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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220317(P2019-220317A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】コネクタ構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/58 20060101AFI20191129BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H01R13/58
   H01R13/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-116110(P2018-116110)
(22)【出願日】2018年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】大野 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】岡本 礼記
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC03
5E021GA06
5E021HC09
5E087EE02
5E087EE14
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG16
5E087GG26
5E087GG31
5E087GG32
5E087HH04
5E087MM05
5E087RR06
(57)【要約】
【課題】電線の抜けに対する引張り強度を確保できるコネクタ構造を得る。
【解決手段】コネクタ構造12は、接触対象と電気的に接続可能な端子40と、端子40を保持するハウジング20と、ハウジング20に装着されるリテーナ30と、端子40に対して圧着される電線50とを備えている。この電線50はリテーナ30がハウジング20に装着された場合、リテーナ30の押圧による屈曲部56を有している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触対象と電気的に接続可能な端子と、
前記端子を保持するハウジングと、
前記ハウジングに装着されるリテーナと、
前記リテーナが前記ハウジングに装着された場合、前記リテーナの押圧による屈曲部を有すると共に、前記端子に対して圧着される電線と、
を備えるコネクタ構造。
【請求項2】
前記ハウジングに設けられ、前記電線を支持する支持部と、
前記リテーナに設けられ、前記ハウジングに挿入されると共に、前記支持部よりも前記電線の先端側で前記電線を前記端子に圧着する突起部と、
を備える請求項1に記載のコネクタ構造。
【請求項3】
前記端子は、
前記屈曲部から前記支持部まで延びる延設部を有している請求項2に記載のコネクタ構造。
【請求項4】
前記リテーナは、前記ハウジングに挿入される他の突起部を有し、
前記電線は、前記リテーナが前記ハウジングに装着された場合、前記他の突起部の押圧による他の屈曲部を有する請求項2又は3に記載のコネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が圧着される端子を備えたコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、筐体にケーブルを固定する作業の簡易化を図ることが可能なコネクタが開示されている。このコネクタは、折曲げられた金属板からなる端子を有しており、当該端子に形成された貫通穴がその大きさが減少するように塑性変形することにより、電線である金属線がかしめられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−190621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のコネクタでは、配線における電線が細くなるほどかしめが不十分となり、抜けに対する引張り強度を確保することが困難である。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、電線の抜けに対する引張り強度を確保できるコネクタ構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のコネクタ構造は、接触対象と電気的に接続可能な端子と、前記端子を保持するハウジングと、前記ハウジングに装着されるリテーナと、前記リテーナが前記ハウジングに装着された場合、前記リテーナの押圧による屈曲部を有すると共に、前記端子に対して圧着される電線と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のコネクタ構造は、第1態様のコネクタ構造において、前記ハウジングに設けられ、前記電線を支持する支持部と、前記リテーナに設けられ、前記ハウジングに挿入されると共に、前記支持部よりも前記電線の先端側で前記電線を前記端子に圧着する突起部と、を備える。
