【課題】制御対象を制御するための制御構成をコンパクトにでき、制御対象の応答時間を短縮させることができるシリンダ制御装置及びピストンアクチュエータ装置を提供すること。
【解決手段】シリンダ制御装置3のCPU51は、操作部32、33、34を介して入力された時間ごとの操作圧力の設定値を受け付けると、それに基づいて動作パターンを生成し、EEPROM54に記憶する。CPU51は、操作部又は上位コントローラ9により、EEPROM54に記憶された複数の動作パターンの中からある動作パターンが指定された場合に、指定された動作パターンをEEPROM54から読み出す。そして、CPU51は、読み出した動作パターンに従って、時間ごとの操作圧力の設定値にシリンダの操作圧力を一致させるように、給排気部8を制御することにより、ピストンアクチュエータ装置の動作をフィードフォワード制御する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係るシリンダ制御装置及びピストンアクチュエータ装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0017】
A.第1実施形態
(ピストンアクチュエータ装置の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るピストンアクチュエータ装置1の正面図である。
図1に示すように、第1実施形態のピストンアクチュエータ装置1(以下「アクチュエータ装置1」と略記する)は、エアオペレイトバルブである。アクチュエータ装置1は、ボディ10にシリンダ17が連結されている。シリンダ17には、シリンダ制御装置3(以下「制御装置3」と略記する)が一体的に取り付けられている。本形態では、電空制御弁を制御装置3に使用している。
【0018】
図2は、
図1のAA断面図である。ボディ10は、流路ブロック11と連結ブロック15をダイアフラム16を介してねじで連結することにより、構成されている。流路ブロック11は、第1入出力ポート12と第2入出力ポート13の間に弁座14が設けられている。ダイアフラム16は、弁座14と対向して配置され、外縁部が流路ブロック11と連結ブロック15との間で挟持されている。連結ブロック15は、筒状に設けられ、シリンダ17に取付ねじにより固定されている。
【0019】
シリンダ17は、シリンダ室18にピストン19が摺動可能に装填されている。シリンダ室18は、ピストン19を介して第1室18aと第2室18bに気密に区画されている。駆動軸20は、ピストン19と一体に設けられている。駆動軸20の下端部は、連結ブロック15内に突出し、連結ブロック15にスライド可能に配置された結合部材21に連結されている。結合部材21には、ダイアフラム16が取り付けられている。よって、ダイアフラム16は、ピストン19がシリンダ17内を移動するのに応じて弁座14に当接又は離間する。
【0020】
圧縮ばね22は、第1室18aに縮設され、ピストン19と駆動軸20と結合部材21を介してダイアフラム16に弁閉止力を付与する。シリンダ17は、第2室18bが操作ポート23(
図4参照)を介して制御装置3に連通し、操作流体を給排気される。よって、アクチュエータ装置1は、圧縮ばね22のばね力と第2室18bの内圧とのバランスに応じて弁開度が調整される。つまり、圧縮ばね22のばね力が第2室18bの内圧より大きい場合には、アクチュエータ装置1は全閉状態になる。一方、第2室18bの内圧が圧縮ばね22のばね力より大きい場合には、その偏差に応じてダイアフラム16が弁座14から離間する。
【0021】
図3は、
図1に示すアクチュエータ装置1の左側面図である。制御装置3は、ハウジング30に表示部31と操作部35が設けられている。本形態の表示部31は、4桁7セグメントLEDにより構成されている。また、本形態の操作部35は、第1キー32と、第2キー33と、第3キー34を備える。第1〜第3キー32〜34は押下式のスイッチにより構成されている。
【0022】
(電空制御弁の構成)
図4は、制御装置3の概略構成図である。制御装置3は、第1ポート36と、第2ポート37と、第3ポート38を備える。第1ポート36は、操作流体供給源60に接続されている。第2ポート37は、シリンダ17に開設された操作ポート23に接続されている。第3ポート38は、大気に開放されている。さらに、制御装置3は、入力端子45を備える。入力端子45は、第1キー32と第2キー33と第3キー34に接続されている。
【0023】
制御装置3は、コントローラ4と、供給用電磁弁5と、排気用電磁弁6と、圧力センサ7が内設されている。
【0024】
