【解決手段】データ受信部31は、端末装置20から印刷データを受信する。印刷データ格納部33は、データ受信部31により受信された印刷データを格納する。送信部35は、ユーザが印刷処理を実行しようとする画像形成装置に対して、印刷データ格部33に格納された印刷データを送信する。データ受信部31は、送信部35によって印刷データを送信した画像形成装置から、その印刷データの描画処理を行った際の描画処理結果に関する情報を受信する。算出部34は、データ受信部31により受信された描画処理結果に関する情報と予め設定された課金単価情報とを用いて、データ受信部31が端末装置20から受信した印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の料金の見積額を算出する。
前記送信手段は、印刷データの印刷処理を行おうとする使用者の過去の印刷履歴を参照して、当該使用者が印刷処理を実行する印刷装置を予測して、予測した印刷装置に対して、前記格納手段に格納された印刷データを送信し、
前記算出手段は、前記印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の料金の見積額を、使用者が印刷処理を実行する印刷装置を決定する前に予め算出する請求項1記載の印刷制御装置。
前記送信手段は、当該使用者が前回印刷処理を実行した印刷装置を当該使用者が印刷処理を実行する印刷装置として予測して、印刷データを送信する請求項2記載の印刷制御装置。
前記送信手段は、当該使用者が印刷処理を実行する頻度が予め設定された条件を満たす印刷装置を当該使用者が印刷処理を実行する印刷装置として予測して、印刷データを送信する請求項2記載の印刷制御装置。
前記算出手段により算出された料金の見積額を、印刷データを送信して描画処理結果に関する情報を受信した印刷装置に搭載された描画処理手段を特定するための描画処理手段識別子とともに記憶する記憶手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか記載の印刷制御装置。
前記算出手段は、同一の印刷データに対して使用者が印刷処理を実行するための印刷装置が新たに選択され、選択された印刷装置に搭載されている描画処理手段の描画処理手段識別子と、前記記憶手段に記憶されている見積額と対応付けられた描画処理手段識別子とが同一の場合、前記記憶手段に記憶されている見積額を選択された印刷装置において印刷処理が実行された場合の料金の見積額として算出する請求項5記載の印刷制御装置。
前記送信手段は、過去に印刷データを送信して描画処理結果に関する情報を受信した印刷装置からの印刷要求を受信した場合、当該印刷装置に対して印刷データを再度送信することなく印刷データを特定するための印刷データ識別子を指定した印刷指示を送信する請求項5記載の印刷制御装置。
前記算出手段は、印刷データに描画処理結果に関する情報および印刷処理を実行する予定の印刷装置に搭載された描画処理手段の描画処理手段識別子の情報が含まれる場合、前記描画処理結果に関する情報を用いて当該描画処理手段識別子に対応した見積額を算出し、
使用者が選択した印刷装置に搭載された描画処理手段の描画処理手段識別子と前記印刷データに含まれる描画処理手段識別子とが同一の場合、使用者が選択した印刷装置に印刷データを送信することなく、算出した前記描画処理手段識別子に対応した見積額を、使用者が選択した印刷装置において当該印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の見積額として算出する請求項1記載の印刷制御装置。
印刷データを受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段により受信された印刷データを格納する格納手段と、使用者が印刷処理を実行しようとする印刷装置に対して、前記格納手段に格納された印刷データを送信する送信手段と、印刷データを送信した印刷装置から、当該印刷データの描画処理を行った際の描画処理結果に関する情報を受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段により受信された描画処理結果に関する情報と予め設定された課金単価情報とを用いて、前記印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の料金の見積額を算出する算出手段とを備えた印刷制御装置と、
前記印刷制御装置の送信手段から送信されてきた印刷データの描画処理を行う描画処理手段と、前記描画処理手段により描画処理が行われた際の描画処理結果を前記印刷制御装置に返信する返信手段と、前記算出手段により算出された見積額を前記印刷制御装置から受信して表示する表示手段とを備えた印刷装置と、