【0008】
本発明の第3態様のコネクタ構造は、第2態様のコネクタ構造において、前記端子は、前記屈曲部から前記支持部まで延びる延設部を有している。
【0009】
本発明の第4態様のコネクタ構造は、第2態様又は第3態様のコネクタ構造において、前記リテーナは、前記ハウジングに挿入される他の突起部を有し、前記電線は、前記リテーナが前記ハウジングに装着された場合、前記他の突起部の押圧による他の屈曲部を有する。
【発明の効果】
【0010】
第1態様のコネクタ構造では、リテーナの押圧により電線に屈曲部が形成されることで、電線が引張られた場合に屈曲部が抜けに対する抵抗部分となる。そのため、当該コネクタ構造によれば、電線の引張り強度を確保することができ、電線のハウジングからの抜けが抑制される。
【0011】
第2態様のコネクタ構造では、電線は突起部による端子への圧着部分とハウジングにおける支持部との間に屈曲部を有している。当該コネクタ構造によれば、電線が引張られた場合に、電線が突起部と支持部に強く接触することで抜けに対する抵抗力が生じるため、電線の引張り強度を向上させることができる。
【0012】
第3態様のコネクタ構造では、電線は圧着部分から支持部にかけて端子に対して接触させることができる。すなわち、当該コネクタ構造によれば、端子との接触箇所を増やすことで、電線の引張り強度を向上させることができる。
【0013】
第4態様のコネクタ構造では、電線は複数の屈曲部を有している。当該コネクタ構造によれば、抜けに対する抵抗部分を増やすことで、電線の引張り強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一の実施形態に係るメスコネクタの(A)上斜め前方から見た斜視図、(B)側面図である。
図2】第一の実施形態に係るメスコネクタであって、ハウジングにリテーナを装着する前の(A)上斜め前方から見た斜視図、(B)側面図である。
図3】第一の実施形態に係るメスコネクタの端子を上斜め前方から見た斜視図である。
図4】第一の実施形態に係るメスコネクタであって、ハウジングにリテーナを装着する前の断面図(図2の4―4線断面図)である。
図5】第一の実施形態に係るメスコネクタであって、(A)端子の保持部に突起部が挿入される前の前方断面図、(B)端子の保持部に突起部が挿入された後の前方断面図側面図である。
図6】第一の実施形態に係るメスコネクタであって、(A)ハウジングにリテーナを装着する前の側方断面図、(B)ハウジングにリテーナを装着した後の側方断面図である。
図7】第二の実施形態に係るメスコネクタであって、ハウジングにリテーナを装着した後の側方断面図である。
図8】第三の実施形態に係るメスコネクタであって、ハウジングにリテーナを装着した後の側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一の実施形態]
図1〜6を用いて、第一の実施形態のコネクタ構造12が適用されたメスコネクタ10について説明する。なお、各図面では、オスコネクタ(図示せず)が差込まれる側を前方とし、ロックレバー34(図1(A)参照)が設けられる側を上方として説明する。また、各図では、メスコネクタ10の前方を矢印FRで示し、上方をUPで示す。
【0016】
図1(A)に示す如く、本実施形態のメスコネクタ10は、上方側の幅方向中央部に凹状部20Aを有する略箱状で樹脂製のハウジング20を備えている。このハウジング20には、前後方向に貫通する複数の挿通孔22が設けられている。この挿通孔22は上下2段に設けられており、上段の上部挿通孔22Uは凹状部20Aを挟んで幅方向両側に8列ずつ、幅方向に沿って配置され、下段の下部挿通孔22Lは幅方向に沿って23列配置されている。挿通孔22には、後述する端子40が挿入されている。
【0017】
