【解決手段】電気接続箱は、多面体型の箱体の一面に設けられた電気部品の収容部と、収容部に装着される蓋体と、蓋体の縁部分に線対称の配置で設けられた2つの変形部と、変形部に設けられた係合部と、箱体又は収容部に設けられた被係合部とを備える。また、電気接続箱は、箱体の一面から突出して設けられた周壁と、周壁の外面に設けられ、蓋体の一面に沿う方向への装着を案内するガイドレールと、蓋体に係合する係合部とを有し、蓋体は、少なくとも周壁の突出端を覆う板部の縁部分に設けられ、蓋体が装着された場合に周壁の少なくとも一部に対向する側壁部と、側壁部に設けられた被案内部と、被案内部に設けられた被係合部とを有する。
前記蓋体は、可撓性を有する素材で成形され、長方形状の板部と、前記板部の長辺にそれぞれ設けられた側壁部とを有し、前記板部及び前記側壁部に亘って、前記板部の長手方向に長い開口が形成され、
前記変形部は、前記長手方向と交差する方向に前記開口と隣接する前記側壁部の部分に設けられ、前記交差する方向に長い板状部分を有する、
請求項3に記載の電気接続箱。
前記ガイドレールにより前記周壁に設けられ、前記箱体の前記一面に沿う方向と交差する方向へ前記蓋体を案内する第1の案内路と、前記第1の案内路に連通し、前記一面に沿う方向へ前記蓋体を案内する第2の案内路とを有し、
前記係合部は、前記第2の案内路に設けられている、
請求項5に記載の電気接続箱。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施の形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0013】
(1)本態様に係る電気接続箱は、多面体型の箱体と、前記箱体の一面に設けられた電気部品の収容部と、前記収容部に装着される蓋体と、前記蓋体の縁部分に、前記蓋体の中心に対して線対称の配置で設けられ、押圧により前記中心向きに変形する2つの変形部と、前記変形部に設けられた係合部と、前記箱体又は前記収容部に設けられ、前記係合部に係合される被係合部とを備える。
【0014】
本態様にあっては、電気接続箱は多面体型の箱体を備える。電気接続箱の箱体の一面には、ヒューズなどの電気部品を収容する収容部を設ける。収容部には着脱可能な蓋体が装着され、これにより収容された電気部品が保護される。蓋体の縁部分には、蓋体の中心に対して線対称の配置で、押圧により中心向きに変形する2つの変形部を設ける。変形部にはそれぞれ係合部を設けると共に、箱体又は収容部にはこの係合部に係合される被係合部を設ける。これにより、蓋体を把持して変形部を変形させ、係合部及び被係合部を係合させることによって、蓋体を収容部に装着することができると共に、同様にして蓋体を収容部から取り外すことができる。また2つの変形部を線対称の配置で設けることにより、蓋体の把持及び変形部の変形を作業者が容易に行うことができる。これらの構成により電気接続箱は、蓋体の取り付け及び取り外しの作業性が向上することが期待できる。
【0015】
(2)前記係合部は、前記蓋体の縁部分に外向きに突出する爪状部分であり、前記被係合部は、前記収容部から離隔して設けられた爪状部分であり、両爪状部分が係合することが好ましい。
【0016】
本態様にあっては、蓋体の変形部に設ける係合部は、蓋体の縁部分に外向きに突出する爪状部分とする。また被係合部は、収容部から離隔して設けられた爪状部分とする。これにより、両爪状部分の係合により蓋体を収容部に対して容易に取り付け及び取り外しを行うことが可能となる。
【0017】
(3)前記蓋体は、長方形の板状であり、前記2つの変形部は、前記蓋体の2つの長辺の縁部分に設けられていることが好ましい。
【0018】
本態様にあっては、蓋体を長方形の板状とし、2つの変形部を2つの長辺の縁部分に設ける。これにより、蓋体を把持すると共に、変形部を変形させる作業を、蓋体の取り付け又は取り外しを行う作業者が容易に行うことができる。
【0019】
(4)前記蓋体は、可撓性を有する素材で成形され、長方形状の板部と、前記板部の長辺にそれぞれ設けられた側壁部とを有し、前記板部及び前記側壁部に亘って、前記板部の長手方向に長い開口が形成され、前記変形部は、前記長手方向と交差する方向に前記開口と隣接する前記側壁部の部分に設けられ、前記交差する方向に長い板状部分を有することが好ましい。
【0020】
本態様にあっては、可撓性を有する素材で蓋体を成形する。蓋体は、長方形状の板部と、その長辺に設けられた側壁部とを有し、板部及び側壁部に亘って板部の長手方向に長い開口が形成されている。これにより、開口に隣接する側壁部の部分を変形部とすることができる。また変形部には、板部の長手方向に交差する方向に長い板状部分を設けることによって、作業者による変形部を変形させる作業を容易化することができる。
【0021】
(5)本態様に係る電気接続箱は、多面体型の箱体と、前記箱体の一面に設けられた電気部品の収容部と、前記収容部に装着される蓋体とを備え、前記収容部は、前記箱体の前記一面から突出して設けられ、収容された前記電気部品を囲む周壁と、前記周壁の外面に設けられ、前記蓋体の前記一面に沿う方向への装着を案内するガイドレールと、前記周壁の外面に設けられ、前記蓋体に係合する係合部とを有し、前記蓋体は、少なくとも前記周壁の突出端を覆う板部と、前記板部の縁部分に設けられ、前記蓋体が装着された場合に前記周壁の少なくとも一部に対向する側壁部と、前記側壁部に設けられ、前記ガイドレールにより案内される被案内部と、前記被案内部に設けられ、前記係合部に係合される被係合部とを有する。
【0022】
本態様にあっては、電気接続箱は多面体型の箱体を備える。電気接続箱の箱体の一面には、ヒューズなどの電気部品を収容する収容部を設ける。収容部には着脱可能な蓋体が装着され、これにより収容された電気部品が保護される。収容部は、箱体の一面から突出して設けられた周壁を有し、周壁の内部に電気部品が収容される。周壁の外面には、蓋体の装着を案内するガイドレールを突設して、収容部が設けられた箱体の一面に沿う方向へ蓋体の着脱を案内すると共に、蓋体に係合する係合部を突設する。蓋体は、周壁の突出端を覆う板部と、板部の縁部分に設けた側壁部とを有する構成とする。蓋体の側壁部は周壁の少なくとも一部に対向し、側壁部には収容部のガイドレールにより案内される被案内部と、収容部の係合部に係合される被係合部とを設ける。これらの構成により、蓋体は箱体の一面に沿う方向へ案内され、係合部及び被係合部の係合により蓋体の箱体からの脱落などが防止され、蓋体が箱体に装着される。これにより作業者は、いわゆるスライド操作により蓋体の箱体への取り付け及び取り外しの作業を行うことができ、作業性の向上が期待できる。
