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特開2019-2372エアクリーナーホースおよびPCVユニオン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-2372(P2019-2372A)
(43)【公開日】2019年1月10日
(54)【発明の名称】エアクリーナーホースおよびPCVユニオン
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20181207BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20181207BHJP
【FI】
   F02M35/10 311Z
   F01M13/00 G
   F02M35/10 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-119036(P2017-119036)
(22)【出願日】2017年6月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【弁理士】
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】牧原 真也
【テーマコード(参考)】
3G015
【Fターム(参考)】
3G015BD10
(57)【要約】
【課題】ブローバイガスに含まれる油分等による悪影響の発生を防止する。
【解決手段】エアクリーナーホース14は、エンジンに向けて空気を導く空気流通路25を画成するホース本体24と、PCVユニオン40を取り付けるための接続ポート30とを備えている。PCVユニオン40は、接続ポート30に取り付けた際に、接続ポート30から空気流通路25に突出する遮蔽部44を備えている。PCVユニオン40は、空気流通路25の空気流通方向上流側に延在する遮蔽部44により、空気流通方向上流側へのブローバイガスの流出が妨げられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに向けて空気を導く空気流通路を画成するホース本体と、
前記ホース本体から分岐して外方へ延出する筒状に形成され、内部が前記空気流通路に連通する接続ポートと、
筒状に形成されると共に、一端部を前記接続ポートに嵌め合わせて前記ホース本体に取り付けられ、該接続ポートから外方に突出する他端部に、エンジンから戻されるブローバイガスが通るPCVホースを接続可能なPCVユニオンとを備え、
前記PCVユニオンは、前記一端部の先端における一縁が他縁よりも延びる形状を形成する遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記接続ポートから前記空気流通路に突出すると共に、前記一端部の先端において該空気流通路の空気流通方向上流側に配置されている
ことを特徴とするエアクリーナーホース。
【請求項2】
前記遮蔽部は、外周面が前記空気流通路の空気流通方向上流側から下流側に向かって傾くように形成されている請求項1記載のエアクリーナーホース。
【請求項3】
前記PCVユニオンの外周面に形成されたユニオン位置決め部と、前記接続ポートにおける先端側の開口縁に形成されたポート位置決め部とにより、該PCVユニオンの周方向の向きを位置決めしている請求項1または2記載のエアクリーナーホース。
【請求項4】
前記PCVユニオンの外周面から延出するように形成された当接部を、前記接続ポートにおける先端側の開口縁に当てて、該PCVユニオンを軸方向に位置決めしている請求項1〜3の何れか一項に記載のエアクリーナーホース。
【請求項5】
エアクリーナーホースにおける空気流通路を画成するホース本体に設けられた接続ポートに、一端部を嵌め合わせて取り付け可能であると共に、該接続ポートから外方に突出する他端部に、エンジンから戻されるブローバイガスが通るPCVホースを接続可能に構成された筒状本体部と、
前記筒状本体部の一端部先端における一縁が他縁よりも延びる形状を形成し、前記接続ポートに該筒状本体部の一端部を取り付けた際に、該接続ポートから前記空気流通路に突出する遮蔽部とを備えている
ことを特徴とするPCVユニオン。
【請求項6】
前記遮蔽部は、外周面が前記筒状本体部から延出するにつれて前記一縁側から他縁側へ向けて傾くように形成されている請求項5記載のPCVユニオン。
【請求項7】
