【解決手段】電動オイルポンプ1は、シャフト11を有するモータ部と、モータ部10のフロント側に位置し、シャフト11を介して駆動されオイルを吐出するポンプ部40と、を有する。モータ部40は、シャフト11の周囲において回転するロータ20と、ロータ20と対向して配置されたステータ22と、ロータ20及びステータ22を収容する樹脂ハウジング13と、を有する。ポンプ部40は、シャフト11に取り付けられるポンプロータ47と、ポンプロータ47を収容する収容部53を有するポンプハウジング51と、を有する。ポンプハウジング53の径方向外側の外側面には、ポンプハウジング53の径方向内側に窪んだ段部61が設けられ、段部61は、収容部53よりもリア側に位置し、樹脂ハウジング13のフロント側端部が段部61に固定される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動オイルポンプについて説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0013】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向他方向と平行な方向とする。X軸方向は、
図1に示す電動オイルポンプの短手方向と平行な方向、すなわち、
図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0014】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「リア側」と記し、Z軸方向の負の側(−Z側)を「フロント側」と記す。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。
【0015】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0016】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、第1実施形態に係る電動オイルポンプの断面図である。本実施形態の電動オイルポンプ1は、
図1に示すように、モータ部10と、ポンプ部40と、を有する。モータ部10とポンプ部40は、軸方向に沿って配置される。モータ部10は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って配置されたシャフト11を有する。ポンプ部40は、モータ部10の軸方向一方側(フロント側)に位置し、モータ部10によってシャフト11を介して駆動されオイルを吐出する。以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0017】
<モータ部10>
モータ部10は、
図1に示すように、樹脂ハウジング13と、ロータ20と、シャフト11と、ステータ22と、転がり軸受25と、を有する。
【0018】
モータ部10は、例えば、インナーロータ型のモータであり、ロータ20がシャフト11の外周面に固定され、ステータ22がロータ20の径方向外側に位置する。また、転がり軸受25は、シャフト11のリア側(+Z側)端部に配置され、シャフト11を回転可能に支持する。
【0019】
(樹脂ハウジング13)
樹脂ハウジング13は、
図1に示すように、ステータ保持部13aと、回路基板保持部13bと、ポンプボディ保持部13cと、を有する。ステータ保持部13a、回路基板保持部13b、ポンプボディ保持部13cは、樹脂により一体成型される。
【0020】
(ステータ保持部13a)
ステータ保持部13aは、軸方向に延びて内部に貫通孔13a1を有する。貫通孔13a1内にモータ部10のシャフト11とロータ20と、ステータ22が配置される。ステータ保持部13aの内側面には、ステータ22の外側面、すなわち、後述するコアバック部22aの外側面が嵌め合わされる。これにより、ステータ保持部13aにステータ22が収容される。
【0021】
本実施形態のステータ保持部13aの外壁部13a2のうちX軸方向左側には、フロント側(−Z側)からリア側(+Z側)へ向かって樹脂の径方向の厚さが大きくなる左側壁部13a3を有する。また、外壁部13a2のうちX軸方向右側には、X軸方向に延びて外部コネクタ90が挿入される挿入孔部13a4を有する。挿入孔部13a4のフロント側には、挿入孔部13a4を支持するブラケット部13a5が設けられる。ブラケット部13a5により挿入孔部13a4の剛性が強化される。
【0022】
(回路基板保持部13b)
回路基板保持部13bは、ステータ保持部13aのリア側端部に繋がる。回路基板保持部13bはリア側が開口してX軸方向に延びる有底容器状であり、容器本体部13b1と、容器本体側フランジ部13b2とを有する。
【0023】