を有する印刷システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、印刷データに基づく印刷処理を実行した場合に発生する料金の見積額を、単に印刷データの印刷条件を用いて算出する場合と比較して、より高い精度で算出することが可能な印刷制御装置、印刷システムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[印刷制御装置]
請求項1に係る本発明は、印刷データを受信する第1の受信手段と、
前記第1の受信手段により受信された印刷データを格納する格納手段と、
使用者が印刷処理を実行しようとする印刷装置に対して、前記格納手段に格納された印刷データを送信する送信手段と、
印刷データを送信した印刷装置から、当該印刷データの描画処理を行った際の描画処理結果に関する情報を受信する第2の受信手段と、
前記第2の受信手段により受信された描画処理結果に関する情報と予め設定された課金単価情報とを用いて、前記印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の料金の見積額を算出する算出手段とを備えた印刷制御装置である。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記送信手段が、印刷データの印刷処理を行おうとする使用者の過去の印刷履歴を参照して、当該使用者が印刷処理を実行する印刷装置を予測して、予測した印刷装置に対して、前記格納手段に格納された印刷データを送信し、
前記算出手段は、前記印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の料金の見積額を、使用者が印刷処理を実行する印刷装置を決定する前に予め算出する請求項1記載の印刷制御装置である。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記送信手段が、当該使用者が前回印刷処理を実行した印刷装置を当該使用者が印刷処理を実行する印刷装置として予測して、印刷データを送信する請求項2記載の印刷制御装置である。
【0010】
請求項4に係る本発明は、前記送信手段が、当該使用者が印刷処理を実行する頻度が予め設定された条件を満たす印刷装置を当該使用者が印刷処理を実行する印刷装置として予測して、印刷データを送信する請求項2記載の印刷制御装置である。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記算出手段により算出された料金の見積額を、印刷データを送信して描画処理結果に関する情報を受信した印刷装置に搭載された描画処理手段を特定するための描画処理手段識別子とともに記憶する記憶手段をさらに備えた請求項1から4のいずれか記載の印刷制御装置である。
【0012】
請求項6に係る本発明は、前記算出手段が、同一の印刷データに対して使用者が印刷処理を実行するための印刷装置が新たに選択され、選択された印刷装置に搭載されている描画処理手段の描画処理手段識別子と、前記記憶手段に記憶されている見積額と対応付けられた描画処理手段識別子とが同一の場合、前記記憶手段に記憶されている見積額を選択された印刷装置において印刷処理が実行された場合の料金の見積額として算出する請求項5記載の印刷制御装置である。
【0013】
請求項7に係る本発明は、前記送信手段が、過去に印刷データを送信して描画処理結果に関する情報を受信した印刷装置からの印刷要求を受信した場合、当該印刷装置に対して印刷データを再度送信することなく印刷データを特定するための印刷データ識別子を指定した印刷指示を送信する請求項5記載の印刷制御装置である。
【0014】
請求項8に係る本発明は、前記算出手段が、印刷データに描画処理結果に関する情報および印刷処理を実行する予定の印刷装置に搭載された描画処理手段の描画処理手段識別子の情報が含まれる場合、前記描画処理結果に関する情報を用いて当該描画処理手段識別子に対応した見積額を算出し、
使用者が選択した印刷装置に搭載された描画処理手段の描画処理手段識別子と前記印刷データに含まれる描画処理手段識別子とが同一の場合、使用者が選択した印刷装置に印刷データを送信することなく、算出した前記描画処理手段識別子に対応した見積額を、使用者が選択した印刷装置において当該印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の見積額として算出する請求項1記載の印刷制御装置である。
【0015】
請求項9に係る本発明は、前記描画処理結果に関する情報が、印刷色、用紙サイズ、および面数又は頁数の情報を少なくとも含む請求項1から8のいずれか記載の印刷制御装置である。
【0016】
[印刷システム]
