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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-27433(P2019-27433A)
(43)【公開日】2019年2月21日
(54)【発明の名称】電動オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/10 20060101AFI20190125BHJP
   F04C 15/00 20060101ALI20190125BHJP
【FI】
   F04C2/10 341F
   F04C15/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-128987(P2018-128987)
(22)【出願日】2018年7月6日
(31)【優先権主張番号】特願2017-148712(P2017-148712)
(32)【優先日】2017年7月31日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 喜幸
(72)【発明者】
【氏名】樋口 孔二
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕
(72)【発明者】
【氏名】片岡 慈裕
【テーマコード(参考)】
3H041
3H044
【Fターム(参考)】
3H041AA02
3H041BB03
3H041CC02
3H041CC13
3H041CC20
3H041DD01
3H041DD09
3H041DD10
3H041DD21
3H041DD33
3H044AA02
3H044BB03
3H044CC02
3H044CC12
3H044CC19
3H044DD01
3H044DD08
3H044DD09
3H044DD18
3H044DD23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シャフトを転がり軸受とすべり軸受で支持し、すべり軸受が摩耗してもロータがステータに接触しない電動オイルポンプを提供する。
【解決手段】電動オイルポンプ1は、シャフト11を有するモータ部10と、モータ部のフロント側に位置し、シャフト11を介して駆動されオイルを吐出するポンプ部40とを有する。モータ部は、ロータ20、ステータ22、これらを収容する樹脂ハウジング13を有する。ポンプ部は、シャフトに設けられるポンプロータ47と、ポンプロータを収容する収容部53を有したポンプハウジング51とを有する。ポンプハウジングは、すべり軸受45を介してシャフトに支持されるポンプボディ52と、ポンプボディのフロント側を覆うポンプカバー57とを有する。シャフトのリア側は、転がり軸受25を介して樹脂ハウジングに支持され、モータ部から突出するシャフトのフロント側は、すべり軸受を介してポンプボディに支持される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを有するモータ部と、
前記モータ部の軸方向一方側に位置し、前記モータ部によって前記シャフトを介して駆動されオイルを吐出するポンプ部と、
を有し、
前記モータ部は、
前記シャフトの軸方向他方側に固定されるロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
前記ロータ及び前記ステータを収容する樹脂ハウジングと、
を有し、
前記ポンプ部は、
前記モータ部から軸方向一方側に突出する前記シャフトに取り付けられるポンプロータと、
前記ポンプロータを収容する収容部を有したポンプハウジングと、
を有し、
前記ポンプハウジングは、
すべり軸受を介して前記シャフトに支持されるポンプボディと、
前記ポンプボディの軸方向一方側を覆うポンプカバーと、
を有し、
前記シャフトの軸方向他方側は、転がり軸受を介して前記樹脂ハウジングに支持され、
前記モータ部から突出する前記シャフトの軸方向一方側は、すべり軸受を介して前記ポンプボディに支持される、電動オイルポンプ。
【請求項2】
前記ステータは、樹脂モールド部を有する請求項1に記載の電動オイルポンプ。
【請求項3】
前記樹脂ハウジングは、前記転がり軸受を保持する転がり軸受保持部を有し、
前記転がり軸受保持部は、金属部材からなる請求項1又は2に記載の電動オイルポンプ。
【請求項4】
前記転がり軸受保持部は、前記転がり軸受の外周を囲んで保持するリング部を有する請求項3に記載の電動オイルポンプ。
【請求項5】
前記転がり軸受保持部は、前記リング部と、前記リング部から径方向外側へ延びる鍔部と、前記リング部の軸方向他方側の開口を覆う頂部と、を有して、有底円筒形状である請求項4に記載の電動オイルポンプ。
【請求項6】
前記転がり軸受保持部は、インサート成型により前記樹脂ハウジングと一体化される請求項5に記載の電動オイルポンプ。
【請求項7】
前記鍔部は、前記リング部の軸方向他方側へ突出する突出部を有する請求項6に記載の電動オイルポンプ。
【請求項8】
前記突出部は、前記突出部を貫通する貫通孔を有する請求項7に記載の電動オイルポンプ。
【請求項9】
前記ポンプボディは、径方向外側の外側面に径方向内側に窪む段部が設けられ、
