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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220622(P2019-220622A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20191129BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20191129BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20191129BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H01F17/04 A
   H01F27/00 160
   H01F27/28 S
   H01F27/28 K
   H01F27/29 G
   H01F27/28 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-118246(P2018-118246)
(22)【出願日】2018年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085143
【弁理士】
【氏名又は名称】小柴 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】橋本 良太
(72)【発明者】
【氏名】宮本 昌史
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 啓雄
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AB01
5E043BA01
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA03
5E070BA11
5E070CA01
5E070CA13
5E070CA15
(57)【要約】
【課題】コモンモードチョークコイルのように、2本のワイヤが巻回されたコイル部品において、第1ワイヤと第2ワイヤとの異なるターン間で発生する浮遊容量のアンバランスを抑える。
【解決手段】巻芯部5ならびに巻芯部の互いに逆の端部にそれぞれ設けられた第1鍔部および第2鍔部を有する、ドラム状コア2と、巻芯部5に巻回された、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4と、を備える、コイル部品1。コイル部品1は、第1鍔部側から数えて、第2ワイヤ4の第nターン(nは自然数)が第1ワイヤ3の第nターンの外周側に位置しかつ第2ワイヤ4の第nターンと第1ワイヤ3の第nターンとが巻芯部5の中心軸線5Aに直交する方向に整列している、整列巻回領域31を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯部ならびに前記巻芯部の互いに逆の端部にそれぞれ設けられかつ実装時において実装基板側に向けられる底面をそれぞれ持つ第1鍔部および第2鍔部を有する、ドラム状コアと、
前記第1鍔部の前記底面に設けられた、第1端子電極および第3端子電極と、
前記第2鍔部の前記底面に設けられた、第2端子電極および第4端子電極と、
前記巻芯部に巻回され、線状の中心導体と前記中心導体の周面を覆う電気絶縁性樹脂からなる絶縁皮膜とを有し、前記第1端子電極および前記第2端子電極に電気的に接続された、第1ワイヤと、
前記巻芯部に前記第1ワイヤと同じ方向に巻回され、線状の中心導体と前記中心導体の周面を覆う電気絶縁性樹脂からなる絶縁皮膜とを有し、前記第3端子電極および前記第4端子電極に電気的に接続された、第2ワイヤと、
を備え、
前記第1鍔部側から数えて、前記第2ワイヤの第nターン(nは自然数)が前記第1ワイヤの第nターンの外周側に位置しかつ前記第2ワイヤの第nターンと前記第1ワイヤの第nターンとが前記巻芯部の中心軸線に直交する方向に整列している、第1整列巻回領域を有し、
前記第1整列巻回領域において、前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの各々が、連続する複数のターンをもって螺旋状に巻回されている、
コイル部品。
【請求項2】
前記第1整列巻回領域において、前記第1ワイヤの隣り合うターン間に形成される凹部に嵌り込む第1補助ワイヤをさらに備える、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1整列巻回領域において、前記第1補助ワイヤは、前記第1ワイヤの前記連続する複数のターン間に形成される凹部に嵌り込んだ状態で螺旋状に巻回されている、請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1補助ワイヤは樹脂を含む、請求項2または3に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第1補助ワイヤは、ポリエチレン系、フッ素系またはポリイミド系樹脂を含む、請求項4に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1補助ワイヤの一方の端部は、前記ドラム状コアに固定されている、請求項4または5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第1鍔部および前記第2鍔部の各々は、前記底面とは反対方向に向く天面と、実装基板に対して直交する方向にそれぞれ延びる、互いに逆の側方に向く第1側面および第2側面と、前記巻芯部側に向く内側端面と、前記内側端面の反対側の外側に向く外側端面と、を有し、
前記第1補助ワイヤの前記端部は、前記第1鍔部または前記第2鍔部の前記第1側面または前記第2側面に固定されている、
請求項6に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記第1補助ワイヤは、線状の中心導体と前記中心導体の周面を覆う電気絶縁性樹脂からなる絶縁皮膜とを有し、
さらに、前記ドラム状コアの表面に設けられる補助電極を備え、
前記第1補助ワイヤの前記端部は前記補助電極に接続される、
請求項2または3に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記補助電極は、前記第1鍔部の前記底面以外の面および前記第2鍔部の前記底面以外の面のいずれかに設けられる、請求項8に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤならびに前記第1補助ワイヤの各々は断面円形であり、前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの各々の径をR、前記第1補助ワイヤの径をrとしたとき、0.16R≦r≦Rである、請求項2ないし9のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項11】
前記第1整列巻回領域よりも前記第2鍔部側において、前記第1鍔部側から数えて、前記第1ワイヤの第mターン(mはnより大きい自然数)が前記第2ワイヤの第mターンの外周側に位置しかつ前記第1ワイヤの第mターンと前記第2ワイヤの第mターンとが前記巻芯部の中心軸線に直交する方向に整列している、第2整列巻回領域をさらに有し、
前記第2整列巻回領域において、前記第1ワイヤおよび前記第2ワイヤの各々が、連続する複数のターンをもって螺旋状に巻回されている、
請求項1ないし10のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項12】
前記第2整列巻回領域において、前記第2ワイヤの隣り合うターン間に形成される凹部に嵌り込む第2補助ワイヤをさらに備える、請求項11に記載のコイル部品。
【請求項13】
前記第2補助ワイヤは、前記第1鍔部側の巻回端から前記第1鍔部側に引き出されている、請求項12に記載のコイル部品。
【請求項14】
前記第2補助ワイヤは、前記第1鍔部側の巻回端から前記第2鍔部側に引き出されている、請求項12に記載のコイル部品。
【請求項15】
前記第2補助ワイヤの前記第1鍔部側の巻回端は、前記巻芯部における実装基板側に向けられる底面とは反対側の天面側に位置する、請求項12ないし14のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項16】