【0023】
(6)前記ガイドレールにより前記周壁に設けられ、前記箱体の前記一面に沿う方向と交差する方向へ前記蓋体を案内する第1の案内路と、前記第1の案内路に連通し、前記一面に沿う方向へ前記蓋体を案内する第2の案内路とを有し、前記係合部は、前記第2の案内路に設けられていることが好ましい。
【0024】
本態様にあっては、収容部の周壁に設けるガイドレールにより、箱体の一面に沿う方向と交差する方向へ蓋体を案内する第1の案内路と、この第1の案内路に連通し、箱体の一面に沿う方向へ蓋体を案内する第2の案内路とを画定する。また第2の案内路に係合部を設ける。これにより作業者は、第1の案内路に案内されて蓋体を箱体の一面に沿う方向と交差する方向(箱体の一面に近接離隔する方向)へスライドさせ、次いで第2の案内路に案内されて蓋体を箱体の一面に沿う方向へスライドさせることにより、蓋体を収容部に取り付けることができ、反対の手順で蓋体を収容部から取り外すことができる。この構成により、箱体の一の面に沿う方向への蓋体のスライド量を低減し、蓋体の取り付け及び取り外しの作業性を向上することができる。
【0025】
(7)前記周壁は、長方形状に4つの壁を配して設けられ、前記ガイドレールは、長方形状に配された4つの壁のうち、長辺に相当する2つの壁にそれぞれ設けられ、前記蓋体の前記板部は、長方形状であり、前記被案内部は、前記板部の長辺に相当する縁部分に設けられた2つの側壁部にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0026】
本態様にあっては、収容部の周壁は4つの壁を長方形状に配して設ける。蓋体を案内するガイドレールは、4つの壁のうち、長方形の長辺に相当する2つの壁にそれぞれ設ける。また蓋体の板部を長方形状とし、板部の長辺に相当する縁部分に設けられた2つの側壁部に被案内部を設ける。これにより、蓋体の長手方向へのスライド操作で、蓋体の取り付け及び取り外しの作業を行うことができ、作業性を向上することができる。
【0027】
(8)前記周壁の前記2つの壁には、前記第1の案内路及び前記第2の案内路の組がそれぞれ複数組設けられ、前記蓋体の前記2つの側壁部には、前記被案内部がそれぞれ複数設けられていることが好ましい。
【0028】
本態様にあっては、周壁の長辺に相当する2つの壁には、第1の案内路及び第2の案内路の組をそれぞれ複数組設ける。蓋体の2つの側壁部には、被案内部をそれぞれ複数設ける。これにより、蓋体の案内を各壁の複数ヶ所で行うことが可能となるため、蓋体を安定して案内することができ、作業性を向上することができる。
【0029】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る電気接続箱の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
(実施の形態1)
図1及び
図2は、実施の形態1に係る電気接続箱の構成を示す斜視図である。本実施の形態においては、
図1を電気接続箱の正面側とし、
図2を電気接続箱の背面側として説明を行う。
図3は、実施の形態1に係る電気接続箱の構成を示す分解斜視図である。実施の形態1に係る電気接続箱1は、例えば図示しない車両の車体に固定され、車両内に配される電力線又は通信線等のケーブルが複数接続され、複数のケーブル同士を電気的に接続する装置である。電気接続箱1は、ジャンクションボックス、リレーボックス又は中継器等の名称で呼ばれ得る装置である。電気接続箱1には、リレー及びヒューズ等の電気部品を搭載した回路基板40が収容されており、これらの電気部品を介して複数のケーブルが電気的に接続される。なお
図3に示す分解斜視図では、電気接続箱1に収容される回路基板40は図示するが、リレー及びヒューズ等の電気部品については図示を省略してある。
【0031】
電気接続箱1は、回路基板40を収容する本体部10と、この本体部10の開放部分を閉塞する蓋体14とを備える扁平な直方体状の箱体である。電気接続箱1は、本体部10の背面側の開放部分から回路基板40をその内部に収め、開放部分を閉塞するように蓋体14を本体部10に固定したものである。本実施の形態においては、電気接続箱1の6つの面10a〜10fについて、便宜上、正面10a、左側面10b、背面10c、右側面10d、上面10e及び下面10fと区別する。電気接続箱1は、車両内において上面10eを上側とし、下面10fを下側とした向きで車体に固定される。電気接続箱1の正面10a及び背面10cは、表裏に位置する幅広の面である。左側面10b、右側面10d、上面10e及び下面10fは、正面10a及び背面10cに隣接する細長の面である。電気接続箱1の本体部10に対する蓋体14の装着は、例えば爪状の部分を利用した係合、又は、ネジ止め等の種々の方法を採用し得る。
【0032】
回路基板40は、長方形の板状であり、電気部品が搭載されると共に、この電気部品を用いた電気回路を構成する配線パターンが形成されている。回路基板40の上辺の縁部分には、別筐体として提供される制御ユニット(図示は省略する)が電気的に接続される接続部11aが接続固定されている。接続部11aは、細長い長方形状の開口が設けられた四角筒状のケース内に、電気的接続を行うための金属端子が設けられた構成であり、四角筒状のケースが回路基板40の板面に対して略垂直に突出して設けられている。
【0033】
回路基板40の左右辺の縁部分には、複数の接続部12がそれぞれ接続固定されている。接続部12は、ケーブルを接続するためのものであり、接続するケーブルの種別及び規格等に適した大きさ及び形状等が採用される。本実施の形態に係る電気接続箱1に設けられた複数の接続部12は、個々に大きさ及び形状等は異なるが、正方形状又は長方形状の開口が設けられた四角筒状のケース内に電気的接続を行うための金属端子が設けられた構成である。ケーブルの先端に設けられた四角柱状又は四角筒状の接続部を、電気接続箱1の接続部12のケースに挿入して嵌合させることにより、ケーブル内の電線と接続部12の金属端子とが電気的に接続される。