請求項10に係る本発明は、印刷データを受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段により受信された印刷データを格納する格納手段と、使用者が印刷処理を実行しようとする印刷装置に対して、前記格納手段に格納された印刷データを送信する送信手段と、印刷データを送信した印刷装置から、当該印刷データの描画処理を行った際の描画処理結果に関する情報を受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段により受信された描画処理結果に関する情報と予め設定された課金単価情報とを用いて、前記印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の料金の見積額を算出する算出手段とを備えた印刷制御装置と、
前記印刷制御装置の送信手段から送信されてきた印刷データの描画処理を行う描画処理手段と、前記描画処理手段により描画処理が行われた際の描画処理結果を前記印刷制御装置に返信する返信手段と、前記算出手段により算出された見積額を前記印刷制御装置から受信して表示する表示手段とを備えた印刷装置と、
を有する印刷システムである。
【0017】
[プログラム]
請求項11に係る本発明は、印刷データを受信する第1の受信ステップと、
前記第1の受信ステップにおいて受信された印刷データを格納する格納ステップと、
使用者が印刷処理を実行しようとする印刷装置に対して、前記格納ステップにおいて格納された印刷データを送信する送信ステップと、
印刷データを送信した印刷装置から、当該印刷データの描画処理を行った際の描画処理結果に関する情報を受信する第2の受信ステップと、
前記第2の受信ステップにおいて受信された描画処理結果に関する情報と予め設定された課金単価情報とを用いて、前記印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の料金の見積額を算出する算出ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る本発明によれば、印刷データに基づく印刷処理を実行した場合に発生する料金の見積額を、単に印刷データの印刷条件を用いて算出する場合と比較して、より高い精度で算出することが可能な印刷制御装置を提供することができる。
【0019】
請求項2に係る本発明によれば、使用者が印刷処理を実行する印刷装置を選択してから見積額を算出する場合と比較して、見積額が算出されるまでの時間を短縮することが可能な印刷制御装置を提供することができる。
【0020】
請求項3に係る本発明によれば、使用者が印刷処理を実行する印刷装置を選択してから見積額を算出する場合と比較して、見積額が算出されるまでの時間を短縮することが可能な印刷制御装置を提供することができる。
【0021】
請求項4に係る本発明によれば、使用者が印刷処理を実行する印刷装置を選択してから見積額を算出する場合と比較して、見積額が算出されるまでの時間を短縮することが可能な印刷制御装置を提供することができる。
【0022】
請求項5に係る本発明によれば、過去に見積額を算出する際に選択された印刷装置と同じ描画処理手段が搭載された印刷装置が選択された場合、選択された印刷装置に印刷データを送信して描画処理結果に関する情報を得て見積額を算出する場合と比較して、見積額が算出されるまでの時間を短縮することが可能な印刷制御装置を提供することができる。
【0023】
請求項6に係る本発明によれば、過去に見積額を算出する際に選択された印刷装置と同じ描画処理手段が搭載された印刷装置が選択された場合、選択された印刷装置に印刷データを送信して描画処理結果に関する情報を得て見積額を算出する場合と比較して、見積額が算出されるまでの時間を短縮することが可能な印刷制御装置を提供することができる。
【0024】
請求項7に係る本発明によれば、過去に見積額を算出する際に選択された印刷装置からの印刷要求があった場合、印刷データを再度送信する場合と比較して、印刷処理が実行されるまでの時間を短縮することが可能な印刷制御装置を提供することができる。
【0025】
請求項8に係る本発明によれば、選択された印刷装置に印刷データを送信して描画処理結果に関する情報を得て見積額を算出する場合と比較して、見積額が算出されるまでの時間を短縮することが可能な印刷制御装置を提供することができる。
【0026】
請求項9に係る本発明によれば、印刷データに基づく印刷処理を実行した場合に発生する料金の見積額を、単に印刷データの印刷条件を用いて算出する場合と比較して、より高い精度で算出することが可能な印刷制御装置を提供することができる。
【0027】
請求項10に係る本発明によれば、印刷データに基づく印刷処理を実行した場合に発生する料金の見積額を、単に印刷データの印刷条件を用いて算出する場合と比較して、より高い精度で算出することが可能な印刷システムを提供することができる。
【0028】
請求項11に係る本発明によれば、印刷データに基づく印刷処理を実行した場合に発生する料金の見積額を、単に印刷データの印刷条件を用いて算出する場合と比較して、より高い精度で算出することが可能なプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態の印刷システムの構成を示すシステム図である。
