【解決手段】限定持続時間触覚効果を提供するシステムは、振動アクチュエーターの閉ループフィードバック制御を提供するように構成されたセンサー、制御回路、及び振動アクチュエーターを備える。センサーは、振動アクチュエーターによって誘発された運動特性を測定するように構成されている。制御回路は、センサーから運動特性情報を受信し、振動アクチュエーターの閉ループフィードバック制御を提供するように構成されている。閉ループフィードバック制御は、限定持続時間触覚効果中の振動アクチュエーター出力の精密な制御を可能にする。
前記サンプリング周波数で前記制御信号の連続的調整を提供することは、前記所望の効果信号及び前記運動特性フィードバック信号のうちの少なくとも一方の以前の値に更に従って行われる、請求項1に記載の触覚対応デバイス。
前記振動アクチュエーターは、前記デバイスの前記触覚起動構成要素に結合され、前記触覚起動構成要素を介して前記触覚対応デバイスに触覚出力を与えるように構成され、
前記センサーは、前記触覚対応デバイスの前記触覚起動構成要素に結合された加速度計を含み、
前記運動特性フィードバック信号は加速度信号である、請求項1に記載の触覚対応デバイス。
前記センサーは、前記触覚起動構成要素に装着されたカメラを含み、前記運動特性フィードバック信号は、画像揺れに基づいている、請求項1に記載の触覚対応デバイス。
前記サブ構成要素は、前記振動アクチュエーターの質量体であり、前記センサーは、前記質量体の変位を測定するように構成された発光ダイオード及び受光ダイオードを備える、請求項5に記載の触覚対応デバイス。
前記サブ構成要素は、前記振動アクチュエーターの質量体であり、前記センサーは、前記振動アクチュエーターのばねの歪を測定するように構成された歪検出センサーである、請求項5に記載の触覚対応デバイス。
前記制御信号の連続的調整を提供することは、前記限定持続時間触覚効果の前記持続時間の全体よりも少ない前記限定持続時間触覚効果の一部分について行われる、請求項1に記載の触覚対応デバイス。
前記振動アクチュエーターは、リニア共振アクチュエーター、マクロファイバー複合体アクチュエーター、及び圧電セラミックアクチュエーターのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の触覚対応デバイス。
前記サンプリング周波数で前記制御信号の連続的調整を提供することは、前記所望の効果信号及び前記運動特性フィードバック信号のうちの少なくとも一方の以前の値に更に従って行われる、請求項12に記載の方法。
前記振動アクチュエーターを起動する前記制御信号を提供することは、前記振動アクチュエーターに結合された触覚起動構成要素を介して触覚出力を前記触覚対応デバイスに与え、
前記運動特性を測定することは、前記センサーによって前記触覚起動構成要素の加速度を測定することを含み、前記センサーは、前記触覚起動構成要素に結合された加速度計を含む、請求項12に記載の方法。
前記運動特性を測定することは、前記センサーによって記録された画像揺れに基づいて前記運動特性を測定することを含み、前記センサーは、前記構成要素に装着されたカメラを含む、請求項12に記載の方法。
前記サブ構成要素は、前記振動アクチュエーターの質量体であり、前記運動特性を測定することは、前記センサーによって前記質量体の変位を測定することを含み、前記センサーは、発光ダイオード及び受光ダイオードを備える、請求項16に記載の方法。
前記サブ構成要素は、前記振動アクチュエーターの質量体であり、前記運動特性を測定することは、前記振動アクチュエーターのばねの前記歪を測定することを含む、請求項16に記載の方法。
前記制御信号の連続的調整を提供することは、前記限定持続時間触覚効果の前記持続時間の全体よりも少ない前記限定持続時間触覚効果の一部分について行われる、請求項12に記載の方法。
前記振動アクチュエーターは、リニア共振アクチュエーター、マクロファイバー複合体アクチュエーター、及び圧電セラミックアクチュエーターのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の上述の特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付の図面に示されるような本発明の実施形態の以下の説明から明らかであろう。本明細書に組み込まれるとともに本明細書の一部をなす添付の図面は更に、本発明の原理を説明するとともに、当業者が本発明を実施及び使用することを可能にする役割を果たす。図面は一定縮尺ではない。
【0011】
ここで、本発明の具体的な実施形態について図を参照して説明する。以下の詳細な説明は、本質的に例示にすぎず、本発明又は本発明の適用及び使用を制限することを意図されない。さらに、前述の技術分野、背景、簡潔な要約、又は以下の詳細な説明に提示される明示的又は暗示的などんな理論によっても制限されるという意図は存在しない。
【0012】
本明細書において説明される実施形態は、触覚対応デバイスに関する。本明細書における実施形態に則した触覚対応デバイスは、触覚出力をユーザーに提供するようにプログラミングすることができるスマートフォン、タブレットコンピューティングデバイス、スマートウォッチ、フィットネスバンド、触覚対応ウェアラブルデバイス、眼鏡、仮想現実(VR)ヘッドセット、拡張現実(AR)ヘッドセット、及び/又は複合現実(MR)ヘッドセット、ハンドヘルドゲーミングデバイス、パーソナルコンピューター(例えば、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター等)、テレビ、インタラクティブサイン(interactive signs:双方向広告)、及び/又は他のデバイスとして構成することができる。本発明の実施形態に則した触覚対応デバイスは、振動効果を触覚対応デバイスに与える1つ以上の振動アクチュエーターを有するデバイスを含む。本発明の実施形態では、触覚対応デバイスは、ユーザーがコンピューターシステムとインタラクトすることを可能にするユーザー入力要素、例えば、トリガー、ボタン、ジョイスティック、ジョイパッド、タッチ画面、タッチパッド等の制御要素も備えることができる。触覚対応デバイスは、触覚対応であるか否かを問わず、他のデバイスの能力を強化するように構成された周辺デバイスを更に備えることができる。
【0013】
本発明の実施形態に則した触覚対応デバイスは、処理システムを備えることができる。本明細書において説明される実施形態に則した処理システムは、1つ以上のプロセッサ(本明細書では、便宜上、区別することなくプロセッサ又はプロセッサ(複数の場合もある)とも呼ばれる)、1つ以上のメモリユニット、オーディオ出力、ユーザー入力要素、単数又は複数の通信ユニット、及び/又は他の構成要素を備える。プロセッサは、本明細書において説明される方法を実行するように1つ以上のコンピュータープログラム命令によってプログラミングすることができる。本発明に則した通信ユニットは、周辺デバイスと伝送又は通信することができる有線又は無線の任意の接続デバイスを含むことができる。
【0014】
本発明の実施形態では、触覚対応デバイスは、触覚制御信号をこの触覚対応デバイスに提供するように構成された処理システムとは別個に提供することができる。そのような触覚対応デバイスは、振動アクチュエーターと、この振動アクチュエーターを起動するのに必要とされる制御回路及び電力源とを備える。処理システムとは別個に提供される触覚対応デバイスは、例えば、中央処理システムとの通信を対象としたウェアラブルデバイスとすることができる。これらの実施形態による触覚対応デバイスは、触覚出力を提供するように構成されたリストバンド、リング、レッグバンド、フィンガーアタッチメント、手袋、眼鏡、及び他のタイプのデバイスを含むことができる。
【0015】
本発明の実施形態は、限定持続時間の触覚効果を生成する振動アクチュエーターの閉ループフィードバック制御に関する。本発明の実施形態に則したフィードバック制御システムは、所望の効果信号によって表される意図した触覚効果と、運動特性信号によって表される出力された触覚効果との間の誤差を削減及び/又は最小にするように構成される。振動アクチュエーターによって生成されるように意図された触覚効果を表す所望の効果信号が提供される。この所望の効果信号に応答して、本明細書において説明されるようなフィードバック制御システムは、運動特性信号を出力するセンサーによって測定される触覚出力を制御する。運動特性信号は、触覚出力の誤差を最小にするためにフィードバックシステムによって用いられる。
【0016】