【0034】
また回路基板40の下辺の縁部分には、ヒューズを収容するヒューズ収容部20が設けられている。ヒューズ収容部20は、ヒューズを収容する直方体状の周壁21と、ヒューズを出し入れするための周壁21の開口を覆う蓋体30とを備えている。詳細は後述するが、周壁21は内部が複数の小部屋に仕切られており、各小部屋にヒューズが収容される。
【0035】
電気接続箱1の正面10aには、正面10aの半分以上の面積を占める、正面視で略正方形の凹所11が形成されている。電気接続箱1の凹所11には、別筐体として提供される制御ユニットが組み付けられる。凹所11の底面には、正面10aの上辺寄りの位置に、この上辺に沿って長い長方形状の開口が形成されており、電気接続箱1の内部に収容された回路基板40に設けられた接続部11aがこの開口を通して外部へ突出する。電気接続箱1の凹所11内に制御ユニットの筐体が嵌め込まれ、制御ユニットの接続部と電気接続箱1の接続部11aとが接続されることによって、制御ユニットが電気接続箱1に組み付けられる。
【0036】
電気接続箱1の左側面10b及び右側面10dには、この面の長手方向(電気接続箱1の上下方向)に長い開口13がそれぞれ形成されている。電気接続箱1の内部に収容された回路基板40の左右辺にそれぞれ設けられた接続部12は、電気接続箱1の開口13を通して外部へ突出する。また電気接続箱1の下面10fには、下面10fの長手方向(電気接続箱1の左右方向)に長い開口が形成されている。電気接続箱1に収容された回路基板40の下辺に設けられたヒューズ収容部20は、電気接続箱1の下面10fの開口を通して外部へ突出する。
【0037】
図4は、ヒューズ収容部20の構成を示す斜視図であり、
図1に示した電気接続箱1から蓋体30を取り外した状態を図示してある。
図5は蓋体30の構成を示す斜視図であり、
図6は蓋体30の構成を示す平面図であり、
図7及び
図8は蓋体30の構成を示す側面図である。ヒューズ収容部20は、電気接続箱1の本体部10の内部に収容される回路基板40に接続固定されており、電気接続箱1の下面10fに形成された長方形状の開口から突出する態様で設けられている。ヒューズ収容部20は、開口が長方形状をなす筒状の周壁21の内部を、縦横に設けた複数の仕切壁22にて小部屋に仕切った構成である。周壁21は、第1壁21a〜第4壁21dの4つの壁を長方形の筒状に配した構成である。仕切壁22にて仕切られた各小部屋にはヒューズ2がそれぞれ挿入され、小部屋の奥方に設けられた金属端子と接続される。
【0038】
ヒューズ収容部20の周壁21の突出端面を覆う蓋体30は、該突出端面より若干大きな長方形状の天板部31と、天板部31の四辺に設けられた第1側壁32a〜第4側壁32dとを有する構成である。第1側壁32a及び第3側壁32cが天板部31の長辺に対応し、第2側壁32b及び第4側壁32dが天板部31の短辺に対応する。蓋体30がヒューズ収容部20に装着された状態において、蓋体30の第1側壁32aはヒューズ収容部20の第1壁21aの一部に対向し、蓋体30の第2側壁32bはヒューズ収容部20の第2壁21bの一部に対向し、蓋体30の第3側壁32cはヒューズ収容部20の第3壁21cの一部に対向し、蓋体30の第4側壁32dはヒューズ収容部20の第4壁21dの一部に対向する。
【0039】
蓋体30の天板部31には、長手方向の中央よりも第2側壁32b寄りの位置に、
図6に一点鎖線で示す天板部31の中心線に対して線対称の配置で、2つの開口33が形成されている。開口33は、天板部31の長辺側の縁の一部に沿って形成され、天板部31の長手方向に長い長方形状である。各開口33は、天板部31と第1側壁32a及び第3側壁32cとの境界部分から、第1側壁32a及び第3側壁32cの一部にまで至っている。また第1側壁32a及び第3側壁32cの縁部分には、開口33に対応する位置に、切り欠き34が形成されている。これにより第1側壁32a及び第3側壁32cは、開口33及び切り欠き34に挟まれた箇所が、他の部分より細くなっている。
【0040】
蓋体30は、例えば合成樹脂などの可撓性を有する素材で成形されている。蓋体30に設けられた開口33及び切り欠き34に挟まれた第1側壁32a及び第3側壁32cの一部分は、他の部分よりも細いため、他の部分よりも変形しやすい。即ち、蓋体30の縁部分には、開口33及び切り欠き34を形成することによって、押圧により中心向きに変形する2つの変形部35が設けられている。例えば、蓋体30の取り付け及び取り外しを行う作業者は、蓋体30を2つの変形部35にて把持することができ、このときの把持の力加減を調整することで、変形部35を内向きに変形させることができる。
【0041】
各変形部35の中央には、蓋体30の長手方向と交差する方向、且つ、第1側壁32a及び第3側壁32cの壁面に沿う方向に長い、長方形状の板部36が設けられている。変形部35の中央に板部36をそれぞれ設けることによって、作業者による蓋体30の把持を補助することができる。また板部36の外面(蓋体30の外側に相当する面)には、爪状の突起である係合部37が外向きにそれぞれ設けられている。また蓋体30の第4側壁32dの内縁には、
図6において一点鎖線で示す中心線に対して線対称の配置で、爪状の突起である係合部38が内向きに2つ設けられている。これら蓋体30に設けられた係合部37及び係合部38は、ヒューズ収容部20の周壁21に設けられた後述の被係合部と係合する。
【0042】
ヒューズ収容部20の第1壁21a及び第3壁21cには、蓋体30の係合部37に係合される被係合部23がそれぞれ設けられている。被係合部23は、第1壁21a及び第3壁21cから離隔して配され、ヒューズ収容部20の長手方向に長い長方形状の板部23aを備える。なお板部23aは、長方形状でなくてもよく、三角形、六角形、円形又は球形等の種々の形状であってよい。板部23aは、その長手方向の両端部と、第1壁21a及び第3壁21cの外面とを連結する2つの連結部23bにより、第1壁21a及び第3壁21cに支持されている。板部23aの内側の面(第1壁21a及び第3壁21cの外面に対向する面)には爪状の突起23cが内向きに突設されている。
【0043】
また、図示は省略するが、ヒューズ収容部20の第4壁21dには、蓋体30の係合部38に係合される被係合部が設けられている。この被係合部は、例えば第4壁21dに形成された穴又は第4壁21dに突設された爪状の突起等とすることができる。
