【課題】上り方向における通信量の抑制と、ネットワーク側における処理負荷の低減とを両立しつつ、センサ情報をV2X(車々間及び路車間通信)対応車両とV2X非対応車両とで効率的に共有し得るセンサ情報共有システム、センサ情報共有サーバ及びセンサ情報報告装置を提供する。
【解決手段】ITSサーバ50は、UE200A、UE200B及びUE200Dからセンサ情報を受信する。また、ITSサーバ50は、センサ情報の報告形態態を指示する報告形態指示情報をUE200A、UE200B及びUE200Dに送信する。UE200A、UE200B及びUE200Dは、報告形態指示情報を受信し、報告形態指示情報によって指示された報告形態に従ったセンサ情報をITSサーバに送信する。
車両または道路付属設備に備えられているセンサによって検出されたセンサ情報を報告するセンサ情報報告装置と通信を実行し、前記車両と前記センサ情報を共有するセンサ情報共有サーバであって、
前記センサ情報報告装置から前記センサ情報を受信するセンサ情報受信部と、
前記センサ情報の報告形態を指示する報告形態指示情報を前記センサ情報報告装置に送信する指示情報送信部と
を備えるセンサ情報共有サーバ。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0015】
(1)センサ情報共有システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係るセンサ情報共有システム10の全体概略構成図である。本実施形態では、センサ情報共有システム10は、5G New Radio(NR)に従った移動通信ネットワークを用いてセンサ情報の共有を実現する。
【0016】
具体的には、センサ情報共有システム10は、ITSサーバ50と、車両70A及び車両70Bにそれぞれ搭載されるユーザ装置200A(以下、UE200A)及びユーザ装置200B(以下、UE200B)とを含む。
【0017】
車両70A及び車両70Bは、車車間通信(V2V)及び路車間通信(V2I)などを含む所定通信方式、具体的には、V2X(Vehicle-to-X(everything))に対応している。具体的は、車両70A及び車両70Bは、UE200A及びUE200Bを用いて通信を実行する。
【0018】
具体的には、UE200A(UE200B)は、車両70A(車両70B)に備えられているセンサ71(センサ72)によって検出されたセンサ情報をITSサーバ50に報告する。
【0019】
また、道路付属設備80は、典型的には信号機、高度道路交通システム(ITS)の路側機(ITSスポット)などであり、センサ81を備える。センサ81には、ユーザ装置200D(以下、UE200D)が接続されている。
【0020】
UE200Dは、道路付属設備80に備えられているセンサ81によって検出されたセンサ情報を報告するITSサーバ50に報告する。本実施形態において、ITSサーバ50は、センサ情報共有サーバを構成し、UE200A、UE200B及びUE200Dは、センサ情報報告装置を構成する。
【0021】
センサ71、センサ72及びセンサ81の種類としては、カメラ及びレーダ(ミリ波またはLIDAR(Light Detection and Ranging))が挙げられるが、これらに限定されず、車両または道路付属設備の周囲の状況が検出できるセンサであればよい。
【0022】
車両70Cは、V2Xに対応していない。具体的には、車両70Cには、ユーザ装置200C(以下、UE200C)が搭載されているが、UE200Cは、V2Xには対応しておらず、V2V及びV2Iを実行することはできない。但し、UE200Cは、センサ情報共有システム10から配信されるセンサ情報を受信できる。
【0023】
センサ情報共有システム10は、車両70A及び車両70B、つまり、UE200A及びUE200Bから送信されたセンサ情報を車両70C、つまり、UE200Cと共有する。
【0024】
また、センサ情報共有システム10は、当該センサ情報を歩行者90が携帯するユーザ装置200E(以下、UE200E)と共有する。UE200DもV2Xには対応しておらず、典型的には、歩行者90が利用するスマートフォンなどの無線通信端末である。本実施形態において、UE200C及びUE200Eは、非対応装置を構成する。
【0025】
無線アクセスネットワーク20は、NR(5G)に従った無線アクセスネットワーク(NG-RAN)であり、無線基地局100(以下、gNB100)を含む。
【0026】
コアネットワーク30は、無線アクセスネットワーク20と接続されている。コアネットワーク30は、NR(5G)に従ったコアネットワーク(NGC)である。
【0027】
ITSサーバ50は、ITSの構成要素として提供されるサーバである。ITSサーバ50は、コアネットワーク30と接続されている。ITSサーバ50は、UE200A、UE200B及びUE200Dと通信を実行する。また、ITSサーバ50は、上述したように、車両との所定通信方式、具体的には、V2Xに対応していないUE200C及びUE200D(非対応装置)とも通信を実行し、センサ情報を共有する。つまり、ITSサーバ50は、V2Xに対応している車両70A及び車両70B(UE200A及びUE200B)、さらに、V2Xに対応していない車両70C(UE200C)及びUE200Eとセンサ情報を共有できる。
【0028】
(2)センサ情報共有システムの機能ブロック構成