前記樹脂ハウジングの軸方向一方側端部が前記段部に固定される
請求項1から8のいずれか1項に記載の電動オイルポンプ。
【請求項10】
前記ポンプボディは、軸方向他方側の面から軸方向一方側に窪む凹部を有し、
前記すべり軸受は、前記凹部と前記収容部とを連通する貫通孔であり、
前記凹部にシール部材が設けられる
請求項1から9のいずれか1項に記載の電動オイルポンプ。
【請求項11】
前記樹脂ハウジングの軸方向一方側端部は、前記シール部材と径方向に重なる位置にある請求項10に記載の電動オイルポンプ。
【請求項12】
前記樹脂ハウジングの前記軸方向一方側端部は、前記シール部材と前記収容部との間に位置する請求項10に記載の電動オイルポンプ。
【請求項13】
前記転がり軸受に支持された前記シャフトの軸方向他方側端部と前記転がり軸受保持部の前記頂部の内面との間の距離は、前記シャフトを支持する前記転がり軸受の軸方向の幅の大きさよりも大きい請求項5に記載の電動オイルポンプ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動オイルポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載された変速機に使用される電動オイルポンプは、車両の既存スペースに設置されるため、搭載上の制約が厳しく、様々な搭載スペースに設置できるように小型化が要求される。
【0003】
このような電動オイルポンプは、シャフトを備えるモータ部と、モータ部の軸方向一方側に配置されたポンプ部とを有して、モータ部のシャフトを介してポンプ部が駆動されてオイルを吐出するものが知られている。この従来の電動オイルポンプは、シャフトがボールベアリング及びすべり軸受を介してポンプボディ又はモータハウジングに支持されて、小型化が実現される。
【0004】
例えば、特許文献1には、モータ部の軸方向一方側から突出するシャフトがポンプ部のポンプボディに設けられたボールベアリング及びすべり軸受を介してポンプボディに支持された電動オイルポンプが開示される。また、特許文献2には、モータ部の軸方向一方側から突出するシャフトがモータハウジングに固定されたボールベアリングを介してモータハウジングに支持され、モータ部側のロータの軸方向他方側から突出するシャフトがすべり軸受を介してモータハウジングに支持された電動オイルポンプが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−217223号公報
【特許文献2】特開2017−053323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら特許文献1及び特許文献2に記載の電動オイルポンプは、シャフトをボールベアリングの他にすべり軸受で支持している。すべり軸受は、シャフトと直接的に接触しながら回転するシャフトを支持するので、シャフトの回転に伴ってすべり軸受の内面が摩耗する虞がある。
【0007】
すべり軸受の内面が摩耗すると、モータ部側のロータと、ボールベアリング及びすべり軸受との位置関係によっては、モータ部側のロータが偏芯してロータがステータに接触する虞が生じる。
【0008】
本発明の目的は、シャフトの支持をボールベアリング及びすべり軸受で支持する場合に、すべり軸受が摩耗してもモータ側のロータが偏芯してステータに接触する虞を防止可能な電動オイルポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の例示的な第1発明は、軸方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを有するモータ部と、前記モータ部の軸方向一方側に位置し、前記モータ部によって前記シャフトを介して駆動されオイルを吐出するポンプ部と、を有し、前記モータ部は、前記シャフトの軸方向他方側に固定されるロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、前記ロータ及び前記ステータを収容する樹脂ハウジングと、を有し、前記ポンプ部は、前記モータ部から軸方向一方側に突出する前記シャフトに取り付けられるポンプロータと、前記ポンプロータを収容する収容部を有したポンプハウジングと、を有し、前記ポンプハウジングは、すべり軸受を介して前記シャフトに支持されるポンプボディと、前記ポンプボディの軸方向一方側を覆うポンプカバーと、を有し、前記シャフトの軸方向他方側は、転がり軸受を介して前記樹脂ハウジングに支持され、前記モータ部から突出する前記シャフトの軸方向一方側は、すべり軸受を介して前記ポンプボディに支持される、電動オイルポンプである。
【発明の効果】
【0010】
本願の例示的な第1発明によれば、シャフトの支持をボールベアリング及びすべり軸受で支持する場合に、すべり軸受が摩耗してもモータロータが偏芯してステータに接触する虞を防止可能な電動オイルポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る電動オイルポンプの断面図である。
図2】第1実施形態に係る転がり軸受保持部の拡大断面図である。
図3】第1実施形態に係る樹脂ハウジングのフロント側の拡大部分断面図である。
図4】第1実施形態に係る樹脂ハウジングのモータ側フランジ部の拡大断面図である。
