特開2019-220172(P2019-220172A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イマージョン コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特開2019220172-振動の発生及び制動 図000003
  • 特開2019220172-振動の発生及び制動 図000004
  • 特開2019220172-振動の発生及び制動 図000005
  • 特開2019220172-振動の発生及び制動 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220172(P2019-220172A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】振動の発生及び制動
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20191129BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20191129BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20191129BHJP
   A63F 13/285 20140101ALI20191129BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   G06F3/01 560
   G06F3/041 480
   G06F3/0488
   A63F13/285
   B06B1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-107958(P2019-107958)
(22)【出願日】2019年6月10日
(31)【優先権主張番号】16/010,372
(32)【優先日】2018年6月15日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】500390995
【氏名又は名称】イマージョン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】IMMERSION CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フアン・マヌエル・クルス−エルナンデス
(72)【発明者】
【氏名】ダニー・エー・グラント
(72)【発明者】
【氏名】ヴァヒド・コシュカヴァ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ウルリッチ
【テーマコード(参考)】
5D107
5E555
【Fターム(参考)】
5D107AA16
5D107BB08
5D107CC02
5D107CD03
5E555AA08
5E555BA04
5E555BB04
5E555CA13
5E555CB12
5E555DA24
5E555DD08
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】本発明は、先行技術を実質的に改善する触覚効果を発揮させるように構成されている電子デバイスを提供する。
【解決手段】触覚効果を発揮させるように構成されているアクチュエータシステムであって、電子デバイスのハウジングを含み、該ハウジングは、機械的基礎要素を形成するように構成されており、第1のアクチュエータは第1の移動質量体と機械的基礎要素との間に配設されており、該第1のアクチュエータは、触覚効果を付与するように構成されており、第2のアクチュエータは第2の移動質量体と機械的基礎要素との間に配設されており、第2のアクチュエータは、触覚効果を減衰させるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触覚効果を発揮させるように構成されているアクチュエータシステムにおいて、
電子デバイスのハウジングであって、機械的基礎要素を形成するように構成されている前記ハウジングと、
第1の移動質量体と前記機械的基礎要素との間に配設されている第1のアクチュエータであって、前記触覚効果を付与するように構成されている前記第1のアクチュエータと、
