特開2019-26764(P2019-26764A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2019-26764燃費向上方法、自動車用燃料の製造方法、自動車用燃料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-26764(P2019-26764A)
(43)【公開日】2019年2月21日
(54)【発明の名称】燃費向上方法、自動車用燃料の製造方法、自動車用燃料
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/222 20060101AFI20190125BHJP
【FI】
   C10L1/222
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-148730(P2017-148730)
(22)【出願日】2017年7月31日
(71)【出願人】
【識別番号】594208411
【氏名又は名称】牧田 英明
(71)【出願人】
【識別番号】595144662
【氏名又は名称】牧田 浩幸
(71)【出願人】
【識別番号】595144673
【氏名又は名称】牧田 富美子
(71)【出願人】
【識別番号】501272579
【氏名又は名称】牧田 裕子
(71)【出願人】
【識別番号】509319708
【氏名又は名称】千種 かほる
(74)【代理人】
【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実
(74)【代理人】
【識別番号】100117798
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100166899
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 慶太
(72)【発明者】
【氏名】牧田 英明
(57)【要約】
【課題】燃費向上と二酸化炭素の低減を図る自動車用燃料の製造方法を提供する。
【解決手段】自動車用の石油燃料を貯蔵するための貯蔵タンクに、所定量の石油燃料を入れるに先立って、該所定量の石油燃料に対して、アミンからなる注入剤を該貯蔵タンクの上方より0.25容量%以上0.5容量%未満流し入れる工程と、前記貯蔵タンクの上方から、所定量の石油燃料を流し入れる工程と、前記貯蔵タンク内の燃料を所定時間静置する工程と、を備え、前記貯蔵タンクにおいて、前記石油燃料が上方から落下することにより、下方に存在する前記注入剤と該石油燃料とが衝突して混合され、所定時間静値することにより、これらが均一に混ざり合うことを特徴とする、自動車用燃料の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の石油燃料を貯蔵するための貯蔵タンクに、所定量の石油燃料を入れるに先立って、該所定量の石油燃料に対して、アミンからなる注入剤を該貯蔵タンクの上方より0.25容量%以上0.5容量%未満流し入れる工程と、
前記貯蔵タンクの上方から、所定量の石油燃料を流し入れる工程と、
前記貯蔵タンク内の燃料を所定時間静置する工程と、を備え、
前記貯蔵タンクにおいて、前記石油燃料が上方から落下することにより、下方に存在する前記注入剤と該石油燃料とが衝突して混合され、所定時間静値することにより、これらが均一に混ざり合うことを特徴とする、自動車用燃料の製造方法。
【請求項2】
前記アミンは、
3級アミンの含有量が98%以上であり、
2級アミンの含有量が1%以下であり、
1級アミンの含有量が1%以下である、
請求項1に記載の自動車用燃料の製造方法。
【請求項3】
前記3級アミンが、ジメチルアルキルアミンである、
請求項2に記載の自動車用燃料の製造方法。
【請求項4】
前記石油燃料を流し入れる工程は、
石油燃料を噴射して流し入れる工程である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車用燃料の製造方法。
【請求項5】
前記石油燃料を流し入れる工程の後、
前記貯蔵タンク内の燃料を攪拌する工程をさらに備える、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動車用燃料の製造方法。
【請求項6】
前記石油燃料は軽油である、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車用燃料。
【請求項7】
請求項6に記載の自動車用燃料の製造方法によって製造された自動車用燃料を、自動車の燃料タンクに給油する工程を備えることを特徴とする、
