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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220318(P2019-220318A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20191129BHJP
   H01R 13/03 20060101ALI20191129BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H01R13/42 G
   H01R13/42 F
   H01R13/03 D
   H01R43/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-116111(P2018-116111)
(22)【出願日】2018年6月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】大野 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】岡本 礼記
【テーマコード(参考)】
5E051
5E087
【Fターム(参考)】
5E051BA04
5E051BB01
5E051BB04
5E087EE02
5E087EE11
5E087EE14
5E087EE17
5E087FF08
5E087FF13
5E087FF22
5E087GG16
5E087GG26
5E087GG32
5E087GG35
5E087HH01
5E087KK01
5E087MM05
5E087RR04
5E087RR11
5E087RR18
5E087RR25
5E087RR47
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来技術のコネクタでは、隣接するサブコネクタ同士又は端子同士の間に壁部を設ける必要があり、コネクタの小型化には限界があった。そのため小型化を図ることができるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタは、接触対象と電気的に接続可能な複数の端子40と、端子40に設けられ、隣接する端子40との対向部分である外周面60を覆う絶縁体62と、隣接する端子40同士が密接した状態で保持されるハウジング20と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触対象と電気的に接続可能な複数の端子と、
前記端子に設けられ、隣接する前記端子との対向部分を覆う絶縁体と、
隣接する前記端子同士が密接した状態で保持されるハウジングと、
を備えるコネクタ。
【請求項2】
前記端子は、
前記接触対象が挿入される筒状の筒状部と、
電線を保持する保持部と、を備え、
前記接触対象が接触する前記筒状部の内周面と、前記電線が接触する前記保持部の内周面とは異なる金属層で覆われている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子は、前記接触対象が挿入される筒状の筒状部を備え、
隣接する前記筒状部の端部同士の位置は、前記端子の延在方向においてずれている請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
金属板の一方の面に絶縁体をコーティングする工程と、
前記絶縁体を有する前記金属板を所定形状に切断する工程と、
前記所定形状の前記金属板を前記絶縁体が外周部となるように曲げ加工することにより端子を形成する工程と、
複数の前記端子を隣接する前記端子同士が密接するように並べた状態でハウジングに挿入する工程と、
を備えたコネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線が保持される端子を備えたコネクタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、フレーム内に複数のサブコネクタを収容する分割コネクタが開示されている。この分割コネクタは、雄型端子金具を保護するための保護壁を有している。また、下記特許文献2には、合成樹脂製の雌側ハウジング内に横並びに並列して収容される雌形端子を備えたコネクタが開示されている。このコネクタは、雌型端子間の絶縁を樹脂製のハウジングの壁部で行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−241801号公報