図5】第1実施形態の変形例に係る転がり軸受保持部の断面図である。
図6】第1実施形態の変形例に係る樹脂ハウジングのポンプボディ保持部の断面図である。
図7】第1実施形態の変形例に係るポンプボディ保持部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動オイルポンプについて説明する。また、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0013】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、図1に示す中心軸Jの軸方向他方側と平行な方向とする。X軸方向は、図1に示す電動オイルポンプの短手方向と平行な方向、すなわち、図1の左右方向とする。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向とする。
【0014】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「リア側」と記し、Z軸方向の負の側(−Z側)を「フロント側」と記す。なお、リア側及びフロント側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係や方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と記し、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と記し、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周り(θ方向)を単に「周方向」と記す。
【0015】
なお、本明細書において、軸方向に延びる、とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0016】
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、第1実施形態に係る電動オイルポンプの断面図である。本実施形態の電動オイルポンプ1は、図1に示すように、モータ部10と、ポンプ部40と、を有する。モータ部10とポンプ部40は、軸方向に沿って配置される。モータ部10は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って配置されたシャフト11を有する。ポンプ部40は、モータ部10の軸方向一方側(フロント側)に位置し、モータ部10によってシャフト11を介して駆動されオイルを吐出する。以下、構成部材毎に詳細に説明する。
【0017】
<モータ部10>
モータ部10は、図1に示すように、樹脂ハウジング13と、ロータ20と、シャフト11と、ステータ22と、転がり軸受25と、を有する。
【0018】
モータ部10は、例えば、インナーロータ型のモータであり、ロータ20がシャフト11の外周面に固定され、ステータ22がロータ20の径方向外側に位置する。また、転がり軸受25は、シャフト11のリア側(+Z側)端部に配置され、シャフト11を回転可能に支持する。
【0019】
(樹脂ハウジング13)
樹脂ハウジング13は、図1に示すように、ステータ保持部13aと、回路基板保持部13bと、ポンプボディ保持部13cと、を有する。ステータ保持部13a、回路基板保持部13b、ポンプボディ保持部13cは、樹脂により一体成型される。
【0020】
(ステータ保持部13a)
ステータ保持部13aは、軸方向に延びて内部に貫通孔13a1を有する。貫通孔13a1内にモータ部10のシャフト11と、ロータ20と、ステータ22とが配置される。ステータ保持部13aの内側面には、ステータ22の外側面、すなわち、後述するコアバック部22aの外側面が嵌め合わされる。これにより、ステータ保持部13aにステータ22が収容される。
【0021】
本実施形態のステータ保持部13aの外壁部13a2のうちX軸方向左側には、フロント側(−Z側)からリア側(+Z側)へ向かって樹脂の径方向の厚さが大きくなる左側壁部13a3を有する。また、外壁部13a2のうちX軸方向右側には、X軸方向に延びて外部コネクタ90が挿入される挿入孔部13a4を有する。挿入孔部13a4のフロント側には、挿入孔部13a4を支持するブラケット部13a5が設けられる。ブラケット部13a5により挿入孔部13a4の剛性が強化される。
【0022】
(回路基板保持部13b)
回路基板保持部13bは、ステータ保持部13aのリア側端部に連続的に繋がる。回路基板保持部13bはリア側が開口してX軸方向に延びる有底容器状であり、容器本体部13b1と、容器本体側フランジ部13b2とを有する。
【0023】
容器本体部13b1は、基板収容室13b3を有する。基板収容室13b3は、リア側が開口し、カバー部15によって基板収容室13b3のリア側の開口が覆われる。基板収容室13b3内には、回路基板16、モータ側端子17、コネクタ側端子18等が収容される。
【0024】
モータ側端子17は、基板収容室13b3内のX軸方向左側に配置され、一端側がモータ部10のコイル22bに電気的に接続され、他端側が回路基板16に電気的に接続される。コネクタ側端子18は、基板収容室13b3内のX軸方向右側に配置され、一端側が外部コネクタ90に電気的に接続され、他端側が回路基板16に電気的に接続される。