第2の移動質量体と前記機械的基礎要素との間に配設されている第2のアクチュエータであって、前記触覚効果を減衰させるように構成されている前記第2のアクチュエータと、
を備えているアクチュエータシステム。
【請求項2】
前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとが、押圧式ユーザ入力要素及び/又は回転式ユーザ入力要素に機械的に結合されている、請求項1に記載のアクチュエータシステム。
【請求項3】
前記第2の移動質量体が、前記第1のアクチュエータの共振周波数に基づいて、前記触覚効果を減衰させるように較正された大きさとされる、請求項1に記載のアクチュエータシステム。
【請求項4】
前記機械的基礎要素が、前記ハウジングに機械的に結合されている別の構成要素を含んでいる、請求項1に記載のアクチュエータシステム。
【請求項5】
前記第1のアクチュエータが、閉ループ駆動回路又は開ループ駆動回路によって駆動される、請求項1に記載のアクチュエータシステム。
【請求項6】
前記第2のアクチュエータが、閉ループ駆動回路又は開ループ駆動回路によって駆動される、請求項1に記載のアクチュエータシステム。
【請求項7】
前記第2のアクチュエータは前記閉ループ駆動回路のためのセンサとして構成されている、請求項6に記載のアクチュエータシステム。
【請求項8】
前記第1のアクチュエータと前記第2のアクチュエータとが、圧電アクチュエータとされる、請求項6に記載のアクチュエータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、全般的には電子デバイスに関し、より詳細には触覚効果を発揮させる電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスメーカが、ユーザ向けのリッチインターフェースを作り出そうと努力している。従来のデバイスは、視覚的刺激及び聴覚的刺激を用いて、ユーザへフィードバックを与えている。幾つかのインターフェースデバイスでは、運動感覚フィードバック(例えば、活性力及び抵抗力のフィードバック)並びに/又は触覚フィードバック(例えば、振動、テクスチャ、及び熱)もまたユーザに与えられ、より一般的には、集合的に“触覚フィードバック”又は“触覚効果”として既知である。触覚フィードバックは、ユーザインターフェースを向上させ且つ簡略化するきっかけをもたらし得る。具体的には、振動効果すなわち振動触覚に起因する触覚効果が、電子デバイスのユーザに刺激を与えて、ユーザに特定のイベントに対して注意を喚起するか、又はリアルなフィードバックを与えて、シミュレート環境又は仮想環境内でより大きな感覚的没入を作り出す上で、有用である可能性がある。
【0003】
スマートフォン及びタブレットなどのモバイルデバイスの進展に伴い、ユーザは、今や、ハンドヘルドデバイス上で、高解像度の音声及び画像を見ることができる。それらは従来、映画館、テレビ、又はホームシアターシステムでしか見ることができなかったと考えられる。触覚を利用して利用可能となるモバイルデバイスでは、経験から、コンテンツ視聴が十分に向上していること、及び音声及び画像コンテンツ要素に加えて触覚コンテンツ要素があると、視聴者はそれを好むことが分かっている。しかしながら、高解像度の音声/画像に適合するために、例えば一層鮮明な触覚効果が必要であり、本明細書において提供されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態が、先行技術を実質的に改善する触覚効果を発揮させるように構成されている電子デバイスに関する。
【0005】
該実施形態の特徴及び利点が後続の説明に記述されているか、又は該説明から明らかになるか、又は本発明の実践により分かる可能性がある。
【0006】
一例では、アクチュエータシステムが、鮮明な触覚効果などの触覚効果を発揮させるように構成されている。該アクチュエータシステムは電子デバイスのハウジングを含み、該ハウジングは、機械的基礎要素を形成するように構成されており、第1のアクチュエータは第1の移動質量体と機械的基礎要素との間に配設されており、第1のアクチュエータは触覚効果を付与するように構成されており、第2のアクチュエータは第2の移動質量体と機械的基礎要素との間に配設されており、第2のアクチュエータは、触覚効果を減衰させるように構成されている。
