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特開2019-219937多重化サーボ制御システム、多重化サーボ制御方法、及び発電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-219937(P2019-219937A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】多重化サーボ制御システム、多重化サーボ制御方法、及び発電システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 9/03 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   G05B9/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-117143(P2018-117143)
(22)【出願日】2018年6月20日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(72)【発明者】
【氏名】丸田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】園田 直毅
【テーマコード(参考)】
5H209
【Fターム(参考)】
5H209AA02
5H209DD05
5H209GG05
5H209HH13
5H209JJ01
5H209JJ03
5H209JJ07
5H209JJ09
5H209SS01
5H209SS05
(57)【要約】
【課題】サーボ弁の不安定動作を抑制することのできる多重化サーボ制御システム、多重化サーボ制御方法、及び発電システムを提供することを目的とする。
【解決手段】多重化サーボ制御システム8は、所定のサーボ弁11、12に対する開度指令に基づいてサーボ弁11、12に駆動用開度信号を出力する複数のサーボモジュールを有するサーボ部と、各サーボモジュールの異常判定を行う異常判定部と、を備え、各サーボモジュールは、サーボ弁11、12の開度を計測する計測部と、開度指令と、計測部により計測した開度とに基づいてサーボ弁11、12への駆動用開度信号を出力する駆動部と、を有し、異常判定部は、各計測部の異常を検出する異常検出部と、各計測部により計測した開度の計測結果の間の偏差と、異常検出部の検出結果とに基づいて、各サーボモジュールにおける異常の有無を判定する判定部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサーボ弁に対する開度指令に基づいて前記サーボ弁に駆動用開度信号を出力する複数のサーボモジュールを有するサーボ部と、
各前記サーボモジュールの異常判定を行う異常判定部と、
を備え、
各前記サーボモジュールは、
前記サーボ弁の開度を計測する計測部と、
前記開度指令と、前記計測部により計測した開度とに基づいて前記サーボ弁への前記駆動用開度信号を出力する駆動部と、
を有し、
前記異常判定部は、
各前記計測部の異常を検出する異常検出部と、
各前記計測部により計測した開度の計測結果の間の偏差と、前記異常検出部の検出結果とに基づいて、各前記サーボモジュールにおける異常の有無を判定する判定部と、
を有する多重化サーボ制御システム。
【請求項2】
前記判定部は、任意に選定した前記サーボモジュールにおける前記計測部の計測結果と他の前記サーボモジュールにおける前記計測部の計測結果との偏差が所定値以上である場合、及び前記異常検出部によって前記任意に選定した前記サーボモジュールにおける前記計測部の異常が検出された場合の少なくとも1方が満たされた場合に、前記任意に選定した前記サーボモジュールに異常が発生していると判定する請求項1に記載の多重化サーボ制御システム。
【請求項3】
前記異常判定部は、前記判定部において異常が判定された前記サーボモジュールによる前記サーボ弁への前記駆動用開度信号の出力を中止させる中止部を有する請求項1または2に記載の多重化サーボ制御システム。
【請求項4】
前記判定部によって異常が判定された前記サーボモジュールを復帰させる際に、前記サーボモジュール内の開度指令値と、前記開度指令とが同一となった場合に、前記中止部における中止制御を解除する復帰制御部を備える請求項3に記載の多重化サーボ制御システム。
【請求項5】
所定のサーボ弁に対する開度指令に基づいて前記サーボ弁に駆動用開度信号を出力する複数のサーボモジュールを有するサーボ部と、
各前記サーボモジュールの異常判定を行い、異常が判定された前記サーボモジュールによる前記サーボ弁の駆動用開度信号の出力を中止させる異常判定部と、
前記異常判定部によって異常が判定された前記サーボモジュールを復帰させる際に、前記サーボモジュール内の開度指令値と、前記開度指令とが同一となった場合に、前記異常判定部による異常が判定された前記サーボモジュールの中止制御を解除する復帰制御部と、
を備える多重化サーボ制御システム。
【請求項6】
各前記サーボモジュールは、
前記サーボ弁の開度を計測する計測部と、
前記開度指令と、前記計測部により計測した開度とに基づいて前記サーボ弁への駆動用開度信号を出力する駆動部と、
を有し、
前記異常判定部は、
各前記計測部の異常を検出する異常検出部と、
各前記計測部により計測した計測結果の間の偏差と、前記異常検出部の検出結果とに基づいて、各前記サーボモジュールにおける異常の有無を判定する判定部と、
を有する請求項5に記載の多重化サーボ制御システム。
【請求項7】
前記サーボ弁に対する前記開度指令を出力する複数の指令部を備え、
各前記指令部は、同一の前記開度指令を出力するように互いに同期されている請求項1から6のいずれか1項に記載の多重化サーボ制御システム。
【請求項8】
各前記サーボモジュールは、互いに同期を確認する手段を備えないとされている請求項1から7のいずれか1項に記載の多重化サーボ制御システム。
【請求項9】
所定のサーボ弁の開度を計測する計測部と、前記サーボ弁に対する開度指令と前記計測部により計測した開度とに基づいて前記サーボ弁に駆動用開度信号を出力する駆動部とを有する複数のサーボモジュールの多重化サーボ制御方法であって、
各前記計測部の異常を検出する異常検出工程と、
各前記計測部により計測した計測結果の間の偏差と、前記異常検出工程の検出結果とに基づいて、各前記サーボモジュールにおける異常の有無を判定する判定工程と、
を有する多重化サーボ制御方法。
【請求項10】
所定のサーボ弁に対する開度指令に基づいて前記サーボ弁に駆動用開度信号を出力する複数のサーボモジュールの多重化サーボ制御方法であって、
各前記サーボモジュールの異常判定を行い、異常が判定された前記サーボモジュールによる前記サーボ弁の駆動用開度信号の出力を中止させる異常判定工程と、
前記異常判定工程によって異常が判定された前記サーボモジュールを復帰させる際に、前記サーボモジュール内の開度指令値と、前記開度指令とが同一となった場合に、前記異常判定工程による異常が判定された前記サーボモジュールの中止制御を解除する復帰制御工程と、