次に、センサ情報共有システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、ITSサーバ50及びUE200Aの機能ブロック構成について説明する。
【0029】
(2.1)ITSサーバ50
図2は、ITSサーバ50の機能ブロック構成図である。
図2に示すように、ITSサーバ50は、センサ情報受信部51、位置情報受信部52、指示情報送信部53及びセンサ情報共有部55を備える。
【0030】
センサ情報受信部51は、車両70A及び車両70B、具体的には、UE200A及びUE200Bから送信されたセンサ情報を受信する。当該センサ情報は、センサ71及びセンサ72によって検出された情報である。
【0031】
また、センサ情報受信部51は、道路付属設備80、具体的には、UE200Dから送信されたセンサ情報を受信する。当該センサ情報は、センサ81によって検出された情報である。
【0032】
位置情報受信部52は、車両70A及び車両70B、具体的には、UE200A及びUE200Bから送信された位置情報を受信する。当該位置情報は、典型的には、Global Positioning System(GPS)に基づくデータであり、車両から提供されてもよいし、UEがGPS受信機を備えてもよい。また、車両の位置検出には、gNB100の情報が補完的または主体的に用いられてもよい。
【0033】
指示情報送信部53は、センサ情報の報告形態を指示する報告形態指示情報をUE200A(UE200B及びUE200D、以下同)に送信する。具体的には、指示情報送信部53は、当該報告形態として、車両毎、つまり、UE毎に、センサ情報の報告要否を指示できる。
【0034】
より具体的には、指示情報送信部53は、報告不要なオブジェクト(センサによる検出物)を明示的または暗黙的に指示できる。例えば、指示情報送信部53は、当該オブジェクトからのセンサ情報の報告に基づいて当該オブジェクトを認識し、当該オブジェクトの認識精度が高いとみなした場合、当該オブジェクトを報告不要と決定できる。
【0035】
なお、指示情報送信部53は、当該オブジェクトの報告不要を指示することに代えて、該当オブジェクトからの自車位置情報または他の車両から認識精度の高い当該オブジェクトのセンサ情報が検出されたことを指示してもよい。
【0036】
つまり、報告形態指示情報は、(i)当該オブジェクトのセンサ情報の提供があること、(ii)センサ情報を共有することによって十分な認識精度を有するセンサ情報が取得できていることの2種類で構成されてもよい。(i)の場合、全ての車両は、センサ情報の共有を停止してもよい。また、(ii)の場合、センサ情報の報告頻度または当該オブジェクトの認識精度の閾値を変更してもよい。
【0037】
このように、報告不要なオブジェクトを明示的または暗黙的に指示することによって、他の車両からのセンサ情報によって十分な認識精度が得られているオブジェクトについては、報告を省略することができ、上り方向における通信量を削減できる。
【0038】
報告形態指示情報は、UE200Aと接続されているセンサ71によって認識されるオブジェクトの認識精度を含んでもよい。当該認識精度は、各オブジェクトに対して個別に指定されるものでもよいし、全てのオブジェクトに対して共通に指定されるものでもよい。また、報告形態指示情報は、UE200AからITSサーバ50に報告される最大オブジェクト数を含んでもよい。
【0039】
或いは、報告形態指示情報は、報告の対象となるオブジェクトの種別を含んでもよい。例えば、報告の対象となるオブジェクトを車両のみとしたり、車両及び歩行者としたりしてもよい。
【0040】
また、報告形態指示情報は、上述した報告形態として、センサ情報の報告頻度及び報告条件を含む報告プロファイルを規定するものであってもよい。報告条件としては、オブジェクトの認識精度、及び報告対象の車両の識別情報(車両の登録番号など)が挙げられる。
【0041】
また、オブジェクトの認識精度とは、当該オブジェクトの尤度を示すものであってもよいし、センサを搭載する車両と、当該オブジェクトとの間の距離を示すものであってもよい。
【0042】
さらに、報告形態指示情報は、センサ情報の共有のみに適用され、センサ情報以外の車両情報(位置情報など)には適用されないようにしてもよい。
【0043】
センサ情報共有部55は、センサ情報受信部51が受信したセンサ情報を他の車両などと共有する。
【0044】
具体的には、センサ情報共有部55は、当該センサ情報を、V2Xに対応している車両70A及び車両70B(UE200A及びUE200B)、さらに、V2Xに対応していない車両70C(UE200C)及びUE200Eと共有できる。当該センサ情報の共有には、車両70A(UE200A)から送信されたセンサ情報をそのまま(或いはデータ圧縮して)共有する生データ共有方式と、車両70Aに搭載されるECU(Electronic Control Unit)などが、車両70Aの周囲に存在する車両及び歩行者などのオブジェクト認識を実行し、当該オブジェクトの認識結果のみを共有するオブジェクト情報共有方式とに大別される。
【0045】
センサ情報共有部55は、複数の車両(UE)から送信されたセンサ情報を共有し、共有したセンサ情報を、V2Xに対応している車両70A及び車両70B(UE200A及びUE200B)、さらに、V2Xに対応していない車両70C(UE200C)及びUE200Eに配信する。
【0046】