【特許文献2】特開2011−28904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなコネクタでは、隣接するサブコネクタ同士又は端子同士の間に壁部を設ける必要があり、壁部の分だけ端子間のピッチが広がるため、コネクタの小型化には限界があった。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、小型化を図ることができるコネクタ及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のコネクタは、接触対象と電気的に接続可能な複数の端子と、前記端子に設けられ、隣接する前記端子との対向部分を覆う絶縁体と、隣接する前記端子同士が密接した状態で保持されるハウジングと、を備える。
【0007】
本発明の第2態様のコネクタは、第1態様のコネクタにおいて、前記端子は、前記接触対象が挿入される筒状の筒状部と、電線を保持する保持部と、を備え、前記接触対象が接触する前記筒状部の内周面と、前記電線が接触する前記保持部の内周面とは異なる金属層で覆われている。
【0008】
本発明の第3態様のコネクタは、第1又は第2態様のコネクタにおいて、前記端子は、前記接触対象が挿入される筒状の筒状部を備え、隣接する前記筒状部の端部同士の位置は、前記端子の延在方向においてずれている。
【0009】
本発明の第4態様のコネクタの製造方法は、金属板の一方の面に絶縁体をコーティングする工程と、前記絶縁体を有する前記金属板を所定形状に切断する工程と、前記所定形状の前記金属板を前記絶縁体が外周部となるように曲げ加工することにより端子を形成する工程と、複数の前記端子を隣接する前記端子同士が密接するように並べた状態でハウジングに挿入する工程と、を備えた。
【発明の効果】
【0010】
第1態様のコネクタでは、隣接する端子との対向部分が絶縁体で覆われており、隣接する端子同士は絶縁材料からなる壁部で隔離することなく密接した状態でハウジングに保持されている。そのため、当該コネクタによれば、壁部の分だけ端子間のピッチを狭めることができ、コネクタの小型化を図ることができる。
【0011】
第2態様のコネクタでは、端子において接触対象が接触する面と、電線が接触する面とが異なる金属層に覆われている。当該コネクタによれば、端子に接触する材料に合わせて異なる金属層を設けることで、電食の抑制や電気抵抗の軽減を図ることができる。
【0012】
第3態様のコネクタでは、隣接する端子においては筒状部も隣接しており、隣接する筒状部の端部同士の位置は、端子の延在方向においてずれている。当該コネクタによれば、筒状部の端部にバリがある場合や絶縁体に欠損がある場合において、端部同士が接触することがないため、絶縁性を確保することができる。
【0013】
第4態様の製造方法では、絶縁体で覆われた端子が密接し並べられた状態のコネクタが製造される。当該製造方法によれば、隣接する端子同士を絶縁材料からなる壁部で隔離することなく密接した状態でハウジングに保持されるため、端子間のピッチを狭めることができ、コネクタの小型化を図ることができる。また、当該製造方法によれば、端子をハウジングに対してまとめて挿入するため、作業工数や作業時間が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一の実施形態に係るメスコネクタの(A)上斜め前方から見た斜視図、(B)側面図である。
図2】第一の実施形態に係るメスコネクタであって、ハウジングを上斜め前方から見た斜視図(側方断面図)である。
図3】第一の実施形態に係るメスコネクタであって、(A)端子の保持部に突起部が挿入される前の前方断面図、(B)端子の保持部に突起部が挿入された後の前方断面図側面図である。
図4】第一の実施形態に係るメスコネクタであって、(A)ハウジングにリテーナを装着する前の側方断面図、(B)ハウジングにリテーナを装着した後の側方断面図である。
図5】第一の実施形態に係るメスコネクタの端子であって、(A)上斜め前方から見た斜視図、(B)(A)のB−B線の断面図である。
図6】第一の実施形態に係るメスコネクタの端子を構成する銅板の(A)一方側の面を示す平面図、(B)他方側の面を示す背面図である。
