特開2019-220508(P2019-220508A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2019-220508エッチング方法及びプラズマ処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220508(P2019-220508A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】エッチング方法及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
   H01L21/302 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-114692(P2018-114692)
(22)【出願日】2018年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】清水 祐介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正彦
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB26
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA02
5F004DA03
5F004DA04
5F004DA23
5F004DA26
5F004DA27
5F004DB01
5F004EA04
5F004EA13
5F004EA28
5F004FA07
(57)【要約】
【課題】シリコン膜のエッチングを設計通りに行うことができる技術を提供する。
【解決手段】例示的実施形態に係る方法は、シリコン膜とシリコン膜上に設けられたマスクとを含む被加工物を準備する工程と、第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスクを用いてシリコン膜をエッチングする工程と、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程であり、酸化層はマスクの側壁面に沿って延在する第1領域及びシリコン膜上に延在する第2領域を含む、工程と、第1領域を残しつつ第2領域を除去するように酸化層をエッチングする工程と、第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスク及び第1領域を含む酸化層を用いてシリコン膜をエッチングする工程とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン膜と前記シリコン膜上に設けられたマスクとを含む被加工物を準備する工程と、
第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより前記マスクを用いて前記シリコン膜をエッチングする工程と、
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、前記シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程であり、前記酸化層は前記マスクの側壁面に沿って延在する第1領域及び前記シリコン膜上に延在する第2領域を含む、前記工程と、
前記第1領域を残しつつ前記第2領域を除去するように前記酸化層をエッチングする工程と、
第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより前記マスク及び前記第1領域を含む前記酸化層を用いて前記シリコン膜をエッチングする工程と、
を含むエッチング方法。
【請求項2】
前記シリコン膜の表面を前記酸化層に改質する工程は、前記被加工物に対してバイアス電力を印加しない、請求項1に記載のエッチング方法。
【請求項3】
前記シリコン膜の表面を前記酸化層に改質する工程と、前記酸化層をエッチングする工程と、前記マスク及び前記第1領域を含む前記酸化層を用いて前記シリコン膜をエッチングする工程とを繰り返し実行する、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
【請求項4】
前記マスクを用いて前記シリコン膜をエッチングする工程、前記シリコン膜の表面を前記酸化層に改質する工程、前記酸化層をエッチングする工程、及び、前記マスク及び前記第1領域を含む前記酸化層を用いて前記シリコン膜をエッチングする工程は、同一の処理容器内で、もしくは真空一貫の環境にて連続して行われる請求項1〜3の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項5】
シリコン膜と前記シリコン膜上に設けられたマスクとを含む被加工物を準備する工程と、
第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより前記マスクを用いて前記シリコン膜をエッチングする工程と、
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、前記シリコン膜の表面のうち前記マスクの側壁面に沿って延在する第1領域を酸化層に改質する工程と、
第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより前記マスク及び前記第1領域を含む前記酸化層を用いて前記シリコン膜をエッチングする工程と、
を含むエッチング方法。
【請求項6】
前記第1領域を前記酸化層に改質する工程は、前記被加工物に対してバイアス電力を印加する、請求項5に記載のエッチング方法。
【請求項7】
前記第1領域を前記酸化層に改質する工程において、前記シリコン膜の表面のうち前記シリコン膜上に延在する第2領域では、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより前記シリコン膜を前記酸化層へ改質する改質速度に比べて、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマから生成される第2のハロゲン原子を含有するイオンにより前記酸化層をエッチングするエッチング速度の方が速い、又は、前記改質速度と前記エッチング速度とは同一である、請求項5に記載のエッチング方法。
【請求項8】
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスは、酸素原子を含有するガスと、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスとの混合ガスである、請求項1〜7の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項9】
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスは、酸素原子を含有するガスと、水素原子を含有するガスと、第2のハロゲン原子を含有するガスとの混合ガスである、請求項1〜7の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項10】
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスは、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有する分子からなるガスである、請求項1〜7の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項11】
前記第2のハロゲン原子は、シリコン結晶の格子間距離よりも小さな原子半径を有する、請求項1〜10の何れか一項に記載のエッチング方法。
【請求項12】
シリコン膜と前記シリコン膜上に設けられたマスクとを含む被加工物をエッチングするプラズマ処理装置であって、
プラズマが生成される処理空間を画成する処理容器と、
前記処理空間内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器内に供給されるガスのプラズマを発生させるプラズマ発生源と、
前記ガス供給部及び前記プラズマ発生源を制御するコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより前記マスクを用いて前記シリコン膜をエッチングする工程と、
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、前記シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程であり、前記酸化層は前記マスクの側壁面に沿って延在する第1領域及び前記シリコン膜上に延在する第2領域を含む、前記工程と、
前記第1領域を残しつつ前記第2領域を除去するように前記酸化層をエッチングする工程と、
第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより前記マスク及び前記第1領域を含む前記酸化層を用いて前記シリコン膜をエッチングする工程と、
を実行するように構成された、プラズマ処理装置。
【請求項13】
前記シリコン膜の表面を前記酸化層に改質する工程は、前記被加工物に対してバイアス電力を印加しない、請求項12に記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
シリコン膜と前記シリコン膜上に設けられたマスクとを含む被加工物をエッチングするプラズマ処理装置であって、
プラズマが生成される処理空間を画成する処理容器と、
前記処理空間内に処理ガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器内に供給されるガスのプラズマを発生させるプラズマ発生源と、
前記ガス供給部及び前記プラズマ発生源を制御するコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより前記マスクを用いて前記シリコン膜をエッチングする工程と、
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、前記シリコン膜の表面のうち前記マスクの側壁面に沿って延在する第1領域を酸化層に改質する工程と、