供給用電磁弁5は、第1ポート36と第2ポート37を接続する第1流路L1上に配置されている。排気用電磁弁6は、供給用電磁弁5と第2ポート37との間の接続点P1において第1流路L1から分岐して第3ポート38に接続される第2流路L2上に、配置されている。圧力センサ7は、第1流路L1に対して、接続点P1と第2ポート37との間に配置され、第2室18bの内圧を検出する。つまり、圧力センサ7は、制御装置3により制御されるシリンダ17の操作圧力を検出する。
【0025】
コントローラ4は、マイコン制御部41に、通信インターフェース部42と、圧力制御部43と、入出力部44が電気的に接続されている。通信インターフェース部42と入出力部44は、受付部の一例である。
【0026】
通信インターフェース部42は,上位コントローラ9などの外部機器との通信を制御するためのハードウェアである。通信方法は,有線であっても無線であってもよい。
【0027】
入出力部44は、信号の入出力を制御するためのハードウェアである。入出力部44は、入力端子45を介して第1〜第3キー32〜34に接続されている。入出力部44は、第1〜第3キー32〜34の入力操作を電気信号として受信する。また、入出力部44は、表示部31に接続されている。入出力部44は、表示部31の表示内容を制御するための表示信号を表示部31に送信する。
【0028】
マイコン制御部41は、CPU51と、ROM52と、RAM53と、EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)54を備える。CPU51は、制御部の一例である。EEPROM54は、記憶部の一例である。
【0029】
ROM52には、制御装置3を制御するための各種制御プログラムや各種設定、初期値等が記憶されている。RAM53およびEEPROM54は、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、あるいは、データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0030】
CPU51は,ROM52から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM53またはEEPROM54に記憶させながら,制御装置3の各構成要素を制御する。
【0031】
EEPROM54は、1又は2以上の動作パターンを記憶している。ここで、動作パターンとは、例えば
図5〜
図8に示すように、時間ごとの操作圧力の設定値を規定するものをいう。
【0032】
図4に示すEEPROM54は、制御装置3が実行可能な機能を、機能識別番号に関連付けて記憶している。機能には、動作パターンを記憶する第1機能と、動作パターンに従って、制御対象となるアクチュエータ装置1の動作を制御する第2機能が含まれる。
【0033】
圧力制御部43は、供給用電磁弁5と排気用電磁弁6と圧力センサ7に接続されている。圧力制御部43は、マイコン制御部41から時間ごとに操作圧力の設定値を入力し、圧力センサ7が検出する操作圧力を操作圧力の設定値に一致させるように、供給用電磁弁5と排気用電磁弁6の動作を制御する。
【0034】
例えば、圧力制御部43は、マイコン制御部41から受信した操作圧力設定値よりも圧力センサ7から受信した操作圧力検出値の方が小さい場合には、供給用電磁弁5を開き、排気用電磁弁6を閉じることにより、第2ポート37を第1ポート36に連通させ、操作ポート23に操作流体を供給する。これにより、第2室18bの内圧(操作圧力)が上昇し、アクチュエータ装置1の弁開度が大きくなる。
【0035】
また例えば、圧力制御部43は、マイコン制御部41から受信した操作圧力設定値よりも圧力センサ7から受信した操作圧力検出値の方が大きい場合には、排気用電磁弁6を開き、供給用電磁弁5を閉じることにより、第2ポート37を第3ポート38に連通させ、第2室18bの操作流体を排気する。これにより、第2室18bの内圧(操作圧力)が低下し、アクチュエータ装置1の弁開度が小さくなる。尚、圧力制御部43と供給用電磁弁5と排気用電磁弁6と圧力センサ7は、給排気部8を構成する。
【0036】
(ティーチング動作の概要)
続いて、ティーチング動作の概要を説明する。例えば、ユーザは、制御装置3の操作部35を介して、時間ごとの操作圧力の設定値を少なくとも2点入力する。制御装置3は、操作部35に入力された時間ごとの操作圧力の設定値に基づいて動作パターンを作成し、記憶する。ユーザは、時間ごとの操作圧力の設定値を変えることにより、
図5〜
図8に示すような複数の動作パターンを、制御装置3に記憶させることができる。
【0037】
アクチュエータ装置1は、ユーザが操作部35を介して動作パターンを指定すると、制御装置3が、指定された動作パターンを読み出し、読み出した動作パターンに従ってシリンダ17の操作圧力を制御する。アクチュエータ装置1は、シリンダ17に供給される操作圧力に応じて、弁開度を変化させる。