【0044】
蓋体30をヒューズ収容部20に取り付ける場合、作業者は、例えば2つの変形部35にて蓋体30を把持し、蓋体30の第4側壁32dに設けられた係合部38をヒューズ収容部20の第4壁21dに設けられた被係合部に係合させた後、蓋体30をヒューズ収容部20に覆い被せ、蓋体30の変形部35を内向きに変形させてヒューズ収容部20の被係合部23の突起23cに係合させることで、蓋体30の装着を完了することができる。
【0045】
蓋体30をヒューズ収容部20から取り外す場合、作業者は、例えば蓋体30の2つの変形部35を把持して内向きに変形させ、蓋体30をヒューズ収容部20から離隔する方向へ移動させることによって、蓋体30の取り外しを完了することができる。
【0046】
図9は、蓋体30の係合部37及びヒューズ収容部20の被係合部23の係合を説明するための拡大図であり、蓋体30がヒューズ収容部20に装着された状態において一方の係合部37及び被係合部23の周辺を拡大して示したものである。また
図10は、
図9のX−X線による断面図である。蓋体30がヒューズ収容部20に装着された場合、蓋体30の第1側壁32aは、ヒューズ収容部20の第1壁21aと被係合部23の板部23aとの間に位置する。同様に、蓋体30の第3側壁32cは、ヒューズ収容部20の第3壁21cと被係合部23の板部23aとの間に位置する。この状態において、蓋体30の変形部35はヒューズ収容部20の被係合部23の板部23aと対向し、変形部35に設けられた係合部37はヒューズ収容部20の被係合部23の突起23cに係合する。
【0047】
蓋体30の変形部35に係合部37として設けられる爪状の突起は、
図10に示すように、板部36の外面から略垂直(垂直よりもやや緩やかな角度)で立ち上がる第1面、該第1面に連なって板部36の外面と略平行に設けられる第2面、及び、該第2面に連なって板部36の外面に対して略45°に傾斜する第3面を有する断面形状が略台形の突起である。ヒューズ収容部20の被係合部23に設けられる爪状の突起23cは、
図10に示すように、板部23aの内面から略垂直(垂直よりもやや急峻な角度)で立ち上がる第1面、該第1面に連なって板部23aの内面と略平行に設けられる第2面、及び、該第2面に連なって板部23aの内面に対して略45°に傾斜する第3面を有する断面形状が略台形の突起である。
【0048】
蓋体30の係合部37及びヒューズ収容部20の被係合部23が係合した状態において、それぞれ略垂直に立ち上がる係合部37の第1面と被係合部23の突起23cの第1面とが当接することによって、蓋体30がヒューズ収容部20から脱落することを防止する。作業者が蓋体30の変形部35を内側(被係合部23から離隔する方向)へ変形させることにより、蓋体30の係合部37及びヒューズ収容部20の被係合部23の係合を解除することができ、蓋体30をヒューズ収容部20から取り外すことができる。
【0049】
また蓋体30をヒューズ収容部20に取り付ける際に、作業者が変形部35を変形させずに蓋体30をヒューズ収容部20に対して覆い被せた場合、それぞれ略45°に傾斜した蓋体30の係合部37の第3面と被係合部23の突起23cの第3面とが当接する。このときに作業者は変形部35を変形させて蓋体30を更に押し込むことで、蓋体30の係合部37をヒューズ収容部20の被係合部23と係合する位置まで移動させることができる。ただし、作業者は変形部35を変形させなくとも、45°に傾斜した蓋体30の係合部37の第3面と被係合部23の突起23cの第3面とが当接した状態で蓋体30を単に奥方へ押し込むことで、変形部35に内向きの力が加わり、変形部35が変形するため、蓋体30の係合部37をヒューズ収容部20の被係合部23と係合する位置まで移動させることが可能である。
【0050】
以上の構成の実施の形態1に係る電気接続箱1は多面体型の箱体であり、電気接続箱1の下面10fにはヒューズを収容するヒューズ収容部20が設けられている。ヒューズ収容部20には着脱可能な蓋体30が装着され、これにより収容されたヒューズが保護される。蓋体30の長辺の縁部分に設けられた第1側壁32a及び第3側壁32cには、蓋体30の中心線に対して線対称の配置で、押圧により中心向きに変形する2つの変形部35が設けられている。変形部35にはそれぞれ係合部37が設けられ、ヒューズ収容部20には蓋体30の係合部37に係合される被係合部23が設けられている。これらにより作業者は、蓋体30の長辺部分を把持して変形部35を変形させ、蓋体30の係合部37とヒューズ収容部20の被係合部23とを係合させることによって、蓋体30をヒューズ収容部20に装着することができるとともに、同様にして蓋体30をヒューズ収容部20から取り外すことができる。また2つの変形部35を蓋体30の線対称の配置で設けることにより、蓋体30の把持及び変形部35の変形を作業者が容易に行うことができる。これらの構成により、実施の形態1に係る電気接続箱1は、蓋体30の取り付け及び取り外しの作業性が向上することが期待できる。
【0051】
また実施の形態1に係る電気接続箱1は、蓋体30の変形部35に設ける係合部37を、蓋体30の縁部分に設けられた第1側壁32a及び第3側壁32cから外向きに突出する爪状の部分とする。またヒューズ収容部20の被係合部23は、第1壁21a及び第3壁21cから離隔して設けられた板部23aに突設された爪状の突起23cを有する。これらにより、蓋体の爪状の部分とヒューズ収容部20の被係合部23に設けられた爪状の突起23cとが係合し、蓋体30をヒューズ収容部20に対して容易に取り付け及び取り外しを行うことが可能となる。
【0052】
また実施の形態1に係る電気接続箱1は、長方形の板状をなす蓋体30の2つの長辺の縁部分に2つの変形部35を設けた構成である。これにより、蓋体30を把持すると共に、変形部35を変形させる作業を、蓋体30の取り付け又は取り外しを行う作業者が容易に行うことができる。
【0053】
また実施の形態1に係る電気接続箱1は、蓋体30の2つの長辺に沿って2つの開口33を形成し、この開口33の縁部分を変形部35とした構成である。開口33の縁部分は、開口33の内側へ向けて変形しやすく、2つの開口33を蓋体30の2つの長辺に沿って形成することによって、容易に2つの変形部35を設けることができる。