前記巻芯部における、前記第1鍔部および前記第2鍔部の各々の前記底面に平行な方向であって、前記中心軸線に直交する方向に測定した寸法が、前記第1鍔部および前記第2鍔部の各々における、前記底面に平行な方向であって、前記中心軸線に直交する方向に測定した寸法の40%以下である、請求項1ないし15のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項17】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとが互いに融着している、請求項1ないし16のいずれかに記載のコイル部品。
【請求項18】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの間に充填された樹脂をさらに備える、請求項1ないし17のいずれかに記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドラム状コアに備える巻芯部に2本のワイヤが巻回された構造を有するコイル部品に関するもので、特に、上記2本のワイヤの巻回態様に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この発明にとって興味あるコイル部品として、コモンモードチョークコイルがある。コモンモードチョークコイルは、たとえば特開平2014−199904号公報(特許文献1)および国際公開第2017/061143号(特許文献2)に記載されるように、巻芯部ならびに巻芯部の互いに逆の端部にそれぞれ設けられた第1鍔部および第2鍔部を有するドラム状コアと、巻芯部に巻回された第1ワイヤおよび第2ワイヤと、第1鍔部において互いに間隔を隔てて設けられた、第1端子電極および第3端子電極と、第2鍔部において互いに間隔を隔てて設けられた、第2端子電極および第4端子電極と、を備えている。
【0003】
第1ワイヤは、その一方端部が第1端子電極に接続され、他方端部が第2端子電極に接続される。第2ワイヤは、その一方端部が第3端子電極に接続され、他方端部が第4端子電極に接続される。第1ワイヤおよび第2ワイヤの各々は、線状の中心導体と中心導体の周面を覆う電気絶縁性樹脂からなる絶縁皮膜とを有している。
【0004】
第1ワイヤおよび第2ワイヤを共通の巻芯部に巻回する態様として、第1ワイヤを内層側に、第2ワイヤを外層側に、というように2層巻きにする巻回態様がある。この場合、特許文献1の図7ないし図18および特許文献2に記載されるように、第1ワイヤの各ターンを巻芯部の周面に接する内層を構成する状態で巻回し、第2ワイヤの各ターンをその同一ターン上の外層を構成する状態で巻回する。
【0005】
しかし、このとき、第2ワイヤの巻回状態を安定させるために第2ワイヤに付加される張力によって、第2ワイヤの各ターンは、第1ワイヤ上で最短距離を取ろうとし、第1ワイヤの同一ターン上に留まることができず、第1ワイヤの隣り合うターン間に形成される凹部に嵌り込んでしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2014−199904号公報
【特許文献2】国際公開第2017/061143号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した第1ワイヤおよび第2ワイヤの巻回態様では、第1ワイヤおよび第2ワイヤの一方の第nターンに対して、他方の第nターンが接するとともに、他方の第n−1ターンまたは第n+1ターンが接するため、合計2つのターンとの間で浮遊容量が形成されることになる。このような浮遊容量は、コモンモードチョークコイルの電気的特性に影響を与えてしまう。特に、第1ワイヤと第2ワイヤとの間で、一方は1周前のターンと大きな浮遊容量を形成し、他方は1周後のターンと大きな浮遊容量を形成するなど、浮遊容量の発生方向に非対称性が存在すると、コモンモードチョークコイル内でコモンモードノイズとディファレンシャルモード信号との間のモード変換を発生させる原因となる。
【0008】
同種の問題は、コモンモードチョークコイルに限らず、たとえば、同じく第1ワイヤおよび第2ワイヤを備えるトランスまたはバランにおいても遭遇し得る。
【0009】
そこで、この発明の目的は、上述した問題を解決し得る、すなわち、浮遊容量の発生を低減することができるコイル部品を提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、巻芯部ならびに巻芯部の互いに逆の端部にそれぞれ設けられかつ実装時において実装基板側に向けられる底面をそれぞれ持つ第1鍔部および第2鍔部を有する、ドラム状コアと、第1鍔部の底面に設けられた、第1端子電極および第3端子電極と、第2鍔部の底面に設けられた、第2端子電極および第4端子電極と、巻芯部に巻回され、線状の中心導体と中心導体の周面を覆う電気絶縁性樹脂からなる絶縁皮膜とを有し、第1端子電極および第2端子電極に電気的に接続された、第1ワイヤと、巻芯部に第1ワイヤと同じ方向に巻回され、線状の中心導体と中心導体の周面を覆う電気絶縁性樹脂からなる絶縁皮膜とを有し、第3端子電極および第4端子電極に電気的に接続された、第2ワイヤと、を備える、コイル部品に向けられる。
【0011】
そして、上述した技術的課題を解決するため、この発明に係るコイル部品は、第1鍔部側から数えて、第2ワイヤの第nターン(nは自然数)が第1ワイヤの第nターンの外周側に位置しかつ第2ワイヤの第nターンと第1ワイヤの第nターンとが巻芯部の中心軸線に直交する方向に整列している、整列巻回領域を有し、整列巻回領域において、第1ワイヤおよび第2ワイヤの各々が、連続する複数のターンをもって螺旋状に巻回されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、整列巻回領域において、第2ワイヤの第nターンが第1ワイヤの第nターンの外周側に位置しかつ第2ワイヤの第nターンと第1ワイヤの第nターンとが巻芯部の中心軸線に直交する方向に整列している。すなわち、第1ワイヤと第2ワイヤとは、同じターン間で整列して、異なるターンとの間の距離を確保することができる。したがって、第1ワイヤと第2ワイヤとの異なるターン間で発生する浮遊容量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の第1の実施形態によるコイル部品1の外観を実装面側から示す斜視図であり、ワイヤの主要部の図示は省略されている。
図2図1に示したコイル部品1における第1ワイヤ3および第2ワイヤ4ならびに補助ワイヤ32の巻回状態を模式的に示す断面図である。
図3図1および図2に示したコイル部品1に備える第1ワイヤ3の拡大断面図である。
図4図1および図2に示したコイル部品1に備える補助ワイヤ32の拡大断面図である。
図5】第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々の径Rと補助ワイヤ32の径rとの理想的な関係を模式的に示す断面図である。
図6図5に対応する図であって、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々の径Rと補助ワイヤ32の径rとの関係における、補助ワイヤ32の径rの好ましい上限値を求める方法を説明するための模式的断面図である。
図7図5に対応する図であって、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々の径Rと補助ワイヤ32の径rとの関係における、補助ワイヤ32の径rの好ましい下限値を求める方法を説明するための模式的断面図である。
図8】第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との整列状態の許容範囲を説明するための図である。
図9図1および図2に示した第1ワイヤ3、第2ワイヤ4および補助ワイヤ32の各々の巻回工程を説明するための図であって、コイル部品1を正面方向から示した図である。
図10】補助ワイヤ32の一変形例を示す、図4に対応する拡大断面図である。
図11図10に示した補助ワイヤ32を用いて製造されたコイル部品1aを示す正面図である。
図12】第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の巻回状態の一変形例を模式的に示す、図2に対応する断面図である。
図13】補助ワイヤ32の巻回状態の一変形例を模式的に示す、図2に対応する断面図である。