自動車の燃費向上方法。
【請求項8】
自動車用の石油燃料に対して、アミンからなる注入剤が0.25容量%以上0.5容量%未満含まれていて、
前記石油燃料と前記注入剤とが均一に混合されている、自動車用燃料。
【請求項9】
前記アミンは、3級アミンの含有量が98%以上であり、2級アミンの含有量が1%以下であり、1級アミンの含有量が1%以下である、
請求項8に記載の自動車用燃料。
【請求項10】
前記石油燃料は軽油である、
請求項8又は9に記載の自動車用燃料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃費向上方法、自動車用燃料の製造方法、自動車用燃料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各社が競って自動車の燃費向上について研究している。また、燃費向上については、内燃機関やその他部品、車体重量、タイヤ、燃料など、様々なアプローチがなされている。
【0003】
一方、燃費向上とともに、環境に鑑み内燃機関の運転で生じる二酸化炭素やその他排ガス成分の排出量を減少することも各社で研究されている。なお、二酸化炭素などの排ガス成分の排出量を減少することと、燃費向上は一義的にイコールではない。
【0004】
このような燃費向上を図ったものとして、例えば特許文献1がある。特許文献1の先行技術は、ディーゼルエンジンにおいて、燃料添加物を石油燃料に添加することで、燃焼効率を良好にして燃費を向上させようとするものである。
【0005】
また、排ガス成分の排出量の低減を図ったものとして、例えば非特許文献1がある。非特許文献1は、Petterエンジンという古い産業用エンジンに、N.N−ジメチルドデシルアミンからなるディーゼル燃料向上剤1.27〜6.35容量%(=1.0〜5.0w/v%)を注入したディーゼル燃料を入れて、産業用エンジンを単体で運転して排ガス成分の排出量を測定したものである。ただ、試験結果は、有利な効果は見られず、HC及びCO、CO2、NOx排出について変化はなかったが、負の効果をもたらすものではないと結論付けられているに過ぎないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−290254号公報
【特許文献2】特開2011−105872号公報
【非特許文献】
【0007】
【特許文献1】Journal of Energy Resources Technology 1999年 Vol.121、pp.225-230
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1のような先行技術は、石油燃料に添加物を入れても、また燃料低減装置を取り付けても、排気ガス低減装置を取り付けても、二酸化炭素を低減することはできない。完全燃焼すれば二酸化炭素は増えるし、エンジンの調子がよくなれば二酸化炭素は増える。
【0009】
また、非特許文献1のような先行技術は、排ガス成分は減少せず、燃費向上の効果もないと言えるが、仮に排ガス成分が減少したとしても、そのことと燃費向上とは一義的にイコールではなく、この方法により燃費が向上するとは言えない。
【0010】
さらに、従来の排ガスについての試験結果は、企業の自己申告によって行われるなど、新聞各誌が報じているように不正なども行われていた。例えば、ある企業が公表している排ガス成分の量と、実際の排ガス成分の量とでは10倍以上の隔たりがあるケースもあったほどである。したがって、従来の方法で二酸化炭素などの排ガス成分を低減する効果については疑義があると言わざるを得ない。
【0011】
さらに言えば、従来の燃費測定方法は、10・15モード走行やJC08モード走行が一般的である。これらは、実際の公道は走らず、試験場の測定器のローラーにテスト車両を載せ、その場でタイヤを回転させて燃費を測定する。しかし、これらの燃費測定方法は、新聞各誌が報じているように、実際に公道を走行した燃費とは大きな隔たりがあることは周知の事実である。
【0012】
まして、非特許文献1のように内燃機関のみを動作させて排出ガスを測定しただけでは燃費が向上しているか否かを判定できるはずもない。本来、燃費が向上するか否かを判定するためには、実際の公道を車両が走行する路上試験が不可欠である。
【0013】
そのため、本願の発明者は、多数の車両と膨大な時間を使って実証試験を行うことで、燃費の向上について鋭意研究を続けている。それと同時に、二酸化炭素などの排ガス成分の低減についての研究も続けている。
【0014】