【0038】
また、アクチュエータ装置1は、制御装置3に上位コントローラ9が接続された場合には、上位コントローラ9から動作パターンを指定される。この場合も、アクチュエータ装置1は、上記と同様にして、指定された動作パターンに従って操作圧力を制御され、弁開度を変化させる。
【0039】
このように、アクチュエータ装置1の弁開度は、上位コントローラ9によりフィードバック制御されるのではなく、制御装置3がEEPROM54に予め記憶された動作パターンに従ってシリンダ17の操作圧力を制御することにより、フィードフォワード制御される。よって、本形態のアクチュエータ装置1は、シリンダ17の操作圧力が操作圧力の設定値(目標圧力)に対してオーバーシュートを繰り返すことを回避し、応答時間を短縮できる。また、従来技術のようにアクチュエータ装置1の二次側に二次圧センサを配置する必要がないので、アクチュエータ装置1の弁開度を制御するための制御構成を簡素化してコンパクトにできる。
【0040】
(ティーチング動作の制御手順)
続いて、ティーチング動作の制御手順について、
図9のフローチャートを参照しながら説明する。マイコン制御部41のCPU51は、操作部35が操作されたことを契機に、
図9に示す制御手順を実行する。
【0041】
先ず、動作パターンを記憶する制御手順について、
図9および
図10を参照して説明する。なお、
図10では、説明の便宜上、画面の横に単位を適宜記載している。
【0042】
CPU51は、操作部35の第1〜第3キー32〜34の何れかが押下されると、
図9のフローチャートに示すように、機能一覧画面71(
図10参照)を表示部31に表示させる(ステップ1、以下「S1」とする)。
図10のX1に示すように、機能一覧画面71には、最初、初期値が表示される。ユーザが第3キー34を押下すると、CPU51は、その入力操作を入出力部44を介して受け付け、EEPROM54に記憶されている機能識別番号を1つ読み出す。そして、CPU51は、読み出した機能識別番号を表示することを指示する表示信号を入出力部44を介して表示部31に送信する。これにより、
図10のX2に示すように、機能一覧画面71には、例えば機能識別番号が表示される。機能識別番号は、ユーザが第3キー34を押下するのに応じて変更される。
【0043】
図9に示すように、CPU51は、機能が選択されたか否かを判断する(S2)。CPU51は、第1キー32が押下されない場合には、機能が選択されていないと判断する(S2:NO)。この場合、CPU51は、所定時間が経過したか否かを判断する(S24)。所定時間が経過するまでは(S24:NO)、CPU51は、機能一覧画面71を表示した状態で第1キー32が押下されるのを待つ。一方、第1キー32が押下されることなく、所定時間が経過した場合には(S24:YES)、CPU51は、
図9に示す制御を終了する。これにより、アクチュエータ装置1が機能を選択されない状態で放置されることを回避できる。
【0044】
ユーザが所定時間内に第1キー32を押下すると、CPU51は、機能が選択されたと判断する(S2:YES)。そして、CPU51は、選択された機能が第1機能であるか第2機能であるかを判断する(S3)。第1機能を示す機能識別番号が表示部31に表示されているときに、ユーザが第1キー32を押下した場合には、CPU51は、第1機能が選択されたと判断する(S3:第1機能)。この場合、CPU51は、入出力部44を介して、プリセット番号設定画面73(
図10参照)を表示することを指示する表示信号を表示部31に送信し、プリセット番号設定画面73を表示部31に表示させる(S4)。
図10に示すように、プリセット番号設定画面73には、機能識別番号(図中X3)とプリセット番号(図中X4)が表示される。プリセット番号とは、動作パターンを識別するための識別情報である。CPU51は、ユーザが第3キー34を押下するのに応じてプリセット番号(図中X4)を変更する。
【0045】
図9に示すように、CPU51は、ユーザが第1キー32を押下するまで、プリセット番号を設定しない(S5:NO)。一方、CPU51は、ユーザが第1キー32を押下すると、プリセット番号設定画面73に表示されているプリセット番号をRAM53に記憶することにより、プリセット番号を設定する(S5:YES)。すると、CPU51は、プリセット番号決定画面74の表示を指示する表示信号を表示部31に送信し、プリセット番号決定画面74を表示部31に表示させる(S6)。
図10のX5に示すように、プリセット番号決定画面74は、機能識別番号が表示されず、設定されたプリセット番号だけが表示される。
【0046】
次に、
図9に示すように、CPU51は、初期圧力入力画面75を表示することを指示する表示信号を入出力部44を介して表示部31に送信し、初期圧力入力画面75を表示部31に表示させる(S7)。例えば
