(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-27066(P2019-27066A)
(43)【公開日】2019年2月21日
(54)【発明の名称】パイプ抱持具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/08 20060101AFI20190125BHJP
F16B 2/10 20060101ALI20190125BHJP
F16L 3/06 20060101ALI20190125BHJP
F16L 3/10 20060101ALI20190125BHJP
【FI】
E04D13/08 311D
E04D13/08 311F
F16B2/10 E
F16B2/10 B
F16L3/06
F16L3/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-145153(P2017-145153)
(22)【出願日】2017年7月27日
(71)【出願人】
【識別番号】593178409
【氏名又は名称】株式会社オーティス
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100087664
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】岩田 充智
【テーマコード(参考)】
3H023
3J022
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AC08
3H023AD08
3H023AD21
3J022DA11
3J022DA18
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC17
3J022EC22
3J022FA01
3J022FA05
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA04
3J022GB23
3J022GB25
3J022GB27
(57)【要約】
【課題】簡易に加工でき、簡易に取り扱いできるパイプ抱持具を提供する。
【解決手段】パイプ抱持具1は、凹部13aを有したパイプ抱持部13と、パイプ抱持部13の基端より後方に延びた取付部14とを備えた抱持部材10を一組有し、凹部13aどうしを対面させるように前端が回動自在に連結され、取付部14が、外壁に固定された固定具挿通孔31付きの板状固定具30に固定される構成とされる。抱持部材10は、上下略平行に線状部11が配されるように線材を曲げ加工してなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有したパイプ抱持部と、該パイプ抱持部の基端より後方に延びた取付部とを備えた抱持部材を一組有し、前記凹部どうしを対面させるように前端が回動自在に連結され、前記取付部が、外壁に固定された固定具挿通孔付きの板状固定具に固定される構成としたパイプ抱持具であって、
前記抱持部材は、上下略平行に線状部が配されるように線材を曲げ加工してなることを特徴とするパイプ抱持具。
【請求項2】
請求項1において、
前記パイプ抱持部は、前記凹部側に突出した、前記線材を曲げ加工してなる突部を有していることを特徴とするパイプ抱持具。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記取付部のすくなくとも一方は、相対する他方の取付部に引っ掛ける、前記線状部を曲げ加工してなる掛かり部を有していることを特徴とするパイプ抱持具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
ボルト挿通孔を有した挟み片部を2片有した挟み具をさらに備えており、
前記取付部は、それらで前記板状固定具を挟み込んだ状態で、さらにその両外側より前記挟み具の前記挟み片部で挟持され、前記固定具挿通孔を間に配した前記ボルト挿通孔間にボルトを通して前記板状固定具に固定されるようになっていることを特徴とするパイプ抱持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹部を有したパイプ抱持部と、パイプ抱持部の基端より後方に延びた取付部とを備えた抱持部材を一組有してなるパイプ抱持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパイプ抱持具として、帯板を加工して形成されたものが種々提案、実施されている(たとえば、特許文献1参照)。このパイプ抱持具は鋼板などで形成されており、パイプをしっかりと抱持でき、かつ、外壁に取り付けた板状固定具を挟持固定することで、抱持具自体も外壁にしっかりと固定され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−14720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のパイプ抱持具は材料が鋼板であるため加工は容易とは言えない。