【解決手段】複数の電力変換セル21,22,23を備えた電力変換装置50であって、各々の電力変換セル21,22,23は三相ブリッジ回路31,32,33を備え、各々の前記電力変換セル21が備えた前記三相ブリッジ回路31は、その三相交流端子UI,VI,WI、(UO,VO,WO)のうち2つの三相交流端子VI,WI、(VO,WO)を、他の電力変換セル22,23が備えた三相ブリッジ回路32,33の三相交流端子UI、(VO)に接続し、VI,WI、(VO,WO)以外の他の三相交流端子UI、(UO)に三相電圧を入力又は出力する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の電力変換装置50の構成図である。
電力変換装置50は、入力端子1,2,3と、3つの電力変換セル21,22,23と、出力端子4,5,6とを備えて構成されている。入力端子1,2,3は、外部の三相交流電源7に接続され、出力端子4,5,6は、三相交流負荷8に接続されている。電力変換装置50は、三相交流電源7から入力した交流電力を任意の電圧や周波数の三相交流電力に変換し、変換された三相交流電力を三相交流負荷8に供給するように構成されている。
【0012】
電力変換装置50は、三相交流電力を入力して三相交流電力を出力する3つの電力変換セル21,22,23を備えている。電力変換セル21の三相入力端子(UI,VI,WI)のうち2つ(VI,WI)を他の電力変換セルである電力変換セル22及び電力変換セル23の三相入力端子の何れか(UI)にそれぞれ接続し、(VI,WI)以外の他の1つ(UI)を電力変換装置50の入力端子1に接続している。
【0013】
同様に、電力変換セル22の三相入力端子(UI,VI,WI)のうち2つ(UI,WI)を他の電力変換セルである電力変換セル21及び電力変換セル23の三相入力端子の何れか(VI)にそれぞれ接続し、他の1つ(VI)を電力変換装置50の入力端子2に接続している。
【0014】
また、電力変換セル23の三相入力端子(UI,VI,WI)のうち2つ(UI,VI)を他の電力変換セルである電力変換セル21及び電力変換セル22の三相入力端子の何れか(WI)にそれぞれ接続し、他の1つ(WI)を電力変換装置50の入力端子3に接続している。
【0015】
また、電力変換セル21の三相出力端子(UO,VO,WO)のうち2つ(VO,WO)を他の電力変換セルである電力変換セル22及び電力変換セル23の三相出力端子(UO)にそれぞれ接続し、(VO,WO)以外の他の1つ(UO)を電力変換装置50の出力端子4に接続している。電力変換セル22の三相出力端子(UO,VO,WO)のうち2つ(UO,WO)を他の電力変換セルである電力変換セル21及び電力変換セル23の三相出力端子(VO)にそれぞれ接続し、他の1つ(VO)を電力変換装置50の出力端子5に接続している。電力変換セル23の三相出力端子(UO,VO,WO)のうち2つ(UO,VO)を他の電力変換セルである電力変換セル21及び電力変換セル22の三相出力端子(WO)にそれぞれ接続し、他の1つ(WO)を電力変換装置50の出力端子6に接続している。
【0016】
図2A,
図2B,
図2Cは、電力変換セルの部分回路図である。
電力変換セル11,21,22,23は、
図2AのA,Bと
図2BのA,Bとを連結し、
図2BのC,Dと
図2CのC,Dとを連結して構成される。
電力変換セル11,21,22,23は、三相ブリッジ回路31,32,33(
図1,
図3)としての三相コンバータ11a(
図2A)と、絶縁型のDC−DCコンバータ11b(
図2B)と、三相ブリッジ回路で構成した三相インバータ11c(
図2C)と、コンデンサC1,C2と、制御部11dと、三相入力端子(三相交流端子)UI,VI,WI(
図2A)と、三相出力端子(三相交流端子)UO,VO,WO(
図2C)とを備えて構成される。なお、三相インバータ11cは、
図3に記載の三相ブリッジ回路31,32,33としても機能する。
【0017】