一方、過去に発明者は、燃費の節約のためドライバーに対してエコドライブ教育を約20年前より実施しているが、燃費はせいぜい1%〜2%程度しか低減することができなかった。また、デジタルタコグラフを取り付けて管理しても、エコドライブするベテラン運転手との燃費の差はほとんどない。
【0015】
そこで、本願の発明者は、二酸化炭素の発生を少なくし、かつ、燃費を向上する方法につき鋭意研究を行った結果、石油燃料にジメチルアルキル3級アミンからなる燃料油注入剤を0.5〜1容量%注入した内燃機関用燃料を発明した(特許文献2参照)。
【0016】
また、発明者はこの特許出願後も研究を続け、先の発明よりも燃費向上効果を高めることに成功し、本願発明に至ったものである。本発明は、自動車の走行において、従来よりも燃料消費量を削減し、かつ、二酸化炭素の低減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る一の態様の自動車用燃料の製造方法は、自動車用の石油燃料を貯蔵するための貯蔵タンクに、所定量の石油燃料を入れるに先立って、該所定量の石油燃料に対して、アミンからなる注入剤を該貯蔵タンクの上方より0.25容量%以上0.5容量%未満流し入れる工程と、前記貯蔵タンクの上方から、所定量の石油燃料を流し入れる工程と、前記貯蔵タンク内の燃料を所定時間静置する工程と、を備え、前記貯蔵タンクにおいて、前記石油燃料が上方から落下することにより、下方に存在する前記注入剤と該石油燃料とが衝突して混合され、所定時間静値することにより、これらが均一に混ざり合うことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、石油燃料と注入剤とを均一に混ざり合わせることが可能となり、自動車に供給する自動車用燃料の品質のバラつきを抑制することができる。そして、この方法により製造された自動車用燃料を自動車に用いることで、燃料消費量が低減され、発生する二酸化炭素も低減され、長期にわたって安定性がある。
【0019】
また、注入剤及び石油燃料を貯蔵タンクに流し入れた後に所定時間静値することで、石油燃料の噴出による流れや、密度の不均衡による対流などによって、注入剤と石油燃料が均一に混合される。また、貯蔵タンク内の水面も安定する。
【0020】
また、石油燃料に混合する注入剤を0.25容量%以上0.5容量%未満とすることで、従来よりも燃費が向上し、発生する二酸化炭素が低減される。
【0021】
加えて、アミンからなる注入剤は、金属表面に吸着して摩擦低減する能力と防錆能力を備えているので、定性的に潤滑性能が向上し、エンジンの回転をスムーズにするとともに、防錆酸中和能力を有する。よってエンジンオイルの酸化劣化を防ぐ。エンジンオイルが酸化劣化している場合は、この効果はより大きくなる。
【0022】
また、注入剤は洗浄効果を備えているので、エンジン内の錆等の汚れを除去する効果があるため、この注入剤が混合された自動車用燃料がエンジン内の汚れを除去してエンジンの動きをスムーズにして燃費向上や二酸化炭素の低減に大きく寄与する。そのため、この自動車用燃料は、特に使用済みの自動車において大きな効果を発揮する。
【0023】
また、この自動車用燃料の製造方法は、前記アミンにおいて、3級アミンの含有量が98%以上であり、2級アミンの含有量が1%以下であり、1級アミンの含有量が1%以下である。ここで、このアミンを構成する成分は、一例として、3級アミンの含有量が98%以上99.8%以下であり、2級アミンの含有量が0.1%以上1%以下であり、1級アミンの含有量が0.1%以上1%以下である。
【0024】
また、この自動車用燃料の製造方法は、前記3級アミンが、ジメチルアルキルアミンである。
【0025】
また、この自動車用燃料の製造方法は、前記石油燃料を流し入れる工程が、石油燃料を噴射して流し入れる工程である。この構成によれば、石油燃料と注入剤との混合が促進される。
【0026】
また、この自動車用燃料の製造方法は、前記石油燃料を流し入れる工程の後、前記貯蔵タンク内の燃料を攪拌する工程をさらに備えてもよい。
【0027】
また、この自動車用燃料の製造方法は、前記石油燃料が軽油である。
【0028】
本発明に係る一の態様の自動車の燃費向上方法は、上記の自動車用燃料の製造方法によって製造された自動車用燃料を、自動車の燃料タンクに給油する工程を備えることを特徴とする。この構成によれば、燃費が向上する。
【0029】
本発明に係る一の態様の自動車用燃料は、自動車用の石油燃料に対して、アミンからなる注入剤が0.25容量%以上0.5容量%未満含まれていて、前記石油燃料と前記注入剤とが均一に混合されていることを特徴とする。
【0030】
