【解決手段】バイポーラ電池2は、バイポーラ電極13がZ軸方向に積層された電極積層体15と、内部空間Vと連通された連通孔16aを有する枠体16と、連通孔16aを塞ぐ圧力調整弁12とを備える。内部空間Vには電解液が収容されている。負極19の主面19aは、X軸方向において、連通孔16aから最も遠い第1縁部19e1と、連通孔16aに最も近い第2縁部19e2とを有する。内部空間Vは、X軸方向に直交し第1縁部19e1を含む第1平面P1に対して連通孔16aとは反対側に位置する第1部分R1と、X軸方向に直交し第2縁部19e2を含む第2平面P2に対して連通孔16aと同じ側に位置する第2部分R2とを有する。第1部分R1の体積V1は第2部分R2の体積V2よりも大きい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、チューブは、内部空間の圧力が上昇すると、内部空間のガスを排出する圧力調整弁として機能する。そのような圧力調整弁を備えた電池モジュールでは、内部空間の圧力が上昇して圧力調整弁が開くと、内部空間のガスと共に電解液が放出される場合がある。この場合、内部空間内に残る電解液の量が減少してしまう。
【0005】
本発明の一側面は、圧力調整弁が開いた場合でも内部空間内の電解液が圧力調整弁から放出され難い電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電池モジュールは、集電板の第1面に形成された正極と前記集電板の第2面に形成された負極とを有するバイポーラ電極が第1方向に積層された電極積層体と、前記電極積層体を取り囲むように配置され、隣り合う前記バイポーラ電極間に設けられた内部空間と連通された連通孔を有するシール部と、前記連通孔を塞ぐ圧力調整弁と、を備え、前記内部空間には電解液が収容されており、前記第1方向に直交する第2方向において、前記連通孔は前記圧力調整弁と前記内部空間との間に配置されており、前記負極は、前記第1方向に交差する主面を有しており、前記主面は、前記第2方向において、前記連通孔から最も遠い第1縁部と、前記連通孔に最も近い第2縁部と、を有しており、前記内部空間は、前記第2方向に直交し前記第1縁部を含む第1平面に対して前記連通孔とは反対側に位置する第1部分と、前記第2方向に直交し前記第2縁部を含む第2平面に対して前記連通孔と同じ側に位置する第2部分と、を有しており、前記第1部分の体積が前記第2部分の体積よりも大きい。
【0007】
この電池モジュールによれば、正極又は負極からガスが発生して内部空間の圧力が上昇すると、体積の小さい第2部分から体積の大きい第1部分に向かってガスが流れる。このガスの流れに乗って、内部空間内の電解液が、第2方向において連通孔から遠ざかるように移動する。よって、内部空間の圧力が上昇して圧力調整弁が開いても、内部空間内の電解液が圧力調整弁から放出され難い。
【0008】
前記第1部分の体積が、前記第2部分の体積の5倍以上であってもよい。この場合、第1部分に収容される電解液の量を多くできるので、第2部分に収容される電解液の量をより少なくできる。
【0009】
前記主面は矩形状を呈しており、前記主面は、前記第1平面内の第1辺と、前記第2平面内の第2辺とを有してもよい。
【0010】
前記電極積層体には、複数の前記内部空間が設けられており、前記複数の内部空間のそれぞれが、前記第1部分及び前記第2部分を有してもよい。この場合、各内部空間内の電解液が圧力調整弁から放出され難い。
【0011】
前記正極及び前記負極の少なくとも一方が、前記第2方向に延在する溝部を有してもよい。この場合、内部空間内の電解液は、溝部を通って連通孔から遠ざかるように移動できる。
【0012】
本発明の一側面に係る蓄電装置は、積層された複数の電池モジュールと、前記複数の電池モジュールの積層方向に前記複数の電池モジュールを拘束する拘束ユニットと、を備える蓄電装置であって、前記複数の電池モジュールのそれぞれが、上述の電池モジュールであり、前記積層方向から見て、前記複数の電池モジュールの前記第1部分が少なくとも部分的に互いに重なり合っており、前記積層方向から見て、前記複数の電池モジュールの前記第2部分が少なくとも部分的に互いに重なり合っている。
【0013】