三相コンバータ11aや三相ブリッジ回路31,32,33は、ダイオードDQ1,DQ2,DQ3,DQ4,DQ5,DQ6が逆並列接続されたスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6と、リアクトルL11,L12,L13と、3つのコンデンサC11、C12,C13とを備える。三相コンバータ11aや三相ブリッジ回路31,32,33は、三相入力端子UI,VI,WIから入力した三相交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力をコンデンサC1の両端を介してDC−DCコンバータ11bに供給する。三相コンバータ11aや三相ブリッジ回路31,32,33は、スイッチング素子Q1,Q2を直列接続し、この接続点にリアクトルL11の一端を接続し、リアクトルL11の他端を三相入力端子UIとしている。スイッチング素子Q3,Q4を直列接続し、この接続点にリアクトルL12の一端を接続し、リアクトルL12の他端を三相入力端子VIとしている。スイッチング素子Q5,Q6を直列接続し、この接続点にリアクトルL13の一端を接続し、リアクトルL13の他端を三相入力端子WIとしている。なお、リアクトルL11,L12,L13は、三相コンバータ11aや三相ブリッジ回路31,32,33に対して、昇圧機能を持たせることができる。
【0018】
また、リアクトルL11の他端と三相入力端子UIとの接続点には、コンデンサC11の一端が接続され、リアクトルL12の他端と三相入力端子VIとの接続点には、コンデンサC12の一端が接続され、リアクトルL13の他端と三相入力端子WIとの接続点には、コンデンサC13の一端が接続されており、3つのコンデンサC11,C12,C13の他端は、中性点Pとして接続されている。これにより、リアクトルL11及びコンデンサC11と、リアクトルL12及びコンデンサC12と、リアクトルL13及びコンデンサC13とは、ローパスフィルタを構成する。なお、3つのリアクトルL11,L12,L13のインダクタンスは、等しいことが好ましく、3つのコンデンサC11,C12,C13のキャパシタンスは、等しいことが好ましい。
【0019】
なお、スイッチング素子Q1,Q2の直列回路と、スイッチング素子Q3,Q4の直列回路と、スイッチング素子Q5,Q6の直列回路と、コンデンサC1の両端とは、並列接続されている。また、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6のゲートは、制御部11dと接続されている。
【0020】
DC−DCコンバータ11b(
図2B)は、ダイオードDH1,DH2,DH3,DH4,DH5,DH6,DH7,DH8が逆並列接続されたスイッチング素子H1,H2,H3,H4,H5,H6,H7,H8と、共振インダクタLr1,Lr2と、共振コンデンサCr1,Cr2と、巻線N1,N2が磁気結合したトランスT1とを備えている。スイッチング素子H1,H2,H3,H4は、フルブリッジ接続されており、コンデンサC1の両端から入力した直流電力を高周波交流電力に変換する。このとき、高周波矩形波電圧が共振インダクタLr1、共振コンデンサCr1、及び巻線N1の直列回路に印加され、正弦波高周波電流が流れる。
【0021】
トランスT1は、巻線N1に流れる高周波電流(一次側電流)と巻線比とを乗じた高周波電流(二次側電流)を巻線N2に流す。DC−DCコンバータ11bは、トランスT1を備えているので、一次側と二次側とが絶縁している絶縁型DC−DCコンバータである。これにより、入力端子1,2,3と、出力端子4,5,6とが絶縁される。
【0022】
スイッチング素子H5,H6,H7,H8は、フルブリッジ接続されており、共振インダクタLr2、共振コンデンサCr2及び巻線N2に流れる正弦波高周波電流を全波整流してコンデンサC2に充電する。このようにDC−DCコンバータ11bは、スイッチングロスを低減するために共振形コンバータの回路構成になっている。
【0023】
三相インバータ11c(
図2C)は、ダイオードDS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6が逆並列接続されたスイッチング素子S1,S2,S3,S4,S5,S6と、3つのリアクトルL14,L15,L16と、3つのコンデンサC14,C15,C16とを備える。三相インバータ11cは、コンデンサC2の両端に充電された直流電力を三相交流電力に変換して、三相出力端子UO,VO,WOに出力する。
【0024】
三相インバータ11cは、スイッチング素子S1,S2を直列接続し、この接続点とリアクトルL14の一端とを接続し、リアクトルL14の他端を三相出力端子UOとしている。三相インバータ11cは、スイッチング素子S3,S4を直列接続し、この接続点とリアクトルL15の一端とを接続し、リアクトルL15の他端を三相出力端子VOとしている。三相インバータ11cは、スイッチング素子S5,S6を直列接続し、この接続点とリアクトルL16の一端とを接続し、リアクトルL16の他端を三相出力端子WOとしている。