また、この自動車用燃料は、前記アミンが、3級アミンの含有量が98%以上であり、2級アミンの含有量が1%以下であり、1級アミンの含有量が1%以下である。ここで、このアミンを構成する成分は、一例として、3級アミンの含有量が98%以上99.8%以下であり、2級アミンの含有量が0.1%以上1%以下であり、1級アミンの含有量が0.1%以上1%以下である。
【0031】
また、この自動車用燃料は、前記石油燃料が軽油である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、上記した自動車用燃料を用いることで、自動車の燃費が向上し、かつ、二酸化炭素を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る自動車用燃料の製造方法を示す説明図である。
図2】潤滑性試験の結果を示す図である。
図3】過酸化物価試験の結果を示す図である。
図4】セーボルト色試験の結果を示す図である。
図5】洗浄試験の結果を示す図である。
図6】二酸化炭素の排出量測定の試験装置の概略構成を示す図である。
図7】二酸化炭素の排出量測定試験の結果を示す図である。
図8】二酸化炭素の排出量測定試験の結果を示す図である。
図9】二酸化炭素の排出量測定試験の結果を示す図である。
図10】路上走行試験の結果を示す図である。
図11】路上走行試験の結果を示す図である。
図12】路上走行試験の結果を示す図である。
図13】路上走行試験の結果を示す図である。
図14】路上走行試験の結果を示す図である。
図15】路上走行試験の結果を示す図である。
図16】EQAカーボンマネージメントシステムの認証書の写しである。
図17】EQAカーボンマネージメントシステムの認証書の写しである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明に係る一実施形態を説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。特に、本実施形態は、自動車用燃料として軽油を用いた場合についての実施形態であるが、ガソリンやA重油、灯油に適用してもよい。
【0035】
(自動車用燃料の製造工程)
本実施形態に係る自動車用燃料は、次の工程により製造される。図1は、本実施形態に係る自動車用燃料の製造方法を示す説明図である。
【0036】
図1に示すように、まず軽油を貯蔵するための2000L用の貯蔵タンク11に、缶12に入った5Lのアミン水溶液からなる注入剤を、貯蔵タンク11の上方の蓋を開けて流し入れると、貯蔵タンク11の下方に落ちる。なお、本実施形態に用いるアミン水溶液は、一例として、1級アミン及び2級アミンが約1%、3級アミンが約98%からなる水溶液であり、C10アルキル基約1%、C12アルキル基約98%、C14アルキル基約1%のアミン水溶液である。
【0037】
次いで、2000Lの軽油を貯蔵タンク11の上方より、タンクローリ13からポンプを用いて噴射しながら流し入れる。そうすると、軽油はポンプの噴射と相俟って上方から落下することで、貯蔵タンク11の下部に存在する注入剤と混合されていく。
【0038】
ただし、貯蔵タンク11が軽油で満たされるにつれて水面が上昇していき、貯蔵タンク11の上方の流入口と水面が近づくため、軽油と注入剤との混合がしづらくなる。
【0039】
そのため、2000Lの軽油を貯蔵タンク11に全て流し入れた後、貯蔵タンク11の上方の蓋を閉めて24時間静置する。この状態においては、軽油の噴出による流れや、密度の不均衡等による対流などが生じているため、24時間静置することにより軽油と注入剤とが貯蔵タンク11内で均一に混合される。また、超像タンク11内の水面も安定するため、給油する際などの取り回しがしやすい。
【0040】
なお、24時間の静置に先立って、又は、軽油を流入しながら、貯蔵タンク11内を図示しないポンプ等を用いて攪拌混合してもよく、このようにすれば軽油と注入剤との混合がより促進される。
【0041】
(自動車用燃料の試験)
続いて、注入剤を添加した軽油について各試験を行った。第1の試験は、軽油に注入剤を所定量添加した時の潤滑性試験であり、注入剤の添加量を0%、0.25%、0.5%、1%、5%、10%、20%として測定した。図2は、各添加量における潤滑性を示したグラフである。この結果から、軽油に注入剤を5%超など入れると逆効果であることがわかり、1%以下で潤滑性が良好となり、特に0.25%―0.5%添加した時に潤滑性が良好となることがわかった。
【0042】
第2の試験は、注入剤を1%添加した軽油と、無添加の軽油とについての過酸化物価を測定した試験である。また、この試験は加速度試験により行い、これらの軽油について78週間行った。なお、78週間は常温換算で6年間に相当する。
