特開2019-24596(P2019-24596A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイコク電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2019024596-スロットマシン 図000003
  • 特開2019024596-スロットマシン 図000004
  • 特開2019024596-スロットマシン 図000005
  • 特開2019024596-スロットマシン 図000006
  • 特開2019024596-スロットマシン 図000007
  • 特開2019024596-スロットマシン 図000008
  • 特開2019024596-スロットマシン 図000009
  • 特開2019024596-スロットマシン 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-24596(P2019-24596A)
(43)【公開日】2019年2月21日
(54)【発明の名称】スロットマシン
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20190125BHJP
【FI】
   A63F5/04 516F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-144238(P2017-144238)
(22)【出願日】2017年7月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】片瀬 宏之
【テーマコード(参考)】
2C082
【Fターム(参考)】
2C082AB03
2C082AB12
2C082AB16
2C082AC14
2C082AC34
2C082AC52
2C082AC77
2C082AC82
2C082BA14
2C082BB16
(57)【要約】
【課題】通常区間における遊技意欲の低下を抑制可能なスロットマシンを提供すること。
【解決手段】スロットマシンは、通常状態と有利状態との間で遊技状態を移行可能であり、通常状態にて所定のゲーム数を実行しても有利状態へは移行させず、所定の移行抽選に当選することを条件として有利状態に移行させる状態移行手段と、通常状態ではATを発生させず、有利状態であること、或いは有利状態へ移行することを条件としてATを発生させる特別状態発生手段と、を備え、有利状態は、第1有利状態と、第1有利状態よりもATの発生条件が遊技者にとって有利な第2有利状態と、に区分され、第2有利状態は、通常状態にて移行抽選の当選に伴い所定の第1移行条件が成立した場合に移行可能である一方、第1有利状態からは移行不能である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技価値を消費することでゲームを実行可能とするゲーム手段と、
ゲームの実行により入賞した場合に前記遊技価値を付与する遊技価値付与手段と、
第1遊技状態と第2遊技状態との間で遊技状態を移行可能であり、第1遊技状態にて所定のゲーム数を実行しても第2遊技状態へは移行させず、所定の移行抽選に当選することを条件として第2遊技状態に移行させる状態移行手段と、
前記遊技価値の付与率が向上する特別状態を前記第1遊技状態では発生させず、前記第2遊技状態であること、或いは前記第2遊技状態へ移行することを条件として前記特別状態を発生させる特別状態発生手段と、を備え、
前記第2遊技状態は、第1モードと、該第1モードより前記特別状態の発生条件が遊技者にとって有利な第2モードとに区分され、
該第2モードは、前記第1遊技状態にて前記移行抽選の当選に伴い所定の第1移行条件が成立した場合に移行可能である一方、前記第1モードからは移行不能である、或いは前記第1遊技状態にて前記第1移行条件が成立するのと比較して成立し難い第2移行条件が前記第1モードにて成立した場合に移行可能であるスロットマシン。
【請求項2】
前記第1モードにて発生する特別状態と比較して、前記第2モードにて発生する特別状態の方が、継続期間、遊技価値の付与率、及び発生頻度の内、少なくとも1つが遊技者にとって有利であることで、前記特別状態の発生条件が前記第1モードよりも前記第2モードの方が有利である請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記状態移行手段は、前記第2遊技状態中に成立し得る終了条件が成立した場合に該第2遊技状態から前記第1遊技状態へ移行させ、
前記第2遊技状態となった場合における平均的な継続期間が前記第1モードより前記第2モードの方が長い請求項1又は2に記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記第1モードは、前記特別状態と、該特別状態を発生していない第1モード待機状態と、に区分され、
該第1モード待機状態では前記第2モードへの移行機会がある旨を報知しない一方、前記第1遊技状態であることを条件として、前記第2モードへの移行機会がある旨を報知する報知手段を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記特別状態は、遊技者に対して入賞に関する報知を行う特別状態であって、
該特別状態の発生条件は、前記第1遊技状態から前記第2遊技状態に移行した際に少なくとも成立する請求項1〜4のいずれか1項に記載のスロットマシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常状態からAT等の特別状態へ移行可能なスロットマシンにおいて、チャンス状態を介して特別状態へ移行するスロットマシンが例えば下記の特許文献1にて例示されている。この特許文献1では、特定当選役に当選した場合に通常状態であれば別途抽選を行って特典を与えるが、特別状態であれば抽選によらず特典を与えることで、特別状態における遊技意欲の低下を抑制することが提案されている。