積層方向から見て、第1部分と第2部分とが互いに重なり合っていると、第1部分に比べて第2部分に掛かる荷重が比較的小さくなる。それに対して、積層方向から見て、複数の第1部分が少なくとも部分的に互いに重なり合っていると、第1部分に掛かる荷重を均一化し易い。また、積層方向から見て、複数の第2部分が少なくとも部分的に互いに重なり合っていると、第2部分に掛かる荷重を均一化し易い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、圧力調整弁が開いた場合でも内部空間内の電解液が圧力調整弁から放出され難い電池モジュールが提供され得る。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面には、必要に応じてXYZ直交座標系が示される。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールを備えた蓄電装置を示す概略断面図である。
図1において、蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両のバッテリとして使用される。蓄電装置1は、複数(ここでは3つ)の電池モジュールとしてのバイポーラ電池2を備えている。バイポーラ電池2は、例えばニッケル水素二次電池である。
【0018】
複数のバイポーラ電池2は、金属製の導電板3を介して積層されている。導電板3は、積層方向(Z軸方向)の両端に位置するバイポーラ電池2の外側にも配置されている。Z軸方向は例えば鉛直方向である。バイポーラ電池2及び導電板3は、例えば積層方向から見て矩形状(平面視矩形状)を呈している。導電板3は、隣り合うバイポーラ電池2と電気的に接続されている。これにより、複数のバイポーラ電池2が積層方向に直列接続されている。
【0019】
積層方向の一端(ここでは下端)に位置する導電板3には、正極端子4が接続されている。積層方向の他端(ここでは上端)に位置する導電板3には、負極端子5が接続されている。正極端子4及び負極端子5は、積層方向に垂直な方向(X軸方向)に延在している。X軸方向は例えば水平方向である。このような正極端子4及び負極端子5を設けることにより、蓄電装置1の充放電を実施することができる。
【0020】
導電板3は、バイポーラ電池2において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板3には、積層方向と正極端子4及び負極端子5の延在方向とに垂直な方向(Y軸方向)に延在した複数の空隙3aが設けられている。Y軸方向は例えば水平方向である。これらの空隙3aを空気等の冷媒が通過することにより、バイポーラ電池2からの熱を効率的に外部に放出することができる。
【0021】
また、蓄電装置1は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に拘束する拘束ユニット6を備えている。拘束ユニット6は、バイポーラ電池2及び導電板3を積層方向に挟む1対の拘束プレート7と、これらの拘束プレート7同士を締結する複数組のボルト8及びナット9とを有している。
【0022】
拘束プレート7は、鉄等の金属で形成されている。各拘束プレート7と導電板3との間には、樹脂フィルム等の絶縁フィルム10がそれぞれ配置されている。拘束プレート7及び絶縁フィルム10は、例えば平面視矩形状を呈している。ボルト8の軸部8aが各拘束プレート7に設けられた挿通孔7aを挿通した状態で、軸部8aの先端部にナット9が螺合することで、バイポーラ電池2、導電板3及び絶縁フィルム10に積層方向の拘束荷重が付与される。
【0023】
図2は、バイポーラ電池2の概略断面図である。
図3は、バイポーラ電池2の概略斜視図である。
図2及び
図3において、バイポーラ電池2は、複数のセル(例えば24セル)が積層された構造(複数セル構造)を有している。バイポーラ電池2は、複数のバイポーラ電極13がセパレータ14を介してZ軸方向(第1方向)に積層された電極積層体15と、この電極積層体15を取り囲むように配置されたシール部としての枠体16と、枠体16に取り付けられた複数(ここでは4つ)の圧力調整弁12とを備えている。
【0024】
バイポーラ電極13及びセパレータ14は、例えば平面視矩形状を呈している。セパレータ14は、積層方向に隣り合うバイポーラ電極13の間に配置されている。バイポーラ電極13は、集電板(導電板又は金属板)の一例であるニッケル箔17と、このニッケル箔17の上面17a(第1面)に形成された正極18と、ニッケル箔17の下面17b(第1面とは反対側の第2面)に形成された負極19とを有している。正極18はZ軸方向に厚みを有する正極層である。負極19はZ軸方向に厚みを有する負極層である。正極18及び負極19は、例えば平面視矩形状を呈している。
【0025】
バイポーラ電極13の正極18は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極13の負極19と対向している。バイポーラ電極13の負極19は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極13の正極18と対向している。