図10に示すように、初期圧力入力画面75には、初期圧力Pfを入力することを示す手順番号(図中N1参照)と、初期圧力Pfの入力値(図中M1)が、表示される。ここで、初期圧力Pfとは、動作パターンに従ってバルブ制御(シリンダ17の操作圧力の制御)を開始するときの操作圧力の設定値をいう。CPU51は、第3キー34の入力操作を入出力部44を介して受け付け、その入力操作に応じて初期圧力Pfの入力値(図中M1)を変更する。
図9に示すように、CPU51は、ユーザが第1キー32を押下するまで、初期圧力Pfを設定しない(S8:NO)。
【0047】
一方、ユーザが第1キー32を押下すると、CPU51は、初期圧力Pfを設定する(S8:YES)。すなわち、CPU51は、初期圧力入力画面75に表示されている入力値を初期圧力Pfの設定値としてRAM53に記憶する。
【0048】
次に、CPU51は、目標圧力入力画面76の表示を指示する表示信号を入出力部44を介して表示部31に送信し、目標圧力入力画面76を表示部31に表示させる(S9)。例えば
図10に示すように、目標圧力入力画面76には、目標圧力Peを入力することを示す手順番号(図中N2)と、目標圧力Peの入力値(図中M2)が、表示される。ここで、目標圧力Peとは、シリンダ17の操作圧力をフィードフォワード制御するときの操作圧力の設定値をいう。その後、
図9に示すように、CPU51は、目標圧力Peの入力値を設定したか否かを判断する(S10)。S9,S10の処理は、S7、S8の処理と同様なので、説明を省略する。
【0049】
CPU51は、目標圧力Peの入力値を設定した場合には(S10:YES)、ディレイ時間入力画面77を表示するための表示信号を入出力部44を介して表示部31に送信し、ディレイ時間入力画面77を表示部31に表示させる(S11)。例えば
図10に示すように、ディレイ時間入力画面77には、ディレイ時間Tdを入力することを示す手順番号(図中N3)と、ディレイ時間Tdの入力値(図中M3)が、表示される。ここで、ディレイ時間Tdとは、動作パターンに従ってバルブ制御(シリンダ17の操作圧力の制御)を開始した後、初期圧力Pfを維持する時間をいう。CPU51は、第3キー34の入力操作を入出力部44を介して受け付け、入力操作に応じてディレイ時間Tdの入力値(
図10に示すM3)を変更する。CPU51は、ユーザが第1キー32を押下するまで、ディレイ時間Tdを設定しない(S12:NO)。
【0050】
一方、CPU51は、ユーザが第1キー32を押下すると、ディレイ時間Tdを設定する(S12:YES)。すなわち、CPU51は、ディレイ時間入力画面77に表示されている入力値をディレイ時間Tdの設定値としてRAM53に記憶する。
【0051】
その後、CPU51は、手順番号(
図10のN4)とスウィープ時間Tsの入力値(
図10に示すM4)を表示するスウィープ時間入力画面78(
図10)を表示部31に表示させ(S13)、第1キー32が押下されると、表示されている入力値をスウィープ時間Tsとして設定する(S14:YES)。ここで、スウィープ時間Tsとは、初期圧力Pfを目標圧力Peに到達させるまでの時間をいう。そして、CPU51は、手順番号(
図10のN5)とリピート時間Trの入力値(
図10に示すM5)を表示するリピート時間入力画面79(
図10参照)を表示部31に表示させ(S15)、第1キー32が押下されると、表示されている入力値をリピート時間Trとして設定する(S16:YES)。ここで、リピート時間Trとは、初期圧力Pfと目標圧力Peの変動を繰り返す場合の間隔時間をいう。入力値(
図10に示すM5)が「−」である場合には、初期圧力Pfと目標圧力Peの変動を繰り返さないことを意味する。S13及びS15の処理はS11の処理と同様であり、S14およびS16の処理はS12と同様なので、説明を省略する。
【0052】
尚、ディレイ時間Tdの終点は、初期圧力Pfを目標圧力Peに変化させ始めるときの時間に相当する。そして、スウィープ時間Tsの終点は、目標圧力Peに到達するときの時間に相当する。よって、S7〜S14の処理により、時間ごとの操作圧力の設定値が、2点設定される。
【0053】
次に、
図9に示すように、CPU51は、RAM53に記憶した初期圧力Pf、目標圧力Pe、ディレイ時間Td、スウィープ時間Ts、リピート時間Trに基づいて動作パターンを作成して、EEPROM54に記憶する(S17)。
【0054】
例えば、ユーザが、初期圧力Pfを0kPaより大きい値に設定し、目標圧力Peを初期圧力Pfより大きい値に設定し、ディレイ時間Tdとスウィープ時間Tsに0秒より大きい値を設定し、リピート時間Trに「−」を設定したとする。この場合には、CPU51は、
