【解決手段】ハプティックアクチュエーターアセンブリは、垂直軸に沿った変位を出力するように構成されたハプティックアクチュエーターと、予荷重デバイスとを備える。予荷重デバイスは、ハプティックアクチュエーターに隣接して配置され、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターの拡張に抵抗するように垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターに対する圧縮荷重を発生させるように構成される。ハプティックアクチュエーターは、ケーシングによって形成された密封空洞内に配置される。密封空洞内の圧力は、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターに対する圧縮荷重を生成するために変更される。
前記圧力は大気圧より低く、前記密封空洞内の前記圧力と前記密封空洞の外側の大気圧との間の圧力差が、前記ハプティックアクチュエーターに対する前記垂直軸に沿った前記圧縮荷重をかける、請求項1に記載のハプティックアクチュエーターアセンブリ。
前記圧力は大気圧より高められ、前記圧力は、前記ハプティックアクチュエーターに対する前記垂直軸に沿った前記圧縮荷重をかける、請求項1に記載のハプティックアクチュエーターアセンブリ。
前記ハプティックアクチュエーターの前記変位変換デバイスは、前記圧電材料の層の歪みに起因する前記平行軸に沿った前記圧電材料の層によって出力される変位を、前記垂直軸に沿った前記ハプティックアクチュエーターのより大きい変位に変換するように構成された変位増幅デバイスであり、前記ハプティックアクチュエーターの前記変位増幅デバイスは、前記圧電材料の層のそれぞれの反対側の平面に配置された第1のディスク及び第2のディスクを備え、前記第1のディスク及び前記第2のディスクの各ディスクは、前記圧電材料の層のそれぞれの平面と円錐台を形成する、請求項1に記載のハプティックアクチュエーターアセンブリ。
前記ハプティックアクチュエーターは、前記ハプティックアクチュエーターの第1の外面が前記カバーの内面と接触し、前記ハプティックアクチュエーターの第2の外面が前記ベースの内面と接触するように、前記ケーシングによって形成された前記密封空洞内に配置されている、請求項1に記載のハプティックアクチュエーターアセンブリ。
前記カバーは、前記ハプティックアクチュエーターが前記垂直軸に沿った変位を出力するときに変形するように構成され、前記ベースは、前記ハプティックアクチュエーターが前記垂直軸に沿った変位を出力するときに変形しないように構成されている、請求項1に記載のハプティックアクチュエーターアセンブリ。
前記ハプティック対応デバイスの前記ハウジングによって前記ハプティックアクチュエーターアセンブリに加えられるいかなる圧縮荷重も1N未満である、請求項9に記載のハプティック対応デバイス。
前記ハプティック対応デバイスは、前記ハウジングの第1の面を形成するタッチスクリーンデバイスを更に備え、前記ハウジングは、前記ハウジングの第2の面かつ反対側の面を形成するバックパネルを備え、前記ハプティックアクチュエーターアセンブリは、前記ハプティックアクチュエーターアセンブリによって生成される力が前記ハウジングの前記第2の面に対してかけられるように、前記ハウジングの前記第2の面に配置されている、請求項10に記載のハプティック対応デバイス。
前記制御ユニットは、前記ハプティックアクチュエーターに駆動信号を提供するように前記電源を制御するように構成されている、請求項9に記載のハプティック対応デバイス。
前記駆動信号は、前記ハプティックアクチュエーターアセンブリの共振周波数に等しい周波数を有する周期的信号である、請求項12に記載のハプティック対応デバイス。
前記カバーは、前記ハプティックアクチュエーターが前記垂直軸に沿った変位を出力するときに変形するように構成され、前記ベースは、前記ハプティックアクチュエーターが前記垂直軸に沿った変位を出力するときに変形しないように構成されている、請求項15に記載のハプティックアクチュエーターアセンブリ。
前記カバー及び前記ベースの各々は、前記コネクター部品によって前記ハプティックアクチュエーターにかけられる前記力を均一に分散させるように構成されている薄い平面部品である、請求項15に記載のハプティックアクチュエーターアセンブリ。
前記予荷重デバイスの前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素が発生させる前記垂直軸に沿った前記圧縮荷重は、2N〜4Nの範囲である、請求項15に記載のハプティックアクチュエーターアセンブリ。
前記ハプティックアクチュエーターの前記変位変換デバイスは、前記圧電材料の層の歪みに起因する前記平行軸に沿った前記圧電材料の層によって出力される変位を、前記垂直軸に沿った前記ハプティックアクチュエーターのより大きい変位に変換するように構成された変位増幅デバイスであり、前記ハプティックアクチュエーターの前記変位増幅デバイスは、前記圧電材料の層のそれぞれの反対側の平面に配置された第1のディスク及び第2のディスクを備え、前記第1のディスク及び前記第2のディスクの各ディスクは、前記圧電材料の層のそれぞれの平面と円錐台を形成する、請求項15に記載のハプティックアクチュエーターアセンブリ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の上述の特徴、目的、及び利点、並びに他の特徴、目的、及び利点は、添付の図面に示されるような本発明の実施形態の以下の詳細な説明から明らかであろう。本明細書に組み込まれるとともに本明細書の一部をなす添付の図面は更に、本発明の原理を説明するとともに、当業者が本発明を実施及び使用することを可能にする役割を果たす。図面は一定縮尺ではない。
【0008】
以下の詳細な説明は、本質的に単に例示のものであり、本発明又は本発明の用途及び使用を限定することを意図するものではない。更に、前出の技術分野、背景技術、発明の概要又は以下の詳細な説明において提示されるいかなる明示された又は暗示された理論によっても限定する意図はない。
【0009】
本明細書における実施形態の1つの態様は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ用の予荷重デバイスを提供することに関する。ハプティックアクチュエーターアセンブリは、変位(例えば、歪み又は他の変形)及び力を出力するように構成されている、圧電アクチュエーター等のハプティックアクチュエーターを備えることができる。1つの例では、変位を使用して、第1の変位値と第2の変位値との間で発振することにより、振動触知性ハプティック効果を発生させることができる。予荷重デバイスは、ハプティックアクチュエーターに対して、ハプティックアクチュエーターによって提供される変位を抑制する予荷重を発生させるように構成することができる。この抑制により、ハプティックアクチュエーターは依然として変位を出力することができるが、予荷重デバイスがない状況と比較して変位の振幅が低減する。場合によっては、変位は、ハプティックアクチュエーターを特定の軸に沿って拡張させる歪みの形態をとることができ、予荷重デバイスによって発生する予荷重は、その軸に沿ったハプティックアクチュエーターの拡張に抵抗する圧縮荷重とすることができる。場合によっては、予荷重は、ユーザーインタラクション、又は、ハプティックアクチュエーターアセンブリの外部にある作用とは独立した荷重とすることができる。言い換えれば、予荷重は、例えば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ内に組み込まれるか、又はハプティックアクチュエーターアセンブリの内部にある荷重とすることができる。予荷重は、ハプティックアクチュエーターからの変位、ハプティックアクチュエーターの変位の変化の量、又はそれらの組合せを抑制することができる。
【0010】
一実施形態では、予荷重デバイスは、同様にハプティックアクチュエーターによって出力される力が過度に弱くなるのを防止するために、ハプティックアクチュエーターからの変位を抑制し、又は他の方法で変位に抵抗することができる。例えば、ハプティックアクチュエーターは、
図18のもののような力−変位プロファイルを有することができ、そこでは、ハプティックアクチュエーターは、出力する変位が大きくなるに従い、出力する力が弱くなり、その逆もあり得る。ハプティックアクチュエーターが駆動信号又は他の刺激によって駆動されるときに、ハプティックアクチュエーターに予荷重が加えられない場合、ハプティックアクチュエーターは、場合によっては、ハプティックアクチュエーターにかつ駆動信号の振幅に関連する、定格変位d
rated(公称変位とも呼ぶ)に等しい変位を出力する可能性がある。例えば、ハプティックアクチュエーターは、圧電アクチュエーターとすることができる。圧電アクチュエーターは、駆動信号が印加されると、定格変位(例えば、定格歪み)に等しい、特定の軸に沿った歪みを出力する可能性がある。しかしながら、ハプティックアクチュエーターによって提供される変位の量が定格変位に等しい場合、変位と同時に力はほとんど又は全く発生しない可能性がある。例えば、
図18は、ハプティックアクチュエーターが、ハプティックアクチュエーターの定格変位の近くの値で(例えば、発振駆動信号によって駆動されている結果として)発振する変位を出力する状況を示す。ハプティックアクチュエーターは、予荷重又は外部荷重がないためにこうした変位を出力する可能性がある。発振する変位は、振動触知性ハプティック効果になる可能性があるが、
図18に示すように、振動触知性ハプティック効果と同時にはわずかな量の力しか発生しない可能性がある。その結果、振動触知性ハプティック効果は、非常に弱いものとしてユーザーに知覚される可能性があり、又は、全く知覚されない可能性がある。
【0011】
図18は、予荷重が存在するときにハプティックアクチュエーターが変位を発生させる別の状況を更に示す。
図18における両方の状況における変位は、同じ信号振幅又は同じ駆動信号によって発生させることができる。一実施形態では、予荷重は、ハプティックアクチュエーターからの変位を、その定格変位の分数(例えば、1/2、3/4)である値に抑制することができる。一例として、予荷重は、変位が35μm(予荷重が存在しない場合)から1μm(予荷重が存在する場合)まで低減するように、ハプティックアクチュエーターによって出力される変位を抑制することができる。変位を低減させることにより、予荷重は、ハプティックアクチュエーターによって出力される力の増大をもたらすことができる。その結果、予荷重を含むハプティックアクチュエーターアセンブリによって振動触知性ハプティック効果が発生する場合、予荷重を有していないハプティックアクチュエーターによって振動触知性ハプティック効果が発生する状況と比較して、振動触知性ハプティック効果と同時に発生する力は、より強力かつより知覚可能とすることができる。
【0012】
一実施形態では、予荷重デバイスは、ハプティックアクチュエーターを保護するためにハプティックアクチュエーターからの変位を抑制するか又は他の方法で変位に抵抗することができる。例えば、圧電セラミック材料を含むハプティックアクチュエーターは、脆性がある可能性があり、したがって、過度の歪み又は他の変位からの亀裂又は他の損傷を受ける可能性がある。こうした場合では、予荷重デバイスは、その変位を抑制することにより、ハプティックアクチュエーターからの動きの範囲を抑制することができ、したがって、ハプティックアクチュエーターが過度の歪みに関連する損傷を受けないように防護することができる。言い換えれば、予荷重デバイスは、ハプティックアクチュエーターからの過度の変位に抵抗することにより、ハプティックアクチュエーターを保護することができる。
【0013】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーターは、ケーシングによって形成された密封空洞内に配置されている。1つ以上の運動軸に沿ったハプティックアクチュエーターの拡張に抵抗する圧縮荷重を発生させるために、密封空洞内の圧力は、大気圧より低い。真空ポンプを利用して、密封空洞内の圧力を低下させて、ハプティックアクチュエーターに対して予荷重を提供することができ、又は、ポンプを利用して、密封空洞内の圧力を上昇させて、ハプティックアクチュエーターに対して予荷重を提供することができる。
【0014】
別の実施形態では、予荷重デバイスは、1つ以上の運動軸に沿ったハプティックアクチュエーターの拡張に抵抗する圧縮荷重を発生させるために、長手方向に収縮するように構成されている収縮可能な材料から形成される、少なくとも1つのコネクター部品を備える。
【0015】
一実施形態では、予荷重デバイスを有するハプティックアクチュエーターアセンブリは、ハプティックアクチュエーターアセンブリが外部荷重をほとんど又は全く受けない場所に配置することができる。例えば、ハプティックアクチュエーターアセンブリは、携帯電話のバックパネルの内面等、携帯電話の裏面に配置することができる。バックパネルは、低質量(例えば、1g未満)を有することができ、ハプティックアクチュエーターアセンブリに対してかける外部荷重は1N未満とすることができる。こうした状況では、予荷重デバイスは、アセンブリのハプティックアクチュエーターの変位を抑制する予荷重を有利に提供することができる。
【0016】
図1は、予荷重デバイスを組み込んだハプティックアクチュエーターアセンブリ120を備えることができるハプティック対応デバイス100のブロック図を示す。より具体的には、ハプティック対応デバイス100は、ハウジング110と、ハプティックアクチュエーターアセンブリ120と、制御ユニット130と、電源140とを備える。一実施形態では、ハプティック対応デバイス100は、携帯電話、タブレットコンピューター、ラップトップ、ハンドヘルドゲームコントローラー、ウェアラブルデバイス(例えば、ハプティック対応電子腕時計、グローブ又はヘッドマウント型デバイス)又は他の任意のユーザーインターフェースデバイス等のユーザーインターフェースデバイスとすることができる。