容器本体部13b1は、基板収容室13b3を有する。基板収容室13b3は、リア側が開口し、図示しないカバー部によって基板収容室13b3のリア側の開口が覆われる。基板収容室13b3内には、回路基板16、モータ側端子17、コネクタ側端子18等が収容される。
【0024】
モータ側端子17は、基板収容室13b3内のX軸方向左側に配置され、一端側がモータ部10のコイル22bに電気的に接続され、他端側が回路基板16に電気的に接続される。コネクタ側端子18は、基板収容室13b3内のX軸方向右側に配置され、一端側が外部コネクタ90に電気的に接続され、他端側が回路基板16に電気的に接続される。
【0025】
回路基板16は、モータ出力信号を出力する。本実施形態では、回路基板16は、基板収容室13b3のリア側に配置されてX軸方向に延びる。回路基板16の裏面(フロント側面)には、図示しないプリント配線が設けられる。また、回路基板16として、銅インレイ基板を用いることにより、図示しない発熱素子で発生した熱をカバー部を介して放熱することができる。
【0026】
(ポンプボディ保持部13c)
ポンプボディ保持部13cは、フロント側が開口した筒状であり、ステータ保持部13aのフロント側端に連続して繋がる。ポンプボディ保持部13cは、軸方向に延びる孔部13c1を有する。孔部13c1の内径は、後述するポンプ部40のポンプボディ52のリア側の外径よりも僅かに大きな寸法を有する。孔部13c1の内側面にポンプボディ52のリア側が嵌め合わされる。
【0027】
ポンプボディ保持部13cの外側面13c2には、径方向に突出するモータ側フランジ部13c3を有する。モータ側フランジ部13c3は、後述するポンプボディ52に設けられるポンプ側フランジ部52aに対向して配置されて、ボルト等の締結手段によってポンプ側フランジ部52aに固定される。これにより、樹脂ハウジング13にポンプ部40が接続固定される。
【0028】
(ロータ20)
ロータ20は、ロータコア20aと、ロータマグネット20bと、を有する。ロータコア20aは、シャフト11を軸周り(θ方向)に囲んで、シャフト11に固定される。ロータマグネット20bは、ロータコア20aの軸周り(θ方向)に沿った外側面に固定される。ロータコア20a及びロータマグネット20bは、シャフト11と共に回転する。なお、ロータ20は、ロータ20の内部に永久磁石が埋め込まれた埋込磁石型でもよい。埋込磁石型のロータ20は、永久磁石をロータ20の表面に設けた表面磁石型と比較して、遠心力によって磁石が剥がれる虞を軽減することができ、また、リラクタンストルクを積極的に利用することができる。
【0029】
(ステータ22)
ステータ22は、ロータ20を軸周り(θ方向)に囲み、ロータ20を中心軸J周りに回転させる。ステータ22は、コアバック部22aと、ティース部22cと、コイル22bと、インシュレータ(ボビン)22dと、を有する。
【0030】
コアバック部22aの形状は、シャフト11と同心の円筒状である。ティース部22cは、コアバック部22aの内側面からシャフト11に向かって延びる。ティース部22cは、複数設けられ、コアバック部22aの内側面の周方向に均等な間隔で配置される。コイル22bは、インシュレータ(ボビン)22dの周囲に設けられ、導電線22eが巻回されてなる。インシュレータ(ボビン)19は、各ティース部22cに装着される。ステータ22は、樹脂による一体成型時において、コアバック部22a、ティース部22c、コイル22b、インシュレータ(ボビン)22dが樹脂により覆われた樹脂モールド部22fを有する。
【0031】
(転がり軸受25)
転がり軸受25は、ロータ20及びステータ22のリア側(+Z側)に配置され、転がり軸受保持部30に保持される。転がり軸受25は、シャフト11を支持する。転がり軸受25の形状、構造等は、特に限定されず、いかなる公知のベアリングも用いることができる。
【0032】
転がり軸受保持部30は、転がり軸受25を保持する。
【0033】
(シャフト11)
シャフト11は、
図1に示すように、中心軸Jに沿って延びてモータ部10を貫通する。シャフト11のフロント側(−Z側)は、モータ部10から突出してポンプ部40内に延びる。シャフト11のフロント側(−Z側)は、後述するポンプボディ52内のすべり軸受45に支持される。
【0034】
<ポンプ部40>
ポンプ部40は、モータ部10の軸方向一方側、詳細にはフロント側(−Z側)に位置する。ポンプ部40は、モータ部10によってシャフト11を介して駆動される。ポンプ部40は、ポンプロータ47と、ポンプハウジング51と、を有する。ポンプハウジング51は、ポンプボディ52と、ポンプカバー57と、を有する。以下、各部品について詳細に説明する。
【0035】
(ポンプボディ52)
