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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220602(P2019-220602A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】電子部品および電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20191129BHJP
【FI】
   H01G4/30 201F
   H01G4/30 311E
   H01G4/30 201G
   H01G4/30 517
   H01G4/30 516
   H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-117648(P2018-117648)
(22)【出願日】2018年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092071
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 均
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】原田 敏宏
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH07
5E001AJ03
5E082AA01
5E082AB03
5E082BB07
5E082BC19
5E082BC33
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082FG54
5E082GG10
5E082GG12
5E082GG21
5E082GG28
5E082PP06
(57)【要約】
【課題】外部電極に曲げ応力が加わった場合でもクラックが生じにくく、かつ、水分の侵入を抑制することができる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品は、積層体と、積層体の端面に設けられた外部電極14bとを備える。外部電極14bは、端面に設けられたNi層41と、Ni層41の上に設けられたNi−Sn合金層42と、Ni−Sn合金層42の上に設けられ、Sn粒子を含む金属粒子50を含有する樹脂層43とを含む。Ni層41とNi−Sn合金層42が設けられていることによって、外部電極14bから積層体の内部への水分の侵入を抑制することができ、樹脂層43が設けられていることによって、外部電極14bに曲げ応力が加わった場合に、クラックの発生を抑制することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体と、
前記積層体の端面に設けられた外部電極と、
を備え、
前記外部電極は、
前記端面に設けられたNi層と、
前記Ni層の上に設けられたNi−Sn合金層と、
前記Ni−Sn合金層の上に設けられ、Sn粒子を含む金属粒子を含有する樹脂層と、
を含むことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記金属粒子には、前記Sn粒子の他に、Ag粒子、Cu粒子、および、Ni粒子のうちの少なくとも1つが含まれることを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記積層体は、Niを含有する内部電極を備え、
前記内部電極は、前記外部電極が設けられている前記端面に引き出されて、前記外部電極と接続されており、
前記Ni層と前記内部電極は、焼結されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記金属粒子は、扁平形状および球形状のうちの少なくとも一方の形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品。
【請求項5】
誘電体層と内部電極とが交互に複数積層され、前記内部電極が両端面に引き出された積層体を備える電子部品の製造方法であって、
焼成後に前記積層体となる未焼成積層体を用意する工程と、
前記未焼成積層体の前記両端面に、Niを含有する導電ペーストを塗工する工程と、
前記Niを含有する導電ペーストと前記未焼成積層体とを一体焼成することによって、端面にNi層が形成された前記積層体を得る工程と、
前記Ni層の上に、Sn粒子を含む金属粒子を含有する樹脂ペーストを塗工する工程と、
前記樹脂ペーストが塗工された前記積層体に熱処理を施して、前記Ni層の上にNi−Sn合金層を形成し、かつ、前記Ni−Sn合金層の上に、前記金属粒子を含む樹脂層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記熱処理を行う際の温度は、400℃以上600℃以下であることを特徴とする請求項5に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の表面に外部電極を備える電子部品、および、そのような電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサなどのように、積層体の表面に外部電極を備えた電子部品が知られている。そのような電子部品が基板に実装された状態で、基板にたわみなどによる曲げ応力が加わると、外部電極にクラックが生じる場合がある。その場合、クラックが生じた部分から水分が侵入して絶縁抵抗値が低下し、積層体の内部に設けられている内部電極が短絡する可能性がある。