第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより前記マスク及び前記第1領域を含む前記酸化層を用いて前記シリコン膜をエッチングする工程と、
を実行するように構成された、プラズマ処理装置。
【請求項15】
前記第1領域を前記酸化層に改質する工程は、前記被加工物に対してバイアス電力を印加する、請求項14に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、エッチング方法及びプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フィン型電界効果トランジスタのダミーゲートを形成するためのエッチング方法を開示する。この方法では、アモルファスシリコン(a-Si)で形成されたゲート材料を窒化シリコン(SiN)のマスクを用いてエッチングする。エッチングガスは、アルゴン(Ar)ガスと、臭化水素(HBr)ガスと、酸素(O)ガスとの混合ガスである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−37091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、シリコン膜のエッチングを設計通りに行うことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態に係るエッチング方法は、シリコン膜とシリコン膜上に設けられたマスクとを含む被加工物を準備する工程と、第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスクを用いてシリコン膜をエッチングする工程と、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程であり、酸化層はマスクの側壁面に沿って延在する第1領域及びシリコン膜上に延在する第2領域を含む、工程と、第1領域を残しつつ第2領域を除去するように酸化層をエッチングする工程と、第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスク及び第1領域を含む酸化層を用いてシリコン膜をエッチングする工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態に係るエッチング方法によれば、シリコン膜のエッチングを設計通りに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。
図2図2は、図1に示されるエッチング方法の実行に用いることが可能なプラズマ処理装置を例示する図である。
図3図3は、図1に示されるエッチング方法が適用され得る一例の被加工物の断面図である。
図4図4は、第1エッチング工程を行った一例の被加工物の断面図である。
図5図5は、保護膜形成工程を行った一例の被加工物の断面図である。
図6図6は、保護膜エッチング工程を行った一例の被加工物の断面図である。
図7図7は、第2エッチング工程を行った一例の被加工物の断面図である。
図8図8は、酸素ラジカルのみを用いたシリコン膜の酸化の原理を説明する図である。
図9図9は、酸素ラジカルのみを用いたシリコン膜の酸化の原理を説明する図である。
図10図10は、酸素ラジカルのみを用いたシリコン膜の酸化の原理を説明する図である。
図11図11は、酸素ラジカル、フッ素ラジカル及び水素ラジカルを用いたシリコン膜の酸化の原理を説明する図である。
図12図12は、酸素ラジカル、フッ素ラジカル及び水素ラジカルを用いたシリコン膜の酸化の原理を説明する図である。
図13図13は、酸素ラジカル、フッ素ラジカル及び水素ラジカルを用いたシリコン膜の酸化の原理を説明する図である。
図14図14は、マスク直下からの深さDPとCD差との関係をガス種ごとに示すグラフである。
図15図15は、酸化層の膜厚をガス種ごとに示すグラフである。
図16図16は、酸化層の膜密度をガス種ごとに示すグラフである。
図17図17は、酸素ガスのプラズマを用いて酸化を行ったシリコン膜の深さと組成との関係を示すグラフである。
図18図18は、酸素ガス及び水素ガスのプラズマを用いて酸化を行ったシリコン膜の深さと組成との関係を示すグラフである。
図19図19は、酸素ガス及びフルオロメタンガスのプラズマを用いて酸化を行ったシリコン膜の深さと組成との関係を示すグラフである。
図20図20は、マスク直下からの深さDPと酸化膜厚の差分との関係をガス種ごとに示すグラフである。
図21図21は、マスク直下からの深さDPと酸化膜厚の差分との関係をフルオロメタンガスの流量ごとに示すグラフである。
図22図22は、マスク直下からの深さDPと酸化膜厚の差分との関係を酸素ガスの流量ごとに示すグラフである。
図23図23は、酸素ガスのプラズマを用いて酸化を行った場合のステップ時間と酸化膜厚との関係をマスク直下からの深さDPごとに示すグラフである。
図24図22は、酸素ガス及びフルオロメタンガスのプラズマを用いて酸化を行った場合のステップ時間と酸化膜厚との関係をマスク直下からの深さDPごとに示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、種々の例示的実施形態について説明する。
【0009】
ガスのプラズマによりマスクを用いてシリコン膜をエッチングする場合、マスクパターンによってはエッチングしにくい箇所がある。例えば、パターンの隅などのマスク端の下方に位置するシリコン膜の領域は、エッチングがされにくく、裾引き形状となる。シリコン膜の裾引き形状を改善するために、オーバーエッチングを行うことが考えられる。オーバーエッチングとは、ジャストエッチングに対して長い時間のエッチングを行うことである。ジャストエッチングとは、シリコン膜がエッチングされて消失し、その下地層表面が出現したときにエッチングを終了することである。オーバーエッチングによってエッチング量を増加させることで、マスク端の下方のシリコン膜の裾引き形状は、改善することができる。
【0010】
しかしながら、オーバーエッチングによってエッチング量を増加させた場合、シリコン膜の横方向にもエッチングが進行する。このため、シリコン膜は、ボーイング形状となるおそれがある。このように、マスク端の下方のシリコン膜の裾引き形状の改善とボーイング形状の回避とはトレードオフの関係にある。
【0011】
一つの例示的実施形態によれば、エッチング方法が提供される。一つの例示的実施形態に係るエッチング方法は、シリコン膜とシリコン膜上に設けられたマスクとを含む被加工物を準備する工程と、第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスクを用いてシリコン膜をエッチングする工程と、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程であり、酸化層はマスクの側壁面に沿って延在する第1領域及びシリコン膜上に延在する第2領域を含む、工程と、第1領域を残しつつ第2領域を除去するように酸化層をエッチングする工程と、第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスク及び第1領域を含む酸化層を用いてシリコン膜をエッチングする工程と、を含む。
【0012】
このエッチング方法においては、シリコン膜のエッチングの途中においてシリコン膜の表面を酸化層に改質する工程を含む。この工程は、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマが用いられる。酸素ラジカルはシリコン膜の表面を酸化する。このとき、第2のハロゲン原子のラジカルは、シリコン膜の表面からシリコン結晶の内部に侵入する。侵入した第2のハロゲン原子のラジカルは、Si−Si結合を切断し、シリコンと結合し、もしくはシリコンの未結合手を作り出す。酸素ラジカルは、第2のハロゲン原子のラジカルによって切断されたシリコンの未結合手に結合することができる。このため、酸素ラジカルは、第2のハロゲン原子のラジカルを用いることで、より深い位置でシリコンと結合することができる。これにより、シリコン膜の表面を、より深い位置まで改質することができる。
【0013】
水素ラジカルは、処理容器側壁などに残留して再解離する余剰なハロゲン原子や、膜中に取り込まれてしまう第2のハロゲン原子を、スカベンジすることができる。つまり、水素ラジカルは、ハロゲン原子を含まない酸化層を形成することができる。その結果、ハロゲン原子のラジカルに対して耐エッチング性が高い酸化膜が形成される。
【0014】
上述したような純度が高くかつ厚い酸化層が、マスク端の下方のシリコンの側壁(第1領域)に形成される。形成された酸化膜は側壁保護膜となるため、横方向にエッチングが進行することが抑制される。よって、このエッチング方法によれば、シリコン膜のエッチングを設計通りに行うことができる。
【0015】
一つの例示的実施形態において、エッチング方法は、シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程と、酸化層をエッチングする工程と、マスク及び第1領域を含む酸化層を用いてシリコン膜をエッチングする工程とを繰り返し実行してもよい。この場合、側壁保護とエッチングとを繰り返し実行することになる。よって、このエッチング方法は、異常形状を抑えつつ、より深い位置までエッチングすることができる。
【0016】
一つの例示的実施形態において、シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程は、被加工物に対してバイアス電力を印加しなくてもよい。この場合、被加工物へのイオンの引き込みが発生しないので、垂直方向への異方性が緩和し、第1領域を形成しやすくすることができる。
【0017】
一つの例示的実施形態において、マスクを用いてシリコン膜をエッチングする工程、シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程、酸化層をエッチングする工程、及び、マスク及び第1領域を含む酸化層を用いてシリコン膜をエッチングする工程は、同一の処理容器内で連続して行われてもよい。この場合、このエッチング方法は、処理容器の外に一度も被加工物を搬出することなく、また途中で被加工物が大気に晒されることなく、エッチングを完了することができる。