【0054】
なお実施の形態1においては、蓋体30の係合部37に係合される被係合部23を、ヒューズ収容部20に設ける構成としたが、これに限るものではない。例えば電気接続箱1の下面10fに板部23aをヒューズ収容部20の第1壁21a及び第3壁21cに対向するように立設し、板部23aに突起23cを設けることで被係合部23としてもよい。
【0055】
また、電気接続箱1を直方体状としたが、これに限るものではなく、例えば円柱状又は角柱状等の種々の形状であってよい。同様に、ヒューズ収容部20の形状も直方体状以外の種々の形状であってよい。また電気接続箱1の左側面10b及び右側面10dの二面に接続部12をそれぞれ設ける構成としたが、これに限るものではなく、電気接続箱1のいずれかの1面又は3面以上に接続部12を設けてよい。また電気接続箱1は、制御ユニットを組み付けるための凹所11を備えない構成であってもよい。また電気接続箱1が車両に搭載されるものとしたが、これに限るものではなく、電気接続箱1は車両以外の種々の場所で利用され得る。電気接続箱1に収容される電気部品は、リレー、ヒューズ及び回路基板40に限らず、これら以外の種々の電気部品が収容されてよい。また図面に示した電気接続箱1の形状などは一例であって、これに限るものではない。またヒューズ収容部20及び蓋体30の形状、係合部37及び被係合部23の形状及び配置等は、図示のものに限らない。
【0056】
(実施の形態2)
図11は、実施の形態2に係る電気接続箱201の構成を示す斜視図である。実施の形態2に係る電気接続箱201は、実施の形態1に係る電気接続箱1の構成と略同じであるが、ヒューズ収容部220及びその蓋体230の構成が異なっている。
図12は、実施の形態2に係るヒューズ収容部220の構成を示す斜視図であり、
図11に示した電気接続箱201から蓋体230を取り外した状態を図示してある。
図13は実施の形態2に係る蓋体230の構成を示す斜視図であり、
図14は実施の形態2に係る蓋体230の構成を示す平面図である。
【0057】
実施の形態2に係る電気接続箱201のヒューズ収容部220は、直方体状の箱体であり、この箱体に設けられたヒューズを出し入れするための開口を蓋体230が覆うことで、収容されたヒューズを保護する構成である。ヒューズ収容部220は、電気接続箱201の内部に収容される回路基板40に接続固定されており、電気接続箱201の下面10fに形成された長方形状の開口から突出する態様で設けられている。ヒューズ収容部220は、開口が長方形状をなす筒状の周壁221の内部を、縦横に設けた複数の仕切壁222にて小部屋に仕切った構成である。周壁221は、第1壁221a〜第4壁221dの4つの壁を長方形の筒状に配した構成である。
【0058】
ヒューズ収容部220の第1壁221a及び第3壁221cの外面には、長手方向に略中央から第4壁221dが設けられた側にかけて、第4壁221dに至る手前の位置まで、角棒状のガイドレール223が突設されている。また第1壁221a及び第3壁221cの外面の略中央には、長手方向に直交する方向に長い直方体状のリブ224が突設されている。
【0059】
実施の形態2に係る蓋体230は、長方形状の天板部231と、天板部231の三辺に設けられた第1側壁232a〜第3側壁232cとを有する構成である。実施の形態2に係る蓋体230は、天板部231の2つの長辺に第1側壁232a及び第3側壁232cが設けられ、一方の短辺に第2側壁232bが設けられ、他方の短辺には側壁が設けられていない。蓋体230がヒューズ収容部220に装着された状態において、蓋体230の第1側壁232aはヒューズ収容部220の第1壁221aの一部に対向し、蓋体230の第2側壁232bはヒューズ収容部220の第2壁221bの一部に対向し、蓋体230の第3側壁232cはヒューズ収容部220の第3壁221cの一部に対向する。
【0060】
蓋体230の第1側壁232a及び第3側壁232cには、長手方向に蓋体230の略中央から側壁が設けられていない短辺側にかけて、この短辺に至る手前の位置まで、内向きに庇部233がそれぞれ設けられている。庇部233は、略長方形の板状である。また、蓋体230の中央側の各庇部233の端部から、天板部31の内面にかけて、2つのリブ234が第1側壁232a又は第3側壁232cの内面に突設されている。第1側壁232a及び第3側壁232cの内面からのリブ234の突出量は、庇部233の突出量と略同じである。
【0061】
実施の形態2に係る電気接続箱201は、蓋体230を下面10fに沿う方向へスライドさせることによって、ヒューズ収容部220に対する取り付け及び取り外しを行うことが可能な構成である。
図15は、実施の形態2に係る蓋体230のヒューズ収容部220に対する取り付けを説明するための模式図である。
図15の上段に示すように、蓋体230の取り付けを行う作業者は、蓋体230の長手方向の略中央から側壁が設けられていない側までが、ヒューズ収容部220の長手方向の第2壁221b側から略中央までの部分を覆うように、蓋体230の内面をヒューズ収容部220の周壁221の端面に当接させる。このとき、蓋体230の第1側壁232a及び第2側壁232bの内面に突設された庇部233及びリブ234の突出端面が、ヒューズ収容部220の第1壁21a及び第3壁21cの外面に当接する。なおこの作業は、蓋体230を電気接続箱201の下面10fに沿う方向へ移動させて行う必要はなく、下面10fに沿う方向に交差する方向へ蓋体230を移動させてヒューズ収容部220に当接させてよい。
【0062】
蓋体230をヒューズ収容部220に当接させた後、電気接続箱201の下面10fに沿う方向、且つ、蓋体203の長手方向へ、作業者は蓋体230を移動(スライド)させる。ヒューズ収容部220の第1壁21a及び第3壁21cの外面に突設されたガイドレール223及びリブ224の外面からの突出量は、蓋体230の第1側壁232a及び第2側壁232bの内面に突設された庇部233及びリブ234の内面からの突出量と略同じであるため、ガイドレール223及びリブ224は蓋体230の内側に収まる。更にガイドレール223及びリブ224は、蓋体230の天板部231の内面と庇部233との間に収まるよう、形状及び配置等が設定されている。このため、ヒューズ収容部220に当接した蓋体230が作業者によりスライドされた場合、蓋体230の内面側ではヒューズ収容部220のガイドレール223及びリブ234が蓋体230の天板部231及び庇部233の間に収まりながら、蓋体230が移動する。またヒューズ収容部220のガイドレール223は、本体部10側の面が蓋体230の庇部233の天板部231側の面に当接し、蓋体230の移動を電気接続箱201の下面10fに沿う方向に案内する(制限する)と共に、蓋体230がヒューズ収容部220から脱落することを防止する。