【0025】
また、リアクトルL14の他端と三相出力端子UOとの接続点には、コンデンサC14の一端が接続され、リアクトルL15の他端と三相出力端子VOとの接続点には、コンデンサC15の一端が接続され、リアクトルL16の他端と三相出力端子WOとの接続点には、コンデンサC16の一端が接続されており、3つのコンデンサC14,C15,C16の他端は、中性点Pとして接続されている。これにより、リアクトルL14及びコンデンサC14と、リアクトルL15及びコンデンサC15と、リアクトルL16及びコンデンサC16とは、ローパスフィルタを構成する。なお、3つのリアクトルL14,L15,L16のインダクタンスは、等しいことが好ましく、3つのコンデンサC14,C15,C16のキャパシタンスは、等しいことが好ましい。また、三相インバータ11cは、スイッチング素子S1,S2の直列回路と、スイッチング素子S3,S4の直列回路と、スイッチング素子S5,S6の直列回路と、コンデンサC2とを並列接続している。
【0026】
これらのスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6、H1,H2,H3,H4,H5,H5,H6,H7,H8、S1,S2,S3,S4,S5,S6のゲートは、制御部11dに接続される。このように、電力変換セル11,21,22,23は、三相入力端子UI,VI,WIから三相交流電力を入力し、トランスT1で絶縁しつつ任意の電圧や周波数の三相交流電力に変換して三相出力端子UO,VO,WOに出力する。
【0027】
また、電力変換セル11,21,22,23は、トランスT1を中心軸として、回路構成が左右対称である。このため、電力変換セル11,21,22,23は、三相出力端子UO,VO,WOから三相交流電力を入力し、トランスT1で絶縁しつつ任意の電圧や周波数の三相交流電力に変換して三相入力端子UI,VI,WIから出力することも可能である。つまり、電力変換セル11,21,22,23は、三相入力端子UI,VI,WIと三相出力端子UO,VO,WOとの間で双方向に電力変換することも可能である。したがって、例えば、三相交流負荷8がモータの場合には、電力変換セル11,21,22,23は、回生動作時に回生電力を三相交流電源7に回生することができる。また、異なる電力系統間で双方向に電力を融通することも可能である。
【0028】
このように、電力変換セル11,21,22,23は、三相コンバータ11a及び三相インバータ11cとして三相ブリッジ回路を用いて三相交流電力を入出力する。したがって、単相ブリッジ回路などを用いて単相交流電力を入出力する場合と比べ、直流電圧を平滑するコンデンサC1,C2の容量を削減できる。これにより本実施形態の電力変換装置50(
図1)では、比較的高い三相電圧を出力する場合にも、電力変換装置50を小型化することができる。
【0029】
図3は、電力変換セルが備えた三相ブリッジ回路の三相交流端子の接続方法を模式的に示す図である。三相結線回路45は、3つの三相ブリッジ回路31,32,33と、3つの三相端子U1,V1,W1から構成される。三相ブリッジ回路31は、三相交流端子u1,v1,w1を備え、三相ブリッジ回路32は、三相交流端子u2,v2,w2を備え、三相ブリッジ回路33は、三相交流端子u3,v3,w3を備えている。三相ブリッジ回路31,32は、三相交流端子v1,u2をノードn1で接続し、三相ブリッジ回路32,33は、三相交流端子w2,v3をノードn2で接続し、三相ブリッジ回路33,31は、三相交流端子u3,w1をノードn3で接続している。そして、三相ブリッジ回路31の三相交流端子u1を電力変換装置の三相端子U1とし、三相ブリッジ回路32の三相交流端子v2を電力変換装置の三相端子V1とし、三相ブリッジ回路33の三相交流端子w3を電力変換装置の三相端子W1としている。
【0030】
つまり、三相ブリッジ回路31,32,33は、三相コンバータ11a(
図2A)に相当し、三相交流端子u1,v1,w1と、u2,v2,w2と、u3,v3,w3とは、三相入力端子UI,VI,WI(
図2A)に相当する。また、三相端子U1,V1,W1は、入力端子1,2,3(
図1)に相当する。同様に、三相ブリッジ回路31,32,33は、三相インバータ11c(
図2C)に相当し、三相交流端子u1,v1,w1と、u2,v2,w2と、u3,v3,w3とは、三相出力端子UO,VO,WOに相当する。また、三相端子U1,V1,W1は、出力端子4,5,6(
