【解決手段】アクチュエータ本体11と、アクチュエータ本体に固定されるブラケット50とを備え、アクチュエータ本体は、ハウジング20と、ハウジングをブラケットに接続する複数の支持部31とを有し、ブラケットは、複数の支持部が接触して固定される複数の本体固定部50aと、本体固定部の内側のブラケット表面または本体体固定部に隣接する位置のブラケット表面からアクチュエータ本体側へ突出する複数のガイド部と、を有する、電動アクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータを示す斜視図である。
図2は、本実施形態の電動アクチュエータの平面図である。
図3は、
図2のA−A線に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ10は、アクチュエータ本体11と、ブラケット50とを有する。アクチュエータ本体11は、ハウジング20と、ハウジング20から突出し中心軸J1の軸方向に延びる出力軸21と、コネクタ22と、支持部31,32,33とを有する。アクチュエータ本体11は、ハウジング20に収容される図示略のモータおよび減速機構を有する。出力軸21は減速機構に連結され、中心軸J1の軸周りに回転する。
【0011】
以下の説明においては、中心軸J1の軸方向を単に「軸方向」と呼び、軸方向における
図1の上側を単に「上側」と呼び、軸方向における
図1の下側を単に「下側」と呼ぶ。また、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
ハウジング20は、軸方向に配置されるモータケース20aおよび減速機構ケース20bとを有する。モータケース20aと減速機構ケース20bは、いずれも中心軸J1を中心とする円筒状である。モータケース20aの内部空間と減速機構ケース20bの内部空間とは軸方向に連続する。出力軸21は、減速機構ケース20bの下面から下側へ突出する。
【0013】
モータケース20aの上端部にコネクタ22が配置される。コネクタ22は、モータケース20aの外周面から径方向に延び、径方向外側の端部に接続端子22aを有する。モータケース20aには、モータ制御用の回路が実装される制御基板が内蔵されていてもよい。
【0014】
減速機構ケース20bは、モータケース20aよりも大径の円筒状である。減速機構ケース20bの軸方向長さはモータケース20aの軸方向長さよりも短い。減速機構ケース20bの外周面の下端に、3つの支持部31〜33が配置される。支持部31〜33は、減速機構ケース20bの外周面から径方向外側へ延びる平板状である。本実施形態では、減速機構ケース20bが中心軸J1に沿って延びる円筒部であり、支持部31〜33は、円筒部である減速機構ケース20bの外周面から径方向外側へ延びる。
【0015】
支持部31〜33は、下面においてブラケット50と接触する。支持部31〜33は、軸方向に貫通する貫通孔31a、32a、33aを有する。支持部31〜33は、減速機構ケース20bの外周面において周方向に120°おきの等間隔に配置される。
【0016】
ブラケット50は、アクチュエータ本体11が載せられる本体支持部50aと、本体支持部50aの外周縁から下側へ延びるL形の取付部51〜53とを有する。取付部51〜53は、車両等の取付位置に例えばネジ締結により固定される部位である。なお、本体支持部50aは、図示されていないが、平面視における中央部を軸方向に貫通する中央貫通孔を有する。中央貫通孔には、アクチュエータ本体11の出力軸21が通される。
【0017】
取付部51〜53は、軸方向と直交する方向に拡がる面に、取付部51〜53を軸方向に貫通する取付孔51a、52a、53aを有する。本実施形態の場合、本体支持部50aと取付部51〜53は、1枚の金属板を折り曲げて作製される。
【0018】
本体支持部50aは、3箇所の隅部に、アクチュエータ本体11の支持部31、32、33がそれぞれ接触して固定される本体固定部50A、50B、50Cを有する。ブラケット50は、本体固定部50A、50B、50Cに一方の端部を固定されたネジ軸55a、55b、55cを有する。ネジ軸55a〜55cは、本体支持部50aの上面から軸方向上側へ突出する。
【0019】
図3に示すように、ネジ軸55cの下側の端部は、本体支持部50aに溶接、接着、締結等により固定される。ネジ軸55a、55bについても、ネジ軸55cと同様に、溶接、接着、締結等により固定される。ネジ軸55a〜55cの上端部は、先端まで雄ネジが設けられる。
【0020】
ネジ軸55aは支持部31の貫通孔31aに通され、ネジ軸55bは支持部32の貫通孔32aに通され、ネジ軸55cは支持部33の貫通孔33aに通される。ネジ軸55a〜55cの先端にナット60が締め込まれ、アクチュエータ本体11とブラケット50とが締結される。ネジ軸55a〜55cは、アクチュエータ本体11とブラケット50とを締結する際に、アクチュエータ本体11を所定位置に案内する。すなわち、ネジ軸55a〜55cは、ブラケット50に備えられるガイド部である。
【0021】
上記構成によれば、ブラケット50が、ガイド部としてのネジ軸55a〜55cを有することで、アクチュエータ本体11とブラケット50とを組み立てたときに、ネジ軸55a〜55cによりハウジング20の軸周りの移動が抑制される。これにより、アクチュエータ本体11とブラケット50とが位置合わせされた状態を容易に維持できる。その結果、電動アクチュエータ10の組み立て作業を効率よく実施可能である。