【0003】
特許文献1には、金属粒子を含む樹脂を用いて外部電極を形成することにより、曲げ応力に対する耐性を向上させた電子部品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−182883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂は水分を透過しやすいため、樹脂を用いて外部電極を形成すると、外部電極から内部へと水分が侵入し、絶縁抵抗値が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、外部電極に曲げ応力が加わった場合でもクラックが生じにくく、かつ、水分の侵入を抑制することができる電子部品、および、そのような電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子部品は、
積層体と、
前記積層体の端面に設けられた外部電極と、
を備え、
前記外部電極は、
前記端面に設けられたNi層と、
前記Ni層の上に設けられたNi−Sn合金層と、
前記Ni−Sn合金層の上に設けられ、Sn粒子を含む金属粒子を含有する樹脂層と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
前記金属粒子には、前記Sn粒子の他に、Ag粒子、Cu粒子、および、Ni粒子のうちの少なくとも1つが含まれていてもよい。
【0009】
前記積層体は、Niを含有する内部電極を備え、
前記内部電極は、前記外部電極が設けられている前記端面に引き出されて、前記外部電極と接続されており、
前記Ni層と前記内部電極は、焼結されていてもよい。
前記金属粒子は、扁平形状および球形状のうちの少なくとも一方の形状を有するように構成されていてもよい。
【0010】
本発明による電子部品の製造方法は、
誘電体層と内部電極とが交互に複数積層され、前記内部電極が両端面に引き出された積層体を備える電子部品の製造方法であって、
焼成後に前記積層体となる未焼成積層体を用意する工程と、
前記未焼成積層体の前記両端面にNiを含有する導電ペーストを塗工する工程と、
前記Niを含有する導電ペーストと前記未焼成積層体とを一体焼成することによって、端面にNi層が形成された前記積層体を得る工程と、
前記Ni層の上に、Sn粒子を含む金属粒子を含有する樹脂ペーストを塗工する工程と、
前記樹脂ペーストが塗工された前記積層体に熱処理を施して、前記Ni層の上にNi−Sn合金層を形成し、かつ、前記Ni−Sn合金層の上に、前記金属粒子を含む樹脂層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
前記熱処理を行う際の温度は、400℃以上600℃以下であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子部品は、外部電極が、積層体の端面に設けられたNi層と、Ni層の上に設けられたNi−Sn合金層と、Ni−Sn合金層の上に設けられ、Sn粒子を含む金属粒子を含有する樹脂層とを含むように構成されている。Ni層とNi−Sn合金層が設けられていることによって、外部電極から積層体の内部への水分の侵入を抑制することができ、樹脂層が設けられていることによって、外部電極に曲げ応力が加わった場合に、クラックの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態における積層セラミックコンデンサの斜視図である。
図2図1に示す積層セラミックコンデンサのII−II線に沿った断面図である。
図3図1に示す積層セラミックコンデンサのIII−III線に沿った断面図である。
図4】第2の外部電極の詳細な構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴とするところを具体的に説明する。
【0015】
以下の説明では、電子部品の一例として積層セラミックコンデンサを挙げて説明する。ただし、本発明の電子部品が積層セラミックコンデンサに限定されることはない。
【0016】
図1は、一実施の形態における積層セラミックコンデンサ10の斜視図である。図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサ10のII−II線に沿った断面図である。図3は、図1に示す積層セラミックコンデンサ10のIII−III線に沿った断面図である。
【0017】
図1図3に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、全体として直方体形状を有する電子部品であり、積層体11と、一対の外部電極14(14a,14b)とを有している。一対の外部電極14(14a,14b)は、図1に示すように対向するように配置されている。
【0018】
ここでは、一対の外部電極14が対向する方向を積層セラミックコンデンサ10の長さ方向Lと定義し、後述する内部電極13(13a,13b)の積層方向を厚み方向Tと定義し、長さ方向Lおよび厚み方向Tのいずれの方向にも直交する方向を幅方向Wと定義する。
【0019】
積層体11は、長さ方向Lに相対する第1の端面15aおよび第2の端面15bと、厚み方向Tに相対する第1の主面16aおよび第2の主面16bと、幅方向Wに相対する第1の側面17aおよび第2の側面17bとを有する。
【0020】
第1の端面15aには、第1の外部電極14aが設けられており、第2の端面15bには、第2の外部電極14bが設けられている。第1の外部電極14aおよび第2の外部電極14bの詳細な構成については後述する。