図1)に相当する。
【0031】
図4は、三相ブリッジ回路31,32,33の三相交流端子が出力する電圧のベクトルを示している。ここで、Vu1,Vv1,Vw1,Vu2,Vv2,Vw2,Vu3,Vv3,Vw3は、それぞれ三相交流端子u1,v1,w1,u2,v2,w2,u3,v3,w3(
図3)の相電圧を示している。U1−W1間電圧(例えば、電力変換装置50(
図1)の入力端子1,3間電圧)は、三相ブリッジ回路31のu1−w1間電圧Vuw1と、三相ブリッジ回路33のu3−w3間電圧Vuw3との和になるため、
Vuw1=Vuw3=Vuw
とすれば、U1−W1間電圧は2Vuwとなる。したがって、三相端子U1,V1,W1(例えば、電力変換装置50(
図1)の入力端子1,2,3)には、三相ブリッジ回路31,32,33の三相交流端子に出力される電圧の2倍の電圧が出力される。つまり、三相ブリッジ回路32,33は、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6に印加される電圧が半分になる。
【0032】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態の電力変換装置の構成図である。
電力変換装置51は、前記第1実施形態の電力変換装置50と比べ、入出力ともに、三相各相にリアクトルL1,L2,L3,L4,L5,L6を備えた点で異なっている。これにより、入出力電流に含まれる高周波成分を抑制することや、電力変換セル21,22,23が備えるリアクトルL11,L12,L13(
図2A)やリアクトルL14,L15,L16(
図2C)を小型化又は省略することができる。
【0033】
(第3実施形態)
前記第1,2実施形態の電力変換装置50,51は、三相交流負荷8に三相交流電力を供給していたが、直流電力を負荷に供給させることもできる。
【0034】
図6は、本発明の第3実施形態の電力変換装置の構成図である。
電力変換装置52は、入力端子1,2,3と、3つの電力変換セル24,25,26と、出力端子9,10とを備えて構成されている。電力変換装置52は、入力端子1,2,3が三相交流電源7に接続され、出力端子9,10が直流負荷8aに接続されている。電力変換装置52は、三相交流電源7から入力した三相交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力を出力端子9,10から出力して直流負荷8aに供給する。
【0035】
電力変換装置52は、三相交流電力を入力して直流電力を出力する電力変換セル24,25,26を備えている。電力変換セル24の三相入力端子(UI,VI,WI)のうち2つ(VI,WI)を他の電力変換セルである電力変換セル25及び電力変換セル26の三相入力端子(UI)にそれぞれ接続し、(VI,WI)以外の他の1つ(UI)を電力変換装置52の入力端子1に接続している。
【0036】
同様に、電力変換セル25の三相入力端子(UI,VI,WI)のうち2つ(UI,WI)を他の電力変換セルである電力変換セル24及び電力変換セル26の三相入力端子(VI)にそれぞれ接続し、他の1つ(VI)を電力変換装置52の入力端子2に接続している。電力変換セル26の三相入力端子(UI,VI,WI)のうち2つ(UI,VI)を他の電力変換セルである電力変換セル24及び電力変換セル25の三相入力端子(WI)にそれぞれ接続し、他の1つ(WI)を電力変換装置52の入力端子3に接続している。また、電力変換セル24,25,26の直流出力端子(+,−)は、それぞれ並列接続され、出力端子9,10に接続されている。
【0037】
図7は、本発明の第3実施形態の電力変換セルの回路図である。
電力変換セル12,24,25,26は、前記第1実施形態の電力変換セル11,21,22,23と比較して、三相インバータ11c(
図2C)が省略され、出力端子J7(+)、J8(−)から直流電力を出力するようにした点が異なっている。つまり、電力変換セル12,24,25,26は、三相コンバータ12aと、DC−DCコンバータ12bとを有している。また、電力変換セル12,24,25,26のDC−DCコンバータ12bは、電力変換セル11,21,22,23のDC−DCコンバータ11b(
図2(B))と比較して、スイッチング素子H5,H6,H7,H8をダイオードD1,D2,D3,D4に変更し、共振インダクタLr2及び共振コンデンサCr2が省略されている点で相違する。
【0038】