【0017】
一実施形態では、電源140は、ハプティック効果を発生させるためにハプティックアクチュエーターアセンブリ120のために電力を提供するように構成されている、バッテリー又は他のエネルギー蓄積デバイスを含むことができる(本明細書では、電力及びエネルギーという用語は同義で使用する)。一実施形態では、制御ユニット130は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ120のより詳細に後述するハプティックアクチュエーターを駆動するように、電源140を制御するように構成することができる。例えば、制御ユニット130は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ120のハプティックアクチュエーターに印加される駆動電圧信号又は駆動電流信号を発生させるように電源140を制御するように構成することができる。電源140は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ120のハプティックアクチュエーターに対して、50V〜100Vの範囲の振幅を有する駆動信号(例えば、60V駆動信号)を発生させるように構成することができる。
【0018】
一実施形態では、制御ユニット130は、ハプティック対応デバイス100に対するハプティック効果の発生を制御するのに専用とすることができ、又は、ハプティック対応デバイス100に対する他の動作を制御する汎用制御ユニットとすることができる。一実施形態では、制御ユニット130は、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上の処理コア、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の任意の処理回路を含むことができる。
【0019】
図2Aは、ハプティックアクチュエーターアセンブリ120の一実施形態であるハプティックアクチュエーターアセンブリ120Aのブロック図を示す。ハプティックアクチュエーターアセンブリ120Aは、ハプティックアクチュエーター121及び予荷重デバイス127を備える。予荷重デバイス127については、より詳細に後述する。一実施形態では、予荷重デバイスは、2N〜4Nの範囲である圧縮荷重を発生させるように構成することができる。一実施形態では、ハプティックアクチュエーター121は、特定の軸に沿った変位及び力を出力するように構成される。例えば、ハプティックアクチュエーター121は、圧電アクチュエーター、又は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むEAPアクチュエーター等の電気活性ポリマー(EAP)アクチュエーターとすることができる。一実施形態では、ハプティックアクチュエーター121は、1つ以上の軸に沿ってハプティックアクチュエーターを拡張又は収縮させる歪み又は他の変形を呈するように構成することができる。
【0020】
図2Bは、ハプティックアクチュエーター121の一実施形態のブロック図を示す。
図2Bの実施形態では、ハプティックアクチュエーター121は、圧電層121a(圧電材料の層又は圧電材料のシートとも呼ぶ)と、電極121bと、変位変換デバイス121cとを備える。圧電層121aは、電極121bに接続することができ、電極121bに駆動信号が印加されると、1つ以上の軸に沿った歪みを出力するように構成することができる。場合によっては、圧電層121は、圧電材料の下層の積層体を含むことができ、下層の各々は、電極121bのうちの2つの電極の間に直接挟挿される。他の場合では、圧電層121aは、こうした下層を1つしか有していない。
【0021】
一実施形態では、変位変換デバイス121cは、第1の軸(例えば、x軸)に沿った歪み又は他の変位を、第2の軸(例えば、z軸)に沿った変位に変換するように構成することができる。一実施形態では、第1の軸は平行軸とすることができ、平行軸は、圧電層121aの平面に対して平行である。一実施形態では、第2の軸は垂直軸とすることができ、垂直軸は、圧電層121aの平面に対して垂直である。場合によっては、変位変換デバイス121cは、第1の軸に沿った変位(例えば、Δx)を第2の軸に沿ったより大きい変位(例えば、Δz)に増幅するように構成されている変位増幅デバイスとすることができる。
【0022】
図3A及び
図3Bは、ハプティック対応デバイス100の一実施形態であるハプティック対応デバイス200を示す。ハプティック対応デバイス200は、例えば、携帯電話又はタブレットコンピューターとすることができる。ハプティック対応デバイス200は、少なくともフロントパネル212及びバックパネル214によって形成されるハウジング210を備えることができる。フロントパネル212は、ハウジング210の正面を形成することができ、静電容量式又は抵抗式タッチセンサを有する、液晶ディスプレイ(LCD)又は発光ダイオード(LED)等のタッチスクリーンデバイス213を組み込むことができる。バックパネル214は、ハウジング210の裏面を形成することができる。ハウジング210の正面は、使用中に概してユーザーに面する側とすることができ、裏面は、ハウジング210の正面の反対側に又は対向して配置される。
【0023】
図3Bに示すように、ハプティック対応デバイス200は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220を更に備える。いくつかの実施形態では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220は、バックパネル214内に、又はバックパネル214の内面若しくは外面に配置される。例えば、
図4は、バックパネル214が空洞214aを有し、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220が、空洞214a内に配置されていることによりバックパネル214内に埋め込まれている一実施形態を示す。ハプティックアクチュエーターアセンブリ220は、例えば、バックパネル214の外面214bに振動触知性ハプティック効果を発生させるように構成することができる。振動触知性ハプティック効果は、ハプティックアクチュエーターアセンブリが、
図4の軸217に沿った発振変位(発振振動又は発振運動とも呼ぶ)を出力するために、軸217に沿って或る特定の周波数で繰り返し拡張し収縮するときに、発生させることができる。より一般的には、振動触知性ハプティック効果は、ハプティックアクチュエーターアセンブリが、特定の周波数での値で発振する変位等、時間変化する量の変位を発生させるときに、発生させることができる。ハプティックアクチュエーターアセンブリ220は、変位を出力しているとき、バックパネル214の下層214cを圧迫するか又は引き寄せることができる。下層214cは、好適なヤング率を有する材料とすることができ、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220により押されるか又は引っ張られる等、アセンブリに作用される結果として、弾性曲げ又は他の弾性変形を受けることができるために十分薄いものとすることができる。言い換えれば、バックパネル214の下層214cは、振動触知性ハプティック効果を発生させるために、
図4において破線によって示すように、バックパネル214の残りの部分に対して内向きにかつ外向きに曲がるのを可能にするスチフネスを有するように構成することができる。
【0024】
より詳細に後述するように、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220は、軸217等の軸に沿ったハプティックアクチュエーターアセンブリによる拡張を抑制する予荷重デバイスを備えることができる。下層214c、又はより全体的にはバックパネル214は、単独では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220の拡張を抑制するために十分なスチフネスがない可能性がある。例えば、下層214cによって、又はより全体的にはバックパネル214によってハプティックアクチュエーターアセンブリ220に加えられるいかなる圧縮荷重も、1N未満である可能性がある。より全体的に言えば、ハウジング210によってハプティックアクチュエーターアセンブリ220に加えられるいかなる圧縮荷重も、1N未満である可能性がある。場合によっては、ハウジングは、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220に対していかなる圧縮荷重も加えない可能性がある。こうした状況では、予荷重がないことにより、ハプティックアクチュエーターアセンブリのハプティックアクチュエーターから出力される変位の量が過度になる可能性があり、過度の変位により、外面214bにおける振動触知性ハプティック効果の力が低減する可能性があり、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220のハプティックアクチュエーターに対する損傷のリスクが増大する可能性がある。したがって、本明細書による予荷重デバイスは、こうした応用において、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220の軸217に沿った変位、特に、軸217に沿ったそのハプティックアクチュエーターの変位を抑制するために、有利である可能性がある。
【0025】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220によって出力される変位は、ハプティックアクチュエーターアセンブリのハプティックアクチュエーターによって発生させることができる。例えば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220のハプティックアクチュエーターが、5μmの変位を出力しているように、軸217に沿って5μmだけ拡張する場合、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220もまた、5μmの変位を出力しているように、同様に5μmだけ拡張することができる。したがって、ハプティックアクチュエーターによる変位の量とハプティックアクチュエーターアセンブリ220による変位の量とは、同じとすることができ、又は異なるものとすることができる。
【0026】
一実施形態では、下層214cに対してかけられる力等、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220によって出力される力は、アセンブリ220のハプティックアクチュエーターが発生させる力から任意の予荷重の力を引いた力に等しい可能性がある。例えば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220は、4Nの予荷重を発生させることができる。予荷重は、ハプティックアクチュエーターが約20Nである力を発生させるようにする、又は結果としてそうなるようにする、ハプティックアクチュエーターに対する圧縮荷重とすることができる。場合によっては、ハプティックアクチュエーターアセンブリによって出力される力は、約16Nとすることができる。
【0027】
一実施形態では、
図4に示すハプティック対応デバイス200は、バックパネル214の内面214dに配置される剛性部品218を更に備えることができる。より具体的には、剛性部品218は、内面214dと接触することができる。剛性部品218は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220から、バックパネル214の内面214dではなく外面214bに変位を向けることができる。より具体的には、剛性部品218は、軸217に沿って非圧縮性とすることができ、その結果、ハプティックアクチュエーターアセンブリ220のハプティックアクチュエーターが軸217に沿って拡張するとき、下層214cは、その拡張に対して、剛性部品218が提供するよりはるかに小さい抵抗を提供する。その結果、アセンブリ220のハプティックアクチュエーターの拡張の大部分又は全てを、剛性部品218を圧縮させるためではなく、下層214cを曲げるために向けることができる。剛性部品218の例としては、金属フレーム、プリント回路基板(PCB)基板又は剛性バッテリシェルを挙げることができる。
【0028】
一実施形態では、本明細書における実施形態のハプティックアクチュエーターアセンブリは、
図5のハプティック対応システム300等、ハプティック対応システムの一部とすることができる。一実施形態では、ハプティック対応システム300は、ナビゲーション指示を表示することと、エンターテイメントオプションを提供することと、センサーデータを表示することとを含む、様々な車載機能を提供する、中央コンソールシステムとすることができる。一実施形態では、ハプティック対応システム300は、タッチスクリーンデバイス310と、ハプティックアクチュエーターアセンブリ320と、制御ユニット330と、電源340と、取付部品350とを備える。制御ユニット330は、
図1の制御ユニット130と同様とすることができ、電源340は、電源140と同様とすることができる。タッチスクリーンデバイス310は、例えば、タッチ入力を受け取るように構成された静電容量式又は抵抗式LCD又はLEDタッチスクリーンとすることができる。