【0021】
積層体11の長さ方向Lの寸法は、例えば0.4mm以上3.2mm以下、幅方向Wの寸法は、例えば0.2mm以上2.5mm以下、厚み方向Tの寸法は、例えば0.2mm以上2.5mm以下である。長さ方向Lの寸法は、幅方向Wの寸法よりも長くてもよいし、短くてもよい。積層体11の寸法は、マイクロメータまたは光学顕微鏡で測定することができる。
【0022】
積層体11は、角部および稜線部に丸みを帯びていることが好ましい。ここで、角部は、積層体11の3面が交わる部分であり、稜線部は、積層体11の2面が交わる部分である。
【0023】
図2および図3に示すように、積層体11は、誘電体層12と、第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bとを備える。
【0024】
誘電体層12は、積層体11の厚み方向外側に位置する外層誘電体層121と、第1の内部電極13aと第2の内部電極13bとの間に位置する内層誘電体層122とを含む。外層誘電体層121の厚みは、例えば、20μm以上である。また、内層誘電体層122の厚みは、例えば、0.5μm以上2.0μm以下である。
【0025】
第1の内部電極13aは、積層体11の第1の端面15aに引き出されている。また、第2の内部電極13bは、積層体11の第2の端面15bに引き出されている。第1の内部電極13aと第2の内部電極13bは、厚み方向Tにおいて、内層誘電体層122を介して交互に配置されている。
【0026】
第1の内部電極13aは、第2の内部電極13bと対向する部分である対向電極部と、対向電極部から積層体11の第1の端面15aまで引き出された部分である引出電極部とを備えている。また、第2の内部電極13bは、第1の内部電極13aと対向する部分である対向電極部と、対向電極部から積層体11の第2の端面15bまで引き出された部分である引出電極部とを備えている。
【0027】
第1の内部電極13aの対向電極部と、第2の内部電極13bの対向電極部とが内層誘電体層122を介して対向することにより容量が形成され、これにより、コンデンサとして機能する。
【0028】
第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bは、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、およびAuなどの金属、AgとPdの合金などを含有している。好ましくは、第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bは、Niを含有している。第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bは、さらに誘電体層12に含まれるセラミックと同一組成系の誘電体粒子を含んでいてもよい。
【0029】
第1の内部電極13aおよび第2の内部電極13bの厚みは、0.5μm以上2.0μm以下であることが好ましい。
【0030】
第1の外部電極14aは、積層体11の第1の端面15aの全体に形成されているとともに、第1の端面15aから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込むように形成されている。第1の外部電極14aは、第1の内部電極13aと電気的に接続されている。
【0031】
第2の外部電極14bは、積層体11の第2の端面15bの全体に形成されているとともに、第2の端面15bから、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込むように形成されている。第2の外部電極14bは、第2の内部電極13bと電気的に接続されている。
【0032】
図4は、第2の外部電極14bの詳細な構成を示す断面図である。以下では、第2の外部電極14bの構成について説明するが、第1の外部電極14aの構成についても同様である。
【0033】
第2の外部電極14bは、Ni層41と、Ni−Sn合金層42と、樹脂層43と、めっき層44とを備える。
【0034】
Niにより構成されているNi層41は、積層体11の第2の端面15bに設けられている。本実施形態では、Ni層41は、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込まずに、第2の端面15bにのみ設けられている。
【0035】
Ni層41の厚みは、例えば2μm以上10μm以下であることが好ましい。Ni層41の厚みが2μm未満になると、外部から内部への水分の侵入を抑制する効果が低くなる。また、Ni層41の厚みが10μmを超えると、外部電極全体の厚みが厚くなり、積層セラミックコンデンサ10のサイズが大きくなる。
【0036】
Ni層41は、第2の内部電極13bと一体焼結されている。図示は省略するが、第1の外部電極14a側に設けられているNi層は、第1の内部電極13aと一体焼結されている。Ni層41が第2の内部電極13bと一体焼結されていることにより、Ni層41と第2の内部電極13bとの密着性が高くなり、積層体11とNi層41との界面に脆弱部位が生じることを抑制することができる。
【0037】
Ni−Sn合金層42は、NiとSnとの合金からなる層であって、Ni層41の上に設けられている。本実施形態では、Ni層41と同様、Ni−Sn合金層42は、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込まないように設けられている。Ni層41の上にNi−Sn合金層が設けられていることにより、外部から内部への水分の侵入をより効果的に抑制することができ、絶縁抵抗の低下を抑制することができる。