以上説明した通り、電力変換装置52の電力変換セル12,24,25,26は、三相コンバータ12aを用いて三相交流電力を出力する。したがって、単相ブリッジ回路などを用いて単相交流電力を入出力する場合と比べ、直流電圧を平滑するコンデンサC1の容量を削減できる。つまり、電力変換装置52は、サイズやコストを抑えつつ、比較的電圧が高い三相交流電力を受電して、直流負荷に大きい電流を供給することが可能である。例えば、電気自動車のバッテリを急速に充電することができる。もちろん、DC−DCコンバータ12b(
図7)を双方向電力変換が可能なDC−DCコンバータ11b(
図2b)に置き換えれば、電気自動車等のバッテリから三相交流電源側へ給電することも可能である。
【0039】
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態の電力変換装置の構成図である。
電力変換装置53は、電力変換セル27,28,29と、入力端子1,2,3とを備え、入力端子1,2,3が三相交流電源7に接続されている。そして、電力変換セル27,28,29がそれぞれ備えた蓄電装置13b(
図9)と三相交流電源7との間で双方向に電力変換する。
電力変換セル27,28,29の三相入力端子と、入力端子1,2,3との接続方法は、第1実施形態の電力変換装置50(
図1)における電力変換セル21,22,23の三相入力端子(UI,VI,WI)と、入力端子1,2,3との接続方法と同様である。
【0040】
図9は、本発明の第4実施形態の電力変換セルの回路図である。
電力変換セル13,27,28,29は、第3実施形態の電力変換セル12(
図7)と比べ、コンデンサC2及び出力端子+,−を削除し、DC−DCコンバータ12bを蓄電装置13bに変更した点が異なっている。つまり、電力変換セル13,27,28,29は、三相コンバータ13aと、コンデンサC1と、蓄電装置13bとを備えている。なお、三相コンバータ13aは、三相ブリッジ回路31,32,33として機能する。
【0041】
蓄電装置13bは、ダイオードDH11,DH12が逆並列接続されたスイッチング素子H11,H12と、リアクトルL17と、コンデンサC3と、バッテリB1とを備えている。スイッチング素子H11,H12の直列回路は、コンデンサC1の両端間に接続されている。また、スイッチング素子H12の両端には、リアクトルL17及びコンデンサC3の直列回路が接続されている。また、コンデンサC3には、バッテリB1が並列接続されており、コンデンサC1の両端と、バッテリB1との間で双方向に電力変換する。
【0042】
このように、電力変換装置53では、電力変換セル27,28,29のそれぞれがバッテリB1を備えることにより、電力変換セルのDC−DCコンバータを非絶縁型にしてトランスを削減している。以上より、電力変換装置53は、サイズとコストを抑えつつ比較的電圧が高い三相交流電力の充放電が可能であり、需用電力のピークシフトや停電時のバックアップに利用できる。
【0043】
(第5実施形態)
前記第1実施形態の電力変換装置50(
図1)は、一次側結線と同様の二次側結線にしたが、二次側を並列接続することもできる。
【0044】
図10は、本発明の第5実施形態の電力変換装置の構成図である。
電力変換装置54は、電力変換装置50と同様に、入力端子1,2,3と、3つの電力変換セル21,22,23と、出力端子4,5,6とを備えて構成されている。入力端子1,2,3と電力変換セル21,22,23との結線(一次側結線)は、電力変換装置50と同一である。しかしながら、二次側結線が、電力変換装置50と異なる。
【0045】
つまり、電力変換セル21の三相出力端子UOと、電力変換セル22の三相出力端子UOと、電力変換セル23の三相出力端子UOとが出力端子4に接続される。電力変換セル21の三相出力端子VOと、電力変換セル22の三相出力端子VOと、電力変換セル23の三相出力端子VOとが出力端子5に接続される。電力変換セル21の三相出力端子WOと、電力変換セル22の三相出力端子WOと、電力変換セル23の三相出力端子WOとが出力端子6に接続される。そして、出力端子4,5,6が、三相交流負荷8に接続される。
【0046】
本実施形態の電力変換装置54は、二次側が並列接続しているので、三相交流負荷8に流す電流を増加することができる。しかしながら、二次側電圧は、トランスT1(
図2(b))やスイッチング素子の耐圧に対応させる。
【0047】
(第6実施形態)
前記第3実施形態の電力変換装置52(
図6)は、二次側を並列接続していたが、直列接続することもできる。
【0048】