【0032】
本発明の一実施形態の印刷システムは、
図1に示されるように、ネットワーク40により相互に接続されたプリントサーバ10、端末装置20および複数の画像形成装置(印刷装置)30A、30B、30Cにより構成される。
【0033】
端末装置20は、画像形画像形成装置30A、30B、30Cに対応したプリンタドライバがインストールされたパーソナルコンピュータ等であり、印刷データ(印刷ジョブ)を生成してネットワーク40経由にて生成した印刷データをプリントサーバ10に対して送信する。
【0034】
なお、
図1に示した印刷システムでは、説明を簡単にするために1台の端末装置20のみが示されているが、実際には数多くの端末装置20がネットワーク40に接続されている。同様に、
図1に示した印刷システムでは、3台の画像形成装置30A、30B、30Cがネットワーク40に接続されている場合が示されているが、4台以上の画像形成装置が接続されていても良い。
【0035】
プリントサーバ10は、画像形成装置30A、30B、30Cにおける印刷処理を制御するための印刷制御装置であり、端末装置20からの印刷データを受信して格納しておき、画像形成装置30A、30B、30Cのいずれかにユーザがログインして印刷要求を行うと、その画像形成装置に対して印刷データを送信する。
【0036】
画像形成装置30A、30B、30Cは、プリントサーバ10から送信された印刷データを受け付けて、その印刷データに応じた画像を用紙上に出力する。なお、画像形成装置30A、30B、30Cは、印刷(プリント)機能、スキャン機能、複写(コピー)機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0037】
本実施形態の印刷システムは、例えば、大学等において学生や教職員等のユーザ(使用者)により利用される印刷システムであり、一例として認証プリントと呼ばれる印刷方法が採用されているものとして説明する。
【0038】
この認証プリントが行われる場合、端末装置20からの印刷データは一旦プリントサーバ10に格納されて、学生や教職員等のユーザが印刷処理を実行しようとする画像形成装置(印刷装置)を選択してICカード等により認証を行ってログインすることにより、プリントサーバ10からその画像形成装置に転送されるようになっている。
【0039】
そして、ユーザは、ログインした画像形成装置において印刷処理の実行を指示することにより、その印刷データに基づく印刷結果を得ることができる。
【0040】
なお、学生が印刷処理を行う場合には、カラー/白黒、用紙サイズ、面数等に基づく料金が徴収されるようになっていて、教職員が印刷処理を行う場合には料金は徴収されないように設定されている場合を用いて説明する。このような場合には、学生が印刷処理を実行する場合には、予め設定された金額内または予めチャージされた金額以内でのみ印刷が行われ、このような金額を超える印刷処理が実行されないように設定されている。
【0041】
このように印刷処理に料金が必要となる場合、印刷処理を実行する前に、実行しようとする印刷処理に対する料金の見積額を把握したいという要求がある。
【0042】
その理由としては、印刷処理を実行した結果、予想していたよりも高額な費用が発生してしまい使用可能な残高が大幅に減ってしまうような場合や、残高が少ないためこれから実行しようとする印刷処理が実行可能か否かを知りたいような場合があるからである。
【0043】
特に、同じ枚数(面数)でもカラーと白黒とでは印刷処理に対する料金が大幅に異なるため、白黒印刷を実行するつもりがカラー印刷となってしまうと予想していた金額とは大幅に異なる金額が印刷処理の料金として発生することになる。その結果、残高不足で印刷処理を実行することができないような事態や、その後に利用可能な残高が大幅に不足してしまい他の印刷処理を実行することができなくなるような事態が発生してしまう。
【0044】
このような事態の発生を防ぐために、印刷処理が実行される前にプリントサーバ10において印刷データ毎に、印刷処理を実行した場合の見積額を予め算出しておき、ユーザが画像形成装置30A、30B、30Cのいずれかを選択した場合に、印刷データの一覧とともにユーザに対して見積額を提示するようなことが考えられる。
【0045】
ここで、本実施形態の印刷システムでは、端末装置20において生成される印刷データはPDL(Page Description Language:ページ記述言語)により記述されている。そして、このPDLにより記述された印刷データはプリントサーバ10から画像形成装置30A、30B、30Cに送信されて、画像形成装置30A、30B、30Cに搭載されたデコンポーザ(描画処理手段)によりデコンポーズされることによりラスタ形式の画像データに変換されて印刷用紙等の記録媒体上に出力される。
【0046】