図14】補助ワイヤ32の巻回状態の他の変形例を模式的に示す、図2に対応する断面図である。
図15】この発明の第2の実施形態によるコイル部品41における第1ワイヤ3および第2ワイヤ4ならびに第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42の巻回状態を模式的に示す断面図である。
図16図15に示したコイル部品41の底面図である。
図17図16に対応する図であって、第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42の引出し態様の一変形例を示すコイル部品41aの底面図である。
図18図16に対応する図であって、第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42の引出し態様の他の変形例を示すコイル部品41bの上面図である。
図19図18に示した第2補助ワイヤ42の引出し態様を適用しているコイル部品41bの一部を示す正面図である。
図20】この発明の第3の実施形態によるコイル部品における第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の固定状態を模式的に示す拡大断面図である。
図21】この発明の第4の実施形態によるコイル部品における第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の固定状態を模式的に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、図面を参照して、この発明のいくつかの実施形態について説明するが、異なる図面において、同一または相当の要素には同様の参照符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
まず、図1および図2を主として参照して、この発明の第1の実施形態によるコイル部品1について説明する。図1では、コイル部品1が、図示しない実装基板に向けられる実装面を上方にして示されている。図示したコイル部品1は、たとえばコモンモードチョークコイルを構成するものである。
【0016】
コイル部品1に備えるドラム状コア2は、中心軸線5Aに沿って延び、巻回される2本のワイヤ3および4を配置する巻芯部5と、巻芯部5の中心軸線5Aに沿った方向の互いに逆の端部にそれぞれ設けられた第1鍔部6および第2鍔部7と、を備える。ドラム状コア2は、好ましくは、フェライトから構成される。なお、ドラム状コア2は、フェライト以外の非導電性材料、たとえば、アルミナのような非磁性体、またはフェライト粉もしくは金属磁性粉を含有する樹脂などから構成されてもよい。
【0017】
ドラム状コア2がフェライトから構成されるとき、フェライトの粉末を金型でプレス成形し、得られた成形体を焼成し、焼成後にバリを取ることによって、ドラム状コア2を製造することができる。なお、ドラム状コア2の成形にあたっては、鍔部6および7の成形と巻芯部5の成形とでパンチ金型が分離した多段プレス方式を用いても、あるいは鍔部6および7の成形と巻芯部5の成形とを一体化したシングルプレス方式を用いてもよい。さらに、ドラム状コア2を成形するため、射出成形または3Dプリンタによる成形を適用してもよい。
【0018】
ドラム状コア2に備える巻芯部5ならびに第1鍔部6および第2鍔部7は、たとえば四角形の断面形状を有する四角柱形状をなしている。また、四角柱形状の巻芯部5ならびに鍔部6および7の各々の稜線部分には、好ましくは、アール面取りが施される。なお、巻芯部5ならびに第1鍔部6および第2鍔部7の断面形状は、四角形のほか、六角形などの多角形であっても、円形、楕円形であっても、これらの組み合わせであってもよい。
【0019】
第1鍔部6は、実装時において実装基板側に向けられる底面8と、底面8とは反対方向に向く天面10と、実装基板に対して直交し中心軸線5Aと平行な方向にそれぞれ延びる、互いに逆の側方に向く側面12および13と、巻芯部5側に向く内側端面16と、内側端面16の反対側の外側に向く外側端面18と、を有している。
【0020】
第2鍔部7についても第1鍔部6の場合と同様であり、実装時において実装基板側に向けられる底面9と、底面9とは反対方向に向く天面11と、実装基板に対して直交し中心軸線5Aと平行な方向にそれぞれ延びる、互いに逆の側方に向く側面14および15と、巻芯部5側に向く内側端面17と、内側端面17の反対側の外側に向く外側端面19と、を有している。
【0021】
第1鍔部6における底面8には、第1端子電極20および第3端子電極22が設けられる。第2鍔部7における底面9には、第2端子電極21および第4端子電極23が設けられる。第1鍔部6の底面8には、第1端子電極20および第3端子電極22を互いに離隔する凹部24が設けられ、第2鍔部7の底面9には、第2端子電極21および第4端子電極23を互いに離隔する凹部25が設けられる。
【0022】
端子電極20〜23の各々は、図1に図示された第1端子電極20および第3端子電極22の形態から類推されるように、鍔部6または7の底面8または9に沿って位置する底面電極部と、鍔部6または7の外側端面18または19に沿って位置する端面電極部と、底面電極部および端面電極部を一連に覆うめっき膜と、を有する。
【0023】
底面電極部は、たとえば、導電成分としてのAg粉末を含むとともに、鍔部6および7と密着するガラス成分としてのSiを含む導電性ペーストを用意し、これをディップ法により鍔部6および7の底面8および9に付与し、次いで焼き付けることによって形成された、焼付け厚膜である。底面電極部は、底面8および9上のみならず、底面8および9の各々から底面8および9の各々にそれぞれ隣接する面の各一部にまで延びるように形成される。
【0024】
一方、端面電極部は、たとえば、Ni、CrおよびCuを含むスパッタリング薄膜からなる。より具体的は、端面電極部は、NiおよびCrを含む第1金属層と、その上に形成されたNiおよびCuを含む第2金属層とを備えることが好ましい。
【0025】
端子電極20〜23の最外面はめっき膜によって構成される。めっき膜は、上記底面電極部および端面電極部を一連に覆うように形成される。めっき膜は、たとえば、Niめっき層およびその上のSnめっき層を備える。Niめっき層の上または下にCuめっき層が形成されてもよい。また、Snめっき層に代えて、Auめっき層またはPdめっき層が形成されてもよい。
【0026】
なお、端子電極20〜23において、鍔部6または7の外側端面18または19に沿って位置する端面電極部はなくてもよい。
【0027】
端子電極20〜23は、導電性金属からなる板材を加工して得られた金属板部材を鍔部6および7に接着剤を用いて貼り付けることによって設けられてもよい。この場合、板材としては、たとえば、Cu板にNiめっき層およびSnめっき層が順次形成されたものが用いられ、この板材を打抜き加工することによって、端子電極20〜23が得られる。
【0028】
コイル部品1は、第1鍔部6の天面10および第2鍔部7の天面11間に渡された板状コア26をさらに備えていてもよい。板状コア26についても、ドラム状コア2の場合と同様、好ましくは、フェライトから構成される。また、板状コア26は、フェライト以外の非導電性材料、たとえば、アルミナのような非磁性体、またはフェライト粉もしくは金属磁性粉を含有する樹脂などから構成されてもよい。
【0029】
板状コア26がフェライトから構成されるとき、フェライトの粉末を金型でプレス成形し、得られた成形体を焼成し、焼成後にバリを取ることによって、板状コア26を製造することができる。
【0030】
板状コア26は、図示しない接着剤によって、第1鍔部6の天面10および第2鍔部7の天面11に接着される。これによって、板状コア26は、ドラム状コア2と協働して閉磁路を形成することができる。接着剤としては、たとえば、シリカフィラー含有のエポキシ樹脂からなるものが用いられる。なお、板状コア26と鍔部6および7との間のギャップを狭くするため、フィラーを含有しない接着剤が用いられてもよい。
【0031】
ドラム状コア2の外形寸法は、たとえば、長さが3.2mm、幅が2.5mm、高さが1.7mmとされる。巻芯部5の厚み方向T(実装基板と直交する方向:図1参照)は、1.0mm以下であることが好ましく、たとえば約0.6mmとされる。また、鍔部6および7の底面8および9から巻芯部5の底面27までの距離は、浮遊容量をより低くし得る点で、0.50mm以上であることが好ましく、他方、低背化を可能とする点で、1.50mm以下であることが好ましく、たとえば約0.70mmとされる。