図11に示すように操作圧力を初期圧力Pfから目標圧力Peに1回だけ変動させる動作パターンを生成する。
【0055】
これに対して、ユーザが、リピート時間Trに数値を設定した場合には、CPU51は、
図12に示すように、S14にて設定されたディレイ時間Tdの間隔で、初期圧力Pfと目標圧力Peの変動を繰り返す動作パターンを生成する。
【0056】
このようにして作成した動作パターンを、CPU51は、RAM53に記憶したプリセット番号(S5にて設定したプリセット番号)に関連付けて、EEPROM54に記憶する。よって、CPU51は、プリセット番号を引数にして動作パターンを読み出すことが可能になる。
【0057】
それから、CPU51は、動作パターン登録完了画面80を表示部31に表示させる(S18)。例えば
図10のX6に示すように、動作パターン登録完了画面80には、S17にてEEPROM54に記憶された動作パターンのプリセット番号、すなわち、S6にて設定されたプリセット番号が表示される。これにより、ユーザは、動作パターンの登録が完了したことを認識できる。その後、CPU51は、
図9に示す制御を終了する。なお、S4〜S17の処理は、動作パターン記憶処理の一例である。また、S7、S9、S11、S13、S15の処理は、表示処理の一例である。
【0058】
図5〜
図8を参照し、動作パターンをEEPROM54に記憶させる手順を具体的に説明する。ここでは、操作圧力が5kPaの場合に、アクチュエータ装置1の弁開度が全開状態になる。
【0059】
例えば、ユーザが、操作部35を介して、初期圧力Pfを「0kPa」に設定し、目標圧力Peを「5kPa」に設定し、ディレイ時間Tdを「0sec」に設定し、スウィープ時間Tsを「5sec」に設定し、リピート時間Trを「−」に設定したとする。この場合、CPU51は、
図5に示すように、動作パターンに従ってバルブ制御(シリンダ17の操作圧力の制御)を開始すると同時に操作圧力を上昇させ、5秒間かけてゆっくり操作圧力を0kPaから5kPaに到達させる第1動作パターンを生成する。そして、CPU51は、この第1動作パターンにプリセット番号「P1」を関連付けてEEPROM54に記憶する。
【0060】
また例えば、ユーザが、操作部35を介して、初期圧力Pfを「0kPa」に設定し、目標圧力Peを「2kPa」に設定し、ディレイ時間Tdを「0sec」に設定し、スウィープ時間Tsを「5sec」に設定し、リピート時間Trを「−」に設定したとする。この場合、CPU51は、
図6に示すように、動作パターンに従ってバルブ制御を開始すると同時に操作圧力を上昇させ、5秒間かけてゆっくり操作圧力を0kPaから2kPaに到達させる第2動作パターンを作成する。そして、CPU51は、この第2動作パターンにプリセット番号「P2」を関連付けてEEPROM54に記憶する。
【0061】
また例えば、ユーザが、操作部35を介して、初期圧力Pfを「2.5kPa」に設定し、目標圧力Peを「2kPa」に設定し、ディレイ時間Tdを「5sec」に設定し、スウィープ時間Tsを「0sec」に設定し、リピート時間Trを「−」に設定したとする。この場合、CPU51は、
図7に示すように、動作パターンに従ってバルブ制御を開始すると同時に操作圧力を2.5kPaに制御し、その状態を5秒間維持した後、直ちに操作圧力を2.5kPaから2kPaに減少させる第3動作パターンを作成する。そして、CPU51は、この第3動作パターンにプリセット番号「P3」を関連付けてEEPROM54に記憶する。
【0062】
また例えば、ユーザが、操作部35を介して、初期圧力Pfを「5kPa」に設定し、目標圧力Peを「7kPa」に設定し、ディレイ時間Tdを「5sec」に設定し、スウィープ時間Tsを「2sec」に設定し、リピート時間Trを「−」に設定したとする。この場合、CPU51は、
図8に示すように、動作パターンに従ってバルブ制御を開始すると同時に、操作圧力を5kPaに制御し、その状態を5秒間維持した後、2秒間かけて操作圧力を5kPaから2kPaに変化させる第4動作パターンを作成する。CPU51は、この第4動作パターンにプリセット番号「P4」を関連付けてEEPROM54に記憶する。
【0063】
よって、ユーザは、表示部31を見ながら、操作部35を介して、初期圧力Pfと、目標圧力Peと、ディレイ時間Tdと、スウィープ時間Tsを設定するだけで、ニーズに応じて異なる動作パターンを簡単にCPU51に作成させ、EEPROM54に識別可能に記憶させることができる。つまり、アクチュエータ装置1は、ユーザが表示部31を見ながら操作部35を操作することにより時間ごとの操作圧力の設定値を設定できるので、動作パターンを自装置のみで記憶することができる。
【0064】
続いて、操作部35を介して動作パターンを選択し、アクチュエータ装置1を動作させる制御手順を