そして、それぞれの画像形成装置では、PDLにより記述された印刷データをラスタ画像に変換するためのデコンポーザ(描画処理手段)が異なる場合がある。そして、デコンポーザが異なると同一の印刷データであっても、異なる変換処理が行われる場合がある。そのため、同一の印刷データであってもあるデコンポーザによってはカラー印刷が行われたり、他のデコンポーザによっては白黒印刷が行われたりするというように印刷結果が異なる場合がある。
【0047】
そのため、プリントサーバ10において、PDLにより記述された印刷データに基づいて印刷内容を判定しようとすると、その印刷データは白黒印刷であると判定した場合でも、実際に画像形成装置において印刷処理が実行された際にカラー印刷が実行されてカラー印刷に対する料金が発生してしまう場合がある。
【0048】
逆に、印刷データにおいてカラー印刷が指定さている場合、プリントサーバ10では、その印刷データに基づく印刷処理ではカラー印刷が行われると判定してカラー印刷に対する見積額を算出した場合であっても、ユーザにより選択された画像形成装置において強制白黒印刷モードが設定されているような場合には、白黒印刷が行われることになる。
【0049】
このように、プリントサーバ10においてPDLにより記述された印刷データのみに基づいて見積額を予め算出した場合、実際に画像形成装置において印刷処理が実行されて発生する料金と、予め算出された見積額との間に差異が発生する場合がある。
【0050】
そこで、本実施形態の印刷システムでは、下記に説明するような処理が行われることにより、ユーザが画像形成装置30A、30B、30Cにログインした際に、実際に実行される印刷処理と合致した精度の高い見積額を印刷処理が実行される前に事前を表示されるようにしている。
【0051】
次に、本実施形態の印刷システムにおけるプリントサーバ10のハードウェア構成を
図2に示す。
【0052】
プリントサーバ10は、
図2に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置13、ネットワーク40を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IF)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UI)装置15を有する。これらの構成要素は、制御バス16を介して互いに接続されている。
【0053】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、プリントサーバ10の動作を制御する。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD−ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0054】
図3は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現されるプリントサーバ10の機能構成を示すブロック図である。
【0055】
本実施形態のプリントサーバ10は、
図3に示されるように、データ受信部31と、制御部32と、印刷データ格納部33と、情報記憶部36とを備えている。
【0056】
データ受信部31は、端末装置20から印刷データを受信する。また、データ受信部31は、送信部35によって印刷データを送信した画像形成装置から、その印刷データの描画処理を行った際の描画処理結果に関する情報を受信する。
【0057】
制御部32は、プリントサーバ10の動作を制御しており、算出部34と、送信部35とを有している。
【0058】
印刷データ格納部33は、データ受信部31により受信された印刷データを格納する。
【0059】
情報記憶部36は、印刷色、用紙サイズ、および面数又は頁数の組み合わせ毎に発生する料金の単価が設定された課金単位表(課金単価情報)や、ユーザ毎の残高を示した残高一覧表や、画像形成装置30A、30B、30C等に搭載されたデコンポーザを特定(識別)するためのデコンポーザID(描画処理手段識別子)と画像形成装置30A、30B、30C等との対応関係を示したデコンポーザID一覧表を記憶する。
【0060】
また、情報記憶部36は、算出部34により算出された料金の見積額を、印刷データを送信して描画処理結果に関する情報を受信した画像形成装置のデコンポーザIDとともに見積結果一覧表として記憶しておく。
【0061】
この情報記憶部36により記憶される課金単位表の一例を
図4に示す。
図4に示した課金単位表の例では、白黒/カラーという印刷色、片面/両面という表面印刷の有無、用紙サイズの組み合わせ毎に、1面毎の印刷処理により発生する課金単位が設定されているのが分かる。
【0062】
また、情報記憶部36により記憶される残高一覧表の一例を
図5に示す。