【0025】
回路基板16は、モータ出力信号を出力する。本実施形態では、回路基板16は、基板収容室13b3のリア側に配置されてX軸方向に延びる。回路基板16の裏面(フロント側面)には、図示しないプリント配線が設けられる。また、回路基板16として、銅インレイ基板を用いることにより、図示しない発熱素子で発生した熱をカバー部15を介して放熱することができる。
【0026】
カバー部15は、金属材料製であり、熱容量が大きく、表面積が大きいため、放熱効果が高い。本実施形態では、カバー部15は、回路基板16に沿って延びる頂部15aと、頂部15aの外側縁部からフロント側へ延びる側壁部15bと、側壁部15bのフロント側端部から外側へ突出するカバー側フランジ部15cと、を有する。
【0027】
カバー側フランジ部15cは、容器本体部13b1に設けられた容器本体側フランジ部13b2に対向して配置されて、ボルト等の締結手段によって容器本体側フランジ部13b2に固定される。頂部15aは、X軸方向左側に回路基板16側へ窪む凹部15dを有する。凹部15dの先端部は図示しない伝熱部材を介して回路基板16に接触する。このため、回路基板16から発生した熱は、伝熱部材及びカバー部15を介して効果的に放熱することができる。
【0028】
(ポンプボディ保持部13c)
ポンプボディ保持部13cは、フロント側が開口した筒状であり、ステータ保持部13aのフロント側端に連続して繋がる。ポンプボディ保持部13cは、軸方向に延びる孔部13c1を有する。孔部13c1の内径は、後述するポンプ部40のポンプボディ52のリア側の外径よりも僅かに大きな寸法を有する。孔部13c1の内側面にポンプボディ52のリア側が嵌め合わされる。
【0029】
ポンプボディ保持部13cの外側面13c2には、径方向に突出するモータ側フランジ部13c3を有する。モータ側フランジ部13c3は、後述するポンプボディ52に設けられるポンプ側フランジ部52aに対向して配置されて、ボルト等の締結手段によってポンプ側フランジ部52aに固定される。これにより、樹脂ハウジング13にポンプ部40が固定される。
【0030】
(ロータ20)
ロータ20は、ロータコア20aと、ロータマグネット20bと、を有する。ロータコア20aは、シャフト11を軸周り(θ方向)に囲んで、シャフト11に固定される。ロータマグネット20bは、ロータコア20aの軸周り(θ方向)に沿った外側面に固定される。ロータコア20a及びロータマグネット20bは、シャフト11と共に回転する。なお、ロータ20は、ロータ20の内部に永久磁石が埋め込まれた埋込磁石型でもよい。埋込磁石型のロータ20は、永久磁石をロータ20の表面に設けた表面磁石型と比較して、遠心力によって磁石が剥がれる虞を軽減することができ、また、リラクタンストルクを積極的に利用することができる。
【0031】
(ステータ22)
ステータ22は、ロータ20を軸周り(θ方向)に囲み、ロータ20を中心軸J周りに回転させる。ステータ22は、コアバック部22aと、ティース部22cと、コイル22bと、インシュレータ(ボビン)22dと、を有する。
【0032】
コアバック部22aの形状は、シャフト11と同心の円筒状である。ティース部22cは、コアバック部22aの内側面からシャフト11に向かって延びる。ティース部22cは、複数設けられ、コアバック部22aの内側面の周方向に均等な間隔で配置される。コイル22bは、インシュレータ(ボビン)22dの周囲に設けられ、導電線22eが巻回されてなる。インシュレータ(ボビン)19は、各ティース部22cに装着される。ステータ22は、樹脂による一体成型時において、コアバック部22a、ティース部22c、コイル22b、インシュレータ(ボビン)22dが樹脂により覆われた樹脂モールド部22fを有する。
【0033】
(転がり軸受25)
転がり軸受25は、ロータ20及びステータ22のリア側(+Z側)に配置され、転がり軸受保持部30に保持される。転がり軸受25は、シャフト11を支持する。転がり軸受25の形状、構造等は、特に限定されず、いかなる公知のベアリングも用いることができる。
【0034】
図2は、本実施形態に係る転がり軸受保持部30の拡大断面図である。転がり軸受保持部30は、図2に示すように、転がり軸受25を保持する。本実施形態では、転がり軸受保持部30は、リング部30aと、鍔部30bと、突出部30cと、頂部30dと、を有する。リング部30aは、円環状であり、転がり軸受25の外周を囲んで保持する。リング部30aは、金属部材からなる。リング部30aは、転がり軸受25の軸方向の厚さYよりも僅かに大きい高さを有する。このため、リング部30a内に転がり軸受25の全体を収容して保持可能である。また、シャフト11のリア側端部と転がり軸受保持部30の頂部30dの内面との間には、軸受25の軸方向の幅Yを超えない大きさXの隙間が設けられる。
【0035】