前記筒状本体部の外周面には、前記接続ポートにおける先端側の開口縁に形成されたポート位置決め部との嵌め合わせにより、前記一端部の先端において前記遮蔽部を前記空気流通路の空気流通方向上流側に配置するように位置決め可能なユニオン位置決め部が設けられている請求項5または6記載のPCVユニオン。
【請求項8】
前記筒状本体部の外周面には、前記接続ポートにおける先端側の開口縁との突き当てにより、前記遮蔽部が該接続ポートから前記空気流通路に突出するように位置決め可能な当接部が設けられている請求項5〜7の何れか一項に記載のPCVユニオン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ブローバイガスが流入するエアクリーナーホースおよびこれに用いられるPCVユニオンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジンのシリンダーとピストンの間からクランクケースに漏れ出たブローバイガスを大気中に放出しないで燃焼させるために、ブローバイガスを吸気系統に戻すPCV(positive crankcase ventilation)と呼ばれるシステムが設けられている(例えば、特許文献1参照)。PCVは、例えば、エアクリーナーとスロットルバルブとの間を繋ぐエアクリーナーホースに、一端をエンジン側に接続したPCVホースを繋ぎ、ブローバイガスをエアクリーナーホースに戻すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3660291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、エンジンルーム内でのスペースの制約などにより、エアクリーナーホースに対して該エアクリーナーホースに設けられたレゾネーターや流量センサーなどの近傍に、ブローバイガスを戻すように設定しなければならないときがある。ブローバイガスには、油分や水分などが含まれているので、レゾネーターに油分等が溜まって吸音性能を損なったり、流量センサーが油分等で汚れて検知不良を引き起こしたりする等、不具合の発生につながるおそれがある。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、ブローバイガスに含まれる油分等による悪影響を防止できるエアクリーナーホースおよびこれに用いるPCVユニオンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明のエアクリーナーホースは、
エンジンに向けて空気を導く空気流通路を画成するホース本体と、
前記ホース本体から分岐して外方へ延出する筒状に形成され、内部が前記空気流通路に連通する接続ポートと、
筒状に形成されると共に、一端部を前記接続ポートに嵌め合わせて前記ホース本体に取り付けられ、該接続ポートから外方に突出する他端部に、エンジンから戻されるブローバイガスが通るPCVホースを接続可能なPCVユニオンとを備え、
前記PCVユニオンは、前記一端部の先端における一縁が他縁よりも延びる形状を形成する遮蔽部を有し、
前記遮蔽部は、前記接続ポートから前記空気流通路に突出すると共に、前記一端部の先端において該空気流通路の空気流通方向上流側に配置されていることを要旨とする。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記遮蔽部は、外周面が前記空気流通路の空気流通方向上流側から下流側に向かって傾くように形成されていることを要旨とする。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記PCVユニオンの外周面に形成されたユニオン位置決め部と、前記接続ポートにおける先端側の開口縁に形成されたポート位置決め部とにより、該PCVユニオンの周方向の向きを位置決めしていることを要旨とする。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記PCVユニオンの外周面から延出するように形成された当接部を、前記接続ポートにおける先端側の開口縁に当てて、該PCVユニオンを軸方向に位置決めしていることを要旨とする。
【0010】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項5に係る発明のPCVユニオンは、
エアクリーナーホースにおける空気流通路を画成するホース本体に設けられた接続ポートに、一端部を嵌め合わせて取り付け可能であると共に、該接続ポートから外方に突出する他端部に、エンジンから戻されるブローバイガスが通るPCVホースを接続可能に構成された筒状本体部と、