【0018】
一つの例示的実施形態において、マスクを用いてシリコン膜をエッチングする工程、シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程、酸化層をエッチングする工程、及び、マスク及び第1領域を含む酸化層を用いてシリコン膜をエッチングする工程は、真空一貫の環境において被加工物を搬送することによって異なる処理容器内で連続して行われてもよい。この場合、このエッチング方法は、途中で被処理体が大気に晒されることなく、エッチングを完了することができる。
【0019】
別の例示的実施形態によれば、エッチング方法が提供される。エッチング方法は、シリコン膜とシリコン膜上に設けられたマスクとを含む被加工物を準備する工程と、第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスクを用いてシリコン膜をエッチングする工程と、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、シリコン膜の表面のうちマスクの側壁面に沿って延在する第1領域を酸化層に改質する工程と、第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスク及び第1領域を含む酸化層を用いてシリコン膜をエッチングする工程と、を含む。
【0020】
別の例示的実施形態において、第1領域を酸化層に改質する工程は、被加工物に対してバイアス電力を印加してもよい。この場合、被加工物へのイオンの引き込みが発生する。酸化層はマスクの側壁面に沿って延在する第1領域及びシリコン膜上に延在する第2領域を含むものの、第2領域はイオンによってすぐにエッチングされて除去される。つまり、別の例示的実施形態によれば、第2領域を除去する工程を省略することができる。
【0021】
第1領域を酸化層に改質する工程において、シリコン膜の表面のうちシリコン膜上に延在する第2領域では、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりシリコン膜を酸化層へ改質する改質速度に比べて、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマから生成される第2のハロゲン原子を含有するイオンにより酸化層をエッチングするエッチング速度の方が速い、又は、改質速度とエッチング速度とは同一であってもよい。
【0022】
一つ又は別の例示的実施形態において、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスは、酸素原子を含有するガスと、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスとの混合ガスであってもよい。
【0023】
一つ又は別の例示的実施形態において、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスは、酸素原子を含有するガスと、水素原子を含有するガスと、第2のハロゲン原子を含有するガスとの混合ガスであってもよい。
【0024】
一つ又は別の例示的実施形態において、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスは、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有する分子からなるガスであってもよい。
【0025】
一つ又は別の例示的実施形態において、第2のハロゲン原子は、シリコン結晶の格子間距離よりも小さな原子半径を有してもよい。この場合、第2のハロゲン原子のラジカルは、シリコン膜の表面からシリコン結晶の内部に侵入することができる。
【0026】
さらに別の例示的実施形態によれば、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、プラズマが生成される処理空間を画成する処理容器と、処理空間内に処理ガスを供給するガス供給部と、処理容器内に供給されるガスのプラズマを発生させるプラズマ発生源と、ガス供給部及びプラズマ発生源を制御するコントローラとを備え、コントローラは、第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスクを用いてシリコン膜をエッチングする工程と、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、シリコン膜の表面を酸化層に改質する工程であり、酸化層はマスクの側壁面に沿って延在する第1領域及びシリコン膜上に延在する第2領域を含む、工程と、第1領域を残しつつ第2領域を除去するように酸化層をエッチングする工程と、第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスク及び第1領域を含む酸化層を用いてシリコン膜をエッチングする工程と、を実行するように構成される。
【0027】
さらに別の例示的実施形態によれば、プラズマ処理装置が提供される。プラズマ処理装置は、プラズマ処理装置は、プラズマが生成される処理空間を画成する処理容器と、処理空間内に処理ガスを供給するガス供給部と、処理容器内に供給されるガスのプラズマを発生させるプラズマ発生源と、ガス供給部及びプラズマ発生源を制御するコントローラとを備え、コントローラは、第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスクを用いてシリコン膜をエッチングする工程と、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、シリコン膜の表面のうちマスクの側壁面に沿って延在する第1領域を酸化層に改質する工程と、第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスク及び第1領域を含む酸化層を用いてシリコン膜をエッチングする工程と、を実行するように構成される。
【0028】
さらに別の例示的実施形態において、第1領域を酸化層に改質する工程は、被加工物に対してバイアス電力を印加してもよい。
【0029】
上述したさらに別の例示的実施形態によれば、一つ又は別の例示的実施形態と同一の効果を奏する。
【0030】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0031】
(エッチング方法の概要)
図1は、一つの例示的実施形態に係るエッチング方法のフローチャートである。図1に示されるエッチング方法(以下、「方法MT」という)は、シリコン膜をエッチングするために実行される。シリコン膜とは、シリコン(Si)で形成された膜である。シリコンはアモルファスシリコンであってもよい。シリコンは、単結晶シリコンや多結晶シリコンでもよい。
【0032】
方法MTの実行には、プラズマ処理装置が用いられる。図2は、方法MTの実行に用いることが可能な一例のプラズマ処理装置を概略的に示す図である。図2に示されるように、プラズマ処理装置10は、処理容器12を備えている。処理容器12は、被加工物W(ウエハ)を収容するための処理空間Sを画成している。処理容器12は、側壁12a、底部12b、及び、天部12cを含み得る。
【0033】
側壁12aは、軸線Zが延びる方向(以下、「軸線Z方向」という)に延在する略円筒形状を有している。側壁12aの内径は、例えば、540mmである。底部12bは、側壁12aの下端側に設けられている。側壁12aの上端部は開口している。側壁12aの上端部開口は、誘電体窓18によって閉じられている。誘電体窓18は、側壁12aの上端部と天部12cとの間に狭持されている。この誘電体窓18と側壁12aの上端部との間には封止部材SL1が介在していてもよい。封止部材SL1は、例えばOリングであり、処理容器12の密閉に寄与する。
【0034】
プラズマ処理装置10は、載置台20を更に備えている。載置台20は、処理容器12内且つ誘電体窓18の下方に設けられている。この載置台20は、プレート22、及び、静電チャック24を含んでいる。
【0035】
プレート22は、略円盤状の金属製の部材であり、例えば、アルミニウムから構成されている。プレート22は、筒状の支持部SP1によって支持されている。支持部SP1は、底部12bから垂直上方に延びている。プレート22は、高周波電極を兼ねている。プレート22は、マッチングユニットMU及び給電棒PFRを介して、高周波バイアス電力を発生する高周波電源RFGに電気的に接続されている。高周波電源RFGは、被加工物Wに引き込むイオンのエネルギーを制御するのに適した一定の周波数、例えば、13.56MHzでバイアス電力を出力する。さらに、高周波電源RFGは、電力ONと電力OFFとを繰り返すことにより、パルス変調させたバイアス電力を出力可能に構成されている。パルス変調の周波数は、例えば10〜250Hzの範囲で可変としてもよく、また、パルス変調の周波数における1周期の時間に対する電力ONの時間の比率(デューティー比)を可変としてもよい。マッチングユニットMUは、高周波電源RFG側のインピーダンスと、主に電極、プラズマ、処理容器12といった負荷側のインピーダンスとの間で整合をとるための整合器を収容している。この整合器の中に自己バイアス生成用のブロッキングコンデンサが含まれている。
【0036】
プレート22の上面には、静電チャック24が設けられている。静電チャック24は、ベースプレート24a及びチャック部24bを含んでいる。ベースプレート24aは、略円盤状の金属製の部材であり、例えば、アルミニウムから構成されている。ベースプレート24aは、プレート22上に設けられている。ベースプレート24aの上面にはチャック部24bが設けられている。チャック部24bの上面は、被加工物Wを載置するための載置領域MRとなる。チャック部24bは、被加工物Wを静電吸着力で保持する。チャック部24bは、誘電体膜の間に挟まれた電極膜を含んでいる。チャック部24bの電極膜には、直流電源DSCがスイッチSW及び被覆線CLを介して電気的に接続されている。チャック部24bは、直流電源DSCから印加される直流電圧により発生するクーロン力によって、その上面に被加工物Wを吸着保持することができる。このチャック部24bの径方向外側には、被加工物Wのエッジを環状に囲むフォーカスリングFRが設けられている。