図6(A)及び(B)に示す如く、各上部挿通孔22Uでは、上壁部の前方側に矩形状の係止孔22Aが設けられている。また、各下部挿通孔22Lでは、下壁部の前方側に矩形状の係止孔22Aが設けられている。これらの係止孔22Aには、端子40に設けられた係止部44が突出している。
【0018】
一方、挿通孔22の後方側には挿通孔22に接続される溝部24が設けられている。この溝部24は、上部挿通孔22Uに接続される上部溝部24Uと、下部挿通孔22Lに接続される下部溝部24Lとを有している。溝部24は、前方断面視において後述する保持部46に対応する形状とされている。具体的には、保持部46の湾曲に沿って略U字状に形成されている。
【0019】
図4に示す如く、上部溝部24Uには、開口部20Bとして上方側に開口する矩形状の上部開口部20Uが設けられている。この上部開口部20Uは、幅方向に並んで配置された上部溝部24Uを跨いで設けられている。つまり、上部開口部20Uは、凹状部20Aを挟んで幅方向両側にそれぞれ配置されている。また、下部溝部24Lには、開口部20Bとして下方側に開口する矩形状の下部開口部20Lが設けられている。この下部開口部20Lは、幅方向に並んで配置された下部溝部24Lを跨いで設けられている。上部開口部20U及び下部開口部20Lは、後述するリテーナ30に設けられた複数の突起部36を上下方向に挿通するために設けられている。
【0020】
図6(A)及び(B)に示す如く、ハウジング20の後端部には、凹部26として、上方側の上部凹部26Uと、下方側の下部凹部26Lとが設けられている。上部凹部26U及び下部凹部26Lには配線50の被覆54の端部が収容される。ここで、本実施形態の配線50は導電性金属としての複数の芯線からなる電線52と、電線52の周囲を覆う絶縁体である被覆54とを含んで構成されている。なお、図6(A)及び(B)において、電線52は複数の芯線を一体化させて図示している(図7及び図8でも同じ)。
【0021】
また、ハウジング20には、上部溝部24Uから上部凹部26Uにかけて、及び下部溝部24Lから下部凹部26Lにかけて、前後方向に延びる貫通孔28が設けられている。貫通孔28は電線52が挿通可能な径で形成されている。この貫通孔28には配線50において被覆54が除去されて露出した電線52が挿通されており、貫通孔28は配線を支持する支持部に相当する。
【0022】
図3に示す如く、端子40は前後方向を長手方向とするメス型端子であって、金属板(例えば、銅板)をプレスし、折曲げ加工を施すことにより形成されている。この端子40は、前方側に略角筒状に形成された筒状部42を有し、後方側に断面が略U字状に形成された保持部46を有している。ここで、筒状部42の幅及び高さは、挿通孔22の幅及び高さよりも僅かに小さい。本実施形態の端子40は、筒状部42に対して、接触対象であるオス型端子(図示せず)が挿入されることで電気的に接続される。
【0023】
図3及び図4並びに図5(A)及び(B)に示す如く、保持部46は、溝部24に収容されており、開口部20B側に開いた形状とされている。すなわち、上部挿通孔22U及び上部溝部24Uに挿入される端子40では保持部46は上方側に開き、下部挿通孔22L及び下部溝部24Lに挿入される端子40では保持部46は下方側に開いている。この保持部46は、溝部24の底部24B側の圧着部46Aと、圧着部46Aの幅方向両端部から開口部20B側に延出する一対の延出部46Bとを有している(図4参照)。圧着部46Aは、断面視において底部24B側が凸となるように湾曲している。
【0024】
また、保持部46は対向する延出部46B同士が近接する部分が挟持部46Cとして形成されている。そして、保持部46は、挟持部46Cよりも先端側が幅方向に広がっている。一方、保持部46は、挟持部46Cよりも底部24B側が幅方向に膨らむ袋状に形成されている。保持部46は弾性を有しており、保持部46に後述する突起部36が接触した場合、挟持部46Cが幅方向に開くことで突起部36は保持部46の内部に挿入される。また、突起部36が挿入された状態においては、突起部36は挟持部46Cに挟持されている。
【0025】
また、図6(A)及び(B)に示す如く、上部挿通孔22Uに挿入される端子40では、筒状部42の上部に上方側に突出する係止部44が設けられている。この係止部44は、筒状部42を構成する金属板の一部に、幅方向両側及び前方側の三方を囲む切り込みを入れ、切り込みのない後方側を起点に上方に折り曲げて形成されている(図3参照)。なお、下部挿通孔22Lに挿入される端子40は筒状部42の下部に下方側に突出する係止部44が設けられており、その構造は上部挿通孔22Uに挿入される端子40と同様である。