具体的には、センサ情報共有部55は、無線アクセスネットワーク20及びコアネットワーク30を介して、共有したセンサ情報を当該UEに配信する。なお、センサ情報共有部55は、V2Xに対応している車両70A及び車両70B(UE200A及びUE200B)にセンサ情報を配信する場合、内容が重複するセンサ情報を排除してもよいし、特定のオブジェクトに関するセンサ情報を選択してもよい。
【0047】
なお、センサ情報の具体的な共有方法については、さらに後述する。
【0048】
(2.2)UE200A
図3は、UE200Aの機能ブロック構成図である。
図3に示すように、UE200Aは、センサ情報取得部210、指示情報受信部220、センサ情報送信部230及び位置情報送信部240を備える。なお、UE200B及びUE200DもUE200Aと概ね同様の機能ブロック構成を有する。なお、UE200Dの場合、上述したように、車両ではなく、道路付属設備80のセンサ81と接続されている。
【0049】
センサ情報取得部210は、車両70Aに搭載されているセンサ71から出力されるセンサ情報、具体的には、センサ71から出力される各種オブジェクト(車両、歩行者及び障害物など)のセンシングデータ(オブジェクト検出結果)を取得する。
【0050】
指示情報受信部220は、ITSサーバ50から送信された報告形態指示情報を受信する。具体的には、指示情報受信部220は、無線アクセスネットワーク20及びコアネットワーク30を介して送信された報告形態指示情報を受信する。
【0051】
センサ情報送信部230は、報告形態指示情報によって指示された報告形態に従ったセンサ情報をITSサーバ50に送信する。具体的には、センサ情報送信部230は、報告形態指示情報によって指示された報告形態に基づいて、報告対象とするオブジェクトまたはセンサ種別を決定する。
【0052】
また、センサ情報送信部230は、(i)報告形態指示情報によって報告が必要と指示されたオブジェクト、(ii)報告形態指示情報によって報告が不要と指示されたオブジェクト、(iii)報告形態指示情報によって指定されなかったオブジェクト間において、センサ情報の報告頻度を変えてもよい。
【0053】
例えば、センサ情報送信部230は、(i)及び(iii)については、(ii)よりも報告頻度を高くできる。なお、(iii)は、典型的には、ITSサーバ50が認識していないオブジェクトなどが該当する。
【0054】
また、(ii)の場合、センサ情報送信部230は、報告が不要と指示されていても、低頻度でセンサ情報を送信してもよい。これにより、車両70Aの周囲に存在する他の車両(車両70B及び車両70C)との位置関係(トポロジー)が変化し、特定のオブジェクトについてセンサ情報を報告すべき最適な車両が変わった場合でも、ITSサーバ50は、(ii)のセンサ情報も含めて、最適な車両を迅速かつ正確に選択し得る。
【0055】
センサ情報送信部230は、オブジェクトの認識精度に基づいて、当該オブジェクトのセンサ情報の報告頻度を変更してもよい。例えば、センサ情報送信部230は、認識精度が所定の閾値以上であれば、報告頻度を高くし、認識精度が所定の閾値をしたまわれば、報告頻度を低くしてもよい。
【0056】
また、センサ情報送信部230は、報告対象のセンサ情報に含まれるオブジェクト数が最大オブジェクト数を超える場合、センサ71によって認識されるオブジェクトの認識精度、またはセンサ71に近いオブジェクトの少なくとも何れかを優先して報告してもよい。これにより、UE200Aから送信されるセンサ情報の量を抑制しつつ、共有価値の高いセンサ情報をより確実に共有し得る。
【0057】
さらに、センサ情報送信部230は、特定のオブジェクトについて、センサ情報の報告を継続、つまり、センサ情報を送信している場合、ITSサーバ50から個別に報告不要と指示されない限り、当該センサ情報の送信を停止しない。
【0058】
例えば、ブロードキャストの対象であるオブジェクのセンサ情報について、ブロードキャストが不要と通知された場合でも、センサ情報送信部230は、当該オブジェクトのセンサ情報の送信を停止しない。
【0059】
また、センサ情報送信部230は、当該特定のオブジェクトの認識精度が所定の閾値以上である限り、当該センサ情報の送信を停止しないようにしてもよい。
【0060】
位置情報送信部240は、UE200A、つまり、車両70Aの位置情報をITSサーバ50に送信する。具体的には、位置情報送信部240は、車両70AまたはUE200Aが備えるGPS受信機によって取得されたGPSに基づくデータをITSサーバ50に送信する。
【0061】
(3)センサ情報共有システムの動作
次に、センサ情報共有システム10の動作について説明する。具体的には、センサ情報共有システム10によるセンサ情報の共有動作について説明する。
【0062】
図4は、センサ情報共有システム10によるセンサ情報の共有シーケンスを示す。
図4に示すように、ITSサーバ50は、センサ情報の報告形態を指示する報告形態指示情報を、V2Xに対応している車両70A及び車両70Bに搭載されているUE200A及びUE200Bに送信する(S10)。
【0063】
同様に、ITSサーバ50は、道路付属設備80のセンサ81と接続されているUE200Dに報告形態指示情報を送信する(S10)。
【0064】
UE200A、UE200B及びUE200Dは、受信した報告形態指示情報に基づいて、センサ情報の報告形態(対象オブジェクト、報告頻度、及びオブジェクトの認識精度など)を決定する(S20)。
【0065】
UE200A、UE200B及びUE200Dは、決定した報告形態に従って、該当するオブジェクトのセンサ情報を所定周期でITSサーバ50に送信する(S30)。