【0037】
ベースプレート24aの内部には、周方向に延びる環状の冷媒室24gが設けられている。この冷媒室24gには、チラーユニットから配管PP1,PP3を介して所定の温度の冷媒、例えば、冷却水が循環供給される。チャック部24b上の被加工物Wの処理温度は、冷媒の温度によって制御され得る。さらに、伝熱ガス供給部からの伝熱ガス、例えば、Heガスが供給管PP2を介してチャック部24bの上面と被加工物Wの裏面との間に供給される。
【0038】
載置台20の周囲には、環状の排気路VLが設けられている。排気路VLの軸線Z方向における中間には、複数の貫通孔が形成された環状のバッフル板26が設けられている。排気路VLは、排気口28hを提供する排気管28に接続している。排気管28は、処理容器12の底部12bに取り付けられている。排気管28には、排気装置30が接続されている。排気装置30は、圧力調整器、及びターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有している。この排気装置30により、処理容器12内の処理空間Sを所望の真空度まで減圧することができる。また、排気装置30を動作させることにより、載置台20の外周から排気路VLを介してガスを排気することができる。
【0039】
また、プラズマ処理装置10は、温度制御機構として、ヒータHT、HS、HC、及び、HEを更に備え得る。ヒータHTは、天部12c内に設けられており、アンテナ14を囲むように、環状に延在している。また、ヒータHSは、側壁12a内に設けられており、環状に延在している。ヒータHCは、ベースプレート24a内に設けられている。ヒータHCは、ベースプレート24a内において、上述した載置領域MRの中央部分の下方、即ち軸線Zに交差する領域に設けられている。また、ヒータHEは、ベースプレート24a内に設けられており、ヒータHCを囲むように環状に延在している。ヒータHEは、上述した載置領域MRの外縁部分の下方に設けられている。
【0040】
また、プラズマ処理装置10は、アンテナ14、同軸導波管16、誘電体窓18、マイクロ波発生器32、チューナ34、導波管36、及び、モード変換器38を更に備え得る。マイクロ波発生器32は、例えば2.45GHzの周波数のマイクロ波を発生する。マイクロ波発生器32は、チューナ34、導波管36、及びモード変換器38を介して、同軸導波管16の上部に接続されている。同軸導波管16は、その中心軸線である軸線Zに沿って延在している。ひとつの例示的な実施形態においては、載置台20の載置領域MRの中心は、軸線Z上に位置している。
【0041】
同軸導波管16は、外側導体16a及び内側導体16bを含んでいる。外側導体16aは、軸線Z中心に延在する円筒形状を有している。外側導体16aの下端は、導電性の表面を有する冷却ジャケット40の上部に電気的に接続され得る。内側導体16bは、外側導体16aの内側において、当該外側導体16aと同軸に設けられている。内側導体16bは、軸線Z中心に延在する円筒形状を有している。内側導体16bの下端は、アンテナ14のスロット板44に接続している。
【0042】
ひとつの例示的な実施形態においては、アンテナ14は、ラジアルラインスロットアンテナである。このアンテナ14は、天部12cに形成された開口内に配置されており、誘電体窓18の上面の上に設けられている。アンテナ14は、誘電体板42及びスロット板44を含んでいる。誘電体板42は、マイクロ波の波長を短縮させるものであり、略円盤形状を有している。誘電体板42は、例えば、石英又はアルミナから構成される。誘電体板42は、スロット板44と冷却ジャケット40の下面の間に狭持されている。アンテナ14は、したがって、誘電体板42、スロット板44、及び、冷却ジャケット40の下面によって構成され得る。
【0043】
スロット板44は、薄板状であって、円盤状である。スロット板44の板厚方向の両面は、それぞれ平らである。円形のスロット板44の中心は、軸線Z上に位置している。スロット板44には、複数のスロット対が設けられている。複数のスロット対の各々は、板厚方向に貫通する二つのスロット孔を含んでいる。スロット孔それぞれの平面形状は、長孔形状である。各スロット対において、スロット孔の長軸が延びる方向と、スロット孔の長軸が延びる方向は、互いに交差又は直交している。
【0044】
誘電体窓18は、略円盤形状を有し、石英又はアルミナといった誘電体から構成されている。誘電体窓18の上面上には、スロット板44が設けられている。
【0045】
誘電体窓18の中央には、貫通孔が形成されている。貫通孔の上側部分は、後述する中央導入部50のインジェクタ50bが収容される空間となり、下側部分は、後述する中央導入部50の中央導入口18iとなる。なお、誘電体窓18の中心軸線は、軸線Zと一致している。
【0046】
誘電体窓の下面は、処理空間Sに接しており、プラズマを生成する側の面となる。この下面18bは、種々の形状を画成している。具体的に、下面は、中央導入口18iを囲む中央領域において、平坦面を有している。この平坦面は、軸線Zに直交する平坦な面である。下面は、平坦面の径方向外側領域において、環状に連なり誘電体窓18の板厚方向内方側に向かってテーパー状に凹む環状の第1凹部181を画成している。また、下面は、平坦面から板厚方向内方側に向かって凹む複数の第2凹部182を画成している。
【0047】
プラズマ処理装置10では、マイクロ波発生器32により発生されたマイクロ波が、同軸導波管16を通って、誘電体板42に伝播され、スロット板44のスロット孔44a及び44bから誘電体窓18に与えられる。
【0048】
誘電体窓18では、第1凹部181を画成する部分の板厚、及び、第2凹部182を画成する部分の板厚は、他の部分よりも薄くなっている。したがって、誘電体窓18では、第1凹部181を画成する部分、及び、第2凹部182を画成する部分において、マイクロ波の透過性が高められている。第1凹部181及び第2凹部182にマイクロ波の電界が集中して、当該第1凹部181及び第2凹部182にマイクロ波のエネルギーが集中する。その結果、第1凹部181及び第2凹部182において、プラズマを安定して発生させることが可能となり、誘電体窓18の直下において径方向及び周方向に分布したプラズマを安定して発生させることが可能となる。
【0049】
また、プラズマ処理装置10は、中央導入部50及び周辺導入部52を備えている。中央導入部50は、導管50a、インジェクタ50b、及び中央導入口18iを含んでいる。導管50aは、同軸導波管16の内側導体16bの内孔に通されている。また、導管50aの端部は、誘電体窓18が軸線Zに沿って画成する空間内まで延在している。この空間内且つ導管50aの端部の下方には、インジェクタ50bが収容されている。インジェクタ50bには、軸線Z方向に延びる複数の貫通孔が設けられている。また、誘電体窓18は、中央導入口18iを画成している。中央導入口18iは、空間18sの下方に連続し、且つ軸線Zに沿って延びている。かかる構成の中央導入部50は、導管50aを介してインジェクタ50bにガスを供給し、インジェクタ50bから中央導入口18iを介してガスを噴射する。このように、中央導入部50は、軸線Zに沿って誘電体窓18の直下にガスを噴射する。即ち、中央導入部50は、電子温度が高いプラズマ生成領域にガスを導入する。
【0050】
周辺導入部52は、複数の周辺導入口52iを含んでいる。複数の周辺導入口52iは、主として被加工物Wのエッジ領域にガスを供給する。複数の周辺導入口52iは、被加工物Wのエッジ領域、又は、載置領域MRの縁部に向けて開口している。複数の周辺導入口52iは、中央導入口18iよりも下方、且つ、載置台20の上方において周方向に沿って配列されている。即ち、複数の周辺導入口52iは、誘電体窓の直下よりも電子温度の低い領域(プラズマ拡散領域)において軸線Zを中心として環状に配列されている。この周辺導入部52は、電子温度の低い領域から被加工物Wに向けてガスを供給する。したがって、周辺導入部52から処理空間Sに導入されるガスの解離度は、中央導入部50から処理空間Sに供給されるガスの解離度よりも抑制される。
【0051】
中央導入部50には、第1の流量制御ユニット群FCG1を介して第1のガスソース群GSG1が接続されている。また、周辺導入部52には、第2の流量制御ユニット群FCG2を介して第2のガスソース群GSG2が接続されている。
【0052】
第1のガスソース群GSG1は、複数の第1のガスソースを含んでいる。複数の第1のガスソースは、アルゴンガスのソース及びヘリウム(He)ガスのソースを含み得る。複数の第1のガスソースは、酸素原子を含有するガスのソースを含み得る。酸素原子を含有するガスの一例は、酸素ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO)ガス又はオゾン(O)ガスである。複数の第1のガスソースは、水素原子を含有するガスのソースを含み得る。水素原子を含有するガスの一例は、水素ガス、ハイドロカーボン系ガス(CH、C、Cなど)である。
【0053】
複数の第1のガスソースは、第1のハロゲン原子を含有するガスのソースを含み得る。第1のハロゲン原子は、ハロゲン原子であれば特に限定されない。第1のハロゲン原子の一例は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)などである。第1のハロゲン原子を含有するガスの一例は、フッ化炭素(CF)ガス、塩素(Cl)ガス、臭化水素(HBr)ガスなどである。
【0054】
複数の第1のガスソースは、第2のハロゲン原子を含有するガスのソースを含み得る。第2のハロゲン原子は、ハロゲン原子であれば特に限定されない。第2のハロゲン原子は、シリコン結晶の格子間距離よりも小さな原子半径を有し得る。第2のハロゲン原子の一例は、フッ素(F)である。第2のハロゲン原子を含有するガスの一例は、フッ化窒素(NF)ガス、フッ化炭素ガス、フッ素ガス(F)、フッ化キセノン(XeF)などである。
【0055】
複数の第1のガスソースは、第3のハロゲン原子を含有するガスのソースを含み得る。第3のハロゲン原子は、ハロゲン原子であれば特に限定されない。第3のハロゲン原子の一例は、フッ素、塩素、臭素などである。第3のハロゲン原子を含有するガスの一例は、フッ化炭素ガス、塩素ガス、臭化水素ガス、フルオロメタンガスなどである。