鍔部30bは、リング部30aのフロント側(−Z側)端部から径方向外側に突出して周方向に円環状に有する。なお、鍔部30bは、周方向に間隔を有して複数設けられてもよい。突出部30cは、鍔部30bの径方向外側端部からリア側(+Z側)へ延びる。突出部30cは、周方向に環状に延びる鍔部30bの一部に設けられてもよいし、鍔部30bが周方向に間隔を有して複数設けられている場合には、突出部30cは、複数の鍔部30bの全部又は一部に設けられてもよい。突出部30cは、突出部30cを貫通する貫通孔30c1を有する。なお、貫通孔30c1は、突出部30cが環状に設けられている場合には、突出部30cに複数個設けられる。また、貫通孔30c1は、突出部30cが複数個設けられている場合には、複数の突出部30cの夫々又は一部に設けられてもよい。
【0036】
頂部30dは、リング部30aのリア側(+Z側)の開口を覆う。本実施形態では、頂部30dは、円形状であり、頂部30dの中央部には孔部30d1を有している。孔部30d1の内径は、転がり軸受25の内輪25aの外径よりも小さく内輪25aの内径よりも大きい。このため、転がり軸受25が転がり軸受保持部30内でリア側(+Z側)へ移動した場合、転がり軸受25の全体が頂部30dの内面に接触するので、転がり軸受25の移動を効果的に防止することができる。また、孔部30d1を設けることで、転がり軸受保持部30を軽量化することができる。転がり軸受保持部30は、樹脂ハウジング13とともに、インサート成型により樹脂ハウジング13と一体化される。
【0037】
(シャフト11)
シャフト11は、図1に示すように、中心軸Jに沿って延びてモータ部10を貫通する。シャフト11のフロント側(−Z側)は、モータ部10から突出してポンプ部40内に延びる。シャフト11のフロント側(−Z側)は、後述するポンプボディ52内のすべり軸受45に支持される。
【0038】
<ポンプ部40>
ポンプ部40は、モータ部10の軸方向一方側、詳細にはフロント側(−Z側)に位置する。ポンプ部40は、モータ部10によってシャフト11を介して駆動される。ポンプ部40は、ポンプロータ47と、ポンプハウジング51と、を有する。ポンプハウジング51は、ポンプボディ52と、ポンプカバー57と、を有する。以下、各部品について詳細に説明する。
【0039】
(ポンプボディ52)
ポンプボディ52は、モータ部10のフロント側(−Z側)において樹脂ハウジング13のフロント側(−Z側)内に固定される。ポンプボディ52は、ポンプロータ47を収容し側面及びモータ部10のリア側(+Z側)に位置する底面を有する収容部53を有する。収容部53は、フロント側(−Z側)に開口してリア側(+Z側)に窪む。収容部53の軸方向から視た形状は、円形状である。
【0040】
ポンプボディ52は、リア側(+Z側)の面からフロント側(−Z側)に窪む凹部54を有する。凹部54内にシール部材59を収容する。凹部54の軸方向から視た形状は、円形状である。
【0041】
ポンプボディ52は、中心軸Jに沿って貫通する貫通孔55を有する。貫通孔55は軸方向両端が開口してシャフト11を通し、リア側(+Z側)の開口は凹部54に向かって開口する。フロント側(−Z側)の開口は収容部53に向かって開口する。貫通孔55は、シャフト11を回転可能に支持するすべり軸受45として機能する。
【0042】
図3は、本実施形態に係る樹脂ハウジング13のリア側の拡大部分断面図である。図4は、本実施形態に係る樹脂ハウジング13のモータ側フランジ部13c3の拡大断面図である。ポンプボディ52は、図3に示すように、リア側(+Z側)の径方向外側の外側面に径方向内側に窪む段部61を有する。段部61は、環状の端壁面61aを有する。端壁面61aに樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが接触することで、樹脂ハウジング13をポンプボディ52に対して軸方向に位置決めすることができる。本実施形態では、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dは、端壁面61a上に配置された金属プレート63を介して端壁面61aに接触する。段部61は、凹部54に設けられたシール部材59と収容部53との間に位置する。
【0043】
金属プレート63は、本実施形態では、樹脂ハウジング13とポンプボディ52の間に設けられている。樹脂ハウジング13には、外側面にローレット目が設けられ、内周面に雌ねじが設けられたカラー69がインサートされている。具体的には、段部61上にインサートされる。金属プレート63は、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dの径方向の大きさとはほぼ同等の大きさを有する。金属プレート63が樹脂ハウジング13とポンプボディ52の間に配置された理由は、次の通りである。樹脂ハウジング13の外形は、電動オイルポンプ1の設置スペースとの関係で大型化することができない。このため、樹脂ハウジング13のポンプボディ52に接触する樹脂ハウジング13のカラー69の肉厚は十分に確保できない。したがって、樹脂ハウジング13とポンプボディ52間を締結すると、ポンプボディ52が座屈する虞が生じる。そこで、鉄製の金属プレート63を樹脂ハウジング13とポンプボディ52の間に入れることでカラー69の肉厚が十分取れなくてもポンプボディ52がアルミ製であっても座屈を防止することが出来る。
【0044】
端壁面61aの径方向内側端には、周壁面64がリア側(+Z側)に連続して延びる。周壁面64のリア側(+Z側)には、径方向内側に窪んだ環状の凹部65が設けられる。この凹部65にはシール部材66が設けられる。図示した実施形態では凹部65にOリングが設けられる。