図5に示した残高一覧表の例では、ユーザID、ユーザ名毎に、残高、上限設定の有無の情報が記憶されているのが分かる。なお、上限設定が無いユーザは、例えば教職員のユーザであり、印刷処理を行った場合には料金が発生しないので残高の情報についても記憶されていない。
【0063】
そして、情報記憶部36により記憶されるデコンポーザID一覧表の一例を
図6に示す。
図6に示したデコンポーザID一覧表の例では、画像形成装置30A〜30D毎にそれぞれ搭載されているデコンポーザを特定するためのデコンポーザIDが対応付けられて記憶されているのが分かる。なお、
図1では、画像形成装置30Dは図示されていないが、画像形成装置30A、30B、30Cと同様にネットワーク40に接続されているものとして説明する。
【0064】
算出部34は、データ受信部31により受信された描画処理結果に関する情報と予め設定された課金単価情報とを用いて、データ受信部31が端末装置20から受信した印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の料金の見積額を算出する。
【0065】
送信部35は、ユーザが印刷処理を実行しようとする画像形成装置に対して、印刷データ格部33に格納された印刷データを送信する。
【0066】
なお、送信部35は、印刷データの印刷処理を行おうとするユーザの過去の印刷履歴を参照して、そのユーザが印刷処理を実行する画像形成置を予測して、予測した画像形成装置に対して、印刷データ格納部33に格納された印刷データを送信するようにしても良い。この場合には、算出部34は、印刷データに基づく印刷処理が実行された場合の料金の見積額を、ユーザが印刷処理を実行する画像形成装置を決定する前に先回りして予め算出する。
【0067】
その際に、例えば、送信部35は、そのユーザが前回印刷処理を実行した画像形成装置を、そのユーザが印刷処理を実行する画像形成装置として予測して印刷データを送信する。
【0068】
また、送信部35は、そのユーザが印刷処理を実行する頻度が予め設定された条件を満たす画像形成装置をそのユーザが印刷処理を実行する画像形成装置として予測して印刷データを送信するようにしても良い。例えば、送信部35は、そのユーザが1週間に3回以上使用した画像形成装置を、そのユーザが印刷処理を実行する可能性が高い画像形成装置として予測して印刷データを送信する。
【0069】
なお、同じ機種の画像形成装置であれば同じデコンポーザが搭載さされている可能性が高く、また機種が異なっていても同じデコンポーザが搭載されている場合もある。そして、デコンポーザが同じであれば、同一の印刷データに対する処理結果も同じとなる可能性が高い。
【0070】
そのため、算出部34は、同一の印刷データに対してユーザが印刷処理を実行するための画像形成装置が新たに選択され、選択された画像形成装置に搭載されているデコンポーザのデコンポーザIDと、情報記憶部36に記憶されている見積額と対応付けられたデコンポーザIDとが同一の場合、情報記憶部36に記憶されている見積額を選択された画像形成装置において印刷処理が実行された場合の料金の見積額として算出するようにしても良い。
【0071】
なお、上記で説明しようにユーザが選択した画像形成装置に対して印刷データを送信して、画像形成装置では送信された印刷データに基づいてデコンポーズを行ってラスタ画像への変換を行って得られた描画処理結果に関する情報を用いて見積額の算出を行っている場合、ユーザが選択した画像形成装置にはラスタ画像が生成されていることになる。
【0072】
そのため、見積額を確認したユーザが、選択した画像形成装置においてそのまま印刷処理を実行するような操作を行った場合、生成済みのラスタ画像を用いて印刷処理を実行すれば良い。
【0073】
このような理由により、送信部35は、過去に印刷データを送信して描画処理結果に関する情報を受信した画像形成装置からの印刷要求を受信した場合、その画像形成装置に対して印刷データを再度送信することなく印刷データを特定するためのジョブID(印刷データ識別子)を指定した印刷指示を送信するようにしても良い。
【0074】
このようなジョブIDを指定した印刷指示を受信した画像形成装置では、生成済みのラスタ画像がジョブIDとともに格納されているため、印刷指示において指定されたジョブIDに対応したラスタ画像を印刷用紙等に出力することにより再度ラスタライズ処理を行うことなく印刷処理を実行することができる。
【0075】
なお、端末装置20においてプリンタドライバを用いて印刷データを生成する際に、この印刷データに印刷色、用紙サイズ、および面数又は頁数等の情報や印刷処理を実行する予定の画像形成装置に搭載されたデコンポーザのデコンポーザIDの情報を含めることができる。
【0076】
このように印刷データに描画処理結果に関する情報およびデコンポーザIDの情報が含まれる場合には、算出部34は、描画処理結果に関する情報を用いてデコンポーザIDに対応した見積額を算出し、ユーザが選択した画像形成装置のデコンポーザIDと印刷データに含まれるデコンポーザIDとが同一の場合、ユーザが選択した画像形成装置に印刷データを送信することなく、算出したデコンポーザIDに対応した見積額を、ユーザが選択した画像装置における見積額として算出するようにしても良い。