本明細書において用いられるような「振動アクチュエーター」は、制御信号に応答した発振又は振動によって触覚効果を生成するように構成されたアクチュエーターを指す。本発明の実施形態に則した振動アクチュエーターは、10Hz以上で発振又は振動することによって触覚効果を生成することが可能である。限定持続時間の触覚効果は、100ms未満の持続時間を有する触覚効果を指す。限定持続時間触覚効果の長さは、アクチュエーターの周波数に従って変化し得る。例えば、10Hzにおけるアクチュエーターの1つの発振に100msを要し、限定持続時間触覚効果は、100ms以下とすることができる。対照的に、1000Hzにおいては、1つの発振に丁度1msを要し、ほぼ15msを要する限定持続時間触覚効果は、15個の発振を含むことができる。実施形態では、限定持続時間触覚効果は、100ms未満、50ms未満、30ms未満、25ms未満、20ms未満、及び/又は15ms未満の持続時間を有することができる。実施形態では、限定持続時間触覚効果は、15msと50msとの間の持続時間に対して50Hzと500Hzとの間で動作する振動アクチュエーターを用いることができる。限定持続時間触覚効果の持続時間の選択は、用いられているアクチュエーターのタイプ、振動アクチュエーターによって提供される力若しくは変位の量に基づいて、及び/又は、設計者が追求している効果のタイプによって行うことができる。実施形態では、限定持続時間触覚効果の持続時間は、触覚効果を生成する振動アクチュエーターの代表的な過渡時間に従って求めることができる。限定持続時間触覚効果は、振動アクチュエーターが1個〜ほぼ15個の発振のいずれかを実行することによって生成することができる。ここで、与えられる発振の数は、振動アクチュエーターの周波数に従って選択することができる。本発明の実施形態は、限定持続時間の急激な(sharp)触覚効果を生成する振動アクチュエーターの閉ループフィードバック制御に更に関する。本明細書において用いられるような「急激な触覚効果」は、効果の完了時に突然の中断(cut-off:カットオフ)を有する触覚効果を指す。
【0017】
実施形態では、本発明の実施形態に則した振動アクチュエーターは、10Hzと10000Hzとの間の周波数において振動効果を生成することが可能なマクロファイバー複合体アクチュエーターを含むことができる。更なる実施形態では、本発明の実施形態に則した振動アクチュエーターは、ほぼ10Hzと10000Hzとの間の周波数において振動効果を生成することが可能な圧電セラミックアクチュエーター等の圧電材料ベース振動アクチュエーターを含むことができる。更なる実施形態では、本発明の実施形態に則した振動アクチュエーターは、ほぼ50Hzと500Hzとの間の周波数において振動効果を生成することが可能なLRAを含むことができる。10Hz〜10000Hzの周波数レンジにおいて振動構成要素を通じて触覚効果を与えるように構成された他のタイプの振動アクチュエーターを本発明の実施形態とともに用いることができる。
【0018】
LRA等の本発明の実施形態に則した幾つかの振動アクチュエーターは、周波数入力に対する共振応答を提供するように設計され、高いQ値又は狭帯域幅を高頻度で有する。そのようなアクチュエーターは、より高い効率を提供するために減衰を最小にするように構築される。したがって、振動アクチュエーターの共振周波数においてコマンド信号が提供されると、振動触覚応答は最大化される。無駄なエネルギーを防止するために、そのようなアクチュエーターは、摩擦及び他の減衰源を最小にするように構築される。振動アクチュエーターへの制御信号が停止されても、振動アクチュエーターは、引き続きその共振周波数において数回発振する。強い触覚効果を生成するには、停止に向けて減速する前に、減衰を伴うことなく振動アクチュエーターを数回発振させる、比例した強力な信号が必要とされる。振動アクチュエーターの従来の使用では、制御信号の停止後の数十ミリ秒の自由発振は、数百ミリ秒の振動触覚効果もバジング触覚効果も劣化させないので、これは、許容できる結果である。これに対して、数十ミリ秒の自由発振は、意図された15ミリ秒の触覚効果を大きく歪ませることになる。
【0019】
図1は、本発明の実施形態による触覚対応デバイス100の態様を示す概略図である。触覚対応デバイス100は、1つ以上の振動アクチュエーター105、制御回路102、1つ以上の運動特性センサー107、及びハウジング101を備える。任意選択で、触覚対応デバイス100は、表示画面106、少なくとも1つのプロセッサ108、少なくとも1つのメモリユニット120、1つ以上のユーザー入力要素110、1つ以上のオーディオ出力109、及び1つ以上の通信ユニット112を更に備える。
【0020】
振動アクチュエーター105は、制御信号に応答して発振又は振動するように構成されたアクチュエーターを含む。振動アクチュエーター105は、50Hzを越える周波数で発振すると触覚効果を生成するように構成されている。振動アクチュエーター105は、リニア共振アクチュエーター(LRA)及びボイスコイルアクチュエーター等のばね質量振動システムを用いて構成されたアクチュエーターを含むことができる。本発明の実施形態に則したリニア共振アクチュエーターは、x軸LRA(xLRA)及びz軸LRA(zLRA)を含むことができる。これらのLRAの更なる説明は、
図7A及び
図7Bに関して以下で提供される。振動アクチュエーター105は、圧電アクチュエーターを更に含むことができる。本発明の実施形態に則した振動アクチュエーター105は、ほぼ10Hzと1000Hzとの間にわたる振動効果を生成するように構成されている。
【0021】
運動特性センサー107は、運動を測定するように構成されたセンサー及びトランスデューサーを含む。運動特性センサー107は、例えば、
図2〜
図4のそれぞれに示すように、触覚対応デバイス100の触覚起動構成要素173の運動特性を測定するように構成されている。触覚起動構成要素173は、その運動特性が運動特性センサーによって測定される触覚対応デバイス100の任意の構成要素である。本発明の実施形態に則した運動特性センサー107は、振動アクチュエーター105と同じ場所に配置された運動特性センサー107と、振動アクチュエーター105と同じ場所に配置されていない運動特性センサー107とを含む。本明細書において用いられるような振動アクチュエーターと同じ場所に配置された運動特性センサー107は、アクチュエーター質量体の変位等のアクチュエーター構成要素の運動特性を測定するように構成されている。したがって、同じ場所に配置された運動特性センサー107の場合、触覚起動構成要素173は、アクチュエーター質量体等のアクチュエーターサブ構成要素である。本明細書において用いられるような振動アクチュエーター105と同じ場所に配置されていない運動特性センサー107は、振動アクチュエーター105が運動を誘発する振動アクチュエーター105の一部でない触覚起動構成要素173の運動特性を測定するように構成されている。実施形態では、同じ場所に配置されていない運動特性センサー107は、振動アクチュエーター105が振動結合されている触覚対応デバイス100の触覚起動構成要素173に取り付けることができる。追加の実施形態では、同じ場所に配置されていない運動特性センサー107は、触覚対応デバイス100から遠隔に位置し、運動特性センサー107が取り付けられていない触覚起動構成要素173の運動特性を測定することができる。
【0022】
同じ場所に配置された運動特性センサー107は、アクチュエーター構成要素の運動特性を求めるように構成されたセンサーを含む。そのような運動特性は、例えば、変位、力、速度、運動量、角速度、角運動量、及び加速度等のベクトル値と、速さ、距離、及び加速度の大きさ等のスカラー値とを含むことができる。他の運動特性は、周波数、振幅、及び位相等の振動特性を含むことができる。実施形態では、上記運動特性のうちの1つ以上の直接測定を用いて、他の運動特性の値を求めることができる。例えば、加速度の直接的な測定値を用いて、速度及び/又は変位を間接的に求めることができる。幾つかの例では、システムパラメーターを、そのようにして求めることに用いるためにメモリに記憶することができる。例えば、システムの質量をパラメーターとして記憶し、加速度の測定値と組み合わせて、力を求めることを可能にすることができる。同じ場所に配置された運動特性センサー107の一例では、同じ場所に配置された運動特性センサー107は、振動アクチュエーター105の移動質量体の運動特性を求めるように構成されている。別の例では、同じ場所に配置された運動特性センサー107は、ばね質量アクチュエーターシステムに関連付けられたばねの歪を測定するように構成されている。特定の実施形態は、
図8及び
図9に関して以下で論述される。
【0023】
同じ場所に配置されていない運動特性センサー107は、触覚対応デバイス100の1つ以上の触覚起動構成要素173に直接又は間接的に振動結合されるとともに、触覚対応デバイス100の1つ以上の触覚起動構成要素173の運動特性を測定するように構成されたセンサーを含む。本明細書において用いられるような2つの特徴部の間の間接的な振動結合は、それらの2つの特徴部が直接取り付けられていない場合であっても、大きな減衰も他の隔離要因もなく、それらの間で機械的力を伝達することができることを意味する。例えば、触覚対応デバイス100のハウジング101に減衰特性を伴わずに取り付けられるプラットフォームに装着された運動特性センサー107は、ハウジング101に間接的に振動結合され、したがって、ハウジング101は、触覚起動構成要素173とすることができる。本明細書において用いられるような2つの特徴部の間の直接的な振動結合は、それらの2つの特徴部が、介在する構成要素を伴わずに互いに直接接続されていることを意味する。例えば、触覚対応デバイス100のハウジング101にねじ留めされた又は接着剤で取り付けられた運動特性センサー107は、触覚起動構成要素173として動作するハウジング101に直接的に振動結合される。対照的に、触覚対応デバイス100の2つの特徴部又は構成要素が接続されていない場合、又は、構成要素のうちの一方の振動が他方の構成要素の振動をもたらさないか又は大幅に減少させるように機械的力を消散するよう働く構造体を介して接続されている場合、それらの2つの構成要素は、振動結合されていないということができる。例えば、触覚対応デバイス100は、表示画面106の振動がハウジング101に大きく伝達されないようにサスペンションシステムを介してハウジング101に装着された表示画面106を備えることができる。