【0029】
ハプティックアクチュエーターアセンブリ120又は220と同様に、ハプティックアクチュエーターアセンブリ320は、タッチスクリーンデバイス310においてハプティック効果を発生させるために変位及び力を出力するように構成することができる。ハプティックアクチュエーターアセンブリ320は、十分な量の力が変位と同時に発生するように変位を抑制する、予荷重デバイスを備えることができる。タッチスクリーンデバイス310は、取付部品350に直接又は間接的に接続することができる。一実施形態では、取付部品350は、車両の中央コンソールの本体の一部とすることができる。
【0030】
図6は、ハプティック対応システム300の一実施形態であるハプティック対応システム400を示す。ハプティック対応システム400は、タッチスクリーンデバイス410と、ハプティックアクチュエーターアセンブリ420と、取付部品450とを備える。一実施形態では、タッチスクリーンデバイス410は、10g未満の質量を有することができる。ハプティックアクチュエーターアセンブリ420は、軸417に沿った変位を出力するように構成することができる。その結果、ハプティックアクチュエーターアセンブリ420は、タッチスクリーンデバイス410の外面410bにおいて振動触知性ハプティック効果を発生させるように、タッチスクリーンデバイス410の表面410aに対して押圧し/押しかつ引くことができる。表面410bは、運転手に面する正面の外面とすることができ、表面410aは、タッチスクリーンデバイス410の反対側の面とすることができる。一実施形態では、取付部品450は、剛性部品とすることができ、タッチスクリーンデバイス410より大幅に大きい質量を有することができ、その結果、ハプティックアクチュエーターアセンブリ420によって出力される変位の大部分又は全てが、剛性部品450を移動させることではなく、タッチスクリーンデバイス410を移動させることに向けられる。一実施形態では、タッチスクリーンデバイス410は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ420を介して取付部品450に接続することができる。一実施形態では、タッチスクリーンデバイス410は、タッチスクリーン410が軸417に沿って移動するのを可能にする懸架装置を介して、取付部品450に接続することができる。
【0031】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ420は、軸417に沿ったハプティックアクチュエーターアセンブリ420の拡張を抑制する予荷重デバイスを備えることができる。
図6の実施形態では、タッチスクリーンデバイス410の重量Wは、単独では、軸417に沿ったハプティックアクチュエーターアセンブリ420に対する十分な圧縮荷重を提供するために十分な荷重を提供することができない。
図6に示すように、重量Wは、(タッチスクリーンデバイス410の質量が小さいため)大きさが過度に小さいために不十分である可能性があり、及び/又は、重量Wは、軸417に対して部分的に又は完全に垂直である方向に作用している。こうした応用では、本明細書による予荷重デバイスは、ハプティックアクチュエーターアセンブリの拡張を抑制するために、ハプティックアクチュエーターアセンブリ420内に組み込むことができる。
【0032】
図7A及び
図7Bに、ハプティックアクチュエーターアセンブリ520の一実施形態を示す。ハプティックアクチュエーターアセンブリ520は、ハプティックアクチュエーター521と予荷重デバイス527とを備える。
図7Bに示すように、ハプティックアクチュエーター521は、軸517に沿って拡張することにより、軸517に沿った変位を出力するように構成することができる。ハプティックアクチュエーター521によって出力される変位は、全体としてハプティックアクチュエーターアセンブリ520によって出力される変位となることができる。一実施形態では、軸517は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ520の厚さ寸法を表すことができ、ハプティックアクチュエーターアセンブリ520によって出力される変位は、例えば、ハプティックアクチュエーター521がアクティベートされていない基準状態と比較した、ハプティックアクチュエーターアセンブリ520の厚さの変化、すなわちΔtを指すことができる。一実施形態では、ハプティックアクチュエーター521は、圧電アクチュエーターとすることができる。
【0033】
一実施形態では、予荷重デバイス527は、
図7A及び
図7Bにおいて矢印560によって表すように、ハプティックアクチュエーター521及びハプティックアクチュエーターアセンブリ520の軸517に沿った拡張に抵抗する、圧縮荷重の形態とすることができる、予荷重を発生させるように構成された、少なくとも第1の構成要素527a及び第2の構成要素527bを備える。ハプティックアクチュエーター521は、第1の構成要素527aと第2の構成要素527bとの間に挟挿されるか又は他の方法で配置される。一実施形態では、第1の構成要素527a及び第2の構成要素527bは、接着剤又は他の何らかの取付方法により、ハプティックアクチュエーター521の対向する側に取り付けることができる。一実施形態では、第1の構成要素527a及び第2の構成要素527bは、ハプティックアクチュエーター521の対向する側に、固定して取り付けられることなく接触して又は近接して保持することができる。場合によっては、第1の構成要素527a及び第2の構成要素527bを利用して、圧縮荷重を発生させることができる。
【0034】
図8A〜
図8Dは、ハプティックアクチュエーター521の一実施形態であるハプティックアクチュエーター621を示す。この実施形態では、ハプティックアクチュエーター621は、圧電材料の層621aを含む圧電アクチュエーターであり、層621aの平面(例えば、621a−1又は621a−2)に対して平行である、軸618及び/又は軸619等の軸に沿って、歪みを発生させるように構成されている。一実施形態では、圧電材料の層621aは、9mm〜25mmの範囲である長さLと、9mm〜25mmの範囲である幅Wと、0.3mm〜2mmの範囲である厚さT
2(
図8Bを参照)とを有することができる。一実施形態では、
図8Aに示すように、層621aの長さL及び幅Wはともに、互いに等しいものとすることができる。一実施形態では、圧電材料の層621aは、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)又は他の圧電セラミック材料の層である。一実施形態では、圧電材料の層621aはポリマーの層である。一実施形態では、
図8Bに示すように、ハプティックアクチュエーター621は、1mm〜4mmの範囲である全体厚さT
1を有することができる。一実施形態では、ハプティックアクチュエーター621は、TDK(登録商標)製のMiniaturized PowerHap(商標)2.5Gタイプのハプティックアクチュエーター等、TDK(登録商標)PowerHap(商標)圧電アクチュエーターのバージョンとすることができる。
【0035】
図8A〜
図8Cに示すように、ハプティックアクチュエーター621は、軸618又は軸619等の軸に沿った歪みを、圧電材料の層621aの平面(例えば、表面621a−1又は621a−2)に対して垂直である軸617に沿った、ハプティックアクチュエーター621の拡張又は収縮に変換するように構成されている、変位変換デバイス621b−1/621b−2を更に備える。軸618又は619は平行軸と呼ぶことができ、軸617は垂直軸と呼ぶことができる。一実施形態では、軸617に沿ってハプティックアクチュエーター621によって出力される変位は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の拡張又は収縮から生じることができる。
【0036】
一実施形態では、変位変換デバイス621b−1/621b−2は、軸618又は軸619に沿った歪みによってもたらされる変位、すなわち第1の量の変位を、軸617に沿った、より大きい量の変位、すなわち第2の量の変位に変換するように構成された変位増幅デバイスであり、第2の変位は第1の変位より大きい(
図8Cを参照)。特定の軸に沿ってハプティックアクチュエーター621によって出力される変位は、例えば、ハプティックアクチュエーター621がアクティベートされていない基準状態と比較した、その軸に沿ったハプティックアクチュエーター621の寸法の変化(例えば、長さ、幅又は厚さの変化)を指すことができる。
【0037】
一実施形態では、変位増幅デバイスは、第1の変位から第2の変位への変換を実施するように構成されているレバーデバイスを備える。例えば、
図8A〜
図8Cの変位変換デバイス621b−1/621b−2は、圧電材料の層621aの両側又は対向する面に配置された第1のディスク621b−1及び第2のディスク621b−2を備えるレバーデバイスである。第1のディスク621b−1及び第2のディスク621b−2の各ディスクは、例えば、円形ベース部分(例えば、621f−1)から円形中心部分(例えば、621g−1)までテーパ状になって、圧電材料の層621aのそれぞれの平面621a−1/621a−2と円錐台を形成する、金属シート(金属層とも呼ぶ)とすることができる。円錐台は、シンバル又は円錐台エンドキャップとも呼ぶことができる。
図8Bに示すように、円錐台は、傾斜長さSを備えた傾斜部分を有することができ、傾斜部分は、圧電材料の層621aの平面(例えば、621a−1)と角度θを形成することができる。場合によっては、角度θは、45度未満(例えば、15度)の値を有することができる。傾斜部分は、円錐台に対して高さHをもたらすことができる。高さHは、第1のディスク621b−1及び/又は第2のディスク621b−2の高さと等しいか又は実質的に等しくすることができ、例えば、0.2mm〜0.7mmの範囲とすることができる。傾斜部分は、平面621a−1上に突出していた場合、ベース幅Bを更に有することができる。更に、第1のディスク621b−1及び第2のディスク621b−2の各ディスクは、0.1mm〜0.5mmの範囲である厚さT
3(
図8Bを参照)を有することができる。
図8Aに示すように、ディスク621b−1、621b−2の各々の円形ベース部分(例えば、621f−1)は、9mm〜12mmの範囲である寸法d
1を有することができ、ディスク621b−1、621b−2の各々の円形中心部分(例えば、621g−1)は、2mm〜3mmの範囲である寸法d
2を有することができる。上述した寸法の値は単に例であり、上に提示した様々な寸法は他の値を有することができる。
【0038】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーター621は、変位変換デバイス621b−1/621b−2の面を介して他の構成要素と(例えば、予荷重デバイスと)インターフェースすることができる。例えば、ハプティックアクチュエーター621は、ディスク621b−1の円形中心部分(例えば、261g−1)の外面621h−1を介して予荷重デバイスと、及び/又はディスク621b−2の円形中心部分(例えば、261g−1)の外面621h−2とインターフェースすることができる。外面621h−1及び外面621h−2は、ハプティックアクチュエーター621の反対側の外面(対向する外面とも呼ぶ)を形成することができ、ハプティックアクチュエーター621に対して、それぞれ、第1のインターフェース面及び第2のインターフェース面として作用することができる。こうした実施形態では、予荷重デバイスは、ハプティックアクチュエーター621のそれぞれの反対側の面に配置される第1の構成要素及び第2の構成要素を備えることができる。場合によっては、外面621h−1、621h−2に対し、それらを予荷重デバイスの第1の構成要素及び第2の構成要素に接着するために、接着剤の層を塗布することができる。
【0039】
一実施形態では、
図8B及び
図8Cに示すように、ハプティックアクチュエーター621は、電極621c−1及び621c−2を更に備える。電極621c−1と621c−2との間に電圧差がもたらされる場合、圧電材料の層621aは、軸618及び/又は軸619に沿った歪みを出力することができる。例えば、圧電材料の層621aは、
図8Cにおいて破線によって示す収縮状態CSまで軸619に沿って収縮することができる。一実施形態では、圧電材料の層621aは、軸617に沿った幾分かの歪みも受ける可能性があるが、それは、軸619に沿った歪みよりはるかに程度が低い。一実施形態では、軸619に沿った層621aの変位又は変形は、5μm〜50μmの範囲とすることができ、軸617に沿った層621aの変位又は変形は、0.5μm〜2μmの範囲とすることができる。一実施形態では、層621aは、軸618に沿った歪みも発生させる可能性がある。軸619に沿った歪み及び軸618に沿った歪みは同じものとすることができ、又は異なるものとすることができる。
図8Cにおける変位変換デバイス621b−1/621b−2は、軸619に沿った歪みを、
図8Cにおいて破線によって示す拡張状態ESまでの軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の拡張に変換することができる。ハプティックアクチュエーター621によって出力される変位は、ハプティックアクチュエーター621の拡張から生じる可能性がある。
【0040】