【0063】
作業者が蓋体230をヒューズ収容部220のガイドレール223に沿ってスライドさせていくと、ヒューズ収容部220のリブ224と蓋体230のリブ234とが当接する。蓋体230は例えば合成樹脂などの可撓性を有する素材で成形されているため、作業者が蓋体230に力を加えて更にスライドさせることにより、蓋体230の変形を伴ってリブ234にヒューズ収容部220のリブ224を乗り越えさせることができる。ヒューズ収容部220のガイドレール223及びリブ224の間には、蓋体230のリブ234が収まる程度の隙間が設けられており、
図15の下段に示すように、ヒューズ収容部220のリブ224を乗り越えた蓋体230のリブ234はこの隙間に収まる。この状態において、蓋体230のリブ234とヒューズ収容部220のリブ224とが係合し、蓋体230が離脱方向にスライドされてヒューズ収容部220から脱落することが防止される。
【0064】
ヒューズ収容部220に装着された蓋体230を取り外す場合には、上記の逆手順を作業者が行えばよい。即ち作業者は、蓋体230に力を加えて逆方向へスライドさせることにより、蓋体230のリブ234にヒューズ収容部220のリブ224を乗り越えさせ、リブ234及びリブ224の係合を解除する。更に作業者は、ヒューズ収容部220のガイドレール223に沿って蓋体230をスライドさせることにより、蓋体230をヒューズ収容部220から取り外すことができる。
【0065】
以上の構成の実施の形態2に係る電気接続箱201は多面体型の箱体であり、下面10fにはヒューズを収容するヒューズ収容部220が設けられている。ヒューズ収容部220には着脱可能な蓋体230が装着され、これにより収容されたヒューズが保護される。ヒューズ収容部220は、電気接続箱201の下面10fから突出して設けられた周壁221を有し、周壁221の内部にヒューズが収容される。周壁221の第1壁221a及び第3壁221cの外面には、蓋体230の装着を案内するガイドレール223が突設され、電気接続箱201の下面10fに沿う方向へ蓋体230の着脱を案内すると共に、蓋体230に係合するリブ224が設けられている。蓋体230は、ヒューズ収容部220の周壁221の突出端を覆う天板部231と、天板部231の縁部分に設けた第1側壁232a〜第3側壁232cとを有する。蓋体230の第1側壁232a及び第3側壁232cはヒューズ収容部220の第1壁221a及び第3壁221cの少なくとも一部に対向する。蓋体230の第1側壁232a及び第3側壁232cには、ヒューズ収容部220のガイドレール223により案内される庇部233と、ヒューズ収容部220のリブ224に係合されるリブ234とが設けられている。これらの構成により、蓋体230はガイドレール223により電気接続箱201の下面10fに沿う方向へ案内され、蓋体230のリブ234及びヒューズ収容部220のリブ224の係合により蓋体230の脱落などが防止され、蓋体230がヒューズ収容部220に装着される。作業者は、スライド操作により蓋体230の取り付け及び取り外しの作業を行うことができ、作業性の向上が期待できる。
【0066】
なお実施の形態2においては、蓋体230を長手方向にスライドさせる構成としたが、これに限るものではなく、長手方向に交差する方向へスライドさせる構成としてもよい。図面に示したガイドレール223及びリブ224の形状及び配置等は一例であって、これに限るものではない。同様に、蓋体230の形状、蓋体230の庇部233及びリブ234の形状及び配置等は一例であって、これに限るものではない。
【0067】
実施の形態2に係る電気接続箱201のその他の構成は、実施の形態1に係る電気接続箱1と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0068】
(実施の形態3)
図16は、実施の形態3に係る電気接続箱301の構成を示す斜視図である。実施の形態3に係る電気接続箱301は、実施の形態2に係る電気接続箱201と同様に、蓋体330をヒューズ収容部320に対してスライドさせて取り付け及び取り外しすることが可能な構成である。実施の形態3に係る電気接続箱301は、取り付け及び取り外しの作業に伴う蓋体330のスライド量(距離、長さ)を短縮し、作業性の更なる向上を目指したものである。
図17は、実施の形態3に係るヒューズ収容部320の構成を示す斜視図であり、
図15に示した電気接続箱301から蓋体330を取り外した状態を図示してある。
図18は実施の形態3に係る蓋体330の構成を示す斜視図であり、
図19は実施の形態3に係る蓋体330の構成を示す平面図である。
【0069】
実施の形態3に係る電気接続箱301のヒューズ収容部320は、直方体状の箱体であり、この箱体に設けられたヒューズを出し入れするための開口を蓋体330が覆うことで、収容されたヒューズを保護する構成である。ヒューズ収容部320は、電気接続箱301の内部に収容される回路基板40に接続固定されており、電気接続箱301の下面10fに形成された長方形状の開口から突出する態様で設けられている。ヒューズ収容部320は、開口が長方形状をなす筒状の周壁321の内部を、縦横に設けた複数の仕切壁322にて小部屋に仕切った構成である。周壁321は、第1壁321a〜第4壁321dの4つの壁を長方形の筒状に配した構成である。
【0070】
ヒューズ収容部320の第1壁321a及び第3壁321cの外面には、蓋体330のヒューズ収容部320に対する装着を案内するガイドレール323がそれぞれ設けられている。実施の形態3に係るガイドレール223は、詳細は後述するが、電気接続箱301の下面10fに対して垂直な方向と、下面10fに沿う方向との2方向に蓋体330のスライドを2段階で案内する構成である。
【0071】