【0024】
一実施形態では、振動アクチュエーター105及び運動特性センサー107の双方を触覚対応デバイス100の表示画面106又はハウジング101に直接又は間接的に振動結合することができる。したがって、運動特性センサー107は、運動特性センサー107及び振動アクチュエーター105が相互に結合された触覚起動構成要素173としての表示画面106又はハウジング101の運動特性を求めるように構成することができる。運動特性センサー107及び振動アクチュエーター105は、触覚対応デバイス100内で互いに近接して配置することができ、及び/又は、このデバイス内で互いに離れて配置することができる。運動特性センサー107は、振動アクチュエーター105の作動に基づいて、触覚対応デバイス100の1つ以上の触覚起動構成要素173の運動特性を測定するように構成されている。そのような運動特性は、例えば、変位、力、速度、運動量、角速度、角運動量、及び加速度等のベクトル値と、速さ、距離、及び加速度の大きさ等のスカラー値とを含むことができる。他の運動特性は、周波数、振幅、及び位相等の振動特性を含むことができる。実施形態では、上記運動特性のうちの1つ以上の直接的な測定値を用いて他の運動特性の値を求めることができる。例えば、加速度の直接的な測定値を用いて速度及び/又は変位を求めることができる。幾つかの例では、そのようにして求めることに、記憶されたシステムパラメーターを用いることができる。例えば、システムの質量の知識を加速度の測定値と組み合わせることによって、力を求めることを可能にすることができる。
【0025】
同じ場所に配置されていない運動特性センサー107は、例えば、加速度計とすることができる。加速度計として実施される運動特性センサー107は、触覚対応デバイス100の構成要素の運動特性を検出するために特に選択されたトランスデューサーとすることができ、及び/又は、他の目的で触覚対応デバイス100内に含まれるトランスデューサーとすることができる。例えば、触覚対応デバイス100は、傾き制御又はステップカウントを目的として加速度計を備えることが多い。そのような加速度計は、運動特性センサー107として運動特性情報を提供することができる。任意選択の実施形態では、加速度計として実施される運動特性センサー107は、振動アクチュエーター105が動きを生成する方位と同じ動き軸における運動を検出するように方位付けられている。
【0026】
同じ場所に配置されていない運動特性センサー107は、触覚対応デバイス100内の他のセンサーとして実施することができる。例えば、触覚対応デバイス100のカメラを触覚起動構成要素173に装着することができ、このカメラを用いて、触覚起動構成要素173(及びこの構成要素に結合された任意の構成要素)の運動特性を、キャプチャーされた画像内の擾乱又は画像揺れに基づいて求めることができる。別の例では、触覚対応デバイス100のジャイロスコープを運動特性センサー107として用いることができる。同じ場所に配置されていない運動特性センサー107は、Wi−Fi三角測量又はGPSを用いることによってロケーションを特定するように構成されたアンテナ等のデバイス及び/又はセンサーを更に含むことができる。
【0027】
同じ場所に配置されていない運動特性センサー107は、触覚対応デバイス100から遠隔に配置され、触覚対応デバイス100のいずれの構成要素にも結合されていないデバイス又はセンサーを更に含むことができる。例えば、遠隔に配置されたカメラ、超音波センサー、ライダー、レーダー、又は他のセンサーシステムを、運動特性を求めるための同じ場所に配置されていない運動特性センサー107として用いることができる。
【0028】
触覚対応デバイス100は、1つの運動特性センサー107又は1つのタイプの運動特性センサー107の使用に限定されるものではない。同じタイプ又は異なるタイプの複数の運動特性センサー107をともに用いて、増加した情報を有する運動制御信号を提供することができる。
【0029】
本発明の一実施形態において用いられる制御回路102は、振動アクチュエーター105を制御するように構成された構成要素の集合体とすることができる。実施形態では、制御回路102は、触覚制御機能の提供に専用化された構成要素を含む集積回路を備えることができる。例えば、制御回路102は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、プログラマブルゲートアレイ(「PGA」)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、システムオンチップ(「SoC」)、又は他のタイプの集積回路を備えることができる。更なる実施形態では、制御回路102は、ハードウェア構成要素で全体を実施することができ、本明細書において論述される機能を実行するように構成された様々な電子機器構成要素を含むことができる。更なる実施形態では、制御回路102は、触覚対応デバイス100の更なる機能を実施するように構成されたプロセッサ108によって少なくとも部分的に実施することができる。他の実施形態では、制御回路102の機能は、必要とされる計算を実行することが可能なハードウェア及びソフトウェアの任意の組み合わせによって実行することができる。
【0030】
触覚対応デバイス100の任意選択の構成要素は、表示画面106、少なくとも1つのプロセッサ108、少なくとも1つのメモリユニット120、ユーザー入力要素110、オーディオ出力109、及び1つ以上の通信ユニット112を更に含む。
【0031】
触覚対応デバイス100は、1つ以上のプロセッサ108及び1つ以上のメモリユニット120を備えることができる。プロセッサ108は、メモリユニット(複数の場合もある)120に記憶された1つ以上のコンピュータープログラム命令によってプログラミングすることができる。本明細書において説明されるようなプロセッサ108の機能は、メモリユニット(複数の場合もある)120又は別のコンピューター可読媒体若しくは有形媒体に記憶されて、プロセッサ108によって実行されるソフトウェアによって実施することができる。本明細書において用いられるような様々な命令は、便宜上、実際に、様々な命令がプロセッサ108を、動作を実行するようにプログラミングしたときに動作を実行するものとして説明される場合がある。
【0032】
本明細書において説明される様々な命令は、メモリユニット(複数の場合もある)120に記憶することができる。このメモリユニットは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、及び/又はソフトウェア命令を記憶することに適した他の任意のメモリを含むことができる。メモリユニット(複数の場合もある)120は、プロセッサ108によって実行されるコンピュータープログラム命令(例えば、上述の命令)と、プロセッサ108によって操作することができるデータとを記憶することができる。
【0033】
本発明の実施形態とともに用いられるユーザー入力要素110は、ユーザー入力を受け取ることに適した任意の要素を含むことができる。これらは、ボタン、スイッチ、ダイヤル、レバー、タッチ画面、タッチパッド等を含むことができる。ユーザー入力要素110は、マウス、ジョイスティック、ゲームコントローラー、キーボード等の周辺接続デバイスを更に含むことができる。ユーザー入力要素110は、ユーザージェスチャーを遠隔でキャプチャーするように構成されたカメラ、レーダーデバイス、ライダーデバイス、超音波デバイス、及び他のデバイスを更に含むことができる。
【0034】
本発明の実施形態による通信ユニット112は、外部通信用に構成された1つ以上のデバイス又は構成要素を含むことができる。この通信ユニットは、有線形式で情報を送受信するように構成されたUSBポート、HDMI(登録商標)ポート、A/Vポート、光ケーブルポート、及び他の任意の構成要素又はデバイス等の有線通信ポートを含むことができる。通信ユニットは、情報を無線で受信及び/又は送信するように構成されたBLUETOOTH(登録商標)アンテナ、WI−FI(登録商標)アンテナ、セルラーアンテナ、赤外線センサー、光センサー、及び他の任意のデバイス等の無線通信デバイスを更に含むことができる。更なる実施形態では、通信ユニット112は、超音波を介して情報を伝送するように構成された超音波スピーカー及び超音波マイクロフォンを含むことができる。