【0066】
ITSサーバ50は、UE200A、UE200B及びUE200Dから送信されたセンサ情報を取得する(S35)。
【0067】
また、V2Xに対応していない車両70Cに搭載されているUE200C、及び歩行者90が携帯するUE200Eは、当該UEの現在位置を示す位置情報をITSサーバ50に報告する(S40)。
【0068】
なお、車両70Cに搭載されているUE200Cは、位置情報に加えて、車両70Cに関する車両情報、例えば、車両装備の稼働状態を示す情報などをITSサーバ50に送信してもよい。
【0069】
ITSサーバ50は、UE200C及びUE200Eから送信された位置情報を取得する(S50)。
【0070】
ITSサーバ50は、ステップS35において取得したセンサ情報に基づいて、UE200C及びUE200Eと共有すべきセンサ情報を決定する(S60)。具体的には、ITSサーバ50は、オブジェクトの種別、位置、オブジェクトの認識精度、及びセンサ情報のサイズなどに基づいて、当該UEと共有すべきセンサ情報を決定する。
【0071】
なお、共有すべきセンサ情報としては、当該UEの近傍に位置する車両、歩行者、信号機の状況、障害物(道路上の落下物など)、工事現場などが典型的な例として挙げられる。
【0072】
ITSサーバ50は、共有すると決定したセンサ情報をUE200C及びUE200Eに配信する(S70)。具体的には、ITSサーバ50は、当該センサ情報を、ユニキャストまたはマルチキャストにより配信できる。
【0073】
UE200C及びUE200Eは、ITSサーバ50から送信されたセンサ情報を用いた処理を実行する(S80)。具体的には、車両70Cに搭載されているUE200Cは、車両70CのECUなどに対して当該センサ情報を提供する。
【0074】
車両70Cは、当該センサ情報に基づいて、車両制御(ステアリングまたはブレーキ制御など)を実行し得る。また、UE200Eは、当該センサ情報に基づいて、特定の車両が接近していることなどを歩行者90に通知し得る。
【0075】
(4)センサ情報の構成例
次に、センサ情報の構成例について説明する。具体的には、V2Xに対応している車両(UE)がITSサーバ50に報告するセンサ情報の構成例と、ITSサーバ50が、V2Xに対応していない車両(UE)に配信するセンサ情報の構成例とについて説明する。
【0076】
図5A及び
図5Bは、V2Xに対応している車両(UE)がITSサーバ50に報告するセンサ情報の構成例(オブジェクトベース)を示す。
【0077】
具体的には、
図5Aは、内容の重複を許容するセンサ情報の構成例を示す。
図5Bは、内容の重複を排除したセンサ情報の構成例を示す。
図5A及び
図5Bは、上述したオブジェクト情報共有方式が適用される場合における構成例を示す。
【0078】
図5Aの構成例では、各車両が検出したオブジェクトのセンサ情報が含まれている。このようなセンサ情報には、重複した情報(例えば、オブジェクトC)が含まれている。
【0079】
図5Bの構成例では、このような重複は排除されている。
図5Bに示す構成例では、オブジェクトE, Fのみによってセンサ情報が構成される。つまり、オブジェクトA〜Cについては、当該オブジェクトから位置情報の報告がなされており、それ以外のオブジェクトE, Fについてセンサ情報の報告が必要になる。
【0080】
オブジェクトEについては、車両B, Cがセンサによって認識しており、重複した報告となり得るため、重複を排除した制御によって、車両Cのみが報告する形態となっている。
【0081】
車両A〜Cは、車車間通信(V2V)またはITSサーバ50からの報告形態の指示情報によって、当該オブジェクトの位置情報またはセンサ情報が他の車両から報告されていること、或いは報告要否を認識している。
【0082】
図6A及び
図6Bは、V2Xに対応している車両(UE)がITSサーバ50に報告するセンサ情報の構成例(生データベース)を示す。
【0083】
具体的には、
図6Aは、内容の重複を許容するセンサ情報の構成例を示す。
図6Bは、内容の重複を排除したセンサ情報の構成例を示す。
図6A及び
図6Bは、上述した生データ共有方式が適用される場合における構成例を示す。
【0084】
図6Aの構成例では、各車両が検出した領域のセンサ情報が含まれている。このようなセンサ情報には、重複した情報(例えば、領域1)が含まれている。
【0085】
図6Bの構成例では、このような重複は排除されている。
図6Bに示す構成例では、各領域については、限定された車両のみがセンサ情報を送信する。車両A〜Cは、車車間通信(V2V)またはITSサーバ50からの報告形態の指示情報によって、重複する領域については、他の車両から報告されていること、或いは報告要否を認識している。
【0086】
なお、センサ精度とは、センサの検出精度を意味するが、センサ精度を明示せずに、センサがカメラであれば、当該領域を構成する画素の密度、または点群密度などを用いてもよい。
【0087】
図7A及び
図7Bは、ITSサーバ50が、V2Xに対応していない車両(UE)に配信するセンサ情報の構成例(オブジェクトベース)を示す。
【0088】
具体的には、
図7Aは、ユニキャスト配信によるセンサ情報の構成例を示す。
図7Bは、マルチキャスト配信によるセンサ情報の構成例を示す。
【0089】
図7Aの構成例では、ユニキャスト配信のため、車両毎に配信対象オブジェクトの内容が含まれる。
