特開2019-220905(P2019-220905A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019220905-基準点用リフレクタ 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-220905(P2019-220905A)
(43)【公開日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】基準点用リフレクタ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/14 20060101AFI20191129BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20191129BHJP
   G01S 13/90 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H01Q15/14 Z
   G01S7/03 200
   G01S13/90 127
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-118530(P2018-118530)
(22)【出願日】2018年6月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩城 英朗
(72)【発明者】
【氏名】横島 喬
(72)【発明者】
【氏名】山口 範洋
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 智博
(72)【発明者】
【氏名】田中 博一
(72)【発明者】
【氏名】吉武 謙二
【テーマコード(参考)】
5J020
5J070
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA07
5J020CA01
5J070AC01
5J070AE20
5J070AF08
(57)【要約】
【課題】任意の位置に設置でき、設置角度の調整が不要な基準点用リフレクタを提供すること。
【解決手段】中心軸Cが鉛直方向となるように配置され、金属で形成された円筒10と、円筒10の下部に中心軸Cに対して垂直に配置され、金属で形成された底板20と、を備える。中心軸Cに配置されたアンテナ用ポール30の上端にはGNSS受信用アンテナ31が配置される。また、円筒10には、風抜け用の複数の穴11が形成されている。円筒10の下端と底板20とは、間に間隙を設けて離隔配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸が鉛直方向となるように配置され、金属で形成された円筒と、
前記円筒の下部に前記中心軸に対して垂直に配置され、金属で形成された底板と、
を備えたことを特徴とする基準点用リフレクタ。
【請求項2】
GNSS受信用アンテナと、
前記GNSS受信用アンテナを上端に配置し、前記中心軸に配置されたアンテナ用ポールと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の基準点用リフレクタ。
【請求項3】
前記円筒の下端と前記底板とを離隔して配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の基準点用リフレクタ。
【請求項4】
前記円筒は、風抜け用の複数の穴が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の基準点用リフレクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の位置に設置でき、設置角度の調整が不要な基準点用リフレクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建設分野における活用が期待されている人口衛星搭載型合成開口レーダー(衛星SAR(Synthetic Aperture Radar))は、地球の上空約800Kmの高さから地表に向けて電波を照射し、その反射(散乱波)を捉えることで地表の凹凸などを捉える技術である。衛星SARでは、異なる2回以上の観測機会で同じ地域の観測を行い、それらの差分を解析することで、地表の時系列変化を把握する解析(差分干渉解析)を行うことができる。
【0003】
この衛星SARの観測データを用いる差分干渉解析では、複数セットの観測データを、観測対象(地表)の緯度経度などに合わせて位置合わせを行う必要があるが、その位置合わせを行う基準点として、コーナーリフレクタなどの反射板が用いられ、これらの反射板は、観測対象範囲の適切な位置に配置される。
【0004】
コーナーリフレクタは、アルミ板などの電波を反射する金属板を箱形3面体形状に組み立てたもので、衛星SARから照射される電波に対してコーナーリフレクタ内で2回反射することで強い電波を衛星SARに向けて反射し、衛星SARの強度画像上で強い反射強度を持つ点として表示される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kamal Sarabandi,Tsen-Chieh Chiu:Optimum Corner Reflectors for Calibration of Imaging Radars,IEEE Transactions on Antennas and Propagation,Vol.44,No10,Oct.1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現在、衛星SARにおける差分干渉解析などの基準点生成のために用いられるコーナーリフレクタは、地表観測に用いる衛星SARの使用波長帯、衛星の軌道、照射される電波の入射角などに対応させるべく、大きさや設置角度を調整する必要があった。
【0007】