【0035】
本発明の実施形態とともに用いられる表示画面106は、視覚出力をユーザーに提供する画面とすることができる。表示画面106は、タッチ画面機能(したがって、ユーザー入力要素110としての機能も果たす)を含むことができる。表示画面106は、触覚対応デバイス100のニーズに適合した任意のサイズ、形状、又は構成のものとすることができる。触覚効果を与えるように構成されたウェアラブルデバイス等の触覚対応デバイス100の幾つかの実施形態では、表示画面106が必要とされない。実施形態では、表示画面106は、VRヘッドセット、ARヘッドセット、若しくはMRヘッドセット、ゴーグル、及び/又は他のVR/AR/MRディスプレイデバイス等のヘッドマウント表示画面を含むことができる。実施形態では、表示画面106は、或る表面上に投影することもできるし、空中に表示するように投影することもできる。
【0036】
オーディオ出力109は、オーディオ出力をユーザーに提供するように構成されたデバイスを含む。オーディオ出力109は、スピーカーと、オーディオ信号をスピーカー又はヘッドフォンに送るように構成されたヘッドフォンジャック等のオーディオ出力ポートとを含むことができる。
【0037】
図2は、集積回路として実施される制御回路202の動作を示している。
図2に示すように、制御回路202は、マイクロプロセッサ201及び増幅器203を備える集積回路である。制御回路202は、所望の効果信号220及び運動特性フィードバック信号222を受信し、コマンド信号221を触覚対応デバイス100の振動アクチュエーター105に出力するように構成されている。
【0038】
所望の効果信号220は、制御回路202によって受信される。所望の効果信号220は、所望の触覚出力を表す。所望の効果信号220は、経時的に測定された運動特性の所望の値を表す時変信号である。所望の効果信号220は、本明細書において論述される運動特性のそれぞれを含む任意の運動特性の時変信号とすることができる。例えば、所望の効果信号220は、経時的な加速度とすることができる。所望の効果信号220は、触覚対応デバイス100の触覚起動構成要素173の所望の運動特性を表すことができる。実施形態では、所望の効果信号220は、触覚起動構成要素173に結合された触覚対応デバイス100の異なる構成要素の所望の運動特性を表すことができる。所望の効果信号220は、触覚対応デバイス100のプロセッサ108から受信することもできるし、触覚対応デバイス100の外部の信号源から受信することができる。例えば、触覚対応デバイス100が、触覚効果を提供するブレスレット等のウェアラブルデバイスとして実施される場合、所望の効果信号220は、ウェアラブルデバイスが関連付けられているより大きなシステムのプロセッサから制御回路202に与えることができる。実施形態では、所望の効果信号220は、運動特性センサー107と同じパラメーターを追跡することができる。なぜならば、例えば、運動特性センサー107が加速度計であるとき、所望の効果信号220は、経時的な所望の加速度を示すことができるからである。更なる実施形態では、所望の効果信号220は、運動特性センサー107と異なるパラメーターを追跡することができる。例えば、運動特性センサー107が加速度計であるとき、所望の効果信号220は、経時的な所望の速度を示すことができる。そのような実施形態では、制御回路202は、所望の効果信号220又は運動特性フィードバック信号222のいずれかを、それらの信号が適合した単位を有するように変換する。
【0039】
運動特性フィードバック信号222は、運動特性センサー107から受信される。運動特性センサー107は、同じ場所に配置されているか又は同じ場所に配置されていないかを問わず、触覚起動構成要素173の少なくとも1つの運動特性を検出し、測定し、及び/又は求めて、運動特性に基づく運動特性フィードバック信号222を制御回路202に与えるように構成されている。上記で論述したように、運動特性センサー107は、直接測定された運動特性、例えば、加速度計によって測定された加速度に基づく運動特性フィードバック信号222を与えることができ、及び/又は、測定された運動特性から導出された運動特性フィードバック信号222、例えば、加速度計によって測定された加速度から導出された速度信号を与えることができる。
【0040】
制御回路202は、所望の効果信号220及び運動特性フィードバック信号222の双方を受信し、コマンド信号221を振動アクチュエーター105に出力する。マイクロプロセッサ201は、所望の効果信号220を運動特性フィードバック信号222と比較して、それらの信号の間の誤差を求める。この誤差に基づいて、マイクロプロセッサ201は、未増幅コマンド信号224を生成する。この未増幅コマンド信号は、増幅器203によって増幅され、コマンド信号221が生成される。コマンド信号221は、振動アクチュエーター105に出力され、触覚出力を引き起こす。振動アクチュエーター105が、コマンド信号221によって駆動されると、振動アクチュエーター105の触覚出力が、運動特性センサー107によって測定される。実施形態では、同じ場所に配置された運動特性センサー107は、振動アクチュエーター105の構成要素の運動特性を直接測定する一方、更なる実施形態では、同じ場所に配置されていない運動特性センサー107は、触覚対応デバイス100の振動アクチュエーター105に振動結合された触覚起動構成要素173の運動特性を測定する。
【0041】
制御回路202は、運動特性フィードバック信号222を受信し、この信号を所望の効果信号220と比較し、未増幅コマンド信号224を連続的に調整し、したがって、振動アクチュエーター105に出力されるコマンド信号221を連続的に調整して、所望の効果信号220と運動特性フィードバック信号222との間の誤差を最小にする。実施形態では、制御回路202は、未増幅コマンド信号224の連続的調整のために、所望の効果信号220及び/又は運動特性フィードバック信号222の以前の値を更に使用する。
【0042】
本明細書において用いられるような連続的調整は、制御回路202によって出力される信号、例えば、コマンド信号221が、その信号の出力中に、触覚効果又は触覚出力を生成するために継続的に調整されることを意味する。デジタルアプリケーションの場合、連続的調整は、繰り返される離散的な調整を含むことが理解される。本明細書において用いられるような連続的調整は、たとえ定期的に行われる場合であっても、将来の触覚効果のパラメーターの調整に用いられる触覚出力の測定値の使用を含まない。実施形態では、連続的調整は、アナログ回路を介して行うことができる。実施形態では、連続的調整は、1kHzを越えた周波数、5kHzを越えた周波数、10kHzを越えた周波数、及び20kHzを越えた周波数においてデジタル方式で行うことができる。実施形態では、運動特性フィードバック信号222は、連続的調整周波数以上の周波数においてサンプリングされる。「連続的調整」のこれらの定義は、本明細書において論述される全ての実施形態及びこの用語の全ての使用に適用される。制御回路202によって実施されるフィードバック制御ループは、
図5に関してより詳細に論述される。
【0043】
更なる実施形態では、制御回路202は、触覚効果の全体について動作しない。上記で論述したように、振動アクチュエーター105は、減衰が最小となるように構成することができ、したがって、振動アクチュエーター105が停止するときの意図されない効果を除去するためにアクティブ制御を必要とする場合がある。したがって、実施形態では、制御回路202は、開ループ制御の初期期間後に振動アクチュエーター105を制御するように動作する。例えば、振動アクチュエーター105には、触覚効果を開始するように構成された初期コマンド信号を提供することができる。この初期コマンド信号は、事前に定めておくことができ、振動アクチュエーター105からの触覚効果を開始する短い持続時間(10ms未満)にわたって提供することができる。短い初期持続時間の後、制御回路202は、次に、上記で説明したような連続的調整を介したアクティブ制御を用いて、振動アクチュエーター105からのいずれの更なる触覚効果も除去することができる。したがって、制御回路202の閉ループ制御は、幾つかの実施形態では、限定持続時間触覚効果の持続時間の全体よりも少ない限定持続時間触覚効果の一部分に用いることができる。
【0044】
図3は、プロセッサ108を介して実施される制御回路302を示している。
図3に示すように、制御回路302は、プロセッサ108及び増幅器303を備える。制御回路302は、所望の効果信号320及び運動特性フィードバック信号322を受信し、コマンド信号321を触覚対応デバイス100の振動アクチュエーター105に出力するように構成されている。
【0045】
制御回路302のプロセッサ108は、触覚対応デバイス100の様々な他の計算タスクを実行するように構成された同じプロセッサ108である。例えば、プロセッサ108は、ソフトウェアアプリケーションの実行、グラフィカル表示の生成、及び他のタスクを含む処理タスクの大部分を実行する触覚対応デバイス100のメイン処理ユニットとすることができる。