図11は、本発明の第6実施形態の電力変換装置の構成図である。
電力変換装置55は、電力変換装置52と同様に、入力端子1,2,3と、3つの電力変換セル24,25,26と、出力端子9,10とを備えて構成される。入力端子1,2,3と電力変換セル24,25,26との結線(一次側結線)は、電力変換装置52と同一である。しかしながら、二次側結線が電力変換装置52と異なる。
【0049】
電力変換セル24の直流出力端子(+)は、出力端子9に接続されている。電力変換セル24の直流出力端子(−)は、電力変換セル25の直流出力端子(+)に接続され、電力変換セル25の直流出力端子(−)は、電力変換セル26の直流出力端子(+)に接続されている。また、電力変換セル26の直流出力端子(−)は、出力端子10に接続されている。これにより、電力変換セル24,25,26の直流出力端子(+)(−)は、直列接続されて、出力端子9,10に接続される。
【0050】
本実施形態の電力変換装置55は、電力変換セル24,25,26の直流出力端子(+)(−)が直列接続されているので、電力変換セル24,25,26のそれぞれの耐圧よりも高い直流電圧を出力することができる。なお、電力変換装置55は、二次側を並列接続している電力変換装置52(
図6)よりも、最大出力電流が少ない。
【0051】
(第7実施形態)
前記第1,2実施形態の電力変換装置50,51は、スイッチング素子を有する電力変換セル21,22,23を使っていたが、電力変換セル21,22,23の代わりに三相トランス(三相変圧器)を用いることもできる。
【0052】
図12は、本発明の第7実施形態の電力変換装置の構成図である。
電力変換装置56は入力端子1,2,3と、3つのトランス41,42,43と、出力端子4,5,6とを備えて構成されている。入力端子1,2,3は、外部の三相交流電源7に接続され、出力端子4,5,6は、三相交流負荷8に接続されている。
【0053】
トランス41,42,43は、Y−Y結線されており、一次側に三相入力端子(UI,VI,WI)を有し、二次側に三相出力端子(UO,VO,WO)を有している。なお、トランス41,42,43は、Δ−Δ結線でも、Y−Δ結線でも、Δ−Y結線でも構わない。
【0054】
トランス41の三相入力端子(UI,VI,WI)のうち2つ(VI,WI)を他のトランス42,43の三相入力端子の何れか(UI)にそれぞれ接続し、他の1つ(UI)を電力変換装置56の入力端子1に接続している。同様に、トランス42の三相入力端子(UI,VI,WI)のうち2つ(UI,VI)を他のトランス41,43の三相入力端子(WI)にそれぞれ接続し、他の1つ(WI)を電力変換装置56の入力端子3に接続している。また、トランス43の三相入力端子(UI,VI,WI)のうち2つ(UI,WI)を他のトランス41,42の三相入力端子(VI)にそれぞれ接続し、他の1つ(VI)を電力変換装置56の入力端子2に接続している。
【0055】
また、トランス41の三相出力端子(UO,VO,WO)のうち2つ(VO,WO)を他のトランス42,43の三相出力端子(UO)にそれぞれ接続し、他の1つ(UO)を電力変換装置56の出力端子4に接続している。トランス42の三相出力端子(UO,VO,WO)のうち2つ(UO,WO)を他のトランス41,43の三相出力端子(VO)にそれぞれ接続し、他の1つ(VO)を電力変換装置56の出力端子5に接続している。トランス43の三相出力端子(UO,VO,WO)のうち2つ(UO,VO)を他のトランス41,42の三相出力端子(WO)にそれぞれ接続し、他の1つ(WO)を電力変換装置56の出力端子6に接続している。
【0056】
本実施形態の電力変換装置56によれば、トランス41,42,43それぞれの耐圧よりも高い三相交流電圧を入力することができる。また、トランス41,42,43それぞれの耐圧よりも高い三相交流電圧で出力することができる。なお、電力変換装置56は、二次側結線を一次側結線と同様にしたが、第5実施形態の電力変換装置54(
図10)のように、二次側を並列接続することも可能である。また、二次側は、整流・平滑回路を設け、直流電圧を出力させても構わない。
【0057】
(第8実施形態)
前記第1実施形態の電力変換装置50は、3つの電力変換セル21,22,23を使用したが、9つの電力変換セルで構成することもできる。
【0058】
図13は、9つの電力変換セルを用いた接続方法を模式的に示す図である。
本実施形態の三相結線回路48は、前記第1実施形態の三相結線回路45(