を有する多重化サーボ制御方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項に記載の多重化サーボ制御システムを備えた発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重化サーボ制御システム、多重化サーボ制御方法、及び発電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所における発電機の出力は、蒸気加減弁および蒸気止め弁(サーボ弁)の開度によって蒸気タービンへ供給する蒸気流量を調整し、制御している。火力発電所や原子力発電所で使用されるサーボ弁には高信頼性が要求されるため、サーボ弁を駆動する制御機構であるサーボモジュールは多重化されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−148108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それぞれのサーボモジュールには異常等が発生した場合に備えて、サーボモジュールが多重化を行うに際して、制御ロジックが複雑化してコストアップする可能性がある。また多重化したサーボモジュールのどれが異常等を発生させているかを判断して、異常発生しているサーボモジュールを適切に交換して多重化したシステムの安定した動作へ回復させる必要があるが、改善の余地がある状況にある。このため、各サーボモジュールの異常検知の精度や、異常検知後のサーボモジュールの復帰の安全性を向上させ、サーボ弁の不安定動作を抑制することが求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、サーボ弁の不安定動作を抑制することのできる多重化サーボ制御システム、多重化サーボ制御方法、及び発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様は、所定のサーボ弁に対する開度指令に基づいて前記サーボ弁に駆動用開度信号を出力する複数のサーボモジュールを有するサーボ部と、各前記サーボモジュールの異常判定を行う異常判定部と、を備え、各前記サーボモジュールは、前記サーボ弁の開度を計測する計測部と、前記開度指令と、前記計測部により計測した開度とに基づいて前記サーボ弁への前記駆動用開度信号を出力する駆動部と、を有し、前記異常判定部は、各前記計測部の異常を検出する異常検出部と、各前記計測部により計測した開度の計測結果の間の偏差と、前記異常検出部の検出結果とに基づいて、各前記サーボモジュールにおける異常の有無を判定する判定部と、を有する多重化サーボ制御システムである。
【0007】
上記のような構成によれば、サーボ弁の開度を計測する計測部における各開度の計測結果の偏差と、計測部自体の異常の検出結果とに基づいて、多重化されたサーボモジュールの異常判定を行うこととしたため、異常が発生したサーボモジュールをより精度よく特定することができる。例えば、サーボモジュールの設置数を3(3重化サーボモジュール)とすると、そのうちの1つに異常が発生した場合には、各サーボモジュールの計測部の各開度の計測結果の間の偏差に基づいてどのサーボモジュールに異常が発生したかを特定することができる。しかしながら、3重化したサーボモジュールのうち2つに異常が発生した場合には、各サーボモジュールの計測部の各開度の計測結果の偏差だけでは異常が発生したサーボモジュールを特定することができない。そこで、サーボモジュールにおいて異常が発生しやすい計測部に着目して、計測部自体の異常の検出結果についても考慮することで、3重化のうち2つに異常が発生した場合であっても、異常が発生したサーボモジュールを特定することが可能となる。このため、多重化したサーボモジュールの異常判定の精度を向上させることができる。
【0008】
上記多重化サーボ制御システムにおいて、前記判定部は、任意に選定した前記サーボモジュールにおける前記計測部の計測結果と他の前記サーボモジュールにおける前記計測部の計測結果との偏差が所定値以上である場合、及び前記異常検出部によって前記任意に選定した前記サーボモジュールにおける前記計測部の異常が検出された場合の少なくとも1方が満たされた場合に、前記任意に選定した前記サーボモジュールに異常が発生していると判定することとしてもよい。
【0009】
上記のような構成によれば、多重化したサーボモジュールにおいて複数のサーボモジュールに異常が発生した場合であっても、異常が発生したサーボモジュールを特定することが可能となり、異常判定の精度を向上させることができる。
【0010】
上記多重化サーボ制御システムにおいて、前記異常判定部は、前記判定部において異常が判定された前記サーボモジュールによる前記サーボ弁への前記駆動用開度信号の出力を中止させる中止部を有することとしてもよい。
【0011】
上記のような構成によれば、異常が判定されたサーボモジュールによるサーボ弁の駆動用開度信号の出力を中止させることとしたため、正常なサーボモジュールによってサーボ弁へ安定的に駆動用開度信号を出力することができる。すなわち、サーボ弁を継続して安定的に運転させることができる。
【0012】
上記多重化サーボ制御システムにおいて、前記判定部によって異常が判定された前記サーボモジュールを復帰させる際に、前記サーボモジュール内の開度指令値と、前記開度指令とが同一となった場合に、前記中止部における中止制御を解除する復帰制御部を備えることとしてもよい。
【0013】
上記のような構成によれば、異常が判定されたサーボモジュールを復帰(中止制御を解除)させる場合には、異常が判定されたサーボモジュール内の開度指令値が前記指令部からの開度指令の値と同一となることを条件としたため、サーボモジュールを復帰時点の出力信号が安定するまでの間、出力させないので、サーボ弁の制御が不安定化することを抑制して、安定的にサーボモジュールを復帰させることができる。ここで「同一」とは開度が所定の範囲(例えば±2%以内)で合致することを示すものである。
【0014】
本発明の第2態様は、所定のサーボ弁に対する開度指令に基づいて前記サーボ弁に駆動用開度信号を出力する複数のサーボモジュールを有するサーボ部と、各前記サーボモジュールの異常判定を行い、異常が判定された前記サーボモジュールによる前記サーボ弁の駆動用開度信号の出力を中止させる異常判定部と、前記異常判定部によって異常が判定された前記サーボモジュールを復帰させる際に、前記サーボモジュール内の開度指令値と、前記開度指令とが同一となった場合に、前記異常判定部による異常が判定された前記サーボモジュールの中止制御を解除する復帰制御部と、を備える多重化サーボ制御システムである。
【0015】
上記のような構成によれば、異常が判定されたサーボモジュールを復帰(中止制御を解除)させる場合には、異常が判定されたサーボモジュール内の開度指令値と、開度指令とが同一となることを条件としたため、安定的にサーボモジュールを復帰させることができる。例えば、サーボモジュールに対して異常が判定され、中止制御が実行された場合には、異常が判定されたサーボモジュールに対してリセット処理や部品の交換処理等が行わることがある。このような場合には、異常が判定されたサーボモジュール内の開度指令値は初期値(例えば0)となっていることがあり、このままサーボモジュールを直ぐに復帰させるとサーボ弁の制御が不安定化して故障の原因となる可能性がある。そこで、異常が判定されたサーボモジュールを、サーボモジュール内の開度指令値と、開度指令とが一致して正常な状態となるまで復帰させないこととした。このため、サーボ弁の制御が不安定化することを抑制することができる。