図3の実施形態では、プロセッサ108の処理能力の一部分が制御回路302に専用化される。
【0046】
所望の効果信号320は、プロセッサ108によって生成される。上記で論述したように、プロセッサ108は、触覚対応デバイス100の幾つかのタスクを実行しており、ソフトウェアアプリケーション要求に応答して所望の効果信号320を生成する。更なる実施形態では、プロセッサ108は、遠隔に配置されたデバイス又は別のプロセッサから所望の効果信号320を受信することができる。
【0047】
運動特性フィードバック信号322は、運動特性センサー107からプロセッサ108によって受信される。プロセッサ108は、運動特性フィードバック信号322と所望の効果信号320とを比較して、それらの信号の間の誤差を求める。この誤差から、プロセッサ108は、未増幅コマンド信号324を生成する。この信号は、コマンド信号321として振動アクチュエーター105に出力される前に、増幅器303によって増幅される。振動アクチュエーター105は、コマンド信号321に応答して触覚出力を生成する。触覚出力は、運動特性センサー107によって測定され、測定された出力は、運動特性フィードバック信号322として制御回路302に送信される。
【0048】
制御回路302は、運動特性フィードバック信号322を受信し、この信号を所望の効果信号320と比較し、振動アクチュエーター105に出力されるコマンド信号321の連続的調整を提供して、所望の効果信号320と運動特性フィードバック信号322との間の誤差を最小にする。実施形態では、制御回路302は、所望の効果信号320及び/又は運動特性フィードバック信号322の以前の値を連続的調整において更に用いることができる。制御回路302によって実施されるフィードバック制御ループは、
図5に関してより詳細に論述される。
【0049】
図4は、回路構成要素を介してハードウェアで実施される制御回路402を示している。
図4に示すように、制御回路402は、比較ユニット404、コントローラーユニット401、及び増幅器ユニット403を少なくとも備える。
【0050】
比較ユニット404は、所望の効果信号420及び運動特性フィードバック信号422を受信し、これに応答して、所望の効果信号420と運動特性フィードバック信号422との間の差を示す誤差信号423を出力する。比較ユニット404は、例えば、演算増幅器(オペアンプ)、抵抗器、ダイオード、キャパシタ、インダクタ、トランジスタ、及び他の任意の適した構成要素等の回路構成要素によって実施することができる。一実施形態では、例えば、比較ユニットは、差動増幅器回路を用いることによって実施することができる。
【0051】
誤差信号423は、未増幅コマンド信号424を出力するコントローラーユニット401によって受信される。コントローラーユニット401は、誤差信号423に基づいて、未増幅コマンド信号424を求める。コントローラーユニット401は、誤差信号423を低減するように構成されている。コントローラーユニット401の実施態様は、実施される制御方式に依存する。コントローラーユニット401は、演算増幅器(オペアンプ)、抵抗器、ダイオード、キャパシタ、インダクタ、トランジスタ、及び他の任意の適した構成要素等の回路構成要素によって実施することができる。
【0052】
未増幅コマンド信号424は、コマンド信号421として振動アクチュエーター105に出力される前に、増幅器403によって増幅される。増幅器403は、演算増幅器(オペアンプ)、抵抗器、ダイオード、キャパシタ、インダクタ、トランジスタ、及び他の任意の適した構成要素等の回路構成要素によって実施することができる。コマンド信号421は、振動アクチュエーター105によって受信され、振動アクチュエーター105は、触覚出力を生成することによって応答する。触覚出力は、運動特性センサー107によって測定され、運動特性センサー107は、運動特性フィードバック信号422を比較ユニット404に再び提供する。
【0053】
したがって、制御回路402は、運動特性センサー107によって生成される運動特性フィードバック信号422に応答して、コマンド信号421の連続的調整を提供するように動作する。コマンド信号421に対する連続的な調整は、所望の効果信号420と運動特性フィードバック信号422との間の誤差を最小にするように行われる。実施形態では、制御回路402は、所望の効果信号420及び/又は運動特性フィードバック信号422の以前の値を連続的調整において更に用いることができる。制御回路402によって実施されるフィードバック制御ループは、
図5に関してより詳細に論述される。
【0054】
図5は、本発明の実施形態に則したフィードバックループ500の動作を示している。フィードバックループ500は、本明細書において論述された特定の制御回路の実施形態202、302、402のうちの任意のものにおける制御回路102によって実施される。更なる実施形態では、フィードバックループ500は、フィードバックループ500の機能を実行することが可能なソフトウェア、ハードウェア、及びファームウェアの任意の組み合わせによって実施することができる。フィードバックループ500は、比較器ブロック501、制御ブロック502、システムブロック505、及びフィードバックブロック507を備える。
【0055】
比較器ブロック501及び制御ブロック502は、制御回路202、302、402のうちの任意の1つと、他の適した構成要素とによって実施することができる制御回路102によって実施される。比較器ブロック501は、所望の効果信号520及び運動特性フィードバック信号522を受信する。比較器ブロック501は、所望の効果信号520と運動特性フィードバック信号522とを比較して、誤差信号524を生成する。制御ブロック502は、誤差信号524を受信してコマンド信号521を生成し、コマンド信号521は、システムブロック505の振動アクチュエーター105に提供される。
【0056】
制御ブロック502は、任意の適した制御方式を実施することができる。例えば、制御ブロック502は、リード補償コントローラーを実施することができる。リード補償制御は、LRAを用いて実施されたとき、共振周波数におけるLRAシステム内のラグに起因して有利であり得る。LRAが共振周波数において励起されると、初期周波数応答は、入力信号に対して位相ラグを示す。リード補償制御は、このラグを無効にするように作用し、所望の効果信号520と運動特性フィードバック信号522との間の誤差を削減することができる。他の例では、制御ブロック502は、比例コントローラー、比例微分(PD)コントローラー、比例積分微分(PID)コントローラー、比例積分(PI)コントローラー、リードラグ補償コントローラー、及び/又は他の任意の適切なコントローラーを実施することができる。
【0057】
コマンド信号521の受信に応答して、振動アクチュエーター105が起動され、システムブロック505に出力触覚効果523を生成させる。システムブロック505は、振動アクチュエーター105を備え、触覚対応デバイス100の制御される構成要素を表す。システムブロック505の伝達関数は、様々なシステム構成要素の構造及びロケーションに依存する。例えば、振動アクチュエーター105及び運動特性センサー107が同じ場所に配置されている場合、システムブロック505は、運動特性センサー107によって測定される振動アクチュエーター105の触覚起動構成要素173を表す。一例では、運動特性センサー107は、振動アクチュエーター105の発振する質量体の変位を測定することができる。振動アクチュエーター105及び運動特性センサー107が同じ場所に配置されていない場合、システムブロック505は、運動特性センサー107によって測定される触覚起動構成要素173に結合された作動されるシステムを形成する構成要素の集合体を表す。例えば、運動特性センサー107が、触覚起動構成要素173としてのデバイスハウジング101に結合された加速度計である場合、システムブロック505は、振動アクチュエーター105及び運動特性センサー107に振動結合された構造的構成要素を表す。別の例では、運動特性センサー107が、触覚対応デバイス100から遠隔に配置されたカメラである場合、システムブロック505は、運動特性センサー107によって測定される振動アクチュエーター105に振動結合された振動する構成要素を表す。
【0058】
出力触覚効果523は、フィードバックブロック507によって受信される。フィードバックブロック507は、1つ以上の運動特性センサー107を備え、出力触覚効果523から運動特性フィードバック信号522へのフィードバック経路を表す。
【0059】
したがって、フィードバックループ500は、振動アクチュエーター105の閉ループフィードバック制御を提供するように動作する。
【0060】