前記筒状本体部の一端部先端における一縁が他縁よりも延びる形状を形成し、前記接続ポートに該筒状本体部の一端部を取り付けた際に、該接続ポートから前記空気流通路に突出する遮蔽部とを備えていることを要旨とする。
請求項1および請求項5に係る発明によれば、PCVユニオンにおける空気流通路に連通するブローバイガスの出口に対して遮蔽部が所要位置に配置されると共に、遮蔽部が空気流通路に突出しているので、PCVユニオンから空気流通路に流入するブローバイガスが、遮蔽部によって該遮蔽部が配置された方向へ流れないように妨げることができる。従って、エアクリーナーホースにおいて、空気の入口側やレゾネーター等の機器の近傍にブローバイガスを流入させるように設定しても、ブローバイガスに含まれる油分等に起因する周辺への悪影響を防止できる。
【0011】
請求項6に係る発明では、前記遮蔽部は、外周面が前記筒状本体部から延出するにつれて前記一縁側から他縁側へ向けて傾くように形成されていることを要旨とする。
請求項2および請求項6に係る発明によれば、PCVユニオンの遮蔽部が空気流通路に突出する構成であるが、遮蔽部の外周面を空気流通路の空気流通方向に傾くように形成してあるので、空気流通路の空気の流れに影響を与え難くすることができる。
【0012】
請求項7に係る発明では、前記筒状本体部の外周面には、前記接続ポートにおける先端側の開口縁に形成されたポート位置決め部との嵌め合わせにより、前記一端部の先端において前記遮蔽部を前記空気流通路の空気流通方向上流側に配置するように位置決め可能なユニオン位置決め部が設けられていることを要旨とする。
請求項3および請求項7に係る発明によれば、PCVユニオンのユニオン位置決め部と接続ポートのポート位置決め部とにより、PCVユニオンの周方向の向きを位置決め可能なので、空気流通路に突出する遮蔽部を適切に配置することができる。
【0013】
請求項8に係る発明では、前記筒状本体部の外周面には、前記接続ポートにおける先端側の開口縁との突き当てにより、前記遮蔽部が該接続ポートから前記空気流通路に突出するように位置決め可能な当接部が設けられていることを要旨とする。
請求項4および請求項8に係る発明によれば、PCVユニオンの当接部と接続ポートとの突き当てにより、PCVユニオンを軸方向に位置決め可能なので、遮蔽部を空気流通路に突出させるように適切に配置できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るエアクリーナーホースによれば、PCVユニオンが配置される接続ポートより空気流通方向上流側に取り付けられた機器等へのブローバイガスに含まれる油分等による悪影響を防止できる。
本発明に係るPCVユニオンによれば、遮蔽部によって、エアクリーナーホースにおけるPCVユニオンが配置される接続ポートより空気流通方向上流側に取り付けられた機器等へのブローバイガスに含まれる油分等による悪影響を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の好適な実施例に係るエアクリーナーホースを用いた吸気系統を示す説明図である。
図2】実施例のエアクリーナーホースを示す断面図である。
図3】実施例のエアクリーナーホースに関し、PCVユニオンを取り外した状態で示す側面図である。
図4】実施例のエアクリーナーホースに関し、PCVユニオンを取り外した状態で示す断面図である。
図5】実施例のエアクリーナーホースに関し、PCVユニオンを取り外した状態で示す要部斜視図であり、エアクリーナーホースを斜め上方から見て、PCVユニオンを斜め下方から見ている。
図6】変更例のエアクリーナーホースを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係るエアクリーナーホースおよびこれに用いるPCVユニオンにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。
【実施例】
【0017】
図1に示すように、車両の吸気系統は、吸気ダクト10から取り入れた空気(外気)を、エアクリーナー12を通して清浄にした後に、エアクリーナーホース14およびスロットルボディ16を介してエンジン18に導くように構成されている。また、車両は、エンジン18で生じたブローバイガスを、クランクケースやロッカーカバー等からPCVホース20を介して、エンジン18からエアクリーナーホース14に戻すようになっている。実施例のエアクリーナーホース14には、吸気による騒音の発生を抑えるために、共鳴式のレゾネーター22が設けられている。
【0018】