図7】第一の実施形態に係るメスコネクタの端子を構成する銅板を所定形状に切断した場合の平面図である。
図8】第二の実施形態に係るメスコネクタにおいて、端子が幅方向に並べて配置された状態を示す平面図である。
図9】第三の実施形態に係るメスコネクタにおいて、端子が幅方向に並べて配置された状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一の実施形態]
図1図7を用いて、第一の実施形態のコネクタとしてのメスコネクタ10について説明する。なお、各図面では、オスコネクタ(図示せず)が差込まれる側を前方とし、ロックレバー34(図1(A)参照)が設けられる側を上方として説明する。また、各図では、メスコネクタ10の前方を矢印FRで示し、上方をUPで示す。
【0016】
図1(A)に示す如く、本実施形態のメスコネクタ10は、上方側の幅方向中央部に凹状部20Aを有する略箱状で樹脂製のハウジング20を備えている。このハウジング20には、前後方向に貫通する複数の挿通孔22が設けられている。この挿通孔22は上下2段に設けられており、上段の上部挿通孔22Uは凹状部20Aを挟んで幅方向両側に1つずつ配置され、下段の下部挿通孔22Lは上部挿通孔22U及び凹状部20Aの下方側に1つ配置されている。上部挿通孔22Uには、それぞれ後述する端子40が8本ずつ挿入され、下部挿通孔22Lには端子40が24本挿入されている。
【0017】
図2並びに図4(A)及び(B)に示す如く、上部挿通孔22Uでは、上壁部の前方側に各端子40に対応して矩形状の係止孔22Aが設けられている。また、各下部挿通孔22Lでは、下壁部の前方側に各端子40に対応して矩形状の係止孔22Aが設けられている。これらの係止孔22Aには、端子40に設けられた係止部44が突出している。
【0018】
上部挿通孔22Uの後方側であって、後述する保持部46に対応する位置には、開口部20Bとして上方側に開口する矩形状の上部開口部20Uが設けられている。この上部開口部20Uは、凹状部20Aを挟んで幅方向両側にそれぞれ配置されている。また、下部挿通孔22Lの後方側であって、後述する保持部46に対応する位置には、開口部20Bとして下方側に開口する矩形状の下部開口部20Lが設けられている。上部開口部20U及び下部開口部20Lは、後述するリテーナ30に設けられた複数の突起部36を上下方向に挿通するために設けられている。
【0019】
ハウジング20の後端部には、凹部26として、上方側の上部凹部26Uと、下方側の下部凹部26Lとが設けられている。上部凹部26U及び下部凹部26Lには配線50の被覆54の端部が収容される。ここで、本実施形態の配線50は導電性金属としての複数の芯線(銅線)からなる電線52と、電線52の周囲を覆う絶縁体である被覆54とを含んで構成されている。なお、図4(A)及び(B)において、電線52は複数の芯線を一体化させて図示している。
【0020】
また、ハウジング20には、上部挿通孔22Uから上部凹部26Uにかけて、及び下部挿通孔22Lから下部凹部26Lにかけて、前後方向に延びる貫通孔28が設けられている。貫通孔28は電線52が挿通可能な径で形成されている。この貫通孔28には配線50において被覆54が除去されて露出した電線52が挿通されており、貫通孔28は配線を支持する支持部に相当する。
【0021】
図5(A)に示す如く、端子40は前後方向を延在方向とするメス型端子であって、金属板である銅板80(図6(A)及び(B)参照)をプレスし、曲げ加工を施すことにより形成されている。図1(A)及び図2に示す如く、本実施形態では隣接する端子40同士が密接した状態でハウジング20に収容されている。この端子40は、外周部である外周面60がエポキシ、塩ビ等の絶縁体62に覆われており、密接した状態においても隣接する端子40との絶縁性が確保されている。
【0022】
図5(A)に示す如く、端子40は、前方側に略角筒状に形成された筒状部42を有し、後方側に断面が略U字状に形成された保持部46を有している。図5(B)に示す如く、筒状部42の前方側には幅方向一方側から内部に向けて舌状の押圧片43が設けられている。この押圧片43は、筒状部42を構成する銅板80の一部に、上方側、後方側及び下方側の三方を囲む切込みを入れ、切込みのない前方側を起点に内側に折曲げて形成されている。本実施形態の端子40は、筒状部42に対して、接触対象であるオス型端子(図示せず)が挿入され、押圧片43に接触することで電気的に接続される。また、本実施形態の筒状部42側の内周面70は、金めっき層72で覆われている。すなわち、端子40におけるオス型端子との接触面は導電性及び耐食性に優れた金で覆われている。
