状態であると判断された場合(トイレTから出た場合)には、制御処理が終了する。制御部103bにより、非検知状態であると判断されない場合には、ステップS27に戻る。
【0068】
次に、ステップS29において、制御部103bにより、通知処理が行わる。すなわち、制御部103bにより、表示部103aなどを介して、トイレT内の人の異常を監視者に通知するための処理を行う。以上で、制御部103bによる制御処理が完了する。
【0069】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0070】
第1実施形態では、上記のように、赤外線センサ部2によりトイレT内の人の有無を検知することができるとともに、温度センサ3によりトイレTの使用の有無を検知することができるので、赤外線センサ部2および温度センサ3の組み合わせにより、トイレT内に人がいる状態でかつ人がトイレTを使用している状態と、トイレT内に人がいる状態でかつ人がトイレTを使用していない状態とを区別して検知することができる。ここで、トイレT内において人がトイレTを使用していない状態では、トイレT内で人が倒れているなど、人に何らかの異常が発生している可能性が高い。したがって、トイレT内に人がいる状態でかつ人がトイレTを使用していない状態を検知したことに基づいて、トイレT内の人の異常を早期に検知することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、赤外線センサ部2によりトイレT内に位置する人を検知し、かつ、温度センサ3によりトイレTを使用している人を検知できない第1検知状態となったことに基づいて、トイレT内の人の異常を検知するとともに、トイレT内の人の異常を他の人に通知する通知処理を行うように構成されている。これにより、第1検知状態となったことに基づいて、トイレT内の人の異常を確実に検知することができるとともに、通知処理により他の人にトイレT内の人の異常を確実に認識させることができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、第1検知状態が第1の時間継続された場合に、通知処理を行うように構成されている。これにより、第1の時間を、トイレTに入室しまたはトイレTから退出するのに通常要する時間よりも少しだけ長い時間(たとえば数秒から数分(1〜3分))に設定することによって、トイレTに入室しまたはトイレTから退出する人の状態と、トイレT内で倒れている人の状態とをより確実に区別することができる。その結果、トイレTに入室しまたはトイレから退出する際に、人が倒れているとして誤って通知処理が行われることを抑制することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、上記のように、赤外線センサ部2によりトイレT内に位置する人を検知できず、かつ、温度センサ3によりトイレTを使用している人を検知できない非検知状態から、第1検知状態に変化した際には、通知処理を行わないように構成されている。これにより、赤外線センサ部2によりトイレT内に位置する人を検知し、かつ、温度センサ3によりトイレTを使用している人を検知できない第1検知状態となったとしても、通知処理が行われないので、トイレT内に人がいない非検知状態からトイレTに人が入る際に、人が倒れているとして誤って通知処理が行われることを防止することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、上記のように、トイレ使用状態監視装置100に、トイレTを使用している人が位置するトイレT内の上方側領域を複数画素の検知領域に分割して、各画素毎の温度状態を検知する温度センサを設ける。これにより、温度センサにより、人の体温を直接検知することができるので、人がトイレTを使用していることを確実に検知することができる。
【0075】
[第2実施形態]
図4を参照して、本発明の第2実施形態によるトイレ使用状態監視装置200について説明する。この第2実施形態では、センサーボックス101が赤外線センサ部2および温度センサ3を備える上記第1実施形態とは異なり、センサーボックス101aが赤外線センサ部2および距離センサ203を備える例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。なお、距離センサ203は、特許請求の範囲の「第2センサ部」の一例である。
【0076】
(トイレ使用状態監視装置の構成)
第2実施形態におけるトイレ使用状態監視装置200は、図4に示すように、センサーボックス101aを備えている。
【0077】
センサーボックス101aは、筐体部201と、距離センサ203とを備えている。
【0078】
筐体部201は、便座T1の略直上の位置に配置されている。すなわち、筐体部201は、トイレTを使用する人がいる場合には、使用中の人の頭の略直上の位置に配置されている。
【0079】
距離センサ203は、トイレTを使用している人がいる場合にはトイレTを使用している人(頭や肩など)までの距離を測定するような位置に配置されている。また、距離センサ203は、トイレTを使用している人がいない場合にはトイレT内の所定の構造物(便座T1)までの距離を測定するような位置に配置されている。したがって、距離センサ203は、トイレTを使用している人の有無により測定距離の大小が変化することに基づいて、トイレTを使用している人を検知するように構成されている。