図9を参照しながら説明する。
【0065】
例えば、ユーザは、第3キー34を押下して機能選択画面72に第2機能を示す機能識別番号を表示させ、第1キー32を押下する。すると、CPU51は、選択された機能が第2機能であると判断する(S1,S2:YES,S3:第2機能)。
【0066】
この場合、CPU51は、プリセット番号指定画面を表示するための表示信号を入出力部44を介して表示部31に送信し、プリセット番号指定画面を表示部31に表示させる(S19)。CPU51は、第3キー34の操作に応じて、EEPROM54に記憶されたプリセット番号をプリセット番号指定画面に順次表示させる。CPU51は、第1キー32が押下されない場合には、プリセット番号が指定されていないと判断し、待機する(S20:NO)。一方、CPU51は、第1キー32が押下された場合には、プリセット番号指定画面に表示されたプリセット番号が指定されたと判断する(S20:YES)。
【0067】
CPU51は、指定されたプリセット番号に一致するプリセット番号が、EEPROM54に有るか否かを判断する(S21)。一致するプリセット番号がない場合には(S21:NO)、CPU51は、エラー通知を行い(S25)、
図9に示す制御を終了する。
【0068】
一方、一致するプリセット番号がある場合には(S21:YES)、指定されたプリセット番号に対応する動作パターンをEEPROM54から読み出し、RAM53に記憶する(S22)。
【0069】
それから、CPU51は、RAM53に記憶した動作パターンに従って圧力制御部43にシリンダ17の操作圧力の制御を開始させる(S23)。具体的にCPU51は、RAM53に記憶した動作パターンに基づいて、時間ごとに操作圧力の設定値を指示する制御信号を圧力制御部43に送信する。圧力制御部43は、受信した操作圧力の設定値に圧力センサ7により検出される操作圧力検出値を一致させるように、供給用電磁弁5と排気用電磁弁6を制御する。その後、CPU51は、処理を終了する。なお、S20〜S22の処理は、動作パターン読出処理の一例である。S23の処理は、バルブ制御処理の一例である。
【0070】
図5〜
図8を参照し、操作部35を介して動作パターンを指定し、アクチュエータ装置1の弁開度を制御する手順を具体的に説明する。
【0071】
具体的に例えば、ユーザが、操作部35を介してプリセット番号「P1」を指定すると、CPU51は、プリセット番号「P1」を引数として、EEPROM54から
図5に示す第1動作パターンを読み出す。CPU51は、第1動作パターンに規定される時間ごとに操作圧力を指示する制御信号を圧力制御部43に送信する。圧力制御部43は、制御信号に基づいて、圧力センサ7により検出される操作圧力検出値をCPU51から指示される操作圧力に一致させるように供給用電磁弁5と排気用電磁弁6を制御する。これにより、アクチュエータ装置1は、操作圧力が5秒間かけて0kPaから5kPaまで徐々に上昇した後、5kPaに維持される。よって、アクチュエータ装置1の弁開度は、オーバーシュートすることなく、全閉状態から全開状態に変化する。
【0072】
また例えば、ユーザが、操作部35を介してプリセット番号「P2」を指定すると、CPU51は、プリセット番号「P2」を引数として、EEPROM54から
図6に示す第2動作パターンを読み出す。CPU51は、上記第1動作パターンと同様にして、第2動作パターンに従って制御信号を圧力制御部43に送信し、圧力制御部43に供給用電磁弁5と排気用電磁弁6を制御させる。これにより、アクチュエータ装置1は、操作圧力が0kPaから2kPaまで徐々に上昇した後、2kPaに維持される。そのため、アクチュエータ装置1の弁開度は、オーバーシュートすることなく、全閉状態から微小弁開状態に変化する。
【0073】
また例えば、ユーザが、操作部35を介してプリセット番号「P3」を指定すると、CPU51は、プリセット番号「P3」を引数として、EEPROM54から
図7に示す第3動作パターンを読み出す。CPU51は、上記第1動作パターンと同様にして、第3動作パターンに従って制御信号を圧力制御部43に送信し、圧力制御部43に供給用電磁弁5と排気用電磁弁6を制御させる。これにより、アクチュエータ装置1の操作圧力は、まず2.5kPaに調整されると、その2.5kPaを5秒間維持され、その後、2kPaに減圧されてから、当該2kPaを維持される。そのため、アクチュエータ装置1の弁開度は、オーバーシュートすることなく、中間弁開状態から微小弁開状態に変化する。
【0074】
また例えば、ユーザが、操作部35を介してプリセット番号「P4」を指定すると、CPU51は、プリセット番号「P4」を引数として、EEPROM54から