【0003】
さて、最近の遊技機メーカの内規等の改正により、通常区間と有利区間とを設け、特別状態とするためには有利区間とする必要があり、更に、通常区間から有利区間への移行は抽選に当選すれば許容されるが、所謂天井のように抽選に当選せずに移行することは許容されないような仕様とする必要性が生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−70642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のスロットマシンの仕様を採用する場合、有利区間においてチャンス状態を設け、そのチャンス状態から特別状態へ移行する仕様が想定されるが、通常区間では所謂天井により特別状態に移行することが許容されない等、遊技意欲の低下が助長され、興趣を保つことが難しくなる虞がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、通常区間における遊技意欲の低下を抑制可能なスロットマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスロットマシンでは、第1遊技状態と第2遊技状態との間で遊技状態を移行可能である。そして、遊技価値の付与率が向上する特別状態が第1遊技状態では発生せず、第2遊技状態であること或いは第2遊技状態へ移行することを条件として特別状態が発生する。つまり、本発明のスロットマシンにおける第2遊技状態は、特別状態を発生可能な有利区間に対応している。さらに、この第2遊技状態は、第1モードと、第1モードより特別状態の発生条件が遊技者にとって有利な第2モードとに区分されている。
【0008】
本発明のスロットマシンにおける第1遊技状態は、特別状態が発生せず、更に所謂天井の様に所定のゲーム数を実行しても第2遊技状態に移行できない。したがって、このスロットマシンにおける第1遊技状態は、遊技意欲が低下する虞のある通常区間に対応する遊技状態となっている。
【0009】
本発明のスロットマシンにおける第1遊技状態では、特別状態の発生条件が遊技者にとって有利な第2モード(第2遊技状態)への移行が可能である。一方、第2遊技状態のうち、特別状態の発生条件が第2モードよりも不利な第1モードでは、遊技者にとって有利な第2モードへの移行が不能、或いは第1遊技状態よりも第2モードへの移行が難しくなっている。
【0010】
そのため、本発明のスロットマシンの遊技者は、第1遊技状態を第2モードへのチャンス状態と捉えることができる。したがって、このスロットマシンによれば、第1遊技状態の発生中における遊技者の遊技意欲の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】スロットマシンの外観を示す正面図。
図2】入賞ラインを説明する説明図。
図3】リールの外周に配列された図柄の展開図。
図4】スロットマシンの役、入賞図柄、利益を示す説明図。
図5】スロットマシンの電気的な構成を示すブロック図。
図6】内部当選役抽選テーブルに規定された当選乱数の個数を示す説明図。
図7】1枚役Aの内部当選によって有利状態抽選に当選した場合の遊技状態の遷移を示す説明図。
図8】ボーナス役と2枚役の同時当選によって有利状態抽選に当選した場合の遊技状態の遷移を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例)
本例は、ボーナス状態以外の遊技状態が、AT(特別状態の一例)を発生可能な有利状態と、ATを発生不能な通常状態と、に大きく区分されるスロットマシン1に関する。この内容について、図1図8を用いて説明する。
【0013】
まず、本例のスロットマシン1の外観的な構成について、図1を参照して説明する。スロットマシン1の前面部分は、略矩形状の図柄表示窓11が略中央に配置された前面枠体10によって形成されている。前面枠体10は、図柄表示窓11の上側に、液晶表示部53、左右一対のスピーカ520及び装飾ランプ部56を配置してなる。図柄表示窓11の下側には、スロットマシン1の基部をなすベース部100が形成されている。図柄表示窓11の右側には、遊技価値の一例をなすメダルの払出数を表示する払出数表示部551、及びクレジット数を表示するクレジット数表示部552が配置されている。
【0014】
ベース部100は、遊技者から奥まって位置する図柄表示窓11に対して相対的に張り出すように形成されている。ベース部100は、図柄表示窓11に隣り合う上端部に棚面状の操作面14を有し、下端にメダル受け皿15を有し、操作面14の下側に隣接して操作パネル13を有している。
【0015】
操作面14には、クレジット機能によりクレジット(貯留)されたメダルを投入するためのMAXBETボタン64と、クレジットされたメダルを払い出させるためのクレジット精算ボタン65と、メダルを直接投入するためのメダル投入口630と、が配置されている。操作パネル13には、リール21の図柄変動を開始させるためのスタートレバー62、図柄変動を停止させるためのストップボタン61等が配置されている。
【0016】
図柄表示窓11は、図柄表示領域110L、C、Rを含む表示窓である。各図柄表示領域110L、C、Rは、いずれも3図柄分の図柄表示領域である。図柄表示窓11全体では、3行3列よりなる2次元マトリクス状に配置された9図柄分の図柄表示領域が形成されている。図柄表示窓11は、遊技者側から図柄20が見えるように、窓全体が透明な樹脂プレートにより形成されている。2次元マトリクス状に9個の図柄20が配置される図柄表示領域においては、入賞の対象となる入賞図柄の並び方向である入賞ライン211〜215が設定されている。本例の入賞ラインは、図2に示すごとく、上中下段、3本の水平方向の入賞ライン211〜213、及び対角方向の入賞ライン214、215よりなる5ラインにより構成されている。