【0007】
さらなる実施形態、詳細、利点、及び修正形態が、添付図面と併せて取り上げられる好適な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の例示的な実施形態における触覚を利用して使用可能となるシステム/デバイスのブロック図である。
図2】本発明の例示的な実施形態における鮮明な触覚効果を発揮させるマルチアクチュエータシステムを表わす。
図3】本発明の例示的な実施形態における鮮明な触覚効果を発揮させるアクチュエータシステムを表わす。
図4】本発明の別の例示的な実施形態における鮮明な触覚効果を発揮させるアクチュエータシステムを表わす。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、その例が添付図面により示されている実施形態を詳細に参照する。以下の詳細な説明では、多数の具体的詳細が、本発明の完全な理解を実現するために記述されている。しかしながら、本発明がこれらの具体的詳細なしで実践されてもよいことが、当業者には明らかであろう。他の例では、本実施形態の態様を無用に分かりにくくしないために、周知の方法、手順、構成要素、及び回路が詳細に記載されていない。可能な限り、同様の数字は同様の要素に用いられる。
【0010】
例示的な実施形態は、全般的に、改善された触覚システムに関する。様々な実施形態では、シングルアクチュエータシステム又はマルチアクチュエータシステムが、“鮮明な”触覚効果(振動触覚に起因する効果)を発生させるように構成されている。詳細には、本明細書に記載されているシングルアクチュエータ又はマルチアクチュエータの実施形態は、1つ以上の触覚効果を付与した後に発生する望ましくない振動を減衰させるか又はキャンセルするように構成されている。例えば、第1のアクチュエータは、触覚効果を発揮させるように構成されていてもよく、第2のアクチュエータは、触覚効果を付与した後に、残存振動又は残留振動を減衰させるか又はキャンセルするように構成されていてもよい。別の例示的な実施形態では、圧電アクチュエータが移動質量を含んでいてもよく、アクチュエータの動きを制動するように構成されていてもよい。別の例示的な実施形態では、電磁駆動された移動質量が圧電バネ(“板バネ”又は“圧電ビーム”とも呼称される)上に設けられている。該圧電バネは移動質量体のためのバネとしての機能を果たし、また、移動質量を停止させるように起動されてもよく、それにより制動機構としての機能を果たす。
【0011】
図1は、本発明の例示的な実施形態における触覚を利用して使用可能となるシステム/デバイス10のブロック図である。システム10は、タッチセンサ式表面11又はハウジング15の内部に実装されている他のタイプのユーザインターフェースを含み、機械式キー/ボタン13を含み得る。
【0012】
システム10の内部に、システム10上に触覚効果を発揮させ且つプロセッサ又はコントローラ12を含む触覚フィードバックシステムが存在する。メモリ20、及びアクチュエータ18に結合されている触覚駆動回路16がプロセッサ12に結合されている。プロセッサ12は任意のタイプの汎用プロセッサであってもよいか、又は、特別用途向け集積回路(ASIC)などの、触覚効果を提供するように特別に設計されているプロセッサとすることができると考えられる。プロセッサ12は、システム10全体を動作させる同一のプロセッサであってもよいか、又は別個のプロセッサであってもよい。プロセッサ12は、高レベルパラメータに基づいて、どんな触覚効果が起用されるか、及び該効果が起用される順序を決定することができる。一般に、特定の触覚効果を規定する該高レベルパラメータは、規模、周波数、及び継続時間を含む。ストリーミング運動コマンドなどの低レベルパラメータも、特定の触覚効果を決定するのに使用され得ると考えられる。触覚効果が発生されるか又はこれらのパラメータの変化がユーザの相互作用に基づいている場合に触覚効果がこれらのパラメータの何らかの変化を含む場合、触覚効果が“動的である”と見なされる可能性がある。一実施形態の触覚フィードバックシステムは、システム10において、振動30、31又は他のタイプの触覚効果を発揮させる。
【0013】