【0032】
板状コア26は直方体形状であり、その外形寸法は、たとえば、長さが3.3mm、幅が2.6mm、高さが0.7mmとされる。上述したドラム状コア2の平面寸法に比べて、板状コア26の平面寸法が大きくされるのは、板状コア26とドラム状コア2との接着時に位置ずれが生じても閉磁路への影響を少なくすることができるためである。ただし、このような寸法関係は図1では現れていない。板状コア26の高さは、高インピーダンス確保のため、0.3mm以上であることが好ましく、低背化を可能とする点で、2.0mm以下であることが好ましい。
【0033】
巻芯部5における、鍔部6および7の底面8および9に平行な方向であって、巻芯部5の中心軸線5A(図2参照)に直交する方向に測定した寸法、すなわち、巻芯部5の幅方向寸法W1(図1参照)は、1.0mm以下であることが好ましい。巻芯部5の幅方向寸法W1を1.0mm以下というように細くすると、第1ワイヤ3および第4ワイヤの線路長に対する巻回領域の割合が減り、後で詳細に説明する第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の巻回状態において、内周側の第1ワイヤと外周側の第2ワイヤ4との間での線路長差を小さくすることができる。また、巻芯部5を細くすると、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の線路長が短くなり、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との間に発生する浮遊容量の総量が低減するので、モード変換特性を小さくすることができる。
【0034】
巻芯部5の幅方向寸法W1は、鍔部6および7の各々における、底面8および9に平行な方向であって、巻芯部5の中心軸線5Aに直交する方向に測定した寸法、すなわち、鍔部6および7の幅方向寸法W2(図1参照)の40%以下であることが好ましい。この場合にも、上述した場合と同様、巻芯部5が細くなり、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の巻回状態において、内周側の第1ワイヤと外周側の第2ワイヤ4との間での線路長差を小さくすることができ、また、モード変換特性を小さくすることができる。
【0035】
コイル部品1を製造するにあたり用意されるワイヤ3および4は、一方の第1ワイヤ3について図3に図示するように、断面円形であり、線状の中心導体29と、中心導体29の周面を覆う電気絶縁性樹脂からなる絶縁皮膜30とを有する。ワイヤ3の径は、たとえば40μmである。中心導体29の径は、15μm以上かつ100μm以下であり、好ましくは、30μmである。また、絶縁皮膜30の厚みは、8μm以上かつ20μm以下であり、好ましくは、10μmである。
【0036】
中心導体29は、たとえば銅、銀、金などの良導性金属からなる。絶縁皮膜30は、ポリウレタン、ポリアミドイミドなどの樹脂からなる。
【0037】
第1ワイヤ3および第2ワイヤ4は、巻芯部5に同方向に螺旋状に巻回される。より具体的には、図2に示されるように、第1ワイヤ3を内層側に、第2ワイヤ4を外層側に、というように2層巻きにされる。図2において、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々の断面内に記入した数字は、第1鍔部6(図1参照)側から数えて何ターン目にあるかのターン序数を示すものである。図2では、第1ワイヤ3の第1ターンから第4ターンまで、および第2ワイヤ4の第1ターンから第4ターンまでが図示され、ワイヤ3および4の各々の第5ターン以降の図示が省略されている。なお、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々の総ターン数は、たとえば28ターンである。
【0038】
また、図2では、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との図面上での区別をより明確にするため、第2ワイヤ4には網掛けが施されている。なお、第2ワイヤ4に対する網掛けは他のいくつかの図面でも採用されている。
【0039】
図2を参照して、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の巻回態様の特徴点について説明すると、第1鍔部6側から数えて、第2ワイヤ4の第nターン(nは自然数)が第1ワイヤ3の第nターンの外周側に位置しかつ第2ワイヤ4の第nターンと第1ワイヤ3の第nターンとが巻芯部5の中心軸線5Aに直交する方向に整列していることが特徴となる。
【0040】
上述のように第1ワイヤ3と第2ワイヤ4とが整列して巻回された領域を整列巻回領域31と呼ぶことにする。整列巻回領域31において、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々が、連続する複数のターンをもって螺旋状に巻回されている。
【0041】
このような第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の巻回態様によれば、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4が同じターン間で整列して互いに最も接近し、異なるターンとの間の距離を確保することができる。したがって、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の異なるターン間で発生する浮遊容量を低減することができる。また、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の異なるターン間で発生する浮遊容量が低減すると、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との間で発生する浮遊容量の発生方向の非対称性も低減する。したがって、コモンモードチョークコイル1内で発生するコモンモードノイズとディファレンシャルモード信号との間のモード変換を低減できる。
【0042】
上述した第1ワイヤ3に対して第2ワイヤ4を整列させた状態で巻回することを容易にし、かつ巻回状態の安定化を図るため、この実施形態では、補助ワイヤ32が用いられる。補助ワイヤ32は電気絶縁性樹脂を含む。電気絶縁性樹脂としては、ポリエチレン系、フッ素系またはポリイミド系樹脂のような比較的低誘電率の樹脂を用いることが好ましい。この実施形態では、補助ワイヤ32は、図4に示すように、断面円形であり、電気絶縁性樹脂から構成される。補助ワイヤ32の径は、たとえば15μmとされる。
【0043】
整列巻回領域31において、補助ワイヤ32は、第1ワイヤ3の連続する複数のターン間に形成される凹部に嵌り込んだ状態で、第1ワイヤ3と同じ方向に螺旋状に巻回される。したがって、補助ワイヤ32の連続する複数のターン間に形成される凹部に嵌り込むように、第2ワイヤ4を補助ワイヤ32と同じ方向に螺旋状に巻回すれば、第2ワイヤ4は、補助ワイヤ32によって位置決めされた状態で巻回され、その結果、第2ワイヤ4が第1ワイヤ3の隣り合うターン間に形成される凹部に嵌まり込まないため、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4とを同一ターン同士で容易に整列させることができる。また、補助ワイヤ32の存在は、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との巻回状態を安定化させることにも貢献する。
【0044】
補助ワイヤ32が、前述したように、比較的低誘電率の樹脂から構成されると、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との間にそれぞれ形成され得る浮遊容量をさらに小さくすることができる。そのため、たとえばコモンモードチョークコイルにおけるScc21の高周波特性を向上させることができる。
【0045】
なお、上述した利点を特に望まないならば、補助ワイヤ32は、たとえば、シリコン、フェライトまたはアルミナの粉末を含む樹脂から構成されてもよい。このような複合材料は、上記の樹脂とは逆に比較的高誘電率であるため、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との間にそれぞれ形成され得る浮遊容量が大きくなるが、このことが特性インピーダンスの調整幅を大きくするという利点をもたらすことがある。