【0090】
一方、
図7Bの構成例では、マルチキャスト配信によって全ての車両(UE)に対して同報配信されるため、全ての配信対象オブジェクトの内容が含まれる。なお、マルチキャスト配信の場合、宛先は、エリア(図中のエリアID)またはグループ(図中のグループID)単位で指定してもよいし、エリア及びグループを特定せずに、全ての車両(UE)を対象としてもよい。
【0091】
図8A及び
図8Bも、
図7A及び
図7Bと同様に、ITSサーバ50が、V2Xに対応していない車両(UE)に配信するセンサ情報の構成例(オブジェクトベース)を示す。
図8Aは、ユニキャスト配信によるセンサ情報の構成例を示す。
図8Bは、マルチキャスト配信によるセンサ情報の構成例を示す。
【0092】
図8A及び
図8Bでは、
図7A及び
図7Bと比較すると、センサ情報の報告条件が含まれている。センサ情報の報告条件とは、上述したように、センサを搭載する車両と、当該オブジェクトとの間の距離(或いはオブジェクトの尤度)など、オブジェクトの認識精度を示す情報が挙げられる。
【0093】
(5)作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、センサ情報共有システム10によれば、ITSサーバ50は、センサ情報の報告形態を指示する報告形態指示情報をUE200A(UE200B及びUE200D、以下同)に送信する。UE200Aは、報告形態指示情報によって指示された報告形態に従ったセンサ情報をITSサーバ50に送信する。
【0094】
これにより、ITSサーバ50は、当該報告形態に従って送信されたセンサ情報をV2Xに対応していない車両70C(UE200C)及びUE200Eと共有することができる。
【0095】
特に、報告形態指示情報によって報告形態を指示できるため、V2X対応車両からの上り方向における膨大な通信量が発生することを防止し得る。また、報告形態指示情報によって、ITSサーバ50に送信されるセンサ情報の種別及び頻度を制限できるため、ITSサーバ50における処理負荷を低減し得る。
【0096】
すなわち、センサ情報共有システム10によれば、上り方向における通信量の抑制と、ネットワーク(ITSサーバ50)側における処理負荷の低減とを両立しつつ、センサ情報をV2X対応車両とV2X非対応車両(UEを含む)とで効率的に共有し得る。
【0097】
本実施形態では、報告形態指示情報は、センサ71(センサ72及びセンサ81)によって認識されるオブジェクトの認識精度を含むことができる。このため、他の車両からのセンサ情報によって十分な認識精度が得られているオブジェクトについては、報告を省略することができる。また、十分な認識精度が得られていないセンサ情報のITSサーバ50への送信を停止できる。このため、上り方向における通信量をさらに削減できる。
【0098】
本実施形態では、報告形態指示情報は、UE200AからITSサーバ50に報告される最大オブジェクト数を含むことができる。UE200Aは、報告対象のセンサ情報に含まれるオブジェクト数が最大オブジェクト数を超える場合、センサ71によって認識されるオブジェクトの認識精度、またはセンサ71に近いオブジェクトの少なくとも何れかを優先して報告できる。このため、報告対象のオブジェクト数が多い場合でも、ITSサーバ50は、共有することが効果的であるセンサ情報をより確実に共有できる。
【0099】
(6)その他の実施形態
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0100】
例えば、センサによって検出されるオブジェクトの情報は、所定の領域と対応するセンシングの生データであってもよい。例えば、直方体で定義される領域、或いは複数の座標で定義されるポリゴンなどであってもよい。つまり、センサによって検出されたセンシングの生データをセンサ情報として共有してもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では、コアネットワーク30に接続されるITSサーバ50によってセンサ情報の共有が実現されていたが、ITSサーバ50に代えて、コアネットワーク30に含まれるネットワークノードにおいて実現されてもよい。つまり、センサ情報共有サーバの機能は、移動通信ネットワークによって提供されても構わない。
【0102】
また、上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図(
図2,3)は、機能ブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/またはソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/または論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/または間接的に(例えば、有線及び/または無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0103】
さらに、上述したITSサーバ50及びUE200A〜UE200E(当該装置)は、本発明の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図9は、当該装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図9に示すように、当該装置は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0104】