【0056】
複数の第1のガスソースは、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのソースを含み得る。水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスの一例は、ハイドロフルオロカーボン(C)ガスである。x、y、zは1以上の整数であり得る。yはzよりも大きくてもよい。このようなガスの一例としては、フルオロメタン(CHF)ガス、Cガスなどである。
【0057】
複数の第1のガスソースは、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有する分子からなるガスのソースを含み得る。酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有する分子の一例は、COである。x、y、zは1以上の整数であり得る。
【0058】
第1のガスソース群GSG1は、上述したガスとは異なるガスのソースを更に含んでいてもよい。
【0059】
第1の流量制御ユニット群FCG1は、バルブと流量制御器とを含んでいる。流量制御器は、例えば、マスフローコントローラである。複数の第1のガスソースはそれぞれ、バルブと流量制御器とを介して、共通ガスラインGL1に接続されている。この共通ガスラインGL1は、中央導入部50に接続されている。
【0060】
第2のガスソース群GSG2は、複数の第2のガスソースを含んでいる。第2のガスソースは、第1のガスソースにおいて例示されたガスのソースを含み得る。第2のガスソース群GSG2は、第1のガスソースのガスとは異なるガスのソースを更に含んでいてもよい。
【0061】
第2の流量制御ユニット群FCG2は、バルブと流量制御器とを含んでいる。流量制御器は、例えば、マスフローコントローラである。複数の第2のガスソースはそれぞれ、バルブと流量制御器とを介して、共通ガスラインGL2に接続されている。この共通ガスラインGL2は、周辺導入部52に接続されている。
【0062】
このように、プラズマ処理装置10では、複数の第1のガスソース及び複数の第1の流量制御ユニットが中央導入部50専用に設けられている。そして、これら複数の第1のガスソース及び複数の第1の流量制御ユニットとは独立した複数の第2のガスソース及び複数の第2の流量制御ユニットが周辺導入部52専用に設けられている。したがって、中央導入部50から処理空間Sに導入されるガスの種類、中央導入部50から処理空間Sに導入される一以上のガスの流量を独立して制御することができる。また、周辺導入部52から処理空間Sに導入されるガスの種類、周辺導入部52から処理空間Sに導入される一以上のガスの流量を独立して制御することができる。
【0063】
ひとつの例示的な実施形態においては、プラズマ処理装置10は、図2に示されるように、制御部Cnt(コントローラの一例)を更に備え得る。制御部Cntは、プログラム可能なコンピュータ装置といった制御器であり得る。制御部Cntは、レシピに基づくプログラムに従ってプラズマ処理装置10の各部を制御し得る。例えば、制御部Cntは、複数の第1の流量制御ユニット群FCG1に制御信号を送出して、中央導入部50に供給するガス種及びガスの流量を調整することができる。また、制御部Cntは、複数の第2の流量制御ユニット群FCG2に制御信号を送出して、周辺導入部52に供給するガス種及びガスの流量を調整することができる。また、制御部Cntは、マイクロ波のパワー、RFバイアスのパワー及びON/OFF、並びに、処理容器12内の圧力を制御するよう、マイクロ波発生器32、高周波電源RFG、排気装置30に制御信号を供給し得る。さらに、制御部Cntは、ヒータHT、HS、HC、及びHEの温度を調整するために、これらヒータに接続されたヒータ電源に制御信号を送出し得る。
【0064】
ひとつの例示的な実施形態においては、制御部Cntは、RFバイアス電力のON/OFFの比を調整し、パルス状のRFバイアス電力を生成し得る。RFバイアス電力のOFF時間を設けない場合には、一定のバイアス電圧が時間に依存することなく連続的に印加される。パルス状に印加された場合には、ON時間のみ一定のバイアス電圧が印加される。すなわち、ON時間のみウエハ側へイオンが引き込まれてエッチングが行われる。そして、OFF時間には、バイアス電力が0となる。すなわち、OFF時間は、エッチングが行われず、エッチングにより生成された副生成物が排気される。上述したON時間とOFF時間とか繰り返すことでRFバイアス電力がパルス変調される。
【0065】
パルス変調されたバイアス電力は、1つのON時間と該ON時間に連続した1つのOFF時間とからなる周期を有する。ここでは、周期に占めるON時間の比をデューティー比という。制御部Cntは、例えばデューティー比が50%以下となるようにパルス変調し得る。なお、デューティー比が0の場合には、エッチングが行われないことになる。このため、制御部Cntは、例えばデューティー比が0%よりも大きくなるようにパルス変調し得る。あるいは、制御部Cntは、例えばデューティー比が5%以上50%以下の範囲となるようにパルス変調し得る。なお、デューティー比が100%のときは、連続的なバイアス電圧となる。
【0066】
ひとつの例示的な実施形態においては、周辺導入部52は、環状の管52pを更に含む。この管52pには、複数の周辺導入口52iが形成されている。環状の管52pは、例えば、石英から構成され得る。図2に示されるように、環状の管52pは、ひとつの例示的な実施形態においては、側壁12aの内壁面に沿って設けられている。換言すると、環状の管52pは、誘電体窓18の下面と載置領域MR、即ち被加工物Wとを結ぶ経路上には配置されていない。したがって、環状の管52pは、プラズマの拡散を阻害しない。また、環状の管52pが側壁12aの内壁面に沿って設けられているので、当該環状の管52pのプラズマによる消耗が抑制され、当該環状の管52pの交換頻度を減少させることが可能となる。さらに、環状の管52pは、ヒータによる温度制御が可能な側壁12aに沿って設けられているので、周辺導入部52から処理空間Sに導入されるガスの温度の安定性を向上させることが可能となる。
【0067】
また、ひとつの例示的な実施形態においては、複数の周辺導入口52iは、被加工物Wのエッジ領域に向けて開口している。即ち、複数の周辺導入口52iは、被加工物Wのエッジ領域に向けてガスを噴射するよう、軸線Zに直交する平面に対して傾斜している。このように周辺導入口52iが、被加工物Wのエッジ領域に向けて傾斜するように開口しているので、当該周辺導入口52iから噴射されたガスの活性種は、被加工物Wのエッジ領域に直接的に向かう。これにより、ガスの活性種を被加工物Wのエッジに失活させずに供給することが可能となる。その結果、被加工物Wの径方向における各領域の処理速度のばらつきを低減することが可能となる。
【0068】
図3は、方法MTが適用され得る一例の被加工物の断面図である。図3に示される被加工物Wは、基板L1、シリコン酸化膜L2、シリコン膜L3及びマスクMKを有する。シリコン膜L3は、エッチング対象の膜である。
【0069】
基板L1は、例えばシリコンで形成される。基板L1上には、シリコン酸化膜L2が設けられる。シリコン酸化膜L2の厚さの一例は、30nmである。シリコン膜L3は、シリコン酸化膜L2上に設けられる。シリコン膜L3の厚さの一例は、150 nmである。マスクMKは、シリコン膜L3と選択比を確保できる材料で形成される。材料の一例は、窒化シリコンである。マスクMKの厚さの一例は、50nmである。なお、図3に示した被加工物Wの構成、材料、及び上述の各層の厚さは一例であり、方法MTの適用対象は図2に示した被加工物Wに限定されない。
【0070】
以下、再び図1を参照して方法MTについて詳細に説明する。ここでは、図2に示されるプラズマ処理装置10を用いて、図3に示される被加工物Wがエッチングされる例について説明する。図1に示されるように、方法MTは、準備工程(S10)、除去工程(S12)、第1エッチング工程(S14)、保護膜形成工程(S16)、保護膜エッチング工程(S18)、及び、第2エッチング工程(S20)を含む。
【0071】
準備工程(S10)において、制御部Cntは被加工物Wを準備する。制御部Cntは、プラズマ処理装置10の処理容器12内、即ち、処理空間Sに被加工物Wを配置する。処理空間Sでは、被加工物Wは載置台20上に載置される。
【0072】
除去工程(S12)において、制御部Cntは、被加工物Wの表層に形成された自然酸化膜をプラズマエッチングにより除去する。エッチングガスの一例は、フッ化炭素ガスである。除去工程(S12)では、一例としてアルゴンガス及びフッ化炭素ガスの混合ガスが中央導入部50及び周辺導入部52から供給される。そして、マイクロ波発生器32により発生されたマイクロ波によりプラズマが生成される。制御部Cntは、被加工物W用のRFバイアスのパワーをONする。エッチングガスは、シリコン酸化膜を除去できるガスであれば、上述したガスに限定されない。
【0073】
第1エッチング工程(S14)において、制御部Cntは、第1のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスクMKを用いてシリコン膜L3をエッチングする。第1のハロゲン原子の一例は、フッ素、塩素、臭素などである。エッチングガスの一例は、フッ化炭素ガス、塩素ガス、臭化水素ガスなどである。第1エッチング工程(S14)では、一例として、アルゴンガス、塩素ガス及び酸素ガスの混合ガスが中央導入部50及び周辺導入部52から供給される。そして、マイクロ波発生器32により発生されたマイクロ波によりプラズマが生成される。制御部Cntは、被加工物W用のRFバイアスのパワーをONする。制御部Cntは、所定量のシリコン膜L3がエッチングされるように、ガス流量及びエッチング時間を制御する。所定量のシリコン膜L3は、例えばシリコン膜L3の厚さに対して10%〜90%の範囲の厚さである。図4は、第1エッチング工程を行った一例の被加工物の断面図である。図4に示されるように、シリコン膜L3に凹部が形成され、シリコン膜L3のエッチングは、途中で一旦終了する。
【0074】