【0017】
各図柄表示領域110L、C、Rの裏側には、図柄変動表示部2を構成するリール21L、C、Rがそれぞれ配置されている。リール21L、C、Rは、円柱形状の外周面に略一定の間隔を空けて21個の図柄20が配置された回転式のリールである(図3参照。)。なお、リール21としては、本例の回転式のリールに代えて、液晶ディスプレイに図柄を変動表示する画像式のリールであっても良い。
【0018】
MAXBETボタン64は、図1のごとく、クレジットされたメダルの中から規定数をゲームに賭ける操作ボタンである。規定数3枚の3枚賭けゲームが行われる非ボーナス状態では、MAXBETボタン64の操作に応じて3枚のメダルが賭けられる。規定数2枚の2枚賭けゲームが行われるボーナス状態では、MAXBETボタン64の操作に応じて2枚のメダルが賭けられる。ただし、残りのクレジットが規定数に満たない場合には、残りのクレジットの全部が賭けられる。
【0019】
スタートレバー62は、遊技者がゲームを開始させるために操作する操作レバーである。規定数のメダルが賭けられた状態でスタートレバー62の操作が検知されたとき、ゲームが開始され、各リール21の回転が一斉に開始される。
ストップボタン61は、リール21の回転を停止させるための操作ボタンである。本例のストップボタン61は、左リール21Lに対応する左ストップボタン61L、中リール21Cに対応する中ストップボタン61C、及び右リール21Rに対応する右ストップボタン61Rを組み合わせてなる。
【0020】
スピーカ520及び装飾ランプ部56は、音あるいは光により遊技を演出するための演出手段である。
液晶ディスプレイを備える液晶表示部53は、遊技を演出するための各種の演出画面や、遊技データを表示する表示画面などを表示可能である。特に、本例の液晶表示部53は、遊技者に対して入賞に関する報知を行う特別状態であるAT中のナビ報知(AT報知)や、遊技者の期待感を煽る演出報知等、各種の報知を実行する機能を実現する。特に、本例のスロットマシン1の液晶表示部53は、有利な状態へ移行可能なチャンスゾーンである旨の報知を行う報知手段としての機能を備えている。
【0021】
次に、本例のスロットマシン1の役について説明する。
スロットマシン1では、図4に示すごとく、ボーナス役(BB役、RB役)、15枚役などの複数種類の小役のほか、リプレイ役が設定されている。図4では、左列に各役の名称を、中列に各役に対応する図柄20の組合せである入賞図柄を、右列に入賞に応じて遊技者に付与される払出などの利益を示してある。
【0022】
小役には、15枚役、2枚役、1枚役A、1枚役Bの4種類がある。このうち、1枚役A及び2枚役は、通常状態から有利状態へ移行するための有利状態抽選に関わる小役となっている。1枚役Aについては、通常状態下の単独の内部当選が有利状態抽選の当選に相当している。2枚役については、ボーナス役(BB役またはRB役)との同時当選が有利状態抽選の当選に相当している。
【0023】
次に、本例のスロットマシン1の電気的な構成について、図5を参照して説明する。スロットマシン1の全体動作を統括する制御部3に対しては、既出の構成のほか、メダル投入口630(図1)を介して直接投入されたメダルを検知する投入メダル検知部63、リール21と共に図柄変動表示手段を構成するリール駆動部22、リール21の回転位置を検知する基準位置検知部66、メダルを払い出すメダル払出部54、払出数表示部551(図1参照。)やクレジット数表示部552を含む各種表示部55、遊技者の有利度合いを表す設定値を設定するための設定値操作部68、及びスピーカ520を制御する音声出力部52等が電気的に接続されている。
【0024】
投入メダル検知部63は、メダル投入口630から投入されたメダルを検知する毎にインサート信号を出力する。なお、スロットマシン1では、メダルの直接投入、あるいはMAXBETボタン64の操作等により規定数のメダルが投入された際、スタートレバー62が有効な状態に設定され、新たなゲームを開始可能な状態となる。
【0025】
リール駆動部22は、ステップ単位で制御可能なステッピングモータ(図示略)を含み、このステッピングモータの回転駆動力によりリール21を回転駆動する。
基準位置検知部66は、各リール21L、C、Rについて基準位置片の通過を検知し、検知信号を出力する検知部である。
設定値操作部68は、設定キー680を利用して、ボーナス役及び小役の内部当選確率が異なる6段階の設定値を変更するための操作部である。
【0026】
制御部3は、図5に示すごとく、CPU31と、メモリ手段であるROM33・RAM34と、入出力インターフェースとしてのI/O部32と、内部当選役抽選用の乱数を抽出する乱数抽出部35と、乱数を発生する乱数発生部350と、を含んで構成されている。乱数抽出部35は、乱数発生部350が発生する乱数(0〜65535)の中から内部当選役抽選用の乱数を抽出する。
【0027】
ROM33は、図示は省略するが、内部当選役抽選テーブル、リール制御テーブル、AT抽選テーブル、第1振分抽選テーブル、第2振分抽選テーブル、上乗せ抽選テーブル等を記憶している。これらの各抽選テーブルでは、内部当選役抽選用の乱数を照合するための当選乱数が規定されている。したがって、内部当選役抽選用の乱数を各抽選テーブルと照合することで抽選を実行可能である。
【0028】
リール制御テーブルは、リール21の停止制御に利用される制御テーブルである。このリール制御テーブルでは、入賞ライン上に停止可能な位置が規定されている。