【0077】
なお、本実施形態の印刷システムにおける画像形成装置30A、30B、30Cは、プリントサーバ10の送信部35から送信されてきた印刷データの描画処理を行うデコンポーザと、このデコンポーザにより描画処理が行われた際の描画処理結果をプリントサーバ10に返信する返信手段と、プリントサーバ10の算出部34により算出された見積額を受信して表示する表示手段とを備えている。
【0078】
次に、本実施形態の印刷システムの動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0079】
先ず、ユーザAが画像形成装置30Aを選択して見積額を表示させた後にそのまま印刷処理を実行する場合の動作について、
図7のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0080】
ユーザAが端末装置20からプリントサーバ10に対して印刷データを送信すると(ステップS101)、この印刷データはプリントサーバ10においてユーザAと対応付けて格納される。
【0081】
そして、ユーザAが画像形成装置30Aに設置場所に移動して、ICカード等を用いた認証処理を行ってログインすると(ステップS102)、画像形成装置30Aからプリントサーバ10に対してユーザAがログインした旨のログイン通知が行われる(ステップS103)。
【0082】
すると、このログイン通知を受信したプリントサーバ10では、ログインしたユーザAと対応付けて格納されている印刷データを画像形成装置30Aに送信する(ステップS104)。
【0083】
すると、画像形成装置30Aでは、プリントサーバ10から送信されてきた印刷データに対するデコンポーズ処理(変換処理)を実行して、カラー/白黒、用紙サイズ、面数等の描画処理結果に関する情報デコンポーズ結果としてプリントサーバ10に返信する(ステップS106)。
【0084】
このようにして画像形成装置30Aからプリントサーバ10に返信される描画処理結果の一例を
図8に示す。
図8に示した描画処理結果の例では、印刷データ(印刷ジョブ)を特定するためのジョブID、ユーザAのユーザID、ファイル名とともに「カラー、A4、片面」の印刷が3枚(または面)、「白黒、A3、片面」の印刷が5枚(または面)という情報が含まれているのが分かる。
【0085】
このような描画処理結果の情報を受信したプリントサーバ10では、算出部34により、画像形成装置30Aから送信されてきた描画処理結果に関する情報と、
図4に示した課金単位表とから、この印刷データを実行した場合の料金の見積額を算出する(ステップS107)。
【0086】
そして、このようにして算出された見積額は、描画処理を行った画像形成装置のデコンポーザID、ジョブID、ユーザIDとともに情報記憶部36において記憶される。このようにして情報記憶部36に記憶される見積結果一覧表の例を
図9に示す。
【0087】
そして、算出部34において算出された見積額は、プリントサーバ10から画像形成装置30Aに送信され(ステップS108)、画像形成装置30Aにおいて例えば操作パネル等において表示される(ステップS109)。
【0088】
このようにして画像形成装置30Aの操作パネル41上において見積額が表示された場合の一例を
図10に示す。
図10に示した例では、ユーザAの残高「480円」とともに、ジョブID「job0001」、ファイル名「○○○○資料」という印刷データを印刷した場合の見積額が40円であり、ジョブID「job0002」、ファイル名「打ち合わせ議事録」という印刷データを印刷した場合の見積額が80円であることが表示されている。
【0089】
そして、このような見積額を確認したユーザにより印刷処理の実行を指示する操作が行われると(ステップS110)、画像形成装置30Aからプリントサーバ10に対して、印刷処理の実行が指示された印刷データの印刷要求が送信される(ステップS111)。
【0090】
この画像形成装置30Aからの印刷要求を受信したプリントサーバ10では、格納している印刷データを用いた印刷指示を画像形成装置30Aに送信する(ステップS112)。すると、画像形成装置30Aでは、送信されてきた印刷データに基づく印刷処理が実行される(ステップS113)。
【0091】
なお、
図7に示したシーケンスチャートでは、プリントサーバ10から画像形成装置30Aに対して同じ印刷データが2回送信されていた。このような印刷データの重複送信が行われないようにした場合の動作について、
図11のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0092】
図11に示したシーケンスチャートでは、