特に、作業現場でわずかにでも曲げ加工することはきわめて困難であり、作業者には経験や技能が必要とされていた。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、簡易に加工でき、簡易に取り扱いできるパイプ抱持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のパイプ抱持具は、凹部を有したパイプ抱持部と、パイプ抱持部の基端より後方に延びた取付部とを備えた抱持部材を一組有し、凹部どうしを対面させるように前端が回動自在に連結され、取付部が、外壁に固定された固定具挿通孔付きの板状固定具に固定される構成としたパイプ抱持具であって、抱持部材は、上下略平行に線状部が配されるように線材を曲げ加工してなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載のパイプ抱持具は、パイプ抱持部が、凹部側に突出した、線材を曲げ加工してなる突部を有していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載のパイプ抱持具は、取付部のすくなくとも一方が、相対する他方の取付部に引っ掛ける、線状部を曲げ加工してなる掛かり部を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載のパイプ抱持具は、ボルト挿通孔を有した挟み片部を2片有した挟み具をさらに備えており、取付部は、それらで板状固定具を挟み込んだ状態で、さらにその両外側より挟み具の挟み片部で挟持され、固定具挿通孔を間に配したボルト挿通孔間にボルトを通して板状固定具に固定されるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載のパイプ抱持具によれば、上述した構成となっているので、簡易に加工でき、簡易に取り扱いできる。
【0011】
請求項2に記載のパイプ抱持具によれば、上述した構成となっているため、パイプをしっかりと抱持でき、抱持具自体のずれ、滑りを防止できる。
【0012】
請求項3に記載のパイプ抱持具によれば、上述した構成となっているため、取付部の板状固定具への取り付けがしやすく、取付部どうしのずれも発生しにくい。
【0013】
請求項4に記載のパイプ抱持具によれば、上述した構成となっているため、板状固定具への取り付けを確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパイプ抱持具の説明図である。(a)はパイプ抱持具の分解斜視図および部分拡大斜視図、(b)は同パイプ抱持具の平面図、(c)は外壁に取り付けられた板状固定具の側面図である。
【
図2】(a)は同パイプ抱持具の板状固定具への取り付け手順を示した要部斜視図、(b)は同要部拡大縦断面図である。
【
図3】(a)は取付部の他の形態を示す要部拡大平面図、(b)は挟み具の側面図、(c)は挟み具の取り付け状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面をもとに説明する。まず本パイプ支持具1の概略構成について説明する。
【0016】
本パイプ抱持具1は、
図1に示すように、凹部13aを有したパイプ抱持部13と、パイプ抱持部13の基端より後方に延びた取付部14とを備えた抱持部材10、10を一組(2つ)有している。抱持部材10は凹部13aどうしを対面させるように前端が回動自在に連結され、取付部14が外壁(不図示)に固定された固定具挿通孔31付きの板状固定具30に固定される構成となっている。
【0017】
この抱持部材10は、上下略平行に線状部11が配されるように線材を曲げ加工して構成されている。本実施形態の抱持部材10は、1本の線材の曲げ加工により形成され、上下に2本の線状部11が配され、中抜きの形状となっている。線材としては、たとえば鋼線を用いればよい。なお、上下略平行となる線状部11は2本でなくてもよく、3本以上であってもよい。
【0018】
なお、パイプ抱持部13は、断面円形のパイプ3に合わせて半円形状となるように凹部13aが形成されているが、角形パイプであれば、その形状に合わせた形状とすればよい。
【0019】
一方の抱持部材10の前端(パイプ抱持部13の開放端)には、凹部13a側に折り曲げてなる係り部13cが形成されており、そこに他方の抱持部材10の前端を引っ掛けて、他方の抱持部材10が抜けないように係り部13cの端部開口を閉じることで、その連結部が相互に回動自在なヒンジ部12となる。
【0020】