当該装置の各機能ブロック(
図2,3参照)は、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、または当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
【0105】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)で構成されてもよい。
【0106】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、上述した実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0107】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及び/またはストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0108】
通信装置1004は、有線及び/または無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0109】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0110】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0111】
また、情報の通知は、上述した実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block))、その他の信号またはこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC Connection Setupメッセージ、RRC Connection Reconfigurationメッセージなどであってもよい。
【0112】
さらに、入出力された情報は、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報は削除されてもよい。入力された情報は他の装置へ送信されてもよい。
【0113】
上述した実施形態におけるシーケンス及びフローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。
【0114】
また、上述した実施形態において、ITSサーバ50によって行われるとした特定動作は、他のネットワークノード(装置)によって行われることもある。また、複数の他のネットワークノードの組み合わせによってITSサーバ50の機能が提供されても構わない。
【0115】
なお、本明細書で説明した用語及び/または本明細書の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、該当する記載がある場合、チャネル及び/またはシンボルは信号(シグナル)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用されてもよい。
【0116】
さらに、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスで指示されるものであってもよい。
【0117】
gNB100(基地局)は、1つまたは複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。
【0118】
「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び/または基地局サブシステムのカバレッジエリアの一部または全体を指す。さらに、「基地局」「eNB」、「セル」、及び「セクタ」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。基地局は、固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、gNodeB(gNB)、アクセスポイント(access point)、フェムトセル、スモールセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0119】
UE200A〜UE200Eは、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0120】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0121】
また、「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形の用語は、「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書或いは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0122】
本明細書で使用した「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0123】
本明細書の全体において、例えば、英語でのa, an, 及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0124】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。