【0022】
また、組み立て作業者は、アクチュエータ本体11とブラケット50との位置合わせを、支持部31〜33の貫通孔31a〜33aにネジ軸55a〜55cを通すだけで行える。したがって、電動アクチュエータ10の組み立て作業が非常に容易になる。
【0023】
本実施形態では、アクチュエータ本体11が、円筒状のハウジング20と、120°おきに配置された支持部31〜33と、を備える形状である。アクチュエータ本体11は、中心軸J1に関して回転対称の形状および配置を有するため、ブラケット50の形状を用途毎に変更したときに、本体支持部50aに載せられなくなる場合が少ない。したがって、共通のアクチュエータ本体11を用いて、種々の用途に使用可能な電動アクチュエータ10が作製可能である。
【0024】
(第1変形例)
図4は、第1変形例の電動アクチュエータを示す平面図である。
図5は、
図4のB−B線に沿う断面図である。
図4および
図5に示す第1変形例の電動アクチュエータ110は、アクチュエータ本体111と、ブラケット150とを有する。
【0025】
アクチュエータ本体111は、支持部133を有する。支持部133は、減速機構ケース20bの外周面から径方向外側へ延びる板状であり、支持部133を軸方向に貫通する貫通孔133aを有する。
図4に示す支持部133は、他の2つの支持部31,32と同様の平面形状を有する一方で、支持部31,32と比較して、減速機構ケース20bの外周面から外側へ延びる方向が図示左側へ傾いた斜め方向である。
【0026】
具体的には、
図4に示すように、支持部133では、先端P3と貫通孔133aの中心とを通る直線L3が、貫通孔133aの中心を通る径方向直線R3に対して交差する。直線L3と径方向直線R3との成す角度を、本明細書では「支持部の突出角度」として規定する。支持部133では、「支持部の突出角度」は、0°以外の角度になる。
他の2つの支持部31,32についても同様に、直線L1と径方向直線R1との成す角度および直線L2と径方向直線R2との成す角度を「支持部の突出角度」として規定する。支持部31,32では、先端P1と貫通孔31aの中心、および先端P2と貫通孔32aの中心が、いずれも径方向に並ぶ。したがって、支持部31,32では、直線L1と径方向直線R1、直線L2と径方向直線R2はそれぞれ互いに平行であり、「支持部の突出角度」は0°となる。
以上より、支持部133は、他の2つの支持部31,32に対して、減速機構ケース20bの外周面からの突出角度が異なる。
【0027】
この構成により、組み立て作業者は、支持部133の位置に基づいて、アクチュエータ本体111のブラケット150に対する向きを容易に把握できる。したがって、電動アクチュエータ110の組み立て作業における誤組みが抑制され、組み立て作業性が向上する。
【0028】
ブラケット150は、本体支持部150aと、取付部51〜53とを有する。本体支持部150aは、アクチュエータ本体111の平面視外形に沿う形状の凹部155を有する。アクチュエータ本体111は、凹部155の周縁の段差部155aに囲まれる内側に配置される。アクチュエータ本体111の支持部31,32,133は、凹部155の底面と接触して固定される。したがってブラケット150の本体固定部50A〜50Cは、凹部155の内側に位置する。
【0029】
ブラケット150が凹部155を有することにより、組み立て作業者がブラケット150の本体支持部150aにアクチュエータ本体111を置いたときに、支持部31,32,133が段差部155aによって、本体固定部50A、50B、50Cにそれぞれ案内される。アクチュエータ本体111が凹部155内に配置されると、段差部155aによりアクチュエータ本体111の中心軸J1に直交する方向への移動が制限される。したがって、本変形例において、凹部155の段差部155aは、アクチュエータ本体111の支持部31,32,133に隣接して配置されるガイド部である。
【0030】
本変形例では、ブラケット150が、本体固定部50A〜50Cに固定されるネジ軸55a〜55cを有する。したがって、アクチュエータ本体111とブラケット150を組み立てる際には、ネジ軸55a〜55cもアクチュエータ本体111の移動を制限するガイド部として機能する。これにより、アクチュエータ本体111とブラケット150とが位置合わせされた状態が安定に維持される。
【0031】
なお、本変形例は、ガイド部として、ブラケット150に固定されるネジ軸55a〜55cと、段差部155aとが併用される構成であるが、これらのガイド部は、単独で用いることができる。例えば、段差部155aが設けられたブラケット150において、ネジ軸55a〜55cの代わりに、本体支持部150aを貫通する貫通孔を有する構成としてもよい。この場合、アクチュエータ本体111とブラケット150とはボルトおよびナットを用いて締結される。
【0032】
(第2変形例)
図6は、第2変形例の電動アクチュエータを示す平面図である。
図7は、
図6のC−C線に沿う断面図である。
図6および
図7に示す第2変形例の電動アクチュエータ210は、アクチュエータ本体111と、ブラケット250とを有する。