【0023】
図2並びに図4(A)及び(B)に示す如く、保持部46は、挿通孔22の後端部に収容されており、開口部20B側に開いた形状とされている。すなわち、上部挿通孔22Uに挿入される端子40では保持部46は上方側に開き、下部挿通孔22Lに挿入される端子40では保持部46は下方側に開いている。本実施形態の保持部46では、電線52が収容され、圧着される(図3(B)参照)。保持部46側の内周面70は、スズめっき層74で覆われている。すなわち、端子40における電線52との接触面は電線52を構成する銅線に対して電食の生じにくいスズで覆われている(図5(B)参照)。
【0024】
図3(A)及び(B)に示す如く、保持部46は、挿通孔22の底部22B側の圧着部46Aと、圧着部46Aの幅方向両端部から開口部20B側に延出する一対の延出部46Bとを有している。圧着部46Aは、断面視において底部22B側が凸となるように湾曲している。
【0025】
また、保持部46は対向する延出部46B同士が近接する部分が挟持部46Cとして形成されている。そして、保持部46は、挟持部46Cよりも先端側が幅方向に広がっている。一方、保持部46は、挟持部46Cよりも底部22B側が幅方向に膨らむ袋状に形成されている。保持部46は弾性を有しており、保持部46に後述する突起部36が接触した場合、挟持部46Cが幅方向に開くことで突起部36は保持部46の内部に挿入される。また、突起部36が挿入された状態においては、突起部36は挟持部46Cに挟持されている。
【0026】
また、図2並びに図4(A)及び(B)に示す如く、上部挿通孔22Uに挿入される端子40では、筒状部42の上部に上方側に突出する係止部44が設けられている。この係止部44は、筒状部42を構成する銅板80の一部に、幅方向両側及び前方側の三方を囲む切込みを入れ、切込みのない後方側を起点に上方に折曲げて形成されている(図5(A)参照)。なお、下部挿通孔22Lに挿入される端子40は筒状部42の下部に下方側に突出する係止部44が設けられており、その構造は上部挿通孔22Uに挿入される端子40と同様である。
【0027】
図1(A)及び(B)に示す如く、ハウジング20は、上下両側を樹脂製のリテーナ30で挟持されている。詳しくは、ハウジング20の上方側を覆う上部リテーナ30Uと、ハウジング20の下方側を覆う下部リテーナ30Lとを有している。上部リテーナ30Uの幅方向中央には、図示しないオスコネクタに対して係止されるロックレバー34が設けられている。
【0028】
リテーナ30の幅方向外側には固定爪32が設けられている。上部リテーナ30Uでは、下方側に延出すると共に下端部から幅方向内側に向けて突起が形成され、下部リテーナ30Lでは、上方側に延出すると共に上端部から幅方向内側に向けて突起が形成されている。なお、上部リテーナ30Uの固定爪32と、下部リテーナ30Lの固定爪32とは前後方向にずれて配置されている。リテーナ30をハウジング20に装着する際は、これら固定爪32の先端に形成された突起がハウジング20の幅方向外側に設けられた窪み部(図示せず)に係止されることで、リテーナ30はハウジング20に固定される。
【0029】
図3(A)及び(B)並びに図4(A)及び(B)に示す如く、リテーナ30には、開口部20Bから各挿通孔22の内部に向けて突出する複数の突起部36が設けられている。ここで、上部リテーナ30Uでは、上部開口部20Uを挿通可能な突起部36が設けられ、下部リテーナ30Lでは、下部開口部20Lを挿通可能な突起部36が設けられている。この突起部36は、挿通孔22に収容された保持部46に対応して設けられている。また、突起部36は前方から見た断面形状がマッチ棒状とされており、前後方向の長さは保持部46に略等しい。
【0030】
突起部36は前方から見て幅が一定の基部36Aと、基部36Aから先端に向けて拡幅する拡幅部36Bと、拡幅部36Bから先端にむけて縮幅する接触部36Cを有している。図3(B)に示す如く、これらの突起部36は、上方側又は下方側において対向する保持部46に対して挿入されている。保持部46に挿入された突起部36は、拡幅部36Bが挟持部46Cにより挟持されている。このとき、接触部36Cにより、電線52が保持部46に圧着されている。