内部当選役抽選テーブルは、内部当選役の抽選に利用される抽選テーブルである。内部当選役抽選テーブルでは、0〜65535の内部当選役抽選用の乱数のうち、各役の当選乱数が規定されている。内部当選役抽選テーブルとしては、ボーナス状態向けのテーブルと、非ボーナス状態向けのテーブルと、がある。各役あるいは役の組み合わせが当選するための当選乱数の個数は、1〜6の6段階の設定値毎に異なっている。例えば遊技者側に不利な設定値1の場合、各役あるいは役の組み合わせ等に対応する当選乱数の個数が図6のように設定されている。
【0029】
AT抽選テーブルは、有利状態(第1有利状態)下でATを発生させるか否かを決定するためのAT抽選用の抽選テーブルである。
第1振分抽選テーブルは、通常状態から有利状態へ移行する際に継続ゲーム数及び移行する有利状態の種類(第1有利状態、第2有利状態)を決定するための第1振分抽選用の抽選テーブルである。
第2振分抽選テーブルは、ATの開始時にATの継続ゲーム数を決定するための抽選テーブルである。
上乗せ抽選テーブルは、ATの継続ゲーム数に上乗せする上乗せゲーム数を決定するための上乗せ抽選用の抽選テーブルである。
【0030】
制御部3は、図5に示すごとく、ROM33から読み込みしたソフトウェアプログラムをCPU31で実行することで、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)ゲーム手段:遊技価値であるメダルを消費することでゲームを実行可能とする手段。ボーナス状態では、ゲームを実行するために消費される遊技価値としてメダル2枚が設定され、非ボーナス状態では、同遊技価値としてメダル3枚が設定されている。
【0031】
(2)内部当選役抽選手段:内部抽選により内部当選役を決定する手段。内部当選役抽選手段は、内部当選役抽選テーブルに規定された各役の当選乱数に対して内部当選役抽選用の乱数を照合して内部当選役を決定し、その内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる。
(3)フラグ制御手段:内部当選役抽選手段が決定した内部当選役に対応する内部当選フラグを制御する手段である。フラグ制御手段は、ボーナス役以外の各役の内部当選フラグについては、この内部当選フラグが初めて成立したゲームで入賞したか否かに関わらず次のゲームを開始するまでにオフ状態(ゼロ)にリセットする。したがって、ボーナス役以外の各役が内部当選したゲームで入賞しなかった場合、全て取りこぼしとなる。一方、ボーナス役の内部当選フラグであるボーナス役フラグについては、入賞するまで内部当選フラグの成立状態が次回のゲームに順次、持ち越され、入賞に応じてオフ状態にリセットされる。
【0032】
(4)表示制御手段:スタートレバー62の操作に応じてリール21の図柄変動を開始すると共に、ストップボタン62の操作に応じてリール21の図柄変動を停止させる手段。表示制御手段は、リール駆動部22を構成するステッピングモータ(図示略)に制御パルスを入力し、1パルス毎に1ステップずつステッピングモータを回転させることでリール21が表示する図柄を変動させる。
(5)入賞判定手段:停止した図柄20の組合せに応じて入賞役の有無及び種類を判定する手段。入賞判定手段は、3基のリール21L、C、Rを横断するように設定された入賞ライン211〜215上に停止した図柄20の組合せに応じて入賞役を判定する。入賞判定手段は、各リール21L、C、Rが停止した後、対応する各ステッピングモータ(リール駆動部22)のステップ数を取り込むことで入賞ライン211〜215上に停止した図柄20の種類を求め、その図柄20の組合せについて入賞役が成立するか否かを判定する。
【0033】
(6)遊技価値付与手段:ゲームの実行により入賞した場合にメダル(遊技価値)を付与する手段。遊技価値付与手段は、入賞判定手段により判定された入賞役に対応する枚数のメダルを付与する(図4参照。)。例えば15枚役が入賞した場合には、15枚のメダルの払出という利益を付与する。
【0034】
(7)状態移行手段:通常状態(第1遊技状態)と有利状態(第2遊技状態)との間で遊技状態を移行可能であり、通常状態にて所定のゲーム数を実行しても有利状態へは移行させず、有利状態抽選(所定の移行抽選)に当選することを条件として有利状態に移行させる手段。本例のスロットマシン1では、内部当選役を決定するための内部抽選が有利状態抽選を兼ねている。1枚役Aの内部当選、及びボーナス役と2枚役との同時当選が、有利状態抽選の当選に該当している。
(8)第1振分抽選手段:通常状態下の1枚役Aの内部当選(有利状態抽選の当選)に応じて有利状態へ移行する際、有利状態の継続ゲーム数(状態継続ゲーム数という。)及び有利状態の種類を第1振分抽選により決定する手段。
(9)AT抽選手段:有利状態(本例では第1有利状態のみ)下でATを発生させるか否かのAT抽選を実行する手段。
【0035】
(10)特別状態発生手段:メダル(遊技価値)の付与率が向上するAT(特別状態)を通常状態(第1遊技状態)では発生させず、有利状態(第2遊技状態)であること、或いは有利状態へ移行することを条件として発生させる手段。
【0036】
(11)第2振分抽選手段:ATの開始時にATの継続ゲーム数(AT継続ゲーム数という。)を第2振分抽選により決定する手段。なお、第1有利状態下のAT(第1AT)向けの第2振分抽選と、第2有利状態下のAT(第2AT)向けの第2振分抽選と、では、AT継続ゲーム数の設定及び振分率が異なっている(後述する)。
(12)上乗せ抽選手段:AT継続ゲーム数に追加する上乗せゲーム数を決定するための上乗せ抽選を実行する手段。
【0037】
(13)ボーナス状態発生手段:ボーナス役(BB役、RB役)の入賞に応じてボーナス状態を発生させる手段。ボーナス状態としては、契機役がBB役であり315枚を超える払出に応じて終了するBB状態と、契機役がRB役であり105枚を超える払出に応じて終了するRB状態と、がある。