保護膜形成工程(S16)において、制御部Cntは、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマにより、シリコン膜L3の表面を酸化層に改質する。第2のハロゲン原子の一例は、フッ素である。
【0075】
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスは、酸素原子を含有するガスと、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスとの混合ガスであってもよい。酸素原子を含有するガスの一例は、酸素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス又はオゾンガスである。水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスの一例は、ハイドロフルオロカーボン(C)ガスである。x、y、zは1以上の整数であり得る。yはzよりも大きくてもよい。このようなガスの一例としては、フルオロメタン(CHF)ガス、Cガスなどである。酸素原子を含有するガスに対するハイドロフルオロカーボンガスの比率は、酸素原子を含有するガスを1とすると、ハイドロフルオロカーボンガスは0.3〜1.8の範囲となる。
【0076】
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスは、酸素原子を含有するガスと、水素原子を含有するガスと、第2のハロゲン原子を含有するガスとの混合ガスであってもよい。酸素原子を含有するガスの一例は、酸素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス又はオゾンガスである。水素原子を含有するガスの一例は、水素ガス、ハイドロカーボン系ガス(CH、C、Cなど)である。第2のハロゲン原子を含有するガスの一例は、フッ化窒素ガス、フッ化炭素ガスなどである。
【0077】
酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスは、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有する分子からなるガスであってもよい。酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有する分子からなるガスの一例は、COガスである。x、y、zは1以上の整数であり得る。
【0078】
保護膜形成工程(S16)では、一例として、ヘリウム(He)ガス、酸素ガス、及びフルオロメタンガスの混合ガスが中央導入部50及び周辺導入部52から供給される。そして、マイクロ波発生器32により発生されたマイクロ波によりプラズマが生成される。これにより、シリコン膜L3の表面が酸化層に改質される。
【0079】
図5は、保護膜形成工程を行った一例の被加工物の断面図である。図5に示されるように、シリコン膜L3の表面が上述したガスのプラズマにより改質され、酸化層L4が形成される。酸化層L4は、マスクMKの側壁面に沿って延在する第1領域L41及びシリコン膜L3上に延在する第2領域L42を含む。
【0080】
保護膜形成工程(S16)において、制御部Cntは、被加工物W用のRFバイアスのパワーをOFFしてもよい。これにより、被加工物Wへのイオンの引き込みが発生しないので、垂直方向への異方性を緩和し、第1領域L41を形成しやすくすることができる。また、等方性の保護膜形成となるため、第1領域L41と第2領域L42は同程度に薄い膜厚となり、後述する保護膜エッチング工程(S18)において、第2領域L42の除去が容易となる。
【0081】
保護膜形成工程(S16)において、制御部Cntは、被加工物W用のRFバイアスのパワーをONしてもよい。被加工物Wに印加されたバイアスにより、フルオロメタンガスのプラズマから生成されるフルオロカーボンイオン(CF)が被加工物Wに引き込まれる。このため、酸素原子によって改質されたシリコン膜L3の表面の酸化層は、すぐさまフルオロカーボンイオン(CF)によってエッチングされる。これにより、保護膜形成工程(S16)終了後、酸化層L4の第2領域L42は形成されない。よって、後述する保護膜エッチング工程(S18)は省略することが可能である。この場合、酸素原子によって改質されるシリコン膜L3の表面の酸化層の生成レート(改質速度)と、フルオロカーボンイオン(CF)の引き込みによってエッチングされる酸化層のエッチングレート(エッチング速度)とは、ほぼ一致し得る。あるいは、エッチングレートは生成レートよりもやや速くてもよい。被加工物Wに印加されたバイアスによって被加工物Wに引き込まれたフルオロカーボンイオン(CF)は、被加工物Wに対して垂直方向への異方性を有する。このため、マスクMKの側壁面に沿って延在する第1領域L41の酸化層は、エッチングされることなく生成される。
【0082】
保護膜エッチング工程(S18)において、制御部Cntは、第1領域L41を残しつつ第2領域L42を除去するように酸化層L4をエッチングする。エッチングガスの一例は、フッ化炭素ガス及び塩素ガスの混合ガスである。保護膜エッチング工程(S18)では、一例として、アルゴンガス、フッ化炭素ガス及び塩素ガスの混合ガスが中央導入部50及び周辺導入部52から供給される。そして、マイクロ波発生器32により発生されたマイクロ波によりプラズマが生成される。制御部Cntは、被加工物W用のRFバイアスのパワーをONする。エッチングガスは、シリコン酸化膜を除去できるガスであれば、上述したガスに限定されない。
【0083】
図6は、保護膜エッチング工程を行った一例の被加工物の断面図である。図6に示されるように、酸化層L4は、第1領域L41のみを残し、第2領域L42はエッチングされる。これにより、シリコン膜L3に形成された凹部の底部の表面が露出する。
【0084】
第2エッチング工程(S20)において、制御部Cntは、第3のハロゲン原子を含有するガスのプラズマによりマスクMK及び第1領域L41を含む酸化層L4を用いてシリコン膜L3をエッチングする。第3のハロゲン原子の一例は、フッ素、塩素、臭素などである。エッチングガスの一例は、フッ化炭素ガス、塩素ガス、臭化水素ガス、フルオロメタンガスなどである。第2エッチング工程(S20)では、一例として、ヘリウムガス、二酸化炭素ガス、塩素ガス及びフルオロメタンガスの混合ガスが中央導入部50及び周辺導入部52から供給される。そして、マイクロ波発生器32により発生されたマイクロ波によりプラズマが生成される。制御部Cntは、被加工物W用のRFバイアスのパワーをONする。制御部Cntは、パルス変調されたバイアス電力を印加してもよい。
【0085】
図7は、第2エッチング工程を行った一例の被加工物の断面図である。図7に示されるように、シリコン膜L3は、垂直方向に設計値通りエッチングされる。側壁保護膜を形成することにより、シリコン膜L3のボーイング形状は改善される。以下の説明では、マスクMKからの深さをDP[nm]、マスクMKの直下のシリコン膜L3の幅をCD[nm]として説明する。
【0086】
方法MTにおいて、保護膜形成工程(S16)と、保護膜エッチング工程(S18)と、第2エッチング工程(S20)とは、繰り返し実行されてもよい。これにより、第2エッチング工程(S20)によって更に形成されたシリコン膜L3の凹部の表面にも酸化層L4の第1領域L41を保護膜として形成することができるため、シリコン膜L3のボーイング形状は一層改善される。
【0087】
方法MTに含まれる工程は、同一の処理容器内で連続して行われてもよい。また、方法MTに含まれる工程は、所定の工程のみ、他の処理容器内で行ってもよい。この場合、被加工物Wは真空一貫の環境において処理容器間を搬送され得る。真空一貫の環境ではなく、保護膜エッチング工程(S18)の後に被加工物Wが大気に晒されてしまうと、露出しているシリコン膜L3に形成された凹部の底部の表面に自然酸化膜が形成される。このため、第2エッチング工程(S20)を行う際、再度、除去工程(S12)と同様に被加工物Wの表層に形成された自然酸化膜をプラズマエッチングにより除去する必要があり、生産性の低減に繋がる。保護膜形成工程(S16)と保護膜エッチング工程(S18)においては、ガス条件にハロゲンが含まれている。このため、保護膜形成工程(S16)と保護膜エッチング工程(S18)の後に被加工物Wが大気に晒された場合、被加工物Wに付着している残留ハロゲンと大気中に含まれる水分とが反応し、被加工物Wが腐食するおそれがある。この場合、シリコン膜L3の幅や垂直形状が維持できなくなることもある。同一の処理容器内で連続して行われる場合は、被加工物Wが大気に晒されることはない。すなわち、方法MTに含まれる工程を同一の処理容器内で、もしくは真空一貫の環境にて連続して行われることによって、生産性の向上を図りつつ、所望のエッチング形状を得ることができる。
【0088】
(シリコン膜の酸化の原理:酸素ラジカルのみ)
最初に、酸素ガスのプラズマでシリコン膜の表面を酸化する場合を説明する。図8〜10は、酸素ラジカルのみを用いたシリコン膜の酸化の原理を説明する図である。図8に示されるように、シリコン膜は、Si-Si結合からなるシリコンの結晶格子を構成している。シリコン膜の表面Sfに酸素ガスから解離して生成された酸素ラジカルが吸着する。
【0089】
図9に示されるように、吸着した酸素ラジカルは、シリコン結晶の格子間距離よりも原子半径が小さいため、シリコン層の表面から深さ方向に侵入する。侵入した酸素ラジカルは、Si-Si結合を切断して未結合手(ダングリングボンド)を生成しながら、Si-O結合を形成する。処理容器12内には、水素やフッ素などの残留原子が存在しており、これらの原子も膜内に取り込まれる。このため、例えばSi-F結合も形成される。なお、酸化層L4の第1領域L41の表層に近い領域にSi−F結合が存在する場合、側壁保護膜としての効果が低減することが予想される。具体的には、次の工程である第2のエッチング工程(S20)において第3のハロゲン原子によってシリコンをエッチングする際に、酸化層L4の第1領域L41には予めハロゲンが含まれることになる。このため、酸化層L4の第1領域L41のエッチングが促進され、側壁保護膜としての効果が低減してしまうことが予想される。
【0090】