【0080】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0081】
第2実施形態では、上記のように、トイレ使用状態監視装置100に、トイレTを使用している人がいる場合にはトイレTを使用している人までの距離を測定し、トイレTを使用している人がいない場合にはトイレT内の所定の構造物までの距離を測定するような位置に配置された距離センサを設ける。これにより、距離センサにより、トイレTを使用している人がいる状態と、トイレTを使用している人がいない状態とを、カメラのように直接人の姿を撮像するのではなく直接人の姿を撮像しない態様により区別することができるので、トイレTを使用する人のプライバシーを侵害することなく、トイレT内の人の異常を検知することができる。
【0082】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0083】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、表示装置をノートパソコンにより構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、表示装置303を、図5に示す第1実施形態の変形例のトイレ使用状態監視装置300のようにスマートフォンにより構成してもよい。この場合、トイレ使用状態監視装置300は、センサーボックス101からの検知信号Sを受信装置102から、インターネットを介してスマートフォンに送信するように構成されている。この他、表示装置をデスクトップパソコンや、タブレット端末などにより構成してもよい。
【0084】
また、上記第1および第2実施形態では、トイレ使用状態監視装置を、いわゆる洋式の便座を備えるトイレに設置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、トイレ使用状態監視装置を、中腰で使用するいわゆる和式の便器などを備えるトイレに設置してもよい。
【0085】
また、上記第1および第2実施形態では、センサーボックスからの検知信号を、受信装置を介して表示装置に送信した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、センサーボックスからの検知信号を、受信装置を介することなく、表示装置に直接送信してもよい。
【0086】
また、上記第1および第2実施形態では、センサーボックスからの検知信号を、無線通信により表示装置に送信した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、センサーボックスからの検知信号を、有線通信により表示装置に送信してもよい。
【0087】
また、上記第1および第2実施形態では、センサーボックスの筐体部を、便座の略直上の位置または便座の略正面の位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、センサーボックスの筐体部を、便座の側方側の位置または便座の背面側の位置に配置してもよい。
【0088】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の第1センサ部を、トイレ内に位置する人を検知する赤外線センサ部により構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、本発明の第1センサ部を、トイレ内に位置する人を検知する光学式センサ部や、接触式センサ部などにより構成してもよい。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の第2センサ部を、温度センサまたは距離センサにより構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、本発明の第2センサ部を、超音波式センサなどの温度センサおよび距離センサとは異なる方式のセンサにより構成してもよい。
【0090】
また、上記第1および第2実施形態では、センサーボックスから検知信号を所定時間ごとに送信するようにトイレ使用状態監視装置を構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、センサーボックスから検知信号を常時送信するようにトイレ使用状態監視装置を構成してもよい。
【0091】
また、上記第1および第2実施形態では、トイレ使用状態監視装置を、第1検知状態(トイレ内でトイレを使用していない状態)が第1の時間継続した場合、および、第2検知状態(トイレを使用している状態)が第2の時間継続した場合に通知処理を行うように構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、上記タイミングによる通知処理に加えて、トイレ使用状態監視装置を、トイレに入室してから所定時間経過した場合などに通知処理を行うように構成してもよい。
【0092】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0093】
2 赤外線センサ部(第1センサ部)
3 温度センサ(第2センサ部)
100、200、300 トイレ使用状態監視装置
203 距離センサ(第2センサ部)
S 検知信号
T トイレ
図1
図2
図3
図4
図5