【0043】
図3は、過酸化物価を示すグラフである。この結果から、無添加の軽油が、13週(1年相当)から徐々に過酸化物価が高くなり、約40週から過酸化物価が非常に高くなっているのに対し、注入剤を添加した軽油では、過酸化物価がほとんど変化しないことがわかる。すなわち、軽油は酸化により劣化するところ、軽油に注入剤を添加することで、長期にわたり劣化を防止できることがわかった。
【0044】
第3の試験は、注入剤を1%添加した軽油と、無添加の軽油とについての色の変化を測定した試験である。また、この試験は加速度試験により行い、これらの軽油について78週間行った。なお、78週間は常温換算で6年間に相当する。図4は、色の変化(セーボルト色)を示すグラフである。
【0045】
図4に示すように、色の変化については、無添加の軽油が26週(2年相当)から徐々にセーボルト色が減少し、約40週からセーボルト色が非常に低くなっているのに対し、注入剤を添加した軽油では、セーボルト色がほとんど変化しないことがわかる。すなわち、軽油の色の変化をみても、軽油に注入剤を添加することで、長期にわたり劣化を防止できることがわかった。
【0046】
また、第4の試験は、注入剤を1%添加した軽油と、無添加の軽油とを、それぞれ錆のついた缶に噴射して、缶表面の錆の変化についての試験である。図5の結果を見てわかる通り、注入剤が無添加の軽油を噴霧しても缶表面の錆に変化はみられないところ、注入剤を添加した軽油では、缶表面の錆が除去さていることがわかる。この結果から、注入剤を添加した軽油を用いることで、内燃機関内の錆が除去されることが予想され、これにより内燃機関の動きがスムーズになり、燃費向上に繋がるものと思料する。
【0047】
次に、第5の試験として、注入剤を添加した軽油を自動車用エンジンに入れて、エンジンを作動させ、排出される排ガス成分についての試験を行った。具体的には、図6に示すように、エンジン1の排気管2からホットフィルタ3を介して耐熱ホース4により、排気ガスを、排ガス測定装置5に取り込み、排気ガス中のCO2濃度の増減率を測定した。
【0048】
この試験は、エンジン回転数を変化させて、注入剤が無添加の軽油と、0.25%、0.5%、1%添加した軽油とについて試験を複数回行った。なお、符号6は試験条件などを設定するための入力装置であり、符号7は試験結果を出力する出力装置(例えばペンレコーダ)である。図7〜9に示す結果より、注入剤を添加することにより、無添加の場合に比べて、CO2が低減されていることが確認できる。また、注入剤0.25%で最も良好であり、次いで0.5%が良好であることがわかる。
【0049】
(路上走行試験)
次に、第6の試験として、注入剤を添加しない軽油と、添加した軽油とについて、走行試験を行った。この走行試験は、10・15モード走行やJC08モード走行など実燃費と隔たりがあった従来の燃費測定方法でなく、多数の車両と膨大な時間を使って実際の公道を走行して行ったものである。
【0050】
まず、注入剤を添加しない軽油を給油した自動車で実際の公道を走行した時の燃料消費量と走行距離とを約1年間測定して、これを基準とした(図10参照)。そして、注入剤の添加量を変えて添加した軽油を給油した自動車で実際の公道を走行した時の各燃料消費量と走行距離とを数ヶ月から1年間測定し、無添加の軽油を基準として燃費の向上について対比した。なお、この走行試験において、適宜この注入剤0.3%−0.5%添加した潤滑油を用いた。
【0051】
この走行試験の結果を図10〜15に示す。これらが示すとおり、注入剤を添加した軽油を給油した場合の燃費が、無添加の軽油の場合に比べて、3.4%から9.8%と向上していることがわかる。特に、0.5%や1%添加した場合に比べて、0.25%添加した場合に、燃費が大幅に向上していることがわかる。
【0052】
これら第1から第6の試験結果から、注入剤を0.25%以上0.5未満の範囲で軽油に添加した場合において、燃費が向上し、かつ、二酸化炭素の軽減が効果的であるといえる。なお、燃費向上及び二酸化炭素の軽減効果については、本願の発明者が代表を務める会社において、EQAのカーボンマネジメントシステムの認証を得ている(図16図17参照)。
【符号の説明】
【0053】
1 エンジン
2 排気管
3 ホットフィルタ
4 耐熱ホース
5 排ガス測定装置
6 入力装置
7 出力装置
11 貯蔵タンク
12 缶
13 タンクローリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17