図8Dは、圧電材料の下層621p−1、621p−2、621p−3、621p−4...621p−nの積層体を含む圧電材料の層621aの一実施形態を示す。更に、電極621c−1及び電極621c−2は、交互嵌合又はくし状パターンを形成することができる。このパターンは、2つの電極の間の間隔を低減させることができ、それにより、それらの間により強力な電界が生成されるのを可能にすることができる。より具体的には、電極621c−1は、圧電材料の層621a内に埋め込まれる第1の組の電極層621d−1、621d−2...621d−nを含むことができる。第1の組の電極層621d−1...621d−nの各電極層は、層621aの長さ又は幅を通して実質的に延在することができる。同様に、電極621c−2は、圧電材料の層621a内に同様に埋め込まれる第2の組の電極層621e−1、621e−2...621e−nを含むことができる。第2の組の電極層621e−1、...621e−nの各電極層は、層621aの長さ又は幅を通して実質的に延在することができる。
【0041】
一実施形態では、複数の下層621p−1...621p−nの各下層は、第1の組の電極層621d−1...621d−nのうちの1つと第2の組の電極層621e−1...621e−nのうちの1つとの間に直接配置することができ、その結果、2つの電極層は、下層に直接隣接する。例えば、下層621p−1は、電極層621d−1と電極層621e−1との間に直接配置され、電極層621d−1及び電極層621e−1は、下層621p−1に直接隣接する。
【0042】
一実施形態では、第1の組の電極層621d−1...621d−nのうちの任意の電極層と、第2の組の電極層621e−1...621e−nのうちの対応する又は隣接する電極層との間に電圧差がもたらされる場合、その電圧差は、2つの電極層の間に電界を発生させることができる。電界は、軸617に沿って位置合わせすることができる。一実施形態では、軸617は、複数の下層621p−1...621p−nの各下層の圧電材料の分極方向に対して平行とすることができる。一実施形態では、圧電材料の分極方向は、複数の下層621p−1...621p−nの各下層と平行とすることができ、又はより全体的には、層621aと平行とすることができる。例えば、分極方向は、層621aの長さ次元又は幅次元に対して平行とすることができる。2つの電極層の間の軸617に沿った電界により、それらの間の圧電材料の下層が歪みを発生させることができる。歪みは、軸617〜619のうちの1つ以上に沿うことができる。例えば、
図8Dは、図において破線によって示すように、軸619に沿って収縮し、軸617に沿って拡張する下層621p−1...621−nを示す。軸619に沿った歪みの量は、圧電材料のd
31係数の値に基づくことができ、一方、軸617に沿った歪みの量は、圧電材料のd
33係数の値に基づくことができる。一実施形態では、軸619に沿った歪みの量は、軸617に沿った歪みの量より著しく大きくすることができる。
【0043】
上述したように、変位変換デバイス621b−1/621b−2は、軸619に沿った歪みを軸617に沿った変位及び力に変換するように構成することができる。一実施形態では、変位変換デバイス621b−1/621b−2は、継手(例えば、リビングヒンジ)によって接続される複数のリンク機構を形成し、リンク機構の形状により、軸619に沿った歪みを、軸617に沿った変位に変換し、場合によっては増幅させることができる。例えば、
図8Bは、
図8Bに関して上述した寸法S、H及びBを含む形状を示す。これらの寸法は、直角三角形の寸法に対応することができる。
図8B及び
図8Cに示すように、軸619に沿った歪みがある場合、圧電材料の層621aは、長さ又は幅が収縮状態CSまで低減することができる。その結果、寸法Bは低減することができ、それにより、角度θを増大させることができる。θの増大により、ひいては、寸法Hが増大することができる。θが変化する際、寸法Sは、S
1の値等、同じままとすることができる。この状況では、(S
1に等しい)S、B及びHの寸法が、直角三角形の寸法に対応するため、Bの値は、S
1cosθとして計算することができ、Hの値は、S
1sinθとして計算することができる。
図8Eは、こうした状況に対するH及びBのプロットを示し、
図8Cの軸619に沿った歪みにより、Bの変化(すなわち、ΔB)及びHの変化(すなわち、ΔH)がもたらされる。量ΔBは、軸619に沿った変位を表すことができ、量ΔHは、軸617に沿った変位を表すことができる。
図8B、
図8C及び
図8Eに示すように、層621aを収縮状態CSまで収縮させる歪みにより、角度θをθ
1からθ
2まで増大させることができる。
図8Eでは、θ
1からθ
2はともに45度未満である。こうした実施形態では、θの増大により、ΔBと比較してΔHが大きくなる結果となる可能性がある。言い換えれば、
図8Eは、
図8B及び
図8Cの形状等の形状により、軸619に沿った変位と比較して軸617に沿った変位が増幅する結果となる可能性があることを実証している。
【0044】
図9は、ハプティックアクチュエーター521の一実施形態であるハプティックアクチュエーター721を示す。ハプティックアクチュエーター621と同様に、ハプティックアクチュエーター721は、層721aの圧電材料を含む。ハプティックアクチュエーター721は、軸717に沿った変位に対して、層721aの平面721a−1に対して平行である軸719に沿って歪みを発生させるように構成されている、変位変換デバイス721bを更に備える。軸719は、平行軸と呼ぶことができ、軸717は、垂直軸と呼ぶことができる。
図9に示すように、変位変換デバイス721bは、各々が、軸719に沿った変位を軸717に沿ったより大きい量の変位に増幅させるようにレバーとして作用する、一対のリンク機構721b−1、721b−2を含む枠を形成することができる。一対のリンク機構721b−1、721b−2は、一対のそれぞれのリビングヒンジ721c−1、721c−2によって中心部分721b−3に接続することができる。枠はまた、同様に、軸719に沿った変位を軸717に沿ったより大きい量の変位に増幅させるようにレバーとして作用する、一対のリンク機構721b−5、721b−6も備えることができる。一対のリンク機構721b−5、721b−6は、別の一対のそれぞれのリビングヒンジ721c−3、721c−4によって中心部分721b−4に接続することができる。中心部分721b−3及び721b−4は、例えば、ハプティックアクチュエーター721のためのそれぞれのインターフェース面として作用することができ、場合によっては、ハプティックアクチュエーター721のそれぞれの対向する外面として作用することができる。変位変換及び増幅デバイスについては、内容全体が引用することにより本明細書の一部となす、「Method and Apparatus for Enabling Floating Touch Screen Haptics Assemblies」と題する米国特許第9,866,149号明細書(IMM539)においても考察されている。
【0045】
図10は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ120〜520のうちの任意ものの一実施形態であるハプティックアクチュエーターアセンブリ820の部分組立分解図を示す。ハプティックアクチュエーターアセンブリは、ハプティックアクチュエーター821及び予荷重デバイス827を備える。一実施形態では、ハプティックアクチュエーター821は、ハプティックアクチュエーター621と同様とすることができ、層821aの平面821a−1に対して平行である軸819に沿って歪みを発生させるように構成されている圧電材料の層821aを含むことができる。ハプティックアクチュエーターアセンブリ820は、第1のディスク821b−1及び第2のディスク821b−2を含む変位変換デバイスを更に備える。変位変換デバイス621b−1/621b−2と同様に、第1のディスク821b−1及び第2のディスク821b−2の各々は、圧電材料の層821aのそれぞれの面と円錐台(シンバルとも呼ぶ)を形成する金属層とすることができる。一実施形態では、予荷重デバイス827は、第1の構成要素827a及び第2の構成要素827bを備え、それらは、層821aの平面821a−1に対して垂直であるか又は実質的に垂直である軸817に沿ったハプティックアクチュエーター821の拡張に抵抗し、したがって、軸817に沿ったハプティックアクチュエーターアセンブリ820の拡張に抵抗する(軸819は平行軸と呼ぶことができ、軸817は垂直軸と呼ぶことができる)、圧縮荷重の形態の予荷重を発生させるように構成されている。
【0046】
一実施形態では、第1の構成要素827a及び第2の構成要素827bは、圧縮荷重を生成するために、第1の構成要素527aと第2の構成要素527bとの間に配置された1つ以上のコネクター構成要素を通して予荷重を発生させるように構成することができる。一実施形態では、第1の構成要素827a及び第2の構成要素827bは、2N〜4Nの範囲である、ハプティックアクチュエーター821に対する圧縮荷重の形態の予荷重を発生させるように構成することができる。2N〜4Nの範囲の予荷重により、ハプティックアクチュエーター821は、印加される電位に応じて確実にかつ予測可能に変形することができる。ハプティックアクチュエーター821は、十分に予荷重がかけられない場合、電位が印加されると破損する可能性があり、逆に、過度に予荷重がかけられる場合、確実にかつ予測可能に変形することができない可能性がある。
【0047】
図11及び
図12は、予荷重、又はより具体的には圧縮荷重が、アセンブリの密封空洞1163内の所定圧力によって生成される、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120の一実施形態を示す。より具体的には、
図11及び
図12は、上述したハプティックアクチュエーター621とともに予荷重デバイス1127を備えるハプティックアクチュエーターアセンブリ1120のそれぞれ組立分解斜視図及び側断面図を示す。ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120は、ハプティックアクチュエーター621があるように示しかつ記載するが、予荷重デバイス1127とともに本明細書に記載するいかなるハプティックアクチュエーターも利用することができる。予荷重デバイス1127は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を生成するように構成され、圧縮荷重は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の拡張、又はより全体的には変形に抵抗する。
【0048】
予荷重デバイス1127は、密封空洞1163を画定するケーシング1162を備える。ハプティックアクチュエーター621は、ケーシング1162によって形成される密封空洞1163内に配置され、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を生成するために、密封空洞1163内の圧力は、大気圧より低い。より詳細には、密封空洞1163内の圧力は、1.4PSIA〜10PSIAである。密封空洞1163は、気密であり、エアロックされ、又は他の方法で封止される。例えば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120の組立中、真空ポンプを利用して、密封空洞1163内の圧力を大気圧より低い圧力まで低下させることができる。真空ポンプを介して、密封空洞1163内の圧力が1.4PSIA〜10PSIAになるまで、密封空洞1163からいかなる残留蒸気、気体又は他の混合成分もパージされる。真空ポンプは、ケーシング1162に選択的に接続され、密封空洞内の圧力が所望の所定圧力に達した後に栓をすることができる通気孔(図示せず)を介して、密封空洞1163と流体連通することができる。密封空洞1163内における大気圧より低い所定圧力により、密封空洞1163の外側の大気圧と密封空洞1163内の大気圧より低い所定圧力との圧力差がもたらされ又は発生する。この圧力差は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を生成するか又は発生させるように構成され、圧縮荷重は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の拡張に抵抗する。一実施形態では、(密封空洞1163の外側の大気圧と密封空洞1163内の大気圧より低い所定圧力との)圧力差は、2N〜4Nの範囲である予荷重を発生させるように構成することができる。2N〜4Nの範囲の予荷重により、ハプティックアクチュエーター621は、印加される電位に応じて確実にかつ予測可能に変形することができる。
【0049】
ハプティックアクチュエーター621が印加された電位に応じて変形すると、(密封空洞1163の外側の大気圧と密封空洞1163内の大気圧より低い所定圧力との)圧力差は、ハプティックアクチュエーター621の変位をその定格変位の分数(例えば、1/2、3/4)である値まで抑制する圧縮力を、ハプティックアクチュエーター621にかける。ハプティックアクチュエーター621から出力される変位を低減させることによって、圧力差によりハプティックアクチュエーター621によって出力される力の増大がもたらされる。その結果、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120が振動触知性ハプティック効果を発生させるとき、振動触知性ハプティック効果と同時に発生する力は、予荷重を有していないハプティックアクチュエーターが振動触知性ハプティック効果を発生させる応用と比較して、より強力かつより知覚可能とすることができる。
【0050】
一実施形態では、ケーシング1162は、カバー1164と、カバー1164と対向するベース1166と、カバー1164とベース1166との間に延在してケーシング1162を密封する複数の側壁1168A、1168Bとを備える。