【0026】
電極積層体15の最下層には、正極側終端電極20が配置されている。正極側終端電極20は、ニッケル箔17と、このニッケル箔17の上面17aに形成された正極18とを有している。電極積層体15の最上層には、負極側終端電極21が配置されている。負極側終端電極21は、ニッケル箔17と、このニッケル箔17の下面17bに形成された負極19とを有している。正極側終端電極20の正極18は、セパレータ14を挟んで最下層のバイポーラ電極13の負極19と対向している。負極側終端電極21の負極19は、セパレータ14を挟んで最上層のバイポーラ電極13の正極18と対向している。正極側終端電極20及び負極側終端電極21のニッケル箔17は、積層方向に隣り合う導電板3(
図1参照)に接続されている。
【0027】
正極18は、ニッケル箔17の一方面に正極活物質を塗工することにより形成されている。正極活物質としては、例えばコバルト(Co)酸化物コートが施された水酸化ニッケルが用いられる。負極19は、ニッケル箔17の他方面に負極活物質を塗工することにより形成されている。負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が用いられる。ニッケル箔17の縁部17cは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。
【0028】
セパレータ14は、正極18と負極19との間に配置され、正極18と負極19とを隔離する。セパレータ14は、積層方向から見てニッケル箔17よりも小さく且つ正極18及び負極19よりも大きい。セパレータ14は、例えばシート状に形成されている。セパレータ14は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、もしくはPE、PP、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはメチルセルロース等からなる不織布または織布等で形成されている。また、セパレータ14は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されていてもよい。なお、セパレータ14の形状としては、特にシート状に限られず、袋状であってもよい。
【0029】
枠体16は、電極積層体15の周囲に配置され、各ニッケル箔17の縁部17cをそれぞれ保持する複数の一次シール部22と、これらの一次シール部22の周囲に配置された二次シール部23とを有している。
【0030】
各一次シール部22は、積層方向に沿ってニッケル箔17毎に配置されている。一次シール部22は、枠状に形成されている。一次シール部22は、ニッケル箔17の縁部17cに熱溶着により接合されている。
【0031】
積層方向に隣り合うニッケル箔17間には、ニッケル箔17、正極18、負極19及び一次シール部22によって画成された内部空間Vが設けられている。従って、電極積層体15には、複数の内部空間Vが設けられている。セパレータ14内の空隙部分を含む内部空間Vには、例えばアルカリ性の電解液が収容されている。アルカリ性の電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等を含むアルカリ溶液が用いられている。一次シール部22は、内部空間Vを封止する。バイポーラ電池2の各セルは、2つのニッケル箔17、正極18、負極19、セパレータ14及び一次シール部22により構成され、内部空間Vを有している。
【0032】
二次シール部23は、角筒状を有している。二次シール部23は、内部空間Vを更に封止する。二次シール部23は、各一次シール部22に接合されている。二次シール部23は、例えば射出成形等により形成されている。
【0033】
一次シール部22及び二次シール部23は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)または変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等の樹脂で形成されている。
【0034】
図2に示されるように、枠体16は、各内部空間Vと連通する連通孔16aを有する。連通孔16aは、Z軸方向に直交するX軸方向(第2方向)において、内部空間Vに臨む枠体16の内周面16bから枠体16の外周面16cまで貫通している。連通孔16aは、外周面16cに取り付けられた圧力調整弁12によって塞がれている。例えば、1つの圧力調整弁12は複数(ここでは6つ)の連通孔16aを塞いでいる。各連通孔16aのY軸方向における位置は互いに異なっている。内部空間Vの圧力が上昇すると、圧力調整弁12が開いて、内部空間V内のガスが連通孔16aを通ってバイポーラ電池2の外部に放出される。連通孔16aは、X軸方向において、圧力調整弁12と内部空間Vとの間に配置される。