【0016】
上記多重化サーボ制御システムにおいて、各前記サーボモジュールは、前記サーボ弁の開度を計測する計測部と、前記開度指令と、前記計測部により計測した開度とに基づいて前記サーボ弁への駆動用開度信号を出力する駆動部と、を有し、前記異常判定部は、各前記計測部の異常を検出する異常検出部と、各前記計測部により計測した計測結果の間の偏差と、前記異常検出部の検出結果とに基づいて、各前記サーボモジュールにおける異常の有無を判定する判定部と、を有することとしてもよい。
【0017】
上記のような構成によれば、サーボ弁の開度を計測する計測部における各開度の計測結果の偏差と、計測部自体の異常の検出結果とに基づいて、多重化されたサーボモジュールの異常判定を行うこととしたため、どのサーボモジュールに異常が発生したかをより精度よく検出することができる。
【0018】
上記多重化サーボ制御システムにおいて、前記サーボ弁に対する前記開度指令を出力する複数の指令部を備え、各前記指令部は、同一の前記開度指令を出力するように互いに同期されていることとしてもよい。
【0019】
上記のような構成によれば、サーボ弁に対する開度指令を出力する指令部を互いに同期することとしたため、各指令部から出力される開度指令が異なる信号となることを防止することができる。なお、指令部とは、例えばCPU等の情報処理装置である。
【0020】
上記多重化サーボ制御システムにおいて、各前記サーボモジュールは、互いに同期を確認する手段を備えないとされていることとしてもよい。
【0021】
上記のような構成によれば、各サーボモジュール間の同期を確認しないこととしたため、各サーボモジュールを同期するための制御ロジック等を不要とすることができ、システムの簡略化や低コスト化が可能となる。
【0022】
本発明の第3態様は、所定のサーボ弁の開度を計測する計測部と、前記サーボ弁に対する開度指令と前記計測部により計測した開度とに基づいて前記サーボ弁に駆動用開度信号を出力する駆動部とを有する複数のサーボモジュールの多重化サーボ制御方法であって、各前記計測部の異常を検出する異常検出工程と、各前記計測部により計測した計測結果の間の偏差と、前記異常検出工程の検出結果とに基づいて、各前記サーボモジュールにおける異常の有無を判定する判定工程と、を有する多重化サーボ制御方法である。
【0023】
本発明の第4態様は、所定のサーボ弁に対する開度指令に基づいて前記サーボ弁に駆動用開度信号を出力する複数のサーボモジュールの多重化サーボ制御方法であって、各前記サーボモジュールの異常判定を行い、異常が判定された前記サーボモジュールによる前記サーボ弁の駆動用開度信号の出力を中止させる異常判定工程と、前記異常判定工程によって異常が判定された前記サーボモジュールを復帰させる際に、前記サーボモジュール内の開度指令値と、前記開度指令とが同一となった場合に、前記異常判定工程による異常が判定された前記サーボモジュールの中止制御を解除する復帰制御工程と、を有する多重化サーボ制御方法である。
【0024】
本発明の第5態様は、上記の多重化サーボ制御システムを備えた発電システムである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、サーボ弁の不安定動作を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る多重化サーボ制御システムを備えた発電システムの概略構成を示した図である。
図2】本発明の一実施形態に係るタービン蒸気制御弁の構成を例示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る多重化サーボ制御システムが備える機能を示した機能ブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る計測部の内部構造の概略構成を示した図である。
図5】本発明の一実施形態に係る計測部の電気的な等価回路を示した図である。
図6】本発明の一実施形態に係る判定部の異常判定処理を示す概念図である。
図7】本発明の一実施形態に係る多重化サーボ制御システムにおける異常発生時のサーボモジュール開度指令値を例示した図である。
図8】本発明の一実施形態に係る多重化サーボ制御システムにおける処理のフローチャートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る多重化サーボ制御システムを備えた発電システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、多重化サーボ制御システム8が発電システム1に用いられる場合について説明するが、開度の制御を要する弁が設けられたシステムや設備等であれば同様に適用することが可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る多重化サーボ制御システム8を備えた発電システム1の概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る発電システム1は、ボイラ2と、蒸気タービン3と、発電機4と、復水器5と、給水ポンプ6と、タービン蒸気制御弁7と、多重化サーボ制御システム8とを主な構成として備えている。なお、多重化サーボ制御システム8は、発電システム1がタービン蒸気制御弁7(止め弁11と加減弁12の少なくとも一方)を備えていれば、上記構成に限られず適用することが可能である。
【0028】
また、多重化サーボ制御システム8は、タービン蒸気制御弁7を構成する止め弁11及び加減弁12の両方に設けられるが、同一構成のため、本実施形態では加減弁12に対して設けられた多重化サーボ制御システム8について説明する。
【0029】
ボイラ2は、給水ポンプ6から送られるボイラ給水をボイラ2で過熱蒸気にして蒸気タービン3へ供給する。具体的には、ボイラ2は、節炭器、蒸発管、過熱器等から構成されている。ボイラ給水は、まず節炭器にて加熱され、蒸発管で飽和蒸気となる。その後、過熱器でさらに過熱されることによって過熱蒸気となる。ボイラ2で生成された過熱蒸気は、タービン蒸気制御弁7を介して蒸気タービン3へ供給される。なお、ボイラ2の構成は、燃料を供給して火炉で燃焼した燃焼ガスと、ボイラ2へのボイラ給水との間で熱交換を行うもの、ガスタービンなどからの高温排気ガスとボイラ2へのボイラ給水との間で熱交換を行うもの等があり、上記に限られず様々な構成を採用可能であり限定するものではない。
【0030】