ポンプボディ52は、モータ部10のフロント側(−Z側)において樹脂ハウジング13のフロント側(−Z側)内に固定される。ポンプボディ52は、ポンプロータ47を収容し側面及びモータ部10のリア側(+Z側)に位置する底面を有する収容部53を有する。収容部53は、フロント側(−Z側)に開口してリア側(+Z側)に窪む。収容部53の軸方向から視た形状は、円形状である。
【0036】
ポンプボディ52は、シール部材59を収容し、リア側(+Z側)の面からフロント側(−Z側)に窪む凹部54を有する。凹部54の軸方向から視た形状は、円形状である。
【0037】
ポンプボディ52は、中心軸Jに沿って貫通する貫通孔55を有する。貫通孔55は軸方向両端が開口してシャフト11を通し、リア側(+Z側)の開口が凹部54に開口し、フロント側(−Z側)の開口が収容部53に開口する。貫通孔55は、シャフト11を回転可能に支持するすべり軸受45として機能する。
【0038】
ポンプボディ52は、リア側(+Z側)の径方向外側の外側面に径方向内側に窪む段部61が設けられる。段部61は、環状の端壁面61aを有する。端壁面61aに樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが接触することで、樹脂ハウジング13をポンプボディ52に対して軸方向の位置決めすることができる。
【0039】
端壁面61aの径方向内側端には、周壁面64がリア側(+Z側)に連続して延びる。周壁面64のリア側(+Z側)には、径方向内側に窪んだ環状の凹部65が設けられる。この凹部65にはシール部材66、図示した実施形態ではOリングが挿入される。
【0040】
凹部65よりもフロント側(−Z側)の周壁面64は、樹脂ハウジング13のフロント側(−Z側)の内壁面13eと嵌合する。このため、樹脂ハウジング13をポンプボディ52に対して径方向の位置決めをすることができる。
【0041】
段部61の端壁面61aよりも径方向外側には、ポンプ側フランジ部52aが設けられる。ポンプ側フランジ部52aは、端壁面61aに連なって連続して延びる。本実施形態では、ポンプ側フランジ部52aは周方向に間隔を有して4か所設けられる。
【0042】
ポンプ側フランジ部52aは、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが段部61に接触した状態でモータ側フランジ部13c3に対向して配置され、ポンプ側フランジ部52a及びモータ側フランジ部13c3間をボルト等の締結手段で締結することで、モータ部10をポンプ部40に固定することができる。
【0043】
図3は、本実施形態に係る樹脂ハウジング13のモータ側フランジ部13c3の拡大断面図である。本実施形態では、
図3に示すように、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dは、端壁面61a上に配置された金属プレート63を介して端壁面61aに接触する。段部61は、凹部54に設けられたシール部材59と収容部53との間に位置する。
【0044】
金属プレート63は、本実施形態では、樹脂ハウジング13とポンプボディ52の間に設けられている。樹脂ハウジング13には、外側面にローレット目が設けられ、内周面に雌ねじが設けられたカラー69がインサートされている。具体的には、段部61上にインサートされる。金属プレート63は、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dの径方向の大きさとはほぼ同等の大きさを有する。金属プレート63が樹脂ハウジング13とポンプボディ52の間に配置された理由は、次の通りである。樹脂ハウジング13の外形は、電動オイルポンプ1の設置スペースとの関係で大型化することができない。このため、樹脂ハウジング13のポンプボディ52に接触する樹脂ハウジング13のカラー69の肉厚は十分に確保できない。したがって、樹脂ハウジング13とポンプボディ52間を締結すると、ポンプボディ52が座屈する虞が生じる。そこで、鉄製の金属プレート63を樹脂ハウジング13とポンプボディ52の間に入れることでカラー69の肉厚が十分取れなくてもポンプボディ52がアルミ製であっても座屈を防止することが出来る。
【0045】
(ポンプロータ47)
ポンプロータ47は、シャフト11に取り付けられる。より詳細には、ポンプロータ47は、シャフト11のフロント側(−Z側)に取り付けられる。ポンプロータ47は、シャフト11に取り付けられるインナーロータ47aと、インナーロータ47aの径方向外側を囲むアウターロータ47bと、を有する。インナーロータ47aは、円環状である。インナーロータ47aは、径方向外側面に歯を有する歯車である。
【0046】