プロセッサ12が触覚駆動回路16へ制御信号を出力し、該触覚駆動回路は、アクチュエータ18に必要な電流及び電圧(すなわち“運動信号”)を供給して、所望の触覚効果を引き起こすのに使用される、電子部品と回路とを含む。システム10は2つ以上のアクチュエータ18を含んでいてもよく、各アクチュエータ18は別個の駆動回路16を含んでいてもよく、全ては共通のプロセッサ12に結合されている。
【0014】
触覚駆動回路16は、1つ以上の触覚駆動信号を発生させるように構成されている。例えば該触覚駆動信号は、アクチュエータ18の共振周波数(例えば+/−20Hz、30Hz、40Hz等)で且つそれぐらいで発生され得る。ある実施形態では、触覚駆動回路16は様々な信号処理段を含んでいてもよく、各段は、触覚指令信号を発生させるために使用される、信号処理段のサブセットを画定している。
【0015】
持続性メモリ20が、プロセッサ12によりアクセスされ得る様々なコンピュータ可読媒体を含み得る。様々な実施形態では、本明細書に記載されているメモリ20及び他のメモリデバイスは、揮発性且つ不揮発性の媒体、取外し可能な且つ取外し不可能な媒体を含み得る。メモリ20としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、及び/又は任意の他のタイプの持続性コンピュータ可読媒体の任意の組合せが例示される。メモリ20が、プロセッサ12により実行される命令を格納している。該命令の中に、メモリ20は音声触覚シミュレーションモジュール22を含み、以下により詳細に開示されている通り、それは、プロセッサ12により実行されると、スピーカ28及びアクチュエータ18を使用して高帯域触覚効果を発揮させる命令である。また、メモリ20は、プロセッサ12の内部に配置されていてもよいか、又は内部メモリ及び外部メモリの任意の組合せであってもよい。
【0016】
システム10が、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、コンピュータタブレット、ゲーム機、コントローラ又は分割コントローラ、遠隔制御などの任意のタイプのハンドヘルド/モバイルデバイス、又は1つ以上のアクチュエータを含む触覚効果システムを含む任意の他のタイプのデバイスであってもよい。システム10は、リストバンド、ヘッドバンド、眼鏡、指輪、レッグバンド、衣類に組み込まれているアレイ等のウェアラブルデバイス、あるいは家具もしくは車両のハンドルを含む、ユーザが身体上に装着し得るか又はユーザにより保持され得る且つ触覚を利用して使用可能となる、任意の他のタイプのデバイスであってもよい。さらに、システム10の要素又は機能の幾つかが遠隔配置されていてもよいか、又はシステム10の残りの要素と通信している別のデバイスにより実施されてもよい。
【0017】
アクチュエータ18が、触覚効果を発揮させることができる任意のタイプのアクチュエータ又は触覚出力デバイスであってもよい。一般に、アクチュエータが触覚出力デバイスの例であり、触覚出力デバイスは、駆動信号に応答して、振動触覚に起因する触覚効果、静電摩擦に起因する触覚効果、温度変化、及び/又は変形に起因する触覚効果などの触覚効果を出力するように構成されているデバイスである。用語アクチュエータは詳細な説明の全体に亘って用いられる可能性があるが、本発明の実施形態は、様々な触覚出力デバイスに容易に適用され得る。アクチュエータ18としては、電動機、電磁アクチュエータ、音声コイル、形状記憶合金、電気活性ポリマー、ソレノイド、偏心回転質量モータ(ERM)、ハーモニックERMモータ(HERM)、リニア共振アクチュエータ(LRA)、ソレノイド共振アクチュエータ(SRA)、圧電アクチュエータ、マクロファイバ複合(MFC)アクチュエータ、高帯域アクチュエータ、電気活性ポリマー(EAP)アクチュエータ、静電摩擦ディスプレー、超音波振動発電機等が例示される。幾つかの例では、アクチュエータ自体が触覚駆動回路を含み得る。後続の記載では、圧電アクチュエータが例として使用され得るが、本発明の実施形態は任意のタイプのアクチュエータ又は触覚出力デバイスに容易に適用され得ることが理解されるべきである。
【0018】
現在、同様に定格のアクチュエータ間に高度の相違が存在する。結果として、同様に定格のアクチュエータは、一貫性のない触覚応答を発生させることが多い。該相違は、異なるアクチュエータメーカ間で特に大きいが、1つのメーカにより製造されるアクチュエータの中でもやはり著しい。同様に定格のアクチュエータ間の相違は、“鮮明な”触覚効果の発生に関して特にはっきり分かる。