図2図4に示すように、エアクリーナーホース14は、エアクリーナー12からエンジン18に向けて空気を導く空気流通路25を画成するホース本体24と、ホース本体24に設けられて、レゾネーター22を取り付けるための取付ポート26とを備えている。下方へ延出するように形成された筒状の取付ポート26にレゾネーター22の管状部22aを差し込んで、ホース本体24の下側にレゾネーター22が取り付けられ、レゾネーター22の共鳴室22bと空気流通路25とが連通している。また、ホース本体24の途中には、山折りと谷折りとを繰り返す蛇腹部28が設けられ、ホース本体24を蛇腹部28で曲げることができるようになっている。なお、実施例のホース本体24には、取付ポート26がエアクリーナー12に繋がる開口側に設けられ、取付ポート26よりも空気流通路25の空気流通方向下流側に蛇腹部28が設けられている。
【0019】
図2図5に示すように、エアクリーナーホース14には、PCVホース20を接続するためのPCVユニオン40を取り付け可能な接続ポート30が、ホース本体24に設けられている。接続ポート30は、ホース本体24から分岐して外方へ延出する筒状に形成され、内部が空気流通路25に連通している(図4参照)。また、接続ポート30は、空気流通路25における該接続ポート30が設けられた部位の空気流通方向と直交するように、ホース本体24から延出している。実施例のホース本体24には、接続ポート30がレゾネーター22を取り付けるための取付ポート26よりスロットルボディ16に繋がる開口側に設けられている。換言すると、接続ポート30は、ホース本体24において取付ポート26よりも空気流通方向下流側に設けられ、実施例においてはレゾネーター22の管状部22aに対して空気流通方向下流側の近傍位置で、空気流通路25に対してブローバイガスが流入するように設定されている。
【0020】
前記エアクリーナーホース14は、ウレタンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等のゴム系材料や、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)又は動的架橋熱可塑性エラストマー(TPV)などの熱可塑性エラストマー等で構成され、可撓性を有している。エアクリーナーホース14は、空気流通路25に合わせた中子を設置した成形型において射出成形することで、取付ポート26、接続ポート30および蛇腹部28などの各部を一体的に形成し、空気を吹き込んで膨らませて中子を取り出すことで得られる。
【0021】
前記PCVユニオン40は、エアクリーナーホース14とPCVホース20との間に設けられ、ブローバイガスをPCVホース20からエアクリーナーホース14の空気流通路25に中継している。図2,図4および図5に示すように、PCVユニオン40は、ブローバイガスが流通するガス流通路43を内部に画成する筒状本体部42と、空気流通路25に流出するブローバイガスの所定方向へ向けた流れを規制する遮蔽部44とを備えている。
【0022】
図5に示すように、筒状本体部42は、接続ポート30の内部形状に合わせて円筒形に形成され、接続ポート30の深さよりも長尺に設定されている。PCVユニオン40は、筒状本体部42においてブローバイガスの出口側となる一端部を接続ポート30の内側に差し込んで、エアクリーナーホース14に取り付けられる。この際に、PCVユニオン40は、筒状本体部42においてブローバイガスの入口側となる他端部が接続ポート30から外方へ突出するようになっている。PCVユニオン40には、筒状本体部42の他端部にPCVホース20を外側から嵌め合わせて該PCVホース20が取り付けられ、他端部側から流入したブローバイガスが筒状本体部42の軸方向に通って、一端部側から流出する。なお、PCVユニオン40は、ホース本体24から空気流通方向に対して直交するように延出する接続ポート30に取り付けられるので、筒状本体部42の内部に画成されるガス流通路43のガス流通方向が、空気流通路25の空気流通方向と直交している。
【0023】
図2図5に示すように、遮蔽部44は、筒状本体部42における一端部の先端を形作るものであり、該先端における一縁が、ガス流通路43を挟んで対向する他縁よりも延びる形状を形成している。遮蔽部44は、PCVユニオン40において一端部側の先端をなす円周のうちの一部範囲に亘って設けられており、実施例では、円周の半分以下の範囲に亘って筒状本体部42から軸方向外側へ向かう方向成分を有するように延長している。実施例の遮蔽部44は、他縁側から一縁側に向かうにつれて延出寸法が大きくなるように形成され、正面視で半楕円状の舌片形状になっている。なお、PCVユニオン40は、一端部の先端が、一縁側が遮蔽部44による凸端形状で形成される一方で、他縁側が軸方向に直交する平坦な端面形状で形成されている。また、遮蔽部44の外周面は、筒状本体部42から延出するにつれて一縁側から他縁側へ向けて傾くように形成されている。ここで、遮蔽部44は、全体として筒状本体部42から延出するにつれて一縁側から他縁側へ向けて傾いており、ガス流通路43に面する内周面も筒状本体部42の軸方向に対して交差するように傾いている。