インナーロータ47aは、シャフト11に固定される。より詳細には、インナーロータ47aの内側にシャフト11のフロント側(−Z側)の端部が圧入される。インナーロータ47aは、シャフト11と共に軸周り(θ方向)に回転する。アウターロータ47bは、インナーロータ47aの径方向外側を囲む円環状である。アウターロータ47bは、径方向内側面に歯を有する歯車である。
【0047】
インナーロータ47aとアウターロータ47bとは互いに噛み合い、インナーロータ47aが回転することでアウターロータ47bが回転する。すなわち、シャフト11の回転によりポンプロータ47は回転する。言い換えると、モータ部10とポンプ部40とは同一の回転軸を有する。これにより、電動オイルポンプ1が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0048】
また、インナーロータ47aとアウターロータ47bとが回転することで、インナーロータ47aとアウターロータ47bの噛み合わせ部分の間の容積が変化する。容積が減少する領域が加圧領域なり、容積が増加する領域が負圧領域となる。ポンプロータ47の負圧領域のフロント側(−Z側)には、吸入ポートが配置される。また、ポンプロータ47の加圧領域Apのフロント側(−Z側)には、吐出ポートが配置される。ここで、ポンプカバー57に設けられた吸入口57aから収容部53内に吸入されるオイルは、インナーロータ47aとアウターロータ47bの間の容積部分に収容され、加圧領域に送られる。その後、オイルは、吐出ポートを通ってポンプカバー57に設けられた吐出口57bから吐出される。
【0049】
(ポンプカバー57)
ポンプカバー57は、
図1に示すように、ポンプボディ52に対してフロント側(−Z側)から覆うことで、ポンプボディ52との間に収容部53を設ける。本実施形態では、ポンプカバー57は、ポンプボディ52のフロント側(−Z側)に取り付けられて、収容部53のフロント側(−Z側)に開口する開口部53aを閉塞することで、ポンプカバー57とポンプボディ52との間に収容部53を設ける。
【0050】
<電動オイルポンプ1の作用・効果>
次に、電動オイルポンプ1の作用・効果について説明する。
図1に示すように、電動オイルポンプ1のモータ部10が駆動すると、モータ部10のシャフト11が回転して、ポンプロータ47のインナーロータ47aの回転にともなってアウターロータ47bも回転する。ポンプロータ47が回転すると、ポンプ部40の吸入口57aから吸引されたオイルは、ポンプ部40の収容部53内を移動して、吐出ポートを通って吐出口57bから吐出される。
【0051】
(1)ここで、本実施形態に係る電動オイルポンプ1は、ポンプハウジング51の径方向外側の外側面に段部61が設けられ、段部61は、収容部53よりも軸方向他方側に位置し、樹脂ハウジング13の軸方向一方側端部が段部61に固定されるので、収容部53の径方向外側及び軸方向他方側の周辺のポンプハウジング51には、段部が存在しない。このため、電動オイルポンプ1を大型化させずに、ポンプ部40の吐出量を増加させるために、ポンプロータ47を大型化する必要性が生じた場合、ポンプロータ47の径を増大したり、ポンプロータ47の厚さを大きくしたりするために、収容部53の大きさを拡大する際の設計の自由度を向上することができる。
【0052】
(2)また、ポンプハウジング51は、ポンプボディ52とポンプカバー57とを有してなり、ポンプボディ52に段部61が設けられ、段部61は収容部53よりも軸方向他方側に位置し、樹脂ハウジング13の軸方向一方側端部が段部61に固定されるので、収容部53の径方向外側且つ軸方向他方側の周辺のポンプボディ52には、段部61が存在しない。このため、電動オイルポンプ1を大型化させずに、ポンプ部40の吐出量を増加させるために、ポンプロータ47を大型化する必要性が生じた場合、ポンプロータ47の径を増大したり、ポンプロータ47の厚さを大きくしたりするために、収容部53の大きさを拡大する際の設計の自由度を向上することができる。
【0053】
(3)また、
図2に示すように、ポンプボディ52の軸方向他方側の面に設けられた凹部54にシール部材59を有し、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dがシール部材59と径方向に重なる位置に配置されるので、シール部材59と収容部53との間のポンプボディ52の外側面には段部61は存在しない。このため、ポンプボディ52にシール部材59が存在する場合に、電動オイルポンプ1を大型化させずに、ポンプ部40の吐出量を増加させるために、ポンプロータ47を大型化する必要性が生じた場合、ポンプロータ47の径を拡大化したり、ポンプロータ47の厚さを大きくしたりするために、収容部53の大きさを拡大する際の設計の自由度を向上することができる。
また、シール部材59をポンプボディ52の軸方向他方側の面に設けられた凹部54に設けることで、収容部53から漏れ出すオイルのモータ部側への移動を抑制することができる。