【0019】
鮮明な触覚効果が、比較的高い加速度値又は最大加速度値(例えば2.5Gpp(ピーク間重力)又は3.5Gpp)に達する、短継続時間の触覚効果(例えば5ms)を含む。換言すれば、鮮明な触覚効果の発生中、アクチュエータは、1サイクル未満の間に、高加速度又は最大加速度に達する可能性がある。さらに、アクチュエータは、駆動信号が除去された後、5ms内に停止位置に戻る。鮮明な触覚効果では、アクチュエータの駆動周波数に関わらず、該触覚効果を付与した後には、最小限の(例えば微小な)振動が残っているか又は振動が残っていない。
【0020】
5ms内の高加速度触覚効果の発生には、一般に、100Hz以上の範囲内の振動を発生させるアクチュエータが使用される。例えば、触覚効果を駆動する単一発振が10msの継続時間を有していてもよく、従って駆動信号の中間点までに5msであり、加速度は既に高い。
【0021】
鮮明な触覚効果の発生は多数の欠点の影響下にある。鮮明な触覚効果の発生は、幾つかの電気機械アクチュエータ(例えばLRA及びERM)を使用して達成することが困難である。また、幾つかの既知の技術が、せいぜい高共振システムで機能し、短継続時間(例えば5ms)内に高加速度値を生じさせることができない。他の既知の技術が、閉ループ触覚駆動回路を使用することにより、触覚駆動信号を修正しようと試みている。そのような既知の駆動回路は、“鮮明な”触覚効果を発揮させるのに適合されている。しかしながら、そのような技術は、高価なセンサの組込みに因り、過度に複雑であり、費用がかかる。
【0022】
図2は、本発明の例示的な実施形態における鮮明な触覚効果を発揮させるマルチアクチュエータシステム200を示す。
【0023】
図2に示されている通り、マルチアクチュエータシステム200が、第1の圧電アクチュエータ218Aと第2の圧電アクチュエータ218Bとを含む。該第1の圧電アクチュエータ218A及び該第2の圧電アクチュエータ218Bの各々は機械的基礎要素215と各移動質量との間に配設されており、これらに結合されている。当該例示的な構成では、第1の圧電アクチュエータ218Aは第1の移動質量体219Aに結合されており、第2の圧電アクチュエータ218Bは第2の移動質量体219Bに結合されている。第1の圧電アクチュエータ218Aと第2の圧電アクチュエータ218Bとを含むマルチアクチュエータシステム200は、鮮明な触覚効果を含む1つ以上の触覚効果を発揮させるように構成されている。
【0024】
マルチアクチュエータシステム200では、実施形態は、第1の圧電アクチュエータ218Aに依存して、1つ以上の触覚効果を発揮させてもよく、振動減衰/キャンセルのために、第2の圧電アクチュエータ218Bにさらに依存してもよく、逆の場合も同様である。代替的構成では、第1の圧電アクチュエータ218A及び第2の圧電アクチュエータ218Bはどちらも、1つ以上の触覚効果を発揮させるように構成されていてもよく、第1の圧電アクチュエータ218A及び第2の圧電アクチュエータ218Bの両方の運動は、振動減衰/キャンセルのために調整される制動信号及び/又は制動力を発生させるように、逆にされてもよい。
【0025】
鮮明な触覚効果の発生の場合などの触覚効果を停止するために、触覚効果の残存振動又は残留振動が除去される。そのような残存振動は“振動尾部(vibrations tail)”とも呼ばれる場合がある。
【0026】
様々な実施形態では、第1の圧電アクチュエータ218A及び第2の圧電アクチュエータ218Bは、既知のもしくは予想される開ループ駆動回路又は閉ループ駆動回路を使用して、駆動されてもよい。閉ループ駆動回路を使用する場合、第2の圧電アクチュエータ218Bは、閉ループ制御プロセス用のセンサとしてさらに構成されていてもよい。第2の圧電アクチュエータ218Bなどのアクチュエータを閉ループ駆動回路用のセンサとして構成することにより、専用センサに関連するコストは回避される。ここでは、一方のアクチュエータが1つ以上の触覚効果を発揮させる。他方のアクチュエータは、1つ以上の触覚効果の残存振動を監視するセンサ及び望ましくない振動を除去するための制動信号又は制動力を作用させるセンサの両方として構成される。他の構成では、残存振動は専用センサを使用して検出されてもよい。専用センサは、触覚駆動信号の処理後、振動を監視することに関与する可能性がある。専用センサは、センサとして構成され得ないアクチュエータタイプに関連して使用され得る。