【0045】
凹部65よりもフロント側(−Z側)の周壁面64は、樹脂ハウジング13のフロント側(−Z側)の内壁面13eと嵌合する。このため、樹脂ハウジング13をポンプボディ52に対して径方向の位置決めをすることができる。
【0046】
段部61の端壁面61aよりも径方向外側には、ポンプ側フランジ部52aが設けられる。ポンプ側フランジ部52aは、端壁面61aに連なって連続して延びる。本実施形態では、ポンプ側フランジ部52aは周方向に間隔を有して4か所設けられる。
【0047】
ポンプ側フランジ部52aは、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dが段部61に接触した状態でモータ側フランジ部13c3に対向して配置され、ポンプ側フランジ部52a及びモータ側フランジ部13c3間をボルト等の締結手段で締結することで、モータ部10をポンプ部40に固定することができる。
【0048】
(ポンプロータ47)
ポンプロータ47は、シャフト11に取り付けられる。より詳細には、ポンプロータ47は、シャフト11のフロント側(−Z側)に取り付けられる。ポンプロータ47は、シャフト11に取り付けられるインナーロータ47aと、インナーロータ47aの径方向外側を囲むアウターロータ47bと、を有する。インナーロータ47aは、円環状である。インナーロータ47aは、径方向外側面に歯を有する歯車である。
【0049】
インナーロータ47aは、シャフト11に固定される。より詳細には、インナーロータ47aの内側にシャフト11のフロント側(−Z側)の端部が圧入される。インナーロータ47aは、シャフト11と共に軸周り(θ方向)に回転する。アウターロータ47bは、インナーロータ47aの径方向外側を囲む円環状である。アウターロータ47bは、径方向内側面に歯を有する歯車である。
【0050】
インナーロータ47aとアウターロータ47bとは互いに噛み合い、インナーロータ47aが回転することでアウターロータ47bが回転する。すなわち、シャフト11の回転によりポンプロータ47は回転する。言い換えると、モータ部10とポンプ部40とは同一の回転軸を有する。これにより、電動オイルポンプ1が軸方向に大型化することを抑制できる。
【0051】
また、インナーロータ47aとアウターロータ47bとが回転することで、インナーロータ47aとアウターロータ47bの噛み合わせ部分の間の容積が変化する。容積が減少する領域が加圧領域なり、容積が増加する領域が負圧領域となる。ポンプロータ47の負圧領域のフロント側(−Z側)には、吸入ポートが配置される。また、ポンプロータ47の加圧領域Apのフロント側(−Z側)には、吐出ポートが配置される。ここで、ポンプカバー57に設けられた吸入口57aから収容部53内に吸入されるオイルは、インナーロータ47aとアウターロータ47bの間の容積部分に収容され、加圧領域に送られる。その後、オイルは、吐出ポートを通ってポンプカバー57に設けられた吐出口57bから吐出される。
【0052】
(ポンプカバー57)
ポンプカバー57は、図1に示すように、ポンプボディ52に対してフロント側(−Z側)から覆うことで、ポンプボディ52との間に収容部53を設ける。本実施形態では、ポンプカバー57は、ポンプボディ52のフロント側(−Z側)に取り付けられて、収容部53のフロント側(−Z側)に開口する開口部53aを閉塞することで、ポンプカバー57とポンプボディ52との間に収容部53が設けられる。
【0053】
<電動オイルポンプ1の作用・効果>
次に、電動オイルポンプ1の作用・効果について説明する。図1に示すように、電動オイルポンプ1のモータ部10が駆動すると、モータ部10のシャフト11が回転して、ポンプロータ47のインナーロータ47aの回転にともなってアウターロータ47bも回転する。ポンプロータ47が回転すると、ポンプ部40の吸入口57aから吸引されたオイルは、ポンプ部40の収容部53内を移動して、吐出ポートを通って吐出口57bから吐出される。
【0054】
(1)ここで、本実施形態に係る電動オイルポンプ1は、シャフト11の回転時にすべり軸受45が摩耗して、モータ部10からフロント側(−Z側)に突出するシャフト11が中心軸に対して偏芯しても、シャフト11のリア側(+Z側)は転がり軸受25で支持されるので、シャフト11のリア側(+Z側)の偏芯が抑制される。このため、シャフト11のリア側(+Z側)に配置されたロータ20の偏芯が抑制されて、ロータ20がステータ22に接触する虞を防止することができる。また、モータ部10の樹脂ハウジング13は樹脂製であるので、モータ部10のハウジングが金属製である場合と比較して、電動オイルポンプ1の軽量化及びコストの低減を図ることができる。
【0055】
(2)ステータ22は樹脂モールド部22fを有するので、樹脂モールド部22fがステータ22の構成部品(例えば、コイル22b、ティース部22c、コアバック部22a)に充填されて、ステータ22の構成部品の剛性を向上することができる。
【0056】