【0035】
図4は、バイポーラ電池2の一部を模式的に示す図である。
図4(a)は
図2の一部を拡大した断面図である。
図4(b)は、Z軸方向から負極19を見たときのバイポーラ電池2の一部の平面図である。
図4に示されるように、負極19は、Z軸方向に交差する主面19aを有する。主面19aは例えばZ軸方向に直交する平面である。本実施形態において、主面19aは矩形状を呈している。主面19aは、X軸方向において、連通孔16aから最も遠い第1縁部19e1と、連通孔16aに最も近い第2縁部19e2とを有する。第1縁部19e1は、矩形の第1辺である。第2縁部19e2は、第1辺とは反対側の第2辺である。第1辺及び第2辺はY軸方向に延在している。主面19aが長方形である場合、第1縁部19e1及び第2縁部19e2は短辺であってもよい。この場合、X軸方向において、第1縁部19e1を連通孔16aから遠ざけることができる。枠体16の内周面16bは、Z軸方向から見て矩形状を呈している。Z軸方向から見て、内周面16bは、主面19aを取り囲むように配置されている。
【0036】
各内部空間Vは、第1縁部19e1を含む第1平面P1に対して連通孔16aとは反対側に位置する第1部分R1と、第2縁部19e2を含む第2平面P2に対して連通孔16aと同じ側に位置する第2部分R2と、第1部分R1と第2部分R2との間に配置された第3部分R3とを有する。第1平面P1及び第2平面P2はいずれもX軸方向に直交する。第1部分R1、第2部分R2及び第3部分R3は、電解液を収容可能な空隙部分である。
【0037】
第1部分R1の体積V1は第2部分R2の体積V2よりも大きい(V1>V2)。体積V1は体積V2の5倍以上であってもよいし、10倍以下であってもよい。体積V1は、例えば0.5〜1.5ccである。体積V2は、例えば0.1〜0.3ccである。
【0038】
例えば、隣り合うニッケル箔17の互いに対向する上面17a及び下面17bと、枠体16の内周面16bと、第1平面P1とによって囲まれた直方体領域の体積をV1a、セパレータ14のうち第1平面P1に対して連通孔16aとは反対側に位置する部分の非空隙領域(セパレータ14の構成材料が存在する領域)の体積をV1bとすると、体積V1は下記式(1)で表される。
V1=V1a−V1b … (1)
【0039】
ニッケル箔17の下面17bのうち枠体16の内周面16bと第1平面P1とによって囲まれた部分の面積をS1、隣り合うニッケル箔17間の距離をHとすると、体積V1aは下記式(2)で表される。
V1a=S1×H … (2)
【0040】
セパレータ14のうち第1平面P1に対して連通孔16aとは反対側に位置する部分の外側表面と第1平面P1とによって囲まれる直方体領域の体積をV1s、セパレータ14の空隙率をεとすると、体積V1bは下記式(3)で表される。
V1b=V1s×(1−ε) … (3)
【0041】
体積V2についても同様に算出され得る。例えば、隣り合うニッケル箔17の互いに対向する上面17a及び下面17bと、枠体16の内周面16b(連通孔16aの内部空間V側の開口端も含む)と、第2平面P2とによって囲まれた直方体領域の体積をV2a、セパレータ14のうち第2平面P2に対して連通孔16aと同じ側に位置する部分の非空隙領域の体積をV2bとすると、体積V2は下記式(4)で表される。
V2=V2a−V2b … (4)
【0042】
ニッケル箔17の下面17bのうち枠体16の内周面16bと第2平面P2とによって囲まれた部分の面積をS2、隣り合うニッケル箔17間の距離をHとすると、体積V2aは下記式(5)で表される。
V2a=S2×H … (5)
【0043】
セパレータ14のうち第2平面P2に対して連通孔16aと同じ側に位置する部分の外側表面と第2平面P2とによって囲まれる直方体領域の体積をV2s、セパレータ14の空隙率をεとすると、体積V2bは下記式(6)で表される。
V2b=V2s×(1−ε) … (6)
【0044】
体積V1及び体積V2は面積S1及び面積S2の大きさによって調整され得る。面積S1は、面積S2よりも大きく、面積S2の5倍以上であってもよいし、10倍以下であってもよい。面積S1及び面積S2は、ニッケル箔17の下面17bにおいて、負極19のための負極活物質を塗工する範囲によって調整されてもよいし、塗工した負極活物質の一部の範囲を剥離することによって調整されてもよい。