図11及び
図12の実施形態では、ケーシング1162は、2組の側壁を備え、第1の組の側壁1168Aはカバー1164からベース1166に向かって延在し、第2の組の側壁1168Bはベース1166からカバー1164に向かって延在している。一実施形態では、カバー1164は、ベース1166から間隔を空けて配置されているが、ベース1166に対して概して平行に延在している。一実施形態では、ケーシング1162は、50GPaより高いヤング率を有する複合材料又は薄い金属材料等、軽量であるが強力である材料から形成することができる。ケーシング1162は、真空ポンプが適用されるときはつぶれないように十分に剛性があるが、ハプティックアクチュエーター621からの変位を可能にするために十分可撓性がある。カバー1164及びベース1166は、同じサイズ及び形状(例えば、矩形又は円形形状)とすることができ、又は、異なるサイズ及び/又は形状を有することができる。場合によっては、カバー1164及びベース1166は、各々矩形とすることができ、各々、9mm〜25mmの範囲の長さ及び幅を有することができる。
図11及び
図12の実施形態に示すように、カバー1164及びベース1166が各々矩形である場合、ケーシング1162は、矩形のカバー及びベースの各々の4つの側部に対応する合計8つの側壁1168A、1168Bを備える。しかしながら、カバー1164及びベース1166の形状に応じて、ケーシング1162を密封するために異なる数の側壁が必要である場合がある。例えば、カバー1164及びベース1166が円形又は楕円形状である場合、単一の側壁を利用してケーシング1162を密封することができる。更に、別の例では、
図11及び
図12の実施形態に示すケーシング1162は、ケーシング1162を密封するために、図示する8つの側壁ではなく、合計4つの側壁1168A、1168Bを備えることができ、各側壁は、カバー1164とベース1166との間の全長にわたって延在する。一実施形態では、ケーシング1162は、2mm〜10mmの範囲である全体厚さを有する薄型とすることができ、その結果、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120もまた薄型となる。ケーシング1162は、その1つ以上の構造的要素が、その密封空洞又はチャンバーにアクセスすることができるために残りの構造的要素に解除可能に取り付けられるように形成することができる。例えば、場合によっては、ケーシング1162は、互いに解除可能に結合する2つの部品で形成することができ、第1の部品は、カバー1164とカバー1164から延在する側壁1168Aとを含み、第2の部品は、ベース1166とベース1166から延在する側壁1168Bとを含む。別の例では、1つ以上の側壁1168A、1168Bは、ケーシング1162の残りの構造的要素に解除可能に結合することができる。
【0051】
ケーシング1162は、圧電材料の層621aと変位変換デバイス621b−1/621b−2との両方を備えた、ハプティックアクチュエーター621を収容又は包含する。ハプティックアクチュエーター621は、カバー1164とベース1166との間でケーシング1162内に配置され、カバー1164及びベース1166は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621のそれぞれの反対側の端部に配置されている。
図11及び
図12の実施形態では、ハプティックアクチュエーター621は、ハプティックアクチュエーター621の第1の外面がカバー1164の内面と接触し、ハプティックアクチュエーター621の第2の外面がベース1166の内面と接触するように、密封空洞1163内に配置されている。一実施形態では、ベース1166及び/又はカバー1164は、接着剤又は他の何らかの取付方法によりハプティックアクチュエーター621に取り付けることができる。
【0052】
ハプティックアクチュエーター621を収容し、内部に大気圧より低い所定圧力を有する密封空洞1163を画定することに加えて、ケーシング1162は、内蔵デバイスとしてハプティックアクチュエーターアセンブリ1120を提供するように機能し、それによって発生する予荷重は、例えば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120に組み込まれるか又はハプティックアクチュエーターアセンブリ1120の内部にある荷重である。したがって、予荷重デバイス1127が発生させる予荷重は、ユーザーインタラクション、又は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120の外部にある作用とは独立した荷重とすることができる。例えば、予荷重デバイス1127を有するハプティックアクチュエーターアセンブリ1120は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120が外部荷重をほとんど又は全く受けない場所に配置することができる。例えば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120は、
図3Bに関して上述したように、携帯電話のバックパネルの内面等、携帯電話の裏面に配置することができる。バックパネルは、低質量を有することができ、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120にかける外部荷重を1N未満とすることができる。
【0053】
図12は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120に電力を提供することができる電源1140を更に示す。電源1140は、上述した電源140の一実施形態である。電源1140は、制御ユニット1130により、ハプティックアクチュエーター621の電極621c−1/621c−2に電圧信号又は駆動信号等の駆動信号を提供するように制御することができる。制御ユニット1130は、上述した制御ユニット130の一実施形態である。一実施形態では、制御ユニット1130は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120に正弦波駆動信号を提供するように電源1140を制御することができ、それにより、ハプティックアクチュエーター621に、軸617に沿った振動等の発振変位を出力させることができる。一実施形態では、正弦波駆動信号は、例えば60V〜120Vの範囲であるピークツーピーク振幅と、50Hz〜200Hzの範囲である周波数とを有することができる。予荷重デバイス1127は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621による拡張又はより全体的には変位に抵抗するように、例えば2N〜4Nの範囲である圧縮荷重を発生させることができる。上述したように、ハプティックアクチュエーター621から出力される変位を低減させることにより、予荷重デバイス1127は、ハプティックアクチュエーター621によって出力される力の増大をもたらし、それにより、より知覚可能なハプティック効果をもたらし又は生成する。電圧信号又は駆動信号は、印加される電圧又は電流を変化させることによって調整することができ、それにより、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120によって加えられる力を制御する。
【0054】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120は、比較的高い周波数で作動する調和振動子として機能することができる。動作時、電源1140が、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120に正弦波駆動信号を提供すると、ハプティックアクチュエーター621は、発振駆動信号によって指示されるように振動する。より詳細には、ハプティックアクチュエーター621の動作に関して上述したように、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621によって出力される変位は、ハプティックアクチュエーター621の拡張又は収縮から生じることができる。一実施形態では、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の変位により、カバー1164及びベース1166両方の動き又は振動がもたらされる。別の実施形態では、カバー1164又はベース1166のうちの一方が、より詳細に後述するように機械的基礎として作用するように構成され、その結果、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の変位により、機械的基礎であるように構成されていない他方の対向する構造体のみの動き又は振動がもたらされる。したがって、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120は、振動し、それが取り付けられているハプティック対応デバイスのハウジング又は他の部分にハプティック感覚を提供する。
【0055】
上述したように、本発明の一実施形態では、カバー1164又はベース1166のうちの一方を、他方の構造体が振動/変位するのに対し機械的基礎として作用するように構成することができる。例えば、ベース1166は、機械的基礎として作用し、それにより、ハプティックアクチュエーター621が発生させる力をカバー1164に移すように構成することができる。ベース1166は、機械的基礎として作用するように構成されるように好適なヤング率及び/又は厚さを有する相対的により堅い材料とすることができる。ハプティックアクチュエーター621が軸617に沿って拡張するとき、カバー1164は、その拡張に対して、ベース1166が提供するよりはるかに小さい抵抗を提供し、その結果、ハプティックアクチュエーター621の拡張の大部分又は全ては、ベース1166に対してではなく、カバー1164を振動させるか又は変位させるために向けることができる。例えば、一実施形態では、カバー1164は第1の厚さを有し、ベース1166は第2の厚さを有し、ベース1166が機械的基礎として作用するように構成することができるように、第1の厚さは第2の厚さより薄い。別の実施形態では、カバー1164及びベース1166は同じ厚さを有することができるが、ベース1166は、機械的基礎として作用するように構成されるように、相対的により堅い材料から形成することができる。
【0056】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120の構成要素は、より有効なハプティック感覚を提供するように選択することができる。例えば、ハプティックアクチュエーター621は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120(ハプティックアクチュエーター621とともに予荷重デバイス1127を含む)の固有周波数で発振する場合、より強力な力及びより有効なハプティック感覚を出力することができる。より詳細には、電源1140が、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120に駆動信号を提供し、駆動信号が、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120の共振周波数に等しい周波数を有する周期的な信号であるとき、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120は、より有効なハプティック感覚を提供するように共振する。言い換えれば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120は、振幅変調技法によって広いスペクトルの周波数を提示するように或る特定の周波数で共振するように構成することができる。したがって、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1120は、駆動信号がハプティックアクチュエーターアセンブリ1120の共振周波数と等しい周波数を有するとき、上述したように機械的共振を具現化するように構成することができる。
【0057】
ケーシング1162は、電源1140とハプティックアクチュエーター621の電極621c−1/621c−2との間の電気通信を可能にするように構成されている。例えば、
図13は、ケーシング1162の一実施形態であるケーシング1362を示す。ケーシング1362は、密封空洞1363を画定する。ケーシング1362は、一対のチャネル又はボア1367A、1367Bが貫通して形成されているベース1366を含む。チャネル1367A、1367Bそれぞれに弁1369A、1369Bが配置されており、各弁1369A、1369Bは、電源1140をハプティックアクチュエーター621の電極621c−1/621c−2に電気的に接続するために導線の通過を可能にする一方で、密封空洞1163が大気に対して気密であり、エアロックされ、又は他の方法で封止されたままであるように、それぞれのチャネル1367A、1367Bを通るシールを依然として維持するように動作可能である。別の実施形態では、代替的に、カバー1364又は側壁1368A、1368Bのうちの1つ以上を通して、内部に弁を有する一対のチャネル又はボアを形成することができる。
【0058】
別の実施形態では、ケーシングに、電源1140をハプティックアクチュエーター621の電極621c−1/621c−2に電気的に接続するために利用することができる一対のパワーフィードスルーを埋め込むことができる。例えば、