実施の形態3に係る蓋体330は、長方形状の天板部331と、天板部331の三辺に設けられた第1側壁332a〜第3側壁332cとを有する構成である。実施の形態3に係る蓋体330は、天板部331の2つの長辺に第1側壁332a及び第3側壁332cが設けられ、一方の短辺に第2側壁332bが設けられ、他方の短辺には側壁が設けられていない。蓋体330がヒューズ収容部320に装着された状態において、蓋体330の第1側壁332aはヒューズ収容部320の第1壁321aの一部に対向し、蓋体330の第2側壁332bはヒューズ収容部320の第2壁321bの一部に対向し、蓋体330の第3側壁332cはヒューズ収容部320の第3壁321cの一部に対向する。
【0072】
蓋体330の第1側壁332a及び第3側壁332cの縁部分には、それぞれ2ヶ所に、内向きに突出する突起333が設けられている。第1の突起333は、蓋体330の側壁が設けられていない短辺から所定距離(図示の例では蓋体330の長手方向の長さの約1/5の長さ)だけ、長手方向の中央よりの位置に設けられている。第2の突起333は、第1の突起333が設けられた位置と第2側壁332bとの略中間位置に設けられている。また第1側壁332aの2つの突起333と、第3側壁332cの2つの突起333とは、対向する配置である。対向する2つの突起333の間の距離は、ヒューズ収容部320の周壁321の短辺の長さと略同じである。
【0073】
また蓋体330の第1側壁332a及び第3側壁332cの縁部分には、突出する各突起333の根元部分を間にしてそれぞれ2つの切り欠き334が形成されている。蓋体230は例えば合成樹脂などの可撓性を有する素材で成形されており、突起333の根元部分を間に2つの切り欠き334を形成することによって、突起333が蓋体330の内外の方向へ変形しやすくすることができる。また蓋体330の第1側壁332a及び第3側壁332cの外面には、第2の突起333が設けられた位置に対応して、略三角形のマーク335が記されている。マーク335は、作業者に対して、第2の突起333の位置を蓋体330の外側から知らせるためのものである。
【0074】
図20は、実施の形態3に係る蓋体330のヒューズ収容部320に対する取り付けを説明するための模式図である。
図21は、
図20の一部拡大図である。上述のように、実施の形態3に係るヒューズ収容部320の周壁321には、長辺側の第1壁321a及び第3壁321cの外面に、ガイドレール323がそれぞれ設けられている。ガイドレール323は、第1壁321a及び第3壁321cの長手方向に長く、長手方向の両端間に亘って設けられた第1部分323aを有している。ガイドレール323の第1部分323aは、電気接続箱301の下面10fからの周壁321の突出端である縁部分から所定の距離を隔てて、この縁部分と略平行に設けられた長方形状又は角棒状である。第1部分323aは、長手方向の途中の2ヶ所に途切れた部分(開放部323b)が存在し、この開放部323bにより3つの部分に分けられる。
【0075】
ガイドレール323は、2つの開放部323bにより3つに分けられた第1部分323aのうち、周壁321の第2壁321b寄りの2つの第1部分323aの第4壁321d側の端部に連なって、第1部分323aに対して略直角に電気接続箱301の下面10f側へ延びる2つの第2部分323cを有している。またガイドレール323は、第2部分323cの下面10f側の端部に連なって、該第2部分323cの反対端部に連なる第1部分323aとは反対方向へ、第1部分323aと略平行に延びる第3部分323dを有している。第3部分323dは、第1部分323aより短く、例えば第1壁321a及び第3壁321cの長手方向の長さの約1/7程度とすることができる。またガイドレール323は、第3部分323dの第2部分323cと連なる側とは反対側の端部に連なって、第3部分323dに対して略垂直に第1部分323aへ向けて延びる第4部分323eを有している。第4部分323eは、第1部分323aに連なる。
【0076】
ガイドレール323が上記のような第1部分323a、第2部分323c、第3部分323d及び第4部分323eを有することによって、これらの部分で囲まれた案内路325が、ヒューズ収容部320の第1壁321a及び第3壁321cの外面に設けられる。案内路325は、第1部分323a、第2部分323c、第3部分323d及び第4部分323eに囲まれた長方形状の凹所であるが、一方の長辺の端に開放部323bが設けられており、周壁321の突出端側で解放されている。開放部323bの幅(開放部323bを間にした2つの第1部分323aの距離)は、蓋体330の突起333の幅(蓋体330の長手方向における突起333の長さ)と略同じ又はこれよりも若干広い。またガイドレール323の第1部分323a及び第3部分323dの間の距離は、蓋体330の突起333の厚み(蓋体330の天板部331の表裏方向における突起333の長さ)と略同じ又はこれよりも若干広い。またヒューズ収容部320の第1壁321a及び第3壁321cにそれぞれ設けられた2つの開放部323bの間の距離は、蓋体330の第1側壁232a及び第2側壁232bにそれぞれ設けられた2つの突起333の間の距離と略同じである。
【0077】
ガイドレール323によりヒューズ収容部320の第1壁321a及び第3壁321cの外面に設けられる案内路325は、蓋体330の突起333をその内部に導くことによって、蓋体330のヒューズ収容部320に対する装着を案内する。案内路325は、ガイドレール323の開放部323b及び第2部分323cにより蓋体330をヒューズ収容部320へ近接離隔する方向へ導く第1案内路325aと、ガイドレール323の第1部分323a、第3部分323d及び第4部分323eにより蓋体330を長手方向へ導く第2案内路325bとを含む。
【0078】
ヒューズ収容部320の第2案内路325b内には、最奥よりも手前の位置に、第1壁321a及び第3壁321cの外面から突出する突起324が設けられている。突起324とガイドレール323の第4部分323eとの間の距離は、蓋体330の突起333の幅と略同じか又はこれよりも若干広い。突起324は、第2案内路325bの奥方まで案内された蓋体330の突起333と係合し、突起333が開放部323b側へ移動することを防止する。
【0079】