図8に示す第4動作パターンを読み出す。CPU51は、上記第1動作パターンと同様にして、第4動作パターンに従って制御信号を圧力制御部43に送信し、圧力制御部43に供給用電磁弁5と排気用電磁弁6を制御させる。これにより、アクチュエータ装置1の操作圧力は、まず5kPaに調整されると、その5kPaを5秒間維持され、その後、2秒間かけて5kPaから2kPaに減圧されてから、当該2kPaを維持される。そのため、アクチュエータ装置1の弁開度は、オーバーシュートすることなく、全開状態から微小弁開状態に変化する。
【0075】
尚、動作パターンは、操作部35からだけでなく、上位コントローラ9からも指定することが可能である。この制御手順について、
図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。制御装置3のCPU51は、上位コントローラ9からプリセット番号が入力されたことを契機に、
図13に示す制御を実行する。
【0076】
CPU51は、通信インターフェース部42を介して上位コントローラ9から受信したプリセット番号をRAM53に記憶することにより、プリセット番号を受け付ける(S41)。それから、CPU51は、受信したプリセット番号と一致するプリセット番号がある場合には(S42:YES)、その動作パターンをEEPROM54から読み出し(S43)、シリンダ17の操作圧力の制御を開始する(S44)。一方、一致するプリセット番号がない場合には(S42:NO)、CPU51は、エラー通知を行う。S42〜S45の処理は、
図9のS21〜S23、S25と同様なので、説明を省略する。なお、S41〜S43の処理は、動作パターン読出処理の一例である。S44の処理は、バルブ制御処理の一例である。
【0077】
このように、アクチュエータ装置1は、操作部35または上位コントローラ9を介して動作パターンのプリセット番号を指定されると、制御装置3が、EEPROM54に記憶された複数の動作パターンから指定されたプリセット番号に対応する動作パターンを読み出し、読み出した動作パターンに従ってバルブ制御(シリンダ17の操作圧力の制御)を行う。よって、アクチュエータ装置1は、弁開度がフィードフォワード制御されるので、弁開度制御時にオーバーシュートが発生せず、応答時間を短縮できる。また、アクチュエータ装置1の弁開度を制御するためにアクチュエータ装置1の2次圧力を検出する圧力センサが不要になるので、アクチュエータ装置1の弁開度を制御するための制御構成が簡素化され、コンパクトになる。
【0078】
ところで、アクチュエータ装置1は、弁開動作時と弁閉動作時との間でヒステリシスが発生し、弁開度を大きくする場合と、弁開度を小さくする場合とで、操作圧力に対する弁開度が異なる。そこで、制御装置3のCPU51は、弁開度を調整する場合に、ピストン19の移動方向を一定にしている。すなわち、制御装置3のCPU51は、例えば
図7に示す第3動作パターンに従って弁開度を中間弁開状態から微小弁開状態に変化させる場合、シリンダ17の操作圧力を目標圧力Pe(2kPa)より小さくしてから、目標圧力Pe(2kPa)まで上昇させる制御信号を、圧力制御部43に送信する。これにより、アクチュエータ装置1は、常に、ダイアフラム16を弁座14から離間させる弁開方向にピストン19を加圧することにより、シリンダ17の操作圧力を目標圧力Peに一致させるようになる。そのため、アクチュエータ装置1は、ヒステリシスにより同じ操作圧力でも弁開度が違うという事態を回避でき、精度が良い。
【0079】
(使用例)
続いて、アクチュエータ装置1の使用例を説明する。
図14は、医療品製造ラインの一例を示す図である。供給ライン62は、タンク61の上面に接続され、第1アクチュエータ装置1Aが配置されている。排出ライン63は、タンク61の下面に接続されている。排出ライン63は、タンク61側から順に、第2アクチュエータ装置1Bと、フィルタ64と、第3アクチュエータ装置1Cが配設されている。ガス抜きライン65は、フィルタ64の上部に接続され、第4アクチュエータ装置1Dが配設されている。
【0080】
第1〜第4アクチュエータ装置1A〜1Dは、上述したアクチュエータ装置1と同一の構成である。第1〜第4アクチュエータ装置1A〜1Dには、使用目的に応じて、動作パターンが記憶されている。
【0081】
例えば、第1アクチュエータ装置1Aには、
図5に示す第1動作パターンが記憶される。第2アクチュエータ装置1Bには、
図5に示す第1動作パターンが記憶される。第3アクチュエータ装置1Cには、
図7に示す第3動作パターンが記憶される。更に、第4アクチュエータ装置1Dには、
図6に示す第2動作パターンと
図8に示す第4動作パターンが記憶される。ここでは、第1〜第4動作パターンのプリセット番号を共通とするが、バルブ毎に異なっても良い。
【0082】