【0046】
図5には、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々の径Rと補助ワイヤ32の径rとの理想的な関係が模式的に示されている。なお、図5ならびに後述する図6および図7では、第1ワイヤ3はターン間で隙間を形成せずに巻回されるが、実際には多少の隙間が形成されることも許容される。
【0047】
図5に示すように、補助ワイヤ32は、その周囲に位置する第1ワイヤ3の隣り合う2つのターンおよび第2ワイヤ4の隣り合う2つのターンにそれぞれ接するとともに、第1ワイヤ3の隣り合うターン同士および第2ワイヤ4の隣り合うターン同士が接し、さらに、第1ワイヤ3のターンの各々に対して、巻芯部5の中心軸線5Aに直交する方向に整列している第2ワイヤ4のターンの各々が真上に接していることが最も好ましい状態である。この場合、三平方の定理より、(R+r)=2Rの式が成り立ち、この式からrを求めると、r=(√2−1)R≒0.4Rとなる。すなわち、補助ワイヤ32の径rは、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の径Rの約0.4倍であることが最も好ましい。
【0048】
次に、図6によって、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々の径Rと補助ワイヤ32の径rとの関係における、補助ワイヤ32の径rの好ましい上限値を求めることができる。図6に示す状態では、補助ワイヤ32の径rは第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の径Rに等しい。この場合、補助ワイヤ32は、その周囲に位置する第1ワイヤ3の隣り合う2つのターンおよび第2ワイヤ4の隣り合う2つのターンにそれぞれ接するとともに、第1ワイヤ3の隣り合うターン同士および第2ワイヤ4の隣り合うターン同士が接しているが、第1ワイヤ3のターンの各々に対して、巻芯部5の中心軸線5Aに直交する方向に整列している第2ワイヤ4のターンの各々は接していない。
【0049】
上述の状態から、仮に補助ワイヤ32の径rがより大きくなると、補助ワイヤ32の特定のターンは、第1ワイヤ3の隣り合う特定のターン間に形成される凹部に嵌り込んだ状態となり得るが、補助ワイヤ32の上記特定のターンの隣りのターンは、上記特定のターンの存在により押し出され、最早、第1ワイヤ3の隣り合うターン間に形成される凹部に嵌り込むことができず、補助ワイヤ32が安定して巻回されないため、第2ワイヤ4が第1ワイヤ3の同一ターン上に整列しにくくなる。したがって、補助ワイヤ32の径rの好ましい上限値は、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々の径Rと等しいということになる。
【0050】
また、図7によって、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々の径Rと補助ワイヤ32の径rとの関係における、補助ワイヤ32の径rの好ましい下限値を求めることができる。図7に示す状態では、補助ワイヤ32は、その周囲に位置する第1ワイヤ3の隣り合う2つのターンおよび第2ワイヤ4の1つのターンにそれぞれ接するとともに、第1ワイヤ3の隣り合うターン間に形成される凹部に第2ワイヤ4の特定のターンが嵌り込んでいる。この状態では、(R/2)/{(R+r)/2}=cos 30°=√3/2の関係が成り立つ。この式からrを求めると、r=(2√3/3−1)Rとなる。
【0051】
上述の状態から、補助ワイヤ32の径rがより小さくなると、補助ワイヤ32による第2ワイヤ4の整列効果が著しく低減し、第2ワイヤ4が第1ワイヤ3の隣り合う特定のターン間に形成される凹部に嵌り込んだ状態となりやすくなる。上記r=(2√3/3−1)Rの式において、(2√3/3−1)=0.154701であるが、0.154701を、余裕を持って0.16と近似して、補助ワイヤ32の径rの好ましい下限値を求めると、r=0.16Rとなる。
【0052】
以上のことから、補助ワイヤ32の径rの好ましい範囲は、0.16R≦r≦Rと表わすことができる。
【0053】
この発明において、第2ワイヤ4の第nターンと第1ワイヤ3の第nターンとが巻芯部5の中心軸線5Aに直交する方向に整列している、と規定されるが、当該整列状態には一定の許容範囲がある。
【0054】
次に、図8を参照して、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との整列状態の許容範囲について説明する。図8には、第1ワイヤ3の第i−1ターン、第iターンおよび第i+1ターンと、第1ワイヤ3の第iターンに整列すべき第2ワイヤ4の第iターンとが図示されている。図8において、縦方向に延びる2本の破線33および34は、巻芯部5の中心軸線5Aに直交する方向に延びており、第1ワイヤ3の第iターンの両端位置によって決められる基準線である。より具体的には、破線33は、第1ワイヤの第i−1ターンと第iターンとのちょうど中間の位置を通過しつつ巻芯部5の中心軸線5Aに直交する基準線である。また、破線34は、第1ワイヤの第iターンと第i+1ターンとのちょうど中間の位置を通過しつつ、巻芯部5の中心軸線5Aに直交する基準線である。
【0055】
図8において、(C)、(D)および(E)に示した状態が整列状態であるとされる。まず、(D)では、第1ワイヤ3の第iターンの真上に整列して第2ワイヤ4の第iターンが位置している。次に、(C)および(E)では、第1ワイヤ3の第iターンの真上ではないが、第2ワイヤ4の第iターンの半分を超える部分が破線33および34で挟まれた領域内に納まっている。これらの状態が整列状態とされる。
【0056】
他方、(A)および(G)では、第2ワイヤ4の第iターンが破線33および34で挟まれた領域から大きく外れており、これらの状態は整列状態とはしない。
【0057】
また、(B)および(F)では、第2ワイヤ4の第iターンの半分が破線33および34で挟まれた領域に入っているが、第2ワイヤ4の第iターンの半分が破線33および34で挟まれた領域から外れている。これらの状態についても整列状態とはしない。言い換えると、第2ワイヤ4の第iターンの中心が、破線33および破線34で挟まれた領域の内部にあることを整列状態とする。
【0058】
次に、図9を参照して、第1ワイヤ3、第2ワイヤ4および補助ワイヤ32の各々の巻回工程について説明する。
【0059】
図9(A)には、第1ワイヤ3の巻回工程が示されている。図1にも図示されるように、まず、第1ワイヤ3の第1端3aが第1鍔部6にある第1端子電極20に電気的に接続される。この接続には、たとえば熱圧着が適用される。第1ワイヤ3は、第1端3aでは、絶縁皮膜30(図3参照)が除去され、中心導体29が露出した状態で第1端子電極20と接続されている。
【0060】
次いで、第1ワイヤ3が巻芯部5に螺旋状に巻回される。そして、第1ワイヤ3の第1端3aとは逆の第2端3bが第2鍔部7にある第2端子電極21に電気的に接続される。この接続においても、たとえば熱圧着が適用される。第1ワイヤ3は、第2端3bにおいても、絶縁皮膜30が除去され、中心導体29が露出した状態で第2端子電極21と接続されている。
【0061】
次に、図9(B)に示すように、補助ワイヤ32の巻回工程が実施される。まず、補助ワイヤ32の第1端32aが第1鍔部6の側面12に熱圧着によって融着される。補助ワイヤ32を融着により固定すれば、高い固着力を期待できる。熱圧着温度は、補助ワイヤ32を構成する樹脂が揮発しない程度の温度とされる。補助ワイヤ32は、その本体部分の樹脂よりも低融点または低硬化温度の材料からなる融着層を表面に有していてもよい。このような融着層を備えていると、高い固着力を期待できるとともに、補助ワイヤ32の断線のリスクを低減できる。
【0062】
次いで、補助ワイヤ32が、第1ワイヤ3の連続する複数のターン間に形成される凹部に嵌り込んだ状態で第1ワイヤ3と同じ方向に螺旋状に巻回される。そして、補助ワイヤ32の第1端32aとは逆の第2端32bが、第1端32aの場合と同様の要領により、第2鍔部7の側面15に熱圧着によって融着される。補助ワイヤ32の第2端32bの固定部は、図1に図示されている。
【0063】