図10に示されるように、酸素を含む結合はO-Si-Oの結合で安定化する。フッ素は、Si-F結合を維持する。酸素ラジカルがシリコン膜の表面から深さ方向に侵入するが、侵入深さが深くなるにつれ、酸素ラジカルのエネルギーが減少し、Si-Si結合を切断するエネルギー以下になる一定の深さD1以上ではシリコン膜の酸化は促進されない。このため、酸化された層の厚さは、深さD1程度となる。
【0091】
(シリコン膜の酸化の原理:酸素ラジカル、フッ素ラジカル及び水素ラジカル)
次に、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマでシリコン膜の表面を酸化する場合を説明する。図11図13は、酸素ラジカル、フッ素ラジカル及び水素ラジカルを用いたシリコン膜の酸化の原理を説明する図である。図11に示されるように、シリコン膜は、Si-Si結合からなるシリコンの結晶格子を構成している。処理容器12内では、例えば、酸素ガスとフルオロメタンガスとの混合ガスのプラズマが生成される。これにより、酸素ガスとフルオロメタンガスから解離して、酸素ラジカル、フッ素ラジカル及び水素ラジカルが生成される。生成された酸素ラジカル、フッ素ラジカル及び水素ラジカルは、シリコン膜の表面Sfに吸着する。
【0092】
フッ素ラジカルは、シリコン結晶の格子間距離よりも原子半径が小さいため、シリコン層の表面から深さ方向に侵入する。その上で、フッ素ラジカルは、酸素ラジカルよりも電気陰性度が高く、シリコン膜の表面Sfに吸着するとシリコンの結晶格子から電子を引き抜きフッ素の負イオン(F)を形成する。その結果誘起される電界により、Fイオンは、結晶格子内部に比較的容易に侵入し、正に荷電したシリコンと反応する。このため、Fイオンは、Si-Si結合を切断しイオン性結合Si−Fを作る能力が高い。よって、図12に示されるように、フッ素ラジカルは、多くの未結合手(ダングリングボンド)とSi-F結合とを形成しながらシリコン膜の深くまで侵入する。生成された未結合手に対して酸素、水素、フッ素が結合し、Si-O結合、Si-H結合、Si-F結合が形成される。
【0093】
図13に示されるように、酸素を含む結合はO-Si-Oの結合で安定化する。シリコン膜内の表層のフッ素は、水素と結合してHFガスとして取り除かれる。このため、フッ素ラジカル及び水素ラジカルを含むプラズマであっても、シリコン膜の表層にフッ素は少ない。シリコン膜の表層は、シリコン及び酸素が主となった純度が高く品質の良い酸化膜となる。また、酸素ラジカルは侵入深さが深くなるにつれ、酸素ラジカルのエネルギーが減少するものの、フッ素ラジカルによって深い位置まで未結合手(ダングリングボンド)が生成されている。このため、酸素ラジカルのエネルギーが低くてもSi-O結合を形成することができる。よって、酸化された層の厚さは、深さD1よりも深い深さD2程度となる。
【0094】
(実施形態のまとめ)
以上、例示的実施形態に係る方法MT及びプラズマ処理装置10によれば、シリコン膜L3のエッチングの途中においてシリコン膜L3の表面を酸化層L4に改質する保護膜形成工程(S16)が実行される。保護膜形成工程(S16)は、酸素原子、水素原子及び第2のハロゲン原子を含有するガスのプラズマが用いられる。酸素ラジカルはシリコン膜L3の表面を酸化する。このとき、第2のハロゲン原子のラジカルは、シリコン膜L3の表面からシリコン結晶の内部に侵入する。侵入した第2のハロゲン原子のラジカルは、Si−Si結合を切断し、シリコンと結合し、もしくはシリコンの未結合手を作り出す。酸素ラジカルは、第2のハロゲン原子のラジカルによって切断されたシリコンの未結合手に結合することができる。このため、酸素ラジカルは、第2のハロゲン原子のラジカルを用いることで、より深い位置でシリコンと結合することができる。これにより、シリコン膜L3の表面を、より深い位置まで改質することができる。
【0095】
水素ラジカルは、処理容器側壁などに残留して再解離する余剰なハロゲン原子や、膜中に取り込まれてしまう第2のハロゲン原子を、スカベンジすることができる。つまり、水素ラジカルは、ハロゲン原子を含まない酸化層L4を形成することができる。その結果、ハロゲン原子のラジカルに対して耐エッチング性が高い酸化膜が形成される。
【0096】
上述したような純度が高くかつ厚い酸化層L4が、マスクMK端の下方のシリコンの側壁(第2領域)に形成される。形成された酸化層L4は側壁保護膜となるため、横方向にエッチングが進行することが抑制される。よって、方法MT及びプラズマ処理装置10によれば、シリコン膜L3のエッチングを設計通りに行うことができる。
【0097】
第2のハロゲン原子は、シリコン結晶の格子間距離よりも小さな原子半径を有するため、シリコン膜L3の表面からシリコン結晶の内部に侵入することができる。
【0098】
方法MTにおいて、保護膜形成工程(S16)と、保護膜エッチング工程(S18)と、第2エッチング工程(S20)とが、繰り返し実行されることにより、異常形状を抑えつつ、より深い位置までエッチングすることができる。
【0099】
方法MTに含まれる工程が同一の処理容器12内で連続して行われることにより、処理容器12の外に一度も搬出することなく、エッチングを完了することができる。
【0100】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0101】
例えば、方法MTの各工程は、マイクロ波を用いたプラズマ処理装置以外の任意のプラズマ源を用いた装置で行ってもよい。このような装置として、例えば平行平板型のプラズマ処理装置や、電子サイクロトン共鳴型のプラズマ処理装置等が挙げられる。また、方法MTにおいて、除去工程(S12)は実行されなくてもよい。
【0102】
以下、プラズマ処理装置10を用いて上記エッチング方法の評価のために行った実験例について説明する。なお、本開示はこれらの実験例に限定されるものではない。
【0103】
(側壁保護膜の効果の検証)
(実施例1)
被加工物Wを用意し、以下の条件でエッチングをした。
第1エッチング工程(S14)
処理容器12内の圧力 :60mTorr(7.99 Pa)
マイクロ波 :2.45GHz、500 W
高周波バイアス電力 :13.56MHz、150 W、連続印加
処理ガス
アルゴンガス流量 :400sccm
塩素ガス流量 :100sccm
酸素ガス流量 :5sccm
処理時間 :60秒
保護膜形成工程(S16)
処理容器12内の圧力 :100mTorr(13.33 Pa)
マイクロ波 :2.45GHz、1500 W
高周波バイアス電力 :13.56MHz、0 W(印加なし)
処理ガス
ヘリウムガス流量 :300sccm
フルオロメタンガス流量:45sccm
酸素ガス流量 :150sccm
処理時間 :30秒
保護膜エッチング工程(S18)
処理容器12内の圧力 :80mTorr(10.66 Pa)
マイクロ波 :2.45GHz、500 W
高周波バイアス電力 :13.56MHz、150 W、連続印加
処理ガス
アルゴンガス流量 :400sccm
フッ化炭素ガス流量 :25sccm
塩素ガス流量 :100sccm
処理時間 :10秒
第2エッチング工程(S20)
処理容器12内の圧力 :120mTorr(15.99 Pa)
マイクロ波 :2.45GHz、1000 W
高周波バイアス電力 :13.56MHz、400 W、
パルス変調:100Hz、デューティー比15 %
処理ガス
ヘリウムガス流量 :1000sccm
二酸化炭素ガス流量 :50sccm
塩素ガス流量 :150sccm
フルオロメタンガス流量:10sccm
処理時間 :20秒
【0104】
(比較例1)
比較例1は、実施例1と比べて、保護膜形成工程(S16)の処理ガスのみ相違し、その他は同一である。保護膜形成工程(S16)の処理ガスは以下のとおりである。
処理ガス
ヘリウムガス流量 :300sccm
酸素ガス流量 :150sccm
【0105】
(比較例2)
比較例2は、実施例1と比べて、保護膜形成工程(S16)の処理ガスのみ相違し、その他は同一である。保護膜形成工程(S16)の処理ガスは以下のとおりである。
処理ガス
ヘリウムガス流量 :300sccm
水素ガス流量 :45sccm
酸素ガス流量 :150sccm
【0106】
実施例1、比較例1及び比較例2を用いて側壁保護膜の効果を検証した。保護膜形成工程(S16)終了時のCD[nm](図7参照)から、第2エッチング工程(S20)終了時のCD[nm]を減算したCD差[nm]を算出した。DP[nm](図7参照)が0、20、40、80の場合におけるCD差[nm]をそれぞれ算出した。結果を図14に示す。
【0107】
図14は、マスク直下からの深さDPとCD差との関係をガス種ごとに示すグラフである。横軸がCD差、縦軸がDPである。図14に示されるようにCD差が負となった場合には、保護膜形成工程(S16)から第2エッチング工程(S20)を経てCDが減少したことを示す。比較例1(図中O)、比較例2(図中O/H)は、多少の誤差はあるものの、CDが減少する傾向にあることがわかる。特に、DPが大きくなるに従ってその傾向は強くなる。一方、実施例1(図中O/CHF)は、0付近を安定している。つまり、実施例1は、比較例1及び比較例2と比べて、側壁保護膜が十分に機能することが確認された。
【0108】
(メカニズムの検証)
図8図13を用いて説明されたメカニズムの妥当性を検証した。ここでは、後述する測定機器、分析機器の関係上、図4に示すような第1エッチング工程を行った一例の被加工物ではなく、他のサンプルを用意した。具体的には、ベアシリコン基板を用い、以下の条件でベアシリコン基板を処理し、ベアシリコン基板の表面に酸化膜層を形成することによって、被加工物Wのシリコン膜L3を改質し、酸化層L4が生成されたものとみなした。
処理容器12内の圧力 :100mTorr(13.33 Pa)
マイクロ波 :2.45GHz、1500 W
高周波バイアス電力 :0W
処理時間 :120秒
処理ガスのみ異なる条件でサンプルを作成した。
(実施例2)
ヘリウムガス流量 :300sccm
フルオロメタンガス流量:45sccm
酸素ガス流量 :150sccm
(比較例3)
ヘリウムガス流量 :300sccm
二酸化炭素ガス流量 :100sccm
(比較例4)
ヘリウムガス流量 :300sccm
酸素ガス流量 :150sccm
(比較例5)