図7に示したシーケンスチャートに対して、見積額の算出のためにプリントサーバ10から画像形成装置30Aに対して印刷データを送信するステップS104の処理と、印刷処理の実行のためにプリントサーバ10から画像形成装置30Aに印刷データを送信するステップS112の処理が、それぞれステップS104a、S112aに置き換えられた点のみが異なっている。
【0093】
つまり、
図11に示したシーケンスチャートでは、見積額の算出のためにプリントサーバ10から画像形成装置30Aに対して印刷データを送信する際に印刷データとともにジョブIDが送信される(ステップS104a)。
【0094】
そして、印刷処理の実行のためにプリントサーバ10から画像形成装置30Aに印刷指示を行う際には、印刷データを送信することなくステップS104aにおいて送信したジョブIDのみを送信する(ステップS112a)。
【0095】
すると、画像形成装置30Aでは、ジョブIDと対応付けて格納していたラスタ画像データを用いた印刷処理が実行される(ステップS113)。
【0096】
ここで、ジョブIDは、プリントサーバ10が画像形成装置に対して印刷データ(印刷ジョブ)を送信した後に、画像形成装置に格納されている印刷データを一意に特定するための識別子であれば良く、
図8、
図9等に示したような情報でも良いし他の情報をジョブIDとして用いても良い。例えば、プリントサーバ10が複数存在するような場合には、プリントサーバ10のIP(Internet Protocol)アドレス+プリントサーバ10内の管理ID+発行日時(例えば、2018年5月10日18時15分3.01秒)+ランダム値等により構成される情報をジョブIDとして用いるようにしても良い。
【0097】
最後に、ユーザAが画像形成装置30Aにログインして見積額を確認した後に、画像形成装置30Bにログインして見積額を表示させた場合の動作について
図12のシーケンスチャートを参照して説明する。
【0098】
なお、
図12では、画像形成装置30Aに搭載されているデコンポーザのデコンポーザIDと、画像形成装置30Bに搭載されているデコンポーザのデコンポーザIDとが同一である場合について説明する。
【0099】
また、
図12に示したシーケンスチャートでは、
図7に示したシーケンスチャートにおけるステップS101〜S109までの処理は同じ処理であるためその説明は省略する。
【0100】
図12に示した動作例では、ユーザAは、画像形成装置30Aにおいて表示された見積額を確認した後に画像形成装置30Aからログアウトする(ステップS201)。そして、ユーザAは、画像形成装置30Bの設置場所まで移動して、画像形成装置30Bにログインしたものとして説明する(ステップS202)。
【0101】
すると、画像形成装置30Bからプリントサーバ10に対してユーザAがログインした旨のログイン通知が送信される(ステップS203)。
【0102】
この画像形成装置30Bからのログイン通知を受信したプリントサーバ10では、
図9に示したような見積結果一覧表の中から画像形成装置30BのデコンポーザID(例えば「1001」)と同一のデコンポーザIDと対応付けられた見積結果を検索し、過去に算出された見積結果が存在する場合、その見積額を画像形成装置30Bに送信する(ステップS204)。
【0103】
すると、画像形成装置30Bでは、プリントサーバ10から送信されてきた見積額を操作パネル等に表示することにより見積額がユーザに対して提示されることになる。
【0104】
なお、上記の実施形態では、ユーザが画像形成装置30A、30B、30Cにログインした場合に、そのユーザに対応付けられている印刷データに対する見積額を算出する場合について説明したが、例えば教職員等のように印刷処理に対する料金が発生しないユーザの場合には、そのユーザがログインした場合でも上記で説明したような見積額の算出を行わない。このような処理が行われることにより教職員等がログインした場合には見積額の算出処理が不要となり、ログインしてからそのユーザに対応付けられた印刷データの一覧が画像形成装置の操作パネル上に表示されるまでの時間が、学生等がログインする場合よりも短縮された応答性が向上されることになる。
【0105】
さらに、上記で説明した実施形態では、プリントサーバ10内に各ユーザの残高や印刷処理に対する料金の発生有無等の情報が格納されている場合を用いて説明したが、このような各種ユーザ情報はプリントサーバ10以外のサーバ内に格納するような構成とすることも可能である。
【0106】
[変形例]
上記実施形態では、いわゆる複合機と呼ばれるような画像形成装置30A、30B、30Cにより印刷処理が行われる印刷システムを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、印刷処理が可能な各種印刷装置により印刷処理が行われるような印刷システムであれば本発明を同様に適用することができるものである。