【0027】
第1の移動質量体219A及び第2の移動質量体219Bは独立した構成要素であってもよいか、又は押しボタン、回転式ノブ、スクリーン、タッチスクリーン、デジタルクラウン等の、ホスト電子デバイスの他の構成要素を含んでいてもよいか、もしくはそれらに別途結合されていてもよい。さらに、又はあるいは、第1の移動質量体219A及び第2の移動質量体219Bは同一の又は異なる大きさを有していてもよい(例えば219Aの質量は219Bの質量より大きく、より小さく、又はそれに等しい)。より重要なことには、振動減衰/キャンセルに使用されるアクチュエータに対応する移動質量は、触覚効果を付与した後に残存する望ましくない振動のすべてを迅速に排除するように較正されるか、又は調整される。例えば、移動質量の大きさは、振動尾部の周波数に基づいて決定されてもよい。
【0028】
機械的基礎要素215は、図1のハウジング15などの、ホスト電子デバイスのハウジングであってもよい。機械的基礎要素215が単一要素として示されているが、複数の機械的に結合された要素が機械的基礎要素215を集合的に形成し得る。例えば、スマートフォンのタッチスクリーンとハウジングとは機械的基礎要素215を集合的に形成し得る。ここで、タッチスクリーンとハウジングとは機械的に結合されており、連帯して振動を発生させる場合がある。別の例では、ウェアラブルデバイスのハウジングとバンドとは機械的基礎要素215を集合的に形成し得る。ここで再度、ハウジングとバンドとは機械的に結合されており、連帯して振動を発生させる場合がある。図2に示されている例示的な構成では、第1の圧電アクチュエータ218A及び第2の圧電アクチュエータ218Bは、同一方向に各変位d1、d2を有する。しかしながら、第1の移動質量体219A及び第2の移動質量体219B並びに機械的基礎要素215の構成に応じて、各変位d1、d2は変化し得る。
【0029】
当該例示的な実施形態では圧電アクチュエータが記載されているが、任意のタイプのアクチュエータ又は触覚出力デバイスが使用され得る。触覚出力デバイスは、図1のアクチュエータ18に関連して記載されている様々な触覚出力デバイスなどの、任意の触覚出力デバイスを含み得る。圧電アクチュエータではなく触覚出力デバイスを使用する構成では、第2のアクチュエータと組み合わせて、専用センサが使用され得る。あるいは、圧電アクチュエータは、アクチュエータ及びセンサの両方として機能するように構成されていてもよい。圧電アクチュエータと専用センサとは、アクチュエータ218により出力される振動を継続的に又は定期的に監視するように構成されていてもよく、感知された振動は、触覚駆動回路内で閉ループフィードバック信号として使用され得る。該センサは圧電アクチュエータ自体に取り付けられていてもよい(例えば、歪みゲージ)か、又はセンサはホスト電子デバイスの本体に取り付けられていてもよい(例えば、加速度計)。
【0030】
さらに、又はあるいは、第1の圧電アクチュエータ218A及び第2の圧電アクチュエータ218Bが、同一の又は異なる共振周波数を有するように構成されていてもよい。第1の圧電アクチュエータ218Aの該共振周波数は、第2の圧電アクチュエータ218Bの共振周波数より大きく、より小さく、又はそれに等しい可能性がある。より重要なことには、振動減衰/キャンセルに使用されるアクチュエータの共振周波数は、触覚効果を付与した後に残存する望ましくない振動のすべてを迅速に排除するように較正されるか、又は調整される。
【0031】
図3は、本発明の例示的な実施形態における鮮明な触覚効果を発揮させるアクチュエータシステム300を示す。図3に示されている通り、アクチュエータシステム300が機械的基礎要素315と、1つ以上の圧電アクチュエータを含むか又はそれで形成されている圧電性移動質量体318と、バネ324とを含む。
【0032】