フィードバックループ500は、限定持続時間触覚効果、すなわち、50ms未満の持続時間を有する効果の生成に適用されると有利である。実施形態では、限定持続時間触覚効果は、5msと50msとの間とすることができ、振動アクチュエーター105の1回〜10回の発振を用いることができる。本発明の実施形態によって生成される触覚効果の限定持続時間によって、フィードバックループ500は、コマンド信号521の連続的調整を提供するように動作する。そのような連続的調整は、コマンド信号521が、非常に短い触覚効果中であっても、運動特性フィードバック信号522に基づいて何度も調整されることを意味する。実施形態では、運動特性フィードバック信号522は、1kHzを越えるサンプリング周波数、5kHzを越えるサンプリング周波数、10kHzを越えるサンプリング周波数、及び/又は20kHzを越えるサンプリング周波数でシステムブロック505の運動を捕捉することができる。制御ブロック502は、運動特性フィードバック信号522のサンプリング周波数と同じレートでコマンド信号521に対する更新を行うことができる。実施形態では、フィードバックループ500は、アナログ回路で実施することができ、したがって、連続的調整をコマンド信号521に提供することができる。実施形態では、コマンド信号521(及び以前の実施形態に関して論述されたコマンド信号221、321、421)は、パルス幅変調(PWM)信号を含むか、又は、振動アクチュエーター105に入力される前にPWM信号に変換される。したがって、コマンド信号521(及び以前の実施形態に関して論述されたコマンド信号221、321、421)の周波数は、PWM信号の周波数の整数約数とすることができる。本発明の実施形態に則したPWM信号は、10kHzから1mHzの範囲とすることができる。
【0061】
上記で論述したように、本発明の実施形態に則した振動アクチュエーター105は、不足減衰(underdamped)システムを表す。そのような振動アクチュエーター105への励起信号が停止しても、振動アクチュエーター105は、静止する前に数サイクルの間発振し続ける。フィードバックループ500は、急激な中断又は突然の停止を触覚効果に提供するために、振動アクチュエーター105のこの局面を最小にするとともに、制御された減衰をシステムに加えるように構成されている。
【0062】
制御ループ500は、効果が急激に中断又は終了する限定持続時間触覚効果が生成されるように制御された減衰を振動アクチュエーター105に提供するものと理解することができる。
【0063】
図6A及び
図6Bは、リニア共振アクチュエーターの励起を含む限定持続時間触覚効果の間に捕捉された一例示のコマンド信号621及び運動特性フィードバック信号622をそれぞれ示している。
図6A及び
図6Bに示すように、コマンド信号621は、20ms未満の期間にわたる3つのフルサイクルを含む。これに対応して、この例では加速度信号である運動特性フィードバック信号622も、同様の期間にわたる3つのフルサイクルを含む。これらの図から、運動特性フィードバック信号622の振幅は、最大に達するのに、運動特性フィードバック信号が応答しているコマンド信号621よりも長くかかることが見て取れる。
【0064】
図7Aは、本発明の実施形態に則したx軸リニア共振アクチュエーター705(xLRA)を示している。xLRA705は、ケーシング701、移動質量体702、ばね703、及び駆動体704を備える。実施形態では、駆動体704は、移動質量体702の磁石と相互作用する磁場を誘発するように構成されたボイスコイルである。xLRA705は、移動質量体702が、この移動質量体が一体化されている触覚対応デバイス700のx軸711又はy軸712に沿って運動するように構成されている。触覚対応デバイス700のx軸711は、触覚対応デバイス700の長さ寸法又は幅寸法に平行な軸を表す。触覚対応デバイス700は、多くの場合、奥行き(z軸713)寸法よりも大幅に大きな長さ寸法及び幅寸法を有するように構成される。xLRA705では、質量体702は、xLRA705自体の2つの最大寸法(例えば、長さ及び/又は幅)のうちの少なくとも一方と一致する方向に移動するように構成されている。この特徴によって、移動質量体702がそのサイズと比較して相対的に大きな距離を移動することを可能にすることができ、したがって、触覚対応デバイス700のより大きな長さ寸法又は幅寸法を利用することを可能にすることができる。「x軸」における使用が言及され、「x軸」において用いられるように構成されているが、xLRA705を決定付ける構造的特徴は、xLRA705の寸法に関する質量体の移動の方向であり、xLRA705が用いられる特定の方位ではない。異なる寸法の触覚対応デバイス700では、xLRA705は、任意の方向に方位付けすることができる。
【0065】
図7Bは、本発明の実施形態に則したz軸リニア共振アクチュエーター755(zLRA)を示している。zLRA755は、ハウジング751、移動質量体752、ばね753、及び駆動体754を備える。実施形態では、駆動体754は、移動質量体752の磁石と相互作用する磁場を誘発するように構成されたボイスコイルである。zLRA755は、移動質量体752が、この移動質量体が一体化されている触覚対応デバイス750のz軸763に沿って運動するように構成されている。触覚対応デバイス755のz軸763は、触覚対応デバイス750の奥行き寸法に平行な軸を表す。触覚対応デバイス750は、多くの場合、奥行き(z軸763)寸法よりも大幅に大きな長さ寸法(x軸761)及び幅寸法(y軸762)を有するように構成される。zLRA755では、質量体752は、zLRA755自体の最小寸法(例えば、奥行き)と一致する方向に移動するように構成される。この特徴の結果、移動質量体752は、そのサイズと比較して相対的に短い距離を移動し、したがって、触覚対応デバイス750の相対的に短い奥行き寸法内に収まる。「z軸」における使用が言及され、「z軸」において用いられるように構成されているが、zLRA755を決定付ける構造的特徴は、質量体の移動の相対的に短い長さであり、zLRA755が用いられる特定の方位ではない。異なる寸法の触覚対応デバイス750では、zLRA755は、任意の方向に方位付けすることができる。
【0066】
図8は、同じ場所に配置された運動特性センサー607を備える振動アクチュエーター605を示している。
図8に示すように、振動アクチュエーター605は、発光体ダイオード608と受信機ダイオード609とを備える同じ場所に配置された運動特性センサー607を備える。振動アクチュエーター605は、ケーシング601、ばね603、質量体604、及び駆動体606を更に備える。
図8は、同じ場所に配置された運動特性センサー607の動作の原理を示すことを目的としている。
図8は、振動アクチュエーター605の幾つかの構成要素を示すものであり、全ての構成要素を含めることも、構成要素の正確な構成を含めることも、一律の縮尺で描くことも意図したものではない。
【0067】
振動アクチュエーター605は、質量体604をばね603上で発振するように駆動する駆動体606の作用によって動作する。ばね質量系の共振周波数において駆動されると、振動アクチュエーター605によって生成される振動は増強される。一実施形態では、振動アクチュエーター605は、リニア共振アクチュエーターであり、駆動体606は、質量体604に取り付けられた磁石(図示せず)を介して質量体604を駆動するように構成されたボイスコイルである。
【0068】
同じ場所に配置された運動特性センサー607は、質量体604の位置を求めるように構成され、したがって、質量体604は、触覚起動構成要素としての機能を果たす。発光ダイオード608は、光を放出し、反射ダイオード609は、質量体604から反射された光を受信する。この反射光の性質に基づいて、同じ場所に配置された運動特性センサー607は、質量体604の少なくとも1つの性質を求める。例えば、運動特性センサー607は、反射光の強度に基づいて、同じ場所に配置された運動特性センサー607と質量体604との間の距離、すなわち、変位を求めることができる。別の例では、ドップラー効果に従って反射光の周波数に基づき、質量体604の速さ又は速度を求めることができる。したがって、同じ場所に配置された運動特性センサー607は、反射光の性質に基づいて、質量体604の運動特性を直接測定することができる。測定された運動特性を用いると、他の関連した特性を求めることができる。例えば、質量体604の変位の直接的な測定値を用いて、変位、速度、運動量、及び加速度等のベクトル値と、速さ、距離、及び加速度の大きさ等のスカラー値とを求めることができる。さらに、質量体604のロケーションを求めることができる。質量体604の変位の測定値を更に用いて、発振周波数、振幅、及び位相を求めることができる。
【0069】
図8では、振動アクチュエーター605は、質量体604から反射された光を測定する単一の同じ場所に配置された運動特性センサー607を備える。この実施形態は、質量体604の運動特性を求める際の発光ダイオード608及び受光ダイオード609の使用の例示である。更なる実施形態では、2つ以上の同じ場所に配置された運動特性センサー607を用いることができる。更なる実施形態では、同じ場所に配置された運動特性センサー607の発光ダイオード608及び受光ダイオード609をケーシング601内で互いに遠隔に配置することができる。更なる実施形態では、振動アクチュエーター605は、直線的な動きではなく回転する質量体604を利用することができる。そのような実施形態では、同じ場所に配置された運動特性センサー607は、角速度及び/又は角運動量を更に測定するか又は求めることができる。