【0038】
次に、以上のように構成されたスロットマシン1の(A)基本的な動作処理、及び(B)遊技状態の遷移、について説明する。
(A)基本的な動作処理
スロットマシン1のゲームは、規定数のメダルを投入して賭けた状態(ベットした状態)でスタートレバー62が操作されることで実行される。ゲームの実行に応じて内部当選役抽選用の乱数が抽出され、遊技状態に対応する内部当選テーブルと照合されて内部抽選が実行される。この内部抽選と共に全てのリール21が回転を開始し、これにより図柄変動が開始される。
【0039】
各リール21での図柄変動中では、リール駆動部22に入力された制御パルス数、すなわちステッピングモータが回転したステップ数がカウントされる。このステップ数は、各リール21に取り付けられた上記の基準位置片が検知される毎にゼロリセットされる。制御部3は、このステップ数を利用し、規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)等が定める所定の引込範囲(本例では4図柄分の範囲)内の図柄20を入賞ライン上に停止させる、いわゆる引込制御を実行する。制御部3は、入賞ライン上に停止可能な位置が規定されたリール制御テーブルに対してストップボタン61操作時のステップ数を照合し、成立中の内部当選フラグの有無やフラグの種類に応じて停止位置を決定して図柄変動を停止させる。
【0040】
スロットマシン1は、内部当選役を入賞させるためのナビ報知が行われるAT(特別状態であるAT状態)を発生可能である。本例のスロットマシン1によるATでは、AT役である15枚役が1枚役Bと同時当選したとき、ストップボタン61L、C、Rの押順がナビ報知される。ナビ報知の通りストップボタン61L、C、Rを操作すれば15枚役を入賞できる一方、ナビ報知の通り操作しないと1枚役Bの図柄が上記の引込制御の制御対象となる。1枚役Bが引込範囲内に含まれていれば1枚役が引き込まれて停止し、15枚役を入賞できなくなる。
【0041】
スロットマシン1は、特別状態であるAT以外にもボーナス状態を発生可能である。スロットマシン1では、ボーナス状態の発生確率や小役の内部当選確率を6段階の設定値(遊技機設定値、モード)により異ならせることで出率等が調整されている。スロットマシン1では、有利状態に関係しないBB役等の単独の内部当選確率に差を設けることで、設定値毎の出率を調整している。これに代えて、あるいは加えて、ATの発生条件等が設定値に応じて異なっていても良い。
【0042】
なお、スロットマシン1は、所謂AT機の一般的なスロットマシンの例示であり、どのようなスペックの遊技機であっても良い。スロットマシン1は、遊技に応じて消費した遊技価値の大きさを示す遊技情報であるアウト、遊技に応じて遊技者に付与された遊技価値の大きさを示す遊技情報であるセーフを特定可能な遊技信号や、ボーナスやATであることを特定可能な遊技信号等を出力可能なように構成されている。
【0043】
(B)遊技状態の遷移
スロットマシン1における遊技状態は、ATを発生可能な有利状態と発生不能な通常状態とに大きく区分されている。さらに、有利状態は、大きく分けて、第1有利状態(第1モード)と第2有利状態(第2モード)との2つに区分され、第1有利状態よりも第2有利状態の方がAT(特別状態)の発生条件が遊技者にとって有利になっている。なお、第1有利状態及び第2有利状態へは通常状態からのみ移行可能であり、第1有利状態と第2有利状態と間での状態移行は発生しない。
【0044】
有利状態(第2遊技状態)中に成立し得る終了条件(後述する)が成立した場合に有利状態から通常状態(第1遊技状態)への移行が発生する。有利状態となった場合における平均的な継続ゲーム数(継続期間)は、第1有利状態と比べて第2有利状態の方が長くなっている。
【0045】
ボーナス役と2枚役との同時当選あるいは1枚役Aの内部当選、すなわち有利状態抽選の当選が通常状態下のゲームで発生すると、ATが発生不能な通常状態からATが発生可能な有利状態へ遊技状態が遷移する。なお、本例のスロットマシン1の遊技では、所謂天井のゲーム数が設定されていないため、通常状態下のゲーム数消化だけで有利状態に移行することがない。一方、有利状態については、上限ゲーム数が設定されている。有利状態の消化ゲーム数が上限ゲーム数である1500Gに到達すると、ATが継続しているか否かに関わらず直ちに有利状態が終了して通常状態へ移行する。つまり、スロットマシン1の遊技では、上限ゲーム数を超えて有利状態が継続することがない。
【0046】
1枚役Aの内部当選による有利状態抽選の当選時には、上記の第1振分抽選の抽選結果に応じて第1有利状態に移行する場合と、第2有利状態に移行する場合と、が生じる。一方、ボーナス役と2枚役との同時当選による有利状態抽選の当選時には、上記の第1振分抽選が実行されず、必ず、第2有利状態への移行が発生する。
【0047】
スロットマシン1では、第2有利状態(第2モード)は、通常状態(第1遊技状態)にて有利状態抽選(移行抽選)の当選に伴い所定の第1移行条件が成立した場合に移行可能である一方、第1有利状態(第1モード)からは移行不能となっている。本例では、1枚役Aの内部当選に加えて第1振分抽選により第2有利状態が振分けられたこと、及びボーナス役と2枚役との同時当選が、第2有利状態への移行のための上記の第1移行条件に設定されている。
【0048】
以下、(B−1)1枚役Aの内部当選による有利状態抽選の当選の場合と、(B−2)ボーナス役と2枚役の同時当選による有利状態抽選の当選の場合と、に場合分けして通常状態から有利状態への移行を含む遊技状態の遷移について説明する。
【0049】
(B−1)1枚役Aの内部当選による有利状態抽選の当選の場合
図7のごとく、通常状態下で1枚役Aの内部当選(当選確率1/50)によって有利状態抽選に当選した場合、有利状態の継続ゲーム数である状態継続ゲーム数や有利状態の種類を決定するための上記の第1振分抽選が実行される。