【0026】
図1(A)及び(B)並びに図2(A)及び(B)に示す如く、ハウジング20は、上下両側を樹脂製のリテーナ30で挟持されている。詳しくは、ハウジング20の上方側を覆う上部リテーナ30Uと、ハウジング20の下方側を覆う下部リテーナ30Lとを有している。上部リテーナ30Uの幅方向中央には、図示しないオスコネクタに対して係止されるロックレバー34が設けられている。
【0027】
リテーナ30の幅方向外側には固定爪32が設けられている。上部リテーナ30Uでは、下方側に延出すると共に下端部から幅方向内側に向けて突起が形成され、下部リテーナ30Lでは、上方側に延出すると共に上端部から幅方向内側に向けて突起が形成されている。なお、上部リテーナ30Uの固定爪32と、下部リテーナ30Lの固定爪32とは前後方向にずれて配置されている。リテーナ30をハウジング20に装着する際は、これら固定爪32の先端に形成された突起がハウジング20の幅方向外側に設けられた窪み部20C(図2(B)参照)に係止されることで、リテーナ30はハウジング20に固定される。
【0028】
図4に示す如く、リテーナ30には、開口部20Bに対応する位置において各溝部24の内部に向けて突出する複数の突起部36が設けられている。すなわち、上部リテーナ30Uでは、上部開口部20Uを挿通可能な突起部36が設けられ、下部リテーナ30Lでは、下部開口部20Lを挿通可能な突起部36が設けられている。この突起部36は、溝部24に収容された保持部46に対応して設けられている。また、突起部36は前方から見た断面形状がマッチ棒状とされており、前後方向の長さは保持部46に略等しい(図6(A)及び(B)参照)。
【0029】
突起部36は前方から見て幅が一定の基部36Aと、基部36Aから先端に向けて拡幅する拡幅部36Bと、拡幅部36Bから先端にむけて縮幅する接触部36Cを有している。図5(B)に示す如く、これらの突起部36は、上方側又は下方側において対向する保持部46に対して挿入されている。保持部46に挿入された突起部36は、拡幅部36Bが挟持部46Cにより挟持されている。このとき、接触部36Cにより、電線52が保持部46に圧着されている。
【0030】
ここで、図6(A)及び(B)に示す如く、本実施形態では突起部36により貫通孔28から突出した電線52が底部24B側にずれることで、電線52に屈曲部56が形成されている。
【0031】
各リテーナ30の後端には、ハウジング20の凹部26と対応する位置に、凹部26に向けて突出する平板状の押圧部38が設けられている。この押圧部38は、リテーナ30がハウジング20に固定された場合に、凹部26に収容された配線50における被覆54を凹部26の底部に向けて押圧する機能を有している。
【0032】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0033】
本実施形態のメスコネクタ10は次のように製造される。まず、作業者は、ハウジング20の挿通孔22に対して、保持部46側を先頭に端子40を挿入する。ここで、端子40を挿通孔22に挿入した際、係止部44は筒状部42の内側に弾性変形し、係止部44の前端が係止孔22Aに達すると係止部44の前端は係止孔22Aの内部に突出する。これにより、係止部44の前端は係止孔22Aの前方側の壁面に係止され、端子40はハウジング20に保持される。
【0034】
次に、作業者はハウジング20の後方側から配線50を挿入する。このとき、貫通孔28に電線52を挿入し、溝部24の内部に電線52を配置させる。
【0035】
続いて、作業者はリテーナ30をハウジング20に装着する。まず作業者は、突起部36が開口部20Bに挿入されるように上部リテーナ30U及び下部リテーナ30Lをハウジング20に被せて(図6(A)参照)、接触部36Cを挟持部46Cに接触させる(図4参照)。このとき、図2(A)及び(B)に示す如く、上部リテーナ30Uはハウジング20の上方側に、下部リテーナ30Lはハウジング20の下方側に浮いた状態となる。そして、作業者が上部リテーナ30U及び下部リテーナ30Lをハウジング20に向けて押付けると、図1(A)及び(B)に示す如く、固定爪32の先端の突起が窪み部20Cに係止され、各リテーナ30はハウジング20に固定される。
【0036】