【0031】
ここで、図4(A)及び(B)に示す如く、本実施形態では突起部36により貫通孔28から突出した電線52が底部22B側にずれることで、電線52に屈曲部56が形成されている。本実施形態では、屈曲部56が形成されることにより、電線52の抜けが抑制される。
【0032】
各リテーナ30の後端には、ハウジング20の凹部26と対応する位置に、凹部26に向けて突出する平板状の押圧部38が設けられている。この押圧部38は、リテーナ30がハウジング20に固定された場合に、凹部26に収容された配線50における被覆54を凹部26の底部に向けて押圧する機能を有している。
【0033】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0034】
本実施形態のメスコネクタ10は次のように製造される。
【0035】
(1)端子の製造
(1−1)コーティング、めっき工程
最初の工程では、端子40を構成する銅板80に対して、絶縁体62、金めっき層72及びスズめっき層74が形成される。まず、図6(A)に示す如く、端子40の外周面60となる銅板80の一方の面に対して絶縁体62がコーティングされる。例えば、ディッピングにより塩ビ等をコーティングしたり、流動浸漬によりポリエチレン、ナイロン、エポキシ、PET、フッ素粉体等をコーティングしたりすることができる。また、エアガン塗装によりウレタン、フッ素、変性フッ素、PPS等をコーティングしたり、エアレスガン塗装によりウレタン、シリコン等をコーティングしたり、静電塗装によりナイロン、静電用フッ素等をコーティングしたりすることができる。なお、絶縁体62の材質及び施工方法は上記に限らない。
【0036】
次に、図6(B)に示す如く、端子40の内周面70となる銅板80の他方の面に電解めっきを施す。ここで、内周面70においては、筒状部42となる部分に対して金めっきを施して金めっき層72を形成し、保持部46となる部分に対してスズめっきを施してスズめっき層74を形成する。内周面70において金めっき層72及びスズめっき層74は一部が重なってもよい。
【0037】
(1−2)切断工程
次に、切断工程では、絶縁体62、金めっき層72及びスズめっき層74を有する銅板80をプレスして所定形状に切断する。これにより、図7に示す如く、筒状の端子40を展開した形の銅板80が形成される。なお、当該切断工程により、押圧片43及び係止部44を形成するための切込みを設けることができる。
【0038】
(1−3)曲げ工程
曲げ工程では、所定形状となった銅板80を絶縁体62が外周部となるように曲げ加工を施すことにより端子40を形成する。すなわち、図7に示す一点鎖線を折目として谷折りを施して筒状とすると共に、押圧片43を内側に、係止部44を外側に折返すことで、図5(A)に示す端子40が形成される。
【0039】
(2)コネクタの組立工程
コネクタの組立工程では、複数の端子40を別途製造されたハウジング20に挿入すると共に、端子40に電線52を圧着してメスコネクタ10を組立てる。
【0040】
まず、作業者は、ハウジング20の挿通孔22に対して、保持部46側を先頭に端子40を挿入する。ここで、作業者は、隣接する端子40同士が接触するように並べた状態でハウジング20に挿入する。具体的に作業者は、端子40を上部挿通孔22Uに8本ずつ束ねて挿入し、下部挿通孔22Lに24本束ねて挿入する。
【0041】
なお、各挿通孔22に対しては、必ずしも一度に全ての端子40を束ねて挿入する必要はないが、端子40を一つずつ挿入するよりも、数本を一組にした端子40を複数回に分けて挿入する方が作業工数や作業時間が軽減されるため好ましい。
【0042】
端子40を挿通孔22に挿入した際、係止部44は筒状部42の内側に弾性変形し、係止部44の前端が係止孔22Aに達すると係止部44の前端は係止孔22Aの内部に突出する。これにより、係止部44の前端は係止孔22Aの前方側の壁面に係止され、端子40はハウジング20に保持される。
【0043】
次に、作業者はハウジング20の後方側から配線50を挿入する。このとき、貫通孔28に電線52を挿入し、挿通孔22の内部に電線52を配置させる。
【0044】