【0024】
図2に示すように、遮蔽部44は、接続ポート30に筒状本体部42の一端部を取り付けた際に、接続ポート30から空気流通路25に突出するように配置される。遮蔽部44は、接続ポート30の内部と空気流通路25とを繋げる連通口を介して空気流通路25に突出して、全部または大部分が空気流通路25に配置されている。PCVユニオン40は、遮蔽部44が空気流通路25に突出する一方で、前記一端部の先端における他縁側の平坦な端面が、接続ポート30の内部に位置するように配置され、遮蔽部44だけが空気流通路25に突出するように設定されている。
【0025】
図3図5に示すように、筒状本体部42の外周面には、鍔状の当接部46が周方向全周に亘って外方へ突出するように形成されている。筒状本体部42の一端部を接続ポート30に差し込んだ際に、接続ポート30における先端側の開口縁に当接部46を当てて、PCVユニオン40を接続ポート30に対して軸方向に位置決め可能になっている。実施例では、当接部46が筒状本体部42の軸方向中央部に設けられ、当接部46と接続ポート30の開口縁との突き当てにより、遮蔽部44が接続ポート30から空気流通路25に突出するように位置決めされる。
【0026】
図2に示すように、遮蔽部44は、前記一端部の先端において空気流通路25の空気流通方向上流側に位置するように配置されている。PCVユニオン40は、一縁側が空気流通路25の空気流通方向上流側で、他縁側が空気流通方向下流側になるように配置され、空気流通路25に開口するガス流通路43の出口(連通口)に対して、遮蔽部44が空気流通方向上流側に張り出している。遮蔽部44は、空気流通路25に臨む外周面が、空気流通路25の空気流通方向上流側から下流側に向かって傾くように形成されている。前述したように、遮蔽部44は、全体として筒状本体部42から延出するにつれて一縁側から他縁側へ向けて傾いているので、ガス流通路43に面する内周面も空気流通路25の空気流通方向上流側から下流側に向かって傾いている。
【0027】
図2図5に示すように、筒状本体部42の外周面には、位置決め凸部(ユニオン位置決め部)48が設けられている。PCVユニオン40は、接続ポート30における先端側の開口縁に形成された位置決め凹部(ポート位置決め部)32と位置決め凸部48との嵌め合わせにより、PCVユニオン40の先端において遮蔽部44を空気流通路25の空気流通方向上流側に配置するように位置決め可能になっている。位置決め凸部48は、当接部46から一端部側へ向けて延在する角柱状の突起であり、前記他縁側に対応する筒状本体部42の外周面に配置されている。位置決め凸部48は、当接部46を接続ポート30の開口縁に突き当てた状態において、接続ポート30の開口縁に切り欠き形成された位置決め凹部32に嵌まり、位置決め凸部48と位置決め凹部32との嵌合によりPCVユニオン40の周方向の回転を規制する。
【0028】
図3図5に示すように、PCVユニオン40には、筒状本体部42の両端に、係合部50,52がそれぞれ設けられている。係合部50,52は、筒状本体部42の外周面から膨らむように、外周面の全周に亘ってリング状に設けられている。筒状本体部42の一端部側の係合部50は、該一端部を接続ポート30に差し込んだ際に、接続ポート30の内周面と干渉して、PCVユニオン40が接続ポート30から外れないように抜け止めする。筒状本体部42の他端部側の係合部52は、該他端部をPCVホース20に差し込んだ際に、PCVホース20の内周面に干渉して、PCVホース20がPCVユニオン40から外れないように抜け止めする。
【0029】
前記PCVユニオン40は、樹脂材料などの射出成形等により得られる成形品が用いられ、前述した各部が一体的に形成されている。なお、PCVユニオン40は、エアクリーナーホース14よりも硬く設定することが好ましい。
【0030】