【0038】
Ni−Sn合金層42の厚みは、1μm以上5μm以下であることが好ましい。Ni−Sn合金層42の厚みが1μm未満になると、外部から内部への水分の侵入を抑制する効果が低くなる。また、Ni−Sn合金層42の厚みが5μmを超えると、外部電極全体の厚みが厚くなり、積層セラミックコンデンサ10のサイズが大きくなる。
【0039】
樹脂層43は、Ni−Sn合金層42の上に設けられ、Sn粒子を含む金属粒子50を含有する。樹脂層43は、Ni−Sn合金層42の上だけでなく、第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込むように設けられている。
【0040】
樹脂層43に含まれる金属粒子50は、Sn粒子だけでもよいし、Sn粒子の他に、Ag粒子、Cu粒子、および、Ni粒子のうちの少なくとも1つが含まれていてもよい。樹脂層43に含まれる金属粒子50として、Sn粒子の他に、Ag粒子、Cu粒子、および、Ni粒子のうちの少なくとも1つが含まれていることにより、Sn粒子だけが含まれている構成と比べて、等価直列抵抗を低くすることができる。
【0041】
樹脂層43に含まれる金属粒子50は、扁平形状および球形状のうちの少なくとも一方の形状を有する。すなわち、樹脂層43には、扁平形状の金属粒子50だけが含まれていてもよいし、扁平形状の金属粒子50だけが含まれていてもよいし、その両方が含まれていてもよい。球形状には、完全な球形だけでなく、球形に近い形状も含まれる。
【0042】
樹脂層43に、扁平形状の金属粒子50が含まれていることにより、導電性が向上する。また、樹脂層43に、球形状の金属粒子50が含まれていることにより、積層セラミックコンデンサ10に曲げ応力が加わったときに、外部電極14にクラックが生じにくい構造とすることができる。このため、樹脂層43には、扁平形状の金属粒子50と、球形状の金属粒子50とが含まれていることが好ましい。
【0043】
樹脂層43に含まれる樹脂としては、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0044】
樹脂層43の厚みは、例えば、積層セラミックコンデンサ10が1005サイズ(長さ方向L:1.0mm、幅方向W:0.5mm)の場合、20μm以上30μm以下である。樹脂層43は、積層体11の第1の主面16a、第2の主面16b、第1の側面17a、および第2の側面17bに回り込むように形成されている。
【0045】
金属粒子50の粒子径は、例えば1μm以上10μm以下である。金属粒子が球形状ではない場合の粒子径は、球相当径である。樹脂層43に対する金属粒子の含有率は、40体積%以上であることが好ましい。金属粒子の含有率を40体積%以上とすることにより、樹脂層43の良好な導電性を確保することができる。
【0046】
めっき層44は、樹脂層43の上に設けられている。めっき層44には、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、AgとPdの合金、およびAuなどのうちの少なくとも1つが含まれる。
【0047】
めっき層44は、1層であってもよいし、複数層であってもよい。ただし、めっき層44は、Niめっき層とSnめっき層の2層構造であることが好ましい。Niめっき層は、樹脂層43などが積層セラミックコンデンサ10を実装する際のはんだによって侵食されるのを防止する機能を果たす。また、Snめっき層は、積層セラミックコンデンサ10を実装する際のはんだの濡れ性を向上させる機能を果たす。
【0048】
めっき層44の一層あたりの厚みは、例えば、2μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0049】
(積層セラミックコンデンサの製造方法)
初めに、誘電体セラミック粉末にバインダと有機溶剤とを配合して分散させたセラミックスラリーを用意し、樹脂フィルム上にセラミックスラリーを塗布することによって、セラミックグリーンシートを作製する。
【0050】
続いて、内部電極用導電性ペーストを用意し、セラミックグリーンシートに内部電極用導電性ペーストを印刷することによって、内部電極パターンを形成する。内部電極用導電性ペーストには、例えばNi粉、有機溶剤、バインダなどが含まれる。内部電極用導電性ペーストの印刷は、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などの印刷方法を用いることができる。
【0051】
続いて、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層し、その上に、内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを順次積層し、さらにその上に、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層して、マザー積層体を作製する。
【0052】
続いて、マザー積層体を、剛体プレス、静水圧プレスなどの方法によりプレスする。
【0053】
続いて、プレスされたマザー積層体を、押切り、ダイシング、レーザなどの切断方法により、所定のサイズにカットする。この後、バレル研磨などにより、角部および稜線部に丸みをつける。上述した工程により、未焼成積層体が得られる。この未焼成積層体では、両端面に、内部電極パターンが露出している。
【0054】