続いて、作業者は別途製造されたリテーナ30をハウジング20に装着する。まず作業者は、突起部36が開口部20Bに挿入されるように上部リテーナ30U及び下部リテーナ30Lをハウジング20に被せて(図4(A)参照)、接触部36Cを挟持部46Cに接触させる。このとき、上部リテーナ30Uはハウジング20の上方側に、下部リテーナ30Lはハウジング20の下方側に浮いた状態となる。そして、作業者が上部リテーナ30U及び下部リテーナ30Lをハウジング20に向けて押付けると、図1(A)及び(B)に示す如く、固定爪32の先端の突起が窪み部(図示せず)に係止され、各リテーナ30はハウジング20に固定される。
【0045】
リテーナ30がハウジング20に固定されると、図3(B)及び図4(B)に示す如く、突起部36は保持部46に挿入される。そして、突起部36では接触部36Cが電線52を圧着部46Aに押付けると共に、圧着部46Aが底部22Bに保持されることで電線52は圧着される。なお、突起部36が保持部46に挿入される前の電線52は複数の芯線が略円形状にまとまっているが(図3(A)参照)、突起部36が保持部46に挿入された後の電線52は複数の芯線が圧着部46Aの幅方向に広がった状態で圧着される(図3(B)参照)。
【0046】
また、図4(B)に示す如く、突起部36の接触部36Cが電線52を圧着した際に、貫通孔28から突出した電線52が底部22B側にずれることで、電線52は屈曲し、屈曲部56が形成される。一方、ハウジング20の凹部26に収容された配線50の被覆54は各リテーナ30の後端に設けられた押圧部38により押圧される。
【0047】
以上のように、本実施形態のメスコネクタ10は、リテーナ30をハウジング20に装着することで、同時に電線52の端子40への圧着が行われ、完成する。
【0048】
以上のように製造される本実施形態のメスコネクタ10は、隣接する端子40との対向部分である外周面60が絶縁体62で覆われており、端子40同士は密接した状態でハウジング20に保持されている。そのため、本実施形態では、特許文献2のコネクタのように隣接する端子同士を壁部で隔離する必要がなく、壁部の分だけ端子40間のピッチを狭めることができ、コネクタの小型化を図ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、端子40において筒状部42(押圧片43)の内周面70は金属層として金めっき層72で覆われ、保持部46の内周面70は、金属層としてスズめっき層74で覆われている。すなわち、本実施形態では、オス型端子の接触面は導電性及び耐食性に優れた金で覆われており、電線52の接触面は電線52を構成する銅線に対して電食の生じにくいスズで覆われている。本実施形態によれば、端子40に接触する材料に合わせて異なる金属層を設けることで、電食の抑制や電気抵抗の軽減を図ることができる。
【0050】
本実施形態のメスコネクタ10に係る製造方法では、上述したコネクタの組立工程において、端子40をハウジング20の挿通孔22に対してまとめて挿入することができる。そのため、端子40を一つずつ挿入するよりも作業工数や作業時間が軽減される。
【0051】
なお、本実施形態では、端子40の外周面60全体に絶縁体62をコーティングしたが、これに限らず、少なくとも隣接する端子40と接触する部分にのみ絶縁体62をコーティングすれば足りる。
【0052】
また、本実施形態では、切断工程及び曲げ工程の前に外周面60に対して絶縁体62をコーティングしたが、これに限らず、曲げ工程において端子40を形成した後に絶縁体62をコーティングしてもよい。
【0053】
[第二の実施形態]
次に、図8を用いて、第二の実施形態のメスコネクタ10について説明する。第二の実施形態は、第一の実施形態に対し、端子の形状が相違する。以下、相違点について説明する。なお、第一の実施形態と同じ構成には同一の符号を付しており、説明については省略する。
【0054】
図8に示す如く、本実施形態のハウジング20では、前後方向の長さが挿通孔22よりも短い端子である第一端子40aと、挿通孔22と略同じ長さであって第一端子40aよりも長い端子である第二端子40bとが幅方向に交互に並べられた状態で保持されている。ここで、第一端子40aの筒状部42aと、第二端子40bの筒状部42bとの前後方向の長さは略同じであるものの、筒状部42aの前端部64Fと筒状部42bの前端部66Fとの前後方向の位置はずれている。つまり、ハウジング20の前方側では、筒状部42aの前端部64Fは筒状部42bの外周面60である側壁部66Sに面し、筒状部42bの前端部66Fは筒状部42aの外周面60である側壁部64Sに面することなく離れている。