【0033】
ブラケット250は、本体支持部250aと、取付部51〜53とを有する。本体支持部250aは、アクチュエータ本体111の支持部31,32,133に隣接して配置される複数の突起部255aを有する。複数の突起部255aは、本体支持部250aの上面において、本体固定部50A、50B、50Cに隣接して配置される。突起部255aは、支持部31,32,133のそれぞれについて、支持部31,32,133を周方向に挟み込むように2つずつ配置される。
突起部255aは、
図7に示すように、本体支持部250aを下面側から押し出す板金加工により作製可能である。突起部255aは、本体支持部250aに切り起こし加工を施すことにより作製してもよい。
【0034】
ブラケット250が複数の突起部255aを有することにより、組み立て作業者がブラケット250の本体支持部250aにアクチュエータ本体111を置いたときに、支持部31,32,133が突起部255aによって、本体固定部50A、50B、50Cにそれぞれ案内される。支持部31,32,133は、それぞれ2つずつの突起部255aに挟まれて配置されるため、アクチュエータ本体111の中心軸J1に直交する方向の移動が制限される。したがって、本変形例において、複数の突起部255aは、アクチュエータ本体111の支持部31,32,133に隣接して配置されるガイド部である。
【0035】
突起部255aは、本変形例では、隣接して配置される支持部31,32,133の側面に沿って延びる形状を有する。この構成により、支持部31,32,133の複数方向への移動が制限されるので、アクチュエータ本体111とブラケット250との位置合わせ状態をより容易に維持可能である。
【0036】
本変形例においても、ネジ軸55a〜55cの代わりに、本体支持部250aを貫通する貫通孔を有する構成としてもよい。この場合、アクチュエータ本体111とブラケット250とはボルトおよびナットを用いて締結される。
【0037】
(第3変形例)
図8は、第3変形例の電動アクチュエータを示す平面図である。
図8に示す第3変形例の電動アクチュエータ310は、アクチュエータ本体311と、ブラケット50とを有する。
【0038】
アクチュエータ本体311は、支持部333を有する。支持部333は、減速機構ケース20bの外周面から径方向外側へ延びる板状であり、支持部333を軸方向に貫通する貫通孔333aを有する。
図8に示す支持部333は、他の2つの支持部31,32と比較して、減速機構ケース20bの外周面から径方向の外側へ延びる長さが短い。
【0039】
この構成により、組み立て作業者は、支持部333の位置に基づいて、アクチュエータ本体311のブラケット50に対する向きを容易に把握できる。したがって、電動アクチュエータ310の組み立て作業における誤組みが抑制され、組み立て作業性が向上する。
【0040】
本変形例においても、ネジ軸55a〜55cの代わりに、本体支持部50aを貫通する貫通孔を有する構成としてもよい。この場合、アクチュエータ本体311とブラケット50とはボルトおよびナットを用いて締結される。
【0041】
(第4変形例)
図9は、第4変形例の電動アクチュエータを示す平面図である。
図9に示す第4変形例の電動アクチュエータ410は、アクチュエータ本体411と、ブラケット50とを有する。
【0042】
アクチュエータ本体411は、支持部433を有する。支持部433は、減速機構ケース20bの外周面から径方向外側へ延びる板状であり、支持部433を軸方向に貫通する貫通孔433aを有する。
図9に示す支持部433は、他の2つの支持部31,32に対して、平面視における貫通孔433aの位置が異なる。具体的には、
図9において、貫通孔31a、32aは、それぞれ支持部31,32の中央部に位置するのに対して、貫通孔433aは、支持部433の中央部から図示右側へずれて配置される。
【0043】
本変形例では、アクチュエータ本体411の支持部31,32,433が減速機構ケース20bの外周面に120°おきの等間隔に配置される一方、貫通孔31a、32a、433aの角度ピッチは120°からずれる。これにより、本体固定部50A〜50Cに位置するネジ軸55a〜55cが、中心軸J1周りの周方向において不等ピッチに配置される。この構成によれば、アクチュエータ本体411は、特定の向きでのみネジ軸55a〜55cに取り付け可能となるため、組み立て作業における誤組みが防止できる。
【0044】
本変形例においても、ネジ軸55a〜55cの代わりに、本体支持部50aを貫通する貫通孔を有する構成としてもよい。この場合、アクチュエータ本体411とブラケット50とはボルトおよびナットを用いて締結される。
【0045】
なお、上記の各構成では、支持部31〜33,133,333,433が、減速機構ケース20bの外周面から径方向外側へ突出する形状である場合について説明したが、支持部の形状はこれに限られない。例えば、実施形態において、支持部31〜33が減速機構ケース20bの下面から下側へ突出する構成としてもよい。あるいは、実施形態において、支持部31〜33が、減速機構ケース20bの外周面よりも径方向内側に配置される構成としてもよい。
また、上記の実施形態および変形例の構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。