【0050】
この第1振分抽選では、98.4%の確率で第1有利状態に振り分けられ、1.6%の確率で第2有利状態に振り分けられる。さらに、第1有利状態に振り分けられた場合の状態継続ゲーム数の振分け内訳は、ゼロG(ゲーム)が69.5%、100Gが19.7%、200Gが6.9%、300Gが2.3%となっている。
【0051】
なお、第2有利状態への振分の場合は、上記の第1振分抽選によって状態継続ゲーム数が決定されず未設定となる。第2有利状態への振分の場合の遊技状態の遷移については、ボーナス役と2枚役との同時当選によって第2遊技状態に移行する場合と同様である。第2有利状態への振分の場合については、次節(B−2)で詳しく説明する。
【0052】
第1振分抽選により第1有利状態が決定された場合(状態継続ゲーム数がゼロG、100G、200G、300Gのいずれか)、第1有利状態が開始される。第1有利状態が開始された場合には、1回分のナビ報知が実行されるまでAT(開始AT)となる。ATによるナビ報知を実行するとき、状態継続ゲーム数が消化済であれば上記の終了条件が成立し、AT終了後に通常状態に戻る。
【0053】
したがって、第1振分抽選により状態継続ゲーム数ゼロGの第1有利状態に振分された場合には、開始ATによるナビ報知の時点で状態継続ゲーム数が消化済みとなり、ナビ報知により15枚役を1回入賞できるだけで第1有利状態が終了する。一方、第1振分抽選による状態継続ゲーム数が100G、200G、300Gのいずれかの場合、開始ATによるナビ報知を実行するとき、状態継続ゲーム数が未消化であるので、開始ATの終了後に第1有利状態が終了することなくATが解除される。AT解除後の第1有利状態は、通常状態と同様の入賞率である一方、当選確率約40%のAT抽選が10G消化する毎に実行される待機有利状態(第1モード待機状態)となる。
【0054】
このAT抽選に当選すると第1ATが開始される。この第1ATの開始時には、上記の第2振分抽選が実行され、10G〜50GのAT継続ゲーム数が決定される。なお、第1ATの継続中では、上乗せゲーム数を決定する上乗せ抽選が実行される場合がある。上乗せ抽選に当選すると、第1ATの継続ゲーム数であるAT継続ゲーム数に上乗せゲーム数が追加され、第1AT下の継続ゲーム数が多くなる。
【0055】
なお、本例のスロットマシン1の場合、第2振分抽選によるAT継続ゲーム数の振分率、上乗せ抽選の実行頻度、及び上乗せ抽選による上乗せゲーム数の振分率等の組合せにより、第1有利状態下の第1ATが発生してから終了するまでに消化できるゲーム数が約20Gとなっている。
【0056】
第2振分抽選や上乗せ抽選によって設定されたゲーム数を消化して第1ATが終了すると、上記の第1振分抽選で決定された状態継続ゲーム数が消化済みであるか否かが判断される。状態継続ゲーム数が消化済みであれば終了条件が成立し、AT終了に応じて通常状態に戻る。一方、第1ATが終了した時点で状態継続ゲーム数が未消化であれば、第1有利状態を維持したまま、上記の待機有利状態に再度移行する。この待機有利状態では、上記の通り10G消化する毎にAT抽選が実行され、当選すれば再度、第1ATが上記と同様に開始される。
【0057】
本例のスロットマシン1における第1有利状態(第1モード)は、第1AT(特別状態)と、第1ATを発生していない待機有利状態(第1モード待機状態)と、に区分されている。この第1有利状態では、待機有利状態下のAT抽選での当選に応じて第1ATが開始され、このATが終了した時点で状態継続ゲーム数が未消化なら待機有利状態に戻るという状態移行が繰り返し実行される。そして、このような状態移行の繰り返しの後、ATが終了した時点で状態継続ゲーム数が消化済みであれば、終了条件の成立により第1有利状態が終了して通常状態に戻る。
【0058】
なお、第1有利状態の平均ゲーム数は49Gであり、消化メダル数(アウト)に対する獲得メダル数(セーフ)の割合である出率の期待値が105%となっている。第1振分抽選による振分ゲーム数(状態継続ゲーム数)毎の出玉期待値は、0Gでマイナス1枚、100Gで15枚、200Gで29枚、300Gで44枚となっている。
【0059】
(B−2)ボーナス役と2枚役の同時当選による有利状態抽選の当選の場合
ボーナス役と2枚役との同時当選による有利状態抽選の当選の場合、図8のごとく、通常状態から第2有利状態への移行が発生する。なお、上記の通り1枚役Aの内部当選による有利状態抽選の当選に応じた上記の第1振分抽選によって第2有利状態に振分けられた場合(振分率1.6%)についても、同様に通常状態から第2有利状態への移行が発生する。
【0060】
第2有利状態に移行すると、直ちに第2ATが開始される。第2ATの開始時には、上記の第2振分抽選が実行されてAT継続ゲーム数(500G〜1000G)が抽選により決定される。さらに、第2ATの継続中では、上記の上乗せ抽選が実行されて上乗せゲーム数が決定され、第2ATの継続ゲーム数であるAT継続ゲーム数に追加される。その後、第2ATでAT継続ゲーム数が消化されてゼロに達すると終了条件が成立して第2有利状態が終了し、通常状態に戻る。
【0061】
第2有利状態下の第2ATの平均ゲーム数は上乗せを含めて1000G程度となっている。また、第2有利状態下では必ず第2ATが発生しているため、第2有利状態の出率の期待値は167%と高くなる。これにより、第2有利状態の出玉期待値が2000枚程度となる。このようにスロットマシン1では、第1有利状態(第1モード)にて発生するAT(特別状態)と比較して、第2有利状態(第2モード)にて発生するATの方が、継続期間である平均ゲーム数が遊技者にとって有利になっており、これにより、ATの発生条件が第1有利状態よりも第2有利状態のほうが有利になっている。