【0055】
また、筒状部42aの後端部64Rと筒状部42bの後端部66Rとの前後方向の位置はずれている。つまり、ハウジング20の前後略中央では、筒状部42aの後端部64Rは筒状部42bの外周面60である側壁部66Sに面することなく離れており、筒状部42bの後端部66Rは筒状部42aの外周面60である側壁部64Sに面している。
【0056】
ここで、隣合う端子において筒状部の端部の前後方向の位置が一致していると、筒状部の端部において、切断工程におけるプレス時に生じたバリが残っている場合、又は筒状部を覆う絶縁体に欠損が生じている場合に端子同士が接触する可能性がある。これに対し、本実施形態では、筒状部42aの端部である前端部64Fと筒状部42bの端部である前端部66Fとの前後方向の位置、及び筒状部42aの端部である後端部64Rと筒状部42bの端部である後端部66Rとの前後方向の位置がずれている。つまり、隣接する筒状部42a、42aの各端部は、外周面60と面しているか、筒状部42a、42aから離れている。したがって、外周面60と面する端部は、バリがある場合又は絶縁体62に欠損がある場合であっても、絶縁体62により絶縁性が確保されている。すなわち、本実施形態によれば、端子の加工状態に係らず、端子同士の絶縁性を確保することができる。
【0057】
[第三の実施形態]
次に、図9を用いて、第三の実施形態のメスコネクタ10について説明する。第三の実施形態は、第一及び第二の実施形態に対し、端子の形状が相違する。以下、相違点について説明する。なお、第一の実施形態と同じ構成には同一の符号を付しており、説明については省略する。
【0058】
図9に示す如く、本実施形態のハウジング20では、平面視において平行四辺形状の上壁部と下壁部とを有する筒状部42cを備えた端子40cが幅方向に複数並べられた状態で保持されている。ここで、筒状部42cの前方側では、幅方向一方(図9では左側)の前端部68Fと幅方向他方側(図9では右側)の前端部69Fとの前後方向の位置はずれている。つまり、ハウジング20の前方側では、筒状部42cの前端部68Fは隣接する筒状部42cの外周面60である側壁部69Sに面することなく離れており、前端部69Fは隣接する筒状部42cの外周面60である側壁部68Sに面している。
【0059】
また、筒状部42cの後方側では、幅方向一方(図9では左側)の後端部68Rと幅方向他方側(図9では右側)の後端部69Rとの前後方向の位置はずれている。つまり、ハウジング20の前後略中央では、筒状部42cの後端部68Rは隣接する筒状部42aの外周面60である側壁部69Sに面し、後端部69Rは隣接する筒状部42cの外周面60である側壁部68Sに面することなく離れている。
【0060】
本実施形態では、筒状部42cの端部である前端部68Fと前端部69Fとの前後方向の位置、及び端部である後端部68Rと後端部69Rとの前後方向の位置がずれている。そのため、第二の実施形態と同様に端子の加工状態に係らず、端子同士の絶縁性を確保することができる。
【0061】
以上、上述した各実施形態では、メスコネクタの端子を例に説明したがこの限りではなく、オスコネクタのオス型端子に対して各実施形態の構造を適用してもよい。例えば、第一の実施形態の筒状部42の前方側を細く絞込むことでメスコネクタの端子に挿入される接点を備えたオス型端子を製造することができる。この場合、端子の前端では外周部がオス型端子の接点となるため、当該接点となる外周部については、絶縁体のコーティングに代えて金メッキを施すとよい。
【符号の説明】
【0062】
10 メスコネクタ(コネクタ)、20 ハウジング、40 端子、
40a 第一端子(端子)、40b 第二端子(端子)、40c 端子、
42 筒状部、46 保持部、60 外周面(外周部)、62 絶縁体、
64F 前端部(端部)、64R 後端部(端部)、66F 前端部(端部)、
66R 後端部(端部)、68F 前端部(端部)、68R 後端部(端部)、
69F 前端部(端部)、69R 後端部(端部)、70 内周面、
72 金めっき層(金属層)、74 スズめっき層(金属層)、80 銅板(金属板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9