蒸気タービン3(以下、単に「タービン3」という。)では、ボイラ2にて生成された過熱蒸気が供給され、過熱蒸気が膨張してタービン翼を回転駆動させる。すなわち、タービン3では、過熱蒸気のエネルギーを回転エネルギーへ変換している。タービン3の構成としては、高圧タービン、中圧タービン、低圧タービンの3段構成や、高圧タービンと低圧タービンの2段構成など様々な構成が適用可能であり限定するものではない。タービン3の回転軸は発電機4と接続されており、タービン3にて変換した回転エネルギーは発電機4へ伝達される。
【0031】
発電機4は、タービン3によって回転駆動されており、タービン3で生じた回転エネルギーにより発電を行っている。発電機4によって発電した電気は、例えば、昇圧器等を介して電力系統に供給される。
【0032】
復水器5は、タービン3において仕事をし終えた蒸気(タービン3から排出された蒸気)を冷却し、液相に戻して復水としている。具体的には、復水器5には、海水などの冷却水が供給される伝熱管が設けられており、伝熱管の外部を流れるタービン3より排出された蒸気と、伝熱管の内部を流れる冷却水との間で熱交換が行われる。すなわち、復水器5では、冷却水を用いてタービン3から排出された蒸気を冷却し、復水を生成している。生成された復水は、加熱器(不図示)や脱気器(不図示)を介して、給水ポンプ6に供給される。
【0033】
給水ポンプ6は、供給された復水をボイラ給水としてボイラ2に圧送する。なお、給水ポンプ6を制御することで、ボイラ2に供給されるボイラ給水の流量等を制御することが可能である。また、給水ポンプ6から送水されたボイラ給水を、さらに高温の加熱器(不図示)で加熱した後にボイラ2に供給することとしてもよい。
【0034】
タービン蒸気制御弁7は、ボイラ2からタービン3に供給される蒸気の流量を制御している。蒸気の流量を制御することによって、タービン3の回転動力等を制御して、発電機4の出力(発電電力)を制御することができる。本実施形態のタービン蒸気制御弁7は、止め弁11と加減弁12とで構成されている。図2は、タービン蒸気制御弁7の構成を例示した図(縦断面図)である。図2に示されるように、ボイラ2によって生成された蒸気は、タービン蒸気制御弁7(止め弁11及び加減弁12)を介してタービン3に供給される。なお、本実施形態では、図2に示すように、止め弁11と加減弁12とが一体的に構成される場合について説明するが、止め弁11と加減弁12とをそれぞれ個別に設けることとしてもよい。
【0035】
止め弁11は、開度を制御することによって、タービン蒸気制御弁7を通過する蒸気の流量を零(停止)とすることができる。すなわち、止め弁11は、タービン蒸気制御弁7における開閉機能を担う弁である。なお、止め弁11は、少量の蒸気量の通過を漏らさないような(少量の蒸気量を制御可能な)先開弁(不図示)を有しており、その先開弁の開度を制御することによって、蒸気の流量を制御することができる。
【0036】
加減弁12(ガバナ弁)は、弁の開度を制御することによって、タービン3の回転動力を上げる負荷上昇などにおいて蒸気の流量を調整することができる。すなわち、タービン蒸気制御弁7では、止め弁11によって、タービン3に供給される蒸気を確実に停止させ、加減弁12によって、ボイラ2からタービン3に供給される発電に必要な蒸気流量を制御している。
【0037】
止め弁11は、止め弁駆動機11aによって制御されている。具体的には、止め弁駆動機11aによってピストン軸11bが制御され、ピストン軸11bに接続されたリンク機構11cを介して、止め弁11の開度が調整される。例えば、止め弁駆動機11aによってピストン軸11bが矢印D1の方向に制御されると、該駆動がリンク機構11cを介して止め弁11に伝達され、止め弁11は矢印D1の方向に動作して開く(開度が全開となる)こととなる。なお、加減弁12も止め弁11と同様の駆動機構を有しており、加減弁駆動機12aによって弁の開度が制御されている。例えば、加減弁駆動機12aによってピストン軸12bが矢印D2の方向に制御されると、リンク機構12cを介して加減弁12が矢印D2の方向に動作し、開度を制御されて開く(開度が大きくなる)こととなる。なお、図2に記載の止め弁11及び加減弁12の駆動機構は一例であり、他の方式によって各弁を制御することも可能である。
【0038】
止め弁駆動機11a及び加減弁駆動機12aは、図3に示すようにそれぞれサーボコイル26と油圧駆動装置27とで構成されている。サーボコイル26によって油圧駆動装置27を動作させ、ピストン軸(ピストン軸11bまたはピストン軸12b)を往復動方向に移動させる。具体的には、サーボコイル26は、後述するサーボモジュール22より出力される開度指令電流(駆動用開度信号)に従って、トルクモータを駆動する。そして、油圧駆動装置27は、トルクモータによって油圧が調整され、ピストン軸11b、12bが往復動方向に移動する。すなわち、止め弁11や加減弁12は、対応するサーボモジュール22より出力される開度信号と同一の開度となるように、止め弁駆動機11a及び加減弁駆動機12aを介して制御されている。
【0039】
なお、本実施形態では、後述するように、サーボモジュール22を3重化としたため、各弁駆動機(止め弁駆動機11a及び加減弁駆動機12a)は3つのサーボコイル26と1つの油圧駆動装置27を有している(図3)。そして、各サーボコイル26には、3重化サーボモジュールのそれぞれから開度指令電流設定値が入力され、各サーボコイル26に流れる電流が生成する磁場により油圧駆動装置27を駆動する。
【0040】
多重化サーボ制御システム8は、多重化されたサーボモジュール22によってサーボ弁(止め弁11及び加減弁12)の開度を制御する。また、多重化サーボ制御システム8は、サーボモジュール22の異常の検知や、異常が検知されたサーボモジュール22の復帰制御を行う。なお、本実施形態では、多重化サーボ制御システム8は、3重化(3重化サーボモジュール)されている場合について説明するが、多重化数については適宜変更可能である。また、本実施形態では、加減弁12に対して設けられた多重化サーボ制御システム8について説明するが、止め弁11に対して設けられた多重化サーボ制御システム8についても同様の構成である。
【0041】
図3は、多重化サーボ制御システム8が備える機能を示した機能ブロック図である。図3に示されるように、多重化サーボ制御システム8は、指令部21と、サーボ部20と、異常判定部28と、復帰制御部29とを備えている。
【0042】
なお、多重化サーボ制御システム8において、指令部21と、異常判定部28と、復帰制御部29とは、例えば、図示しないCPU(中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。なお、指令部21と、異常判定部28と、復帰制御部29は、それぞれ独立的に構成されてもよいし、統合して構成されてもよい。
【0043】