続いて、テーブルに、Niを含有する導電ペーストを塗布し、Niを含有する導電ペースト層を形成する。そして、内部電極パターンが両端面に露出した未焼成積層体の一方端面を、Niを含有する導電ペースト層に浸漬し、一方端面を、Niを含有する導電ペーストで覆う。このとき、弾性体を用いて、未焼成積層体の側面を保持して、Niを含有する導電ペースト層に一方端面を浸漬するようにしてもよいし、未焼成積層体の他方端面を、粘着剤を介して図示しない保持部材と接着して保持し、Niを含有する導電ペースト層に一方端面を浸漬するようにしてもよい。なお、Niを含有する導電ペーストは、ガラスを含んでいてもよい。
【0055】
なお、テーブル上に形成されたNiを含有する導電ペースト層の厚みは、未焼成積層体の稜線部のR量以下であることが好ましい。Niを含有する導電ペースト層の厚みが未焼成積層体の稜線部のR量以下であれば、Niを含有する導電ペースト層に未焼成積層体の端面を浸漬したときに、ほぼ端面のみに、Niを含有する導電ペーストを塗布することができる。
【0056】
同様の方法により、未焼成積層体の他方端面にも、Niを含有する導電ペーストを塗布する。
【0057】
なお、未焼成積層体の端面にNiを含有する導電ペーストを塗布する方法が上述した方法に限定されることはなく、スクリーン印刷など、他の方法を用いてもよい。
【0058】
続いて、乾燥させることにより、Niを含有する導電ペーストに含まれる有機溶剤を取り除く。例えば、80℃以上150℃以下の高温雰囲気中で乾燥させる。ただし、乾燥方法に特に制約はなく、例えば温風を吹き付けてもよいし、遠赤外線を用いて乾燥させてもよい。
【0059】
続いて、Niを含有する導電ペーストが塗布された未焼成積層体を、例えば1000℃以上1200℃以下の温度で焼成する。本実施形態では、未焼成積層体と、Niを含有する導電ペースとを同時に焼成する、いわゆるコファイアによって、焼成された積層体とNi層とを得る。未焼成積層体とNiを含有する導電ペーストとを一体焼成することにより、焼成後に得られる積層体とNi層との密着性が高くなり、積層体とNi層との界面に脆弱部位が形成されることを抑制することができる。
【0060】
また、内部電極用導電性ペーストに含まれる金属粉としてNi粉を用いることにより、焼成後に得られる内部電極とNi層との結合力をより高めることができる。
【0061】
また、Niを含有する導電ペーストは、端面にのみ塗布されているので、焼成時に、Ni層の形成過程で収縮による締め付けが積層体に発生せず、収縮による積層体のクラックの発生を抑制することができる。
【0062】
また、生産性向上のために、大量の未焼成積層体を一度に焼成する場合、側面や主面にNiを含有する導電ペーストが塗布されていると、Niを含有する導電ペーストを介して他の未焼成積層体に付着する可能性がある。しかしながら、本実施形態では、側面および主面にはNiを含有する導電ペーストが塗布されていないので、他の未焼成積層体への付着を抑制することができ、生産性が向上する。
【0063】
続いて、エポキシ樹脂に金属粒子を混ぜた樹脂ペーストをテーブルに塗布して、樹脂ペースト層を形成する。金属粒子には少なくともSn粒子が含まれる。樹脂ペースト層の厚みは、テーブルに形成したNiを含有する導電ペースト層の厚みよりも厚い方が好ましい。
【0064】
そして、積層体の端面に設けられたNi層を樹脂ペースト層に浸漬する。樹脂ペースト層への浸漬は、上述したNiを含有する導電ペースト層への浸漬と同じ方法により行うことができる。
【0065】
積層体の両端面に設けられているNi層を樹脂ペースト層に浸漬した後、100℃以上200℃以下の温度で樹脂ペーストを熱硬化させ、さらに、400℃以上600℃以下の温度で熱処理を行う。熱処理により、樹脂ペーストに含まれるSn粒子と、Ni層に含まれるNiとが反応して、焼結したNi層の上にNi−Sn合金層が形成される。また、Ni−Sn合金層の上には、金属粒子を含む樹脂層が形成される。
【0066】
続いて、樹脂層の上にめっき層を形成する。例えば、樹脂層の上にNiめっき層を形成し、Niめっき層の上にSnめっき層を形成する。めっき層は、例えば電解めっきにより形成することができる。
【0067】
上述した工程により、誘電体層と内部電極とが交互に複数積層された積層体の両端面に、Ni層、Ni−Sn合金層、Sn粒子を含む金属粒子を含有する樹脂層、および、めっき層を含む外部電極が形成された積層セラミックコンデンサが作製される。
【0068】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0069】
例えば、上述した実施形態では、外部電極がめっき層を備えるものとして説明したが、めっき層を設けない構成としてもよい。
【0070】
電子部品である積層セラミックコンデンサ10の製造方法が上述した方法に限定されることはない。上述した実施形態では、外部電極を形成する際に、Ni層の上に、Sn粒子を含む金属粒子を含有する樹脂ペーストを塗工した後、熱処理を行うことによって、Ni−Sn合金層と樹脂層とを同時に形成するものとして説明した。しかし、積層順に、Ni層、Ni−Sn合金層、および、樹脂層を順に形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 積層セラミックコンデンサ
11 積層体
12 誘電体層
13a 第1の内部電極
13b 第2の内部電極
14a 第1の外部電極
14b 第2の外部電極
15a 第1の端面
15b 第2の端面
16a 第1の主面
16b 第2の主面
17a 第1の側面
17b 第2の側面
41 Ni層
42 Ni−Sn合金層
43 樹脂層
44 めっき層
50 金属粒子
121 外層誘電体層
122 内層誘電体層
図1
図2
図3
図4