LRAタイプのアクチュエータなどの幾つかのアクチュエータタイプでは、移動質量が、通常、バネ324などの電気機械部品上に取り付けられている。本実施形態では、圧電性移動質量体318が導入されている。圧電性移動質量体318は、1つ以上の圧電アクチュエータを含むか、又はそれで形成されている。換言すれば、圧電アクチュエータは移動質量に付加されていてもよいか、又はあるいは、移動質量を含んでいてもよいかのどちらかである。図3に示されている通り、例示的なアクチュエータシステム300は2つの状態を含む。アクチュエータシステム300の当該2つの状態については、本明細書で説明する。
【0033】
1つ以上の触覚効果が付与されている場合には、318Aとして示されている圧電性移動質量体318は“オフ”状態にある。換言すれば、圧電性移動質量体318は係合されていない。従って、触覚効果が付与されるように、圧電性移動質量体318Aは、324Aとして示されているバネ324により駆動されるように構成されている。ここで、圧電性移動質量体318Aの動きは、315Aとして示されている機械的基礎要素315により妨げられない。
【0034】
しかしながら、制動を起動している時、圧電性移動質量体318は係合されており、拡張するように構成されている。この“オン”状態では、318Bとして示されている圧電性移動質量体318は拡張し、315Bとして示されている機械的基礎要素315などの隣接部との摩擦を引き起こす。圧電性移動質量体318Bの拡張の結果として、アクチュエータの振動は減衰/キャンセルされる。さらに、制動中、バネ324Bなどの電気機械構成要素は動作を停止される。
【0035】
機械的基礎要素315が、図1のハウジング15などの、ホスト電子デバイスのハウジングであってもよい。機械的基礎要素315は単一要素として示されているが、複数の機械的に結合された要素が機械的基礎要素315を集合的に形成していてもよい。
【0036】
図3はシングルアクチュエータシステムの例示的な構成を示しているが、多数の他の構成が容易に構成され得る。例えば、1つ以上の圧電アクチュエータが圧電性移動質量体に結合されていてもよい。別の例では、1つ以上の圧電アクチュエータが従来の移動質量に結合されていてもよい。どちらの構成においても、移動質量上での複数の圧電アクチュエータの含有は、摩擦をさらに増大させるように且つ移動質量をより迅速に停止させるように構成され得る。他の例示的な構成では、アクチュエータはホスト電子デバイスの任意の軸に沿って配設されていてもよい(例えば、ハウジングの反対部分又は隣接部分)。アクチュエータシステム300の様々な触覚出力デバイスは開ループ駆動回路又は閉ループ駆動回路により駆動されてもよい。
【0037】
図4は、本発明の別の例示的な実施形態における鮮明な触覚効果を発揮させるアクチュエータシステム400を示す。図4に示されている通り、アクチュエータシステム400は、機械的基礎要素415と、移動質量体418と、圧電バネ424(“板バネ”又は“圧電ビーム”とも呼称される)とを含む。
【0038】
1つ以上の触覚効果を付与するために、移動質量体418が磁場(図示せず)により駆動されて、移動質量体418の動きを誘発し、振動を引き起こす。圧電性移動質量体318がバネ324により電気機械的に駆動される図3の実施形態と比較して、移動質量体418は、圧電バネ424などの圧電材料に沿って電磁駆動される。様々な実施形態では、圧電バネ424は能動バネであり、アクチュエータを含む。
【0039】
1つ以上の触覚効果が付与されている場合には、移動質量体418は、移動するように且つ振動を発生させるように駆動される。ここで、移動質量体418の運動は圧電バネ424により妨げられない。しかしながら、制動を起動している時、圧電バネ424が係合される。幾つかの例では、圧電バネ424の剛性はアクチュエータの共振周波数に基づいて較正されてもよいか、又は調整されてもよい。あるいは、又はさらに、圧電バネ424は、移動質量体418を、圧電バネ424のどちらかの端部の所の移動停止位置へ移動させ得る。別の例では、圧電バネ424は拡張するように構成されていてもよい。圧電バネ424の拡張が移動質量体418との摩擦を引き起こす。ここで、圧電バネ424の拡張は、移動質量体418と機械的基礎要素415との間の摩擦を誘発する。圧電バネ424の拡張の結果として、アクチュエータの振動は減衰/キャンセルされる。さらに、制動中、移動質量体418を駆動する磁場は動作を停止される。
【0040】