【0070】
図9は、本発明の一実施形態による同じ場所に配置された運動特性センサー907を備える振動アクチュエーター905を示している。振動アクチュエーター905は、ケーシング901、ばね903、質量体904、及び駆動体906を更に備える。
図9は、同じ場所に配置された運動特性センサー907の動作の原理を示すことを目的としている。
図9は、振動アクチュエーター905の幾つかの構成要素を示すものであり、全ての構成要素を含めることも、構成要素の正確な構成を含めることも、一律の縮尺で描くことも意図したものではない。
【0071】
振動アクチュエーター905は、質量体904をばね903上で発振するように駆動する駆動体906の作用によって動作する。ばね質量系の共振周波数において駆動されると、振動アクチュエーター905によって生成される振動は増強される。一実施形態では、振動アクチュエーター905は、リニア共振アクチュエーターであり、ばね903は、波形ばねであり、駆動体906は、質量体904に取り付けられた磁石(図示せず)を介して質量体904を駆動するように構成されたボイスコイルである。
【0072】
同じ場所に配置された運動特性センサー907は、触覚起動構成要素173としての機能を果たすばね903の歪を測定するように構成された歪検出センサーである。ばね903の歪の測定値を用いると、ばね903の変位を求めることができ、したがって、質量体904の変位を求めることができ、ひいては、質量体904の変位、速度、運動量、及び加速度等のベクトル値と、質量体904の速さ、距離、及び加速度の大きさ等のスカラー値とを求めることができる。さらに、質量体904のロケーションを求めることができる。
【0073】
同じ場所に配置された運動特性センサー907は、波形ばね、板ばね、及び他の任意のタイプの弾性部材を用いたものを含めて、ばねを備える任意のアクチュエーターにおいて用いることができる。
【0074】
一実施形態では、同じ場所に配置された運動特性センサー907は、ばね903の伸長又は圧縮に関連した抵抗の変化に従って歪を測定するように構成されている、ばね903に固定された歪ゲージである。実施形態では、同じ場所に配置された運動特性センサー907は、他の任意のタイプの歪検出センサーを備えることができる。実施形態では、同じ場所に配置された運動特性センサー907は、ばね903自体の電気抵抗測定値に基づいてばね903の歪を検出するか又は求めるように構成された歪センサーとすることができる。
【0075】
図10は、振動アクチュエーターの閉ループフィードバック制御を提供するプロセス1000を示すフローチャートを示している。プロセス1000は、本明細書において論述された他の特徴部及び構成要素の任意の組み合わせとともに本明細書において論述された制御回路102、202、302、402のうちの任意のものによって実行することができる。したがって、プロセス1000は、本明細書において論述したような任意の振動アクチュエーター105、605、705、755、905を用いる。プロセス1000は、本明細書において論述したような任意の運動特性センサー107、607、907を含むことができる少なくとも1つのセンサーを用いる。プロセス1000は、上記で説明したように、ハードウェア構成要素、ファームウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、及び/又はこれらの組み合わせによって実行される。プロセス1000によって実施される閉ループフィードバック制御は、急激な中断又は突然の停止を触覚効果に提供するために、制御されたシステムに制御された減衰を提供するものとして理解することができる。上記で論述したように、閉ループフィードバック制御は、例えば、触覚効果の終了時における過剰振動を除去するために、提供された触覚効果の一部分にのみ用いることができる。そのような実施形態は、以下で論述されるプロセス1000に則したものである。
【0076】
動作1002において、プロセス1000は、所望の効果信号を受信することを含む。この所望の効果信号は、触覚対応デバイスが生成を試みている触覚効果を表す。プロセス1000の目標は、測定された触覚効果、すなわち、運動特性フィードバック信号によって測定された触覚効果と、所望の効果信号によって生成されるように意図された触覚効果
との間の誤差を削減することである。本明細書において論述される実施形態は、50ms未満、30ms未満、20ms未満、15ms未満、及び10ms未満の急激な触覚効果を生成することによく適している。
【0077】
動作1004において、プロセス1000は、振動アクチュエーターに限定持続時間触覚効果を提供させる制御信号を提供することを含む。この制御信号の初期値は、振動アクチュエーターの運動を開始して限定持続時間触覚効果を引き起こすように選択される。制御信号の初期値は、所望の効果信号と、少なくとも振動アクチュエーター、振動アクチュエーターが結合された構成要素、及びセンサーを備えるフィードバックシステムの既知の特性とに従って求められる。センサーからのフィードバックは、所望の効果信号と運動特性信号(すなわち、測定された触覚効果)との間の誤差を最小にするように作用するが、所望の出力を達成するのに必要なものに近い初期制御信号値を選択することは、触覚効果の初期の部分の誤差を最小にするように働く。
【0078】
動作1006において、プロセス1000は、触覚対応デバイスの触覚起動構成要素の1つ以上の運動特性をセンサーによって測定することを含む。実施形態では、センサーは、本明細書において論述されたような運動特性センサーである。運動特性は、変位、速度、運動量、角速度、角運動量、及び加速度等のベクトル値と、速さ、距離、及び加速度の大きさ等のスカラー値とを含むことができる。運動特性は、触覚対応デバイスの触覚起動構成要素の動きに基づいて測定される。運動特性は、直接測定することもできるし、直接測定された値から導出することもできる。触覚起動構成要素は、振動アクチュエーターの構成要素とすることができ、及び/又は、触覚対応デバイスの別の構成要素とすることができる。運動特性センサーは、触覚起動構成要素に直接又は間接的に振動結合することもできるし、触覚起動構成要素から遠隔に配置することもできる。
【0079】
動作1008において、プロセス1000は、振動アクチュエーターのフィードバック制御に用いられる運動特性を示す運動特性フィードバック信号をセンサーによって出力することを含む。
【0080】
動作1010において、プロセス1000は、限定持続時間触覚効果を生成するように振動アクチュエーターを制御することを含む。運動特性の制御は、制御回路を用いて行われる。この制御回路は、マイクロプロセッサ、触覚対応デバイスのプロセッサ、及び/又は回路構成要素を含む集積回路のうちの1つ以上を備えることができる。運動特性を制御することは、以下で説明されるような動作1012〜1014を包含するフィードバックループによって実行される。
【0081】
動作1012において、プロセス1000は、運動特性フィードバック信号をサンプリングすることを含む。センサーによって出力された運動特性フィードバック信号は、制御回路によってサンプリングされる。幾つかの実施形態では、制御回路は、アナログ方式で動作し、運動特性フィードバック信号を受信するが、この信号を離散的にサンプリングしない。生成される触覚効果の限定持続時間の性質と、急激な効果の生成には高速整定時間を有する必要があることとに起因して、フィードバック制御調整は高レートで行われなければならない。運動特性フィードバック信号は、フィードバック制御調整の高レートを可能にする十分高いレートでサンプリングされる。したがって、運動特性フィードバック信号は、1kHz、5kHz、10kHz、及び20kHzを越えるレートでサンプリングされる。これらの中から選択される特定のサンプリングレートは、限定持続時間触覚効果の要件と、制御回路構成要素の特性及び能力とに従って決定することができる。
【0082】
動作1014において、プロセス1000は、制御信号を連続的に提供している間、運動特性フィードバック信号と所望の効果信号とに従った制御信号の連続的調整を提供することを含む。この制御信号の連続的調整は、所望の効果信号と運動特性フィードバック信号との間の誤差を最小にする。運動特性フィードバック信号は、出力触覚効果を測定したものであり、したがって、連続的調整は、振動アクチュエーターを制御して出力触覚効果を制御するように働く。フィードバックシステムは、所望の効果信号によって表される意図された触覚効果と、運動特性信号によって表される出力触覚効果との間の誤差を削減し及び/又は最小にする。実施形態では、制御信号の連続的調整は、運動特性フィードバック信号がサンプリングされるレートと等しいレートで行われる。
【0083】
上記内容は、本明細書に説明された実施形態による、限定持続時間触覚効果を生成する振動アクチュエーターの閉ループ制御を提供する一例示のプロセス1000の例示のフローを説明したものである。