(3)転がり軸受25が転がり軸受保持部30を介して保持されるので、転がり軸受25が樹脂ハウジング13に対してずれても、転がり軸受25が樹脂ハウジング13に接触しない。このため、樹脂ハウジング13の摩耗を抑制することができる。また、転がり軸受保持部30が金属部材からなることで、転がり軸受25の保持剛性が高くなり、転がり軸受25がずれて樹脂ハウジング13に接触する虞をより抑制することができる。したがって、樹脂ハウジング13の摩耗をより抑制することができる。
【0057】
(4)転がり軸受保持部30はリング部30aを有するので、リング部30aの内面の周方向に亘って転がり軸受25の外周面を接触させることができる。したがって、転がり軸受25の軸受保持をより確実にすることができる。
【0058】
(5)転がり軸受保持部30が鍔部30bを有することで、インサート成型時に鍔部30bを金型に対して位置決めすると、樹脂ハウジング13に対する転がり軸受保持部30の軸方向の位置決めを容易にすることができる。また、転がり軸受保持部30が頂部30dを有することで、シャフト11のリア側への位置ずれが制限されて、シャフト11のリア側端部が樹脂ハウジング13に接触して樹脂ハウジング13が摩耗する虞を防止することができる。
【0059】
(6)転がり軸受保持部30は、インサート成型により樹脂ハウジング13と一体化されるので、転がり軸受保持部30を樹脂ハウジングに精度よく配置した一体成型品を量産することができる。
【0060】
(7)鍔部30bはリング部30aのリア側(+Z側)へ突出する突出部30cを有することで、モータ部10の駆動時にシャフト11の回転に伴って転がり軸受保持部30が中心軸周りに回転しようとした場合、突出部30cが転がり軸受保持部30の周方向全周に亘って設けられている場合には、突出部30cがインサート成型時に充填された樹脂との間の接合力によって、転がり軸受保持部30の回転を防止することができる。また、突出部30cが転がり軸受保持部30の周方向一部に設けられている場合には、突出部30cがインサート成型時に充填された樹脂に当たって、転がり軸受保持部30の回転を防止することができる。つまり、鍔部30bにリング部30aの軸方向他方側へ突出する突出部30cを有することで、転がり軸受保持部30の回転を防止することができる。
【0061】
(8)ポンプボディ52の径方向外側の外側面に段部61を設けることで、樹脂ハウジング13のフロント側端部を段部61に接触させると、ポンプボディ52に対する樹脂ハウジング13の位置決めをすることができる。また、樹脂ハウジング13のフロント側端部(軸方向一方側端部)を段部61に固定することで、樹脂ハウジング13をポンプボディ52に位置決めした状態で固定することができる。
【0062】
(9)ポンプボディ52は、リア側(軸方向他方側)の面からフロント側(軸方向一方側)に窪む凹部54を有し、すべり軸受45は、凹部54と収容部53とを連通する貫通孔55であり、凹部54にシール部材59を設けることで、ポンプ部40の駆動時に収容部53内を流れるオイルの一部はすべり軸受45を介してモータ部10側へ流れるが、貫通孔55のモータ部10側に設けられた凹部54にシール部材59が配されるので、すべり軸受45内を流れたオイルがモータ部10側へ流出する虞を抑制することができる。
また、すべり軸受45は、凹部54と収容部53とを連通する貫通孔55であるので、すべり軸受45は収容部53と連通する。このため、ポンプ部40の駆動時に収容部53内を流れるオイルの一部をすべり軸受45側へ流すことができる。このため、すべり軸受45の摩耗を低減することができる。
【0063】
(10)樹脂ハウジング13のリア側端部がシール部材59と収容部53との間に位置するので、収容部53の径方向外側には樹脂ハウジング13は存在せず、段部61も設けられていない。ここで、電動オイルポンプ1を大型化させずに、ポンプ部40の吐出量を増加させるために、ポンプロータ47を大型化して、ポンプロータ47を収容する収容部53の径の大きさを変更したい場合がある。この場合、収容部53の径方向外側には樹脂ハウジング13及び段部61が存在しないので、ポンプボディ52に外径を拡大する収容部53を設けるための設計の自由度を高めることができる。
【0064】
[第1実施形態の変形例]
(転がり軸受保持部の構造を簡素化した変形例)
図1に示した第1実施形態に係る転がり軸受保持部30では、リング部30a、鍔部30b、突出部30c、頂部30d、貫通孔30c1を有している。しかしながら、この構造に限定されるものではなく、例えば、図5a.に示すように、転がり軸受保持部31は、鍔部30b、突出部30c、頂部30d、貫通孔30c1が無く、リング部30aのみで構成することもできる(変形例1)。
【0065】
リング部30aの構造は、前述した転がり軸受保持部30のリング部30aと同一であるので、その説明については、前述した転がり軸受保持部のリング部30aと同一態様部分については同一符号を附して説明を省略する。
【0066】
この変形例では、転がり軸受保持部31はリング部30aのみを有するので、転がり軸受保持部31の構造が簡素化され、製造コストの増大を抑制できる。また、リング部30aの内面の周方向に亘って転がり軸受25の外周の面を接触させることができる。したがって、転がり軸受25の保持剛性をより高めることができる。
【0067】
また、例えば、図5b.に示すように、転がり軸受保持部32は、リング部30aと、鍔部30bと、頂部30dと、を有して、有底円筒形状としてもよい(変形例2)。