前記エアクリーナーホース14は、PCVユニオン40における空気流通路25に連通するブローバイガスの出口に対して遮蔽部44が空気流通路25の空気流通方向上流側に配置されると共に、遮蔽部44が空気流通路25に突出している。これにより、PCVユニオン40から空気流通路25に流入するブローバイガスが、遮蔽部44によって該遮蔽部44が配置された空気流通方向上流側へ流れないように妨げることができる。従って、エアクリーナーホース14において、エアクリーナー12に繋がる空気の入口側にブローバイガスを流入させるように設定しても、遮蔽部44によってブローバイガスがエアクリーナー12に流入することを防止でき、ブローバイガスに含まれる油分等に起因するエアクリーナー12への悪影響を回避できる。また、エアクリーナーホース14において、レゾネーター22等の機器の近傍にブローバイガスを流入させるように設定しても、遮蔽部44によってブローバイガスがレゾネーター22に流入すること等を防止でき、ブローバイガスに含まれる油分等に起因するレゾネーター22等の機器への悪影響を防止できる。このように、前述した遮蔽部44を有するPCVユニオン40によれば、エアクリーナーホース14へブローバイガスを流入させる位置の自由度を高くすることができる。
【0031】
前述したように、PCVユニオン40の遮蔽部44がエアクリーナーホース14の空気流通路25に突出する構成であるが、遮蔽部44の外周面を空気流通路25の空気流通方向に合わせた傾きになるように形成してある。このように、遮蔽部44の外周面を傾斜させることで、空気流通路25に突出する遮蔽部44を、空気流通路25の空気の流れに対して影響を与え難くすることができる。
【0032】
前述したように、PCVユニオン40の位置決め凸部48と接続ポート30の位置決め凹部32との凹凸の嵌め合いによる簡単な構成により、接続ポート30に対するPCVユニオン40の周方向の向きを簡単に位置決め可能である。空気流通路25に突出する遮蔽部44は、接続ポート30で隠されて外部から見えなくなってしまうが、空気流通路25において、空気流通方向上流側等、遮蔽したい適切な位置に配置することができる。
【0033】
前述したように、PCVユニオン40の当接部46と接続ポート30の開口縁との突き当てによる簡単な構成によって、PCVユニオン40をエアクリーナーホース14に対して軸方向に簡単に位置決め可能である。遮蔽部44は、接続ポート30で隠されて外部から見えなくなってしまうが、遮蔽部44を空気流通路25に対して所定長さで突出させるように適切に配置できる。
【0034】
前記エアクリーナーホース14は、空気を吹き込んで膨らませて中子を取り出す都合上、接続ポート30の連通口に成形時に薄膜を形成して連通口を塞ぎ、中子を取り出した後に薄膜を除去している。PCVユニオン40は、遮蔽部44が接続ポート30の連通口を通って空気流通路25に突出する構成であるので、前記薄膜が仮に残っていたら、接続ポート30へのPCVユニオン40の取り付け時に薄膜の除去忘れが判る。従って、遮蔽部44を有するPCVユニオン40によれば、接続ポート30が薄膜で塞がれているような製造不良を回避できる。また、遮蔽部44は、根元から突端に向けて細くなる尖った形状とすることで、PCVユニオン40を接続ポート30に取り付ける際の作業性を向上し得る。
【0035】
(変更例)
前述した構成に限定されず、例えば以下のようにも変更することができる。
(1)遮蔽部の形状は、実施例に限らず、PCVユニオンの先端の一縁側の所要範囲が同じ長さで他縁よりも延出する形状として、該先端の一縁と他縁とを階段状にしたり、PCVユニオンの先端全体が斜めになった形状など、ブローバイガスの所定向きの流れを妨げ得る形状であればよい。
(2)実施例の遮蔽部は、PCVユニオンの先端における一縁と他縁とを結ぶラインを挟んで対称な形状としたが、これに限らず、ブローバイガスの流れを妨げたい向きに応じて、所定範囲に設ければよい。
(3)ユニオン位置決め部とポート位置決め部との凹凸関係は、実施例の逆の関係であってもよい。
(4)図6に示すように、エアクリーナーホース14における接続ポート30を、蛇腹部28の空気流通方向下流側に配置してもよい。このように構成することで、蛇腹部28にブローバイガスに含まれる油分等が留まることを回避できる。なお、図6では、実施例と同様の構成要素について、実施例と同じ符号を用いている。
【符号の説明】
【0036】
18 エンジン,20 PCVホース,24 ホース本体,25 空気流通路,
30 接続ポート,32 位置決め凹部(ポート位置決め部),40 PCVユニオン,
42 筒状本体部,44 遮蔽部,48 位置決め凸部(ユニオン位置決め部),
46 当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6