指令部21は、加減弁12(以降、止め弁11も同様なので止め弁11に係る記載は省略する)に対する開度指令(開度指令値)を出力する。具体的には、指令部21は、発電機4に対する要求出力等の発電システム1の運転状態に応じた加減弁12の開度指令を生成し、サーボ部20へ出力する。また、指令部21は、信頼性の向上のために複数設けられており、多重化されていることが好ましい。指令部21の多重化数は、指令部21の出力先であるサーボモジュール22の多重化数以下として簡易化されることが好ましい。本実施形態では、サーボモジュール22を3重化としたため、これに対応して、指令部21は2つ、すなわち2重化としている。2重化された指令部21のそれぞれから同一の開度指令が出力され、各サーボモジュール22へ入力される。各指令部21は、多重化することとしたため、互いに同一の開度指令を出力するように同期(トラックング)されている。ここで「同一」とは開度が所定の範囲(例えば±0.5%、さらに好ましくは±0.1%)以内で合致することを示すものである。なお、指令部21については、多重化サーボ制御システム8に含む構成とせず、発電システム1の上位制御装置からサーボ部20へ開度指令が入力されることとしてもよい。
【0044】
サーボ部20は、加減弁12に対する指令部21からの開度指令に基づいて加減弁12を駆動するための駆動用開度信号を出力する複数のサーボモジュール22を有する。本実施形態では、サーボ部20は3つのサーボモジュール22a〜22cを有しているものとする(3重化サーボモジュール)。なお、以下の説明では、各サーボモジュール22を区別する場合には、サーボモジュール22a、サーボモジュール22b、サーボモジュール22cと符号を付し、各サーボモジュール22を区別しない場合には、単にサーボモジュール22と符号を付して説明する。
【0045】
各サーボモジュール22は、加減弁12を駆動するための駆動用開度信号を出力するために、計測部23と、駆動部24とを有している。なお、多重化された各サーボモジュール22は、互いに同期を確認させる手段(同期させる手段)を備えていなくてもよい。すなわち、各サーボモジュール22は、指令部21から出力された開度指令に基づいて、それぞれが独立して動作して駆動用開度信号(開度指令電流設定値)を出力し、この駆動用開度信号(開度指令電流設定値)の同期を確認しないこととしたため、各サーボモジュール22を同期するための制御ロジック等を不要とすることができる。
【0046】
計測部23は、加減弁12の開度(例えば、加減弁12を駆動する油圧駆動装置27におけるピストン軸の移動量)を計測し、開度計測値として出力する。計測部23は、例えば、差動トランス式変位計(LVDT)であって、加減弁12の弁の開度を測定するために、加減弁駆動機12a(油圧駆動装置27)に対して設置されている。具体的には、計測部23は、図2に示すように、加減弁駆動機12aにおけるピストン軸12bの変位が計測可能なように設けられている。図4は、計測部23(差動トランス式変位計)の内部構造を概略的に示したものである。図2及び図4に示すように、加減弁駆動機12aにおけるピストン軸12bと計測部23の可動軸41とがリンク機構12dを介して接続されている。本実施形態では、サーボモジュール22を3重化する構成としているため、1つの加減弁駆動機12a(ピストン軸12b)に対して、3つのサーボコイル(A、B、C)を設けているが、計測部23も3つの計測部23が接続されていてもよい。なお、止め弁11においても、同様に、止め弁駆動機11aにおけるピストン軸11bと計測部23の可動軸41とがリンク機構11dを介して接続されている。
【0047】
計測部23は、1次コイル42(1次巻線)と、2次コイル43(2次巻線)と、可動軸41と、可動鉄心44とを備えた差動トランス式変位計(LVDT)の場合を例示している。図5は、計測部23の電気的な等価回路を示した図である。1次コイル42には、電源46から電圧が供給されている。例えば、電源46は、6Vから10Vの交流電圧(例えば、1kHz)を1次コイル42に供給している。図4及び図5に示されるように、計測部23の内部には、可動鉄心44の往復動方向に、2次コイル43a、43bを2系統並べ配置している。また、各2次コイル43a,43bの一方側は計測電位の基準値を合わせて共通化するためにコモン線L1として結合させている。そして、それぞれの2次コイル43a、43bが可動鉄心44を介して1次コイル42と電磁結合している。可動鉄心44は、加減弁駆動機12aのピストン軸12bと連結されており、該ピストン軸の往復動に伴って移動(変位)する。そして、可動鉄心44の位置に応じてそれぞれの2次コイル43a、43bに電圧が誘起され、誘起された電圧が電圧計45a、45bにて計測される。なお、電圧計45a、45bでは整流器を含み、整流後の電圧を計測しているものとする。
【0048】
すなわち、計測部23では、可動鉄心44の往復動方向における位置を2次コイル43a、43bの電圧として検出できるため、電圧計45a、45bの計測結果を参照することによって、可動鉄心44の往復動方向における位置、すなわち、ピストン軸の移動量を特定することができる。ピストン軸の移動量は加減弁12の開度と相関関係を有しているため、電圧計45a、45bの計測結果から、加減弁12の開度を正確に推定することが可能となる。電圧計45a、45bによって計測された電圧値情報は、加減弁12の開度状態を示す情報(開度計測値)として、駆動部24へ出力される。
【0049】
駆動部24は、指令部21からの開度指令と計測部23により計測した加減弁12の開度とに基づいて加減弁12を駆動する駆動用開度信号(開度指令電流設定値)を出力する。具体的には、駆動部24には、指令部21から出力された開度指令と、計測部23によって計測した開度計測値とが入力される。そして、駆動部24では、開度の目標値(開度指令)と、実開度(開度計測値)とが略一致するように、サーボコイル26に対する駆動用開度信号(開度指令電流設定値)を決定し、サーボコイル26へ出力する。
【0050】
駆動部24の内部構成は、例えば、比較器や演算器などで構成される。まず、指令部21からの開度指令が駆動部24に入力されてサーボモジュール22内の開度指令となり、サーボモジュール22内の開度指令値と計測部23により計測した加減弁12の開度とが比較器へ入力され、比較器において、フィードバック制御をおこなうための補正すべき開度指令を演算する。そして、比較器における比較結果は演算器へ入力され、演算器において、開度指令電流設定値へと変換され、サーボコイル26を駆動するための駆動用開度信号となる電流(開度指令電流)を設定して出力する。なお、開度指令電流の上限値(例えば+20mA)と下限値(例えば−20mA)を設定し、リミッタ機能を付加することとしてもよい。
【0051】
異常判定部28は、各サーボモジュール22に対して異常の有無の判定(異常判定)を行う。また、異常判定部28は、異常が判定されたサーボモジュール22に対して加減弁12の駆動の中止制御を行う。このため、異常判定部28は、異常検出部31と、判定部32と、中止部33とを有している。
【0052】
異常検出部31は、各計測部23の異常を検出する。具体的には、異常検出部31は、加減弁12の開度を計測するために設置した各計測部23から出力された電圧値(2次コイル43a、43bに誘起された電圧)に基づいて、各計測部23の異常を検出している。例えば、計測部23において断線が発生した場合、断線が発生した2次巻線からの出力電圧は零となる。このため、異常検出部31は、計測部23から出力された電圧値と所定の下限閾値とを比較することによって、各計測部23の異常の有無を判定している。さらに、1次コイル42の自励電圧に過電圧が印加される場合には、計測部23から出力された電圧値と所定の上限閾値とを比較することによって、各計測部23の異常の有無を判定している。