図14は、ケーシング1162の一実施形態であるケーシング1462を示す。ケーシング1462は、密封空洞1463を画定する。ケーシング1462は、一対のパワーフィードスルー1465A、1465Bが内部を通して形成されているベース1466を含む。各パワーフィードスルー1465A、1465Bは、例えば、ベース1366内に埋込ピンを備え、埋込ピンの各端部に電極があり、その結果、ピンの一端においてハプティックアクチュエーター621の電極621c−1/621c−2との電気接続を形成することができ、ピンの他端において電源1140との電気接続を形成することができる。一対のパワーフィードスルー1465A、1465Bは、密封空洞1463が、大気に対して気密であり、エアロックされ又は他の方法で封止されたままであるように、ケーシング1462を構成する。別の実施形態では、一対のパワーフィードスルー1465A、1465Bは、代替的に、カバー1464又は側壁1468A、1468Bのうちの1つ以上を通して形成することができる。
【0059】
図11及び
図12のハプティックアクチュエーターアセンブリ1120について、真空ポンプを使用することにより、密封空洞1163内の圧力を大気圧より低い圧力まで低下させるように上述したが、別の実施形態では、予荷重、又はより具体的には圧縮荷重を生成するか又は発生させるために、密封空洞1163内の圧力を増大又は上昇させることができる。ポンプが、ケーシング1162に選択的に接続され、密封空洞内の圧力が大気圧より高い所望の圧力に達した後に栓をすることができる通気孔(図示せず)を介して、密封空洞1163と流体連通することができる。密封空洞1163のこうした加圧により、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を生成するか又は発生させるために力がかけられ、圧縮荷重は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の拡張に抵抗する。ハプティックアクチュエーター621が印加された電位に応じて変形すると、密封空洞又はチャンバー1163内の所定の上昇した圧力が、ハプティックアクチュエーター621に対して、ハプティックアクチュエーター621の変位をその定格変位の分数(例えば、1/2、3/4)である値まで抑制する圧縮力をかける。ハプティックアクチュエーター621から出力される変位を低減させることによって、密封空洞1163内の所定の上昇した圧力により、ハプティックアクチュエーター621によって出力される力の増大がもたらされる。
【0060】
図15は、予荷重、又はより具体的には圧縮荷重が、収縮可能な材料から形成される複数のコネクター部品1570によって生成される、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520の一実施形態を示す。より具体的には、
図15は、上述したハプティックアクチュエーター621とともに予荷重デバイス1527を備えるハプティックアクチュエーターアセンブリ1520の側断面図を示す。ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は、ハプティックアクチュエーター621があるように図示し記載しているが、予荷重デバイス1527とともに、本明細書に記載するいかなるハプティックアクチュエーターも利用することができる。予荷重デバイス1527は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を生成するように構成され、圧縮荷重は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の拡張、又はより全体的には変形に抵抗する。
【0061】
予荷重デバイス1527は、カバー1572と、カバー1572から間隔を空けて配置されかつカバー1572に対して平行に延在するベース1574と、収縮可能な材料から形成された少なくとも1つのコネクター部品1570とを備える。
図15の実施形態に示すように、コネクター部品1570は、複数の間隔を空けて配置されたコネクター部品1570を含むことができる。
図15の実施形態では、位置合わせされたカバーとベースとの間に、複数の4つの間隔を空けて配置されたコネクター部品1570が配置されている。いくつかの実施態様では、所望の圧縮力をかけるために、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520において、より多いか又はより少ない数のコネクター部品を使用することができることが理解されるべきである。更に、コネクター部品の配置を変更することができる。例えば、別の実施形態では、位置合わせされたカバー及びベースの角に、複数のコネクター部品を位置決めすることができ、又は、位置合わせされたカバー及びベースの周囲に複数のコネクター部品を配置することができる。各コネクター部品1570は、カバー1572に取り付けられた第1の端部1571Aと、ベース1574に取り付けられた第2の端部1571Bとを含む。各コネクター部品1570は、第1の長さから第2の長さまで長手方向に収縮するように構成されている収縮可能な材料のストランド又はフィラメントから形成され、第2の長さは第1の長さより短い。コネクター部品1570は、第2の長さまで収縮するとき、まとめて、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を生成するか又は発生させるために力をかけるように構成され、圧縮荷重は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の拡張に抵抗する。
【0062】
より詳細には、予荷重を発生させるために、コネクター部品1570は、ベース1574及びカバー1572をハプティックアクチュエーター621に対して付勢して、ハプティックアクチュエーター621に対して圧縮力を提供する。一実施形態では、コネクター部品1570は、まとまって、2N〜4Nの範囲である予荷重を発生させるように構成することができる。2N〜4Nの範囲の予荷重により、ハプティックアクチュエーター621は、印加される電位に応じて確実にかつ予測可能に変形することができる。ハプティックアクチュエーター621が印加される電位に応じて変形するとき、コネクター部品1570は、まとまって、ハプティックアクチュエーター621に対し、ハプティックアクチュエーター621からの変位をその定格変位の分数(例えば、1/2、3/4)である値まで抑制する圧縮力をかける。ハプティックアクチュエーター621から出力される変位を低減させることにより、コネクター部品1570は、ハプティックアクチュエーター621によって出力される力の増大をもたらす。その結果、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520が振動触知性効果を発生させるとき、振動触知性ハプティック効果と同時に発生する力は、予荷重を有していないハプティックアクチュエーターが振動触知性ハプティック効果を発生させる状況と比較して、より強力かつより知覚可能とすることができる。
【0063】
一実施形態では、コネクター部品1570の収縮可能な材料は、第1の長さから第2の長さに長手方向に収縮するプロセスを受けるように構成されているプラスチックフィルム又は金属フィルムである。例えば、第1の長さから第2の長さに長手方向に収縮するプロセスを受けるために、限定されないが、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等のプラスチックフィルムを、その転移温度を超える温度まで加熱することができる。その転移温度を超えて保持されている間、材料に対して、材料を第1の長さから第2の長さに長手方向に収縮させるように、機械的変形を与えることができ、その後、転移温度よりはるかに低い温度まで、材料を急冷することができる。こうした材料は、急冷の後に続いて再加熱されると、その元の形状(例えば、第1の長さ)に戻る。こうした手順は、大部分の半晶質ポリマー及び非晶質ポリマーとともに結晶性金属に適用することができる。
【0064】
収縮可能な材料は、カバー1572及びベース1574を互いに向かって引き寄せるか又は付勢し、それによりハプティックアクチュエーター621に対して所望の圧縮力を加えるように十分に強力であるが、ハプティックアクチュエーター621からの変位を可能にするのに十分に可撓性がある。一実施形態では、上述した手順等の加熱手順は、コネクター部品1570を第1の長さから第2の長さに(第2の長さは第1の長さより短い)長手方向に収縮させるために、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520に組み付けた後のコネクター部品1570に適用される。
図17に関してより詳細に後述する別の実施形態では、コネクター部品1570を第1の長さから第2の長さに(第2の長さは第1の長さより短い)長手方向に収縮させるために、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520に組み付けた後のコネクター部品1570に、電荷が印加される。コネクター部品を第1のすなわち長い方の長さから第2のすなわち短い方の長さに変える方法は、コネクター部品1570の収縮可能な材料に利用される特定の材料によって決まる。
【0065】
ハプティックアクチュエーター621は、カバー1572とベース1574との間に配置され、カバー1572及びベース1574は、軸617に沿ってハプティックアクチュエーター621のそれぞれの反対側の端部に配置される。
図15の実施形態では、ハプティックアクチュエーター621は、ハプティックアクチュエーター621の第1の外面がカバー1572の内面と接触し、ハプティックアクチュエーター621の第2の外面がベース1574の内面と接触するように配置されている。一実施形態では、接着剤又は他の何らかの取付方法により、ハプティックアクチュエーター621にカバー1572及び/又はベース1574を取り付けることができる。
【0066】
カバー1572及びベース1574の各々は、コネクター部品1570によってハプティックアクチュエーター621にかけられる力を均一に分散させるように構成されている薄い平面部品である。例えば、カバー1572及びベース1574は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリウレタン又は他のポリマー材料等、軽量であるが強力な材料から形成することができる。カバー1572及びベース1574は、同じサイズ及び形状(例えば、矩形又は円形形状)を有することができ、又は、異なるサイズ及び/又は形状を有することができる。場合によっては、カバー1572及びベース1574は、各々矩形とすることができ、各々、9mm〜25mmの範囲の長さ及び幅を有することができる。一実施形態では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は、2mm〜10mmの範囲である全体厚さを有する薄型とすることができ、厚さは、ハプティックアクチュエーター621の厚さとカバー1572及びベース1574のそれぞれの厚さとを含む。
【0067】
ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は内蔵デバイスであり、それによって発生する予荷重は、例えば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520に組み込まれるか又はハプティックアクチュエーターアセンブリ1520の内部にある荷重である。したがって、予荷重デバイス1527が発生させる予荷重は、ユーザーインタラクション、又は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520の外部にある作用とは独立した荷重とすることができる。例えば、予荷重デバイス1527を有するハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520が外部荷重をほとんど又は全く受けない場所に配置することができる。例えば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は、
図3Bに関して上述したように、携帯電話のバックパネルの内面等、携帯電話の裏面に配置することができる。バックパネルは、低質量を有することができ、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520にかける外部荷重を1N未満とすることができる。
【0068】
図15は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520に電力を提供することができる電源1540を更に示す。電源1540は、上述した電源140の一実施形態である。電源1540は、制御ユニット1530により、ハプティックアクチュエーター621の電極621c−1/621c−2に電圧信号又は駆動信号等の駆動信号を提供するように制御することができる。制御ユニット1530は、上述した制御ユニット130の一実施形態である。一実施形態では、制御ユニット1530は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520に正弦波駆動信号を提供するように電源1540を制御することができ、それにより、ハプティックアクチュエーター621に、軸617に沿った振動等の発振変位を出力させることができる。一実施形態では、正弦波駆動信号は、例えば60V〜120Vの範囲であるピークツーピーク振幅と、50Hz〜200Hzの範囲である周波数とを有することができる。予荷重デバイス1527は、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621による拡張又はより全体的には変位に抵抗するように、例えば2N〜4Nの範囲である圧縮荷重を発生させることができる。上述したように、ハプティックアクチュエーター621からの出力される変位を低減させることにより、予荷重デバイス1527は、ハプティックアクチュエーター621によって出力される力の増大をもたらし、それにより、より知覚可能なハプティック効果をもたらし又は生成する。電圧信号又は駆動信号は、印加される電圧又は電流を変化させることによって調整することができ、それにより、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520によって加えられる力を制御する。