上述した補助ワイヤ32の第1端32aおよび第2端32bは、鍔部6および7の底面8および9と天面10および11とをそれぞれ結ぶ方向を高さ方向としたとき、側面12および15の高さ方向での中心位置より天面10および11側に片寄って位置されることが好ましい。これによって、補助ワイヤ32の固定位置を実装基板から遠ざけることができ、実装後に実装基板ごとコイル部品1に付与されることのあるコーティング剤等による補助ワイヤ32の断線リスクを低減することができる。また、補助ワイヤ32の固定時に生じ得る残渣が底面8および9側に生じたり、底面8および9側にまで届いたりすることを抑制することができ、実装面への影響を低減することができる。なお、上記高さ方向は図1の厚み方向Tと平行である。
【0064】
次に、図9(C)に示すように、第2ワイヤ4の巻回工程が実施される。まず、第2ワイヤ4の第1端4aが第1鍔部6にある第3端子電極22に電気的に接続される。この接続においても、たとえば熱圧着が適用される。第2ワイヤ4は、第1端4aでは、絶縁皮膜30(図3参照)が除去され、中心導体29が露出した状態で第3端子電極22と接続されている。
【0065】
次いで、第2ワイヤ4が、補助ワイヤ32によって位置が制御されながら、補助ワイヤ32の隣り合うターン間に形成された凹部に嵌り込んだ状態で補助ワイヤ32と同じ方向に螺旋状に巻回される。そして、第2ワイヤ4の第1端4aとは逆の第2端4bが第2鍔部7にある第4端子電極23に電気的に接続される。この接続においても、たとえば熱圧着が適用される。第2ワイヤ4は、第2端4bにおいても、絶縁皮膜30が除去され、中心導体29が露出した状態で第4端子電極23と接続されている。
【0066】
以上のようにして、第1ワイヤ3、第2ワイヤ4および補助ワイヤ32の各々の巻回工程が完了し、コイル部品1が完成される。
【0067】
補助ワイヤ32として、図10に示す構造のものを用いてもよい。図10に示した補助ワイヤ32は、線状の中心導体35と中心導体35の周面を覆う電気絶縁性樹脂からなる絶縁皮膜36とを有する。図10に示した補助ワイヤ32を用いる場合、図11に示すコイル部品1aのように、ドラム状コア2の表面に補助電極37が設けられることが好ましい。図11では、第1鍔部6の側面12に補助電極37が設けられている。補助ワイヤ32の第1端32aは、たとえば熱圧着によって、補助電極37に接続される。このとき、補助ワイヤ32の第1端32aでは、樹脂層36が除去され、金属線35が補助電極37に接合される。
【0068】
図11では図示されないが、第2鍔部7のたとえば側面15にも補助電極が設けられ、この補助電極に補助ワイヤ32の第2端32bが接続される。
【0069】
上述のように、金属線35を有する補助ワイヤ32を用いれば、補助ワイヤ32のドラム状コア2への固定が容易であり、かつ信頼性の高い固定を実現することができる。また、ワイヤ3および4間の浮遊容量が大きくなるが、このことが特性インピーダンスの調整幅を大きくするという利点をもたらすこともある。
【0070】
補助ワイヤ32の第1端32aおよび第2端32bを側面12および15の高さ方向での中心位置より天面10および11側に位置させるため、図11からわかるように、補助電極37は、側面12および15の高さ方向での中心位置より天面10および11側に片寄った位置に設けられることが好ましい。
【0071】
なお、補助電極37は、鍔部6および7の、好ましくは底面8および9を避けて、任意の面に設けることができる。補助電極37を鍔部6および7の底面8および9以外の面に設けることにより、補助ワイヤ32の固定位置、すなわち、第1端32aおよび第2端32bを実装基板から遠ざけることができる。したがって、実装後に実装基板ごとコイル部品1に付与されることのあるコーティング剤等による補助ワイヤ32の断線リスクを低減することができる。また、補助ワイヤ32の固定時に生じ得る残渣が底面8および9側に生じたり、底面8および9側にまで届いたりすることを抑制することができ、実装面への影響を低減することができる。さらに、補助電極37による実装基板側でのランドパターンへの影響を低減できる。
【0072】
図12は、図2に対応する図であって、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の巻回状態の一変形例を模式的に示している。図12では、第1ワイヤ3の外周側に巻回されるべき第2ワイヤ4の巻き始めと巻き終わりとが巻芯部5上に直接巻回されている。図12に示した例では、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の総ターン数が28であり、第2ワイヤ4の第1ターンと第28ターンとが巻芯部5上に直接巻回されている。
【0073】
図12に示すような現象は、この発明を実施したとき、偶発的に起こり得る場合もある。また、第2ワイヤ4が巻芯部5上に直接巻回されるターンは、第1ターンと第28ターンとに限られず、第1ターンや第28ターンに隣接するターンも巻芯部5上に直接巻回されていてもよいし、第1ターンと第28ターンとの間に整列巻回領域31を挟んだ中間ターンが巻芯部5上に直接巻回されていてもよい。
【0074】
図13は、図2に対応する図であって、補助ワイヤ32の巻回状態の一変形例を模式的に示している。図13では、補助ワイヤ32の一部のターンが巻芯部5上に直接巻回されている。したがって、補助ワイヤ32は、第1ワイヤ3の隣り合うターン間に形成されるすべての凹部に嵌り込んでいない。このような場合であっても、図2に示した構成に比べると効果はやや落ちるものの、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との整列状態での巻回を容易にし、かつ巻回状態の安定化を図る、といった補助ワイヤ32の役割を果たすことができる。他方、補助ワイヤ32の観点からは、補助ワイヤ32の巻回形状が安定する、という利点を期待できる。
【0075】
図13では、巻芯部5上に直接巻回される補助ワイヤ32のターンが、巻回の途中のものであったが、補助ワイヤ32の巻回の始端および終端の少なくとも一方のターンが巻芯部5上に直接巻回されていてもよい。
【0076】
なお、図13に示すような現象は、この発明を実施したとき、偶発的に起こり得る場合もある。
【0077】
図14は、図2に対応する図であって、補助ワイヤ32の巻回状態の他の変形例を模式的に示している。図14では、補助ワイヤ32は、第1ワイヤ3の隣り合うターン間に形成されるすべての凹部に嵌り込んでいない。このような場合であっても、図2に示した構成に比べると効果はやや落ちるものの、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との整列状態での巻回を容易にし、かつ巻回状態の安定化を図る、といった補助ワイヤ32の役割を果たすことができる。
【0078】
なお、図14の構成を実現する方法としては、補助ワイヤ32を第1ワイヤ3および第2ワイヤ4と同じ方向に巻回しつつ、巻回ピッチを第1ワイヤ3および第2ワイヤよりも広げればよい。また、他の方法として、補助ワイヤ32を第1ワイヤ3および第2ワイヤ4と逆の方向に巻回してもよい。
【0079】
次に、図15および図16を参照して、この発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態に比べて、2つの整列巻回領域31および43を有する点、および2本の補助ワイヤ32および42を用いる点で異なっている。
【0080】
以下、2つの整列巻回領域31および43を互いに区別するため、整列巻回領域31については「第1整列巻回領域」と呼び、整列巻回領域43については「第2整列巻回領域」と呼ぶことにする。また、2本の補助ワイヤ32および42を互いに区別するため、補助ワイヤ32については「第1補助ワイヤ」と呼び、補助ワイヤ42については「第2補助ワイヤ」と呼ぶことにする。
【0081】
図15は、第2の実施形態によるコイル部品41における第1ワイヤ3および第2ワイヤ4ならびに第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42の巻回状態を模式的に示す断面図である。図16は、図15に示したコイル部品41の底面図である。
【0082】
コイル部品41では、巻芯部5の中心軸線5Aに沿って、第1整列巻回領域31および第2整列巻回領域43が配置されている。ここで、第1整列巻回領域31は巻芯部5の第1鍔部6側に、第2整列巻回領域43は第1整列巻回領域31よりも巻芯部5の第2鍔部7側にそれぞれ位置している。