【0053】
また、図5に示すように2次コイル43a、43bが互いにコモン線L1で接続されている場合には、片方の2次コイル43aのコモン線側に断線が発生したとしても(例えば、点O)、他方の正常な(非断線側の)2次コイル43bから電圧が回り込み、断線が発生した2次コイル43aに残存電圧(0Vよりも高い)が生じることがある。そして、残存電圧は、下限閾値を上回る値となる可能性があり、下限閾値のみでは断線を検知できない場合がある。そこで、2次コイル43において断線が発生した場合には出力電圧は急激に低下することに着目し、異常検出部31は、2次コイル43の出力電圧の変化率と予め設定された閾値とを比較することによっても断線を検出する。すなわち、異常検出部31は、計測部23から出力された電圧値(2次コイル43a、43bに誘起されたそれぞれの電圧)と下限閾値とを比較する処理と、計測部23から出力された電圧値の変化率と予め設定した閾値とを比較する処理の2つの処理によって計測部23の異常を検出する。異常判定部28における異常判定結果(異常の有無を示す信号)は、判定部32へ出力される。
【0054】
判定部32は、各計測部23における各弁の各開度の計測結果の間の偏差と、異常検出部31の検出結果とに基づいて、各サーボモジュール22における異常の有無を判定する。具体的には、判定部32は、任意に選定したサーボモジュール22における計測部23の計測結果である開度と他のサーボモジュール22における計測部23の計測結果の開度との偏差が所定値以上である場合、及び異常検出部31によって任意に選定したサーボモジュール22における計測部23の異常が検出された場合の少なくとも一方が満たされた場合に、任意に選定したサーボモジュール22に異常が発生していると判定する。
【0055】
図6は、判定部32における異常判定処理を示す概念図である。なお、図6は、サーボモジュール22aに対する異常判定処理の例であり、他のサーボモジュール22b、22cに対しても同様に処理が行われる。判定部32には、各計測部23より計測結果である開度が入力される。なお、サーボモジュール22aにおける計測部23の計測結果を開度計測値Aとし、サーボモジュール22bにおける計測部23の計測結果を開度計測値Bとし、サーボモジュール22cにおける計測部23の計測結果を開度計測値Cとする。
【0056】
判定部32では、まず、開度計測値Aと開度計測値Bの偏差(|A−B|)と、開度計測値Bと開度計測値Cの偏差(|B−C|)と、開度計測値Aと開度計測値Cの偏差(|A−C|)とを論理積回路(AND回路)の入力として、論理演算を行う。なお、偏差が所定の閾値α以上である場合にAND回路への入力は真(High、1)となり、偏差が所定の閾値α未満である場合にAND回路への入力は偽(Low、0)となることとする。また、開度計測値Bと開度計測値Cの偏差は、論理否定回路(NOT回路)を介してAND回路へ入力される。すなわち、図6におけるAND回路では、入力が、開度計測値Aと開度計測値Bの偏差が所定の閾値α以上であり、開度計測値Bと開度計測値Cの偏差が所定の閾値α未満であり、開度計測値Aと開度計測値Cの偏差が所定の閾値α以上である場合に、真(High、1)を出力し、入力が他の組み合わせの場合には偽(Low、0)を出力する。すなわち、図6におけるAND回路では、サーボモジュール22aにおける開度計測値Aが、他のサーボモジュール22b及び22cの開度計測値B及びCに対して所定の閾値α以上乖離しており、かつ、サーボモジュール22b及び22cの開度計測値B及びCは互いに所定の閾値α以上乖離していない場合に、開度計測値Aのみが正常ではなく、サーボモジュール22aに異常が発生している可能性があることを検出する。換言すると、判定部32におけるAND回路では、他の開度計測値が互いに乖離していないにも関わらず、一つの開度計測値だけが他の開度計測値から乖離している場合(AND回路の入力がすべて真)に、この特定の開度計測値が正しくない可能性があることを検出する。なお、サーボモジュール22aに対する異常判定処理として、開度計測値Bと開度計測値Cの偏差は、論理否定回路(NOT回路)を介するとしたが、サーボモジュール22bに対する異常判定処理の場合に開度計測値Aと開度計測値Cの偏差は、論理否定回路(NOT回路)を介し、サーボモジュール22cに対する異常判定処理の場合に開度計測値Aと開度計測値Bの偏差は、論理否定回路(NOT回路)を介する。
【0057】
そして、AND回路の出力結果と異常検出部31による計測部23の異常検出結果は、論理和回路(OR回路)へ入力される。なお、異常検出部31からは、異常検出部31の異常が検出された場合に真(High、1)が出力され、異常検出部31の異常が検出されない場合に偽(Low、0)が出力されることとする。図6は、サーボモジュール22aに対する異常判定処理の例であるため、AND回路へ入力される異常検出結果は、サーボモジュール22aにおける計測部23に対する異常検出結果である。すなわち、図6に示すように、サーボモジュール22aにおける計測部23の計測結果である開度計測値Aに異常が検出された場合に、異常検出部31から真(High、1)が出力され、開度計測値Aに異常が検出されない場合に、異常検出部31から偽(Low、0)が出力される。
【0058】
OR回路では、AND回路の出力結果と異常検出部31による計測部23の異常検出結果の少なくともいずれか一方が真(High、1)である場合に、真(High、1)を出力する。すなわち、OR回路では、開度計測値B及びCが互いに乖離していないにも関わらず、開度計測値Aだけが他の開度計測値B及びCから乖離している場合(AND回路から真が出力された場合)、及び/またはサーボモジュール22aにおける計測部23に異常が検出された場合(異常検出部31から真が出力された場合)に、サーボモジュール22aに異常が発生していると判定する。
【0059】
一方、判定部32におけるAND回路では、2つの開度計測値が互いに乖離している場合は、他の1つの開度計測値だけが乖離していないと検出することはできない。例えば、開度計測値Aと開度計測値Bの偏差が所定の閾値α以上であり、開度計測値Bと開度計測値Cの偏差が所定の閾値α以上であり、開度計測値Aと開度計測値Cの偏差が所定の閾値α未満である場合に、偽(Low、0)を出力するが、サーボモジュール22aにおける開度計測値Aとサーボモジュール22bにおける開度計測値Bが、他のサーボモジュール22cの開度計測値Cに対して所定の閾値α以上乖離しており、開度計測値Aと開度計測値Bが正常ではなく、サーボモジュール22aとサーボモジュール22bに異常が発生し、サーボモジュール22cが正常として検出することはできない状況にある。このときは、異常検出部31からの開度計測値の異常を示す情報により、サーボモジュール22aとサーボモジュール22bに異常が発生し、サーボモジュール22cが正常として判断することができる。
【0060】