【0069】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は、比較的高い周波数で作動する調和振動子として機能することができる。動作時、電源1540が、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520に正弦波駆動信号を提供すると、ハプティックアクチュエーター621は、発振駆動信号によって指示されるように振動する。より詳細には、ハプティックアクチュエーター621の動作に関して上述したように、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621によって出力される変位は、ハプティックアクチュエーター621の拡張又は収縮から生じることができる。一実施形態では、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の変位により、カバー1572及びベース1574両方の動き又は振動がもたらされる。別の実施形態では、カバー1572又はベース1574のうちの一方が、より詳細に後述するように機械的基礎として作用するように構成され、その結果、軸617に沿ったハプティックアクチュエーター621の変位により、機械的基礎であるように構成されていない他方の対向する構造体のみの動き又は振動がもたらされる。したがって、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は、振動し、それが取り付けられているハプティック対応デバイスのハウジング又は部分にハプティック感覚を提供する。
【0070】
上述したように、本発明の一実施形態では、カバー1572又はベース1574のうちの一方が、他方の構造体が振動/変位するのに対し機械的基礎として作用するように構成することができる。例えば、ベース1574は、機械的基礎として作用し、それにより、ハプティックアクチュエーター621が発生させる力をカバー1572に移すように構成することができる。ベース1574は、機械的基礎として作用するように構成されるように好適なヤング率及び/又は厚さを有する相対的により堅い材料とすることができる。ハプティックアクチュエーター621が軸617に沿って拡張するとき、カバー1572は、その拡張に対して、ベース1572が提供するよりはるかに小さい抵抗を提供し、その結果、ハプティックアクチュエーター621の拡張の大部分又は全ては、ベース1574に対してではなく、カバー1572を振動させるか又は変位させるために向けることができる。例えば、
図16に示すハプティックアクチュエーターアセンブリ1620の一実施形態では、コネクター部品1570と、第1の厚さを有するカバー1672と、第2の厚さを有するベース1674とを有する予荷重デバイス1627、第1の厚さは第2の厚さより薄い。したがって、ハプティックアクチュエーター621が軸617に沿って変位を出力するとき、ベース1674は機械的基礎として作用するように構成される。別の実施形態では、カバー1572及びベース1574は同じ厚さを有することができるが、ベース1574は、機械的基礎として作用するように構成されるように、相対的により堅い材料から形成することができる。
【0071】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520の構成要素は、より有効なハプティック感覚を提供するように選択することができる。例えば、ハプティックアクチュエーター621は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520(ハプティックアクチュエーター621とともに予荷重デバイス1527を含む)の固有周波数で発振する場合、より強力な力及びより有効なハプティック感覚を出力することができる。より詳細には、電源1540が、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520に駆動信号を提供し、駆動信号が、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520の共振周波数に等しい周波数を有する周期的な信号であるとき、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は、より有効なハプティック感覚を提供するように共振する。言い換えれば、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は、振幅変調技法によって広いスペクトルの周波数を提示するように或る特定の周波数で共振するように構成することができる。したがって、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1520は、駆動信号がハプティックアクチュエーターアセンブリ1520の共振周波数と等しい周波数を有するとき、上述したように機械的共振を具現化するように構成することができる。
【0072】
図17は、予荷重、又はより具体的には圧縮荷重が、形状記憶材料である収縮可能な材料から形成される複数のコネクター部品1770によって生成される、予荷重デバイス1727を有する、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1720の一実施形態を示す。コネクター部品1770は、コネクター部品1570の実施形態である。カバー1772とベース1774との間に取り付けられるコネクター部品1770は、形状記憶材料から形成される場合、長手方向に収縮した後、それらの初期/元のすなわち長い方の長さを選択的に回復することができるため、可逆の予荷重をかけることができる。コネクター部品1770は、長手方向に収縮するとき、カバー1772及びベース1774を互いに向かって付勢して、ハプティックアクチュエーター621に対して圧縮力を提供する。逆に、コネクター部品1770が初期/元のすなわち長い方の長さを回復するとき、ハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重は解放され又は取り除かれる。したがって、所望のときにハプティックアクチュエーター621に対して、ハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を選択的に加えることができるため、コネクター部品1770によってかけられる予荷重は、可逆的であるとみなすことができる。
【0073】
より詳細には、コネクター要素1770は、各々、制御ユニット1730からのコマンド信号に応じて変形可能であるスマート材料のセグメントであり、コネクター要素1770は、変形するとき、カバー1772及びベース1774を互いに向かって付勢して、ハプティックアクチュエーター621に対して圧縮力を提供する。スマート材料は、電荷又は電界にさらされると、サイズ、形状又はスチフネスの変化を呈する特性を有する。言い換えれば、スマート材料は、電荷がかけられると機械的変形を呈するように構成することができる。本発明の一実施形態では、コネクター要素1770のスマート材料は、電気活性ポリマー(EAP)、形状記憶ポリマー(SMP)、形状記憶合金(SMA)、又は形状記憶ポリマー(SMP)及び形状記憶合金(SMA)の組合せから形成される。コネクター要素1770は、電荷が印加されると、ハプティックアクチュエーター621に対して圧縮荷重を発生させるために、変形し、第2のすなわち短い方の長さまで長手方向に収縮する。
【0074】
コネクター要素1770に電荷を印加するために、制御ユニット1730は、コネクター要素1770が変形しハプティックアクチュエーター621に所望の圧縮力をかけるようにする電気信号を、コネクター要素1770に提供する、制御ハードウェア及びソフトウェアを含む。より詳細には、コネクター要素1770は、コネクター要素1770に電荷を供給する電源1740に電気的に接続されている。制御ユニット1730は、電源1740を制御し、したがって、印加される電荷の大きさ及び周波数を確定する。したがって、電源1740は、制御ユニット1730からコマンド信号を受け取るように構成され、コマンド信号にしたがってコネクター要素1770に電荷を印加するように構成されている。コネクター要素1770は、電源1740からの印加される電荷に応じて変形又は収縮する。そして、望ましい場合にハプティックアクチュエーター621に対する圧縮力を選択的に解除し又は取り除くために、電荷を中断又は停止することができる。したがって、コネクター要素1770は、(圧縮荷重を発生させない又は生成しない)長い方のすなわち第1の長さと(圧縮荷重を発生させるか又は生成する)第2のすなわち短い方の長さとに交互になることができる。
【0075】
一実施形態では、エネルギーを節約するために、ハプティックアクチュエーター621が作動すなわち変形していないとき、ハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を解除するか又は取り除くことが望ましい可能性がある。そして、予荷重デバイス1727がハプティックアクチュエーター621によって出力される力の増大をもたらし、それにより、より知覚可能なハプティック効果をもたらすか又は生成するように構成されるように、ハプティックアクチュエーター621が作動するとき、ハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を加えることができる。一実施形態では、ハプティックアクチュエーター621の作動が終了した後、所定期間、例えば、10秒間、ハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を解除するか又は取り除くことが望ましい場合がある。ハプティックアクチュエーター621の作動の終了後の所定期間、ハプティックアクチュエーター621に対する圧縮荷重を取り除くことは、システムが知覚されるハプティック効果を減衰させるか又は低減させるのに役立つことができる。
【0076】
図17の実施形態は、コネクター要素1770を制御するための制御ユニット1730及び電源1740の使用とともに、ハプティックアクチュエーター621を制御するための制御ユニット1730及び電源1740の使用について記載しているが、別個の制御ユニット及び/又は電源を利用することができることが理解されよう。
【0077】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1720/1620/1520/1120の全体厚さは、2mm〜10mmの範囲とすることができる。
【0078】
一実施形態では、例えば50V〜100Vの電圧差がハプティックアクチュエーター621の2つの電極に印加されるとき、かつ、圧縮荷重又は他の予荷重が、予荷重デバイス1727/1627/1527/1127によってハプティックアクチュエーター621に加えられるとき、ハプティックアクチュエーター621は、5μm〜15μmの範囲である(ハプティックアクチュエーター621にいかなる電圧差も印加されていない基準状態に対する)変位を出力し、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1720/1620/1520/1120は、軸617に沿った、2N〜10Nの範囲である力を出力するように構成される。
【0079】
一実施形態では、ハプティックアクチュエーター621に印加されている電圧差が、例えば50V〜100Vであるとき、かつ、圧縮荷重が、予荷重デバイス1727/1627/1527/1127によってハプティックアクチュエーター621に加えられるとき、ハプティックアクチュエーターは、ハプティックアクチュエーター621に対する規定された公称変位の25%〜50%の範囲である(基準状態に対する)変位を出力し、公称変位は、電圧差に対して特定とすることができる。更にこの例では、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1720/1620/1520/1120は、軸617に沿って、ハプティックアクチュエーター621に対して規定された阻止力の50%〜75%の範囲である力を出力するように構成することができ、阻止力もまた、電圧差に対して特定とすることができる。
【0080】
一実施形態では、制御ユニット130/1130/1530/1730は、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1720/1620/1520/1120の共振周波数である、ハプティックアクチュエーター621に対する駆動信号を発生させるように構成することができる。一実施形態では、駆動信号は、予荷重が存在しても、ハプティックアクチュエーターに損傷を与える過度の力又は変位を発生させるのを更に回避するために、規定閾値未満である振幅(例えば、ピークツーピーク振幅)を有することができる。