図10に示すようなプロセスは、例示にすぎず、本明細書に開示された実施形態の範囲から逸脱しない変形形態が存在する。上記ステップを、説明した順序と異なる順序で実行することができ、追加のステップを実行することができ、及び/又はより少ないステップを実行することができる。
【0085】
実施形態1は、触覚対応デバイスであって、
振動アクチュエーターと、
触覚対応デバイスの触覚起動構成要素の加速度、速度、及び変位のうちの少なくとも1つを含む運動特性を測定し、運動特性フィードバック信号を出力するように構成されたセンサーと、
制御回路であって、限定持続時間触覚効果を表す所望の効果信号を受信することと、振動アクチュエーターを起動する制御信号を提供することと、少なくとも10kH
Zのサンプリング周波数で運動特性フィードバック信号をサンプリングすることと、制御信号を連続的に提供している間、運動特性フィードバック信号及び所望の効果信号に従って、サンプリング周波数で制御信号の連続的調整を提供することと
によって、20ms未満の限定持続時間触覚効果を生成するように振動アクチュエーターを制御するよう構成されたマイクロプロセッサを含む集積回路を備える、制御回路と、
を備え、
制御信号の連続的調整を提供することは、所望の効果信号と運動特性フィードバック信号との間の誤差を最小にする、触覚対応デバイスである。
【0086】
実施形態2は、実施形態1の触覚対応デバイスを含み、サンプリング周波数で制御信号の連続的調整を提供することは、所望の効果信号及び運動特性フィードバック信号のうちの少なくとも一方の以前の値に更に従って行われる。
【0087】
実施形態3は、実施形態1又は2の触覚対応デバイスを含み、
振動アクチュエーターは、デバイスの触覚起動構成要素に結合され、触覚起動構成要素を介して触覚対応デバイスに触覚出力を与えるように構成され、
センサーは、触覚対応デバイスの触覚起動構成要素に結合された加速度計を含み、
運動特性フィードバック信号は加速度信号である。
【0088】
実施形態4は、実施形態1〜3のいずれかの触覚対応デバイスを含み、センサーは、触覚起動構成要素に装着されたカメラを含み、運動特性フィードバック信号は、画像揺れに基づいている。
【0089】
実施形態5は、実施形態1〜4のいずれかの触覚対応デバイスを含み、触覚起動構成要素は、振動アクチュエーターのサブ構成要素である。
【0090】
実施形態6は、実施形態5の触覚対応デバイスを含み、サブ構成要素は、振動アクチュエーターの質量体であり、センサーは、質量体の変位を測定するように構成された発光ダイオード及び受光ダイオードを備える。
【0091】
実施形態7は、実施形態5の触覚対応デバイスを含み、サブ構成要素は、振動アクチュエーターの質量体であり、センサーは、振動アクチュエーターのばねの歪を測定するように構成された歪検出センサーである。
【0092】
実施形態8は、実施形態1〜7のいずれか1つの触覚対応デバイスを含み、制御信号の連続的調整を提供することは、比例微分制御に従って行われる。
【0093】
実施形態9は、実施形態1〜7のいずれか1つの触覚対応デバイスを含み、制御信号の連続的調整を提供することは、リード補償制御に従って行われる。
【0094】
実施形態10は、実施形態1〜9のいずれか1つの触覚対応デバイスを含み、制御信号の連続的調整を提供することは、限定持続時間触覚効果の持続時間の全体よりも少ない限定持続時間触覚効果の一部分について行われる。
【0095】
実施形態11は、実施形態1〜10のいずれか1つの触覚対応デバイスを含み、振動アクチュエーターは、リニア共振アクチュエーター、マクロファイバー複合体アクチュエーター、及び圧電セラミックアクチュエーターのうちの少なくとも1つを含む。
【0096】
実施形態12は、限定持続時間触覚効果を生成するように触覚対応デバイスの振動アクチュエーターを制御する方法であって、
マイクロプロセッサを含む集積回路を備える制御回路によって、20ms未満の限定持続時間触覚効果を表す所望の効果信号を受信することと、
制御回路によって、振動アクチュエーターを起動する制御信号を提供することと、
センサーによって、触覚対応デバイスの触覚起動構成要素の加速度、速度、及び変位のうちの少なくとも1つを含む運動特性を経時的に測定することと、
センサーによって、運動特性を示す運動特性フィードバック信号を出力することと、
限定持続時間触覚効果を提供するように、少なくとも10kH
Zのサンプリング周波数で運動特性フィードバック信号をサンプリングすることと、制御信号を提供している間、運動特性フィードバック信号及び所望の効果信号に従って、サンプリング周波数で制御信号の連続的調整を提供することとによって、振動アクチュエーターを制御することと、
を含み、
制御信号の連続的調整を提供することは、所望の効果信号と運動特性フィードバック信号との間の誤差を最小にする、方法である。
【0097】
実施形態13は、実施形態12の方法を含み、サンプリング周波数で制御信号の連続的調整を提供することは、所望の効果信号及び運動特性フィードバック信号のうちの少なくとも一方の以前の値に更に従って行われる。
【0098】
実施形態14は、実施形態12又は13の方法を含み、
振動アクチュエーターを起動する制御信号を提供することは、振動アクチュエーターに結合された触覚起動構成要素を介して触覚出力を触覚対応デバイスに与え、
運動特性を測定することは、センサーによって触覚起動構成要素の加速度を測定することを含み、センサーは、触覚起動構成要素に結合された加速度計を含む。
【0099】
実施形態15は、実施形態12〜14のいずれか1つの方法を含み、運動特性を測定することは、センサーによって記録された画像揺れに基づいて運動特性を測定することを含み、センサーは、構成要素に装着されたカメラを含む。
【0100】
実施形態16は、実施形態12〜15のいずれか1つの方法を含み、触覚起動構成要素は、振動アクチュエーターのサブ構成要素である。
【0101】
実施形態17は、実施形態16の方法を含み、サブ構成要素は、振動アクチュエーターの質量体であり、運動特性を測定することは、センサーによって質量体の変位を測定することを含み、センサーは、発光ダイオード及び受光ダイオードを備える。
【0102】
実施形態18は、実施形態16の方法を含み、サブ構成要素は、振動アクチュエーターの質量体であり、運動特性を測定することは、振動アクチュエーターのばねの歪を測定することを含む。
【0103】
実施形態19は、実施形態12〜18のいずれか1つの方法を含み、制御信号の連続的調整を提供することは、比例微分制御に従って行われる。
【0104】
実施形態20は、実施形態12〜19のいずれか1つの方法を含み、制御信号の連続的調整を提供することは、リード補償制御に従って行われる。
【0105】
実施形態21は、実施形態12〜20のいずれか1つの方法を含み、制御信号の連続的調整を提供することは、限定持続時間触覚効果の持続時間の全体よりも少ない限定持続時間触覚効果の一部分について行われる。
【0106】
実施形態22は、実施形態12〜21のいずれか1つの方法を含み、振動アクチュエーターは、リニア共振アクチュエーター、マクロファイバー複合体アクチュエーター、及び圧電セラミックアクチュエーターのうちの少なくとも1つを含む。
【0107】
したがって、限定持続時間触覚効果の間に、閉ループ制御システムを用いて振動アクチュエーターの精密な制御を提供するシステム、デバイス、及び方法が提供される。本明細書における実施形態によって可能にされる精密な制御方法によって、急激な又は突然の終了を有する限定持続時間触覚効果の生成が可能になる。本発明による種々の実施形態を上述してきたが、これらの実施形態は、限定としてではなく単なる説明及び例として提示されていることを理解すべきである。形式及び細部における種々の変更は本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明内で行うことができることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲(breadth and scope)は、上述の例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によってのみ規定されるべきである。本明細書において論考された各実施形態、及び本明細書において引用された各引用文献の各特徴は、他の任意の実施形態の特徴と組み合わせて用いることができることも理解されるであろう。言い換えると、触覚効果をレンダリングする上記方法の態様は、本明細書において説明した他の方法と任意に組み合わせて用いることもできるし、上記方法は別々に用いることもできる。本明細書において論考された全ての特許及び刊行物はその全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0108】
本願は、2018年6月15日に出願された米国特許出願第16/010,186号の利益を主張し、この出願の開示は引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。