【0062】
以上のように構成されたスロットマシン1の遊技では、通常状態ではATが発生不能であるため出率の期待値が約64%に抑えられ100%を上回ることがない。この通常状態では、遊技者は有利状態への移行を期待しながら遊技する。遊技者の多くは、最も出玉期待値の高い第2有利状態に移行することを期待しながら遊技する。なお、通常状態の上記の64%の出率を含めて例示する出率の数値は、ボーナス分を除く出率となっている。
【0063】
有利状態抽選に当選して第1有利状態に移行した場合、第2有利状態に比べて大きく出玉を得られないものの通常状態よりも出率が高いため(約105%)、そのまま遊技を継続すれば出玉を少しずつ増加できる。一方、第2有利状態に移行できた場合には、第1有利状態よりも出率が高いため(約167%)、大きく出玉を増やすことができる。
【0064】
つまり、スロットマシン1の遊技者は第2有利状態への移行を目的として遊技するが、第2有利状態へは第1有利状態からは移行せず、通常状態からしか移行できない。よってスロットマシン1の遊技者は、通常状態を第2有利状態へ移行するチャンスゾーン(チャンス状態)と捉えて遊技できる。そのため、スロットマシン1によれば、出率が第1有利状態よりも低いものの通常状態であっても遊技意欲の低下を抑制できる。
【0065】
通常状態がチャンスゾーンである旨を遊技者に強く印象付けできるよう、通常状態であることを条件として、第2有利状態へ移行できるチャンスゾーンである旨を表すメッセージを液晶表示部53に表示させると良い。この場合、第1ATの発生期待度が高い第1有利状態下の待機有利状態の発生中では、敢えて同様のメッセージを表示しないように構成すると良い。このような表示設定によれば、通常状態がチャンスゾーンである旨を一層強く遊技者に印象付けできる。このように報知手段としての液晶表示部53は、待機有利状態(第1モード待機状態)では第2有利状態(第2モード)への移行機会がある旨を報知しない一方、通常状態(第1遊技状態)であることを条件として、第2有利状態への移行機会があるチャンスゾーンである旨を報知する。
【0066】
なお、スロットマシン1が発生する第1有利状態については、第2有利状態に移行できないものの、出率が通常状態よりも高いことから遊技意欲を保つことが可能である。第1有利状態の出率については、通常状態よりも出率が高いことが望ましく、出玉が減らない100%以上の出率設定が望ましい。
【0067】
このように、スロットマシン1の遊技では、ATを発生可能な有利区間に対応する有利状態と、ATが発生しない通常区間に対応する通常状態と、の間で遊技状態を移行可能である。この通常状態は、所謂天井の様に所定のゲーム数を実行しても有利状態に移行しないため、遊技者の遊技意欲が低下する虞がある遊技状態となっている。さらに、このスロットマシン1では、ATの発生条件について遊技者側の有利度合いに差を設けた第1有利状態及び第2有利状態の2種類の有利状態が設定されている。
【0068】
スロットマシン1では、通常状態であればATの発生条件が有利な第2有利状態への移行が可能である一方、ATの発生条件が有利ではない第1有利状態からは第2有利状態への移行が不可能となっている。このような遊技状態の遷移下では、通常状態を第2有利状態へのチャンスゾーンと遊技者が捉えるようになるため、通常状態における遊技意欲の低下を抑制できる。第2有利状態に移行できない第1有利状態が発生した場合についても、第1有利状態であればATが発生可能な分、通常状態よりも遊技者にとって有利になるため、遊技意欲が大きく低下するおそれがない。
【0069】
以上のように本例のスロットマシン1は、通常状態下で遊技者に起こり得る遊技意欲の低下を抑制でき、発生中の遊技状態の種類に依らず遊技者の遊技意欲を高く維持できるという優れた遊技性を備えている。
【0070】
スロットマシン1の遊技では、第2有利状態で発生可能な第2ATの方が、第1有利状態で発生可能な第1ATより継続期間が遊技者にとって有利である。このため、本例のスロットマシン1の遊技者にとって、第2有利状態がより価値ある遊技状態となっている。
【0071】
このスロットマシン1では、有利状態中に所定の終了条件が成立した場合に通常状態に移行するようになっている。第1有利状態と第2有利状態との比較では、第1有利状態の平均的な継続期間より第2有利状態の平均的な継続期間の方が長くなっている。そのため、スロットマシン1の遊技では、第2有利状態をより価値がある遊技状態にできると共に、チャンスゾーンとは捉えられない第1有利状態に移行しても、その継続期間が比較的短いことからチャンスゾーンと捉えられる通常状態への移行を比較的早期に見込むことができる。
【0072】
スロットマシン1で発生する第1有利状態は、特別状態であるATと、ATを発生していない待機有利状態(第1モード待機状態)と、に区分される。スロットマシン1は、この待機有利状態では第2有利状態への移行機会があるチャンスゾーンである旨を報知しない一方、通常状態であることを条件として第2有利状態へ移行できるチャンスゾーンである旨を報知する。このようなチャンスゾーンの報知を実行すれば、チャンスゾーンと捉えられるべき通常状態をチャンスゾーンであると遊技者に認識させることが可能となる。
【0073】
スロットマシン1では、通常状態(第1遊技状態)から有利状態(第2遊技状態)に移行した際に少なくともいずれかのATの発生条件が成立し、これにより有利状態の開始に応じて必ずAT(開始ATなど)が発生する。このような構成を採用していれば、例えば有利状態への移行時に入賞に関する指示(押順のナビ報知等)を少なくとも1回行うというような内規が設けられた場合であっても、違和感なく入賞に関する指示を行うことが可能である。
【0074】