幾つかの実施形態では、圧電バネ424が触覚効果の最後で又は最後の近くで起動される。一例では、10msの触覚効果の間、触覚効果の最後で又は9.8msの時間分で、圧電バネ424が起動されて、移動質量体418の振動をキャンセルし/減衰させてもよい。自由発振周波数が既知であるので、圧電バネ424はその周波数(例えば、自由発振周波数を有する位相からずれた)で起動され得るか、又は別途その周波数に調整されて、いかなる残存振動もキャンセルし/減衰させる。別の例では、移動質量体418は電磁場を用いて駆動され、所望の触覚効果が終了すると(例えば、10msの時間分で)、圧電バネ424は起動されて、移動質量体418の動きを相殺することができる。
【0041】
さらに別の例では、バイモルフ構造が使用されてもよい。ここで、2つの圧電アクチュエータが受動バネ上の同じ動作機構と結合され得る。一方の圧電アクチュエータが移動質量を駆動し、他方の圧電アクチュエータが、制動が必要である場合、係合される。換言すれば、第2の圧電アクチュエータが第1の圧電アクチュエータの触覚効果をキャンセルし得る。
【0042】
機械的基礎要素415が、図1のハウジング15などの、ホスト電子デバイスのハウジングであってもよい。機械的基礎要素415は単一要素として示されているが、複数の機械的に結合された要素が機械的基礎要素415を集合的に形成し得る。
【0043】
図4がシングルアクチュエータシステムの例示的な構成を示すが、多数の他の構成が容易に構成され得る。例えば、1つ以上の圧電アクチュエータが移動質量を含む。別の例では、1つ以上の圧電アクチュエータが従来の移動質量に結合されていてもよい。どちらの構成においても、移動質量上での複数の圧電アクチュエータの含有は、移動質量をより迅速に停止させるように構成され得る。他の例示的な構成では、圧電バネは、圧電バネの剛性を変化させる(例えば、力、速度等を付加する)ことにより移動質量をさらに駆動するように、且つ前述されているように制動を引き起こすように構成されていてもよい。アクチュエータシステム400の様々な触覚出力デバイスは開ループ駆動回路又は閉ループ駆動回路により駆動され得る。
【0044】
前段で検討されている様々な実施形態では、シングルアクチュエータシステム及びマルチアクチュエータシステムが、鮮明な触覚効果を発揮させるように構成されている。本明細書に記載されているシングルアクチュエータ実施形態及びマルチアクチュエータ実施形態は、1つ以上の触覚効果を付与した後に発生する望ましくない振動を減衰させ/キャンセルするように構成されている。
【0045】
前段で検討されている本発明は、異なる順序のステップを用いて及び/又は開示されているものとは異なる構造の要素を用いて実践され得ることを、当業者は容易に理解するであろう。さらに、様々な実施形態の特徴が様々な組合せで実践され得ることを、当業者は容易に理解するであろう。従って、本発明をこれらの好適な実施形態に基づいて記載したが、本発明の精神及び範囲の範囲内に留まると同時に、一定の修正形態、変形形態、及び代替的構造が明らかになるであろうことが、当業者には明白であると考えられる。従って、本発明の境界及び範囲を決定するために、添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。
【符号の説明】
【0046】
10 触覚を利用して使用可能となるシステム/デバイス
11 タッチセンサ式表面
12 プロセッサ、コントローラ
13 機械式キー/ボタン
15 ハウジング
16 触覚駆動回路
18 アクチュエータ
20 メモリ、持続性メモリ
22 音声触覚シミュレーションモジュール
28 スピーカ
30 振動
31 振動
200 マルチアクチュエータシステム
215 機械的基礎要素
218 アクチュエータ
218A 第1の圧電アクチュエータ
218B 第2の圧電アクチュエータ
219A 第1の移動質量体
219B 第2の移動質量体
300 アクチュエータシステム
315 機械的基礎要素
315A 機械的基礎要素
315B 機械的基礎要素
318 圧電性移動質量体
318A 圧電性移動質量体
318B 圧電性移動質量体
324 バネ
324A バネ
324B バネ
400 アクチュエータシステム
415 機械的基礎要素
418 移動質量体
424 圧電バネ
d1 変位
d2 変位
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】
2019220172000001.pdf