蓋体330をヒューズ収容部320へ取り付ける作業を行う場合、作業者は、蓋体330の4つの突起333と、ヒューズ収容部320のガイドレール323に設けられた4つの開放部323bとの位置を合わせて、4つの開放部323bに4つの突起333を通すように蓋体330をヒューズ収容部320へ接近させる。これにより、蓋体330の突起333は開放部323bから第1案内路325aを通ってガイドレール323の第3部分323dに当接する。その後、作業者は、蓋体330をヒューズ収容部320の第4壁321dの側へ向けて、蓋体330を長手方向にスライドさせる。蓋体330の突起333は第2案内路325bに沿って奥方へ移動し、第2案内路325b内に設けられた突起324に当接する。この状態で作業者が力を加えて蓋体330を更に奥方へスライドさせることにより、蓋体330の突起333の周辺部分の変形を伴って、蓋体330の突起333が第2案内路325b内の突起324を乗り越え、突起333が第2案内路325bの最奥に至る。この状態においては、蓋体330の突起333と第2案内路325b内の突起324とが係合し、蓋体330が離脱方向にスライドされてヒューズ収容部320から脱落することが防止される。
【0080】
ヒューズ収容部320に装着された蓋体330を取り外す場合には、上記の逆手順を作業者が行えばよい。即ち作業者は、蓋体330に力を加えて逆方向へスライドさせることにより、蓋体330の突起333にヒューズ収容部320の突起324を乗り越えさせ、突起333及び突起324の係合を解除する。更に作業者は、ヒューズ収容部320の第2案内路325bに沿って蓋体330を長手方向へスライドさせ、蓋体330の突起333がガイドレール323の第2部分323cに当接した後、ヒューズ収容部320の第1案内路325aに沿って蓋体330をヒューズ収容部320から離隔する方向へスライドさせることにより、蓋体330をヒューズ収容部320から取り外すことができる。
【0081】
以上の構成の実施の形態3に係る電気接続箱301は多面体型の箱体であり、下面10fにはヒューズを収容するヒューズ収容部320が設けられている。ヒューズ収容部320には着脱可能な蓋体330が装着され、これにより収容されたヒューズが保護される。ヒューズ収容部320は、電気接続箱301の下面10fから突出して設けられた周壁321を有し、周壁321の内部にヒューズが収容される。周壁321の第1壁321a及び第3壁321cの外面には、ガイドレール323が突設されている。ガイドレール323は、電気接続箱301の下面10fに沿う方向と交差する方向へ蓋体330を案内する第1案内路325aと、この第1案内路325aに連通して、電気接続箱301の下面10fに沿う方向へ蓋体330を案内する第2案内路325bとを画定する。また第2案内路325bには、蓋体330と係合する突起324を設けられている。
【0082】
蓋体330は、ヒューズ収容部320の周壁321の突出端を覆う天板部331と、天板部331の縁部分に設けた第1側壁332a〜第3側壁332cとを有する。蓋体330の第1側壁332a及び第3側壁332cは、ヒューズ収容部320の第1壁321a及び第3壁321cの少なくとも一部に対向する。蓋体330の第1側壁332a及び第3側壁332cには、ヒューズ収容部320の第1案内路325a及び第2案内路325bにより案内されると共に、第2案内路325bの突起324に係合される突起333が設けられている。これらの構成により作業者は、第1案内路325aに案内されて蓋体330を電気接続箱301の下面10fに沿う方向に交差する方向(下面10fに近接離隔する方向)へスライドさせ、次いで第2案内路325bに案内されて蓋体330を下面10fに沿う方向へスライドさせることにより、蓋体330をヒューズ収容部320に取り付けることができ、反対の手順で蓋体330をヒューズ収容部320から取り外すことができる。実施の形態3に係る電気接続箱301は、実施の形態2に係る電気接続箱201と比較して、下面10fに沿う方向への蓋体330のスライド量を低減することができ、蓋体330の取り付け及び取り外しの作業性を向上することができる。
【0083】
また電気接続箱301は、ヒューズ収容部320の周壁321が第1壁321a〜第4壁321dの4つの壁が長方形状に配された構成であり、蓋体330を案内するガイドレール323は長方形の長辺に相当する第1壁321a及び第3壁321cの2つにそれぞれ設けられている。また蓋体330の天板部331は長方形状であり、天板部231の長辺に相当する縁部分に設けられた第1側壁332a及び第3側壁332cの2つに、ヒューズ収容部320の第1案内路325a及び第2案内路325bに案内される突起333が設けられている。これらの構成により作業者は、蓋体330の長手方向へのスライド操作で、蓋体330の取り付け及び取り外しの作業を行うことができ、作業性を向上することができる。
【0084】
また電気接続箱301は、ヒューズ収容部320の第1壁321a及び第3壁321cに、第1案内路325a及び第2案内路325bの組がそれぞれ2つずつ設けられている。蓋体330の第1側壁332a及び第3側壁332cには、第1案内路325a及び第2案内路325bにより案内される突起333が2つずつ設けられている。これらの構成により、蓋体330の案内及び係合を第1壁321a及び第3壁321cにてそれぞれ複数ヶ所で行うことが可能となるため、蓋体330を安定して案内することができ、作業者による蓋体330の取り付け及び取り外しの作業性を向上することができる。
【0085】
なお実施の形態3においては、ヒューズ収容部320の第1壁321a及び第3壁321cに第1案内路325a及び第2案内路325bの組をそれぞれ2つずつ設ける構成としたが、これに限るものではなく、第1壁321a及び第3壁321cに第1案内路325a及び第2案内路325bの組をそれぞれ1つずつ又は3つずつ以上設ける構成としてもよい。また図面に示したガイドレール323、突起324及び案内路325等の形状及び配置等は一例であって、これに限るものではない。同様に、蓋体330の形状、蓋体330の突起333の形状及び配置等は一例であって、これに限るものではない。
【0086】
実施の形態3に係る電気接続箱301のその他の構成は、実施の形態1に係る電気接続箱1と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。