また、有利状態の開始に応じて開始AT等が発生する構成であれば、第1有利状態の開始時に振分けられたゲーム数(状態継続ゲーム数)が多いか少ないかに関わらず、開始AT等にて有利状態を同じ態様で開始できる。そのため、第1有利状態のゲーム数が多くなるほどより多くの出玉の獲得を期待できるスロットマシン1の遊技において、実際に振分けられたゲーム数が少なくても、開始AT等が終わるまでは、大きな状態継続ゲーム数が振り分けられたのではないかという遊技者の期待感を持続させることが可能になる。一方、チャンスゾーンである通常状態に早く戻りたいと考える遊技者については、上記とは逆に、実際に振分けられた状態継続ゲーム数が多くても、開始ATが終わるまでは、少ない状態継続ゲーム数に対する遊技者の期待感を持たせることが可能になる。
【0075】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
ATとして、継続ゲーム数が異なるだけで出率等に違いがない開始AT、第1AT及び第2ATを例示している。各ATに異なる出率を設定しても良く、この場合、第2ATの出率を遊技者に有利としても良い。即ち、第1ATよりも第2ATを遊技者にとって有利にすべく、平均ゲーム数ではなく出率を有利としても良く、平均ゲーム数との内、少なくとも一方を有利とすれば双方有利としても良い。また、本例では、開始ATと第1ATとを区分したが、第1有利状態開始時に第1ATを発生させても良い。
【0076】
第1有利状態の開始時に第1振分抽選を実行し、第1有利状態の継続ゲーム数(状態継続ゲーム数)を決定する構成を例示している。この構成に代えて、例えば1枚役Aを複数種類に区分し、内部当選した1枚役Aの種類に応じて第1有利状態の継続ゲーム数を振分けても良い。また、本例では、内部当選した役の種類によって有利状態を振分けることを例示したが、有利状態抽選とは別に振分抽選を行って有利状態を振分ける等、抽選方法としてはどのような抽選方法を採用しても良い。さらに例えば通常状態の継続ゲーム数が100G以上であれば有利状態抽選への当選に応じて第2有利状態に移行する様に構成することも良く、このような構成を採用すれば通常状態における遊技意欲が一層向上する。
【0077】
第2有利状態中は必ず第2ATを発生する構成を例示したが、第1有利状態と同様、第2有利状態中に待機有利状態が発生するように構成しても良く、この場合、その発生頻度を第1有利状態よりも有利(例えば、第1有利状態では10G消化する毎にAT抽選を行うのに対して5G消化毎に行ったり、ATの当選確率を第1ATよりも第2ATを有利にしたりする等)にしても良い。また、第1有利状態にて待機有利状態に移行する本例の構成に代えて、第2有利状態と同様、例えば開始ATにてゲーム数を振分ける様にしてATを継続する様にし、そのATが終了した場合に第1有利状態を終了しても良い。第1有利状態よりも第2有利状態の方が遊技者にとって多くの出玉期待値を期待できる等、継続期間、出率、及び発生頻度の内、少なくとも1つのATの発生条件が有利であれば良く、どのように有利状態を構成しても良い。
【0078】
第1有利状態と第2有利状態との間で状態移行しない構成を例示したが、第1有利状態から第2有利状態へ移行可能としても良い。この場合、通常状態(第1遊技状態)にて上記の第1移行条件が成立するのと比較して成立し難い第2移行条件が第1有利状態(第1モード)にて成立した場合に第2有利状態に移行可能とすると良い。このように第2移行条件を設定することで、通常状態から第2有利状態へ移行する場合よりも、第1有利状態から第2有利状態へ移行する場合の方が移行確率が低くなる等、移行し難いように構成すると良い。なお、第2移行条件としては、例えば第1有利状態下で特定の役が内部当選したことや、所定の移行抽選に当選したこと等を設定できる。通常状態において第1移行条件が成立する確率よりも、第1有利状態下で特定の役が内部当選する確率や移行抽選で当選する確率などの方が低ければ良い。
【0079】
本例では、特別状態として押順をナビ報知するATを例示したが、例えば入賞図柄をナビ報知する等、どのようなATを対象としても良い。例えばARTやRT等の特別状態を対象としても良い。
有利状態の開始時に開始ATを発生させる等、必ずATになることを例示したが、有利状態の開始時に待機有利状態に移行する等、必ずしも開始時にATを発生させなくとも良い。
【0080】
待機有利状態のAT抽選として10G単位の所謂周期抽選を例示したが、ゲーム毎にAT抽選する構成であっても良い。例えば天井ゲーム数を設定してその天井ゲーム数分のゲームを行った場合にATに移行する等、ATへの移行契機は適宜変更可能である。
対象となる遊技機としては、遊技媒体を用いず点数による遊技を可能とする所謂封入式やクレジット式の遊技機であっても良い。これらを考慮し、実施例中の説明では、遊技媒体と点数とを包含する遊技価値と表現している。
遊技機のスペックや設定値等、例示した全ての数値、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。また、例示した構成はどのように組み合わせても、適宜一部を採用しない構成としても良い。
【0081】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0082】
1 スロットマシン
11 図柄表示窓
110 図柄表示領域
20 図柄
21 リール
22 リール駆動部
3 制御部(ゲーム手段、内部当選役抽選手段、フラグ制御手段、表示制御手段、入賞判定手段、遊技価値付与手段、状態移行手段、第1振分抽選手段、AT抽選手段、特別状態発生手段、第2振分抽選手段、上乗せ抽選手段、ボーナス状態発生手段)
35 乱数抽出部
53 液晶表示部(報知手段)
61 ストップボタン
62 スタートレバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8