図3)を3組使用する。つまり、三相結線回路48は、3つの三相結線回路45,46,47と三相端子U,V,Wとから構成され、三相結線回路45,46,47は、それぞれが3つの三相ブリッジ回路31,32,33の組合せから構成されている。
【0059】
三相結線回路45は、三相端子U1を三相端子Uに接続し、三相端子V1を三相結線回路46の三相端子U2に接続し、三相端子W1を三相結線回路47の三相端子U3に接続している。三相結線回路46は、三相端子U2を三相結線回路45の三相端子V1に接続し、三相端子V2を三相端子Vに接続し、三相端子W2を三相結線回路47の三相端子V3に接続している。三相結線回路47は、三相端子U3を三相結線回路45の三相端子W1に接続し、三相端子V3を三相結線回路46の三相端子W2に接続し、三相端子W3を三相端子Wに接続している。
【0060】
言い換えれば、三相結線回路45の三相端子(U1,V1,W1)のうち2つ(V1,W1)を他の三相結線回路46,47の三相端子の何れか(U2,U3)にそれぞれ接続し、他の1つ(U1)を三相端子Uに接続している。同様に、三相結線回路46の三相端子(U2,V2,W2)のうち2つ(U2,W2)を他の三相結線回路45,47の三相端子(V1,V3)にそれぞれ接続し、他の1つ(V2)を三相端子Vに接続している。また、三相結線回路47の三相端子(U3,V3,W3)のうち2つ(U3,V3)を他の三相結線回路45,46の三相端子(W1,W2)にそれぞれ接続し、他の1つ(W3)を三相端子Wに接続している。
【0061】
図14は、10個の電力変換セルを用いた接続方法を模式的に示す図である。
本実施形態の三相結線回路49は、三相結線回路48(
図13)の中央部に三相ブリッジ回路30を設けたものである。つまり、三相結線回路49は、3つの三相結線回路45,46,47と、三相ブリッジ回路30と、三相端子U,V,Wとから構成され、三相結線回路45,46,47は、それぞれが3つの三相ブリッジ回路31,32,33から構成されている。
【0062】
三相ブリッジ回路30は、三相交流端子u4,v4,w4を備え、中性点Gを有している。三相交流端子u4は、三相結線回路45の三相ブリッジ回路32,33に接続されている。三相交流端子v4は、三相結線回路46の三相ブリッジ回路31,33に接続されている。三相交流端子w4は、三相結線回路47の三相ブリッジ回路31,32に接続されている。
【0063】
本実施形態の三相結線回路49は、三相ブリッジ回路30の中性点Gをしようすることができる。また、三相ブリッジ回路30,31,32,33は、電力変換セル11(
図2A,
図2C)の内部回路である。つまり、三相結線回路49は、電力変換セル11の4倍の電圧を、三相端子U、V、Wに入出力することができる。
【0064】
図15は、6つの電力変換セルを用いた接続方法を模式的に示す図である。
三相結線回路60は、6つの三相ブリッジ回路34,35,36,37,38,39と6つの三相端子U0,T0,V0,R0,W0,S0とを備えて構成される。
6つの三相端子U0,T0,V0,R0,W0,S0は、1個ごとの3個の三相端子U0,V0,W0又は3個の三相端子T0,R0,S0を用いて、三相電圧を入力又は出力する。
【0065】
また、三相結線回路60は、6つの三相ブリッジ回路(電力変換セル)34,35,36,37,38,39を用いて三相端子U0,V0,W0に、元の電力変換セルの3倍の電圧を出力することができる。なお、三相端子R0,S0,T0からは、三相端子U0,V0,W0と位相が異なる三相交流電力を入出力することが可能である。
【0066】
なお、一般的に、三相結線回路60は、3n(nは2以上の自然数)個の三相ブリッジ回路を備えており、各々の三相ブリッジ回路34,35,36,37,38,39は、第1三相端子が隣接する三相ブリッジ回路の第2三相端子に接続し、第2三相端子が隣接する他の三相ブリッジ回路の第1三相端子に接続したものであり、3n個の第3三相端子は、(n−1)個毎の3個の端子を用いて、三相電圧を入力又は出力する。なお、
図3の構成においては、任意の点間から電力を入出力することができる。例えば、ノードn1、n2、n3から三相交流電力を入出力することができる。
【0067】
以上、説明したように、本発明の電力変換装置では、複数の三相インバータや三相コンバータの交流側をあたかも直列に接続することで、単相変換器に比べて直流リンク電圧を安定化するコンデンサ容量を削減できるという三相変換器のメリットを活かしつつ、高い交流電圧に対応できる。