【0083】
第1整列巻回領域31は、第1の実施形態における整列巻回領域31と同様の構成を有している。すなわち、第1整列巻回領域31では、前述したように、第1鍔部6側から数えて、第2ワイヤ4の第nターンが第1ワイヤ3の第nターンの外周側に位置しかつ第2ワイヤ4の第nターンと第1ワイヤ3の第nターンとが巻芯部5の中心軸線5Aに直交する方向に整列している。
【0084】
また、第1補助ワイヤ32が、第1ワイヤ3の連続する複数のターン間に形成される凹部に嵌り込んだ状態で第1ワイヤ3と同じ方向に螺旋状に巻回される。そして、第1補助ワイヤ32の連続する複数のターン間に形成される凹部に嵌り込むように、第2ワイヤ4が第1補助ワイヤ32と同じ方向に螺旋状に巻回される。その結果、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4とが同一ターン間で整列している。
【0085】
第2整列巻回領域43では、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の上下関係が逆にされている。すなわち、第1鍔部6側から数えて、第1ワイヤ3の第mターン(mはnより大きい自然数)が第2ワイヤ4の第mターンの外周側に位置しかつ第1ワイヤ3の第mターンと第2ワイヤ4の第mターンとが巻芯部5の中心軸線5Aに直交する方向に整列している。そして、第2整列巻回領域43においても、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の各々が、連続する複数のターンをもって螺旋状に巻回されている。
【0086】
なお、第1整列巻回領域31におけるワイヤ3および4のターン数と第2整列巻回領域43におけるワイヤ3および4のターン数とは互いに等しいことが好ましい。たとえば、総ターン数が28であるとき、第1整列巻回領域31におけるワイヤ3および4の各ターン数は13であれば、第2整列巻回領域43におけるワイヤ3および4の各ターン数も13とされ、第1整列巻回領域31と第2整列巻回領域43との間の単層巻き領域ではワイヤ3および4の各ターン数が2とされる。
【0087】
また、第2補助ワイヤ42が、第2ワイヤ4の連続する複数のターン間に形成される凹部に嵌り込んだ状態で第2ワイヤ4と同じ方向に螺旋状に巻回される。そして、第2補助ワイヤ42の連続する複数のターン間に形成される凹部に嵌り込むように、第1ワイヤ3が第2補助ワイヤ42と同じ方向に螺旋状に巻回される。その結果、第2ワイヤ4と第1ワイヤ3とが同一ターン間で整列している。
【0088】
第1補助ワイヤ32の第1端32aは、図16に示されるように、たとえば、第1鍔部6の側面13に固定される。次いで、第1補助ワイヤ32は、第1整列巻回領域31で巻回された後、第2鍔部7側の巻回端から第2鍔部7側に引き出される。そして、第1補助ワイヤ32は、第1整列巻回領域31の第2鍔部7側の巻回端から延びる第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との間を通過しつつ、第2整列巻回領域43の外周側を越えて、第1補助ワイヤ32の第2端32bがたとえば、第2鍔部7の側面15に固定される。このように、第1補助ワイヤ32を導けば、第1補助ワイヤ32の、第1整列巻回領域31に対する干渉の度合いを低減することができる。
【0089】
他方、第2補助ワイヤ42の第2端42bは、同じく図16に示されるように、たとえば、第2鍔部7の側面14に固定される。次いで、第2補助ワイヤ42は、第2整列巻回領域43で巻回された後、第1鍔部6側の巻回端から第1鍔部6側に引き出される。次いで、第2補助ワイヤ42は、第2整列巻回領域43の第1鍔部6側の巻回端から延びる第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の外周側を通過しつつ、第1整列巻回領域31の外周側を越えて、第2補助ワイヤ42の第1端42aが、たとえば、第1鍔部6の側面12に固定される。このように、第2補助ワイヤ42を導けば、第2補助ワイヤ42の、第2整列巻回領域43および第1整列巻回領域31と第2整列巻回領域43との間の単層巻き領域に対する干渉の度合いを低減することができる。
【0090】
なお、上記では、図16に示すように、第1補助ワイヤ32は、第2鍔部7側の巻回端から第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との間を通過したが、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の外周側を通過してもよく、これによれば、第1補助ワイヤ3の単層巻き領域に対する干渉の度合いを低減することができる。また、第2補助ワイヤ42も同様に、第1鍔部6側の巻回端から第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との間を通過してもよい。
【0091】
上述した第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42の各々と鍔部6および7の各々との固定には、図9または図11を参照して説明した方法が採用される。
【0092】
以上説明した第2の実施形態によれば、第1整列巻回領域31において第2ワイヤ4が第1ワイヤ3の外周側に巻回されることに起因して発生する第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との線路長および自己インダクタンスの差異を、第2整列巻回領域43において第1ワイヤ3が第2ワイヤ4の外周側に巻回されることにより低減し、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4を通過する信号への影響をより低減することができる。また、補助ワイヤとして、第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42といった2本の補助ワイヤを用いることにより、第1整列巻回領域31と第2整列巻回領域43との間で、第1ワイヤ3および第2ワイヤ4と補助ワイヤ32または42とが煩雑に干渉することを避けることができる。
【0093】
なお、このような利点を特に望まないならば、第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42を1本の補助ワイヤで兼用させてもよい。この場合は、たとえば、第1補助ワイヤ32は、第1整列巻回領域31の第2鍔部7側の巻回端から引き出された後、第2整列巻回領域43で巻回される。
【0094】
次に、図17を参照して、この発明の第2の実施形態における第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42の引出し態様についての変形例について説明する。
【0095】
図17に示したコイル部品41aでは、第1補助ワイヤ32の第1端32aは、たとえば、第1鍔部6の側面12に固定される。次いで、第1補助ワイヤ32は、第1整列巻回領域31で巻回された後、第2鍔部7側の巻回端から、第1鍔部6側に戻され、第1整列巻回領域31を越えて、第2端32bが第1鍔部6のたとえば側面13に固定される。第1補助ワイヤ32が第2鍔部7側の巻回端から第1鍔部6側に戻されるとき、第1補助ワイヤ32は第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の少なくとも一方に絡めて位置決めされることが好ましい。
【0096】
他方、第2補助ワイヤ42の第1端42aは、たとえば、第2鍔部7の側面15に固定される。次いで、第2補助ワイヤ42は、第2整列巻回領域43で巻回された後、第1鍔部6側の巻回端から、第2鍔部7側に戻され、第2整列巻回領域43を越えて、第2端42bが第2鍔部7のたとえば側面14に固定される。第2補助ワイヤ42が第1鍔部6側の巻回端から第2鍔部7側に戻されるとき、第2補助ワイヤ42は第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の少なくとも一方に絡めて位置決めされることが好ましい。なお、第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42の第1ワイヤ3および第2ワイヤ4への絡め方は、図17のように第1補助ワイヤ32と第2補助ワイヤ42とが異なる絡め方であってもよいし、同じ絡め方であってもよい。