このように、図6に示されるような異常判定処理が各サーボモジュール22に対して設けられることによって、どのサーボモジュール22に異常が発生しているか、換言すると、どのサーボモジュール22の計測部23に異常が発生しているかを特定することが可能となる。判定部32における判定結果は、中止部33へ出力される。
【0061】
中止部33は、判定部32において異常が判定されたサーボモジュール22による加減弁12の駆動のための駆動用開度信号(開度指令電流設定値)の出力を中止させる(中止制御)。具体的には、中止部33は、判定部32によって異常と判定されたサーボモジュール22が出力する開度指令電流設定値の導通を遮断する。換言すると、異常が判定されたサーボモジュール22の開度指令電流(駆動用開度信号)がサーボコイル26へ入力されないようにする。このため、サーボコイル26は、正常と推定されるサーボモジュール22からの開度指令電流のみによって駆動される。中止部33によってサーボモジュール22の出力を遮断する方法は、例えば、サーボコイル26の出力である開度指令電流設定値が導通する経路にスイッチング素子等を設けておき、該スイッチング素子の開閉を制御する等の様々な方法を採用することが可能である。
【0062】
復帰制御部29は、異常が判定されたサーボモジュール22の復帰(中止制御の解除)を制御する。具体的には、復帰制御部29は、判定部32によって異常が判定されたサーボモジュール22のサーボモジュール22内の開度指令値と、指令部21からの開度指令値とが同一の開度を示す信号となった場合に、中止部33における中止制御を解除する。サーボモジュール22に異常が判定されて中止制御が行われる場合には、他のサーボモジュール22によって加減弁12が制御されるものの多重化数が減るため信頼性が低下している。このため、異常が判定されたサーボモジュール22については、リセット作業や部品交換等の作業が行われ、その後復帰させる必要がある。
【0063】
図7は、異常発生した際のサーボモジュール22の各指令値の例を示している。なお、図7では、加減弁12の開度を0%(全閉)から100%(全開)とした場合に、指令部21から開度指令値として開度80%が出力されている場合を示している。図7に示すように、サーボモジュール22が正常動作を行っている場合(期間T1)には、指令部21からの開度指令とサーボモジュール22内の開度指令値とは一致している。駆動部24では、サーボモジュール22内の開度指令値と計測部23により計測した加減弁12の開度に基づいて開度指令電流設定値を演算し、開度指令電流設定値に基づいてサーボモジュール22からサーボコイル26へ開度指令電流を出力する。図7の開度指令電流設定値は、計測部23により計測した加減弁12の開度が指令部21の開度指令値と一致している場合であり、開度指令電流設定値は加減弁12の開度を維持する整定時の制御となり、サーボモジュール22からサーボコイル26へ開度指令電流として微小電流(ほぼゼロ)を出力する。しかしながら、サーボモジュール22に異常が判定された場合には、中止制御が実行され、サーボモジュール22に対するリセット作業や部品交換等の作業が行われる。リセット作業や部品交換等の作業が実施された直後のサーボモジュール22は、サーボモジュール22内の開度指令値が初期状態となっており、初期値(例えば、0%)を出力する。このため、異常が判定されたサーボモジュール22に対してリセット作業や部品交換等の作業を行い、そのまま直ぐに復帰させようとすると、指令部21からの開度指令値に係らず、サーボモジュール22内の開度指令値が初期値となり、開度指令電流設定値がサーボモジュール22内の開度指令値が初期値を元に演算され、その開度指令電流設定値に従ってサーボモジュール22からサーボコイル26へ開度指令電流が出力されることとなり、加減弁12の制御を不安定化させる可能性がある。そこで、復帰制御部29は、異常が判定されたサーボモジュール22が加減弁12の制御を不安定化させることなく復帰できるように復帰制御を行う。
【0064】
具体的には、復帰制御部29は、異常が判定されたサーボモジュール22を復帰(中止制御を解除)する場合、サーボモジュール22内の開度指令値と指令部21の開度指令値とが同一の開度を示す状態となったか否かを判定し、それらが同一の値を示す状態となった場合に、サーボモジュール22の中止制御を解除して復帰させる。この場合には、復帰させるサーボモジュール22の出力を開放した状態で、サーボモジュール22内の開度指令を入力し、計測部23による計測を実施させることで、サーボモジュール22の出力を正常状態とすることができる。すなわち、復帰制御部29では、図7に示す期間T2のように、サーボモジュール22内の開度指令値と指令部21の開度指令値とが同一となるまで待ってから中止制御を解除する。ここで「同一」とは開度が所定の範囲(例えば±2%)以内で合致することを示すものである。所定の範囲は2重化された指令部21のそれぞれから同一の開度指令が出力され同一の開度指令を出力するように同期(トラックング)されているときと同じ精度の同一の所定範囲を設定しているが、運用からいずれかの精度範囲を厳しく設定しても良い。なお、図7において、サーボモジュール22内の開度指令値は、リセット後、期間T2をかけて指令部21の開度指令値と同一となっているが、サーボモジュール22内の開度指令値の立ち上がりの遅れは、サーボモジュール22内の開度指令値が指令部21の開度指令値に追従できずに発生する場合や、安全性の面から意図的に期間T2をかけてサーボモジュール22内の開度指令値を立ち上がらせる場合など、様々な要因によって発生するものである。復帰制御部29は、サーボモジュール22内の開度指令値と指令部21の開度指令値とが同一となるまで待ってから中止制御を解除するため、リセット後のサーボモジュール22内の開度指令値の立ち上がりの遅れにも対応して、安定的にサーボモジュール22を復帰させることが可能となる。
【0065】
なお、復帰制御部29において、サーボモジュール22を復帰させる場合に、サーボモジュール22内の開度指令値と指令部21からの開度指令値とが同一となる時間が予め特定可能な場合には、単に該時間分だけサーボモジュール22の出力を遮断する構成としてもよい(待機制御)。
【0066】
次に、上述の多重化サーボ制御システム8による異常判定処理及び復帰処理について図8を参照して説明する。図8に示すフローは、発電システム1が運転を行っている場合(特に、加減弁12が動作している場合)に所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0067】
まず、各サーボモジュール22に対して異常が発生しているか否かを判定する(S101)。具体的には、各サーボモジュール22に対応して図6に示すような異常検知処理が実行され、各サーボモジュール22に対する異常判定が行われる。
【0068】
各サーボモジュール22に対して異常が発生していないと判定された場合(S101のNO判定)には、異常判定処理を終了する。
【0069】
サーボモジュール22に対して異常が発生していると判定された場合(S101のYES判定)には、異常が判定されたサーボモジュール22から出力される駆動用開度信号が遮断される(S102)。なお、異常が判定されたサーボモジュール22以外のサーボモジュール22(正常なサーボモジュール22)は、運転が維持される。