リテーナ30がハウジング20に固定されると、図5(B)及び図6(B)に示す如く、突起部36は保持部46に挿入される。そして、突起部36では接触部36Cが電線52を圧着部46Aに押付けると共に、圧着部46Aが溝部24(底部24B)に保持されることで電線52は圧着される。なお、突起部36が保持部46に挿入される前の電線52は複数の芯線が略円形状にまとまっているが(図5(A)参照)、突起部36が保持部46に挿入された後の電線52は複数の芯線が圧着部46Aの幅方向に広がった状態で圧着される(図5(B)参照)。
【0037】
また、図6(B)に示す如く、突起部36の接触部36Cが電線52を圧着した際に、貫通孔28から突出した電線52が底部24B側にずれることで、電線52は屈曲し、屈曲部56が形成される。一方、ハウジング20の凹部26に収容された配線50の被覆54は各リテーナ30の後端に設けられた押圧部38により押圧される。
【0038】
以上のように、本実施形態のコネクタ構造12は、リテーナ30をハウジング20に装着することで、同時に電線52の端子40への圧着が行われる。そして、メスコネクタ10は完成する。
【0039】
本実施形態では、突起部36の接触部36Cが電線52を圧着した際に、屈曲部56が形成される。この屈曲部56は、電線52が引張られた場合に抜けに対する抵抗部分となる。そのため、本実施形態によれば、電線52の引張り強度を確保することができ、電線52のハウジング20からの抜けが抑制される。
【0040】
また、本実施形態の屈曲部56は、前後方向において、電線52の端子40への圧着部分と貫通孔28との間に設けられている。そのため、電線52が引張られた場合には張力が生じ、電線52は突起部36の後端部と貫通孔28の前端部に強く接触することで抜けに対する抵抗力が生じる。すなわち、本実施形態によれば、電線52の引張り強度を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態では、電線52が接触部36Cの面と圧着部46Aの面との間で挟持されている。そのため本実施形態は、特許文献1のように金属板の端面で電線をかしめる、すなわち挟持部分が金属板の板厚程度に狭い場合に比べて、電線52を挟持する面積が広い。したがって、電線52の圧着力を確保しやすく、電線52の引張り強度を確保しやすい。
【0042】
ここで、特許文献1の端子では、貫通穴の塑性変形量が不足している場合は電線の圧着力が不足し、塑性変形量が過多の場合は金属板のエッジにより電線を傷付ける場合がある。電線が傷付いた場合、経年による劣化やコネクタが受ける振動により端子とのかしめが緩くなることで、接触抵抗が増加してしまう。これに対して、本実施形態は、電線の太さの違いに係らず電線を保持することができるため、異なる太さの電線への対応が容易である。特に、本実施形態は電線が細い場合、及び電線を構成する芯線が単線である場合における電線の圧着に適しており、安定して圧着力を確保することができる。そして、本実施形態では、電線が面同士で圧着されるため、電線が細い場合、及び電線を構成する芯線が単線である場合において、電線の傷付きが抑制されている。そのため、経年による劣化やコネクタが受ける振動の影響を受け難く、接触抵抗の増加が抑制される。
【0043】
また、本実施形態では、リテーナ30のハウジング20への装着状態において、突起部36は拡幅部36Bが一対の延出部46Bで構成される挟持部46Cにより挟持されている。そのため、延出部46Bの弾性力により、突起部36は幅が狭まる方向である圧着部46A側に向かう力を受けている。すなわち、突起部36は保持部46に対して常に引込まれた状態とされている。本実施形態によれば、電線52の端子40に対する圧着力を確保することができ、接続に係る信頼性を確保することができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、凹部26に収容された配線50の被覆54が各リテーナ30の後端に設けられた押圧部38により押圧されることにより配線50が保持されている。これにより、電線52のみで引張り強度を確保する場合に比べて、電線52のハウジング20からの抜けが抑制される。
【0045】
[第二の実施形態]
次に、図7を用いて、第二の実施形態のコネクタ構造12Aが適用されたメスコネクタ10Aについて説明する。第二の実施形態のメスコネクタ10Aは、第一の実施形態のメスコネクタ10に対し、端子の構造が相違する。以下、相違点について説明する。なお、第一の実施形態と同じ構成には同一の符号を付しており、説明については省略する。