上位コントローラ9は、衛生確保のために、高温の湯をラインに5秒間供給することによりタンク61にCIP(定置洗浄:Cleaning In Place)を施した後、高温の蒸気をラインに供給してタンク61にSIP(定置滅菌:Sterilizing In Place)を施す。
【0083】
この場合、上位コントローラ9は、第1アクチュエータ装置1A及び第2アクチュエータ装置1Bにプリセット番号「P1」を、第3アクチュエータ装置1Cにプリセット番号「P3」を、第4アクチュエータ装置1Dにプリセット番号「P4」を、それぞれ送信する。
【0084】
これにより、高温の湯が供給ライン62からタンク61、排出ライン63へと流れる間、第3アクチュエータ装置1Cの弁開度が中間弁開状態に制御されると共に、第4アクチュエータ装置1Dの弁開度が全開状態に制御される。そのため、第4アクチュエータ装置1Dを介してエアが排出され、湯がライン内を高速で流れて洗浄効果を高めることができる。
【0085】
タンク61は、湯を5秒間供給された後、蒸気を供給される。蒸気が供給ライン62からタンク61、排出ライン63へと流れる間、第3アクチュエータ装置1C及びおよび第4アクチュエータ装置1Dの弁開度が微小弁開状態に小さくされる。これにより、蒸気の排出を極力抑えつつ、蒸気の流れを確保し、滅菌効率を高めることができる。このとき、第4アクチュエータ装置1Dは、ゆっくり弁開度を小さくするので、フィルタ64の内圧が急増することを抑制できる。
【0086】
尚、上位コントローラ9は、フィルタ64を交換してからCIPおよびSIPを行う場合、第4アクチュエータ装置1Dに対して、プリセット番号「P4」でなく、プリセット番号「P2」を供給する。これにより、第4アクチュエータ装置1Dは、全閉状態から微小弁開状態にゆっくり変化し、フィルタ内のエアをゆっくり抜く。そのため、フィルタは、湯を注入されたときの圧力で破損することが回避される。
【0087】
B.第2実施形態
続いて、本発明の第2実施形態のピストンアクチュエータ装置について説明する。
図15は、本発明の第2実施形態に係るピストンアクチュエータ装置100(以下「アクチュエータ装置100」と略記する)を示す断面図である。
図15では、制御装置3の記載を省略している。
【0088】
アクチュエータ装置100は、シリンダ101にピストン103が摺動可能に装填され、シリンダ室102が第1室102aと第2室102bに区画されている。出力ロッド104は、ピストン103に連結されている。圧縮ばね105は、第1室102aに縮設され、ピストン103を介して出力ロッド104に対し、シリンダ101から突出する方向の力を常時付与している。第2室102bは、連通路106を介して操作ポート23に連通している。操作ポート23には、シリンダ制御装置3(図示せず)が接続される。
【0089】
かかるアクチュエータ装置100は、第1実施形態と同様、図示しない制御装置3が第2室102bに操作流体を給排気し、シリンダ101の操作圧力を制御する。アクチュエータ装置100は、圧縮ばね105のばね力と第2室102bの圧力とのバランスに応じて出力ロッド104を進退させる。よって、アクチュエータ装置100は、第1実施形態と同様、アクチュエータ装置100の出力を制御するための制御構成がコンパクトになり、応答時間が短縮される。
【0090】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
【0091】
(1)例えば、上記実施形態では、操作部35を介して入力された初期圧力Pf、目標圧力Pe、ディレイ時間Td、スウィープ時間Ts、リピート時間Trに基づいて動作パターンを作成したが、上位コントローラ9が作成した動作パターンをマイコン制御部41が通信インターフェース部42を介して受け付け、EEPROM54に記憶させるようにしても良い。
【0092】
(2)制御装置3は、コントローラ4内の通信インターフェース部42を省略し、コストダウンしてもよい。この場合、上位コントローラ9を制御装置3に接続できないが、操作部35を介して動作パターンの記憶やバルブ制御を行うことができる。
【0093】
(3)表示部31は、例えば左側から1桁目を赤色で表示し、左側から2桁目から4桁目まで緑色で表示するなど、表示色を変えて見やすくしてもよい。もちろん、表示部31の表示が単色でもよい。
【0094】
(4)例えば、表示部31を液晶ディスプレイで構成しても良い。また例えば、タッチ式パネルにより、表示部31と操作部35を一体に設けてもよい。
【0095】
(5)例えば、上記実施形態では、表示部31の桁数は上記実施形態に限定されず、任意に変更可能である。また、第1〜第3キー32〜34の数は上記実施形態に限定されない。
【0096】
(6)例えば、アクチュエータ装置1は単動弁であるが、複動弁であってもよい。