【0070】
次に、異常が判定されたサーボモジュール22に対してリセット処理や交換等の作業が実施される(S103)。なお、サーボモジュール22のリセット処理や交換等の復旧作業については、発電システム1の運転員等によって人為的に作業が行われてもよいし、予備のサーボモジュール22等を事前に用意しておき、異常が判定されたサーボモジュール22と自動的に交換されることとしてもよい。
【0071】
次に、復帰させるサーボモジュール22において、復旧作業が行われたサーボモジュール22内の開度指令値と指令部21の開度指令値とが同一の開度を示す状態となったか否かを判定する(S104)。
【0072】
サーボモジュール22内の開度指令値と指令部21からの開度指令値とが同一の開度を示す状態となっていないと判定された場合(S104のNO判定)には、再度S104が実行される。なお、サーボモジュール22内の開度指令値と指令部21からの開度指令値とが同一の開度を示す状態とならない期間が所定時間以上継続した場合に、例えば、発電システム1の運転員へ通知して他に異常が発生していないか確認をするように注意することとしてもよい。
【0073】
サーボモジュール22内の開度指令値と指令部21の開度指令値とが同一の値を示す状態となっていると判定された場合(S104のYES判定)には、サーボモジュール22に対する中止制御を解除して、復帰させる(S105)。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係る多重化サーボ制御システム、多重化サーボ制御方法、及び発電システムによれば、サーボ弁(止め弁11及び加減弁12)の開度を計測する計測部23における各開度の計測結果の間の偏差と、計測部23自体の異常の検出結果とに基づいて、多重化されたサーボモジュール22の異常判定を行うこととしたため、異常が発生したサーボモジュール22をより精度よく特定することができる。例えば、サーボモジュール22の設置数を3(3重化サーボモジュール)とすると、そのうちの1つに異常が発生した場合には、各サーボモジュール22の計測部23の各開度の計測結果の間の偏差に基づいてどのサーボモジュール22に異常が発生したかを特定することができる。しかしながら、3重化したサーボモジュール22のうち2つに異常が発生した場合には、各サーボモジュール22の計測部23の計測結果の偏差だけでは異常が発生したサーボモジュール22を特定することができない。そこで、サーボモジュール22において異常が発生しやすい計測部23に着目して、計測部23自体の異常の検出結果についても考慮することで、3重化のうち2つに異常が発生した場合であっても、異常が発生したサーボモジュール22を特定して、異常が発生したサーボモジュール22からの出力を遮断して運用を中止することが可能となる。このため、多重化したサーボモジュール22の異常判定の精度を向上させることができ、異常が判定されたサーボモジュール22の開度指令電流(出力信号)がサーボ弁(止め弁11及び加減弁12)のサーボコイル26へ入力されないので、不安定動作を抑制することが可能となる。また異常が判定されたサーボモジュール22を特定できるので、異常が判定されたサーボモジュール22のリセット処理や交換等の作業を迅速に対応することができる。
【0075】
また、異常が判定されたサーボモジュール22によるサーボ弁(止め弁11及び加減弁12)の駆動の指令を中止させることとしたため、正常なサーボモジュール22によってサーボ弁(止め弁11及び加減弁12)への指令を安定的に出力して駆動することができる。すなわち、サーボ弁(止め弁11及び加減弁12)を継続して安定的に運転させることができる。また、発電システム1を停止させることなく、サーボ弁(止め弁11及び加減弁12)を継続して運転させながら、異常が判定されたサーボモジュール22に対してリセット処理や交換等の作業を実施させて、復旧させることができる。
【0076】
また、異常が判定されたサーボモジュール22を復帰(中止制御を解除)させる場合には、異常が判定されたサーボモジュール22内の開度指令値が指令部21からの開度指令値と同一の開度を示す信号となることを条件としたため、安定的にサーボモジュール22を復帰させることができる。例えば、サーボモジュール22に対して異常が判定され、中止制御が実行された場合には、異常が判定されたサーボモジュール22に対してリセット処理や部品の交換処理等が行わることがある。このような場合には、異常が判定されたサーボモジュール22内の開度指令値は初期値(例えば0)となっていることがあり、このままサーボモジュール22を直ぐに復帰させるとサーボ弁(止め弁11及び加減弁12)の制御が不安定化して故障の原因となる可能性がある。そこで、異常が判定されたサーボモジュール22を、サーボモジュール22内の開度指令値が指令部21の開度指令値と一致して正常な状態となるまで復帰させないこととした。このため、サーボ弁(止め弁11及び加減弁12)の制御が不安定化することを抑制することができる。
【0077】
また、サーボ弁(止め弁11及び加減弁12)に対する開度指令を出力する指令部21を複数設置し、互いに同期することとしたため、各指令部21から出力される開度指令が異なる信号となることを防止し、指令部21の信頼性を向上することができる。
【0078】
また、各サーボモジュール22間において同期を確認する手段を備えないとすることとしたため、各サーボモジュール22を同期するための制御ロジック等を不要とすることができ、システムの簡略化や低コスト化が可能となる。
【0079】
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。
【0080】
例えば、本実施形態では、多重化サーボ制御システム8は、異常判定部28と復帰制御部29の両方を備える構成としているが、異常判定部28のみを備えることとしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1 :発電システム
2 :ボイラ
3 :タービン(蒸気タービン)
4 :発電機
5 :復水器
6 :給水ポンプ
7 :タービン蒸気制御弁
8 :多重化サーボ制御システム
11 :止め弁(サーボ弁)
11a :止め弁駆動機
11b :ピストン軸
11c :リンク機構
11d :リンク機構
12 :加減弁(サーボ弁)
12a :加減弁駆動機
12b :ピストン軸
12c :リンク機構
12d :リンク機構
20 :サーボ部
21 :指令部
22(22a〜22c) :サーボモジュール
23 :計測部
24 :駆動部
26 :サーボコイル
27 :油圧駆動装置
28 :異常判定部
29 :復帰制御部
31 :異常検出部
32 :判定部
33 :中止部
41 :可動軸
42 :1次コイル
43 :2次コイル
43a、43b :2次コイル
44 :可動鉄心
45a、45b :電圧計
46 :電源
図1
図2
図3
図4
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図7
図8