【0046】
図7に示す如く、本実施形態のハウジング20では、上部溝部24Uから上部凹部26Uにかけて、及び下部溝部24Lから下部凹部26Lにかけて、前後方向に延びる貫通孔28Aが設けられている。貫通孔28Aは、電線52及び後述する端子40Aの延設部48が挿通可能な径で形成されている。この貫通孔28Aには配線50において被覆54が除去されて露出した電線52、及び端子40Aの延設部48が挿通されている。貫通孔28Aは配線を支持する支持部に相当する。
【0047】
本実施形態の端子40Aは、第一の実施形態の端子40に対して保持部46の後端から後方に延びる延設部48が形成されている点で相違する。詳しくは、端子40Aは、保持部46の後端から開口部20Bに向けて延び、後方に屈曲した後、貫通孔28Aの内部を凹部26に向けて延びている。したがって、貫通孔28Aに挿入された電線52は、延設部48に対してリテーナ30側に配置されると共に、延設部48と接触している。
【0048】
本実施形態のメスコネクタ10Aによれば、第一の実施形態のメスコネクタ10の作用効果に加えて、次の作用効果を有している。
【0049】
本実施形態の電線52は、端子40との圧着部分から貫通孔28Aにかけて端子40に対して接触させることができる。すなわち、本実施形態によれば、端子40との接触箇所を増やすことで、電線52の引張り強度を向上させることができる。特に、貫通孔28Aの内壁部は樹脂面であるため、延設部48が貫通孔28A内に存在しない場合、電線52が貫通孔28Aの内壁部と接触しても金属同士の接触に比べて接触抵抗が低い。これに対して、本実施形態は圧着部分のみならず、貫通孔28Aにおいても金属同士(電線52及び延設部48)の接触であるため接触抵抗が高いことから、電線52の引張り強度を向上させることができる。
【0050】
[第三の実施形態]
次に、図8を用いて、第三の実施形態のコネクタ構造12Bが適用されたメスコネクタ10Bについて説明する。第三の実施形態のメスコネクタ10Bは、第一の実施形態のメスコネクタ10に対し、リテーナの構造が相違する。以下、相違点について説明する。なお、第一の実施形態と同じ構成には同一の符号を付しており、説明については省略する。
【0051】
図8に示す如く、本実施形態のリテーナ31は、突起部36と押圧部38との間であって、ハウジング20の凹部26の前方寄りの位置に、凹部26に向けて突出する平板状の突出部39が設けられている。この突出部39は、押圧部38よりも突出している。また突出部39は、突起部36と同様に端子40毎に形成してもよいし、上部リテーナ30U及び下部リテーナ30Lのそれぞれにおいて一体で形成してもよい。
【0052】
本実施形態のメスコネクタ10Bによれば、第一の実施形態のメスコネクタ10の作用効果に加えて、次の作用効果を有している。
【0053】
すなわち、本実施形態ではリテーナ31がハウジング20に装着された場合、貫通孔28から突出した電線52が突起部36により底部24B側にずれることで、電線52は屈曲し、屈曲部56が形成される。また、本実施形態では、凹部26において電線52が突出部39により底部24B側にずれることで屈曲し、前方側に他の屈曲部としての中部屈曲部57Aが、後方側に後部屈曲部57Bがそれぞれ形成される。
【0054】
本実施形態では、電線52は複数の屈曲部を有している。ここで、屈曲部56は電線52が貫通孔28から抜ける際の抵抗部分となり、中部屈曲部57Aは電線52が凹部26から抜ける際の抵抗部分となる。すなわち、本実施形態によれば、抜けに対する抵抗部分を増やすことで、電線52の引張り強度を向上させることができる。
【0055】
以上、上述した各実施形態のコネクタ構造では、メスコネクタを例に説明したがこの限りではなく、オスコネクタに対して各実施形態のコネクタ構造を採用してもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 メスコネクタ、10A メスコネクタ、10B メスコネクタ、
12 コネクタ構造、12A コネクタ構造、12B コネクタ構造、
20 ハウジング、28 貫通孔(支持部)、28A 貫通孔(支持部)、
30 リテーナ、31 リテーナ、36 突起部、39 突出部(他の突起部)、
40 端子、40A 端子、48 延設部、52 電線、56 屈曲部、
57A 中部屈曲部(他の屈曲部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8