【0068】
この変形例では、突出部30cを有する転がり軸受保持部30と比較して、突出部30cを有しないので、構造を簡素化することができる。また、転がり軸受保持部32が鍔部30bを有することで、インサート成型時に鍔部30bを金型に対して位置決めすると、樹脂ハウジング13に対する転がり軸受保持部32の軸方向の位置決めを容易にすることができる。さらに、転がり軸受保持部32が頂部30dを有することで、シャフト11のリア側への位置ずれが阻止されて、シャフト11のリア側端部が樹脂ハウジング13に接触して樹脂ハウジング13が摩耗する虞を防止することができる。
【0069】
また、例えば、図5c.に示すように、転がり軸受保持部33は、鍔部30bが、リング部のフロント側へ突出する突出部を有してもよい(変形例3)。
【0070】
この変形例では、突出部30cに貫通孔30c1を有する転がり軸受保持部30(図2参照)と比較して、貫通孔を有しないので、製造工数が少なくなりコストの増大を抑制することができる。また、鍔部30bはリング部30aのリア側(+Z側)へ突出する突出部30cを有することで、モータ部10の駆動時にシャフト11の回転に伴って転がり軸受保持部33が中心軸周りに回転しようとした場合、突出部30cが転がり軸受保持部33の周方向全周に亘って設けられている場合には、突出部30cがインサート成型時に充填された樹脂との間の接合力によって、転がり軸受保持部33の回転を防止することができる。また、突出部30cが転がり軸受保持部33の周方向一部に設けられている場合には、突出部30cがインサート成型時に充填された樹脂に当たって、転がり軸受保持部33の回転を防止することができる。つまり、鍔部30bにリング部30aのリア側へ突出する突出部30cを有することで、転がり軸受保持部33の回転を防止することができる。
【0071】
(樹脂ハウジング13のフロント側端部13dの位置を変えた変形例)
図2に示した第1実施形態に係る樹脂ハウジング13のフロント側端部13dは、シール部材59と収容部53との間に位置している。しかしながら、この構造に限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dは、シール部材59と径方向に重なる位置に配置されてもよい(変形例4)。
【0072】
この変形例では、樹脂ハウジング13のフロント側端部13dがシール部材59と径方向に重なる位置にあるので、シール部材59よりも収容部53側には、樹脂ハウジング13は存在しない。ここで、電動オイルポンプ1を大型化させずに、ポンプ部40の吐出量を増加させるために、ポンプロータ47を大型化して、ポンプロータ47を収容する収容部53の大きさを変更したい場合がある。この場合、シール部材59よりも収容部53側には樹脂ハウジング13が存在しないので、収容部53の設計の自由度を高めることができる。
【0073】
(シャフト11のリア側端部と転がり軸受保持部30の頂部30dとの間の距離を特定した変形例)
図7は、第1実施形態の変形例に係るシャフト11と転がり軸受保持部30との拡大断面図である。図2に示した第1実施形態に係るシャフト11のリア側端部と転がり軸受保持部30の頂部30dの内面との間の距離Xと、転がり軸受25の軸方向の幅Yとの関係については詳細に特定されていない。しなしながら、転がり軸受25は軸方向に遊びが存在するので、シャフト11が軸方向に移動する虞がある。そこで、図7に示すように、転がり軸受25に支持されたシャフト11のリア側端部と転がり軸受保持部30の頂部30dの内面との間の距離Xは、シャフト11を支持する転がり軸受25の軸方向の幅Yを超えない大きさを有してもよい。(変形例5)。つまり、シャフト11のリア側端部と転がり軸受保持部30の頂部30dの内面との間には、軸受25の軸方向の幅Yを超えない大きさの隙間が設けられる。
【0074】
この変形例では、転がり軸受25には軸方向に遊びが存在するが、通常、遊びの大きさは転がり軸受25の軸方向の幅Yの大きさよりも小さい。このため、転がり軸受25に支持されたシャフト11のリア側端部と転がり軸受保持部30の頂部30dの内面との間の距離Xが、シャフト11を支持する転がり軸受25の軸方向の幅Yを超えない大きさを有する。したがって、シャフト11が転がり軸受25の遊びによってリア側へずれても、シャフト11のフロント側端部が樹脂ハウジング13に接触する虞を防止することができる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発名とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0076】
1 電動オイルポンプ
10 モータ部
11 シャフト
13 樹脂ハウジング
13d フロント側端部(軸方向一方側端部)
20 ロータ
22 ステータ
22f 樹脂モールド部
25 転がり軸受
30 転がり軸受保持部
30a リング部
30b 鍔部
30c 突出部
30c1、55 貫通孔
30d 頂部
40ポンプ部
41 すべり軸受け
47 ポンプロータ
51 ポンプハウジング
54 凹部
57 ポンプカバー
59 シール部材
61 段部
J 中心軸


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7