両抱持部材10の上下の線状部11には、凹部13a側に突出した突部13bが形成されている。この突部13bも線材を曲げ加工して形成されたものである。この突部13bにより、パイプ抱持部13内のパイプ3をしっかりと抱持することができる(
図1(b)参照)。
【0021】
また、一方の抱持部材10の取付部14には、上側の線状部11を曲げ加工してなる掛かり部15を有している。この掛かり部15は、他方の取付部14に上方から引っ掛けられるように、相手側の取付部14側に突出した突出部15aと、その先端より下方に向けて、上向きに開口するように垂下した垂下部15bとを有してなる。この掛かり部15も線状部11を曲げ加工してなる。この掛かり部15を相手の取付部14に引っ掛けた状態でも、それぞれの取付部14は内部(側面の内面)が空間であるため、反対側を見通すことができる。
【0022】
抱持部材10どうしは、ヒンジ部12を支点として、取付部14の端部が開閉自在となっており、パイプ抱持部13でパイプ3を抱持した状態で、両取付部14をそれらの間に外壁に固定された板状固定具30を挟むように配して閉じ、掛かり部15を少し持ち上げて相手の取付部14に引っ掛けることで両取付部14は簡易係合される。そして、板状固定具30を、その両板面に取付部14を配した状態となるように、両取付部14とともに挟み具20で挟み、ボルト35止めすることでパイプ抱持具1が板状固定具30に対して固定される。なお、
図1(c)に示すように、板状固定具30は、外壁に取り付けた状態で側方に開口する長孔よりなる固定具挿通孔31が形成されている。
【0023】
図2(a)(b)は、挟み具20の取り付け態様を示す図である。本パイプ抱持具1はさらに、自身を外壁(に固定された板状固定具30)に固定するための挟み具20を備えている。
【0024】
挟み具20は、
図2(a)に示すように、上部に配せられる基板部21と、その両側端から垂下し、ボルト挿通孔22aを有した挟み片部22とを備えている。両挟み片部22は、それらで両板面のそれぞれに取付部14を配した状態の板状固定具30を、両板面側より挟み込む構成となっている。そして、両取付部14を挟んだ状態で、2つのボルト挿通孔22aにボルト35を通し、ナット36止めすることで、パイプ抱持具1自体がしっかりと外壁に固定される。
【0025】
挟み具20は、
図2(b)に示すように、挟み片部22の2つのボルト挿通孔22aを、掛かり部15の垂下部15bの2本の垂下片15ba間に、垂下片15baに近接するように配し、ボルト35止めすれば、挟み具20は取付部14に対して前後にずれ動くおそれはない。また、取付部14は板状固定具30の板面に押さえつけられているので、それらも相互にずれるおそれはない。なお、固定具挿通孔31が垂下片15baの外側に配せられるような位置関係であってもよい。取付部14と板状固定具30とを前後のずれが起こらないようにするために、板状固定具30は長孔に代えて丸孔を有した構成であってもよい。
【0026】
図3は他の実施形態に係るパイプ抱持具1の説明図である。このパイプ抱持具1の取付部14は掛かり部15(
図1参照)を有していないシンプルな形状となっている。また、挟み具20は板状固定具30の板面に配された取付部14(線状部11)の形状に合わせて、挟み片部22の内側には凹溝22bが形成されている。挟み片部22はばね片とされ、自然な状態では下端が上端よりもすぼまった形状とされ、下端には開口がハの字状に拡がったガイド部22cが形成されている。
【0027】
挟み具20は、挟み片部22の下端開口を拡げて板状固定具30に装着され、その相互に近づく付勢力で、板状固定具30および取付部14を挟み込み、ボルト35止めされることで、挟み具20、取付部14、板状固定具30は相互に固定される。
【0028】
以上に説明した
図1、
図3の本パイプ抱持具1によれば、その主構成部材である抱持部材10が線材で形成されているため、簡易に加工できる。特に、作業現場でのパイプや板状固定具の形状、寸法に合わせたわずかな加工も簡易に行える。また、線材で構成されているため材料費を低減化できる。
【0029】
また、
図1に示したものでは、一方の取付部14に掛かり部15が形成されているため、取付部14の板状固定具30への取り付けがしやすく、取付部14どうしのずれも発生しにくい。さらに、挟み具20を用いれば取付部14、板状固定具30間の固定も強固になる。
図2(b)において上述したように、掛かり部15と挟み具20を組み合わせれば、ずれの発生するおそれもない。
【符号の説明】
【0030】
1 パイプ抱持具
3 パイプ
10 抱持部材
11 線状部
12 ヒンジ部
13 パイプ抱持部
13a 凹部
13b 突部
13c 係り部
14 取付部
15 掛かり部
15a 突出部
15b 垂下部
15ba 垂下片
20 挟み具
21 基板部
22 挟み片部
22a ボルト挿通孔
22b 凹溝
22c ガイド部
30 板状固定具
31 固定具挿通孔
35 ボルト
36 ナット