ここで、コーナーリフレクタの設置角度が方位及び仰角ともに数度以上ずれると、コーナーリフレクタは衛星側に適切な電波を反射することができず、その結果、観測データに反射点が表示されない場合が生じる。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、任意の位置に設置でき、設置角度の調整が不要な基準点用リフレクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる基準点用リフレクタは、中心軸が鉛直方向となるように配置され、金属で形成された円筒と、前記円筒の下部に前記中心軸に対して垂直に配置され、金属で形成された底板と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかる基準点用リフレクタは、上記の発明において、GNSS受信用アンテナと、前記GNSS受信用アンテナを上端に配置し、前記中心軸に配置されたアンテナ用ポールと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる基準点用リフレクタは、上記の発明において、前記円筒の下端と前記底板とを離隔して配置したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかる基準点用リフレクタは、上記の発明において、前記円筒は、風抜け用の複数の穴が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、任意の位置に設置でき、設置角度の調整が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態である基準点用リフレクタの構成を示す正面図である。
図2図2は、図1に示した基準点用リフレクタのA−A線断面図である。
図3図3は、図1に示した基準点用リフレクタによる電波の反射状態を示す説明図である。
図4図4は、従来のコーナーリフレクタと本実施の形態による基準用リフレクタとによる基準点の画像を比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態である基準点用リフレクタ1の構成を示す正面図である。また、図2は、図1に示した基準点用リフレクタ1のA−A線断面図である。基準点用リフレクタ1は、衛星SARからの電波を反射し、後方散乱波として再帰反射するものである。
【0017】
図1及び図2に示すように、基準点用リフレクタ1は、円筒10及び底板20を有する。円筒10は、中心軸Cが鉛直方向となるように配置され、アルミニウムなどの金属で形成される。円筒10は、コンクリートブロック2に円環状に設置された複数の支持ポール3の外周に金属製の網4を円筒状に巻き付け、この網4の表面に取り付けたものである。円筒10は、風抜け用の複数の穴11が形成されている。なお、穴11に替えて、円筒10の外周面にディンプルを形成してもよい。これらの穴11あるいはディンプルによって風の抵抗が抑えられ、基準点用リフレクタ1の強度を維持することができる。
【0018】
底板20は、円筒10の下部のコンクリートブロック2上に配置されたアルミニウムなどの金属板であり、円筒10と同様に穴11が形成されている。底板20は、円筒10と同じ穴あきの金属板を用いることによって製造が容易になる。底板20は、矩形であり、少なくとも円筒10の断面円を含む大きさである。
【0019】
円筒10の中心軸Cには、アンテナ用ポール30がコンクリートブロック2に配置される。アンテナ用ポール30の上端には、GNSS受信用アンテナ31が配置される。したがって、基準点用リフレクタ1は、この基準点用リフレクタの位置を同時に計測することができる。特に、GNSS受信用アンテナ31は、基準点用リフレクタ1の中心に配置されるので、基準点用リフレクタ1を設置したままで、精度の高い測位を行うことができる。
【0020】
円筒10と底板20との間には、間隙dが形成されている。GNSS受信用アンテナ31のメンテナンス作業等のために円筒10内に立ち入る可能性があるため、間隙dは、その作業性を確保するために設けられている。また、基準点用リフレクタ1の設置場所が積雪地帯である場合、間隙dは、除雪機能を有するとともに、除雪作業を容易にする。なお、間隙dを設けても、この部分は電波の反射に対する寄与が少ないため、円筒10が存在しなくても問題がない。
【0021】
なお、基準点用リフレクタ1は、2m立方程度の大きさであり、衛星SARからの電波は、Lバンドを想定している。
【0022】
図3に示すように、衛星SAR(S1,S2)から照射された電波は、基準点用リフレクタ1で2回反射して衛星SAR(S1,S2)側に再帰反射する。基準点用リフレクタ1での反射は完全な再帰反射ではないが、後方散乱波が強く反射する。特に、基準点用リフレクタ1は、中心軸Cに対して対称な形状であり。水平方向に対する依存性はない。また、基準点用リフレクタ1に対する仰角あるいは入射角の依存性も小さい。なお、GNSS受信用アンテナ31は、複数の測位衛星S10,S11からの電波を容易に受信することができる。
【0023】
なお、中心軸Cを通る電波は、再帰反射をするが、アンテナ用ポール30が障害物となる。しかし、アンテナ用ポールは、直径が数cm程度であり、Lバンドの波長(20〜60cm)に比して小さいため、回折によって再帰する。
【0024】
本実施の形態では、衛星SARの使用波長帯、衛星軌道、照射電波の入射角に依らず、全方位で衛星SARからの電波を反射することができる。この結果、衛星SARを用いた差分干渉解析等を行う場合、基準点が消えることがないため、無駄のない、かつ、精度の高い差分干渉解析を行うことができる。
【0025】
図4(a)は、従来のコーナーリフレクタを基準点に配置した場合のSAR画像の一例であり、図4(b)は、本実施の形態である基準点用リフレクタを同一位置に配置した場合のSAR画像である。図4(a)では、基準点を配置した位置の画像P1は電波の入射角がずれていて消えているが、図4(b)では、同じ電波の入射角であっても、同じ基準点を配置した一の画像P2は、光る点として視認することができる。
【0026】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態及び変形例による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態及び変形例に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、変形例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 基準点用リフレクタ
2 コンクリートブロック
3 支持ポール
4 網
10 円筒
11 穴
20 底板
30 アンテナ用ポール
31 受信用アンテナ
C 中心軸
d 間隙
P1,P2 画像
S1,S2 衛星SAR
S10,S11 測位衛星
図1
図2
図3
図4