【0054】
(4)また、凹部54と収容部53とを連通する貫通孔55をすべり軸受45とすることで、シャフト11の支持を簡易な構造で支持することができ、電動オイルポンプ1のコストの上昇を抑制することができる。また、電動オイルポンプ1の出力を上げる場合には、モータ部10の出力を上げる必要があるが、モータ部10は、出力を上げると、モータ部10の体格が大きくなる。このため、モータ体格の増大により、モータ部10の回転軸の径が大きくなって使用する軸受も大型化する。しかしながら、軸受の変わりにすべり軸受を採用すると、すべり軸受けの設計では、すべり軸受の内径と軸方向長さを考慮すればよいので、モータ部10の回転軸を支持するすべり軸受となる孔部の径方向外側は自由に設計可能な領域となる。したがって、すべり軸受けを採用することで、設計自由度を増すことができる。
【0055】
(5)また、樹脂ハウジング13の軸方向一方側端部は、シール部材59と収容部53との間に位置するので、段部61と収容部53との軸方向の距離は短縮化されるが、収容部53の径方向外側には、段部61は存在しない。このため、電動オイルポンプ1を大型化させずに、ポンプ部40の吐出量を増加させるために、ポンプロータ47を大型化する必要性が生じた場合、ポンプロータ47の径を増大するために、収容部53の径方向の大きさを拡大する際の設計の自由度を向上することができる
【0056】
[第1実施形態の変形例](ポンプカバー57に収容部53を設けた変形例)
図1に示した第1実施形態に係る収容部53は、ポンプ部40のポンプボディ52に設けられている。しかしながら、この構造に限定されるものではなく、例えば、
図4に示すように、ポンプカバー57に収容部53を設けてもよい(変形例1)。
【0057】
ポンプカバー57は、軸方向他方側の面から軸方向一方側に窪みポンプロータ47を収容する収容部53を有する。また、段部61は、ポンプボディ52の径方向外側の外側面にポンプボディ52の径方向内側に窪んで設けられる。樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが段部61に固定される。
【0058】
この変形例では、ポンプカバー57に収容部53が設けられ、段部61はポンプボディ52の外側面に設けられ、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが段部61に固定されるので、収容部53が設けられたポンプカバー57には段部が存在しない。このため、電動オイルポンプ1を大型化させずに、ポンプ部40の吐出量を増加させるために、ポンプロータ47を大型化する場合、ポンプロータ47の径を拡大化したり、ポンプロータ47の厚さを大きくしたりするために、収容部53の大きさを拡大する際の設計の自由度を向上することができる。
【0059】
また、例えば、
図5に示すように、ポンプカバー57にポンプロータ47を収容する収容部53が設けられ、段部61は収容部53と径方向に重なる位置あり、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが段部61に固定されてもよい(変形例2)。
【0060】
この変形例では、収容部53の軸方向一方側には、段部61は存在しない。このため、電動オイルポンプ1を大型化させずに、ポンプ部40の吐出量を増加させるために、ポンプロータ47を大型化する必要性が生じた場合、ポンプロータ47の軸方向厚さを拡大化するために、収容部53の軸方向厚さを大きくする際の設計の自由度を向上することができる。
【0061】
また、例えば、
図6に示すように、ポンプカバー57にポンプロータ47を収容する収容部53が設けられ、段部61は収容部53よりも軸方向一方側の位置あり、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが段部61に固定されてもよい(変形例3)。
【0062】
この変形例では、ポンプカバー57にポンプロータ47を収容する収容部53が設けられ、段部61は収容部53よりも軸方向一方側のポンプカバー57の外側面に位置し、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが段部61に固定されるので、収容部53の軸方向一方側には、段部61は存在しない。このため、電動オイルポンプ1を大型化させずに、ポンプ部40の吐出量を増加させるために、ポンプロータ47を大型化する必要性が生じた場合、ポンプロータ47の軸方向厚さを拡大化するために、収容部53の軸方向厚さを大きくする際の設計の自由度を向上することができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発名とその均等の範囲に含まれるものである。