【0081】
一実施形態では、制御ユニット130/1130/1530/1730は、少なくとも、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1720/1620/1520/1120の共振周波数である第1の周波数と、ハプティックアクチュエーターアセンブリ1720/1620/1520/1120の共振周波数ではない第2の周波数とを含む周波数成分を有する駆動信号を発生させるように構成することができる。言い換えれば、駆動信号は、第1の周波数を有する第1の成分と、第2の周波数を有する第2の成分とを含むことができる。場合によっては、駆動信号の周波数は第1の成分及び第2の成分のみとすることができる。制御ユニット130/1130/1530/1730は、駆動信号の第1の成分が、規定閾値未満の第1の振幅を有するようにすることができ(第1の成分は共振周波数を有するため)、第2の成分が、第1の振幅より高くかつ規定閾値を上回る第2の振幅を有するようにすることができる。
【0082】
以下、様々な実施形態の追加の考察を提示する。
【0083】
実施形態1は、ハプティックアクチュエーター及び予荷重デバイスを備えるハプティックアクチュエーターアセンブリに関する。ハプティックアクチュエーターは、平行軸に沿って歪みを発生させるように構成された圧電材料の層であって、平行軸はこの層の平面に対して平行である、圧電材料の層を備え、また、平行軸に沿った圧電材料の層の歪みを、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターの拡張又は収縮に変換するように構成された変位変換デバイスであって、垂直軸は層の平面に対して垂直である、変位変換デバイスを備える。ハプティックアクチュエーターの拡張又は収縮は、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターの変位を発生させるように構成されている。
【0084】
予荷重デバイスは、ハプティックアクチュエーターに隣接し、かつ垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターに対する圧縮荷重を発生させるように構成されている。予荷重デバイスは、カバーと、このカバーから間隔を空けて配置されかつこのカバーに対して平行に延在するベースと、カバーとベースとの間に延在する少なくとも1つの側壁とを有するケーシングを備える。ハプティックアクチュエーターは、ケーシングによって形成された密封空洞内に配置されている。密封空洞内の圧力は、ハプティックアクチュエーターに対し垂直軸に沿った圧縮荷重を生成するために変更される。
【0085】
実施形態2は、実施形態1のハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、圧力は大気圧より低く、密封空洞内の圧力と密封空洞の外側の大気圧との間の圧力差が、ハプティックアクチュエーターに対する垂直軸に沿った圧縮荷重をかける。
【0086】
実施形態3は、実施形態2のハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、密封空洞内の圧力は、1.4PSIA〜10PSIAである。
【0087】
実施形態4は、実施形態1のハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、圧力は大気圧より高く上げられ、圧力は、ハプティックアクチュエーターに対する垂直軸に沿った圧縮荷重をかける。
【0088】
実施形態5は、実施形態2〜4のいずれか1つのハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、ハプティックアクチュエーターの変位変換デバイスは、圧電材料の層の歪みに起因する平行軸に沿った圧電材料の層によって出力される変位を、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターのより大きい変位に変換するように構成された変位増幅デバイスであり、ハプティックアクチュエーターの変位増幅デバイスは、圧電材料の層のそれぞれの反対側の平面に配置された第1のディスク及び第2のディスクを備え、第1のディスク及び第2のディスクの各ディスクは、圧電材料の層のそれぞれの平面と円錐台を形成する。
【0089】
実施形態6は、実施形態2〜5のいずれか1つのハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、ハプティックアクチュエーターは、ハプティックアクチュエーターの第1の外面がカバーの内面と接触し、ハプティックアクチュエーターの第2の外面がベースの内面と接触するように、ケーシングによって形成された密封空洞内に配置されている。
【0090】
実施形態7は、実施形態2〜6のいずれか1つのハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、カバーは、ハプティックアクチュエーターが垂直軸に沿った変位を出力するときに変形するように構成され、ベースは、ハプティックアクチュエーターが垂直軸に沿った変位を出力するときに変形しないように構成されている。
【0091】
実施形態8は、実施形態2〜7のいずれか1つのハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、密封空洞が気密である。
【0092】
実施形態9は、ハウジングと、電源と、ハウジングの外面でハプティック効果を発生させるように構成されたハプティックアクチュエーターアセンブリとを備えるハプティック対応デバイスである。ハプティックアクチュエーターは、平行軸に沿って歪みを発生させるように構成された圧電材料の層であって、平行軸はこの層の平面に対して平行である、圧電材料の層を備え、また、圧電材料の層に取り付けられた又はその中に埋め込まれた少なくとも2つの電極を備え、また、平行軸に沿った圧電材料の層の歪みを、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターの拡張又は収縮に変換するように構成された変位変換デバイスであって、垂直軸は層の平面に対して垂直である、変位変換デバイスを備える。ハプティックアクチュエーターの拡張又は収縮は、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターの変位を発生させるように構成されている。
【0093】
予荷重デバイスは、ハプティックアクチュエーターに隣接し、かつハプティックアクチュエーターに対する垂直軸に沿った圧縮荷重を発生させるように構成されている。予荷重デバイスは、カバーと、このカバーから間隔を空けて配置されかつこのカバーに対して平行に延在するベースと、カバーとベースとの間に延在する少なくとも1つの側壁とを有するケーシングを備える。ハプティックアクチュエーターは、ケーシングによって形成された密封空洞内に配置され、密封空洞内の圧力は、ハプティックアクチュエーターに対する垂直軸に沿った圧縮荷重を生成するために変更される。
【0094】
ハプティック対応デバイスは、ハプティックアクチュエーターの少なくとも2つの電極に電力を提供するように電源を制御するように構成された制御ユニットを更に備える。
【0095】
実施形態10は、実施形態9のハプティック対応デバイスを含み、ハプティック対応デバイスのハウジングによってハプティックアクチュエーターアセンブリに加えられるいかなる圧縮荷重も1N未満である。
【0096】
実施形態11は、実施形態9又は10のハプティック対応デバイスを含み、ハプティック対応デバイスは、ハウジングの第1の面を形成するタッチスクリーンデバイスを更に備え、ハウジングは、ハウジングの第2のかつ反対側の面を形成するバックパネルを備え、ハプティックアクチュエーターアセンブリは、ハプティックアクチュエーターアセンブリによって生成される力がハウジングの第2の面に対してかけられるように、ハウジングの第2の面に配置されている。
【0097】
実施形態12は、実施形態9〜11のいずれか1つのハプティック対応デバイスを含み、制御ユニットは、ハプティックアクチュエーターに駆動信号を提供するように電源を制御するように構成されている。
【0098】
実施形態13は、実施形態9〜12のいずれか1つのハプティック対応デバイスを含み、駆動信号は、ハプティックアクチュエーターアセンブリの共振周波数に等しい周波数を有する周期的信号である。
【0099】
実施形態14は、ハプティックアクチュエーター及び予荷重デバイスを備えるハプティックアクチュエーターアセンブリに関する。ハプティックアクチュエーターは、平行軸に沿って歪みを発生させるように構成された圧電材料の層であって、平行軸はこの層の平面に対して平行である、圧電材料の層と、平行軸に沿った圧電材料の層の歪みを、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターの拡張又は収縮に変換するように構成された変位変換デバイスであって、垂直軸は層の平面に対して垂直である、変位変換デバイスとを備える。ハプティックアクチュエーターの拡張又は収縮は、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターの変位を発生させるように構成されている。
【0100】
予荷重デバイスは、ハプティックアクチュエーターに隣接し、かつハプティックアクチュエーターに対する垂直軸に沿った圧縮荷重を発生させるように構成されている。予荷重デバイスは、カバーと、このカバーから間隔を空けて配置されかつこのカバーに対して平行に延在するベースであって、ハプティックアクチュエーターはカバーとベースとの間に配置されている、ベースと、カバーに取り付けられた第1の端部とベースに取り付けられた第2の端部とを有するコネクター部品とを備える。コネクター部品は、第1の長さから第2の長さまで長手方向に収縮するように構成されている収縮可能な材料から形成され、第2の長さは第1の長さより短い。第2の長さまで収縮したコネクター部品は、ハプティックアクチュエーターに対する垂直軸に沿った圧縮荷重を生成するために力をかけるように構成されている。
【0101】
実施形態15は、実施形態14のハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、コネクター部品は、複数の間隔を空けて配置されたコネクター部品を含む。
【0102】
実施形態16は、実施形態14又は15のハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、収縮可能な材料は形状記憶材料である。
【0103】
実施形態17は、実施形態14〜16のいずれか1つのハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、カバーは、ハプティックアクチュエーターが垂直軸に沿った変位を出力するときに変形するように構成され、ベースは、ハプティックアクチュエーターが垂直軸に沿った変位を出力するときに変形しないように構成されている。
【0104】
実施形態18は、実施形態14〜17のいずれか1つのハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、カバー及びベースの各々は、コネクター部品によってハプティックアクチュエーターにかけられる力を均一に分散させるように構成されている薄い平面部品である。
【0105】
実施形態19は、実施形態14〜18のいずれか1つのハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、予荷重デバイスの第1の構成要素及び第2の構成要素が発生させる垂直軸に沿った圧縮荷重は、2N〜4Nの範囲である。
【0106】
実施形態20は、実施形態14〜19のいずれか1つのハプティックアクチュエーターアセンブリを含み、ハプティックアクチュエーターの変位変換デバイスは、圧電材料の層の歪みに起因する平行軸に沿った圧電材料の層によって出力される変位を、垂直軸に沿ったハプティックアクチュエーターのより大きい変位に変換するように構成された変位増幅デバイスであり、ハプティックアクチュエーターの変位増幅デバイスは、圧電材料の層のそれぞれの反対側の平面に配置された第1のディスク及び第2のディスクを備え、第1のディスク及び第2のディスクの各ディスクは、圧電材料の層のそれぞれの平面と円錐台を形成する。
【0107】
種々の実施形態を上述してきたが、これらの実施形態は、限定としてではなく本発明の単なる説明及び例として提示されていることを理解すべきである。形式及び細部における種々の変更は本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明内で行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲(breadth and scope)は、上述の例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ規定されるべきである。本明細書において論考された各実施形態、及び本明細書において引用された各引用文献の各特徴は、他の任意の実施形態の特徴と組み合わせて用いることができることも理解されるであろう。本明細書において論考された全ての特許及び刊行物は、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0108】
本願は、2018年6月15日に出願された米国特許出願第16/010,182号明細書の利益を主張し、この出願の開示は引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。