ヘリウムガス流量 :300sccm
水素ガス流量 :45sccm
酸素ガス流量 :150sccm
【0109】
実施例2、比較例3、比較例4及び比較例5のサンプルについて、エリプソメトリ及びX線反射率法(X-ray Reflectivity:XRR)を用いて酸化層L4の厚さを測定した。結果を図15に示す。
【0110】
図15は、酸化層の膜厚をガス種ごとに示すグラフである。図15の横軸は、サンプル識別子であり、縦軸は膜厚である。図15に示されるように、比較例3(図中He/CO)、比較例4(図中He/O)、比較例5(図中He/O/H)における酸化層L4は、エリプソメトリ及びXRRともに3nm程度の厚さとなった。つまり、測定装置に依存せず、酸化層L4は3 nm程度の厚さとなることが確認された。一方、実施例2(He/O/CHF)における酸化層L4は、エリプソメトリ及びXRRともに7nm程度の厚さとなった。つまり、測定装置に依存せず、酸化層L4は7 nm程度の厚さとなることが確認された。実施例2と比較例3、比較例4及び比較例5とを比較すると、実施例2の酸化層L4は、比較例3、比較例4及び比較例5の酸化層L4の2倍以上の厚さを有することが確認された。
【0111】
実施例2、比較例3及び比較例4のサンプルについて、XRRを用いて酸化層L4の膜密度を測定した。結果を図16に示す。
【0112】
図16は、酸化層の膜密度をガス種ごとに示すグラフである。図16の横軸は、サンプル識別子であり、縦軸は膜密度[g/cm]である。図16に示されるように、比較例3(図中He/CO)、比較例4(図中He/O)、実施例2(He/O/CHF)における酸化層L4は、2g/cm程度の膜密度となった。このように、実施例及び比較例において、膜密度は大きく変化がなかった。このため、酸化層L4の膜厚が厚くなっていることが、側壁保護膜の効果に大きく影響していると推測される。
【0113】
実施例2、比較例4、比較例5のサンプルについて、高感度ラザフォード後方散乱分析法(HighResolution−Rutherford Back−Scattering Spectroscopy:HR−RBS)および高感度反跳粒子検出法(High Resolution−ElasticRecoil Detection Analysis:HR−ERDA)を用いて深さ方向の組成分析を行った。結果を図17図19に示す。なお、図17図19において、シリコン(Si)、フッ素(F)、酸素(O)および炭素(C)はHR−RBSを用いて、水素(H)はHR−ERDAを用いて分析を行った。
【0114】
図17は、酸素ガスのプラズマを用いて酸化を行ったシリコン膜の深さと組成との関係を示すグラフである(比較例4のグラフ)。図17の横軸は、シリコン膜における表面からの深さ[nm]であり、縦軸は各々の元素の濃度[at%]である。図17に示されるように、深さ3nm程度から酸素の含有量が減少し、深さ4.5 nm程度で完全にシリコン膜となっていることがわかる。また、深さ4 nm程度までフッ素が含まれていることがわかる。このフッ素は、処理容器12側壁などに残留して再解離したフッ素であると推測される。比較例4では、表面から深さ4nm程度まではSiOFHの組成となっていることが確認された。図中の斜線領域の組成を数値で表すと、Siが32 %、Fが5.3 %、Oが55.9 %、Hが6.8 %であった。
【0115】
図18は、酸素ガス及び水素ガスのプラズマを用いて酸化を行ったシリコン膜の深さと組成との関係を示すグラフである(比較例5のグラフ)。図18の横軸は、シリコン膜における表面からの深さ[nm]であり、縦軸は各々の元素の濃度[at%]である。図18に示されるように、深さ3nm程度から酸素の含有量が減少し、深さ5 nm程度で完全にシリコン膜となっていることがわかる。また、深さ3 nm程度までフッ素が含まれていることがわかる。このフッ素は、処理容器12側壁などに残留して再解離したフッ素であると推測される。比較例5では、表面から深さ3nm程度まではSiOFHの組成となっており、深さ3〜5 nmではSiOHの組成となっていることが確認された。図中の斜線領域の組成を数値で表すと、Siが32.5%、Fが2.1 %、Oが58.1 %、Hが7.3 %であった。
【0116】
図19は、酸素ガス及びフルオロメタンガスのプラズマを用いて酸化を行ったシリコン膜の深さと組成との関係を示すグラフである。(実施例2のグラフ)。図19の横軸は、シリコン膜における表面からの深さ[nm]であり、縦軸は各々の元素の濃度[at%]である。図19に示されるように、深さ6nm程度から酸素の含有量が減少し、深さ9 nm程度で完全にシリコン膜となっていることがわかる。また、深さ4 nm〜9 nmの範囲でフッ素が含まれており、表面から深さ4nm程度までは殆どフッ素が含まれていないことがわかる。実施例2では、表面から深さ4nm程度まではSiOHの組成となっており、深さ4〜9 nmではSiOFHの組成となっていることが確認された。図中の斜線領域の組成を数値で表すと、Siが30.6%、Oが59.2 %、Hが10.2 %であった。
【0117】
図17図19に示されるように、実施例2では、比較例4及び比較例5と比べて、フッ素が深くまでシリコン膜内に侵入していることが確認された。つまり、フッ素が酸化層の膜厚の増大に寄与していることが確認された。さらに、実施例2では、比較例4及び比較例5と比べて、シリコン膜の表層に含まれるフッ素が少ないことが確認された。つまり、水素がスカベンジ効果を発揮してフッ素を取り除いていることが確認された。上記のとおり、図8図13を用いて説明されたメカニズムの妥当性が確認された。なお、実施例2では、シリコン膜の表層部分は、純粋な酸化シリコンに近い組成であることも、エッチング耐性が高まる1つの要因であると考えられる。
【0118】
(ハイドロフルオロカーボンの条件の確認)
ハイドロフルオロカーボン(C)ガスについて、酸化層L4の第1領域L41を十分に形成することができるか否かを検証した。ハイドロフルオロカーボンガスとして、フルオロメタン(CHF)ガス、Cガス、CHFガスを用意して酸化層L4の第1領域L41を形成した。それぞれについて、酸化層L4の第1領域L41の膜厚を測定した。そして、酸素ガスによって形成された酸化層L4の第1領域L41の膜厚と比較した。結果を図20に示す。
【0119】
図20は、マスク直下からの深さDPと酸化膜厚の差分との関係をガス種ごとに示すグラフである。図20の横軸は酸化膜厚の差分[nm]、縦軸はDP[nm]である。図20に示されるように、何れのガス種においても酸素ガスを用いた場合よりも厚い酸化層が形成されることが確認された。
【0120】
フルオロメタンガス、Cガス、CHFガスのエッチング形状をTEM写真から確認した。CDを確認した結果、Cガス及びCHFガスは酸化層L4形成時においてエッチングが進行することが確認された。このため、yはzよりも大きい必要があることが確認された。
【0121】
(保護膜形成時の混合ガスの比率の確認)
酸素ガスとハイドロフルオロカーボンガスとの混合比について最適値を検証した。具体的には、酸素ガスに対するフルオロメタンガスの割合を変更して、酸化層L4を形成した。それぞれについて、酸化層L4の第1領域L41の膜厚を測定した。そして、酸素ガスによって形成された酸化層L4の第1領域L41の膜厚と比較した。結果を図21に示す。
【0122】
図21は、マスク直下からの深さDPと酸化膜厚の差分との関係をフルオロメタンガスの流量ごとに示すグラフである。図21の横軸は酸化膜厚の差分[nm]、縦軸はDP[nm]である。酸素ガスの流量が150cc、フルオロメタンガスの流量が6cc、15 cc、45 cc、90 ccである場合ごとに、酸化層L4の膜厚の差分を測定した。図21に示されるように、保護膜形成の効果を発揮するフルオロメタンガスの最低流量は、45ccであることが確認された。つまり、酸素:フルオロメタン=150:45=1:0.3であることが確認された。
【0123】
図22は、マスク直下からの深さDPと酸化膜厚の差分との関係を酸素ガスの流量ごとに示すグラフである。図22の横軸は酸化膜厚の差分[nm]、縦軸はDP[nm]である。フルオロメタンガスの流量が45cc、酸素ガスの流量が0cc、25 cc、50 cc、150 ccである場合ごとに、酸化層L4の膜厚の差分を測定した。図22に示されるように、保護膜形成の効果を発揮する酸素ガスの最低流量は、25ccであることが確認された。つまり、酸素:フルオロメタン=25:45=1:1.8であることが確認された。図21及び図22の結果に基づいて、酸素原子を含有するガスを1とすると、ハイドロフルオロカーボンガスが0.3〜1.8の範囲とすることがよいことが確認された。
【0124】
(処理時間依存性)
実施例2及び比較例4を用いて、酸化層の厚さの時間依存性を検証した。図23は、酸素ガスのプラズマを用いて酸化を行った場合のステップ時間と酸化膜厚との関係をマスク直下からの深さDPごとに示すグラフである(比較例4のグラフ)。図23の横軸はステップ時間[sec]、縦軸は酸化膜厚[nm]である。図23に示されるように、ステップ時間30sec以上となった場合、いずれの深さにおいても酸化膜厚は成長しないことが確認された。
【0125】
図24は、酸素ガス及びフルオロメタンガスのプラズマを用いて酸化を行った場合のステップ時間と酸化膜厚との関係をマスク直下からの深さDPごとに示すグラフである(実施例2のグラフ)。図24の横軸はステップ時間[sec]、縦軸は酸化膜厚[nm]である。図24に示されるように、いずれの深さにおいても、若干飽和傾向にあるものの、酸化膜厚はステップ時間に依存して成長することが確認された。
【0126】
図23及び図24の結果から、実施例2の処理ガスを用いることにより、膜厚制御を容易に行うことができ、また比較例4よりも厚い酸化膜を形成することができることが確認された。
【0127】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0128】
10…プラズマ処理装置、12…処理容器、14…アンテナ、18…誘電体窓、20…載置台、30…排気装置、32…マイクロ波発生器、42…誘電体板、44…スロット板、W…被加工物(ウエハ)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24