【0097】
図17に示した変形例によれば、第1補助ワイヤ32の第2整列巻回領域43への干渉、および第2補助ワイヤ42の第1整列巻回領域31への干渉を、ともに避けることができる。
【0098】
次に、図18および図19を参照して、この発明の第2の実施形態における第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42の引出し態様についての他の変形例について説明する。図18には、コイル部品41bの上面、すなわち鍔部6および7の天面10および11ならびに巻芯部5の天面28が図示されている。図19には、コイル部品41bの一部が正面から図示されていて、第2鍔部7の側面14の一部が現れている。
【0099】
第1補助ワイヤ32の第1端32aは、図18に示されるように、たとえば、第1鍔部6の側面13に固定される。次いで、第1補助ワイヤ32は、第1整列巻回領域31で巻回された後、第2鍔部7側の巻回端から、第1鍔部6側に戻され、第1整列巻回領域31を越えて、第2端32bが第1鍔部6の天面10に固定される。第1補助ワイヤ32が第2鍔部7側の巻回端から第1鍔部6側に戻されるとき、第1補助ワイヤ32は第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の少なくとも一方に絡めて位置決めされることが好ましい。
【0100】
他方、第2補助ワイヤ42の第1端42aは、たとえば、第2鍔部7の側面14に固定される。次いで、第2補助ワイヤ42は、第2整列巻回領域43で巻回された後、第1鍔部6側の巻回端から、第2鍔部7側に戻され、第2整列巻回領域43を越えて、第2端42bが第2鍔部7の天面11に固定される。第2補助ワイヤ42が第1鍔部6側の巻回端から第2鍔部7側に戻されるとき、第2補助ワイヤ42は第1ワイヤ3および第2ワイヤ4の少なくとも一方に絡めて位置決めされることが好ましい。
【0101】
この変形例の場合、第2補助ワイヤ42の第2端42bを図示する図19からわかるように、第1補助ワイヤ32の第2端32bおよび第2補助ワイヤ42の第2端42bは、それぞれ、鍔部6および7の天面10および11と板状コア26との間に挟まれた状態となる。なお、この際、第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42が挟まれる領域について、天面10および11や板状コア26に段差を形成してもよい。これにより、第1補助ワイヤ32および第2補助ワイヤ42が天面10および11と板状コア26との間のギャップに与える影響を低減できる。
【0102】
この変形例によれば、図17に示した変形例の場合と同様、第1補助ワイヤ32の第2整列巻回領域43への干渉、および第2補助ワイヤ42の第1整列巻回領域31への干渉を、ともに避けることができるばかりでなく、実装後に実装基板ごとコイル部品1に付与されことのあるコーティング剤等による補助ワイヤ32および42の断線リスクを低減することができる。
【0103】
上述した変形例のさらなる変形例として、第1補助ワイヤ32の第1端32aおよび第2端32bならびに第2補助ワイヤ42の第1端42aおよび42bのすべてを、鍔部6および7の天面10および11のいずれかに振り分けて固定してもよい。
【0104】
以上説明した実施形態および変形例において、補助ワイヤの端部の固定位置について、鍔部の側面とする例および鍔部の天面とする例を示したが、その他鍔部の底面、外側端面または内側端面としてもよい。
【0105】
また、上述した実施形態および変形例では、補助ワイヤ32および42によって、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との間での整列状態での巻回を容易にしかつ巻回状態の安定化を図ったが、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との巻回状態の安定化を図るため、以下に説明するように、補助ワイヤによる方法以外が採用されてもよい。
【0106】
図20では、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4とが互いに融着することによって巻回状態の安定化が図られている。より詳細には、第1ワイヤ3の絶縁皮膜30と第2ワイヤ4の絶縁皮膜30とが加熱や押圧されることによって互いに融着していて、それによって、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との巻回状態の安定化が図られている。第1ワイヤ3の絶縁皮膜30と第2ワイヤ4の絶縁皮膜30との融着は、互いに接触する部分の全域にわたって施されていても、一部のみに施されていてもよい。また、図20では、第1ワイヤ3と巻芯部5との間でも融着が生じているが、この部分での融着は特になくてもよい。
【0107】
図21では、第1ワイヤ3と第2ワイヤ4との間に樹脂45が充填されることによって巻回状態の安定化が図られている。樹脂45としては、たとえば、ポリエチレン系、フッ素系またはポリイミド系樹脂のような低誘電率のものを用いることが好ましい。樹脂45の充填による方法は、コイル部品の製造効率を高め、かつ電気絶縁性への影響が小さい点で好ましい。
【0108】
図20および図21では、第1ワイヤ3が内層側に位置し、第2ワイヤ4が外層側に位置していたが、この位置関係には特に意味はなく、位置関係が逆であってもよい。
【0109】
また、図20に示した方法と図21に示した方法とは併用されてもよい。さらに、図20に示した方法および図21に示した方法の少なくとも一方と、前述した補助ワイヤによる方法とが併用されてもよい。
【0110】
なお、通常、第1ワイヤおよび第2ワイヤは、巻回工程の円滑化のため、各々の表面に滑り材としてのパラフィンが付着している。そこで、当該パラフィンを後工程で部分的に除去するなどして、第1ワイヤと第2ワイヤとの接触部分の一部にパラフィンが存在しないようにすることで、外層側のワイヤの巻回位置を安定させるようにしてもよい。
【0111】
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他種々の実施形態が可能である。
【0112】
たとえば、巻芯部が与えるワイヤの巻回領域全体に対して、整列巻回領域が占める割合が高いほど好ましいが、整列巻回領域以外の領域、たとえば、第1ワイヤおよび第2ワイヤの各々が多層巻きにされていない領域、あるいは多層巻きにされていても、外周側で第1ワイヤと第2ワイヤとが交互に巻回されている領域、従来技術のように外周側に巻回されたワイヤの各ターンが、内周側に巻回されたワイヤの隣り合うターン間に形成される凹部にはまり込んだ領域、内周側と外周側で異なるターン序数のターンが整列した領域などが存在していてもよい。
【0113】
また、上述した実施形態は、コモンモードチョークコイルを構成するコイル部品に関するものであったが、その他トランス、バラン等を構成するものであってもよい。
【0114】
また、上述した各実施形態および各変形例は、例示的なものであり、異なる実施形態間または変形例間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0115】
1,1a,41,41a,41b コイル部品
2 ドラム状コア
3 第1ワイヤ
3a 第1ワイヤの第1端
3b 第1ワイヤの第2端
4 第2ワイヤ
4a 第2ワイヤの第1端
4b 第2ワイヤの第2端
5 巻芯部
6 第1鍔部
7 第2鍔部
8 第1鍔部の底面
9 第2鍔部の底面
10 第1鍔部の天面
11 第2鍔部の天面
12,13 第1鍔部の側面
14,15 第2鍔部の側面
16 第1鍔部の内側端面
17 第2鍔部の内側端面
18 第1鍔部の外側端面
19 第2鍔部の外側端面
20 第1端子電極
21 第2端子電極
22 第3端子電極
23 第4端子電極
27 巻芯部の底面
28 巻芯部の天面
29 中心導体
30 絶縁皮膜
31 (第1)整列巻回領域
32 (第1)補助ワイヤ
32a (第1)補助ワイヤの第1端
32b (第1)補助ワイヤの第2端
35 中心導体
36 絶縁皮膜
37 補助電極
42 第2補助ワイヤ
42a 第2補助ワイヤの第1端
42b 第2補助ワイヤの第2端
43 第2整列巻回領域
45 樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21