【0045】
上述のバイポーラ電池2によれば、正極18又は負極19からガスGが発生して内部空間Vの圧力が上昇すると、体積の小さい第2部分R2から体積の大きい第1部分R1に向かってガスGが流れる(
図5参照)。このガスGの流れ(対流)に乗って、内部空間V内の電解液が、X軸方向において連通孔16aから遠ざかるように移動する。よって、内部空間Vの圧力が上昇して圧力調整弁12が開いても、内部空間V内の電解液が圧力調整弁12から放出され難い。電解液が圧力調整弁12から放出される場合であっても、放出される電解液の量を低減できる。
【0046】
また、内部空間Vの第1部分R1の体積V1が第2部分R2の体積V2の5倍以上であると、第1部分R1に収容される電解液の量を多くできるので、第2部分R2に収容される電解液の量を少なくできる。その結果、圧力調整弁12からの電解液の放出が更に抑制される。
【0047】
再び
図1を参照する。
図1に示されるように、Z軸方向から見て、複数のバイポーラ電池2の第1部分R1は、少なくとも部分的に互いに重なり合っている。本実施形態では、1つのバイポーラ電池2の第1部分R1が、もう1つのバイポーラ電池2の第1部分R1と重なり合っている。また、各バイポーラ電池2内の複数の第1部分R1も互いに重なり合っている。同様に、Z軸方向から見て、複数のバイポーラ電池2の第2部分R2は、少なくとも部分的に互いに重なり合っている。本実施形態では、1つのバイポーラ電池2の第2部分R2が、もう1つのバイポーラ電池2の第2部分R2と重なり合っている。また、各バイポーラ電池2内の複数の第2部分R2も互いに重なり合っている。各バイポーラ電池2の圧力調整弁12は、X軸方向におけるバイポーラ電池2の両端部のうち同じ側の端部に設けられている。
【0048】
Z軸方向から見て、第1部分R1と第2部分R2とが互いに重なり合っていると、拘束ユニット6によりバイポーラ電池2に荷重を付与する際に、第1部分R1に比べて第2部分R2に掛かる荷重が比較的小さくなる。そのため、各バイポーラ電池2に掛かる荷重のバラつきが大きくなる。それに対して、Z軸方向から見て、複数の第1部分R1が少なくとも部分的に互いに重なり合っていると、第1部分R1に掛かる荷重を均一化し易い。同様に、Z軸方向から見て、複数の第2部分R2が少なくとも部分的に互いに重なり合っていると、第2部分R2に掛かる荷重を均一化し易い。
【0049】
図6は、変形例に係る電池モジュールの一部を示す平面図である。
図6に示されるバイポーラ電池2aは、負極19が溝部19tを有すること以外はバイポーラ電池2と同じ構成を備える。本変形例において、負極19は、X軸方向に延在する複数の溝部19tを有する。各溝部19tは、負極19の主面19aの第1縁部19e1から第2縁部19e2まで延在している。溝部19tの本数、幅、深さ、断面形状、主面19aにおける形状等は特に限定されない。溝部19tの深さは、ニッケル箔17の下面17bが露出するように負極19の厚みと同じであってもよいし、負極19の厚みより小さくてもよい。
【0050】
バイポーラ電池2aでは、内部空間V内の電解液が、溝部19tを通って連通孔16aから遠ざかるように移動できる。このため、第2部分R2に収容された電解液を第1部分R1に迅速に移動させることができる。よって、内部空間Vの圧力が短時間で上昇して圧力調整弁12が開いても、内部空間V内の電解液が圧力調整弁12から放出され難い。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0052】
例えば、上記実施形態では、主面19aは矩形状を呈しているが、楕円形状、円形状等その他の形状を呈してもよい。主面19aが楕円形状を呈する場合、第1縁部19e1は楕円の長軸の一端であり、第2縁部19e2は楕円の長軸の他端である。
【0053】
また、上記実施形態では、全ての内部空間Vのそれぞれが第1部分R1及び第2部分R2を有しているが、複数の内部空間Vのうちの少なくとも1つが第1部分R1及び第2部分R2を有してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、負極19が溝部19tを有しているが、正極18がX軸方向に延在する溝部を有してもよい。この場合、内部空間V内の電解液が、正極18の溝部を通って連通孔16aから遠ざかるように移動できる。
【0055】
また、上記実施形態では、バイポーラ電池2はニッケル水素二次電池であるが、バイポーラ電池2としては、特にニッケル水素二次電池には限られず、リチウムイオン二次電池等であってもよい。